『移動術』で跳躍して、私室に戻ると、
「お、おねえさま、か、かゆい……かゆいの……。お、おまたがかゆいの……。おねがいします……。な、なんとかしてください……。このとおりです」
雪蘭は全裸だ。
身に着けているものといえば、首につけている首輪と両手首に巻かせている革枷、そして、最初の調教のとき以降、ずっと嵌めている小さな赤い革の下着だ。
手首の革枷は、いまは特に拘束はしていないが、革の表面についている金具と首輪の側面の金具を接続すると、簡単に両手の自由を奪うこともができる。
また、赤い革の下着は、ほかの奴隷たちに装着させている貞操帯と同じ機能を持ち、大量の痒み汁がまぶしてあって、雪蘭の股間を痒み地獄に陥らせるとともに、あらゆる内外の刺激を遮断する機能を持っている。
しかも、絶対に小白香の道術でなければ、その下着を外すことができない。
さらに、大便と小便については、装着されているものが限界に達すれば、貞操帯をしたまま便だけが身体の外に転送もされてしまう仕掛けだ。
もちろん、肌をかぶれさせたり、病原に冒されることもない。むしろ、そういうものからは完全に守ってくれる。
とにかく、従って、その気になれば、この貞操帯を一生外さなくても問題はないということだ。
だから、小白香の貞操帯を装着されてしまえば、どんなに気丈な女でも痒みの痒みに泣き狂い、小白香の奴隷に成り下がる。
これさえあれば、どんな相手でも支配できるのだ。
痒みの程度は小白香が自在にできるので、反抗的なら痒みの度合いを強くするし、従順になれば、日常生活も遅れるほどの弱い痒みに変える。
小白香の思いのままに支配できる。
あの母者の白象でさえも、当時十歳だった小白香の霊具に抵抗することができなくて、その支配に屈した。
この幼い人間族の少女も、昨日、痒みを放置された股間を掻いてやったときには、この幼い身体を悶絶して奇声をあげた。
そして、そのとき、言葉で永遠に小白香の奴隷であることを誓わせた。
いまも、下着の内側を掻いて欲しくて、全裸で土下座までしている。
霊気を帯びない人間族の奴隷だから、沙那のように『主従の誓い』という道術契約で縛ることはできないが、小白香はこの可愛らしい人間族の童女をもう手放さないと決めている。
小白香の可愛い奴隷……。
妹……。
だから、痒みで心を操る処置が有用なのだ。
完全に調教をして支配してしまえば、雪蘭も小白香から離れられなくなる……。
その小さな奴隷が、小白香の慈悲が欲しくて、全裸で土下座をしている。
雪蘭の小さくて丸いお尻が、彼女の慟哭で揺れている。
可愛らしい人形のようなこの人間族の少女が苦しくて泣いているのを眺めていると、なんともいえない恍惚感がやってくる。
だから、この小さな奴隷をもっと苛めたくなるのだ。
心がすっと温かいもので包まれるのを感じながら、小白香は足元の雪蘭の前にしゃがみ込んだ。
「挨拶もせんで、いきなり慈悲のおねだりとは、悪い子じゃな」
小白香は、雪蘭の黄金色の髪を撫ぜながら意地悪く言った。
すると、雪蘭の背中がびくりと揺れた。
「も、もうしわけありません、おねえさま──。おかえりなさいませ──」
雪蘭が泣きはらした顔をがばりとあげて言った。
その顔は、挨拶をしなかったことを咎められたことに対する怯えに染まっていた。
その表情に満足した小白香は、指で雪蘭の顎をあげさせた。
「……本当であれば、罰を与えなければならないところだが、わらわを満足させるような口づけができれば許してやるぞ、雪蘭……。教えた通りにやってみよ……」
小白香は微笑みながら言った。
本当に愛おしい……。
他人に対して、こんなに優しい気持ちになるなど、小白香は初めてだ。
しかし、この雪蘭には初めて会ったときからなにか惹かれるものがあった。
だから、ほかの奴隷たちとは違って、この小白香の私室で飼うことにした。
私室に戻れば、雪蘭が待っている。
そう思うと、煩わしい世事や唾棄したくなるような他人との関わりから解放される。
心が癒されるのだ。
ほかの奴隷や宮廷の者たちをなぶるのも愉しいのだが、こうやって雪蘭と戯れるのが一番心が休まる気がする。
「く、くちづけします、おねえさま……。お、お口をごほうししていいですか……?」
雪蘭は、小白香が教えた通りの言葉で、小白香に奉仕の許可を求めてきた。
小白香は頷いた。
同時に雪蘭をじっと眺める。
赤い革の下着をはかせた股間がしきりに動いているし、口から歯噛み殺したような小刻みな息が漏れ出ている。
とにかく、股間が痒いのであろう。
しかし、それを口には出さないのは立派だ。
下着の中は狂ったような痒みに襲われているはずであり、小白香がこの部屋にやってきた直後の様子から考えると、痒みでのたうち回っていたことは間違いない。
だが、いまはそれに耐えて、小白香の命令に従おうと頑張っていることはさすがだ。
それだけで雪蘭の必死さがわかるようで、小白香は雪蘭が愛おしくなる。
雪蘭の裸身が小白香に抱きついてきた。
そして、小白香の頬に自分の頬をすり寄せ、自分の唇で小白香の頬から口にかけての場所を愛撫するように擦る。
しばらく、雪蘭の唇が小白香の左右の頬を往復してから、次に雪蘭は、自分の唇を小白香の唇に強く押しつけてきた。
なにもかも教えた通りだ。
健気に躾けられたことを実行している雪蘭の愛おしさに、思わず雪蘭の身体を力強く抱きしめたくなるのを我慢し、小白香は腕を身体の後ろに動かす。
そうやって、雪蘭が小白香の身体に身体を預けてくるのを支える体勢にした。
雪蘭の小さくてしっとりと濡れた舌先が、小白香の唇を割って入ってくる。
その瞬間、なんだか小白香は、まるで媚薬でも飲まされたようなうっとりとした痺れを感じてしまった。
雪蘭は舌を懸命に動かして、小白香の舌先に自分の舌をからめたり、吸いあげたりを繰り返す。
そして、時折、舌で歯の裏を舐めたり、口の中の上下を擦ったりもする。
そのすべての技が、この数日で小白香が雪蘭に教えたことだ。
まだ幼い身体で、そうやって教えられた淫らな行為を忠実に実行する雪蘭は本当に可愛い。
しかも、面白いのは、そうやって口で淫靡な口づけを演じているのに、股間はぶるぶると別の生き物のように小さく動き回っているのだ。
こんな小さな娘が、股間の痒みに耐えて、懸命に奉仕を続けているのかと思うと、それだけでぞくぞくするような快感を覚える。
雪蘭の舌の奉仕を受け続けていた小白香は、我慢できなくなって両手で雪蘭の裸身を包み込むように抱いた。
小白香は、雪蘭の舌を受けながら、舌で自分の口の中の雪蘭の舌先を逆に吸い返したり、舐めたりした。すると、雪蘭の鼻息が荒くなり、だんだんと喘ぐような甘い声が洩れてくるようになる。
少しの時間、小白香は雪蘭の舌を口の中で存分に味わった。
長い接吻をやめて、雪蘭の顔を自分の顔から離したとき、小白香はいつのまにか自分の身体がすっかり上気して、股間の辺りに熱い疼きが生まれているのがわかった。
「じょ、上手になったな、雪蘭……。これは褒美をやらねばな……。下着を脱がせて股を掻いてやろう……。ただし、そなたの尻穴の調教をしてからだ。そなたの女の穴は、まだ、なにかを受け入れるには早い。だから、それは初潮が終わって、女の身体になってからがいいであろう……。だから、先に尻穴で気持ちよくなることを教えてやる……」
「お、おしり……ですか……。お、おしりが気持ちいいって……?」
雪蘭は痒みに汗びっしょりの顔をしかめながらも、きょとんとしている。
尻で味わう快感というのがよくわからないのだろう。
「ふふふ……。実は、これは誰にも内緒だがな……。実は、わらわも自慰をするときは、後ろの穴を使うのだ。前の穴は、まだ怖いからな……。だが、痒みを我慢して我慢して、我慢の後にする自慰は、それはそれは気持ちいぞ。それが痒みの向こう側の快感というのだ。だが、雪蘭はまずはお尻じゃ」
「わ、わかりました、おねえさま……。雪蘭はお尻で気持ちいいことをおぼえます。だ、だから、そのあとで……。ああ……。本当はかゆいんです。お、お尻がおわったら、どうか、お、お股をかいてくれませんか。お、おねがいです……」
まだ、小白香に抱かれたままの雪蘭が切なそうな声をあげた。
ふと見ると、相変わらず赤い下着をはかせた股間がせわしなく動いている。
いくら動かしても股に刺激が伝わることはないのだが、そうしなければ耐えられないのだろう。
「ふふふ……。雪蘭様はずっと小白香様に会いたくて泣いてばかりだったんですよ。よかったわね、雪蘭様……。おねえさまにやっと会えてね」
部屋の隅から声がした。
この雪蘭の調教係を命じた女奴隷は、雪蘭が監禁部屋からこっちに移るにあたって、一緒についてこさせた。
いまでは、雪蘭の調教係というよりは、雪蘭の侍女のような感じになっているが、本人もそれをわきまえて、小白香がいないときの雪蘭の世話をしっかりとやっている。
いまも、雪蘭のことを“雪蘭様”と呼んだ。小愛に命じたのは、雪蘭の調教係なのだから、本当は小愛は雪蘭を呼び捨てにして、奴隷に相応しい扱いをしなければならないのだが、小愛は絶対にそんなことはしない。
逐一、指示をされなくても、小愛は、小白香が雪蘭をどんな風に扱いたいかをわかっているのだ。
そうやって、自分の分際をちゃんとわきまえる小愛の賢さに、小白香はすっかりと満足していた。
雪蘭も優しい小愛にすっかりと懐いたような気配でもある。
近くで使うようになって気がついたが、小愛は、本当に機転のきく、頭のいい女だ。
心配りは最高だし、仕事もできる。
確か、白象がどこかからか連れてきた性奴隷なのだが、一介の性奴隷にしておくのは惜しいくらいだ。
「は、はい、うれしいです、小愛さん」
雪蘭は後ろを振り返って言った。
実は、雪蘭には、小愛を呼び捨てにするように命じていた。
しかし、雪蘭は、それを拒んで丁寧な言葉遣いを小愛にする。
そういうところも、雪蘭は可愛らしい。
「ふん──。股を掻いてもらいたくて、待っておったんであろう? わらわのことなど、待っている者がおるわけないわい」
小白香はわざとらしく拗ねて見せた。
「そ、そんなことはありません。雪蘭は、やさしいおねえさまにかわれてもらえることに感謝しています。こわいまもののところにつれていかれて、ころされると思っていましたから、こんなにやさしいおねえさまが雪蘭のかい主になってくれてよかったです」
小白香の膝の上の雪蘭が慌てたように言った。
「嘘でもうれしいのう」
小白香は微笑んだ。
「う、うそじゃありません、おねえさま。い、いまのは本当です」
「そうか? それなら、わらわに会えただけで満足したのであろうから、今夜は、股に対する慈悲はなしでいいの?」
小白香は意地悪く言った。
すると雪蘭が引きつったように押し黙ってしまった。
にこにこと笑っている雪蘭もいいが、怯えたり泣いたりする雪蘭は、もっといい。
だから、余計に意地悪や嗜虐をしたくなるのかもしれない。
「わ、わかりました……。きょ、きょうは慈悲はいりません……。つ、つらいけど、がまんします。だ、だから、雪蘭が言ったことが本当であることをしんじてください……。だ、だから、雪蘭をもうどこにもやらないでください。ずっと、ずっと、おねえさまのところにおいてください……。雪蘭はおねえさまのことが、す、すきです──」
雪蘭が悲壮な決意でも語るかのような真剣な顔つきで言った。小白香は驚いてしまった。
「本当に慈悲がいらんのか? 股ぐらは痒くはないのか?」
「か、かゆくて死にそうです……。で、でも、もう、だれかと別れたり、だれかがころされたりするのはもっといや──。ほかの知らない人のどれいになるのもいやです。雪蘭は、おねえさまのどれいがいいです。おねえさまはやさしいし……。もっと、こわい人のどれいになると思っていたけど、おねえさまでよかったです」
雪蘭がまくしたてた。
小白香は本当に驚いてしまった。
「わ、わらわが優しいだと? こんな酷いことをお前にしているわらわをか?」
小白香は呆れて、雪蘭の赤い靴を指さした。
まだ十二歳の小白香だが、我ながら、自分よりも酷薄で残酷な心を抱く者はこの世にいないと思っている。
そんな自分を優しいなどという思う気持ちはどこから出てくるのだろう?
ましてや、いま、この瞬間にも小白香は、癒せない股間の痒みを雪蘭に与えて苦しめている。
その小白香を優しいと言ったのか?
小白香はまじまじと雪蘭の顔を見たが、その表情は、適当なおべっかを喋っているような感じではなく、心からの真摯な感情を吐き出しているようにしか思えない。
「ゆ、雪蘭にはわかります……。むかしから、なぜか、雪蘭のことを本当にすきな人とそうでない人がわかるんです。おねえさまは、雪蘭をすきだと思ってくれています……。こ、この靴は、ひ、ひどいし、かゆくて死にそうです……。で、でも、おねえさまも同じなんでしょう? 一緒なんでしょう? これは、とても気持ちがいいこと……、“かゆみの向こう側”を雪蘭に教えてくれるためにやってくださっているのでしょう? だ、だったら、雪蘭も頑張っておぼえます」
「雪蘭?」
雪蘭は必死の表情だ。
小白香はたじろぎさえ覚えてしまった。
「つ、つらいけど、がまんしておねえさまのいう“かゆみの向こう側”をおぼえますから、おねえさまのおそばにおいてください──。も、もう雪蘭には、どこにもいくところはないんです。そ、それに、おねえさまはさみしそうな人──。どうか、雪蘭をおねえさまのそばにいさせてください」
雪蘭がしくしくと泣きだした。
小白香が雪蘭を想うのと同じように、雪蘭も小白香を想ってくれていたということに、小白香は感動してしまった。
しかし、ふと気がついて、部屋の隅に座っている小愛を睨んだ。
「お前が、こう言えば、わらわが悦ぶと入れ知恵したか、小愛?」
「ま、まさか──。あたしも、雪蘭様がそんな風に思っているなんて……」
小愛も唖然とした顔で左右に首を振った。
なにかを隠しているという様子ではない。
小白香は、雪蘭に視線を戻した。
「わらわの愛し方はなかなかに激しいぞ。愛していると苛めたくなるのだ──。自分自身でも呆れるが、わらわは業が強いのだと思うぞ」
「だ、だったら、いじめてください、おねえさま──。お、おねえさまだったら、いじめられたいです」
雪蘭ははっきりと言った。
小白香は、今度こそ本当に雪蘭が心の底から愛おしくなり、力強く雪蘭を抱いた。
自分は決して、この女奴隷を手放さない。
そう決心した──。
「ならば、苛めてやろうぞ。さっきも言ったが、今日は尻の調教をするぞ。では、膝立ちをして肩を床につけるのだ。そして、尻をこっちに向けて、じっとしていよ──」
小白香は命じた。
「は、はい……」
雪蘭が言われたとおりの格好になる。
小さな雪蘭のお尻がこっちを向き、うつ伏せになって肩と顔を床につけた。
小白香は、雪蘭の両手首の枷を首輪の後ろに回させて、金具で接続した。
これで雪蘭は腕を首輪の後ろから動かせなくなった。
それでもしきりに腰だけは動いている。
痒いのだろう。
「雪蘭、じっとしていよと命じたはずだぞ。そのうっとしく腰を動かすのをやめんか──」
小白香は意地悪く言った。
相手が愛おしいと、さらに苛めたくなるのが小白香の悪い性分だが、特に雪蘭の場合はそうだ。
雪蘭が下着の内側が怖ろしい痒みに襲われているのはわかる。
本当は転げまわりたいくらいに痒いはずだ。
いまのように、身体を静止させていることだけでも大したことだとは思う。
しかし、そうやって苛めたくて仕方がなくなるのだ。
「は、はい……。ご、ごめんなさい、おねえさま──」
雪蘭が叫んだ。
するとぴたりと腰がとまった。
だが、見ていると、だんだんともじもじと動き出してくる。
同時に、雪蘭の全身から信じられないくらいの脂汗が流れてきた。
いま、雪蘭は限界を超えて痒みと戦っているのであろう。
それがあの汗なのだ。
まだ動いているお尻を微笑みながら小白香は眺めた。
「くっ……ふっ……ふっ……」
雪蘭の苦しそうな必死の吐息が続いている。
小白香は満足した。
雪蘭を部屋の真ん中に拘束した小白香は、一度立ちあがり、戸棚から朱塗りの四角い箱を取り出してきた。
その中には、調教道具一式があり、小白香はその中から小さな壺を取りだした。
「雪蘭、わかるか? これはお前のお尻がとても痒くなる薬だ。痒くなるだけではなく、とても気持ちもよくなるはずであるがな……。これを塗ってやるぞ……。さあ、さっきの言葉を後悔しても遅いぞ──。まあ、後悔しても、雪蘭はわらわに尻穴を調教されることに変わりはないのだがな」
小白香は、壺から粘性の薬剤をたっぷりと指ですくい取って雪蘭の顔の前に示した。
「こ、こうかい……しません──。お、お願いします、おねえさま──」
まだ幼さの残る雪蘭が顔を床につけて、尻を高くあげた格好のままで言った。
ふと見ると、赤い下着に包まれた雪蘭の腰が、せわしなく動き続けている。
昨日癒してやったばかりだから、まだ耐えられないほどでもないはずだが、人間族の貴族の娘として清潔な環境で育った雪蘭の身体は、染みひとつない真っ白な肌だった。
おそらく、これまでの人生で、一度も痒みの苦しみなど味わったことがなかったに違いない。
さすがに雪蘭に与えているのは、小白香としては最弱の痒み剤であるが、それでも、痒みに耐性のない身体では、わずか一日といえども、股間の痒みは、泣き叫びたいほどのものに違いない。
それでも耐えてみせるという……。
その健気さに小白香は、雪蘭を本当に愛しく思う。
「この箱の中に、三本の尻責めの棒があるが、今日は一番細い物しか使わぬ。わらわの道術でこのままでも棒を呑み込めるようになる。それを半分まで飲み込めたら、股間を癒してやるぞ、雪蘭」
「あ、ありがとうございます。が、がんばります……」
雪蘭が息を吐きながら言った。
「うむ……」
小白香は満足して、小白香に向けられている雪蘭の肛門を薬剤が載っている指先でまさぐりだした。
貞操帯でも、この下着でも、小白香だけは革の内側にそのまま指を送ることができる。転送術の応用だが、これも小白香にしかできない道術だ。
得体の知れない薬剤を尻穴に塗られる刺激に、一度雪蘭はびくりと身体を跳ねさせた。
しかし、それでも小白香は念入りに薬剤を肛門の外側と内側に塗り伸ばしていく。
塗られているあいだ、雪蘭の膝立ちの太腿はぶるぶると痙攣し、口からは噛み殺したような小さな喘ぎ声が洩れた。
そのとき、不意になにかが、小白香の視界を遮った。
顔をあげると、拳ほどの球体が目の前に浮かんでいる。
宮廷府から発信された緊急通信用の『通信球』だ。それが、道術で小白香の前に送られてきたようだ。
『通信球』とは、この離宮と本殿である宮殿側を繋ぐ連絡用の道術であり、宰相の
『通信球』を小白香が弾くと、通信した伝言が音声として小白香に伝わるという霊具だ。
白象もそうだったが、小白香も宮廷府の者が離宮にくることは、伝令といえども許していない。
それで、こうやって、どうしても知らせなけらればならない内容があれば、『通信球』を使う。
『通信球』は、小白香が離宮のどこにいようとも、小白香を探して、目前に出現する仕組みになっている。
『通信球』の内容は弾かなければわからないが、その重要度は、宙に浮かぶ球体の色によって伝わるようになっている。
突然に目の前に出現した『通信球』の色は、最重要であることを表す“金”色だ。
だが、小白香は放っておいた。
雪蘭の肛門に完全に薬剤の塗り伸ばしが終わると、小白香はその効果が現われるのを待つ態勢になった。
薬剤は即効性だ。
だんだんと雪蘭の身体がほんのりと赤くなり、幼い腰が淫らに動き出した。
さらに待つと、全身が真っ赤になって、せわしなく動いていた腰の動きが、身体全体に伝道したかのように、雪蘭の全身が激しく動きだした。
「……あ、あのう……、小白香様……。『通信球』が……」
小愛の遠慮がちの声が部屋に響いた。
「構わん──。用件はわかっておる。どうせ、宮廷府側に連絡をせよというのであろう──。百眼女にも『貞操帯』をそういえば装着かせたからな。我慢できなくなって、掻いてくれと泣きついてきたのであろう──。そういえば、もう、一日経つしな。そろそろ、痒みで狂い出す頃だ──」
小白香は、あの真面目で整った顔立ちの百眼女が、貞操帯の痒みで取り乱す光景を想像してほくそ笑んだ。
あっちは、雪蘭に使っている痒み剤の五倍は痒いものだが、まあ、まだ今日は早いであろう。
明日の夜か、明後日──。
完全に股間の痒みに狂わせてから、たっぷりといたぶりながら股間の痒みを癒してやろうと思う。
それで、二度と生意気な口を小白香にきこうという気にはならなくなるだろう。
「で、でも、最重要の緊急用の『通信球』ですが、本当によろしいのですか……? 奴隷の分際をわきまえず、このようなことを言うのは、万死に値する不敬とは存じておりますが……」
小愛はなおも言った。
小白香は、奴隷である小愛が小白香に対して、諫言のような物言いをしたことに気がついた。
怒りよりも驚きがまさった。
思わず顔をあげて、小愛を見た。
小愛の表情は真剣だった。
戯れに口を挟んだという感じではなく、覚悟の言葉という感じだ。
小白香は、小愛の意外な面を見るような思いで、しばらく、小愛をじっと眺めた。
小愛自身が言ったように、『通信球』の連絡など、奴隷には関係のないことであり、それに言及することは、奴隷としての掟違反だ。
本来は、死刑に相当する行動なのだ。
「まあよい……」
小白香は、指で『通信球』を突いた。
通信球が弾けて、道術で送られた伝言が小白香の頭の中に流れてきた。
『通信球』には、そのまま音声を周囲に流すものと、伝言を相手の頭の中だけに流すものがある。送られてきた『通信球』は後者のかたちだったようだ。
“小白香陛下──。ただちに、こちらにお越しください。緊急の伝言が金凰宮から届いております”
頭の中に響いたのは、やはり、百眼女の声だった。
金凰宮からの伝言ということであれば、白象の処刑を認めるという伝言に決まっている。
白象が金凰魔王の暗殺を企てた証拠の『真実の石』は、二日前に道術で金凰宮に送っている。
その返事だろう。
『真実の石』とともに、小白香が魔王の地位を継ぐことは知らせている。
金凰魔王の伝言の予想はついているのだから、すぐに行く必要はない。
「さて、では、そろそろ、始めるとするかのう、雪蘭……。まずは、鳥の羽根で物欲しそうにうごめいているお前の尻の穴をくすぐってやるぞ。これも、わらわの道術で革の内側に刺激を転送してやる。だが、動くなよ……」
すぐに指でほぐしてやろうかと思ったが、雪蘭がだんだんとせりあがってきた痒みに苦しそうにもがき出したので、少し気が変わった。
もっと、雪蘭の泣き声を聞いてから尻穴を調教してやろうと思ったのだ。
小白香は、道具箱から羽根を取り出すと、その柔らかい羽根で、こっちを向いている雪蘭の尻の亀裂を革の下着の上から上下に擦ってやった。
雪蘭には、与える刺激が下着の内側に伝わっているはずだ。
剥き出しの尻を責められるのと変わりはない。
「ひゃあ、ひゃっ──。そ、そんな、おねえさま──ふうううっ──」
「雪蘭、どうだ、気分は?」
「も、もう、そんなのがまんできません……。ああっ、く、くすぐったい──ひゃあっ──」
雪蘭の身体が激しく悶えだす。
それでも、精一杯動かないように頑張っているのだろう。
羽根を休めると、跳ねていた尻が動きをとめて、なにかに耐えるようにふるふると震えるだけになる。
その尻をさっと、埃でも払うように撫でてやる。
すると、雪蘭が噛み殺した悲鳴をあげて、じっと耐えていた身体が、びくりと大きく跳ねあがるのだ。
それが面白くて、しばらくのあいだ、小白香は鳥の羽根で雪蘭の肛門をなぶり続けた。
すると、いきなり、また眼の前に『通信球』が出現した。
興を冷まされた気持ちになった小白香は、不快になった。
さっきの『通信球』を小白香が開いたことは、百眼女にも伝わっている。
『通信球』を小白香が確かに開いたという信号が、向こうに伝わるからだ。
それなにの、小白香が、宮廷府に連絡をしないことで、苛立った百眼女がまた『通信球』を送って寄越したに違いない。
なんだか、魔王である自分に対して、宰相風情が、早く連絡をしろと命令をしているようで、小白香はむっとした。
小白香は、雪蘭への責めを中断して、『通信球』を開いた。
果たして、伝言の内容は、さっきとまったく同じだった。
苛立った小白香は、『通信球』を今度は、こちらから作った。
「いま取り込み中だ──。今度、邪魔をすると、お前を奴隷に陥すぞ、百眼女──」
できあがった『通信球』に、いま喋った声を言の葉として念を込める。
それを道術で送った。
「……お、おねえさま、せ、雪蘭のことは、ほうっておいて、おしごとをされてください──。せ、雪蘭はこのまま、まっていますから──」
雪蘭が顔だけこっちに向けて言った。
その表情は媚薬に苛まれて苦しそうだが、悲壮な決心も浮かんでいる。
「……お前はそんなことを心配せずともよいのだ、雪蘭──。それに、このまま、我慢などできるはずもあるまい」
雪蘭の尻には、すでに痒み効果のある媚薬を塗りたくっている。このまま、放置責めにするのは、まだ雪蘭にはつらすぎるだろう。
腰だって、いつの間にか動くなという命令を忘れたように、ぶるぶると腰を動かし続けている。
小白香はほくそ笑んで、雪蘭の肛門をまた羽根でくすぐった。
「きゃふううう──」
雪蘭は吠えるような悲鳴をあげて、背中を反り返らせた。