※この作品はR-18です。

嗜虐西遊記【完結】   作:ドン・ドナシアン

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534 痒み責めと焦らし責め

「さて、では、そろそろ、わらわが直々に責めてやろう」

 

 小白香が言った。

 すると沙那の両脚が勝手に浮きあがり、身体全体が宙に浮く。

 それだけでなく、両脚が空中で曲げられ、膝を思い切り左右に開いたかたちにされた。

 

「うわっ、なに」

 

 さすがに、沙那は、思わず声をあげてしまった。

 

「お前にも教えてやろう。本当の快感というものをな……。それは究極の痒みに耐えて耐えて、それでも耐えて……。さらに耐えて、どうしても耐えられなくなったとき、ほんの少しの痒みを癒す……。それが本当の快感というものよ」

 

「こ、この……き、気ちがい……」

 

 沙那は呻いた。

 しかし、小白香は宙から取り出したように、小壺を出現させると、中の油剤を無防備な股間に塗り込み始める。

 

「ああっ、うわあっ」

 

 沙那は一瞬にして熱くなった股間に狼狽えてしまって声をあげた。

 いままでだって痒みに追い詰められていたが、新たに小白香が使った油剤は、瞬く間に沙那を追い詰めた。

 信じられないくらいの掻痒感が襲いかかる。

 

「ああ、か、痒いいいい」

 

 絶叫した。

 

「ふうむ……。なかなかに耐性があるのだな……。さっきから思うておったが、痒み責めの経験もそれなりにあるのだな……。痒みに狂っても、理性を保てる訓練もしておるか? わらわの油剤がそんなに効いておらんか?」

 

 だが、なぜか小白香がちょっと失望したようがっかりとした表情になったことに気がついた。

 この小娘は、なにを言っているのだ──。

 冗談じゃない──。

 痒くないところではない。

 

 股間は早くも、じんじんと疼くような痒みを発散し続けている。

 この娘のお陰で、気が狂うような痒みが襲う絨毯の上に素足で一日立たされ、全身の肌を襲う痒み液をひと晩中掛けられ続けた。

 その苦しみは生易しいものじゃなかった。

 だが、やっと白象の道術で痒みを消してもらったのに、すぐにこの小白香に痒み地獄に戻された。

 痒いに決まっている──。

 

「ほら、なんとか言わんか? それとも、まだ痒みが足りんか? わらわのこの油剤は重ね塗りそればするほど痒くなるぞ」

 

 指先にまたもや油剤を載せた小白香が、沙那の肉芽の裏をすっと指でなぞった。

 

「ひいいっ」

 

 力を与えない刺激と追加の油剤のために、股間の痒みが一度に拡大する。

 それによって、耐えていた怒りが一気に沸騰した。

 こんなに、苦しいのもつらいのも全部この変態王女のせいだ。

 そう考えると、この小白香への憎しみが爆発する。

 

「やはり、それほどの痒みではないか……」

 

「じょ、冗談じゃないわよ──。痒いに決まってるでしょう──」

 

 沙那は怒鳴りあげた。

 足の裏も痒いし、全身も痒い。

 しかし、大声で怒鳴るとそれが少しはましになるのがわかった。

 沙那は、全身を振り乱しながら、感情の迸るまま、大声で悪態を叫び続けた。

 

「や、やかましいのう──。こっちこそ、冗談ではないわ──。どうやら、お前は自分の身体の痛みや痒みを制御できる技があるのだな。意図的ではないとすれば、自然にやっておるのかのう? さっきの指でわらわの息をとめた、おかしな技と関連があるのか?」

 

 小白香が不満そうに言った。

 一方で、小白香の指はしつこく、油剤を沙那の股間に塗り続けている。

 それはともかく、小白香の物言いは、沙那の技のひとつである、気の制御のことだろう。

 経絡突きもその中で習得した技ではあるが、沙那は鍛え抜いた武術の鍛錬の結果として、自分や他人に巡る気を読み、それをある程度、制御することができる。

 そができるから、あの宝玄仙が沙那に装着した女淫輪とかいう淫具に一年も耐えられた。

 意識はしていなかったが、もしかしたら、小白香の言うとおりに、無意識のうちに気の制御を使って、痒みを少しでも癒そうとしているのか……?

 

 だが、そうであっても、もう限界だ。

 沙那はぶるりと腰と胸を揺すって髪を振り乱した。

 どんなに我慢をしても、気を練っても、限界というものはある。激しい掻痒感はどんどんと沙那を追い詰める。

 意識をすると、収まることなく痒みは増長していく。

 しかし、この亜人の変態小娘に弱みを少しでも見せたくないので頑張っている。

 

「まあいい……。気を練るなら、練ってみせるがいい。いくらでも時間はあるしな。ところで、本当に痒みを癒さんでいいのか? いまなら、遅くないぞ。ちょっとした主従の誓いをすれば、それで許してやるぞ」

 

「な、なにがちょ、ちょとしたよ──。ふ、ふざけないで──」

 

「そうか……。ならば、待っておれ」

 

 小白香は、そう言い残して、沙那の背中側の棚に進んだ。

 そして、すぐに戻ってくる。

 戻ってきたときは、革帯のようなものを手にしていた。

 一瞬だけではわからなかったが、すぐに貞操帯だと思った。同じようなものを宝玄仙から幾度も装着されて悪戯された。

 まさか、いまの状態のまま貞操帯を……?

 沙那はぞっとした。

 そして、それを沙那の目の前まで小白香は持ってきたとき、ただの貞操帯ではないことを沙那は悟った。

 

「ひいいっ、な、なによ、それは──?」

 

 沙那は恐怖に包まれて声をあげた。

 貞操帯の内側には、小指の先ほどの触手がびっしりとうごめいていて、しかも、ねばねばとした液を噴き出しているのが見えたのだ。

 なんというものを沙那につけさせようというのか。

 

「これは、母者にも装着させている貞操帯の霊具だ。あらゆる外からの刺激を遮断する。母者のように他人に感知させない術紋は刻んでおらんがな。それを除けば、母者の者と同じだ。母者の道術を防ぐ効果もあるから、お前も身体を制御する技は使えなくなるだろう。今度こそ泣き叫ばせてやる」

 

「なっ」

 

 沙那は一瞬、言葉を失った。

 

「今度は股を擦り合わせてもなにも感じなくなる。わらわの奉仕奴隷には、これを装着しっ放しにしておる。時折刺激を当てて癒すが、わらわの気を損ねた奴隷は、この貞操帯を装着しっぱなしにさせて、刺激を完全に与えん罰を与える。大抵は、数日で呆気なく狂ってしまうらしいがな……」

 

「く、狂う?」

 

「おう、そうじゃ。狂うのだ。そうだ。こんなことも試したことがあるぞ。お前に塗ったのと同じ強烈な痒み液を足の裏に塗って、この貞操帯と同じ効果のある靴を履かせて脱げんようにしたのだ。そうやって狂女となった三人を監禁部屋に閉じ込めて、斧を一本放り込んだことがある。あれは、面白かったぞ」

 

「はああ?」

 

 沙那は耳を疑った。

 なにを喋っているのだ。

 

「三人がその斧を奪い合って、自分の足を切ろうとするのだ。結局、三人とも、自分の足を二本とも切断して、嬉しそうに笑いながら血の海の中で死におった。だが、興味深いのは、三人の誰にも、斧で靴を破ろうとしたものがいなかったことだな」

 

「な、なんですって?」

 

 この小娘はなにを喋っているのだ。

 本当に狂っている……。

 

「無論、そんなものでは、わらわの霊具は壊れんが、試みもせんかったからな。それよりも、三人とも、あの斧で自分の足を切断することしか考えられんかったようだな。面白いであろう?」

 

 小白香は大声で笑ったが、沙那は唖然として声も出なかった。

 ふと見ると五人の奴隷女たちの顔も強ばっている。

 

「……まあ、だから、いまでは、なるべく奴隷を狂わせん程度に、何日かに一度は痒みを癒す痛みを与えるようにはしておるがな……。いずれにしても、人を支配するには、この貞操帯は都合のよい支配霊具じゃ──。だが、これを装着させると、股間の痒みでなにも考えられなくなり、道具として役に立たなくなるのが難点ではあるがな……」

 

 小白香はあっけらかんと言った。

 沙那は、改めて、呆然と目の前の亜人の王女を凝視してしまった。

 髪が白く、頂点に小さめの角があることを除けばことを除けば、外見は人間族にそっくりで、顔にそばかすさえある平凡な顔立ちの少女だ。

 しかし、中味は完全な異常者としか思えない。

 

「よ、よくも、そんな残酷なことを平然と……。し、しかも、あんた、その貞操帯を母親の白象にも装着させているの──?」

 

 怒鳴った。

 さっき、白象の股間部分に、おかしな気の集まりがあるように感じた。

 あれは、他人には感知することができなくなる術式を込めた貞操帯だったのだ。その貞操帯の霊具の集める霊気を沙那は気の集まりとして読んでしまったのだと思う。

 

「なにが残酷だ──。わらわは、痒みの向こう側にある快感を皆に教えているだけぞ。いまでは、母者にしても股間の痒みを癒してやるときには、快感で身体を震わせおるわ──。それと、この触手の噴き出す粘性の油剤を見よ。これも痒み液じゃ。わらわの術式ひとつで、痒みの段階もいくらでも変えられる。母者に施しておるのは、平素は最弱段階だが、わらわに気を損ねれば、やはり、痒みの段階をあげてることにしておる」

 

 沙那は絶句するとともに、心からの恐怖を感じた。

 自分の母親になんということを……。

 しかも、奴隷を毀すことについて、なんの躊躇いもなさそうだ。

 おそらく、沙那が狂っても、なんの痛痒も感じないだろう。

 

「狂っているわ……」

 

 沙那は呻いた。

 すると、小白香が爆笑した。

 それにしても、痒い──。

 狂おしい痒みは、もう数瞬も耐えられそうにない。

 おそらく、この貞操帯を装着すれば、この小白香は、沙那が哀願をしても、しばらくは外さないだろう。

 そんな予感がする。

 痒み責めなど耐えられるわけがない。

 どうせ屈服するなら、早い方が……。

 そんな考えが、頭をよぎる……。

 

 いや、駄目だ……。

 主従の誓いなどすれば、おそらく、沙那の中にある宝玄仙や孫空女たちへの恋慕は消える。

 心が変わるのだ──。

 受け入れるわけにはいかない……。

 

「狂うてはおらん。沙那は狂うかもしれんがな。わらわは、ただ痒みの向こう側の快感を母者に教え、わらわも試みておる。突き詰めれば、奴隷たちにもそれを教えておるだけだ。これを見よ。わらわの足の裏には、お前に塗るよりも強い掻痒液を塗っておるのだぞ。このサンダルは、この貞操帯と同じものでな。わらわに襲う刺激を遮断する。わらわも、気持ちがいいから、この苦しみにたえておるのだ」

 

 小白香がサンダルを脱いで素足を沙那に見せた。

 真っ赤に充血している足裏がそこにあった。

 余程に痒いのか、小白香の足の指は激しく擦り合わせるように動き続ける。

 

「おっと、やはり、自分の意思だけで我慢するのは難しいか……。まだ、若い痒みだからな。サンダルにしまっておくか。そうじゃのう。お前は貞操帯を嵌めて奉仕奴隷にするのだから、主従の誓いをしたお前に搔かせるか。わらわに屈したお祝いにな」

 

 小白香はサンダルを履きなおした。

 

「じょ、冗談じゃないわよ──」

 

 これまでの旅で、数々の変態と出逢ったが、この娘はかなり突き抜けている。

 自分の足をわざわざ痒み責めにして、その苦しみを快感として愉しむなど、沙那の理解を完全に逸脱している。

 

「しっかりと、お前にも痒みの向こう側の快感を教えてやるぞ、沙那──。もっとも、その前に『主従の誓い』をしてもらうがな」

 

 小白香が貞操帯を沙那の股間に近づける。

 途端に、貞操帯の内側の触手が一斉に激しく動き出す。

 

「ひ、ひいい」

 

 沙那は叫んだ。

 

「触手どもも女の匂いに興奮しているようだな。だが、心配しなくても、わらわが制御しておる。勝手には動かん」

 

 小白香が笑った。そして、沙那の股間にぴったりと貞操帯の触手側を密着する。

 

「ひっ──。いや、いやだってば──。やめなさい──。ああっ──」

 

 沙那の抗議もむなしく、簡単に貞操帯を股間に喰い込まされて、さらに腰に喰い込むように巻かれる。

 気が揺らぐような感じがあり、道術の錠のようなものが貞操帯にかかるのも感じた。

 

「う、ううう……」

 

 触手が気持ち悪い……。

 動いてはいないが、沙那が身じろぎすると、ぬるぬるとする粘性の液とともに、沙那の股間の表面を触手が動くのがわかる。

 それでいて、まったく痒みが癒される感じはない。

 刺激を遮断したというのも本当なのだろう。

 沙那の股間に貞操帯を嵌め終わった小白香は、満足した表情を沙那に見せた。

 

「さて、じゃあ、わらわはこれで行くとする──。ほかの新入りの奴隷たちも待たせておるでな──。ひと通り奴隷たちを見回ったら、一度様子を見に来てやろう──。そのときに、『主従の誓い』を結ぶ気になったか訊ねてやる。わらわが戻るまでは、この五人の女の責めをただ受け続けよ……。それにしても、本当にお前の身体は、感じやすくて面白いのう……」

 

 小白香が沙那の両方の乳首に両手を伸ばして、手のひらで転がすように動かした。

 

「あふうっ、はっ、はっ、はあっ──」

 

 しかし、手のひらはほとんど沙那の乳首の先に当たるか当たらないかの繊細な感触だ。

 その状態でゆっくりと痒みの頂点のような乳首の先を動かされるのだ。

 しかし、それだけの刺激にも係わらず、沙那の身体には、肉が溶けるような疼きが凄まじい勢いで押し寄せてきて、その快感の強い波にあっという間に追い詰められる。

 

「早いのう──。もう、赤い光か──。なぶる暇がないではないか──」

 

 小白香が笑いながら、乳首から手を離した。

 快感が離れたことでがっくりと脱力したが、すぐに痒みの苦痛が襲いかかって、沙那は身体を跳ねあげた。

 沙那は身体を振り乱して、今度は痒みの苦しさに悲鳴をあげた。

 

「さて、奴隷ども、これを一本ずるやろう。なにしろ、貞操帯を嵌めたままでは責められんしな。しかし、この筆先で貞操帯の表面を擦ると、それに連動して、その場所だけの内側の触手が動く……。まずは試しだ……。そうそう、尻が弱いのだったな」

 

 小白香が取り出したのは、数本の小筆だった。

 その筆先をすっと沙那の腰の後ろ側に伸ばす。

 すると、貞操帯の内側にある触手が、お尻の周りだけ急に激しく動いた。貞操帯のその部分の表面をさっきの筆で擦っているのだろう。

 

「ふくうっ──。そ、そこは──」

 

 触手が肛門の入口をこちょこちょと動き続ける。

 しかも、挿入されているお尻の穴にかっと熱のようなものが加わった。

 次の瞬間、凄まじい痒みがそこに襲い掛かった。

 沙那は身体を弓なりにして、全身を震わせた。

 

「おうおう、そんなに悦ぶな、沙那──。あまりにはしたないぞ──。さて、筆の先端はいまの動きだが、逆さにして柄の部分で強く押すと……」

 

 小白香が笑いながら、沙那の肛門の中にずぶりと筆の柄側の先端を貞操帯に押し込んだのがわかった。

 すると、その場所……すなわち、肛門の周りの触手が貞操帯の中でまとまったように集まる感触が発生し、次の瞬間にはずぶりずぶりと男根を挿入される感触とともに、

 

「んひいいいっ」

 

 沙那は絶叫した。

 尻の穴をなぶられるというのは、なんど受けても大嫌いな調教だ。

 しかも、それを赤の他人に触れられるというのは、汚辱以外のなんでもない。

 しかし、同時に、沙那の身体は、肛門を刺激されることで、骨が溶けるような甘い快美感を爆発させてしまう。

 小白香は大した刺激を与えることもなく、すぐに沙那から筆の柄を離した。すると、触手の塊もなくなり、お尻の中から触手が消える。

 

「同じやり方でなぶれ。筆先のくすぐりであろうと、触手を使った張形なぶりであろうと思いのままじゃ。しかも、触手の先端からは常に掻痒液の油剤が放出しておる。表面をいくら擦っても癒すことのできん奥に掻痒の液を塗りたくれる」

 

 小白香が五人の侍女たちに言った。

 そして、沙那の目の前でひとりひとりに同じ筆を渡していく。

 

「……さて、じゃあ、わらわは本当に行く──お前たちは、沙那の全身を愛撫して焦らし尽くせ。筆の先ならくすぐり、柄の部分なら触手が掻痒剤をまき散らす。さらに柄を強く押せば、男根のように触手が束なって尻穴でも膣でも挿入していれる。明日の朝までに、この女から性根を抜いてしまえ。やり遂げねば、揃って実験奴隷になると考えよ。ただし、絶対に絶頂はさせるな。最初の絶頂は、わらわ自らが明日の朝に与える」

 

 小白香は五人の奴隷たちに言った。

 明日の朝……。

 改めて、それを考えると、沙那は愕然としてしまう。

 小白香は、丸一日、この女奴隷たちに沙那を責めさせ続けるつもりなのだ……。

 脅しのような言葉に、奴隷たちが顔色を変えてしっかりと返事をする。

 すると、小白香は『移動術』でどこかに消えていった。

 沙那は、五人の奴隷女とともに、ここに残された。

 

「じゃあ、沙那さん。お尻にもう一度、掻痒液を塗りましょうね……」

 

 五人女のひとりが、くすくすと笑いながら、渡された筆の柄でぎゅっと強く貞操帯のお尻の穴の部分を押したのがわかった。

 

「ふうっ──」

 

 肛門の入口に触手の束が当たる。

 さっき同様にずんと衝撃が走り、

 あっという間に熱い感覚が襲うので、確かに痒み剤を塗られたということがわかる。

 沙那は身体を振り乱して、肛門を抉る触手から逃げようとするが、すかさず、前側から群がった女たちが、あの柔らかな指先で貞操帯の上から股間などに筆を這わせ始める。

 

「あああっ、だめえええ」

 

 前にも後ろにも逃げられなくなった沙那は、我慢できなくなって裸身を悶えさせて、大きな声で嬌声をあげてしまう。

 

「貞操帯だけでなくて、胸も責めるわ。なんとしても、明日の朝までにこいつを陥落させないと……」

 

「わたしは首を……」

 

「じゃあ、あたしは耳……」

 

 貞操帯の内側の触手を使った前後責めだけでなく、全身の性感帯のあちこちを刺激される。

 

「いやあああ」

 

 沙那は悲鳴をあげた。

 だが、大股を開いた状態で宙に浮かんだ身体はほとんど動かない。

 どうやっても逃げられない──。

 

 そして、女たちの責めが始まった……。

 全身の性感帯を五人の女に同時になぶられるのだ。

 ただでさえ鋭敏な身体をしている沙那には堪らない責めだ。

 

 うなじに指が這う……。

 

 乳首をくすぐられる……。

 

 脇の下をつつかれる……。

 

 乳房の全体が指先でなぞられる……。

 

 耳穴に指を入れられる……。

 

 股間の女陰の襞が一枚一枚剥ぐように触手で刺激される……。

 

 さらに、肉芽の周りを触手の先端がうごめく……。

 

 すべてが弱い情感だが、それらは確実に沙那の快感の波を増幅していく。

 だんだん子宮が熱くなるのがわかる。

 全身が快感の疼きに飲み込まれる。

 

「はあっ、はっ、ああっ……ああっ──」

 

 沙那は、その情欲のままに全身をうねらせ大きな声をあげた。

 

「ちょっと、休憩……。点滅したわ……」

 

 五人のひとりがそう言うと、指先が一斉に離れていく。

 すると今度は薬剤の痒みが沙那に襲いかかってくる。

 

「そ、そんな……」

 

 沙那は、“やめないでもっと刺激して”という言葉をやっとのことで飲み込んだ。

 そんなことを口にするなど、あまりに惨めすぎる。

 

「……ね、ねえ、に、逃がして──。さ、策があるのよ──。あなたたち、全員を助ける策が──。本当よ──。嘘じゃないわ──。この離宮のすぐそばまで、救援隊が来ているの──。お願いよ。わたしをそこまで行かせて──。そうすれば、今日の夜には、あなたたちは自由の身よ──」

 

 哀願の代わりに口にしたのは、出鱈目の救援部隊の話だ。

 信じる可能性は皆無だが、試みをして、損をするわけでもない。

 

「救援なんて……。馬鹿な話……」

 

 女たちはやっぱりくすくすと馬鹿にしたような笑い声をあげた。

 

「う、嘘じゃないわ──。小白香のやったことは、三魔王軍全体への裏切り行為よ。小白香は、白象魔王をないがしろにして、実権を奪い、いまは、道術で監禁して、魔王の地位を乗っ取ろうとしているわ。そ、そんなことは許されない──。金凰魔王はそれを怒り、わたしをひそかに間諜として、ここに送り込んだの──。すでに軍が宮殿のまわりに展開しているわ──。わ、わたしが戻って、小白香の暴走が真実であることを告げれば、金凰軍が本格的に動く──。そのときに、奴隷宮に監禁されている者は全員解放されるわ──」

 

 沙那は全身を揺すりながら頭に思いつくことを滅茶苦茶に喚きたてた。

 とにかく、なにもされないと、痒みが全身に襲いかかるのだ。

 とてもじゃないが、少しもじっとはしていられない。

 

「金凰陛下が?」

 

 ひとりが不安そうな表情をした。するとその隣の亜人の女も表情を変えた。

 反応があったことが意外だったので、沙那も少しだけびっくりした。

 

「あんたたち、馬鹿? 嘘に決まっているでしょう──。それに、金凰陛下が小白香様をどうにかするわけないわ。金凰魔王陛下は、むしろ、小白香様をお好きなのよ。それは見ていればわかるでしょう──」

 

 真っ黒い髪をした亜人の女が言った。

 彼女はさっきも沙那への責めを中断するときに、ほかの四人に指図をしていたから、なんとなく五人の中の指示役という感じだ。

 

「う、嘘じゃない──。すぐそこに軍は来ているのよ。でもわたしが戻らなければ、帰ってしまうわ。わたしを逃がせば、あんたらも自由になれるのよ──」

 

 沙那は声をあげた。

 

「と、とにかく、沙那が自分が間諜だって言っていることだけでも、小白香様にお知らせした方が……」

 

 最初に反応した亜人女が不安そうに言った。

 

「そんなことをしたら、五人揃って実験奴隷にされるわ。あんな惨めな境遇になりたいの? もう、この話は終わり──。それよりも、あたしたちがやるのは、沙那の性根を責めで奪い取ることよ。小白香様に言われたでしょう」

 

 黒髪の女が指示をして、貞操帯の上から沙那の膣穴に当たる場所を押してくる。

 触手が集まって大きくなり、沙那の股間の中に挿入されていく感覚が襲う……。

 痒み液をまき散らしながら……。

 

「もう、そんな出鱈目な話なんて、まったくする気も起きないようにしてあげるわね、人間」

 

「はああっ──」

 

 骨まで響くような鋭い快感に、沙那は全身を跳ねさせた。

 

「いやっ、いやっ、いやっ──」

 

 沙那は絶叫した。

 しかし、触手の張形は沙那の女陰から、あっという間に消滅する。

 しかし、すぐにまたもや肛門の中に発生する。後ろ側の侍女が柄の先でお尻の部分を押したのだろう。それに応じて、触手が反応したのだ。

 

「ひんっ」

 

 沙那は衝撃に身体をのけぞらせた。

 

「まあ、腰を前に出しちゃって。刺激して欲しいの?」

 

 

 今度が沙那の貞操帯の股越しに筆先で肉芽をくすぐられて、内側の触手が同じように動いて、敏感な場所を刺激する。

 

「あふうっ──」

 

 一気に快感があがる。

 だが、すぐに、触手の刺激は別の場所に移動する。

 お尻を責めていた触手もすっと消える。

 しかし、今度はまたもや、膣穴に触手男根の感覚が発生する。さらに、肉芽にもくすぐりが……。

 

「いやああ、も、もうやめなさいいいい──」

 

 それを繰り返される。

 触手男根の挿入と、筆先でくすぐられる感触……。

 それが交互に前後に発生する。

 しかも、ほかの場所も筆責めだ。

 もう、沙那の両腿は痙攣のような震えをとめられなくなった。

 

「凄い……。随分、感じやすい身体……」

 

「しかも、派手……。なんか可愛い……。こんなに声をあげちゃって……。最初は、怖い人かと思ったけど……」

 

「ふふ……、一生懸命、悶えちゃってるわ……」

 

 女たちが沙那を責めながらささやく。

 だが、もう沙那には、それに反応する余裕がない。

 

 もうすぐ、いく……。

 自分の息がますます荒くなり、あられもない声が迸り続けているのがわかる。

 

「真っ赤よ──」

 

 誰かが叫んだ。

 沙那の首の宝石のことを言っているのだろう。

 小白香に装着されたこの霊具は、沙那の快感を感知して、沙那の情感があがると赤くなり、達しそうになると点滅する。

 

「まだまだ──」

 

 黒髪女が今度は肉芽そのものにぐっと柄側の先端を当てて押す。

 指で強く押されている感覚が貞操帯の内側で発生する。

 しかも、ぐりぐりと動かされる。

 快感が爆発した。

 

「はがああっ──」

 

 一気に快感の波が全身を駆け抜けた。

 

「点滅したわ──。引きあげて──」

 

 声がした。

 その間も沙那は絶頂の道を一気に昇りあがっている。

 

「……大丈夫よ──。まだまだよ──」

 

 黒髪女の持つ柄先が肉芽から女陰に移動して、ぐいと膣の中に触手男根が挿入される。

 

「い、いくううっ──」

 

 沙那は股間を突きあげた。

 その瞬間、思い切り乳首をねじあげられた。

 

「痛いいい──」

 

 一瞬だけ痛みで快感の噴きあがりが停止した気がした。

 それを待っていたかのように、さっと張形が女陰から消滅させられた。

 

「そら、お預けよ──」

 

 黒髪女が張形の振動を沙那の顔の前にかざしながらにんまりと笑った。

 寸前どころか、髪一重のところから絶頂を取りあげられた沙那の身体には、発散することができなかった快感の渦がうごめいている。

 沙那は恨めしく、眼の前の奴隷女を睨んだ。

 

「はらはら、させないでよ、一条──。許可なく沙那を絶頂させたら、五人揃って足癬奴隷にされるのよ」

 

 ひとりが批判するように言った。

 この黒髪女は一条というのかと思った。

 しかし、なにかを考えられるのは、この束の間の時間だけだ。

 あっという間に痒みが沙那に襲いかかる。

 沙那の思考力はそれで完全に奪われてしまった。

 

「そうよ、あんたら──。あたしたちが考えるのは、ひたすらに小白香様の言いつけだけよ。ほかのことなんて、考えるにも値しないわ。沙那のたわ言に耳を傾けないの──。そんな気になりそうだったら、この人間族の女を責めなさい──」

 

 一条がほかの四人に言った。

 そして、しばらくしてから、再び本格的な五人の責めが始まった。

 

 五人のうち三人は、一条が操る張形と同じ淫具を持ち、ほかのふたりは指先で沙那の肌を刺激していく。

 五人は息を合わせて沙那の性感帯を刺激しては、すぐに離すということを繰り返す。

 それでいて、感じる部分から張形の先や指先を完全には遠ざけず、その周辺をくるくると回ったりするのだ。

 

 沙那は翻弄された。

 五人の性技は確かに卓越したものであり、それを一身に受けている沙那は、言語に絶する切ない官能の痺れを味わい続ける。

 緩やかな刺激なのだが、沙那の感じやすい身体は、それでも絶頂するだけの刺激を拾ってしまう。

 しかし、達しそうになると、五人が一斉に刺激を引きあげる。

 すると全身を蝕む痒さが戻ってくる。

 

 それが延々繰り返される。

 焦らしと痒みの繰り返しがあまりにも続いたことで、沙那の思考力は痺れきってしまい、もう口惜しいとか恥ずかしいとかいう感情はまったく消えてしまった。

 とにかく、この苦しみから逃れたい。

 それしか考えられない。

 

「お預けね……。じゃあ、休憩……」

 

 またもや、一条の指示で、追いあげられたところで責めを中断された。

 火のように昂ぶった情感が緩やかにさがっていき、入れ替わるように痒みの苦痛がやってくる。

 

「お、お願いよ──。やめないで、このまま──」

 

 沙那はついに絶叫した。

 

「ふふふ……。やっと頭に血が昇ってくれたようね、沙那──。でも、本当に休憩。喉が渇いたから、あたしたちも水を飲みましょうか……。準備のあいだに、あなたたちふたりは、沙那の身体のほかの場所に痒み液を塗り直して──」

 

 一条が言った。

 

「じゃあ、塗り直してあげるわね、沙那さん……。あらっ? でも、これ見て──。酷い状態。すこしばかり、汗を拭かないと薬剤なんて濡れないわ」

 

「本当ね……。蜜だって貞操帯の隙間からあふれまくって、床がおしっこ洩らしたよう……。まあ、こんなに床に落ちているわ……。凄い──」

 

 ふたりの女の嘲りの言葉に、五人がもう一度集まってくる。

 しかし、もはや、それさえも、沙那は気にならない。

 

 痒い……。

 

 こんなにも刺激を受け続けているのに、少しも痒みは癒えない。

 なんという強烈な持続力を持つ薬剤だ……。

 

 それなのに、また、薬剤を足される……。

 五人の奴隷が布を持ってきて、沙那の身体や床を拭き始める。

 その間、ひとりが乳首に痒み剤を足していく。

 

「……も、もうやめて、焦らしもやめて──。気が狂ってしまうわ──」

 

 沙那は声をあげた。

 すると、薬剤を足すために、沙那の股間から淫液のしたたりを拭き取っていた女たちが一斉に哄笑した。

 

「音をあげてくれたわね、沙那──。小白香様が戻ったときに、少しくらい、あんたが追いつめられてくれてないと、あたしたちが叱られるのよね。ほっとしたわ、沙那──。じゃあ、もっと続けましょうね──。でも、少し休憩してからね」

 

 一条がそう言って離れていく。

 ふたりが残り、また丹念に沙那の乳房や貞操帯のぎりぎりの外側などに痒み剤を足していく。

 もう反駁の気持ちが湧いてこない沙那は、薬剤が塗られる指先の感触に、歯を喰いしばって漏れそうな声を耐えながら、ぶるぶると全身を震わせるだけだった。

 同時に沙那は、まったく別の苦痛に自分が襲われ始めたのを感じていた。

 

 股間が痒い……。

 猛烈に痒い……。

 痒い──。

 なにも刺激がなくなると、ただれそうに股間が痒い……。

 あちこちが痒いが、なによりも貞操帯の内側が……。

 しかも、薬剤を塗り直された場所からも、火がついたような熱さと痒みが襲いかかってきた。

 

「お、お願い──、早く、責めて──。責めてったら──」

 

 沙那は絶叫した。

 

「休憩だと言ったでしょう──。そこでゆっくりしていてよ」

 

 女たちがそう言って笑った。

 沙那の身体に薬剤を塗り終わったふたりも加わり、五人の女たちは床の上の車座になって、飲み物とお菓子のようなものを口にしている。

 当分は動きそうにない。

 沙那は貞操帯の内側の火のつくような痒みに襲われながら、歯をかちかち鳴らして、うめき声をあげ続けるしかなかった。

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