「さあ、おしっこするわよ、沙那ちゃん……。覚悟はいいでちゅか?」
奴隷女が沙那の顔の上に跨ってから、両手で身につけている薄物の裾を軽く持ちあげながらくすくすと笑った。
沙那の身体は、床の上から二寸(約六センチ)ほどの高さで仰向けに浮いている。
その沙那の顔を跨いで、奴隷女のひとりが股を開いて立った。
また、ほかの四人の奴隷女は、わずかに宙に浮かんだ状態のその沙那を囲んで床に座っていた。
そうやって、五人の奴隷女が、あの手この手で沙那を責め続けている。
この三日、ほとんど変化のない光景だ。
小白香は、ただひとり椅子に腰かけて、五人の奴隷女が沙那を責める光景を観察していた。
沙那の顔を跨いでいる女奴隷はもちろん、沙那を取り囲んでいるほかの四人も、裾の短い薄物のほかには下着一枚身につけていない。
沙那の眼前には、いまにも放尿しそうな女奴隷の股間が迫っているはずだ。
仰向けの姿勢を崩せない沙那は、屈辱と恐怖が混ざったような表情で、上を見あげてその奴隷女の性器を見つめている。
空中に浮かんでいる沙那は、どんなに身じろぎをしても、床を這ったりして、奴隷女の股間の下から逃げることはできない。
しかし、空中で沙那の手足がばたばたと動くのはわかるので、それでも、沙那が女奴隷の股間の下から懸命に逃げようともがいているのはわかる。
痒み責めは、この空中に浮かべた状態が一番効果がある。
どんなに身悶えしても、浮いていては、仰向けの背中を床に擦りつけることもできないからだ。
床に接触させたままだと、背中の肌が破ける程に身悶えして、その痛みで痒みを紛らわす者もいる。
しかし、道術で宙に浮かべてしまえば、どんなに身悶えしても受けられる刺激はない。
脚も肩幅ほどに開かせて道術で金縛りにしているので、内腿を擦ることすらできない。
だが、今日はまだ、痒み責めは始まっていない。
痒み責め前の儀式のようなものであり、沙那を任せている五人の奴隷女が、沙那に尿をかけていたぶろうとしていたところに、小白香がやって来たので、とりあえず好きなようにさせているところだ。
もっとも、沙那には「今日」などという時間に意味はないだろう。
食事もして、睡眠もとり、しっかりと休息をとっている小白香とは異なり、沙那の「今日」は連続して責め続けられている拷問の時間に延長にあるにすぎない。
また、沙那を拘束しているのは道術による金縛りだ。
これも痒み責めには大切だ。
縄や革紐による拘束の場合は、痒みの苦しさで暴れ回るので、大抵は縛られている部位の皮膚が破れてしまうのだ。
その痛みで痒みを紛らわすこともできる。
だが、いま沙那を拘束しているように、物理的に拘束しているものがなければ、それもできない。
だから、いくら痒みでのたうち回っても、沙那はなんの刺激も得ることはできない。
発狂するような痒みの苦しみの中で、沙那は、その苦痛で失神をするまで、痒みから逃げることができない。
いまは、まだ痒みは前回の痒み責めの失神から目覚めたばかりなので、それほど暴れ回るほどの痒みの苦しさはないはずだ。
失神のたびに、沙那の身体に塗った薬剤の痒みを中和剤で除去するように命じているから、いまは痒みはそれほどでもないのだ。
あるのは、痒み責めに対する途方もない恐怖であろう。
ただ、三日間、痒み液を足す以外は装着しっぱなしの貞操帯だけが、踊るように動き続けている。
なんだかんだと痒みはそろそろ限界ではないかもしれない……。
しかし、沙那は身体を比較的静かにさせているし、まだ苦痛に悲鳴をあげたりはしていない。
もう、弱音を吐きたくないという沙那の意地なのかもしれない。
もっとも、実は耐えているというよりは、その体力と気力がもうないというのが本音だろう。
実際のところ、本格的な痒み責めが始まった初日は、恥も外聞もなく喚き続けていた。
その方が苦しみに耐えやすいと考えていたのか、哀願でも駆け引きのような申し出でも、なんでもしきりに喋り続けていた。
しかし、昨日くらいから、あまり口を開かなくなった。
今日など、小白香がやってきてから、ほとんど喋っていない。
沙那の体力が限界なのは間違いない。
水は十分に飲ませているが、この三日、眠る以外にはこうやって責め続けるだけで、一度も満足な食事をさせていないからだ。
かなり丈夫そうな沙那もそろそろ限界のはずだ。
しかし、体力以上に限界に迫っているのは、抵抗の気力だろう。
それが、このだんまりに象徴されている。
「沙那、まだ、だんまりか? 喋らんと、今日は、失神ができないように道術をかけるぞ──。いままでは、なんだかんだと言っても、失神をしてしまえば、痒みの苦痛から逃れられた……。だが、失神防止の道術をかけられれば、それさえもできんのだぞ」
唇を喰い縛って、じっと小白香を睨んだままだった沙那が、小白香の言葉で、なにかを言いたげに口を開いた。
その顔には恐怖の色がある。
いまの沙那には、失神だけが苦痛から逃れられる唯一の道なのだ。
それすらも、いま小白香は取りあげようとしている。
そのことが沙那に恐怖を与えたのだ。
失神するまで痒み責めを受けるなど、言語を絶する苦しみだ。
しかし、その失神さえも取りあげられるとなると、沙那は逃げ場のない苦しみを受け続けなければならない。
しかし、沙那は唇を震わせるだけで、なにも言おうとはしない。
小白香は、しぶとい沙那の胆力に、ひそかに嘆息した。
「仕方がないのう……。じゃあ、今日は、失神ができなくなる道術をかけるぞ。気を失うことができるのは、わらわがそれを許したときのみだ……。失神もできずに、あの苦しみを味わい続けるのは、おそらく人として耐えられる限界を超えるのは間違いないであろうな」
小白香は道術をかけた。
「あ、ああ……。そ、そんな……そんな……」
沙那がやっと顔をしかめて呻いた。
おそらく、身体の中に新たな霊気が注がれたことで、本当に失神を防ぐ道術がかけられたことがわかったのだろう。
「では、今日も痒み責めの拷問を開始するか……。でも、その前に小便を顔で受けよ。その女が、お待ちかねだ──」
小白香はくすくすと笑った。
「……こ、殺して……。もう、殺して……」
沙那の口がまた開いた。
「殺しはせん──。お前は死ぬこともできんのだ。わらわに屈伏することをあくまでも拒むのであれば、なにも考えられん狂人にでもなるのだな。狂ってしまえば、この苦痛から解放されるやもしれんぞ──。まあ、わらわとしても、お前を狂わせて楽にするような失敗はせんがな」
小白香は、沙那の顔に跨っている女奴隷に頷いた。
「じゃあ、するわね……。沙那ちゃん、恥ずかしいから顔を隠してね」
沙那の顔の上に跨る女が、からかうような陽気な声で言った。
「大丈夫よ。また、沙那の顔に布を被せちゃうから」
一条が笑いながら沙那の顔の上に絹の布を被せた。
沙那が呻きながら、左右に顔を振る。
しかし、顔を振ったくらいでは、絹の布は沙那の顔から落ちることはない。
「ほら、たっぷりと味わってね、沙那ちゃん……」
奴隷女が放尿を始めた。
沙那の顔に乗せた絹の布に、上から注がれる小便が当たりはじめる。
顔に乗せた絹が尿で顔に張りついて、沙那の口と鼻を塞いだ。
絹の布が水分を吸うと、布が肌に密着して、息ができなくなるのだ。
「んぐううっ、んんんん」
沙那は小便を受けながら、しばらくのあいだは、懸命に布越しに尿を口と鼻で吸って、尿ととともに入ってくる息をむさぼっていた。
しかし、いくら吸っても入ってくるのは尿だけという状態になると、今度は呼吸をとめる態勢になった。
その合理的で冷静な行為が、小白香の鼻につく。
まあ、どうせ、その計算高い態度は、沙那が息をとめて耐えられる時間までのことなのだが……。
「終わったわよ、沙那ちゃん……」
放尿が終わった女奴隷が、沙那の顔からどいた。
沙那はまだ耐えている。
しかし、沙那が苦しくなるのはこれからだ。
いま、沙那は息をとめている状態だが、やがて苦しみもがくことになる。
それを待てばいい……。
だが、一度、沙那にそのまま息をとめて失神されたことがある。
気を失うまで息をとめていられるなど信じられないが、沙那はそれをやって苦痛を排除してしまうこともできるようだ。
いまは、もうそれはさせない。
そんな沙那の手のうちなど、もう簡単に奪ってしまえる。
小白香は、貞操帯の内側の触手に道術をかけて、ほんの少しの刺激を与えた。
痒みが癒えるような刺激ではない。
耐えていたものの崩壊を促すだけの小さな刺激だ。
「んごおおお」
果たして、沙那が痒みに耐えている股間に、舌で舐めるような刺激を道術で一度だけ与えると、沙那が絹の布の下でいきなり絶叫した。
すると、口と鼻の部分の布が膨らんだり、縮んだりしはじめた。
しかし、布は水を吸っているので、息は吸えないでいる。
「んんんあああ──ああああっ──んああ、んん──」
沙那がもがき始めた。
小白香は、その苦しみ悶える姿をほかの五人の奴隷女とともに、しばらく見守った。
最初の頃は、顔全体に布を巻いていたぶっていたが、それだと、小白香がいるときでないと、この布による窒息責めができない。
だから、いまでは、布責めをするときは、顔に布を被せるだけにした。
このやり方だと、小白香がいなくても、五人の奴隷女たちだけで責めを続けることができるのだ。
宙に浮かべるくらいの簡単な道術であれば、この部屋の結界の霊気を固定したままにするだけで、沙那を金縛りにして浮かべていられるが、顔に巻く布を強くしたり、緩めたりというのは、小白香がこの場にいて、霊気を操作してやらなければ無理だ。
しばらくのあいだ、沙那は金縛りで動きを制限された裸身を空中でもがき続けるような行為を続けていたが、やがて、その悶えも小さくなってきた。
沙那の顔の絹の上下の動きが小さくなる。呻きの声もあまりしなくなる。
しかし、沙那の場合は、本当に限界なのかどうかわからない。
早く、布を取り去らせるために、気絶したふりや、限界のふりをするなど、平然となんども繰り返すからだ。
「しばし、待て」
小白香は、もう一度貞操帯の中に刺激を送った。
しかし、反応はあったが、今度はそれが小さい。
いまの沙那に、股の痒みに耐える演技ができるわけがないから、本当に呼吸ができないために、死にかけているのだろう。
いまの沙那は失神はできない。
呼吸をとめられて意識がなくなるのは死ぬときだ。
「よいぞ」
小白香の言葉で、一条がさっと、沙那の顔から布を取る。
「はああっ──」
沙那が盛大に呼吸をしはじめる。
全裸の身体が大きく揺れて、激しい息を始めた。
「被せよ」
しかし、小白香は、すぐに、一条に尿で濡れた絹の布を沙那に被せ直すように命じた。
濡れた布が、沙那が大きく口を開いた状態で張りついた。
「んんんがああああ」
沙那が泣くような声をあげて、激しく顔を左右に振る。
布を顔からどけようかとするように、肩が激しく動く。
だが、腕のない沙那には、顔の布を取り去る方法がない
。懸命に顔を左右に振って、布を取ろうとしているが、それは無理だ。
濡れた布は顔の肌にぴたりと張りついて、沙那の口と鼻の穴を塞いでしまっている。
また、沙那の抵抗が弱くなったところで、小白香は一条に布を外させた。
沙那が盛大に息をするが、またすぐに載せる。
同じことを十回近くも繰り返させた。
途中で二度ほど、さらに絹の布に水をかけさせて、布を完全に湿った状態にもさせた。
布を外しても、沙那のもがきが小さくなったのを確認してから、小白香は沙那の顔の布を完全に取り去るように一条に命じた。
一条が、布を横に置いた。
「ぷはあああっ、はあ、はあ、は、はあ」
あまり動かなかった沙那の胸が、やがて大きくなり、すぐに再び盛大な呼吸を開始した。
「苦しそうじゃな、沙那……?」
小白香は沙那に声をかけた。
だが、沙那は、なにも返事をしない。
ただ荒い息を続けるだけだ。
「さっき、殺してくれと言ったであろう……。それにしては、盛大に息をしているではないか。死にたいのではなかったのか? 息をとめておれば完全に死ねるぞ」
死ぬまで呼吸をとめるなど不可能だ。
普通は、失神をするまでとめることも不可能なのだが、沙那はそれをやってしまうこともある。
だが、さっきのように、精神集中をさせないようにしてしまえば、そうやって失神で苦痛から逃げることを防げる。
身体がいうことをきかなくなるのだ。
そうなれば、もう、自分の意思で呼吸停止などできなくなり、意思ではないものが、息を吸わせてしまう。
自殺も失神もできない。
沙那の呼吸がいくらか静かになった。
呼吸をとめられた苦しみから落ち着いてきたようだ。
だが、なにかを求めるように視線で、小白香を睨みつけている。
「……まあ、生意気な目──。小白香様をそんなに見るなんて生意気よ。こうしてあげる──」
一条の反対側にいる奴隷女が、いきなり沙那の顔に自分の顔を近づけて、唇で沙那の口を塞いでしまった。
口全体で沙那の唇全体を覆ってしまったのだ。
「じゃあ、あたしは鼻を塞いじゃおうかな──。やめて欲しかったら、おしっこしなさい。そしたら、許してあげるわ」
一条が沙那の鼻を摘みながら笑いながら言った。
「んんんっ──んん──」
沙那がもがいている。
こいつらに比べれば、本来は沙那の力が強いだろうが、道術で身体を金縛りにされている沙那には、女奴隷にふたりがかりで顔を掴まれれば、抵抗はできない。
ふたりの女奴隷の狂気じみた顔責めが続く。
このふたりの目つきも、どことなく異常だ。
いや、このふたりだけではない。
ずっと、沙那を責めさせている五人の奴隷女のすべての目つきが、もうおかしくなりはじめている。
知性のある存在を知性のある者が拷問をするというのは、拷問を受けるのと同じくらい苦しい行為だ。
そういう意味で、沙那の拷問を続けさせている五人も、人を拷問するという苦しみをずっと味わい続けているはずだ。
その精神的負担が、五人をおかしくさせ始めているのかもしれない……。
この部屋にいる人間の中で、普通に食事をして、普通に眠っているのは小白香だけだ。
奴隷女たちは、この三日、睡眠も食事も交替で沙那を責め続けている。
朝も昼も夜もない。
小白香が現われるのは不規則だから、ここに閉じこもってからどのくらいの時間が経っているかは、沙那もそうだが、沙那を責め続けている五人の奴隷女にもわからなくなっているようだ。
責められている沙那は当然として、この五人の女奴隷にも疲労の色が目立つようになってきている。
「あっ、ああっ、あああああ……、もう、いやあああ……」
沙那が股間から放尿し始めた。
足側にいた奴隷が、さっと容器を出して、その沙那の尿を受けとめる。
沙那が放尿を始めたのを確認したところで、口と鼻を塞いでいたふたりが顔からどいた。
「はあっ……んはあっ……ふんんっ……」
しかし、沙那は大きく胸を上下させて息をすると同時に、おかしな甘い声をあげだした。
苦しいのとは違うようだ。いまだに放置している股間の痒みのためというのでもなさそうだ。
「なんだ?」
小白香は首を傾げた。
「ふふふ……。小白香様は、もしかしたら、沙那がおしっこをするのを見るのは初めてですか? この沙那は、いつもおしっこをするたびに、こうやって悶えるんですよ──。無理矢理に訊き出したら、以前にも、こうやって監禁されて拷問を受け続けたことがあって、そのときに、おしっこするたびに悶えるように、尿道調教されたんだそうです……」
一条がくすくすと笑いながら小白香に言った。
「ほう……。尿道調教なあ……」
小白香は、淫らな声を出しながら放尿を続ける沙那の姿に笑ってしまった。
「……さあ、採れたての新鮮な沙那ちゃんのおしっこよ……。これから、沙那ちゃんは、痒み責めを頑張って受けないといけないんだから、出した水分は戻しとこうね……」
容器に沙那の尿を集めた奴隷が、今度は横から
液体を大きい受け口から受けて、口径の小さい管に通して下に水を通す円錐状の器具だ。
「……今日もおしっこ飲むのよ。さもないと、また、鼻を摘んで苦しめるわよ、沙那」
一条が言った。
「ねえ、ついでに、あたしたちの尿も処分させましょうよ。そこの壺に集めてあるやつ……」
別の奴隷女が言った。
するとほかの四人がそれはいいと、悦びだした。
そして、五人の尿が集めてあるという壺をそばまで持ってくる。
監禁してある沙那はもちろんだが、この五人の女奴隷も、沙那が屈服するまで、この部屋でずっと寝泊りを続けるように命じている。
そのための食べ物や飲み水は、ふんだんに置いてあるし、補充もしている。
沙那を含めた六人の女の糞尿を処分するための『落とし箱』という霊具も備え付けてあるのだが、さっきの女奴隷の口ぶりだと、尿だけはその壺に集めさせているようだ。
「じゃあ、沙那の尿の次は、昨日一日分のあたしたちのおしっこだからね。最初の日みたいに、途中で吹き出したら、また大量の塩と唐辛子を溶かした水を無理矢理に注ぎ込むわよ」
一条が強い口調で沙那に言った。
どうやら、そんな責めもやったのようだ。
沙那は呻きと返事の混ざったような声をあげた。
漏斗が沙那の口に咥えさせられた。
女奴隷のひとりが、まずは、さっき採った沙那の尿を広い受け口に注いでいく。
沙那は抵抗する様子もなく、口に流れてくる自分の尿を飲み干していく。
それが終わると、今度は、別の女奴隷が、女たちの尿を集めているという壺を持ちあげて、中の尿を沙那の口に当ててる漏斗に少しずつ入れていった。
これについても、沙那は諦めたような表情で、口に入っていく尿をたんたんと飲んでいく。
痒み責めのほかにどんな責めをしているかということについて、小白香は詳しい報告を求めてなかったが、あんな風に、あの手この手で、沙那の心をすり潰すための責めを続けているのだろう。
この五人も必死のはずだ。
沙那の屈服に失敗すれば、拷問で責める立場から、罰として、今度は拷問を受ける立場に変わるからだ。
それは、五人に申し渡しているし、彼女たちへの罰は、沙那が受けている痒み責めよりも苛酷なはずだ。
なにしろ、いま沙那が受けているのは、沙那が発狂してしまうのを防ぐために、痒み責めを継続する時間を制限している。
それに比べれば、この五人が受ける罰は、発狂させるための痒み責めなので、制限時間などない。
失神しても痒みは放置されて、責めは続けられる。
そして、完全に狂うか、あるいは、衰弱して死ぬまで、痒み剤を塗られて放置されるのだ。
それを知っている五人は、必死になって沙那に残酷なことを続けているのだ。
それに比べれば、沙那については、限界まで痒み責めを続けることはできない。
沙那に痒み責めを続ける時間は、だいたい平均三刻(約三時間)というところだ。
それから、二刻(約二時間)から三刻(約三時間)休んで、また責める。
だいたいがこの繰り返しだ。
とにかく、限界を超えるまで痒み責めを続けてしまえば、この沙那は屈服する前に発狂してしまうに違いない。
数多くの女奴隷を痒み責めで発狂させてしまった経験のある小白香には、人がどの程度の痒みを受け続ければ狂ってしまうのかというのはよく知っている。
小白香は、これまで巧みに痒みを統制しながら沙那を責め続けていたつもりだ。限界までの痒みを与えてしまえば、それに耐えられると、あとは発狂させるしかなく、それでは、小白香は沙那に負けたも同じだ。
それにしても、まさか、これだけの責めに三日も耐えるとは思わなかった。
もって一日……。
どんなに気丈な女でも二日もあれば十分だと考えていた。
しかし、今日で三日目……。
それも、もうすぐ日が変わり四日目になろうとしている。
これが痒み責めを開始する前であれば、沙那の扱いについて、屈服させて、『主従の誓い』を結ばせるというような面倒はせずに、白象のように痒みで狂わせるという選択肢もあっただろう。
しかし、屈服させると決めて拷問を始め、その方針を途中で変更するというのは、小白香の敗けのような気がする。
こんな人間族の部下など、どうしても欲しいわけではないが、これは痒みを極めていると自負している小白香の意地だ。
これだけの痒み拷問に耐えるような人間族の女をなんとしても、発狂させることなく、屈服させてみせる──。
沙那がやっと女奴隷たちの尿を全部飲み終わったようだ。
漏斗が外されて、沙那が苦しそうに咳をしている。
「じゃあ、今日も始めとするぞ、沙那……。長い一日になると思うがな……。いや、一日とは限らんか……。二日、あるいは、三日になるやもしれんのう」
小白香は、椅子からおりて、五人が囲む輪の中に加わった。その右手の人差し指には、すでにたっぷりと掻痒剤が乗っている。
沙那の脚をさらに大きく開かせる。
万が一にも、腿を擦り合わさせるようなことをしないためだ。
「開始じゃ。貞操帯を外して、新しい薬剤を塗ろうぞ。愉しみにせい。それから、もう一度封印じゃ」
「ひいいっ」
沙那の眼が大きく見開いた。
一度塗られれば、あとは失神するまで痒み責めが継続されるだけだ。沙那はもうそれを骨身でわかっている。
しかも、今日は、その失神も取りあげられている。
貞操帯が消滅する。
沙那の股間が露わになる。
「今度は、どこに塗って欲しい、沙那? 尻の穴にするか? それとも、前の穴にするか? たまには、お前に決めさせてやってもよいぞ──」
小白香は無防備に開いている股間の直前で指をとめた。
沙那が呻き声をあげて、身じろぎをした。
「答えよ、沙那──。今度は、お前に決めさせてやろうと言っているのだぞ」
小白香はくすくすと喉の奥で笑った。