「こいつが沙那か? それで白象はどこなのだ、小愛?」
服装を整えた金凰魔王が
すでに小愛は、指から変身のための指輪の霊具を外して、小白香の姿から元の姿に戻っている。
「さ、沙那、大丈夫か――? 沙那?」
雪蘭の身体の下の小白香が声をあげている。
「やかましいわ――。とにかく、お前たちは、しばらく、そこで悶えておれ」
拘束されたままのふたりが床を滑り進んでいき、扉と反対側の壁でとまった。
改めて、蝦蟇婆は小愛に視線を向けた。
「小愛、白象様は、まだ行方がわからんのじゃな?」
蝦蟇婆は言った。
小白香にかけられている貞操の呪いを解くために、身柄が必要なのは白象であり、沙那の身柄はこの部屋に連れ込む必要はない。
第一、もともと小愛は、沙那を殺すつもりで部屋を出て行ったのだ。
それなのに、沙那を生きてここに連れて来たということは、その白象がまだ見つかっていないということだろう。
「はい、蝦蟇様……。こいつが隠れている場所を知っているのは、確かなのですが……」
小愛が苦虫を潰したような表情になった。
「それで、いま、どうしているのだ、小愛?」
金凰魔王だ。金凰魔王は、とりあえず、椅子に座り直している。
「はい、陛下――。性奴隷たちに捜索を続けさせております。ただ、この離宮は、道術でなければ出入りできない部屋が非常に多いのです。それで、一度、戻ってきました。おそらく、そういう部屋のどこかに隠れていると思うのですが……」
小愛が言った。
「聞いてのとおりだ、小白香――。余との道術契約に基づいて要求するぞ。この離宮にかかっている道術の封印を全て解け。なにもかも解放するのだ」
金凰魔王が部屋の隅で小愛とともに縛られている小白香に視線を向けた。
「わ、わらわには、霊気がない……。それを知っておるであろう――。既に、この離宮そのものに、わらわの霊気が流れなくなっておる……。い、いまは、まだ離宮内に霊気の残存があるから、奴隷部屋などの扉が隠れておるが……、そ、そのうちに、完全に結界が外れ……、と、扉や階段が……す、すべての部屋や廊下に出現する……」
小白香が苦しそうに言った。
この小娘もそうだが、密着して縛られている
いまのふたりにとって、放置されるというのは、苛酷な苦痛の始まりだ。
山芋が貫いているふたりの股間だけは、辛うじて腰を動かすことで痒みを癒すことができるが、菊座を始めほかの部分は、満たされることのない痒みが癒えることへの渇望が、小白香と雪蘭を苦しめ続けているはずだ。
「ならば、一時的に余の霊気を遣わせてやる。それですべて解放しろ、小白香……。霊気を他のことに遣うことはできんぞ。そんな動きは、余にすぐにばれる。この霊気が余の霊気に繋がっていることを忘れるな」
金凰魔王が言った。
すると、金凰魔王の霊気の一部が小白香に流れるのがわかった。
白象を渡すというのは、金凰魔王との道術契約事項だ。
それに関することは、小白香は絶対に拒否できない。
果たして、小白香に流れ込んだ霊気が、小白香の身体から放出され始めた。
小白香が離宮のすべての結界や隠れていた扉や階段を解除しているのだろう。
やがて、小白香から霊気の放出がとまった。
すると、金凰魔王が再び小白香から霊気を完全に抜き取った。
「お、終わった……」
小白香が言った。
金凰魔王が満足そうに頷いて、小愛に頷いた。
「小白香だ――。皆の者聞け――。先程の組ごとに、すべての部屋を虱潰しに母者を探せ。なにかを発見したら、どんな小さなことでも、わらわに『飛び声』で報告するのだ――。念のために離宮の周りも調べよ。但し、絶対に離宮から離れるな――。離れたら最後、お前たちに飲ませた毒玉が、身体の中で破裂するからな」
小愛が『飛び声』の泡玉を出現させると、小白香の声色で言葉を刻んだ。
それが、十数個に分裂して消滅した。
白象を探すために、離宮中に展開している性奴隷たちのいる場所に声を届けに行ったのだろう。
「毒玉とはなんじゃ、小愛?」
蝦蟇婆は訊ねた。
「この離宮にいる性奴隷のすべてに飲ませた毒薬です。期限までに白象を見つけなければ、その毒玉が体内で破裂して死ぬという仕掛けになっております。だから、性奴隷たちは、必死になって、白象を探しているのですよ……。外を捜索させている者も同じです……。離宮から離れたり、宮廷府の者と接触しようとすると、毒玉が破裂します……」
「なるほど、なかなかに卑劣なやり口だな」
金凰魔王が大笑いした。
「まあ、そのうちに発見したという報告があるはずです。わたしは、まだ離宮の中に、白象様はいると思いますけどね――。とにかく、すぐに出入り口は、性奴隷たちに固めさせたのです。外に逃亡する時間的な余裕はなかったはずですから……」
小愛が言った。
そして、視線を網にくるまっている沙那に向ける。
沙那はいまだに意識を失ってぐったりとしている。
余程の強い電撃を浴びせたのだろう。
「……しかし、こいつが白象様の居場所を白状すれば、それが一番手っ取り早いのです――。それで、ここに連れて来たのですよ」
小愛が続けて言った。
「なるほどのう……。ならば、わしが訊問してやるかのう。ところで、小愛、ここに大工道具はあるか? 釘とか、げんのうとか、ちょっとしたものがあればいい。のみも欲しいのう」
蝦蟇婆は言った。
「隣の部屋にあります。持ってきます」
小愛がにやりと笑って部屋を出ていった。
「さ、沙那……」
「沙那お姉さま……」
小白香と雪蘭のふたりが心配そうに沙那の名を呼んでいる。
しかし、一方でふたりは少しもじっとしていられないように、密着させられた腰を中心に、全身を震え動かしている。
当然だろう。
ふたりの敏感な肌や粘膜の部分には、とろろや山芋の汁が塗り込められている。
股間だって、生娘の膜を破られた痛みで痒みを多少は忘れられたかもしれないが、結局のところ、新しい山芋の汁を塗られただけなのだ。
股間の痛みが薄れて落ち着いてくれば、山芋の痒みは、もはや、目を背けられない苦痛に違いない。
「静かにしておれ」
蝦蟇婆はふたりに一括すると、沙那が巻かれている『魔網』を解き始めた。
『魔網』とは、罪人などを捕縛するための捕獲具であり、一度これに身体を包まれると、どんなに力の強い者だろうと、誰かが外から網を外さぬ限り、絶対に抜け出せない。
蝦蟇婆は沙那がくるまった網を解いた。
すると、気を失っているとばかり思っていた沙那が、物も言わずに飛び出した。
そして、蝦蟇婆を突き飛ばして、金凰魔王に向かって飛びかかった。
「うおっ――」
金凰魔王が驚きの悲鳴をあげて、椅子ごと後ろに倒れる。
「なんじゃ――?」
蝦蟇婆も声をあげたが、咄嗟に反応することはできなかった。
卓が沙那の身体で弾かれて横倒しになる。
卓の上に並んでいた食べ物や飲み物が音を立てて床に散らばった。
沙那が倒れた金凰魔王に上から飛び乗る。
しかし、次の瞬間、沙那の身体が弾き飛んだ。
金凰魔王が一瞬にして刻んだ防護結界に沙那が跳ね飛ばされたのだ。
「くあっ」
沙那が床に叩きつけられた。
そのまま、苦しそうに床にうつ伏せになっている。
金凰魔王の道術による力場によって身体を押し潰されているのだ。
扉が開いた。
小愛が大工道具の入った箱を抱えて戻ってきたのだ。
「ま、魔王様?」
部屋の外から戻った小愛が目を丸くしている。
小愛は、両手に持っていた箱を下に放り捨てて、床に突っ伏している沙那に飛びかかった。
小愛は、すでに懐から短刀を抜いている。その小愛が短刀の刃を沙那の喉に押しつけた。
「大人しくしなさい、沙那――。あんた、なにしたの?」
小愛が沙那に刃物を押し受けながら叫んだ。
「あ、危ないところだった……。間一髪で防護結界が間に合った。だが、なにをしようとしたのだ? いま、沙那が素手で飛びかかってきたとき、霊気とは違うおかしな力を感じたぞ……」
金凰魔王が汗を吹きながら、起きあがった。
「こ、この人間族の女は、気の術を遣うのです、魔王様――。指で経絡のつぼを押して、相手の意識を失わせる技を持ってます」
小愛が言った。
「一発で殺すこともできるわ……。後、指が半分ほどの距離だったのに残念だわ……。それより、小愛、あんた、金凰魔王の犬だったのね……。小白香様に忠誠を誓ったふりをして、金凰宮と繋がっていたのね……」
「さあね」
小愛が軽く肩をすくめた。
沙那は強い視線で小愛を睨んでいる。
「それに、さっき、離宮の性奴隷をけしかけて、わたしを襲わせた小白香様もあんたね? まったく、油断もできないわね……。白象様に違うと教えられなければ、危うくのこのこと、小白香様に変身したあんたの前に出ていくところだったわ……。変身の霊具でも使っていたの?」
刃を喉に押しつけられながらも、沙那は眉ひとつ動かすことなく、小愛に視線を向けながら言った。
「そういう、あんたこそ、わたしの浴びせた『電撃鞭』で気を失ったふりをしていたようね、沙那。あんたこそ、油断も隙もないわね」
「金凰魔王を殺せれば、それが一番手っ取り早かったのに残念だわ……。ところで、小白香様、大丈夫ですか? 金凰魔王を殺そうとしましたがしくじりました。申し訳ありません」
沙那が小白香に声をかけた。
「さ、沙那……。お、お前の言う通りであった……。き、金凰魔王は、わらわが思うておったよりも、遥かに卑劣で人非人であった……。そして、母者はこの金凰魔王に支配されながらも、わらわを金凰魔王から護ってくれておったのだ……」
「わ、わかっています。とにかく、白象殿は安全な場所に隠れています。ご安心ください」
沙那が言った。
蝦蟇婆は、金凰魔王の道術によって、床にうつ伏せになっている沙那の前にしゃがみこんだ。
「つまりは、お前は、白象様の隠れておる場所を知っておるということじゃな?」
「あ、あんた、誰よ……?」
沙那が視線を向けた。
「蝦蟇婆じゃ――。お前の主人の小白香の調教師じゃ。そんなことより、白象様の居場所を言え、沙那。白象様は、この小白香がわしらに渡したのじゃ。道術契約もかわした。早く、居場所を言うんじゃ。どの部屋に隠れておるんじゃ?」
「どうせ、小白香様に無理矢理に道術契約させたんでしょう? おあいにくだけど、白象殿は渡さないわ。白象殿がいなければ、小白香様に手が出せないんでしょう? 全部わかっているのよ、ええっと……
沙那が不敵に笑った。
蝦蟇婆はむっとした。
だから、蝦蟇婆は沙那がひっくり返して床に落ちていた食べ物群の残骸から、ひと組の箸を取った。
そして、半分の長さに折ってから、動けない沙那の鼻の穴に一本ずつ先っぽを入れる。
沙那がぎょっとした顔になった。
「面倒は好かん。さっさと居場所を言え……。それと、わしの名は蝦蟇婆じゃ」
「あら、そうなの? 蛙に似ているから間違えたわ。これからも蝦蟇蛙って呼んでいい?」
沙那が小馬鹿にした声で言った。
蝦蟇婆は無言で沙那の鼻に入れた箸をぐいと突き入れた。
「あがあああっ――」
沙那が絶叫した。沙那の鼻からおびただしい鼻血が吹き出した。
「わしは蝦蟇婆だと言うたろう……。陛下、済まんが、この女を拷問するので、少し待ってもらえませんかのう。それと、床ではなく椅子に座り直させてはくれますか……。小愛、手伝え」
部屋には二脚の椅子があり、ひとつは金凰魔王が座って、少し離れた位置で座っている。
もうひとつは、さっき沙那が暴れたときに卓とともにひっくり返っていた。
蝦蟇婆は倒れていた卓と椅子を戻して、椅子を卓の前に置いた。
「おう、好きにせよ、蝦蟇婆。少しだけその女を押さえつけている道術の力を緩めた。自分では動けんが、他人は好きなように動かせるはずだ」
金凰魔王が笑った。金凰魔王は、すでに椅子を離れた場所に移動させており、すっかりと見物の態勢だ。
「さあ、起きるのよ、沙那」
小愛が沙那を抱えて、椅子に座らせる。
沙那の顔は、流れている鼻血で真っ赤だ。
小愛がの手を振りほどこうともがいているが、自由にはならないようだ。
簡単に小愛によって椅子に座らせられた。
蝦蟇婆は沙那の両手を卓に手の甲を上にして置かせた。
すると沙那の手が卓に張りついたようにも動かなくなった。
「さ、沙那、命令だ。母者の場所を言え。もう、いいのだ――」
小白香が必死の声を発した。
「ご、ご心配なく……。し、死んでも喋りませんよ……」
沙那は言った。
その口調は流れる鼻血のためにくぐもっている。
「さ、沙那、命令と言っておるじゃろう――」
「い、嫌です、ご主人様……。そ、それよりも、だ、大丈夫ですか……? もしかして、雪蘭と、な、なにかで繋げられてます?」
小白香も雪蘭もしきりに悶え続けている。
たっぷりと塗った山芋の汁が猛威を猛威を振っているのだ。
小白香にしても雪蘭にしても苦痛で顔を歪めている。
「なんてことはないわい……。一本の山芋をふたりのほとに突き挿しておるだけじゃ」
蝦蟇婆はそう言って、小愛が持ってきた大工道具の箱を卓のそばに寄せた。
その中から一番大きな釘とげんのうを取り出す。
「ひ、卑劣ね……。こ、こんな子供をいたぶって、は、恥ずかしくないの……? 小白香様はまだ十二歳よ。雪蘭に至っては十歳の童女よ」
沙那が吐き捨てるように言った。
しかし、蝦蟇婆が、持っているものに気がついて、目を丸くした。
蝦蟇婆は卓の上に置かれている沙那の右手の甲の真ん中に釘の先を置いたのだ。
「どうせ、なんでも喋らされることになるのじゃ。無駄はやめようぞ、沙那……。白象様はどこじゃ? 言え」
蝦蟇婆はこれ見よがしに、げんのうを構える。
「沙那、居場所を言え――」
小白香の悲鳴のような大声が部屋にまた響いた。
蝦蟇婆はちらりと沙那の顔を見た。
沙那は恐怖に顔を歪めているが、硬く口を閉じており、口を開く気配はない。
蝦蟇婆はげんのうで沙那の手の甲を卓に打ち付けた。
「あ、ああっ、あ、あがあっ、あががあっ――」
沙那が道術に押さえられた身体を激しく動かして吠え続ける。
小愛が沙那が座っている椅子を押さえた。
釘が卓の下まで達したのがわかった。
釘の頭は沙那の手の甲にまで沈んでいる。
「小愛、箱の中に針金があったから、それで沙那の身体を椅子に縛りつけよ。腕もじゃ。肘に針金を巻いて卓の台に巻きつけてしまえ」
「はい」
蝦蟇婆の指示を受けて、小愛は淡々と作業を開始した。
そのあいだに、蝦蟇婆は二本目の釘を取り出して、今度は沙那の左手の甲を打ち付けていく。
「あ、あああっ――」
沙那が拘束された全身を限界まで仰け反らせた。
しかし、今度は左右の手を卓に打ち付けられているので、その動きはさっきほどではない。
「さ、沙那――。た、頼む――。白状してくれ――。母者の居場所を口にしてくれ――頼む――」
小白香が泣き叫んでいる。
「さあ、沙那、まだ、白状する気にはならんのか? まだ、こんなものは、この蝦蟇婆の拷問の準備のようなものにすぎんぞ」
しっかりと二本目の釘も貫通したのを確認してから蝦蟇婆は、沙那の顔を覗き込んだ。
「し、し、死んでも言わないわ――」
沙那が絶叫した。
「そうか、そうか……。それは拷問のやりがいがあるのう……」
蝦蟇婆は笑った。
そして、ばらばらとたくさんの釘を卓の台に打ち付けている沙那の両手のあいだにこぼした。
一方で、小愛の作業が終わった。
沙那の乳房の上下、胴体、腰、足までにも針金が椅子に括りつけられて喰い込んでいる。
卓に置かれた両肘にもそれぞれに針金が巻かれ、それが手の下の卓の台に巻かれた。
これで、沙那は、たとえ、道術を解かれても、椅子と卓からは離れられない。
蝦蟇婆は、手を伸ばして、沙那の胸から服を横に裂いて胸を剝き出しにした。
胸当ても引き千切り、両方の乳房を露わにさせる。
蝦蟇婆は卓の上から釘を取った。
今度は中くらいの長さの釘だ。
「何本目で白状する気になるかのう……?」
蝦蟇婆は釘の先を沙那の乳房に当てるとげんのうを振った。
釘は一発で沙那の乳房に全部喰い込んだ。
「ほがああっ」
沙那が絶叫した。
釘が刺さった乳房から血が滲み始める。
「まずは一本……。さあ、次じゃ」
蝦蟇婆はすぐに二本めの釘を出すと、今度は反対の乳房の乳首の横に釘を打ちつけた。