※この作品はR-18です。

嗜虐西遊記【完結】   作:ドン・ドナシアン

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502 わたしは家畜

 宝玄仙は、輪廻(りんね)の足指を丁寧にしゃぶっていた。 舌先で爪の中を擦り、指と指のあいだをきれいに舐めあげる。

 もちろん、足の裏も忘れない。

 それこそ、宝玄仙の唾液がついていない場所が存在しないように丹念に丹念に舐める。

 

「あ、ああっ……い、いいわねえ……。素晴らしいわ……宝……」

 

 輪廻の声はかすかに上気しているように聞こえた。

 やがて、輪廻の組んでいる左右の足が入れ替わる。

 宝玄仙は突き出された反対側の足もきれいに舐めあげていく。

 

 一方で、全身は凄まじい掻痒感に襲われていたままだ。

 すでに痒み剤を塗られてから二刻(約二時間)はすぎているだろう。

 この間、何度か乳房を揉まれることで、胸の痒みは収まりかけているが、股間と肛門については、蝦蟇婆(がまばあ)の意地の悪い筆が擦られただけで、いまだに刺激らしい刺激を与えられていない。

 股間を襲っている痒みのつらさは、気の遠くなるほどだ。

 

 しかし、そんなことをおくびにでも出せば、輪廻の態度が一変し、痒みを解消させてやるという約束も反古にされるかもしれない。

 そんなことをされれば、間違いなく宝玄仙の気はおかしくなってしまう。

 それくらい宝玄仙は追い詰められていた。

 

 それに宝玄仙は、こと性行為に関することで他人に主導権を取られるつもりはなかった。

 いま、宝玄仙にあるのは舌先ひとつだが、その舌だけで輪廻を圧倒してやる──。

 そう決めていた。

 

「合格だよ、宝……。そのまま脚を舐めながらあがっておいで」

 

 輪廻が荒い息をしながら言った。

 言われなくてもそうするつもりだ。

 足の指から足の裏を舐めると、身体を伸ばして足首を舐める。

 さらに脛や膝まで舐め進んでいく。

 

 宝玄仙は、膝の裏から足首までのあいだにある性感帯を掘り起こすように舌で刺激を続けた。

 舌ひとつといっても使い方はさまざまだ。

 

 舌全体を使って舐めたり、あるいは先をすぼめて抉ったり、押したりするように刺激する……。

 さらに真っ直ぐに擦ったり、じぐざぐに動いたりすることでも変化をつけられる……。

 もちろん、強く舐めたり、触れるか触れないかというくらいの弱さでくすぐったり……。

 速度ひとつでも変化をつけて、輪廻を翻弄できる……。

 

「い、椅子から降りて来ておくれよ……。届かないんだよ……」

 

 宝玄仙は顔を輪廻のふくらはぎに擦りつけるようにして膝を舐めていたが、それを一度やめて言った。

 椅子に腰掛けられたままでは、これ以上は顔が届かない。

 

「あ、ああ……、そ、そうだね……。お、おりるよ……」

 

 輪廻が少し興奮した口調で応じて、椅子から下りて床に尻をつけてしゃがんだ。

 宝玄仙は輪廻の長い下袍を顔を使ってめくり、さらに奥に顔を進める。

 

 輪廻の股間からは強い淫液の臭いがした。

 すでに脚への奉仕だけで、輪廻がかなり欲情していることは、肌を舐めることだけでもわかっていた。

 その匂いはかなり強い。

 どうやら輪廻は、非常に感じやすい性質のようだ。

 

 いま、宝玄仙の舌は太腿の内側を這っている。

 輪廻は下着をつけていないようだ。

 下袍に遮られて薄暗い視界の中に、洪水かと思えるほどの大量の蜜が輪廻の陰毛をねらねらと濡らしている様子が映った。

 輪廻は床に尻をつけて大きく股を開いている。

 その下袍の中に、四つん這いの宝玄仙が顔を潜り込ませて輪廻の股を舐めているという態勢だ。

 

「お、お前……す、凄いよ……。は、はああっ──」

 

 宝玄仙の顔がさらに奥に進み、ついに、輪廻の股間の付け根に舌が届いた。

 舌で陰毛を掻きわけて女陰の縁を開いて、さらに肉芽をねっとりと舐める。

 

「あふううっ……」

 

 輪廻の身体ががくがくと震えた。

 まだ、早い……。

 宝玄仙は舌をもっとも敏感な場所から移動して、さっと刺激の場所を腿の内側に戻った。

 絶頂しかけていた輪廻の快感が寸止めで留まる。

 輪廻が切なそうに、身体を震わせた。

 

 しばらくのあいだ、宝玄仙は敏感な場所を直接舐めるのを避けて、その周辺だけを刺激することだけに留めた。

 その間、輪廻の吐息と肌の震えは続いている。

 しかも、それは止まることなくだんだんと強いものに変わっていく……。

 

 一方で、宝玄仙は舌を動かしながら、千切れるような全身の掻痒感とも戦っていた。

 快楽責めに遭わされながらも満足な絶頂を与えられなかった宝玄仙の肉体は、おそらく限界まで感度があがっていると思う。

 また、おかしな薬を塗られた乳首や股間のむず痒さは、そのためにさらに峻烈な苦しみになっていた。

 

 それでも、重い乳房だけは、舌を使いながら床や輪廻の肌に擦りつけて刺激を加えることができる。

 肉芽並に感度をあげられた乳房は、強く擦ればそれだけで宝玄仙を欲情の頂点に連れていってくれそうだったが、宝玄仙はその欲求に耐えた。

 いまは、輪廻を追い詰めて、この場の主導権を宝玄仙が取りかえす時間だ。

 宝玄仙が快感に没頭する時間ではない。

 

 こうなったら意地だ。

 痒みに負けずに、舌奉仕を続けてみせる――。

 それが、なにもできない今の宝玄仙の戦いだ。

 

 

「き、気持ちいいよ、宝……。ほ、本当に……。こ、こんなに舌の上手い雌は初めてさ……」

 

 輪廻が興奮したように声をあげた。

 宝玄仙はなにも言わずに、輪廻の肌に舌を這わせ続ける。

 すでに輪廻の身体は、宝玄仙の舌で追い詰められている。

 この瞬間に絶頂させるのも、もう少し焦らすのも思いのままだ。

 

 しかし、宝玄仙はもう少し時間をかけることに決めた。

 絶頂だけはしない程度の刺激を加えて、それでいて、昇天するのにぎりぎりの愛撫を舌で与える。

 宝玄仙は輪廻の愛液で濡れた陰唇に、鼻輪のついた自分の鼻先を押し当てた。

 そして、鼻先で蜜を押しあげながら鼻息を加えて、尻に近い場所から肉芽の位置まで擦りあげる。

 

「うはああっ」

 

 輪廻の腰が一瞬浮かびあがる。

 宝玄仙は鼻による股間の上下の刺激を続ける。

 鼻先で輪廻の女陰の入口を圧しながら、舌も伸ばして垂れている淫液をすすってもいる。

 

「い、いいよ──。き、気持ちいい──」

 

 輪廻の腰がさらにがくがくと動いた。

 愛液の漏れが激しくなる。

 宝玄仙は顔に輪廻の蜜を浴びるようになりながら、今度は舌をすぼめて、女陰の奥に滑り込ませた。

 

「はっ、はっ、はあっ──」

 

 輪廻はすでに興奮状態のようだ。

 宝玄仙の舌は女陰の中を掻き回すように動いている。

 接している輪廻の肌を通じて、輪廻がすっかりと快感の陶酔にどっぷりと浸かっていることを感じていた。

 

 あと少し……。

 ここで強い刺激を加えてやれば、輪廻は快感の頂点に一気に飛翔していく……。

 

 しかし、それで終わりだ……。

 宝玄仙の舌はさっと女陰から出ていく。

 鼻先で女陰を擦るのもやめた。

 また舌を内腿に戻し、しばらく輪廻の興奮が収まるのを待つ。

 輪廻の失望と欲望の昂ぶりが息や声が肌の熱さから伝わってくる。

 

 やがて、また、輪廻の股間に舌を移動させる。

 そして、ぎりぎりまで輪廻を翻弄する。

 輪廻の身体が痙攣のように震える。

 

 その頃合いを見計らって、舌を内腿に逃がす……。

 しばらくしたら、また、股間に……。

 

 宝玄仙はこれを繰り返した……。

 

 輪廻が少し落ち着けば、また女陰や肉芽への責めを再開する。

 そして、絶頂寸前まで追い詰めて、またやり直し……。

 これを繰り返せば、堕ちない女はいない……。

 

「ああ、も、もう、いかせておくれ、宝──」

 

 何度目かのこの一連の行為を繰り返したとき、ついに輪廻が腹をたてたような口調で言った。

 

「あ、あんまり、お前の股ぐらがおいしいからね……。もうしばらく、味わいたいと思っているのさ……。それとも、お願いだからいかせてくれと頼むのかい──。だったら、いかせてやってもいいよ──」

 

 宝玄仙は舌で輪廻の内腿を舐めながら言った。

 

「ふ、ふふ……言うじゃないかい、家畜のくせに……。で、でも、やっぱりお前は素晴らしい家畜さ……。いや、大した女だ。でも、そろそろ、わたしが昇天するまで舐めておくれよ。そうすれば、その苦しい股間を慰めてやるよ」

 

 輪廻が言った。

 確かに宝玄仙ももう限界に近い……。

 

 輪廻の股間を舐め続けて、どれくらいの時間が経ったかわからない。

 宝玄仙の股間はただれるような痒みに襲われ続けているし、いまや乳房を擦ったりして多少の刺激を加えるくらいでは、気を紛らわすことができないようになっていた。

 

 宝玄仙は輪廻を翻弄するために続けていた舌技をやめて、今度は一気に絶頂させるための動きに変えた。

 長い時間の舌奉仕で、すでに輪廻の弱点はわかっている。

 顔の角度を巧みにして、鼻輪のついた鼻先で肉芽を刺激しながら、舌を女陰の中に入れて刺激を加える。

 さらに顔全体を使って輪廻の股間全体をゆっくりと押し揉んでいく……。

 

「ああっ、あっ、ああっ──」

 

 輪廻がひと際大きな声をあげた。

 輪廻の身体ががくがくと大きく痙攣のような震えを始める。

 

「も、もっと──。もっとよ──。もっと舌を使って──」

 

 輪廻が感極まった声をあげた。

 そして、今度は宝玄仙の顔に自分の股間を押しつけるように叩きつけてくる。

 

「ほおおっ──」

 

 輪廻の腰が浮いた。

 次の瞬間、大きな呻き声をあげながら輪廻が絶頂したのがわかった。

 

 どっと輪廻の女陰から溢れ出た淫汁を宝玄仙は丹念に舌で掃除する。

 後戯は、前戯や本番以上の意味がある。

 この奉仕で輪廻の心に潜り込むのだ。

 そして、少しでも支配権を取り戻す。

 それができるかどうかわからないが、やらないよりもましだ。

 それに、いまは、それくらいしかこの状況を打開する方策を思いつかない。

 とにかく、宝玄仙は、まるで、大切な宝物であるかのように、丁寧に輪廻の股間の淫行の痕を舌で消していった。

 

 輪廻は激しい絶頂の余韻を愉しむかのように、しばらくは宝玄仙の舌技に身を任せたようにしていたが、やがて、宝玄仙の顔を押しのけるようにして立ちあがった。

 宝玄仙は仕方なく、その場にまたうずくまる。

 

「素敵な奉仕だったわよ、蝦蟇婆(がまばあ)……。あんたもやってもらったらどうなの?」

 

 輪廻が蝦蟇婆に軽口を言うのが聞こえる。

 輪廻は、部屋の隅でなにかを準備している気配だ。

 宝玄仙はそれを顔を伏せた状態で感じていた。

 視線をあげると、この部屋にいる亜人たちの顔を見そうで怖いのだ。

 

「ふん、冗談じゃないわい──。こんな家畜にのぼせあがりおって、恥ずかしくないのかい、輪廻」

 

 蝦蟇婆が不愉快そうに鼻を鳴らすのが聞こえた。

 

「恥ずかしくないわ、蝦蟇婆……。あんたが宝を使わないなら、わたしの調教を始めるわね」

 

 輪廻が戻ってきた。

 

「約束だからね、宝……。尻を弄ってあげるわ。それだけじゃなくて、素敵な舌技のお礼に女陰だって刺激してあげるわね」

 

 輪廻が宝玄仙のそばに戻ってきて屈みこんだ。

 思わず宝玄仙は眼を閉じる。

 

「息がとまる苦しさは、もうすっかりと肌に沁みたようね、宝……。でも、大丈夫よ、無理矢理に顔を見させて、意地悪するようなことはしないから……。あんたの股間にこれを挿してあげるわ……。素敵な舌技のお礼に前も後ろも弄れるように、この張形にしてあげたのよ」

 

 床を向いている宝玄仙の顔の前に、輪廻の手元がかざされた。

 視界に入ったのは、白っぽい色をした二股の張形だ。

 根元で長短の張形に分かれていて、短い方の張形にはさらに小枝のような出っ張りもついている。

 宝玄仙には、それがどういうものなのかはすぐにわかった。

 女の肛門と女陰、そして、肉芽までを同時に責めるための張形だ。宝玄仙も供たちに使わせたことがあり、宝玄仙は『二頭張形』と呼んでいた。

 

 もっとも、宝玄仙の作ったものは、道術で淫靡な機能がついている霊具なのだが、これは霊具ではないようだ。

 まったく霊気は感じない。

 しかし、その代わりに、ねらねらと光っていて、表面からは強い粘性を感じる。

 ただの張形ではないような気がした。

 

「な、なんだい、これは?」

 

 得体の知れない刺激臭が張形から匂う。

 いやな予感がする。

 

「お前の尻穴と股穴を慰める道具よ。さっきのお礼に入れてあげるわ。少ししたらほじってあげるから、挿入したまま待っていてね」

 

 輪廻がその二頭張形を持って宝玄仙の背後に回った。

 

「だ、だから、それはなんだって……?」

 

 得たいの知れない淫具に怯えてしまい、宝玄仙は懸命に輪廻に質問を繰り返した。

 しかし、輪廻は無視している。

 

「それにしても、凄い濡らし方よねえ……。お前も相当の淫乱よねえ……。淫乱な家畜……」

 

 

 輪廻の持った張形が宝玄仙の股間をなぞりあげてくる。

 

「ふわっ」

 

 鼻を鳴らして声をあげた宝玄仙は、痒みでただれている股間を張形の先で擦られる甘美感に腰を振って反応してしまった。

 そして、張形に痒い部分を擦りつけるように腰を動かす。

 

「あらあら、もう腰を振って悦んでいるの? 淫乱な雌ねえ……」

 

 輪廻が笑いながら、さらに張形を宝玄仙の股間に押しつけてくる。

 さっきの短い方の張形から出ている小枝の部分が宝玄仙の肉芽に押し当たった。

 それがぐりぐりと動いて刺激される。

 

「ああ、あんっ──」

 

「可愛らしい声──。あんたにそんな娘のような声は似合わないわ」

 

 輪廻が嘲笑するような声をあげた。

 しかし、そんなことはいまの宝玄仙にはどうでもいい……。

 熟れきった肉芽に伝わる刺激から全身に走る快美感が怒涛のような衝撃となって五体を貫く。

 

 堪らない──。

 小枝の当たる肉芽に伝わる刺激をもっと強くしようとして、さっきよりも激しく腰を動かす。

 

「まるで動物ね……。挿して欲しい?」

 

 すると張形がすっと離れていく。

 宝玄仙は悲鳴をあげた。

 

「ま、待って──。挿して──。い、意地悪しないで挿しておくれよ──」

 

 宝玄仙は絶叫した。

 

「おいおい、輪廻──。お前、本当に女陰にも挿すつもりか? こいつの股間には魔法柱が奥に入っておるのじゃぞ」

 

 蝦蟇婆の嗜めるような声が聞こえた。

 

「大丈夫よ。それを考慮して、前の穴に入る部分の張形は短いものに調整したから……。魔法柱には届かないわよ」

 

「そんなことを言うとるんじゃないわい──。女陰から直接刺激を加えれば、あいつがうるさいぞ──。間違いなく、いま培養させている魔法石は無駄になるがのう……」

 

「それはあんたに頼むわ、蝦蟇婆……。寧坊は、あんたの管轄でしょう」

「ふ、ふざけるな、輪廻──。お前が──」

「いいから、いいから……」

 輪廻が笑った。

「だって、これを前の穴にも入れて欲しいわよね、宝?」

 

 今度はふたつの張形の先端が女陰と肛門の両方に突き当たった。

 

「い、入れて──。入れておくれ──。お、お願いだよ」

 

 宝玄仙はもう一刻の猶予も耐えられずに、懸命に腰を突き出してふたつの穴を張形に擦りつける。

 張形からはぬるぬるという感触があった。

 

「さっき、蝦蟇婆が言っていたわよねえ、宝……。あれをもう一度叫んでごらん」

 

「あれ?」

 

 宝玄仙は一瞬なんのことかわからなかった。

 

「お前はなんだということよ」

 

 自分は家畜だと叫べと命じられているのだということがわかった。

 張形がすっとまた離れる──。

 

 宝玄仙は戦慄した。

 心の底から望んでいたものが取りあげられる。

 

「わ、わたしは家畜だよ」

 

 宝玄仙は逃げていく張形を腰で追いながら叫んだ。

 すると張形がぴたりととまった。

 腰を後ろにやった宝玄仙の股間に再び張形の先端が触れる。

 

「もう一度よ、宝」

 

「わ、わたしは家畜──」

 

「もう一度」

 

「か、家畜だよ──。わたしは家畜――」

 

 すると、張形がほんの少し押し入ってきた……。

 宝玄仙が家畜と叫ぶたびに少しずつ、ふたつの張形が宝玄仙の女陰と肛門に侵入してくるのだ。

 

「叫び続けるのよ……。やめれば抜くわ」

 

「わたしは家畜――」

 

 宝玄仙は悲鳴のような声をあげた。

 

「もっと続けなさい──」

 

 輪廻が進ませる張形の侵入はほんの少しずつだ。

 宝玄仙が自ら腰を動かして深く挿そうとしても、輪廻の片手が宝玄仙の腰を押さえて邪魔をしている。

 宝玄仙は怖ろしい痒みを癒してくれる張形を挿してもらえるには、家畜だと叫び続けるしかないということがわかってきた。

 

「わ、わたしは家畜──。わたしは家畜──」

 

 懸命に叫んだ。

 

「心に訴えるものがないわねえ……。声も小さいし──」

 

 張形を推し進めていた輪廻の手が停止した。

 まだ、ほんのちょっぴりふたつの穴に食い込んだだけだ。

 与えられそうで与えられない刺激に宝玄仙のやるせなさが暴発するようだった。

 

「ああ、そんなあ……。か、家畜――。わたしは家畜だよ──。家畜――、家畜だよおお」

 

 宝玄仙は絶叫した。

 それこそ、心の底から思いを曝け出すような思いで叫んだ。

 

「ほう……、なかなか……」

 

 壁際の蝦蟇婆の感嘆したような声がした。

 

「続けるのよ、宝──。今度、同じことを言わせると、これは中止よ」

 

 輪廻が冷たく言った。

 宝玄仙は今更、これが取りあげることに恐怖した。

 待ちに待ったものは、ほんの少しのところまでやってきている。

 これ以上の焦らしには耐えられない。

 

「わ、わたしは家畜──。家畜でいい──。家畜で──」

 

 宝玄仙は感極まって叫んだ。

 自分の瞼からぼろぼろと涙が出るのがわかった。

 

「ほらほら、やめていいの? もっとよ。心を込めるのよ」

 

「家畜……あっ、あああっ──。か、家畜うううう」

 

 輪廻の手が再び張形を推し進めてくる。

 最初に女陰に食い込んだ。

 次いで、肛門に深く挿さってくる。

 全身を激しい興奮が襲う。

 それがふたつの張形が深く押し進むにつれて、愉悦が膨れあがる。

 

 気持ちいい──。

 張形が押し進む……。

 痒みという痒みを消しながら、女陰と肛門の奥に二頭の張形が入っていく……。

 

「しっかり入ったね、家畜?」

 

「あ、ああ──」

 

「じゃあ、そのままよ。落とすんじゃないのよ」

 

 輪廻が言った。

 そして、張形から手を離したのがわかった。

 

「そ、そんな……。ま、まだ……」

 

 確かにしっかりとふたつの張形が宝玄仙のふたつの穴に深く入った。

 しかし、まだ入っただけだ。

 押し進むときに味わった掻痒感の喪失は、張形が奥深くまで侵入することで停止した。

 その結果、再び股間から気の狂いそうな掻痒感が襲う。

 張形を抽送してもらわなければ、痒みが癒えないのだ。

 

 それをしてくれるのは、背後にいる輪廻だけだ。

 輪廻の機嫌を損ねたら、もう宝玄仙の苦しみを消してくれる者はいない……。

 そう思うと、輪廻に縋るような気持ちが心を支配する。

 

「ところで、いま、お前が挿している張形がどういうものかわかるかい?」

 

 輪廻が不意に言った。

 

「えっ?」

 

「それは蝦蟇婆が塗った痒み剤を固めて作った張形よ……。そんなものをいつまでも股間で咥えていると信じられないくらいに、穴が痒みでただれてくるよ──」

 

 輪廻が大笑いした。

 宝玄仙はびっくりした。

 

 痒みを癒してくれると思っていた淫具が、実は、さらに痒みで宝玄仙を苦しめるための材料だったのだ。

 宝玄仙はそのことに愕然とした。

 

「な、なんてことを……。ち、畜生──」

 

 宝玄仙は腰を震わせて喚いた。

 

「あっ、そう……。じゃあ、気に喰わないなら抜くわ」

 

 輪廻が張形を抜くために手を伸ばしたのがわかった。

 

「だ、駄目だよ──。ぬ、抜かないで──」

 

 宝玄仙は慌てて腰を後ろにさげるとともに、ふたつの穴で張形を締めあげた。

 

「だったら、そのままでいいのね、宝? いいの? 痒みで気が狂うわよ──。こんなもので擦れば、痒みの成分が溶けて、お前の身体に沁み込むわよ。いいの?」

 

 輪廻が張形から手を離す。

 

「くうっ」

 

 宝玄仙は呻いた。

 張形を抜かれて痒みを癒す手段を奪われるのは絶対に受け入れるわけにはいかない。

 そうかといって、このただれるようになっている状態の股間に、さらに痒み剤を足されるような行為に耐えられるとは思わない。

 どうしていいかわからずに、宝玄仙は呻きのような声をあげ続けた。

 

「わし以上に陰湿じゃのう……」

 

 蝦蟇婆の呆れたような声が聞こえた。

 

「思い出すのよ、宝……。考えるんじゃないのよ。お前はなんなの?」

 

 輪廻が言った。

 

「か、家畜……」

 

 その言葉が勝手に口からこぼれた。

 

「そうよ……。お前は家畜よ。だから、考えるんじゃないのよ。ただ、自分は家畜と呟きながら、わたしたちになにもかも委ねればいいのよ。どうするか、考えるのはやめるのよ……。さあ、どうするの。これを抜くの? 抜かないの?」

 

 輪廻が張形の先をほんの少し動かした。

 

「あふううっ」

 

 襲ってきた甘美な刺激に宝玄仙は身体を激しく動かした。

 しかし、輪廻はそれだけで張形から手を離してしまう。

 そして、手が離れて刺激が終わると、耐えられない痒みが襲いかかる。

 しかも、咥えさせられている張形の表面から新しい痒み成分が溶け出しているのがわかる。

 宝玄仙の身体の熱で痒み剤で固めた張形の表面が溶け出しているのだ。

 

「抜くの? 抜かないの? どっち、宝?」

 

「わたしは家畜です……。わ、わからない……。も、もう許して……」

 

 それしか口から出てこなかった。

 張形を抜かれることには耐えられない。

 しかし、この張形を挿したままで、終わらない痒み責めを受け続けるのも受け入れられない……。

 もう、宝玄仙にはどうすればいいのかわからなかった。

 

「そうよ……。それが答えよ、宝」

 

 輪廻が優しげな口調で言った。

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