「や、や、やめ、やめて、お、おくれ……、ヒッ、ヒッ、ヒックション──あぎぃっ、な、なんてことを──惨い、惨いじゃないかい──き、気が狂う──」
こよりで鼻の穴をくすぐられる刺激に、宝玄仙は激しく身体を震わせてくしゃみをした。
すると天井から吊り上げられている鼻輪が揺れて、頭の中に刃物を刺し込まれたような激痛が走る。
同時に、床の金具に繋がれている肉芽の根元を縛った糸からも衝撃を受けた。
鼻と肉芽を襲う恐怖の痛みに、宝玄仙は恥も外聞もなく悲鳴をあげた。
「おうおう、鼻汁をまた垂らしおったな。鼻汁をこうまで垂らしたみっともない顔になると、人間族の美女も見る影もないのう──。これは醜いわい──。その顔を檻車の外の連中にも見せてやりたいのう……。こうやって、わしだけで眺めるのは勿体ないわ。ほらほら、もう一度くしゃみせい──」
無惨に拡げられた鼻の穴に、新たなこよりが入ってきた。
また、くしゃみが出そうだ……。
宝玄仙は、あまりの苦しさに涙がぼろぼろと流れ落ちるのを感じた。
そもそも、いったい何本こよりがあるのだ──。
さっき、ちらりと視界に映ったとき、蝦蟇婆は百本以上もこよりを準備していたようだったが、まさかそれを全部使いきるまで続けるつもりだろうか……。
執拗な蝦蟇婆の鼻の穴責めの真っ最中である。
つまりは、宝玄仙は、この蝦蟇婆から拘束をされて絶え間のないくしゃみを強要されているという状況だ。
しかも、くしゃみをすれば身体が揺れて、糸吊りされている鼻と、床に引っ張られている肉芽に凄まじい痛みが加わる状態にされているのだ。
手足を切断されて短い四肢の宝玄仙は、天井が光っている窓のない檻車の中で、もう数日間、こうやって蝦蟇婆とふたりきりですごしていた。
この間、蝦蟇婆は退屈凌ぎだと称しては、例の匂いで宝玄仙か宝玉を呼び出しては、さまざまな嫌がらせの調教を続けていた。
いまやられている調教は鼻責めだ。
宝玄仙は、四つん這いの肉芽の根元を糸で縛られ、その糸の先端を床の金具にくくりつけられ、そうやって股間が床から離れられなくされた体勢で、さらに鼻の鼻輪を限界まで吊りあげられているのだ。
その状態で、宝玄仙は無防備な鼻の穴を繰り返し刺激されて、くしゃみをさせられ続けているというわけだ。
しかも、亜人を見ると呼吸が止まる道術をかけられたままの宝玄仙は、その責めを眼を閉じたまま受けなければならない。
そして、鼻の奥をこよりで刺激されるとどうしてもくしゃみが出る。
連続のくしゃみそのものが苦痛なのだが、いまの宝玄仙は、くしゃみをすれば身体が振動して耐えられない激痛に襲われるという仕掛けである。
それを承知で、蝦蟇婆は抵抗を封じた宝玄仙の鼻に執拗にこよりを突っ込み続けるのだ。
ちょっとでも動けば、鼻と肉芽に火がついたような痛みが駆け抜ける宝玄仙は、あまりにもしつこいそのこより責めの繰り返しに号泣するしかなかった。
しかも、くしゃみとともに鼻から出る鼻水を拭く手段のない宝玄仙は、顔をぐしゃぐしゃにしてこよりの責めを受け続けてもいた。
そのみっともない顔を何度も手鏡で見させられ、宝玄仙はその恥辱にも歯噛みした。
本当にこよりはいったいどれだけあるのか……。
いつ蝦蟇婆は、この鼻責めを終わってくれるのか……。
宝玄仙は、ただのこよりが自分に与える恐ろしい苦痛に涙と鼻水を流し続けた。
「クション──、ひがあああっ」
蝦蟇婆は、もう宝玄仙の鼻の中をどういうように刺激すれば堪えられずにくしゃみが出るか知り抜いている。
宝玄仙は、また呆気なく、鼻汁を噴き出しながらくしゃみをしてしまい、身体の上下からやってきた激痛につんざくような悲鳴をあげた。
「その垂れた鼻汁は、自分の舌で舐めておくがいいわ。次は反対の穴じゃ。こっちも鼻糞が溜まっておるのう。くしゃみで吹き出すといいぞ。鼻糞は残らず舌に擦り付けてやるから、全部食うんじゃぞ……。ひ、ひ、ひ……」
目を閉じている宝玄仙の鼻を責めている蝦蟇婆が、今度はもう片方の鼻にこよりを突っ込んだ。
ずっと右の鼻の穴ばかりを責められていたから、宝玄仙には、それに対する備えがなかった。
「ヘクシッ──。んぎゃああああ、ああ、もう許しておくれよおお」
激痛とともにくしゃみをした宝玄仙は悲鳴をあげた。
自分の鼻から、またまとまった鼻水が飛び出したのもわかった。
「おう──。こっちの穴からも鼻糞が表に出てきたわ。ちょと待て……」
今度は小さな竹挟みのようなものが、宝玄仙の鼻水だらけの鼻に入れられる。
これも、蝦蟇婆の嫌がらせだ。
蝦蟇婆は、鼻輪を吊り上げることで、鼻の穴を拡げさせている宝玄仙の鼻から鼻糞をほじっては、宝玄仙の舌に擦り付けているのだ。
食べなければ、仕置きをすると言われている宝玄仙は、屈辱に震えながら、それに従うしかなかった。
「ほらっ、お前の鼻糞じゃ、宝──。口を開けい──」
「ううう……」
逆らうことは無意味だ。
逆らって口を閉ざせば、さらに惨い目に遭わされるだけだ。
宝玄仙は仕方なく、蝦蟇婆の顔を見ないように口を開けた。
舌になにかが付けられた。
蝦蟇婆が宝玄仙の鼻から取った鼻糞だろう。
塩辛い味が、宝玄仙に痛烈な汚辱感と憤怒を与える。
「食うんじゃ。ついでに、鼻垂れている鼻汁も舌を伸ばして、舐めんか──。まったく……。少しは恥を知らんか。ほら、己の醜い顔を見てみい──」
蝦蟇婆が宝玄仙の顔の前に、また手鏡を出したのがわかった。
道術の力で表面を磨きあげた金属の面を持つ道具だ。
宝玄仙は、ゆっくりと閉じていた目を開けた。
怖い……。
怖いのだ……。
蝦蟇婆を見てしまえば、死の一歩手前まで呼吸がとまる……。
手鏡を目の前に置いているように見せかけて、蝦蟇婆の顔を見せて苦しめるのではないかという恐怖が走るのだ。
果たして、視界には鏡だけがあった。
心の底からほっとする。
これが自分かと疑いたくなるような惨めな自分の顔がそこにあった。
涙と鼻水と涎で汚れている自分の顔だ。吊り上げられている鼻の穴は大きく拡がり、確かに鼻の中の汚物や鼻毛まであからさまになっている。
「ううう……、な、なんで……こんな意地悪を……」
めまいがするほどの屈辱感に、宝玄仙は悲鳴とも号泣ともつかない声をあげて喘ぐしかなかった。
「そんな情けない顔をするでないわ、宝……。だが、気の強いお前がそんな顔するのはいいのう……。どれ、もう、一回、くしゃみするか?」
蝦蟇婆が愉しそうに笑いながら、次のこよりを取り出した気配がした。
慌てて目を閉じる。
そうしなければ、蝦蟇婆の顔を見てしまったことによる窒息責めに、のたうつことになる。
すぐに、左の鼻の穴にこよりが挿さってきた。
こよりが揺れる。
たちまちにくしゃみの欲求が込みあがったが、宝玄仙は身悶えさえも許されない。動けば鼻と肉芽に激痛だ。
進退窮まった宝玄仙は、もう自尊心など吹き飛んでしまい激しい嗚咽の声を洩らした。
「ンギュシュン──。んぎいいいいっ」
そして、無理矢理に出されるくしゃみ──。
また、身体の揺れで鋭い痛みの走った宝玄仙は、悲鳴をあげて泣いた。
そうやって宝玄仙は、揺れる檻車の中で蝦蟇婆の終わらない責めを受け続けた。
「ほれ、もう一回じゃ」
必死に目を閉じている宝玄仙の鼻に容赦なく次のこより……。
くすぐられる……。
くしゃみがでそう……。
「ひぎぃ──。ハックション──はがぁ──。も、もう、や、やめて、おくれ──」
宝玄仙は、ひたすらに蝦蟇婆に哀願を続けた。
もう、耐えられない──。
この苦痛と恥辱を終わらせるには、蝦蟇婆の慈悲にすがるしかないと思った。
しかし、いくら叫んでも、蝦蟇婆は笑って無視するだけだ。
そして、果てしない時間と思えるほどの時間がすぎていった。
やがてのことだ。
「おう、準備したこよりがなくなったのう……」
やっと蝦蟇婆がそう言った。
くしゃみも百回は超えたと思った頃だ。宝玄仙は、心から安堵した。
「……なら、ちょっと待つがいいわ、宝。こんなこよりは、わしの道術でいくらでも作れる。今度は、二百本は準備してやろう」
蝦蟇婆のその言葉に、宝玄仙は愕然となった。
そのときだった。
突然に檻車ががくりと停止したのだ。
「いぎゃああ、いたいいいっ」
四肢を踏ん張ったが、全身が大きく揺れた。
宝玄仙は鼻と肉芽に錐を刺したような激痛を受けた。
「んんっ? なんかあったかのう?」
蝦蟇婆が言った。
気の遠くなるような痛みに耐えながら、宝玄仙も、確かに不自然な停止の仕方だと思った。
これまでは、停止することがあっても、もっとゆっくりと停止していた。
いまの檻車の停まり方は、なにかの異常があって、やむを得ず急制動をかけたような感じだった。
もっとも、景色の見えない檻車では、今はどこを走っていて、時間が一日のいつ頃かすらも、はっきりとはわからない。
ましてや、外でなにが起きたかのかを判断する方法はない。
そのとき、物凄い振動が檻車の壁に伝わった。
今度はさっきの比じゃない。
「痛たあああ」
鼻と股間の激痛に宝玄仙は、また悲鳴をあげた。
そして、また、振動──。
今度はひっくり返るのではないかと錯覚するほどの大きな揺れが襲う。
しかも、騒音とともに揺れ続ける。
なにをやっているのか──。
だが、それどころじゃない──。
鼻がもげる──。
股間が千切れる──。
「ひいいいっ──。い、糸を、は、ひぐぅ──。は、外して──。蝦蟇婆──。お、お願い──、ち、千切れる──」
宝玄仙は堪らず叫んだ。
少しもじっとしていられないくらいの檻車の揺れだ。
このままでは、身体が倒れて、鼻と肉芽が本当に千切れる──。
「本当に、なんじゃ?」
今度は蝦蟇婆もびっくりした声をあげた。
同時に、不意に鼻輪を引っ張っていた紐と肉芽を床に繋いでいた糸が外れた。
やっと蝦蟇婆が道術で宝玄仙の身体を解放したのだ。
「ふううう」
もう精根尽きていた宝玄仙は、四つん這いの身体を横倒しさせた。
すると、また凄い振動と轟音がして檻車が揺れた。
「な、なにが始まったのじゃ──?」
蝦蟇婆が悲鳴をあげた。
ふと見ると檻車の壁にひびが入っている。
「うわっ」
宝玄仙も目を丸くした。
そして、轟音と振動──。
宝玄仙の見ている前で、壁のひびがさらに大きくなったかと思ったら、いきなりひびの入った壁の一部がこっちにふっ飛んできて、人が通れるくらいの穴が開いた。
「ご主人様、助けに来たよ──」
開いた穴から、にこやかな笑みを浮かべる孫空女が顔を出した。
「ええええっ?」
その孫空女に亜人兵が、背後から斬りかかってきたのが見えた。
孫空女は振り返ることなく、『如意棒』でそのふたりを突き返した。
「んひっ、し、しまった──」
しかし、亜人を見たことにより、宝玄仙の呼吸がとまった。
「んんああっ」
宝玄仙は苦しさよりも恐怖に悲鳴をあげた。。
「ご主人様──? どうしたのさ──?」
孫空女が驚いた声をあげた。
*
ただ、まっすぐに突っ込んだ。
檻車が近づいてくる。
孫空女は、『如意棒』を振り回しながら馬を駆けさせた。
とめられる者などいない──。
前を阻む亜人兵の騎兵を左右に馬ごとふっとばしながら、まっしぐらに檻車に向かって駆けた。
「網だ──。霊具の投網を使え──。そいつの動きを止めろ──。生け捕りにするのだ──」
背後から大声が聞こえた。
あれは玄魔の声のような気がする。
しかし、そんなものは関係ない。
投網だろうが、弓矢だろうが、槍だろうが、ただ『如意棒』を風車のように回して弾き返すだけだ。
檻車だ。
ついに、辿り着いた。
孫空女は檻車を護っていた七人ほどの亜人兵を馬上から瞬時に打ち倒した。
「檻車に近づけるな──。護れ──」
玄魔の声が近づく。
「どけええええっ──」
孫空女は孫空女と檻車のあいだに、新たに割り込もうとする兵を吹き飛ばした。
それでもう、檻車と孫空女のあいだに入ろうとする者は誰もいなくなった。
真っ黒い壁は、鋼鉄でできた頑丈そうな壁だ。
それに比べれば、横開きの扉は木製だ。
しかし、おそらく扉は道術が刻まれていて開くことはできないだろう。
だが、壁なら……。
玉斧が孫空女を助けてくれたときも、玉斧は道術で防護されていた檻車の壁に大きな岩を降らせて穴を開けてくれた……。
「うっしゃあああ」
孫空女は、力の限り『如意棒』を檻車の壁に叩きつけた。
檻車の壁が大きく鳴るとともに、車体が激しく揺れた。
なにかが落ちてきた。
投網だ。
それを『如意棒』で弾き、近寄る亜人兵に投網の方向を変えた。
三人ほどの騎兵が大きく拡がった網に絡まれて捕らえられたのが横目に映る。
孫空女は二発目の打撃を檻車の壁に加えた。
檻車の壁に亀裂が入った。
「孫空女──」
玄魔だ。
すぐそばまで来た。
さっき剣を弾いたが、いまは新たに剣を持っている。
剣を振り下ろしながら、玄魔が孫空女に向かってきた。
かわそうという気持ちはなかった。
孫空女は馬を檻車から玄魔に向け直すと、逆にこっちから玄魔に向かった。
馬と馬がぶつかる。
『如意棒』に十分な手応えがあった。
しかし、当たったのは玄魔の馬の首だった。
玄魔はとっさに手綱を離して、身体を横たえてかわしたのだ。
あの孫空女の一撃を避けるのは、さすがは亜人軍の将軍というものだろう。
だが、地面に馬ごと倒れた玄魔を、もう孫空女は相手にしなかった。
再び檻車に向き直り、三撃目の打撃を檻車の亀裂に叩き込む。
檻車に大きな穴が開いた──。
「ご主人様──」
孫空女は叫んだ。
汗と涙と鼻水のようなもので顔をぐしゃぐしゃに汚した宝玄仙が、呆然とこっちを見ていた。
そばに、一度だけ魔王宮の地下で会ったことがある老婆がひっくり返っている。
「……助けに来たよ──」
孫空女はそれだけを言った。
同時に殺気も感じた。
後ろから亜人兵が襲いかかってきていることには、気がついていた。
振り返ることなく、『如意棒』で突き返す。
意識をする必要はない。殺気を感じれば、考えることなく身体が動く──。
背後の亜人兵が飛ばされ、気配が消える。もう、敢えて孫空女に近づこうとする者もいなくなった感じだ。
すると、檻車から悲鳴が聞こえた。
宝玄仙だ。
短い手足の全身を床に転げ回らせている。
「ご主人様──? どうしたのさ──?」
孫空女は思わず声をあげた。
しかし、すぐに思い出した。
そう言えば、最後に魔王宮の地下で宝玄仙と愛し合ったとき、亜人を直接見ると失神寸前まで呼吸がとまる道術をかけられていると、宝玄仙自身が言っていた気がする。
構わずに『如意棒』を檻車の中に伸ばした。
宝玄仙の身体を『如意棒』の先に引っ掛ける。
そのまま宝玄仙の胴体を『如意棒』で引っ掛けて、その胴体を孫空女の跨る馬の首に乗せ直した。
「もう大丈夫だよ、ご主人様──。逃げるよ──。しばらく眼をつぶっていて──」
孫空女は身体の前の宝玄仙に言った。
そのあいだにも、蠅のようにたかる亜人兵を『如意棒』で蹴散らしている。
だが、もう、こんな連中がどれだけいようと関係ない。
いくらでも振り払える。
「ぷはああっ、そ、そ、孫空女、本当に、お前かい──?」
やっと呼吸ができるようになったらしく、短い肢で懸命に馬の首を挟んでいる宝玄仙が嬉しそうな声をあげた。
その眼はしっかりと閉じられている。
道術で与えられる苦痛が怖くて、眼が開けられないのだろう。
可哀そうに……。
「逃げるよ、ご主人様──」
孫空女は片手で宝玄仙の身体を支えて、もう片方の手で『如意棒』を握りしめ直した。
馬の肚を蹴る。
孫空女は雄叫びをあげながら駆けた。
「絶対に行かせるな──」
玄魔の悲鳴のような叫びがした。
だが、すぐにその声がずっと背後になった。
孫空女は、山街道を単騎で駆け抜ける。
行く手にいる亜人兵が、馬除けの木組みを作りだしたのが見えた。
しかし、遅い──。
孫空女はそれを『如意棒』を振り回しながら飛び越えた。
三人ほどの亜人兵が横に吹き飛んだ。
まだ、前方には隊形を組もうとしている亜人兵がいる。
孫空女は再び雄叫びをあげた。
騎馬のまま体当たりをする──。
その亜人兵たちもまた、孫空女の『如意棒』に弾かれていなくなった。
もう、前方には誰もいない。
前にあるのは、下り坂の山道だけだ──。
「行かせるな──」
後ろに迫るその叫びはもう遠い。
「ご主人様、もう少し、そのまま我慢してね──。それと、もう前に亜人はいないよ──」
孫空女は馬を駆けさせながら、馬の首の宝玄仙に声をかけた。
「お、お前、本当に助けにきてくれたのかい……」
宝玄仙が顔をこっちに向けた。
随分と汚い宝玄仙の顔が孫空女に向けられて破顔する。
「当たり前だよ──。言っただろう──。頑張って、ご主人様を助けるってね──。とにかく、安全なところまで逃げるからね──。それから沙那と朱姫をどうやって助け出すか決めようよ──」
孫空女は叫んだ。
すでに玄魔隊は遥か後ろだ。
「あ、ありがとう──。ありがとううう」
宝玄仙が涙を流して破顔した。