「は、早く動かしておくれ……」
宝玄仙は必死の思いでふたつの穴に挿し入れられた張形を締めあげていた。
「うるさいわねえ……。いつ動かそうが、動かすまいが、わたしたちの勝手でしょう──。家畜と認めたお前の知ったことじゃないわね。それよりも、勝手に腰を動かすんじゃないわよ、宝──。もしも、盆の上の茶を落としたりしたら、ただの折檻じゃすまないわよ。それこそ、いま挿している張形を入れっぱなしにして尻穴を塞いで、二、三日放っておくわ」
「くうっ」
宝玄仙は無意識のうちに動きそうになる腰を必死で静止させる。
「言っておくが、宝──。こいつは、なかなかに残酷な女ぞ。うわべは穏やかそうじゃが、残酷なことにかけてはわしを遥かに凌ぐぞ。この城郭にやって来る前も、実験のためとか称して、ひそかに買い取った人間族の奴隷の少女の脳味噌を猿の脳味噌と入れ替えたりしたのじゃぞ。それも自分の愉しみのためにのう──。気の毒に、猿はあっという間に自殺してしもうたわい」
「愉しみのために殺したというのは、聞こえが悪いわねえ。蝦蟇婆……。純粋な医術の発展のための実験よ──。それに違うわよ。自殺したのは猿じゃなくて、人間族の少女の方よ。猿の頭に入っていたのが人間族のあの娘の脳なんだから、自殺したのはその娘というべきよ。猿の脳味噌の入った娘の身体の方は自殺なんてしなかったわ」
輪廻も笑って応じた。
そんなふたりの会話を耳にしながら、宝玄仙はしっかりと咥えこんだ二頭の張形を痒みでただれた前後の穴の粘膜で締めあげていた。
だが、ややもすると思わず腰を動かしてしまいそうになる。
宝玄仙は、痒みの疼きにじっと耐えながら、このふたりの茶飲み休憩が終わるのを待った。
宝玄仙が身動きできないのは、このふたりに強いられている嫌がらせのためだ。
つまりは、宝玄仙の四つん這いの背中には、丸い盆が載せられていて、その上に輪廻と蝦蟇婆の飲んでいる茶の器と茶瓶が載せてあるのだ。
いつもの四つん這いの状態だと前肢の部分が短すぎて背中が平らにならないので、前肢の部分は後ろ脚と長さが合うように小さな台に乗せられている。
そうやって背中が平らになるように調整してから、ふたりは宝玄仙の身体を卓替わりにして背中に盆を載せて、両側に椅子を運んできて、白痴兄弟に準備させた茶を飲みだしたのだ。
本格的に宝玄仙を責める前の休息ということだった。
しかし、狂うような痒み責めで苦しめられている宝玄仙には堪らない。
掻痒感を癒そうと少しでも身体を動かそうものなら、ただ置かれているだけの茶瓶と茶器はあっという間に宝玄仙の背中から滑り落ちるだろう。
そんなことをすれば、この冷酷なふたりが今度はどんな仕打ちを始めるかわからない。
「動くんじゃないと言っているじゃないの、宝──。じっとしているのよ。わたしたちの休憩が終われば、痒みを癒してやると言っているんだから我慢しなさい」
輪廻が強い調子で言った。
耐えているつもりでも、どうしても宝玄仙の身体は股間に咥えた張形を締めつけて、かすかに腰を動かしているようだ。
宝玄仙は、あまりの痒みに意識まで失いそうになる苦しみに耐えて、懸命に意識を保持して身体の震えを止めようとした。
だが、少しでも気を緩めると腰は無意識のうちに動く。
それは背中の上でかたかたと茶瓶や茶器が揺れて音をたてるからわかる。
そのたびに宝玄仙は、背中の上の盆を落とさないように、全神経を股間に集中しなければならなかった。
「そう言えば、あの猿の脳味噌を入れた人間族の娘には、せんずりを教えたのじゃったのう……。獅駝嶺の魔王宮の庭で狂ったようにせんずりをしているあの娘の姿はわしもよく覚えておるわい。あれは、ほんとうに寝る間も惜しんで自慰に耽っておったものなあ」
蝦蟇婆が思い出すように言った。
その気楽そうな会話は、痒みで苦しむ宝玄仙に対する嫌がらせのために意図的にやっているとしか思えない。
このふたりは、さっきからこうやって、宝玄仙を卓にしたまま、取り留めのない話を飽きずにずっと続けている。
「ああ、あれね……。あれは、ちょっとした賭けをしたのよ。猿にせんずりを教えたら死ぬまでやるんじゃないかって言ってね──。そうしたら、本当に身体が弱って動かなくなるまで続けたもんだったわ──。それから、蝦蟇婆、また間違ったわよ。人間の娘に入ったのは猿の脳味噌なんだから、“猿の腦を入れた人間族の娘”ではなくて、“人間族の娘の身体に入れた猿”と呼ぶべきなのよ。そして、自殺した方は、“猿の身体に入れた人間族の娘”ね」
「なんでもいいわい──。それで、わしは最後までは見届けなんだが、本当に死ぬまでその猿はせんずりをしたのか、輪廻?」
「死ぬまでとはいなかったけど、動けなくなるまでは続けたわね。わたしとその賭けをしたのは、あの春秋姉妹よ。彼女たちは、なまじ知識があるだけに、猿に自慰を教えれば、死ぬまで自慰を続けるというのは噂にすぎないというのよ。なにしろ、畜生でも高等猿の一部には自慰をする種もいるからね。だから、命の危険が及ぶほどに続けるはずはないというのよ」
「なんじゃそれは?」
蝦蟇婆が呆れた声を出している。
「だけど、賭けはわたしの勝ち……。わたしが賭けた通りに、人間の娘の身体に入った猿は、自慰を教えたら狂ったようにいつまでも続けたわ。それこそ、死ぬまでといってもいいくらいにね──。ああ、おかしい」
輪廻は大笑いした。
宝玄仙はじっと耐えていた。
このあいだにも、張形に浸食された股からはとめどのない蜜が流れ出ているのがわかる。
それはたぎりきった欲情のためかもしれないし、気の遠くなるほどの掻痒感のせいかもしれない。
いずれにしても、全身が悶々として狂いそうだ。
心も身体もばらばらになり、家畜として相応しい人格に塗りかえられていくような心地さえした。
なにもかも振るい捨てて暴れ回りたい。歯を喰いしばっている口を開いて、いまいましいこいつらの喉笛に噛みついてやりたい……。
沸騰する怒りと屈辱に宝玄仙は耐えた。
いくらそうしたいと思ったところで、たちまちに押さえつけられて、さらに酷い仕打ちをされるということはわかっているからだ。
「ああ、そう言えば、それはわしも耳にしたことがあるぞ──。猿の仲間でもせんずりをして心を落ち着ける種はおるそうじゃないかい。自慰は亜人族や人間族だけの専売ではないのじゃろう?」
「そうだけど、人間族の女の快感と猿が性交で抱く快感は比べものにならないのよ。特に、人間族の女の快感は、この世に生きるどの生物よりも快感が高いのよ……。猿としての快感しか知らなかった猿の雌が、人間族の女の快感を味わえば、それは抜け出すことのできない中毒に陥るわ。それくらい快感が強いのよ」
「なるほどのう……。それで、あの春秋姉妹に賭けでお前が勝ったということか……。そういえば、そのときは、なにを賭けたのじゃ?」
「負けた方が、三日間相手の性奴隷になるということよ。きっちり三日間、あのふたりを躾けてやったわ──。普段、調教師として性奴隷を調教する役目のふたりを奴隷として調教するのは愉しい経験だったわ。あれは本当に面白かったわあ……。ちょ、ちょっと、揺らさないでと言っているじゃないのよ、宝──」
輪廻が茶を置きながら、一転して強い口調になって怒鳴った。
宝玄仙はまた耐えられなくて、腰を強く動かしてしまったようだ。
「わ、わかっているよ……」
宝玄仙は歯ぎしりしながら呻いた。
痒い……。
痒くて身体がばらばらになる。
こんなこともう一瞬も耐えられない……。
だが、いつまでこうやって苦痛に耐えて静止していればいいのだろう。
宝玄仙は歯ぎしりした。
「なに?
蝦蟇婆がびっくりしたような声をあげた。
「もちろん、陛下もご承知よ。三日目なんて、陛下と一緒になって、あの姉妹をいたぶったんだもの──。あんたも来たかった、蝦蟇婆?」
「そうじゃな。ただで参加できるならのう……。だが、お前らの狂った賭けに参加すると、この年寄りまで嗜虐の相手にしかねんからやめるわい」
「冗談じゃないわよ──。いくらんなんでも、あんたみたいな枯れた女を相手にはしないわよ──。勘忍してよ」
輪廻が笑い転げる声がした。
どうやらからかわれたのだということに気がついたらしい蝦蟇婆の不満そうな呻き声もした。
それを輪廻の高笑いがかき消していく。
「ねえ、宝、そろそろ腰を使いたいかい……?」
やがて、ひとしきり笑った輪廻が、ゆっくりとした口調で言った。
「つ、使いたい……。も、もう、我慢できないんだよ……」
やっと声をかけてもらえた宝玄仙は必死になって言った。
「さっきも言ったけど、お前の股間のふたつの穴を埋めている性具を使ったりしたら、痒み剤の成分が溶けて、もっと恐ろしいほどの痒みが襲うわよ。それでもいいの?」
「か、構わないよ……。このままじゃあ、狂いそうなんだよ。お、お願いだよ──。股間を癒しておくれよ──。こんなに苛めれば気がすんだろう──。た、頼むから──」
宝玄仙は一生懸命に訴えた。
股間にいれられている張形は、怖ろしい痒み剤を固形化して、二頭の張形のかたちにしたものであり、そんなもので股間を弄られれば、いまよりもさらに苦しい痒みが襲ってくることはわかっている。
だが、それよりも、いまこの瞬間にも襲い続けている痒みを癒したい。
痒みの苦しみは切羽詰ったものになって、宝玄仙を苦しめている。
「いいわよ……。その代わり、壁際に立っている一鉄と二鉄にも茶をご馳走してあげてよ、宝……。知っているとおり、彼らは女の母乳が大好きなの。このふたりがあんたの乳を絞るから、じっとして耐えるのよ。もちろん、わたしたちが飲んでいる背中の茶器も落とさないようにね。耐えきったら、好きなだけ股間を弄ってあげるわ」
輪廻が事もなげに言った。
宝玄仙は驚愕した。
宝玄仙の乳房は、いまや怖ろしいほどの感度にあげられているだけではなく、母乳が出る瞬間に途方もない快感か激痛のいずれかが身体を襲うようにされている。
そんな身体で母乳を出させられて、しかも、背中に載せた盆を動かさないように静止したままでいられるわけがない。
宝玄仙は抗議の悲鳴をあげた。
「おいで、一鉄と二鉄、ふたりにもお茶のお裾わけよ。棚から新しい茶器を持ってきて、それぞれ、宝の乳から母乳を絞りなさい。好きなだけ飲んでいいわ」
輪廻が壁際に待機をしていた白痴兄弟に声をかけた。
「おっぱい、おちち──」
「おちち──」
白痴兄弟が嬉しそうに動き出すのが気配からわかった。
宝玄仙は絶望の呻き声をあげた。
「おちち──」
「おちち──」
すぐに白痴兄弟はやってきた。
そして、四つん這いになっている宝玄仙の両横にそれぞれにしゃがみ込み、床に向かって垂れている宝玄仙の両側の乳房に手を伸ばしてきた。
「うがっ?」
どちらかが許しを乞うような口調で唸った。
「よいわ──。始めい──」
蝦蟇婆が言った。
すぐにふたりによる乳搾りが始まった。
前肢側を少し高い台に乗せていることで、豊乳化された宝玄仙の乳房は少し浮いている状態だった。
ふたりが床に茶器を置き、片手で乳首を絞りはじめる。
「ひいいっ──」
両方の乳首から込みあがった快感とも苦痛ともいえない刺激に宝玄仙は思わず身体を動かした。
「おっと、危ないわい──。茶瓶が落ちるわ──」
背中で明らかに茶瓶が揺れるのが宝玄仙にもわかった。
ひっくり返りそうになった茶瓶を蝦蟇婆が押さえたようだ。
宝玄仙は必死に身体の動きをとめる。
「これが最後の苦役よ、宝──。これが終われば、後は気持ちのいいことしかしないわ。約束するから耐えるのよ」
輪廻が再び茶をすすりながら言って、その茶器を宝玄仙の背中の盆に載せ直したのがわかった。
宝玄仙は必死になって唇を強く噛んだ。
しかし、その口から獣の唸り声のような音が洩れる。
一鉄と二鉄のふたりが避けることのできない宝玄仙の乳房を無遠慮に絞り揉む。
乳房を揉まれることで、快美感の塊りが全身に弾け飛ぶ。
気持ちがいい──。
全身が溶ける──。
「あ、ふうっ──」
一鉄と二鉄は両側から宝玄仙の乳房をぐにゃぐにゃと揉み続ける。
あまりの快感で四肢の感覚が消失していく。
しかし、耐えなければ……。
しかも、動いてはならない……。
噴きあがる果てしない愉悦に宝玄仙はのたうち回りたい衝動を懸命に抑えた。
だが、全身を横溢する愉悦は強力だ。
「ああっ──。ゆ、許して──」
宝玄仙は思わず甲高い声をあげた。
驚くほどの強さでなにかが乳房全体から乳首に向かっていく……。
耐えろ──。
宝玄仙は自分自身に言い聞かす──。
切羽詰った息遣いとともに、宝玄仙は短い手脚を懸命に踏ん張った。
やって来た──。
乳房全体が性器になったような感覚が襲い、途方もない絶頂感が宝玄仙を襲った。
「はあああっ──」
甘くて解放的な絶頂──。
同時に乳首の先からまとまった量の母乳が音を立てて噴出するのもわかった。
「あがああっ──」
続いて激痛──。
予期していた宝玄仙は背中を仰け反らして耐えた。
まったく盆を動かさないのは無理だったが、それでもなんとか盆を振り落さない程度には身体の動きを耐えることができた。
すぐに、乳房で味わった快感はあっという間に消失して、再び欲情の疼きが全身を襲い直す。そういうように身体の施術を受けているのだ。
いずれにしても、なんとか耐えることができたとわかった宝玄仙はほっとして全身の力を抜いた。
「ほっとしている暇はないわよ、宝。まだまだ、四分の一もふたりの器には、母乳が溜まっていないわ。もっとご馳走してあげてよ……。さあ、続けて乳を絞るのよ、一鉄、二鉄」
輪廻が言った。
「うがっ」
「があっ──」
一鉄と二鉄が嬉しそうに再び宝玄仙の乳房を絞り始めた。
「ああ、そ、そんなに耐えられないよ、輪廻──」
一度で終わりではないのだ……。
宝玄仙は愕然とした。
「耐えるのよ──。あんたがやることはそれだけよ──。耐えられなければ、痒み棒を入れて尻穴を塞いでしまうわ、宝──。わたしは、嘘や脅しは言わないわ。やると言ったらやる。それが嫌なら、死んでも耐えなさい」
輪廻が笑った。
白痴兄弟の乳搾りの妖しい刺激が再び切羽詰ったものに変わってきた。
宝玄仙は自分が泣き出すのがはっきりとわかった。
*
絶頂の末に、どうやら意識を朦朧とさせてしまったようだ。
「しっかりせんかい──」
宝玄仙の頬が平手で思い切り張られた。
「い、痛いよ──」
はっとして宝玄仙は蝦蟇婆を睨みつけた。
その瞬間に息がとまった。
「あぐっ、があっ……がっ……」
しまった──。
亜人を見たために呪術が……。
もがき始めた宝玄仙を蝦蟇婆が見下ろしている。
「お前、馬鹿かい──。いつまで同じことを繰り返す気じゃ──」
蝦蟇婆が苦笑している声がする。
しかし、宝玄仙はそれどころではない。
この絶息は確実に宝玄仙の意識が消えそうになるまで続く。
何度も味わっているので、本当に窒息死するまでは続かないことはわかっているが、しっかりと死の恐怖を味わうくらいまでは続くのだ。
呼吸が復活するまでの時間が決まっているわけではない。
宝玄仙が死の恐怖を心で味わうまで続くということになっているようだ。
だから、その恐怖は確実に宝玄仙の心に焼きつけられる。
宝玄仙は短い手脚の身体で床を転げまわった。
しかし、いくら暴れても息を吸うことはできない。
やがて、暴れることもできなくなり、全身が弛緩して痙攣が走る……。
意識はどんよりとして、苦しみのようなものがすっと消えていく……。
その途端に息ができるのだ。
宝玄仙は声をあげて、盛大な呼吸をした。
あのまま、意図的に息をさらに一瞬止め続けていれば、少なくとも気を失うことができて、この拷問のような痒み責めから解放してもらうことができるのかもしれない。
しかし、自ら息をとめて気絶することなど不可能だ。
生きようとする人間の本能がそれを邪魔する。
従って、宝玄仙の苦役もまだまだ続くということだ。
「ほら、姿勢をとり直さんか──。輪廻だけではなく、わしもお前の尻や女陰をいたぶってやっておるのじゃ。休むことなく、いきまくらんか──」
「そうよ、宝──。青獅子陛下の子飼いの調教師がふたり揃って、お前の相手をしてやっているのよ。こんな幸せはないはずだから、しっかりと味わいなさい」
蝦蟇婆の声に続いて、輪廻の声もした。
亜人の顔を見ると呼吸がとまる道術の怖さを思い出して、宝玄仙は慌てて再び部屋の真ん中で四つん這いの姿勢になる。
ふたりが宝玄仙の背後に回ったのがわかった。
「ほら、また始めるわ……」
前肢が短いために極端に腰が高くあがっている不均等な四つん這いになると、まずは輪廻が女陰と肛門に挿し入れた二頭の張形を掴んで抽送を再開する。
「ほおっ──はあっ──」
抽送と同時に燃えあがる愉悦の悦びに、宝玄仙の身体は激しい反応を示しだした。
「みっともなく腰を動かすんじゃないわ、家畜──。少しでも自尊心が残っておるなら、多少は我慢せんかい」
蝦蟇婆は嘲笑しながら、さっきと同じように、すでに二頭張形の片方が挿入されている肛門にさらに別の張形横から挿し入れてきた。
二頭張形が痒み剤を固めて作った責め具であれば、蝦蟇婆が持っているのも、まったく同じ痒み剤を固めて作った張形だ。
責めれば責めるほど、痒みが拡がって苦しみが増すだけのその二本の張形で、宝玄仙は責められ続けているのだ。
どんなに嘲笑されようと、馬鹿にされようと、自制することなど不可能だ。
宝玄仙はふたりの抽送する張形の動きに合わせて、淫らに腰を動かして、快楽をむさぼっていた。
この責めが始まったのは、もう一刻(約一時間)も前だと思う。
その前は痒み剤を局部に塗られたまま、嫌がらせのように背中に盆を乗せられて、輪廻と蝦蟇婆がそこに茶を置いて、休憩するための卓をさせられた。
そして、最後には、その姿勢のまま白痴兄弟の左右からの乳搾りだ。
しかも、背中に茶瓶が載っていて、ほんの少しも身動きを許されない状態で、母乳絞りに耐えて身体を静止したままでいることを強要されたのだ。
宝玄仙の乳房はいまやふたつの西瓜のような大きさであり、しかも、肉芽と同じくらいに鋭敏にされている。
その乳房を揉まれると、まるで性器を刺激されたかのように軽い絶頂の快感が襲うのだが、それと同時に、激しい愉悦と怖ろしい激痛までもが交互に加わるのだ。
そんな仕打ちを背中の茶瓶を落とすことなく耐えろと命じられたのだ。
だが、宝玄仙は耐えた。
それは宝玄仙の最後の自尊心のようなものだった。
このふたりに泣き叫びながら屈服の言葉を吐いたとしても、どこかで抵抗の姿勢を示したかった。
それが、絶対に耐えることなどできないと連中が考えたであろう、その苦役に耐えることだった。
結局、背中の盆をひっくり返すことなく、白痴兄弟の乳搾りを受けきった宝玄仙に、輪廻も蝦蟇婆も驚愕していた様子だった。
その瞬間だけ、宝玄仙の溜飲も少し下がった。
しかし、すぐに新たな責めが始まった。
今度の責めは、ただ快感を受けるだけの責めだ。
女陰と肛門に挿し入れられた二頭張形を輪廻が荒々しく出し入れし始めたのだ。
すると、もう、やけくそだと言いながら、蝦蟇婆までもが新しい張形を取り出して、宝玄仙の尻を責めだした。
蝦蟇婆の張形もまた、輪廻が準備した二頭張形と同じで、擦れば擦るほど、その部分に痒み剤が溶け出して、痒みが増大するという張形だった。
今度命じられたのは、その責めを倒れることなく、果てしなく受け続けろということだった。
ふたりがかりの責めに、宝玄仙はあっという間に四回ほどの絶頂をした。
尻を二本の張形で責められるだけではない。
輪廻の持っている張形は女陰と肉芽も同時に責めている。
数刻にも及ぶ焦らし責めの挙句のふたりがかりのこの激しい責めに、宝玄仙の身体はすでに歯止めのない絶頂人形のようになっていた。
特に、輪廻が引くときに蝦蟇婆が張形を押す。
あるいは、蝦蟇婆が張形を引くのに合わせて輪廻が二頭張形を挿すという責めに宝玄仙は我を忘れた。
尻から張形が出ていく快感と挿される快感を同時に味わう衝撃は、五体が爆発すると思ったくらいの衝撃だった。
がくがくと絶頂して果て、それが終わらないうちに、二度目の絶頂が来る。
そして、すぐに三度目の絶頂──。
三度目までは耐えたが、四回目は耐えられなかった。
昇天とともに宝玄仙は態勢を崩したようだったが、その頬を思い切り蝦蟇婆に張られたのだ。
かっとして蝦蟇婆に怒鳴り返した宝玄仙を呼吸停止の道術が襲った。
そして、たっぷりと呼吸が停止する道術を苦しみを味わった宝玄仙は、責めの再開の指示に、また元の四つん這いの姿勢を取り直したのだ。
「い、いくよ、いくっ、いくっ──。ま、また、いく、ああ……ふううっ──」
全身を弾ませて五度目の絶頂をした。
「淫乱な家畜に相応しいみっともないいきっぷりじゃ」
蝦蟇婆が笑った。
だが、絶頂の余韻に浸ることはできない。
絶頂の快感が拡がると同時に、宝玄仙の身体には新しい痒みが湧き起こっている。
それを消すために、また腰を動かして刺激を求めてしまうのだ。
そして、次の快感がやってくる。
それは終わりのない快感地獄の世界だった……。
「一鉄と二鉄も加われ──。左右からこの家畜の乳房を絞れ──。容赦なくいくぞ──」
蝦蟇婆の声がした。
白痴の兄妹が歓声をあげて、宝玄仙の身体に取りつく。
左右から白痴兄弟の乳房責め、背後からは輪廻と蝦蟇婆の張形責め──。
それでも全身の痒みは癒せない。
責められ続けているあいだは、それを忘れられるが、少しでも止められると気の狂うような痒みが宝玄仙を襲う。
だから、宝玄仙はこの容赦のない快楽責めを無我夢中で受け続けるしかない。
それこそ、この呼吸が止まるまで……。
「も、もっとして──もっとして──」
宝玄仙は泣き叫んでいた。
この快楽を止められるのが怖い──。
「当たり前じゃ──。こうなったら、お前の頭がおかしくなるまで責め続けてやるわい──」
「そうね、宝──。早く、気が狂ってみせて──。わたしも、実のところ快楽責めで気が狂うまでいった女というのを見たことがないからね……。だって、普通はその前に気を失ってしまうか、発狂を防ぐために相手に屈服して快楽を受けつけてしまうかでしょう──」
「相変わらずの変態女医だのう」
「ははは、なんとでも言ってよ──。とにかく、いまの宝は、失神はできないし、屈服もできない。だから、心のどこかで抵抗しながら、この受け入れたくない快楽を受け入れらるだけ──。多分、どこかで、頭の線が突然切れると思うのよね──。でも、それでもいいじゃない。家畜になるなら、なまじ正気でいることは苦痛よ。気が触れてこそ、その先に家畜としての幸せがあると思うわ──。さあ、狂ってしまいなさい、宝──」
輪廻が耳元でささやきながら、さらに激しく二頭張形で宝玄仙の股間を責めたてた。
蝦蟇婆の張形もさらに刺激を拡大するように動く。
そして、乳房が燃える。
なにかが飛び出す。
「もっと──もっとしたい──。く、狂う──狂わせておくれ──ほうっ、ほおおおっ──」
また激しい絶頂に襲われた宝玄仙は、狂った雌獣のような声をあげて昇天した。
一度では終わらない。さらに続けざまに二度、三度と絶頂が繰り返す。
絶頂をしている最中に、次の絶頂の波が激しい痒みの疼きと一体となって襲ってくるのだ。
死ぬ──。
狂う──。
絶頂のあいだもふたりの張形の抽送は続いているし、乳房の愛撫は継続している。
激しい快感も激痛もいまの宝玄仙には同じだ。
もはや、痛みと快楽の区別もできない。
ただ、全身を砕けさせるような衝撃を受け入れるだけだ。
「い、いくうっ──」
また新しい欲情の頂点がやってきた──。
同時にさらに怖ろしい痒みも、その後ろからやってきているのがはっきりとわかる。
「ほほほ、狂いなさい。雌畜に当たり前の快感は許されないわ。許されるのは発狂と引き換えの快感だけよ」
輪廻が宝玄仙への愛撫を続けながら狂ったように笑う。
本当に発狂の恐怖を感じながら、宝玄仙はまだ繰り返す愉悦と痒みの苦痛を獣のような悲鳴をあげながら味わっていた。
(第77話『雌畜調教』終わり、第78話『百合雌畜』に続く)