朱姫の唇が
同時に朱姫の指が李姫の股間の下着の上をまさぐっている。
いつの間にか、寝着の左右はすっかりと拡げられて、股布が露わになっていた。
その布越しに朱姫の指が這いまわる。
「んんんっ」
李姫は苦しくて、朱姫の唇から顔を離そうとした。
しかし、朱姫の腕と身体がしっかりと李姫の身体を押さえつけている。
そして、舌は李姫の口の中を這い回り、唾液を送り込み、李姫の舌をとらえてねっとりと吸いあげてくる。
そのあいだ、布の上から肉芽をくすぐられ、女陰をくつろげるように刺激されている。
もう、考えることなんてできない。
抵抗しようにも、後ろ手に拘束されている李姫にはなにもできない。
それに、抵抗しようという気持ちは、まったく李姫には湧いてこない。
それよりも、身体が与えられる快感を求めている。
耐えていたものを一気に取り払われた。
そんな気持ちだ。
全身が熱い……。
もっと、欲しい……。
李姫は悶え泣きたいような欲情の中に、あっという間に引きずり込まれた。
「ふふふ……。あたしにはわかるんですよ、李姫……。あなたは、もうすっかりと被虐の性の虜になってしまったんです。こうなってしまっては、もう逃げられないですよ……。諦めるんです。受け入れると楽になります……。でも、外見では抵抗するんです……。その方が燃えるわ……。心では嫌がるのに、身体の自由を奪われて、どうしようもなく欲情させられると想像するんです……。自分がそうなっていると、想像してください、李姫……。それが好きなんでしょう……」
朱姫は唇を離して耳元でささやいた。
いま、自分は犯されている。
犯されたくないのに、身体を汚されようとしている──。
そう、想像した。
すると、得体の知れない欲情が全身から沸き起こって、李姫の身体を震わせた。
「やっぱり、思った通りですね……。ほら、もっと、抵抗するんですよ。嫌がる演技をして、李姫……。そうしたら、もっと興奮すると思うわ」
朱姫の片手がさっと寝着の紐に伸びる。
まるで道術でもあるかのように、あっという間に寝着の左右が完全にはだけられる。
寝着の下は、腰にはく下着だけだ。
胸当てのようなものは身に着けていない。
乳房が外気に触れる。
「だ、だめ……」
李姫は言った。
「そうよ……。その調子……」
朱姫が顔を移動させて、李姫の胸の膨らみに軽く口づけをしてから、先端の乳首を口に含んだ。
「ふううっ」
李姫は込みあがった劣情に耐えられずに両肩を跳ねあげた。
「ほらっ、もっと抵抗しないと、けがらわしい呪われた半妖の女に、身体を弄ばれますよ」
朱姫が一度口を離して、今度は舌で首筋から胸元にかけて舐めおろした。
そして、ずっと布越しに弄っていた股間の手を今度は下着の中に差し込んだ。
「ふわああっ……。き、気持ちいいです、しゅ、朱姫お姉様……。け、けがらわしいなんて……。あああっ──」
李姫は声をあげた。
たった一度だけだが、最初に朱姫が半妖だと聞かされたとき、李姫は、思わず“呪われた子”だと呟いてしまった。
それをずっと後悔している。
朱姫にそんな風に差別意識を抱いたことは断じてない。
しかし、半妖の存在をそういう決まり言葉と結びつけてずっと教えられていたので、あのとき、ぽろりと口から出てしまったのだ。
あれから何度も謝ったが、そのたびに朱姫は許すと言い、その代わり、いまのように笑って李姫を手酷く責めたてた。
それであのときの溝はすっかりなくなったと思う。
「いいんですよ、李姫……。けがらわしくて、呪われた存在で……。それよりも、そんな女に、縛られて苛められていると想像するんです……。李姫のことは、なにもかもお見通しなんです。貞女さんにしても、あなたにしても、どうして、色々なことを面倒くさく考えるのかしらね……。お互いに抱きたくなったら、抱き合えばいいのに……。貴族だろうが、召使いだろうが……、半妖だろうが、こうやって剥いてしまえば、ただの雌なのよ……。みんな一緒……」
朱姫が李姫の股間からさっと下着を抜き取った。
「ふふ……。すっかりと濡れている。ほらっ、李姫は淫乱な雌犬です。こうやって、拘束されて抱かれると興奮するんです。そうでしょう? 自分でもわかっているんでしょう? 李姫は雌犬。淫乱な女になったんです──。しかも、実は、こんな風に女同士で愛し合うのが大好きなの──。それを認めるんです──」
「り、李姫は……女同士で愛し合うのが好き……」
「そうよ、李姫……。李姫はそういう娘なんです。女同士で愛し合うのが好き……」
「あ、ああ……。李姫は朱姫お姉様が好き……。朱姫お姉様にこうやって愛されるのが好きです。貞女も……、いえ、貞女お姉様にも愛されたい──」
「そうよ……。もっと楽になるんです。女同士で愛し合うのが好きともう一度言うんです……」
朱姫のささやくような言葉が全身に沁み通る気がする。
言葉に酔うような心地になり、頭がぼんやりしてくる。
李姫は淫乱で、女同士で抱き合うのが大好き……。
朱姫が繰り返す言葉が頭に響く。
その言葉を口に出して繰り返すと、気持ちが楽になる。
「ほら、自分の言葉で興奮してきたでしょう? ここが、凄い蜜ですよ……」
「はああ──」
朱姫が李姫の股間をまさぐって、股間の淫液をすくうような仕草をした。
李姫は声をあげた。
朱姫の言う通りに、股間が熱く燃えているのは自分でもわかる。
そして、朱姫がたったいま言ったことは、この数日李姫自身が悩んでいることだった。
自分は淫乱だ。
そのことを自覚せずにはいられなかった。
しかし、そのことを打ち明けて、身体を慰めてもらいたかった貞女は、ずっと素っ気ない態度でしか自分に接してくれなかった。
それが李姫を悲しくさせた。
李姫が凄く愚かな人間になったような気にさせた……。
しかし、違う……。
淫乱でいいのだ……。
女同士で愛し合うのが好きでいいのだ……。
そう思うと楽になった。
心のもやもやがすっきりと晴れた。
「ほらっ、雌犬だって言うのよ、李姫──。言わないと、こうよ──」
「ひぐうっ──。い、痛い──。や、やめて──」
李姫は絶叫した。
いきなり朱姫が肉芽をつねるように刺激したのだ。李姫は激痛で全身を跳ねあげた。
「さあ、言いなさい──。自分は雌犬だというのよ、お前──」
「はがああっ──。言う。言うから、やめて──」
また肉芽をつねりあげられた。
李姫は、あまりの痛さに、ぼろぼろと涙をこぼした。
「こんなものじゃあ、まだまだ、この朱姫様の責めとしては、大したことはありませんよ。貞女さんなんて、もっと酷い目に遭っているんですから……。さあ、もう一度、ここを強くつねられたくなければ、早く、言いつけに従った方がいいんじゃないんですか、李姫?」
朱姫がまた李姫の肉芽をぐいと掴むような感覚が襲った。
「ひ、ひいっ──。め、雌犬です──。李姫はいやらしい雌犬です──」
慌てて李姫は声をあげた。
「……そうよ。お前たちは雌犬よ。それをあなたも貞女も忘れないのよ。じゃあ、これからは、自分のことを雌犬と呼びなさい──。そうすれば、もう、自分の本当の望みを忘れないですむわ」
朱姫が言った。
李姫はまるで人が変わったように嗜虐的な性愛をしてくる朱姫を思わず見た。
しかし、その眼は笑っているようで、また、本当にこの嗜虐に酔っているような雰囲気もある。
演技なのか、演技でないのかわからない朱姫の様子に、なんだか李姫は恐怖を覚えてきた。
それにしても、いま朱姫は、貞女にもなにかをしているとを仄めかさなかったか……?
一体全体、どういうこと……?
だが、李姫の思念は吹き飛んだ。
次の瞬間、いきなり頬が張られたのだ。
それほどに強い力ではなかったが、李姫は朱姫が頬を叩いたということに衝撃を受けてしまった。
「ほらっ、雌犬、返事は──?」
朱姫が怖い顔で睨んでいる。
「わ、わかりました──。わ、わたしは、雌犬です──」
びっくりして言った。
すると、朱姫がにっこりと微笑んだ。
「いい子ね……。じゃあ、ご褒美ですよ、雌犬」
朱姫の指が本格的に股間を刺激し始めた。
舌で乳房を舐めあげられ、下半身の亀裂に指が這いまわる。
たちまちに熱い劣情が迸ったが、その李姫の心をかわすように、朱姫の指は巧みに責める場所を微妙に変化させる。
朱姫の責める場所は女陰ばかりではない。
その上の敏感な肉芽や、その下の恥ずかしい菊門までも責めたてるのだ。
しかも、舌は乳房から始まって、上半身のあらゆる部分を這い回る。
やがて、朱姫の舌は李姫の耳元をぺろぺろと舐めだした。
耳が弱い李姫は、悲鳴をあげてよがった。
朱姫の上手な手管に、あっという間に李姫は、絶頂の高みに燃えあがらされた。
「い、いくうっ、朱姫お姉様──。この雌犬はいくっ──。いっていいですか──あはああっ──」
自分ことを“雌犬”と呼べと言われたのを思い出して、李姫はそう言った。
しかし、それで、自分の身体がさらに熱くなる感触を李姫は味わった。
「いくらでも、いくといいわ、雌犬……。それがあなたたちの心を解除する言葉の鍵よ。よく覚えるのよ……。これからは、“雌犬”という言葉を耳にするたびに、欲情するようになるわ」
朱姫が言った。
なぜか、朱姫の言葉で本当に股間が異常に熱くなる。
心がなにかに操られているような感触が襲う。
そして、朱姫が李姫を刺激する手を速くした。
李姫は、込みあがった官能の波に耐えられずに、腰をがくがくと揺さぶりながら絶頂した。
「さっそく、一回目ね……。じゃあ、凄い体験をさせてあげますね……。半刻(約三十分)で、十回以上の気をやるという経験は、まだ李姫はないですよね……それをしてあげるわ。さあ、快感の果てにいきましょう……」
朱姫がくすくすと笑った。
いままでの意地の悪い笑い方ではない。
本当に愉しそうな朱姫の笑いだ。
なんだか、その笑い声にほっとした。
しかし、朱姫の愛撫が再び始まり、次の瞬間、李姫は電撃のような衝撃を受けて、もうなにも考えることができなくなった。
「さあ、雌犬、いきなさい」
その言葉が合図であるかのように、急に快感の大きな波が李姫を襲い、李姫は呆気なく二度目の絶頂を迎えていた。