「いや、解いて……。嫌よ……」
寝台に横たえられた宝玉は四肢を四隅に伸ばした格好で仰向けに固定された。
四肢といっても、両手は肩口から切断されて両脚は膝から下がない。
切断部には豚の蹄を付けられていて、その蹄の側面に金具が繋げられる小さな留め部分が掘ってあり、そこに寝台の四隅から伸びた鎖の先端の金具を接続されたのだ。
輪廻が寝台の上部についている操作具を動かした。
すると伸びていた四肢がさらに引っ張られて、宝玉は身じろぎさえもできないくらいに身体を引き延ばされた。
「こ、怖いわ……。ね、ねえ、お願い……。後生だから……」
宝玉は狼狽えていた。
ここは
監禁された初日に、手足を切断されるとともに、陰湿に身体の整形をされた場所だ。
ここで意識のある状態で手脚を切断されて豚の蹄を繋げられたのだ。
肉芽や乳首の淫乱化の施術も受けた。そのときの恐怖は心にこびりついている。
「ふふふ、久しぶりね、宝。もっとも、わたしとしては、興味深い実験台として、ずっと隠れて観察してたんたけどね……。おかげで、あんたのことが随分わかってきたわよ……。もっと早く豊乳の施術をするつもりだったけど、あんまりあんたが興味深かったんで、ちょっと色々と観察させてもらってたのよ」
「ああっ、いやよ。やめてったら」
宝玉は悲鳴をあげた。
そうやって、話しているあいだも、柔らかい刷毛のようなもので、宝玉の全身のあちこちをくすぐるのだ。
ただでさえ感じやすいのに、施術によって鋭敏な肉体にされてしまった宝玉は、身動きできない身体をのたうち回らせるしかなかった。
「そのあいだ待ってもらうかたちになったけどね。待ち遠しかっただろうから、今日はちゃんとお前のおっぱいを改造させてもらうわ」
輪廻が頬に笑みを浮かべながら、刷毛を横の台に置く。。
宝玉はその微笑みに恐怖した。
この女はこの顔をしながら、平然とこの身体に残酷な施術をする。
手脚を無造作に切断されながら、それを一本一本目の前にかざされたときのことを思い出して、宝玉は身体を硬直させた。
やると言われたから覚悟はしていたが、いざそれが目前になると、また得体の知れない施術で身体を弄くられるという恐怖で身体ががくがくと震えてしまう。
「ひっひっひっ、やっぱり、さっきとは威勢が違うのう……」
輪廻のそばに立っている
宝玉の認識では、少し前まで、この身体は宝玄仙の意識で、動く床の上を無限運動するという責め苦を受けていた。
この蝦蟇婆の道術で、触れれば電撃の流れる結界で四周を囲まれ、床を動かされて、その上で無限に続くかと思うような四つ脚歩行を強要されたのだ。
それを宝玄仙が無理に脱出しようとして、結界の電撃に触れてしまい、その電撃で気を失ってしまったはずだ。
だが、宝玉がこの身体に意識を戻したときには、この輪廻の部屋に連れて来られていた。
どうやら、気絶したまま、すぐにここに運ばれたようだ。
「そ、そんなことない……わ……よ……」
宝玉は宝玄仙ように悪態をついて、宝玄仙を装おうとしたが無理だった。
彼女たちへの恐怖心が宝玉の反抗心を消失させてしまう。
「やっぱり、もうひとりのお前とは反応が違うようじゃな。お前は宝玄仙ではないのであろう? 正直に言ってみよ。お前は誰じゃ?」
宝玉は蝦蟇婆の言葉にはっとした。
蝦蟇婆が言及したのは、この身体に宝玄仙と宝玉というふたつの人格が同居していることについてであろう。
いつまでも隠しておけるとは思えなかったが、さっき意識の部屋で、人格の交替をすることによって彼女たちを出し抜き、股間の魔法柱が交換される瞬間に反撃をしようと、宝玄仙が言っていたのを思い出した。
だから、ふたつの人格のことは隠せるものなら隠すべきだ。
少なくともなにもかも喋ってしまってはならない。
宝玉はとっさに思った──。
「あら、その表情……。ねえ、蝦蟇婆、どうやらこいつは、隠しておきたいつもりのようね。豊乳と乳腺活性化の施術の前に拷問して、なにかもかも洗いざらい訊き出してよ」
輪廻がにやにやと微笑みながら、蝦蟇婆に視線を向ける。
蝦蟇婆は寝台に添って移動し、鎖で開脚されている宝玉の股間の横に移動した。
「まあ、こんな女から秘密を白状させるのは造作もないことじゃ。この女には尻穴以外ではいけない身体にしておるからのう。その身体で敏感な肉芽でも弄り回されたら、堪らんじゃろうて……」
「な、なにも秘密なんてないわ──。わ、わたしは、とても気分屋なのよ──。それでころころと喋り方や態度が変わるの──。それだけよ」
宝玉の股間に手を伸ばす気配の蝦蟇婆に慌てて言った。
しかし、蝦蟇婆の指がすっと宝玉の無防備な肉芽に触れた。
動かすのではない。
ただ、軽く押すように触っただけだ。
「ひいっ」
しかし、ただそれだけで、肉芽の皮の内側に粒の施術を受けている宝玉は、異常な痺れをそこに感じて悲鳴をあげた。
「嘘を言うんじゃないわよ、宝。わたしたちを馬鹿だと思っているの? あんたのことはずっと観察していたと言っているでしょう。こっそりと霊気の波動も調べさせてもらったわ」
「霊気の波動……?」
愕然とした。
そこまで調べられたのなら、誤魔化しようがない。
同じ身体に宿る人格でありながら、宝玄仙と宝玉の道術の波動は異なる。
なぜ、そうなっつのかは不明だが、厳然たる事実だ。
宝玉はそれを知っていた。
他人であれば波動が完全に一致するということはありえず、また、波動が違うということは絶対に同じ人物ではないということだ。
宝玉は背に冷たいものが流れるのがわかった。
「知っていると思うけど、亜人でも人間の道術遣いでも、ひとりの道術者は、ひとつの霊気の波動しかないはずなのよ。でも、あんたは明らかにふたつの波動がある。そして、それぞれに喋り方も違うし、蝦蟇婆たちに対する態度も違う──。これが示すことは明らかよ」
輪廻がそう言って寝台を挟んで蝦蟇婆の反対側に移動した。
椅子を引き寄せて、宝玉の身体をじっくりと眺める態勢になる。
「あ、明らかなら、訊かなくてもいいじゃない──。あっ、はあっ……」
蝦蟇婆の指先はほとんど動くか動かないかの微妙なものだ。
しかし、じわじわと情欲の果汁が糸を引くように股間から溢れるのがわかる。
身悶えしたいがしっかりと引き伸ばされている身体は、宝玉にわずかな身悶えくらいしか許さない。
とにかく、これくらいでこんなに感じていては駄目だ──。
このふたりがすでにこの身体に宿るふたつの人格について、なんらかのことを悟ったのは間違いない。
しかし、宝玄仙も言った──。
もしかしたら、この身体に宿るふたつの人格という状態が彼女たちへの反撃の端緒になるかもしれない。
だから、白状してはならない──。
宝玉は必死になって絶息しそうな淫情から自分を取り戻そうとした。
「わしらは、お前の言葉で聞きたいのじゃよ。お前の身体には、ふたつの人格がある。そうじゃな? そんな存在は、亜人の世界でも珍しいが、まったくいなかったわけじゃない。わしも、以前、ひとつの身体にふたつの人格が棲んでおった亜人に遭ったこともある」
「うう……、も、もう、質問しないで……」
追い詰められる。
なにかが圧倒してくる。
よくはわからないが、それがわかる……。
怖い……。
得たいの知れない恐怖が宝玉を襲う。
「人間族ではもそういうことが起きるとは知らなんだが、お前は人間族でふたつの人格を持つようになった存在なのじゃな? そうじゃろう?」
「はああっ──そ、それはだめっ──」
質問をしながら、蝦蟇婆の指がゆっくりと肉芽を回しだした。
それは怖ろしいほどにゆっくりとした動きだ。
だが、宝玉を追い詰めるにはそれで十分だ。
股間に走る疼きが身体の芯まで溶かすような被虐の甘い感触に変わる。
その感触を振り払おうと、宝玉はほんの少しでもいいから蝦蟇婆の指を肉芽から離そうとした。
しかし、短い手足を寝台の四隅にほとんど動けないほどに引っ張られている身体では、ほとんど腰も動かせないのだ。
宝玉はただ蝦蟇婆の手管を受け入れるだけだ。
蝦蟇婆の指が肉芽を動かし続ける。
切なくて甘い痺れに、宝玉の全身の肉が溶かされるような恍惚感が生じだす。
蝦蟇婆がやろうとしていることはわかっている。
宝玉を追い込んで、息も絶え絶えの状態にして、まともな思考力を奪いとるまで昇りつめさせようとしているのだ。
わかっているが、この身体では抵抗できない。施された身体改造による快感が強すぎる。
ほんの少し肉芽を弄られただけで、痛烈な快美感が背骨を貫く。
だけど、おかしい……。
感じすぎると気力がなくなる……。
確かに自分は宝玄仙に比べれば、嗜虐の快感に弱いが、こんなにも呆気なく相手に屈服心を覚えるのは不自然だ。
薬物……?
そのとき、意識の部屋で宝玄仙が口にした白痴化の魔薬というのが頭を過る。
宝玄仙の言う通り、これまでの五日でそれをいつの間にか摂取させられていて、その影響が宝玉だけに表れているとすれば……。
「これくらいでそんなに反応しておってはつらいぞ、宝。わかっているともうが、いまのお前が一度受けた快感は、その身体では陛下が尻をほじるときでないと発散できんのじゃ。疼いたまま一日も二日もすごすのは大変ぞ──」
「あひいっ」
刺激が強くなる。
宝玉は翻弄される。
「どらっ、言わんか──。お前たちはふたりでひとりなのじゃろう? どうやって人格を交替しておるのだ? どちらが本来の宝じゃ? なにもかも言わんか。ほれっ、ほれっ」
蝦蟇婆が肉芽を弄り続ける。
「抵抗なんて無駄よ。実は、あんたにはふたつの薬物を大量に投与し続けさせてもらっているわ。ひとつは心の抵抗心をなくす薬。もうひとつは、特殊な薬物でね。二重人格者の人格交代をうまくいかなくさせる薬よ」
輪廻が顔を宝玉の耳元に近づけて、息を吹き掛けてきた。
「はあっ」
そのぞわぞわという感触に、宝玉は悲鳴をあげて顔を振った。
やっぱり、得体の知れない薬物を飲ませられていた……。
宝玉の心に絶望が走る。
「教えてくれたら、あんたに飲ませ続けている薬物を調整できるわ。多分、あんたたちに合わせた調整を完全にして投薬して、蝦蟇婆がたまたま知っていた人格支配の道術をかければ、ほぼ完全にあんたたちの人格の統制をわたしらが外からできるようになると思うの……」
「ああっ、そんなあ」
「魔薬と道術を組み合わせて、わたしたちが名前を呼んだ方しか表に出れなくなるようにできるのよ。だから、なにもかも教えて……。まずは名前よ。あんたは人一倍他人からの道術抵抗力が強いようだけど、あんたが名前をわたしたちに教えれば、それはあんたが屈服して道術を受け入れたということになるの。だから、言ってしまいなさい」
「ほれっ、言わんか──。名じゃ──。名前を言わんか。お前に飲ませた薬物は自白剤の効果もあるのじゃ。言え──」
蝦蟇婆の指がだんだんと執拗なものに変わっていく。
強い痺れが下腹部を襲い、いつの間にか宝玉は涙をこぼして泣き声をあげていた。
肉芽から全身に拡がる官能のうねりに宝玉はさらに首を横に曲げた。
こんな姿にされて、さらに加えられる自分へのこの淫虐の拷問に、宝玉は燃えるように熱くなった身体を少しでも動かして溜まっていく官能の情欲を外に出そうと懸命になった。
しかし、その動きで肉芽に置かれている蝦蟇婆の指から新たな刺激が走る。
身悶えすれば肉芽に置かれている蝦蟇婆の指が意地悪く動くのだ。
そうなれば、一層妖しい痺れが宝玉を支配し、宝玉は進退極まったという心地になった。
「はああっ──ああっ──」
身悶えさえもできないことを悟った宝玉は、思わず昂ぶった声をあげた。
「お前たちはふたつの人格があるだけじゃなく、それぞれに身体を制御しているようでもあるのう。わしがあれだけ餌に混ぜて、わしの言葉に逆らえんようにする魔薬を飲ませておるのに、さっきはあんな騒動を起こして電撃の結界から逃亡しようとした……。あんなことはいまのお前にできるわけがないのじゃ」
「あはあっ、やめてえっ」
肉芽がなぶられる。
気が遠くなるようか快感が一気に襲う。
「一方、お前については、わしたちに恐怖は感じておるが反抗的な表情はない。わしの薬物は、騒動を起こしたさっきの宝には効かずに、お前に効果を及ぼしているようじゃ──」
「あはああああ」
「そうなのであろう? ほら、秘密を喋らんか。さすれば、お前たちを完全に支配してやるわ」
蝦蟇婆の手管が、さらに本格的になった。
「ふあああっ──ひやああっ──だ、だめっ、だめっ、だめっ、いくっ、いくう──」
宝は全身を限界まで仰け反らせた。
しかし、それは大した動きにはならなかった。
蝦蟇婆の指が宝玉の肉芽を弄り続ける。下腹部から突き刺すような痛みにも似た快感が走る。
全身の肉という肉が燃えあがり、脂汗が一斉に噴き出す。
悲鳴のような嬌声をあげながら、宝玉はいま、蝦蟇婆が抵抗の気持ちをなくすための薬物を飲ませていると話したことを思い出していた。
それは意識の部屋で宝玄仙が言及したことでもあった。
どうやら宝玄仙は正しかったようだ。
そして、その効果は蝦蟇婆の言う通りに、宝玄仙には及ばずに、自分に一身に効いているようだ。どうしてそうなっているかなど、宝玉にもわからないが、どうやらそういうことのようだ。
事実、宝玉はこの蝦蟇婆や輪廻に逆らおうという気持ちはまったくない。
ただ、怖い──。
それだけだ。
真実を喋ることが怖い──。
そして、飲まされていたのは、単に反抗心を失わせるだけの薬物だけではなかったようだ。
そんなものがあるとは知らなかったが、彼女たちはさらに、この身体に宿るふたつの人格を外から統制できることに繋がる薬物も飲ませているのだという。
とりあえず、抵抗心をなくす薬物については、思い当たることもある。
いずれにしても、絶対に喋ってはならない──。
それくらいは宝玉にもわかる。
一度喋ってしまえば、なにもかもぶちまけそうな気がする。
そして、『縛心術』系の道術をかけて、宝玉たちが自由に人格交代をできなくするつもりだ。
そうなったら一切の反撃の機会など消滅すると思った。
しかし、どうしようもないのだ。
彼女たちには逆らえない──。
その考えも心を支配する。
それも薬物の影響というのは知っている。
知っているが反抗心は出てこない。
それにしても、輪廻は、二重人格を統制する薬物も飲ませているというようなことを言った。
本当にそんなものがこの世にあり、都合よく輪廻がそれを処方できたというのは本当だろうか……?
それとも、宝玉を屈服させて、血に備わる道術封じの効果を減じさせるためのなんらかの罠だろうか。
この身体には生まれつき、他人の道術を跳ね返し易い体質が備わっている。
しかし、それは宝玉や宝玄仙の気力が萎えて、精神力が低下すると効果をなくすのだ。
「はあっ、もう、だめえっ──いくっ──」
宝玉の思考が飛ぶ。
なにも考えられなくなるような蝦蟇婆の愛撫が宝玉に襲いかかる──。
宝玉はついに、身体ががくがくと発作のような痙攣を起こした。
「無理じゃ、無理じゃ──。昇天しようとうのは錯覚じゃ。どんなに気持ちよくなっても、絶対にいけんのじゃ」
蝦蟇婆が笑った。
その通りだった。
達したと思った瞬間に、当然訪れるはずの快感の迸りはやってこない。
ただ痛みのような激しい疼きが子宮の辺りでうごめくだけだ。
宝玉はいくにいけない強烈なもどかしさに、がっくりと首を横に落とした。
「いまはまだ気持ちよさがまさっておるかもしれんが、そのうちに、その快感が苦しみになる──。そうなる前にさっさと喋らんか──。まずは、お前たちの名じゃ──。名を言え」
「ああ、もう、いやあああっ」
宝玉は泣き叫んだ。
「ふたつの人格はそれぞれに別の名があるのが普通じゃ。そうでないと、お互いを区別できんからのう。どちらが宝玄仙で、もうひとりの名はなんじゃ?」
蝦蟇婆が肉芽だけでなく、女陰の周りまで手を這わせだす。
まるで股間の官能という官能を呼び起こすような蝦蟇婆の手管に、宝玉は名状のできない快美な感覚に溶け込まされていった。
今度こそ、いくっ──。
そう思った。
蝦蟇婆が与える快感は、全身を淫情化する施術を受けている宝玉には十分な快感だった。
それに宝玉は宝玄仙のように自分の快感を制御するような技を持っていない。
ただ、翻弄される。
「いくうっ──」
宝玉は金切り声のような甲高い声をあげた。
「無理だと言っておろうが──」
「まったく、見ているこっちまで恥ずかしくなるような反応ねえ……。少しは慎みでも持ちなさいよ」
蝦蟇婆だけでなく輪廻まで嘲笑した。
そして、蝦蟇婆の手が股間だけではなく、敏感な乳首にも伸びた。
その技巧は卓越したものであり、宝玉は言語に絶する切なさと官能の痺れにのたうつ。
全身の快感はどこまでも上昇する。
蝦蟇婆の愛撫はしばらく続いた。
与えられるのにいけない。
執拗に続く蝦蟇婆の責めに、宝玉の気力は一枚一枚剥がされていく。
快楽が激しい……。
しかし、絶頂だけができない。
どろどろに溶けたようになる身体に、宝玉はいつしか思考力さえも失っていくのがわかった。
それから、かなりの時間がすぎた。
いつの間にか、宝玉の裸身を責める手は、蝦蟇婆に加えて輪廻が加わっていた。
四本の手が肛門以外のすべての性感帯にあらゆる要領で刺激を与える。
宝玉は半狂乱になった。
「こいつは大丈夫じゃろうな、輪廻? 追い詰めるまで追い詰めて、人格交代で逃げはせんじゃろうな?」
「わたしの処方した二重人格用の『人格制御薬』は完全じゃないけど、ある程度の効果はあるはずよ。いまは、簡単には人格交代はできないはずよ」
「そうか?」
「おそらく、気絶するほどの心の衝撃がなければ意識下には戻れないはずね。あんたが間違えて、この宝を失神させるようなへまをしない限り、こいつは逃げられないわよ」
「わしを誰だと思うておるのだ、輪廻。そんな失敗はせんわ。そのまま、何刻でもこいつをぎりぎりの快楽地獄に合わせ続けてやるわ」
宝玉には輪廻と蝦蟇婆の会話の半分も認識できない。
ただ、このふたりの淫虐な肉の拷問にひたすら全身をのたうたせるだけだ。
もう、なにも防げない──。
宝玉は、一切の抵抗など無意味であることを今度こそはっきりと知覚した。
耐えようのない汚辱感と息の止まるような快感が宝玉の意思を完全に擂り潰す。
肉がただれる妖しい快美感が宝玉の身体を支配する……。
逆らえない……。
いや、逆らいたくない……。
誰か、助けて──。
「く、苦しい──。もう、苦しいの──。もう、やめてっ──ひいっ」
宝玉はすでに泣きじゃくっていた。
焦らし責めとは違う──。
絶頂だけを取りあげられた性の拷問にもう、宝玉はなにも考えられなくなった。
「だったら、名を言うのじゃ。お前たちの名をな」
蝦蟇婆が宝玉の股間と左の乳房を揉みながら言った。
「宝玉──。わたしは宝玉よ──。もうひとりは宝玄仙──」
宝玉は泣きながら叫んでいた。
「や、やった、遂にこいつの頑丈な道術返しの城門が解けおったわ──」
蝦蟇婆の感極まった声がした。
次の瞬間、大量の蝦蟇婆の霊気が自分の身体に雪崩れ込むのを感じた。