※この作品はR-18です。

嗜虐西遊記【完結】   作:ドン・ドナシアン

552 / 819
552 主従愛の覚悟

「黙って、息を切らせているだけじゃあ、いつまで経っても終わりませんよ。ちゃんと、心を合わせて、一緒に気をやるんです」

 

 朱姫は、双頭の張形の霊具に女陰と女陰を繋げられて、激しく腰を動かし続けている李姫(りき)と貞女(さだじょ)に声をかけた。

 だが、もう、ふたりとも朱姫の声など、耳に入っていないのかもしれない。

 胡坐縛りの腰を高くあげて後ろから張形を挿し貫かれている貞女と、その貞女を背後から張形で犯している李姫は、ふたりの腰と腰をぴったりと密着させて、全身にびっしょりの汗をかきながら、荒々しく悶え続けている。

 同じ張形の両端に女陰を挿し貫かれているふたりは、一緒に昇り詰めるという条件をなかなか果たすことができずに、それぞれにかなりの回数の気をやって、いまだにああやって、お互いの身体をむさぼり合っている。

 

 休むこともできない。

 双頭の張形自体が微妙な振動をしており、ふたりの股間に刺激を与え続けている。

 もう性感があがりきっているふたりには、女陰に咥えこんでいる張形から受ける振動は、なにもしなくても、ふたりに絶頂の快感を与えるのに十分な刺激のはずだ。

 しかも、朱姫は、さらにあの双頭の張形の振動がだんだんと強くなるようにも細工している。

 

 おそらく、いまは最高振動だ。

 その証拠にふたりが達するまでの間隔がどんどん短くなっている。

 だから、ふたりは休むことなく、心を合わせて同時に達するということをどうしても成功しなければならない。

 しかしこれによって、最初はまだ遠慮がちだったふたりの性愛も、もはや、獣のような激しさを醸し出すようになっている気もする。

 まるで凶暴な発作を起こした雌と雌がお互いの身体を責め合うように、腰を擦り合い、押し揉み合って、大きな声で吠え続けている。

 

「ほおおっ、ほおおっ、気持ちいいいいいっ……なにもかも気持ちいいです……。さ、貞女お姉様、今度こそ一緒に──」

 

「はああああ──り、李姫──李姫、素敵──素敵よう──」

 

 ふたりは、お互いの愛の言葉を叫び合って激しく裸身を揺さぶっている。

 やはり、もはや、このふたりのあいだには、朱姫などいないかのようだ。

 おそらく、いま、李姫と貞女は、ふたりだけの世界に完全に入っている。

 性愛という行為を通じて、ふたりはやっと心を改めて結びつけ合った。

 朱姫はそれを確信していた。

 

 今日の昼間、貞女の手引きによって、李媛の新しい邸宅に侵入することにやっと成功した朱姫は、まずは、邸宅の中に『移動術』の結界を刻み、そこからここに貞女とともに移動して話をした。

 そのとき、朱姫は貞女に、明日には、仲間を追うために獅駝嶺(しだれい)に向かうことを告げた。

 すると、貞女から、李姫との関係について、初めて相談を受けたのだ。

 貞女の悩みは、朱姫に言わせれば、まったく悩む必要のない馬鹿馬鹿しい話だった。

 青獅子の魔王宮で性調教を受けた期間の中で、貞女も李姫もお互いをしっかりと性愛の相手として認める関係になってしまった。

 それについては、朱姫の存在が過分に影響しているのであるが……。

 

 いずれにしても、朱姫もそのふたりの関係の中に含まれていたのだから、はっきりと、それを確信していた。

 あの性調教の日々の中で、このふたりは確かに愛し合っていた。

 

 女同士であろうと……。

 

 それが最初は亜人たちから嘲笑されながらの強制的なものがきっかけであったとしても……。

 

 亜人の性奴隷になるという特殊な状況という異常環境の中のことであろうとも……。

 

 ふたりは愛し合っていた。

 それは、朱姫の感情を読めるという能力からも確かだった。

 だが、突然にこのふたりは、亜人に飼われて性調教されるという日々から解放された。

 そして、心の整理をすることなしに、元通りの令嬢とそれに仕える侍女という関係に戻った。

 それで、これからのふたりの関係をどう整理すべきか、お互いに悩んでしまったのだ。

 

 朱姫に言わせれば、貴族だろうが、元貴族だろうが、庶民だろうが関係はない。好きなら好きでいいのだ。

 身体が火照って求め合いたくなれば、求めればいい──。

 それだけのことなのだ。

 

 しかし、貞女はそれを躊躇していた。

 それは大恩あるという李媛(りえん)に、ふたりの百合の関係を禁止されたからというのもあった。

 李媛は、貞女と李姫が女同士で愛し合う関係になったことを十分に知っており、ふたりのそういう関係を続けないようにと貞女に申し渡したのだ。

 貞女は、李媛の命令と自分の気持ちの板挟みになって苦しんだ。

 ましてや、当の李姫が、貞女との性愛の関係を求めているのが丸わかりなだけに、余計に混乱してしまったようだ。

 

 一方で、あの李媛は、朱姫にも、李姫との絶交を求めていた。

 獅駝の城郭で異変のあった日の翌日、朱姫は、李姫や貞女と会うために、李媛たちが移り住んだ新しい邸宅を訪ねたのだ。

 

 しかし、門から中に入ることも許されず、衛兵の詰所に連れていかれ、そこにやってきた李媛から、厳しい顔で三日以内に獅駝の城郭から出て行けと言われたのだ。

 さもなければ、亜人追放令によって、朱姫を容赦なく捕縛するとも……。

 李姫や貞女に面会することも駄目だと言われた。

 

 その一方的な物言いは頭にきた。

 なによりも、朱姫を半妖として、はっきりと蔑んでいる李媛の視線に肚が煮えた。

 とにかく、そのことがあったので、腹癒せもあって、強引に李姫と貞女に別れの挨拶をしにいったのだが、その李姫と貞女もまた、李媛の一方的な命令に悩んでいるということを知ったのだ。

 だから、朱姫は、少し強引なことをやりたくなった。

 

 ふたりをこの隠れ処に連れて来て、無理矢理に性愛をさせようと思ったのだ。

 まあ、少しばかり調子に乗ったところもあったし、悪ふざけがすぎた部分もあったかもしれないが、いま、目の前でふたりは本気で愛し合っている。

 だから、これでいいのだ──。

 

「う、うん──、り、李姫、あなたが好き──好きよ──。あたしの妹……もう、迷わない……ずっと、一緒よ──。どんな立場になっても、あたしたちは一緒よ──」

「あ、ああ……嬉しいです……は、はあ……お、お姉様……り、李姫は……李姫はまた……」

 

 李姫がまた歯を噛み鳴らしながら、貞女を責めている腰を痙攣させ始めた。

 すぐに絶息するような呻きを洩らして、ぐいと上半身を貞女側に倒すように曲げた。

 

「待って、まだよ、まだ──」

 

 貞女がそれに気がついて、後ろから貫かれている腰を動かすのをやめた。

 

「あ、あたしに合わせて、李姫──」

 

 貞女が声をあげた、

 ふたつの白い肉の塊りは、昂ぶった声で泣き声のような声を出して、お互いの腰を動かし続ける。

 その姿は、同性の朱姫から見ても淫らな官能美に溢れていた。

 

「お姉様──」

 

「李姫──」

 

 ふたりが声を掛け合って、懸命に狂態を一致させようとしている。

 すでにふたりとも何度も絶頂している。

 体力の限界も近いのかもしれない。

 それでも、ふたりは懸命に声を掛け合い、その汗みどろの身体を擦り合って、快感を共有しようとしている。

 

「も、もう駄目よ、李姫──。あ、あたしは、もうだめ──」

 

「い、いく、いきます、お姉様──わ、わたしもいく──」

 

「い、いって、いって、李姫」

 

「いくうっ、お姉様──」

 

 貞女と李姫がまったく同時に吠えるような声をあげて、身体を震わせ始めた。

 朱姫には、ふたりの痙攣が完全に一致したのがわかった。

 ふたりとも、そのまま腰を激しく前後に揺さぶり、ほぼ同時に背中を仰け反らせる。

 

「あふうう──」

「はああっ──」

 

 ふたりが大声をあげた。

 ついに快楽の頂点に、まったく同時に達したのだ。

 

 李姫の身体が貞女の背中に突っ伏すように覆い被さった。

 ふたりの身体を繋いでいた張形の霊具の道術が解放されたのが朱姫にはわかった。

 李姫が、貞女の身体から滑るように落ちて、そのまま床にしゃがみこむ。

 

 貞女の股間から抜けた双頭の張形は、夥しいふたりの愛液にまみれたまま、李姫の腰にまだ繋がっている。

 李姫の股間に、まだ半分が挿入されたままの張形はいまだにぶるぶると振動を続けていた。

 

 朱姫は、李姫に駆け寄りながら、貞女を拘束していた縄の拘束を道術で解いた。

 これで縄は緩くなり、ひとりでも縄が外せるはずだ。

 一方で、体力を使い果たして、その場に倒れ込みそうな李姫を支えてあげる。

 また、張形の振動を停止させた。

 次に、まだつけっぱなしだった首輪も外す。

 張形を李姫から離れないように縛っていた革紐も解き、ぐったりとしている李姫の女陰から張形を抜く。

 大量の愛液とともに、李姫の股間から張形が抜けた。

 李姫は失神状態だ。

 

「ほ、本当に酷い人ね、朱姫……。し、仕返しをしようと思っていたけど、もう駄目──。こ、今夜は、本当にこれで堪忍して……。あたしも李姫ももう動けない……」

 

 貞女が自分で縄を解いて、こっちに這い寄ってきた。

 

「じゃあ、借りにしておきます、貞女さん……。今度会ったときには、あたしにふたりで仕返しをしていいですよ」

 

 朱姫は、気を失った李姫を抱きながら貞女に微笑みかけた。

 

「貸し借りはなしよ、朱姫……。結局、こうなるのが、あたしと李姫の運命だということもわかった。もう、李媛様がなにを言おうと迷わないわ。李姫は、わたしの恋人であり、妹であり、主家のお嬢様であり、大切な存在よ……。ふたりの関係を続けることを李媛様に咎められても……、それによって処断されることになっても後悔はない……」

 

「そう……。覚悟が決まったのね?」

 

「ええ……。屋敷を追い出されても、李姫を連れて逃げる──。その覚悟もできた。あたしは、こうなる運命だったのよ。李媛様に対する恩知らずでも構わない。李姫との愛に生きる。世間からなにを言われようと、蔑まれようと、あたしには李姫が必要──。それを気づかせてくれたんだから、あなたとは貸し借りはなしよ」

 

 貞女はきっぱりと言った。

 その表情は明るく、悟ったように晴れ晴れとしている。

 もう、吹っ切れたという感じだ。

 

「さて、じゃあ、ふたりを邸宅に返すわ……。でも、どうしようかなあ……。『移動術』の結界は、まだ繋がっていると思うけど、今度は衛兵がいるだろうし……」

 

 朱姫は言った。

 これからふたりを邸宅に戻さなければならない。

 しかし、李媛を連れ出すときに、衛兵に気づかれてしまっているので、あの邸宅全体は、いま、多くの衛兵が李姫の行方の手掛かりを探し回っている状態だろう。

 最初の計画では、ここでふたりに強引に愛し合わせた後は、再び『移動術』でこっそりと身柄を戻すつもりだったのだが、それはできなくなった。

 そうかといって、この夜道を歩かせるのも、まだ危険だ。

 

「どうしたの、朱姫?」

 

 貞女が言った。

 朱姫は事情を説明した。

 

「じゃあ、このままでいいわ。あたしたちを道術で送って……」

 

 貞女がきっぱりと言った。

 そして、朱姫から李姫の身体を受け取る。

 

「このまま?」

 

 このままといっても、ふたりとも全裸だ。しかも、汗びっしょりであり、それだけではなく、お互いの愛液を股間に擦りつけ合っているような状態だ。

 

 そんな姿で衛兵が捜索を続けている邸宅に戻れば、邸宅全体が大騒ぎになるだろう。

 

「いいのよ……。あたしたちの関係が堂々としたものであることが、これでわかると思うわ。李媛様は驚くと思うけど、ちゃんと説明するわ……。まあ、どうなるかわからないけど──。でも、そういう事情なら、あなたは来ない方がよさそうね。あたしたちふたりだけを道術で送ることはできる?」

 

「それはできます。でも、本当にそれでいいのですか?」

 

 朱姫は目を丸くした。

 貞女は李姫と全裸で抱き合ったまま、邸宅に戻せと言っているのだ。

 

「本当にいいのよ──。まあ、後はなんとかなるでしょう……。それよりも、もしかしたら、あなたとは、これでお別れになるの、朱姫?」

 

「そうですね……。ご主人様と孫姉さんは、金凰宮という魔王の巣窟に移送されたらしいです。沙那姉さんは、白象という女魔王のところです──。とにかく、あたしは、それを追いかけます……。明日の朝、あたしは北に向かって出発します」

 

「そう……。大事な仲間なのね……。あたしが、いま、李姫を大切な存在を思っているように……。でも、できれば、あたしたちと一緒にずっと暮らして欲しいんだけど、それは無理そうね……」

 

「ごめんなさい、貞女さん……。あたしは、それをしなければいけないんです。仲間を助けないと……」

 

「わかったわ、朱姫……。さて、ところで、李姫を起こすわね……。あなたにさよならも言わせないで、行かせたと知ったら、後で李姫に徹底的に懲らしめられるわ」

 

「大袈裟ですね」

 

 朱姫は笑った。

 

「本当よ……」

 

 貞女も笑った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。