「や、やめ……やめ、やめてくだちゃい……さ、沙那……沙那ちゃんは、あ、あああっ――」
休息を終えた小白香が沙那を責めさせている調教部屋に戻ると、半狂乱の沙那が奇妙な物言いで悲鳴をあげていた。
それを、もともとは白象の奴隷だった女たちが取り囲んで責めている。
「やめていいの、沙那ちゃん? だったら、お姉さんたちはやめちゃうわよ」
「ああ、やめないで……くだちゃい……。もっと、責めて……い、いや、責めてくだちゃい……。や、やめると、かゆさが……ああっ……ひゃああ……で、でも……あああっ」
小白香が跳躍したのは、部屋の中心で手足を拡げて立たされている沙那の背中側だ。
手足を拡げているといっても、沙那の両手は道術で消滅させているので、二の腕の中心部よりも先にはなにもないのだ。
開いている股間の真下には、汗なのか、小便なのか、愛液なのかわからない液体が大量に溜まっている。おそらく、そのすべてなのだろう。
例の触手貞操帯を装着したままなので、それでこの水溜まり状態とは凄いものだ。
とにかく、沙那の全身はおびただしい汗だ。
昨日、この格好で五人の奴隷女に責め続けるように命じてから、ほとんど丸一日経っている。
どうなっているかと見に来たのだが、思ったよりも沙那が十分に体力と気力を保っている雰囲気であることに小白香は驚いた。
それにしても、沙那のおかしな喋り方はなんなのだろう……?
沙那の周りでは、五人のうちのふたりが責めている最中であり、残りの三人は部屋の隅で休んでいた。
そして、沙那を責めているふたりが、沙那の身体に筆を這わせ回っている。
道術で金縛りにされている沙那は、その筆にのたうち回っているようだ。
沙那の背後に出現した小白香の存在に気がついて、壁際で休んでいた三人を含めた五人の全員が居ずまいをただそうとした。
しかし、小白香はそれを無言で手で制した。
そして、黙っていろという仕草を五人にした。
こうやって、沙那に気づかれないまま、沙那がどんな風に責められているのか見物したかったのだ。
それにしても、小白香は、沙那が思ったよりも元気であることに、驚くよりも呆れる思いだ。
一日も責められ続けているのだから、普通なら言葉も喋れないくらいに疲弊していて当然なのだ。
だが、一見したところ、まだ、沙那の体力には余裕があるようだ。
余程、普段から責められ慣れているのかもしれない。
「だ、誰か……いるの――?」
しかし、沙那が背後の小白香に気がついてしまったようだ。
あんなに息も絶え絶えになっているのに、まだ、背後に立つ存在の気配がわかるというのは感心した。
「あっ、普通の言葉を使ったわ」
「罰よ、罰――」
「今度もくすぐりの刑にする?」
「それとも、また、お尻に、触手の痒み剤追加の刑がいいんじゃない」
「でも、変わり映えしなわよねえ……。昨日、おしっこ飲ませたときに、嫌がったから、またそれでいいんじゃない」
「沙那自身のおしっこなんて、もう、十回くらい飲ませているじゃないの。もう、そんなに堪えないわよ」
「違うわよ。あたしたちのおしっこを飲ませるのよ――。その溜め壺に溜まってるじゃない。それを全部飲み干させるのよ」
「ええっ――。それはあたしが嫌よ。おしっこ飲まれるなんて」
奴隷たちが一斉に歓声をあげて騒ぎ出した。
「い、いまのは……違う……。いえ、ちがいまちゅ。つい……」
沙那が慌てたように狼狽えた言葉を吐いた。
しかし、それもおかしな舌足らずの口調だ。
小白香は思わず吹き出しながら、そんな沙那の態度に首を傾げた。
「どうしたのだ、沙那は?」
小白香は訊ねた。
「この沙那が生意気なんで、ちょっと懲らしめてあげようと、喋る言葉は、幼児言葉だけにするように命令しているんです。ひと言でも大人の言葉を使えば、罰を与えることにしたんです」
沙那を任せた五人のうちのひとりが言った。
一条という名の性奴隷だ。
この一条には、五人の中の長に当たる者として、小白香が指名をしていた。
「ほう、それは面白い。この気の強い沙那には、堪らん仕打ちだな。いいぞ。続けよ。沙那、これからもその幼児言葉以外を使うな。わかったな」
小白香は笑いながら、沙那の前側に出た。
それでさっきから、おかしな言葉で沙那は喋っていたのだ。
しかし、あの沙那が、そんな恥辱的な命令を簡単に受け入れるとは思えなかった。
しかし、実際に、その沙那がああやって五人組の命令に従っているということは、やはり、この一日間のこの五人の沙那に対する責めが本当に容赦のないものだったのだろう。
「しょ、小白香……いえ、小白香様……も、もう、ゆるちて……お、おねがい……」
小白香の姿を見るなり、沙那は汗びっしょりの優美な裸身を左右に激しく揺さぶって訴え始めた。
しかし、その口調は悲痛だが、言葉そのものは幼児言葉だ。
その不似合さに小白香は思わず吹き出してしまう。
「ねえ、小白香……お姉ちゃま……お、お願い――」
沙那が悲痛な顔で涙をこぼしだした。
しかし、どうしても笑ってしまう。
しばらく、小白香は笑い続けた。
「だ、駄目だ……。面白いが笑ってしまって話ができん。よい――。普通の言葉にせよ、沙那。それでどうしたって?」
「……か、痒い――。痒いのよ――。お願い、もう堪忍して――。な、なんでもするから――。まずは、この痒みを癒して――」
沙那が暴れながら悲鳴をあげた。
「なんでもするか……。ならば、真言の誓約による『主従の誓い』をするか?」
「す、するわ――。で、でも、そ、その前に痒みを癒して――」
沙那はあっさり言った。
小白香は驚いた。
「……騙されちゃいけませんよ、小白香様――。沙那は、昨日から同じことばかり言っているんだから。『主従の誓い』をするから、責めをやめて痒みを癒せってね。それで、これを使ったら、真実ではないと出たんです。それで懲らしめを……」
一条が小さな水晶球を取り出して、不満そうに小白香に訴えた。
一条が出したのは、『真実の石』という霊具だ。
沙那を責めさせる前に、この五人に渡していたものであり、この霊具には、嘘を発見する力がある。
つまり、この『真実の石』という球体に触れながら喋ると、言葉が真実の場合は、その石が青い光を放ち、偽りだと赤い光を放つのだ。どちらでもない場合は水晶は光らない。
「ほら、沙那、もう一度、同じこと言ってごらん」
一条が沙那の額に石を触れさせた。
沙那が一瞬、顔を曇らせた。
そして、しばらく躊躇してからやっと口を開く。
「……しゅ、『主従の誓い』なんて……ご免よ……。わ、わたしは……屈服なんてしない……」
水晶が青く光った。
小白香は嘆息した。
「沙那、だが、屈服してもらうぞ。通常の『真言の誓約』であれば、言の葉に載せれば、真意はどうでもよいのだが、『主従の誓い』については逆なのだ。いくら、言の葉に載せても、それが本気の言葉でなければ、『主従の誓い』が成立せんのだ。それが、『主従の誓い』が成立する条件なのだ」
「へ、へえ……。そりゃあ……、いいことを聞いたわ……。それで安心ね……。わ、わたしが、心からあんたの……家来に……なりたいと思うこと……なんて……ありえないものね……」
沙那の頬が不敵に笑った。
「そんなことはない。まだ、二日目であろう。このまま、三日も四日も責め続ければ、だんだんとお前は、こうやって拷問を受け続るよりは、『主従の誓い』をした方がましと思うようになる……。時間の問題だ」
「か、勝手なことを言うんじゃないわよ――」
沙那が怒鳴った。
しかし、その表情には余裕のなさが伺える。
外見では強気を保っているが、実際にはかなり弱っているようだ。
これなら大丈夫だろう。
このまま続ければ、沙那は堕ちる……。
小白香は確信した。
「それにしても、こいつらの言う通りであれば、なかなかに油断ならない性質のようだな。そうやって、どんなに望みが薄いことでも、一応は逃亡の企てを試してみることにしているのか、沙那?」
小白香は、一条から『真実の石』を取りあげて、沙那の胸に密着させてから訊ねてみた。
「も、もう、逃亡なんて……諦めているわよ……。せめてもの……腹いせに……からかっているだけよ……」
すると沙那に触れさせていた『真実の石』が赤く光った。
小白香は嘆息した。
「なるほどな。正直者とは、程遠い性質ということだな……。ところで、確認するのを忘れておったが、お前は、お前の主人の宝玄仙とやらと、すでに『主従の誓い』を結んではおらんだろうな?」
「そ、そんなこと……き、訊いて……ど、どうすんのよ……?」
沙那の言葉は、真偽が判定できる性質のものではないから、『真実の石』は反応しない。
この霊具は、喋った者が言の葉に載せたものが、嘘か本当かを判定する霊具なのだ。
「すでに結んだ『主従の誓い』があると、それを破棄しない限り、新しい『主従の誓い』は無効になるのだ。だから、そのときは、お前と誓いを結ぶ前に、手を回してその宝玄仙との契約を破棄させねばならんからな。面倒だ」
「……だ、誰とも『主従の誓い』なんて、結んでないわ……。わたしは、本当の……道術遣いじゃないから、じ、実は『主従の誓い』なんて道術契約は……結べないのよ」
石は、最初は青くなり、最後に赤くなった。
つまりは、“沙那が誰とも『主従の誓い』を結んではいない”ということと、“本当は道術遣いではない”ということは真実。
だが、“道術契約が結べない”というのは、嘘だということだ。
「しぶとく、真偽をごちゃ混ぜにして、誤魔化そうとしても無駄だ――。とにかく、これで話は早い。誰とも『主従の誓い』を結んでいないまっさらな状態なら、お前さえ屈服すれば、誓いが成立する」
小白香は言った。
沙那は口惜しそうな表情になった。
「それよりも、お前たちは、ちゃんと沙那を責め続けたのか? さぼっていたのではないであろうな? 本当に一日も責め続けて、まだ、こんなに気力を保ち続けているのか? 幼児言葉で遊ぶのはよいが、まずは気力を削げと申したであろう? 見たところ沙那の気力がそれほど削がれたようには見えんがな」
小白香は五人を振り返った。
すると五人の顔色がさっと蒼くなる。
「も、申し訳ありません……。で、でも、決して手を抜いたわけでは……。しかし、この沙那は、体力でも精神でもかなり気丈な性分のようで、少し休めば、あっという間に回復してしまうのです……」
一条が言い訳をした。
「まあ、よいわ……。ならば、わらわもやってみよう……」
小白香は、棚に置いてあった責め具のひとつを取り出した。
そして、沙那の目の前で、油紙に包んでいるそれを開く。
中から『痒み棒』が出てくる。
かたちは男性器と同じだ。
つまりは張形であり、女を責める淫具だ。
しかし、これは、『痒み棒』では一番太いものだ。
細身の女の腿ほどの太さはある。
そして、表面が粘性の物質で覆われていて、油紙から出した時点で、ねちゃねちゃと糸を引いていた。
この淫具の特徴は、その名の通りの強力な痒み効果だ。
この張形の持ち手以外の表面全体が粘性の掻痒剤になっており、これが肌に触れれば、恐ろしい痒みに襲われるのだ。
「……ところで、沙那、これはわらわからの贈り物だ。これであれば寸止めは勘弁してやろう。最後まで達することを許すぞ。まずは、これで気をやってみたらどうだ?」
沙那が、小刻みに震えながら、その『痒み棒』を凝視した。
すると、だんだんと沙那の呼吸の速度が速くなった。
身体の震えも大きくなる。
さすがにその太さに、鼻白んでいる様子だが、それでも『痒み棒』にとり憑かれたように見入っている。
もう、なんだかんだで、沙那は二日も痒み剤を身体に塗られ、股間を貞操帯で封印されて放っておかれている。
しかも、この一日間については、この五人からは、徹底的に焦らし責めにされている。
痒みを癒す渇望も、中途半端な淫情を解放させる欲求も沸騰するくらいに熱くなっていることだろう。
いま、沙那の目の前にあるのは、その両方を与えてくれるものであるはずだ。
どうやら、示された張形に沙那は興奮状態に陥っているようだ。
だが、鼻息が荒くなるだけで、じっと押し黙ったままなのは、沙那の最後の抵抗なのかもしれない。
しかし、時間の問題だ。
確かに、この一日、五人組は、痒み剤を使った焦らし責めにはかけていたが、沙那の身体の痒みそのものは癒すように責めていたはずだ。
そのように小白香が指示していた。
ただ、発狂させるだけなら、痒みを癒さずに放置すればよいが、沙那には屈服をさせなければならない。
狂うまで堪えられては困る。
しかし、それでも癒されない痒みは身体に残っていく。
いまだに気の狂いそうな痒みに身体が疼いているのは間違いないのだ。
「い、入れて……入れてください……。ああっ……そ、それを入れて……。もう、恥ずかしくてもなんでもいい……。入れて――。入れて――」
沙那が激しく腰を振りだした。
小白香はすっと極太の『痒み棒』を沙那の股間に近づけた。
「よかろう」
小白香はまずは貞操帯を沙那の股間から消滅させた。
どぼどぼと溜まっていた体液が全部床にこぼれる。
これは凄まじい。
「うああああ」
そして、沙那がおかしな奇声をあげながら、自ら腰を突きあげた。
股間を『痒み棒』に寄せてくる。
どうでもいいが、沙那の股間は信じられないくらいに真っ赤に充血している。
それだけでも、沙那の苦しみが想像できる。
「ならば、しっかりと味わうといいぞ」
小白香は沙那の股間に無造作に巨大な『痒み棒』を左右に捩じるように突き入れていった。
沙那の花芯はたっぷりと蜜で濡れている。
挿入に問題はない。
大きな張形なのだが、沙那の女陰はびっくりするような弾力性を示して、極太の『痒み棒』を受け入れている。
そして、さらに驚いたことに、半分ほど挿してやると、まるで蛇が獲物を飲み込むように、沙那の股間が『痒み棒』を吸いこんでいったのだ。
それこそ、もっと小さい頃から母者の白象が性奴隷を責める場面に頻繁に接している小白香は、この歳で女責めにも、かなり熟達していたのだが、その小白香がたじろぐほどの沙那の股間の吸引力だった。
「うっ、あっ……ああっ……」
沙那の股間が咥えこんだ『痒み棒』を締めつけて前後左右に動き出す。
痒みが癒えていくのが気持ちいいのか、沙那は全身を真っ赤にして甘い息を洩らしていく。
「そらっ、もっと、はしたなく喚くのだ、沙那」
小白香は、はみ出している『痒み棒』の持ち手部分を持つと、上下に激しく動かしてやった。
「あああああっ、ふわあえああっっ、はぐううううっ――」
小白香が抽送を始めると、沙那は悲鳴に近い声を出し始める。身体の悶えも激しくなり、ほとんど暴れている状態に近くなる。
「いきそうなのか、淫乱女?」
小白香は、『痒み棒』を動かしながらからかった。
「ひいっ、はあっ……はっ、はっ、はっ――」
しかし、沙那は声は激しいものの、小白香の質問には応じようとしない。
小白香はすっと『痒み棒』を引き抜いた。
「あ、ああっ――そ、そんあ――い、いきそうよ。いきそうだから――」
「だったら、はっきりと叫ばんか――。さもないと、またぎりぎりで引っこ抜くぞ。わらわは、慈悲でお前を一度昇天させようとしておるのだ」
「ちゃ、ちゃんと叫ぶ……叫ぶから……」
沙那が泣きそうな声で言った。
小白香は沙那の返事に満足して、再び『痒み棒』を沙那の女陰に突き入れた。
沙那がさっきよりもさらに苛烈に腰を動かしだす。
「ふうっ……い、いいっ……うっ、ううっ、いくっ、いくっ、いくいくいく――」
いきなり沙那が絶叫して全身を大きく繰り返し跳ねあげだす。
なんという激しさだろうと苦笑しながら、小白香はそのまま沙那の股間に『痒み棒』を挿入したままでいた。
すると、沙那の首につけさせた首輪の宝石が真っ赤になり点滅を開始した。
小白香は『痒み棒』をあっさりと引き抜いた。
吸盤のような沙那の膣は、張形を抜くときに、それをさせまいとばかりに強い力で引き戻したりもした。
これは本当にすごいなと思った。
「あ、ああっ――そんな……ま、また……ああっ、こんなの酷い……慈悲で……一度……させてくれると……」
沙那が悲鳴をあげた。
しかも、引き抜かれた『痒み棒』を名残惜しそうに腰を淫らに動かし続けている。
小白香は、その卑猥な姿に大笑いした。
昨日は、あんなに気の強そうだった沙那が、哀れに腰を動かして泣く姿は本当に愉快だ。
「勝手に腰を動かすからだ――。挿してはやるが、じっとしていよ――。張形が動くのは、わらわが動かしたときだけだ。それ以外はじっとしているのだ。じっとしていられるようになったら、動かしてやるかもしれん――これは、調教でもあるのだ。今度、許可なく動けば、また抜くからな――。それとも、じっとする訓練をするくらいなら、なにも入れない方がよいのか? どっちでもよいぞ」
小白香は意地悪く訊ねた。
このまま放置など耐えられるわけがない。
動かしてはならないという条件でも、いまの沙那は、痒みに苛まれている女陰に『痒み棒』の張形を挿して欲しいはずだ。
完全に放置されるよりは、ほんの少しでも圧迫感があれば、痒みが少しは癒える。
だが、こんなものを挿しっぱなしにすれば、痒みの成分が溶け切って、あっという間に苦痛が増してくることは間違いない。
つまり、沙那がどちらを選ぼうとも、痒み地獄が待っているということだ。
「お、お願い……、入れて……。う、動かさない……。それでいいから……」
沙那が歯を喰い縛るようにして、少しだけ開いた口からそう声を洩らした。
小白香は、すっと『痒み棒』を入れていく。
「ああっ」
沙那は感極まった声をあげて張形を受け入れた。
すぐに、張形を女陰で咥えこみ、掻痒感に疼く股間を締めたり緩めたりして癒そうとした。
「動くなと言っているであろう」
小白香は道術を込めた。
すると沙那の股間から『痒み棒』が消滅する。
「そ、そんな――」
「そんなではないわ。動いたら『痒み棒』が消滅するように道術をかけたからな。ついでに、抜けんようにもした。とにかく、痒みを解して欲しければ、まずはお預けを覚えよ――。じっとしていれば出現する――。とにかく、許可なく動くな――」
「う、うう……、わ、わかったわ……」
沙那が腰を静止させようとして、歯を喰い縛ったのがわかった。
「あっ、はあああっ――」
沙那が身体を仰け反らした。
腰を静止させたので、消滅していた『痒み棒』が女陰に出現して股間を圧迫したのだろう。
しかし、しばらくすると沙那は、また腰を動かし出した。
おそらく、意思の力ではどうにもならないのだろう。
沙那がまた無意識に腰を動かしたことで、沙那の股間からはみ出ていた張形の柄の部分が消滅した。
つまり、沙那の股間の中の張形が消えたのだ。
沙那は泣き声をあげた。
そして、沙那が腰を静止させると、また、張形が沙那の股間を圧迫して、ほんのちょっとだけ痒みを癒す。
だが、沙那がまた腰を動かすので、すぐに消えてしまう。
沙那はしばらくのあいだ、そうやって同じことを繰り返しては泣き続けた。
小白香は、あまりに浅ましいその姿に途中から笑いがとまらなくなってしまった。
同時に、小白香はいつ沙那がこれをやめると言い出すのだろうかと待っていた。
よくよく考えれば、挿入しているあいだは、張形は、ただ痒み成分を女陰の中に放出するだけだし、少しでも痒みを癒そうと動けば、張形は消滅する。
従って、冷静になれば、そんなものは挿入しない方がましなのだが、まだ、沙那はそういう選択をしようとはしない。
できないのだ――。
つまりは、沙那は思ったよりも追いつめられているということだろう。
「ところで、尻も痒いであろう? 一度だけだが掻いてやろうか?」
欲情の表情が強くなってきた沙那に小白香は声をかけた。
「か、掻いて――。お願いよ――。く、狂ったように痒いの――。な、なんとかして――」
沙那がはっとしたように顔をあげた。
小白香は、にやりと笑うと、今度は細目の『痒み棒』を持ってくる。
そして、道術で肛門の中に挿し入れた。
沙那の尻の奥に向かって、二本目の『痒み棒』が突き進んでいく。
「ほおおっ――」
沙那が感極まった声をあげた。
しかし、完全に尻の中に『痒み棒』が入ってしまうと、その快感の声が悲痛な苦痛の声に変わった。
「ああ、な、なにっ? う、動かない――。も、もっと動かして――。ああ、一度だけなんて酷い――」
沙那が暴れ出し、ついに、号泣してしまった。
しかし、これも、小白香が沙那を追いつめるための策だ。
ただ痒みに耐えるだけなら、もしかしたら、沙那は発狂するまで耐えそうな感じだった。
しかし、ただれるように痒い場所を掻いてもらう快感を覚えてしまった。
もう、この快感を知ってしまった以上、これを再び手に入れるために、なんでもするはずだ。
これも、意思の力では防ぎようがないはずだ。
締めつけることで痒みを癒せる『痒み棒』の張形を挿入されながら、少しもそれをしないというのは、意思の力では無理だ。
そして、無意識で腰を動かすと、張形は道術で消滅してしまう。
沙那の神経はずたずたになるだろう。
気の強そうなこの女が、これからどうなっていくのかが愉しみだ……。
「……お前たち、わらわは行く。今度はなにもしなくてもよい。よいか、なにもするなよ。狂わせるだけ、狂わせておけ――」
小白香は五人に振り返った。
五人がしっかりと返事をした。
「ま、待って――。い、行かないで――」
小白香がまたいなくなる気配を察したのか、沙那が慌てふためいた声をあげた。
「なんじゃ? わらわも忙しいのだ。母者のこともあるしな」
昨日から、別の場所に白象を監禁している。
そろそろ、引導を渡してやろうと思った。
痒み液を全身にかけたまま、あれからずっと放置している。
いま訊問すれば、白象はなんでも白状するだろう。
言質を取って、霊具で記録すれば、白象が三魔王軍全体を裏切ろうとしたという証拠ができる。
その記録を金凰魔王と青獅子魔王に送れば、小白香を新たなる魔王として、彼らは認めるに違いない。
いずれにしても、より霊気が強いものが魔王になるというのが、小白香たち魔王族の掟なのだ。
「あ、あんたの……魔王乗っ取りなんて……せ、成功しない……。で、でも、ち、知恵を……か、貸すから……」
沙那が気力を振り絞るように言った。
小白香は大笑いした。
「お前になにができるのだ? わらわの参謀にでもなろうというのか? 痒みが頭に回ったか? それよりも、お前が覚えるのは、“お預け”だ――。そうだ。じっとしているご褒美が、ただ『痒み棒』の張形が存在するだけだから、訓練に励みも出んのだろう……。ならば、張形が股間に存在するときには、かすかに振動して痒みがちょっとは癒えるようにしてやる。ただし、自ら動いたら張形が消えることは同じだぞ」
小白香は新たな道術を『痒み棒』の張形にかけた。
「んああああ」
沙那の全身が大きくのけ反る。
「腰も尻も動かすなよ。動かせば消えるからのう」
小白香は大笑いした。
これで、沙那は、今度は刺激を受けながら、静止するように耐えることになる。
しかし、その刺激はわずかすぎて、激しすぎる痒みを癒すには物足りないはずだ。
だから、やっぱり沙那は腰を動かしてしまうだろう。
そうやって、望みのない苦痛を際限なく繰り返すに違いない。
それにしても、小白香はおかしかった。
魔王族のことなどなにも知らない沙那が、いきなり知恵を貸してやるというのだ。
まあ、それは沙那が考えた挙げ句の交渉材料だったのだろう。
「ま、待って、あんたの……ま、魔王乗っ取りなんて……成功しない……。そ、その……計画性のない気紛れさが……だ、駄目なのよ……。あ、あんたが、よ、よく考えもせずに魔王の座を……う、奪おうとしているのは……き、聞かなくてもわ、わかるわ――。ぐ、軍は押さえたの?」
「はあ? 軍?」
突然に、言葉を喚きだした沙那を小白香は訝しんだ。
「きょ、協力する家臣は? ほ、ほかの魔王への根回しは? そ、そんなの……考えてもないでしょう? ど、どうも……あ、あんたは……き、気紛れで……、そ、そんなの……や、やりそうに……な、ないもの……。で、でも、わ、わたしに協力させてくれれば……」
痒みの苦痛が大きくなっているのか、沙那の身体と声の震えが激しくなった。
さっきもかなりの汗をかいていたのだが、それを上回る汗が沙那の裸身からどんどん吹き出している。
「お前になにができる――。それに、わらわの霊気は、母者よりも上なのだ。それだけで、魔王の資格は十分だ――。だから、わらわが魔王になるのは当たり前なのだ――」
小白香は鼻を鳴らした。
そして、小白香に忠告めいたことを言った沙那に腹が立った。
小白香に対する諫言など、魔王の白象でさえできないのだ。
それが、こんな奴隷が生意気にも……。
「そうだ、沙那……。昨日の礼がまだだったな。お前の経絡とやらの窒息責めはつらかったぞ。そのお返しをしてやる」
小白香は道術を刻んだ。
すると沙那の顔全体に絹の布が発生して、沙那の顔に巻きついた。
「んんんっ――」
顔全体に上から絹の布を巻きつけられた沙那が苦しそうに呻いた。
眼も鼻も口も絹の布で塞がれている。
顔に巻きついた絹の鼻の穴の部分が鼻水で丸く濡れ、口の部分も沙那の唇の形に唾液で染まった。
絹越しでは、満足な息ができない。
沙那が苦しそうに荒い息を始めた。
道術をかけているので、窒息することだけはないが、だんだんとそれに匹敵する苦しみを味わうはずだ。
「後で見に来る――。それが、数刻後なのか、明日なのか、それとも明後日なのかはわからんがな……。ともかく、その時には、心から『主従の誓い』をする気になっていることを期待しているぞ、沙那」
「んごおおお、むごおおおお」
絹に包まれた沙那の口が息を求めて、吠えるような声をあげた。
小白香は、『移動術』を行うために霊気を刻んだ。
沙那の悲鳴と目の前の景色があっという間に消滅した。