物語の時間は、「553 悪ふざけの代償」の最終場面で、朱姫が一丈青という道術師隊の女指揮官に捕らわれた後まで遡ります。
朱姫は、
*
598 双子少女
「ねえ、
朱姫は呼び掛けた。
しかし、檻車の反対側の隅でうずくまっている双子姉妹は、朱姫の言葉など聞こえなかったかのように返事をしない。
ただ、しくしくとすすり泣きながら、首輪の後ろに両手首を繋がれた不自由な身体をふたりで擦りつけ合うようにするだけだ。
この檻車にいるのは三人だけなのだが、このふたりはずっと朱姫をここにいないかのように無視し続けている。
摩耶と華耶という名だって、三人を輸送する兵がそう呼んでいたからわかっただけだ。
朱姫は溜息をついた。
竜飛国の国都の郊外に移動するらしい檻車の中である。
その檻車に乗せられて二日目になる。
檻車に監禁されている朱姫は、捕えられたときと同じ貫頭衣を身に着けていた。
ただし、あちこちが千切れたり破れたりしてぼろぼろだ。
最初に連行された
また、両手両足は革枷で拘束されている。
足枷は一尺(約三十センチ)の鎖で左右を繋がれ、手枷は首輪の後ろで金具に留められている。
拘束具はそれだけだが、ほかに三人が履いている下袍の下に金属製の貞操帯をかけられていた。
檻車に乗せられる直前に、獅駝の城郭の軍営で装着されたものであり、護送の途中で兵に犯されるのを防ぐためのもののようだ。
実際、この貞操帯のおかげで、少なくとも、この檻車にいるあいだだけは、朱姫もふたりの少女も犯されることだけはされないでいる。
もっとも、犯されないというのは、文字通り、女陰に男の性器を挿されないで済んでいるという意味だけのことだが……。
いま頃、沙那や宝玄仙や孫空女はどうしているだろうか……?
仲間は、獅駝嶺の山岳地帯の奥にある三魔王領と呼ばれている亜人領に連れていかれているはずであるが……。
青獅子軍に占領されていた獅駝の城郭解放戦に参加して、朱姫も亜人軍の掃討にひと役買った。
そのまま、すぐに三人を救出するために、朱姫も亜人領に向かうつもりだった。
だがいま、朱姫は、その亜人領とは反対方向である竜飛国の国都に向かう檻車に乗せられている。
囚人として、亜人専用の収容所に移送されているのだ。
なんで、こんなことになったのか……。
少しばかり、調子に乗ったせいだといえば、そのとおりなのだが……。
あの青獅子軍に対する人間族の暴動が発生したとき、朱姫は
そして、青獅子の魔王宮となっていた
手記は、その混乱に乗じて女調教師を逆に拘束し、屋敷に侵入した暴徒と合流して、青獅子軍の将軍級の亜人を押さえるのにひと役買った。
それから、暴徒たちと合流して、亜人軍の生き残りと戦いながら行方不明の宝玄仙を捜索していたので、安全な場所に隔離させていた李姫や貞女とは、そのまま別れ別れになった。
だが、結局のところ、宝玄仙たちを見つけることはできなかったのだ。
亜人軍の掃討も落ち着くと、宝玄仙たちが亜人領に移送されてしまった後だということを確認した朱姫は、すぐに追いかけることを決心し、ともかく、李姫と貞女に別れを告げるために、救出されたふたりがいる新しい屋敷を訪ねていった。
すると、ふたりは、亜人軍を追い出した獅駝の城郭の新たな暫定の司政官となった李姫の母親の李媛とともに、行政府に間近い中規模程度の屋敷に移っていた。
李姫と貞女と朱姫は、亜人軍に監禁されてともに調教されるあいだに、「親密な」百合の関係になっていた。すぐに朱姫も亜人領を追いかけようと思ったが、その前に別れの言葉を告げたかった。
しかし、朱姫は、その屋敷に入れてもらえず、しかも、入口に近い詰所にやってきた李媛に冷たい言葉をかけられた。
李媛は、朱姫が亜人と人間の相の子であることを知り、朱姫に侮蔑的な感情を抱くようになっていたのだ。
この竜飛国では、相の子というのは、人間族からしても、亜人族からしても、中途半端で差別されるべき対象なのだ。
李媛が朱姫に申し渡したのは、半妖風情が二度と李姫に近づくなということと、三日以内に獅駝の城郭を出て行けということだった。
さらに、指示に従わなければ、亜人追放令により朱姫を捕縛するとまで言われた。
青獅子軍を獅駝の城郭から掃討するにあたっては、朱姫の道術も少なからず活躍したはずだ。
その褒賞をしろとまではいわないが、獅駝の城郭を占拠していた亜人たちと同じ扱いとして、追い払われるような扱いを受ける謂われはない。
別段、宝玄仙たちがいないとわかっている獅駝の城郭には用事はなかったが、あまりにも腹がたったから、三日ではなく、四日目までいてやろうと思った。
ついでに、禁止された李姫と貞女にも面会し、心置きなく別れもしてやろうと思った。
心置きのない別れというのは、つまりは、嗜虐のことだ。
三人のあいだでは、ただの百合の関係というだけではなく、朱姫が主導的な嗜虐の性の関係だったのだ。最後の最後に、別れの責めをしてから、朱姫は沙那や宝玄仙たちを追いかけようと思った。
それがよくなかった……。
計画のとおり、三日目になんとか李媛の屋敷の潜入することに成功し、貞女や李姫と最後の別れをした。
もちろん、朱姫流の別れだ。
貞女にも、李姫にも、二度と忘れることができないくらいの激しい責めをしてやった……。
だが、それが運の尽きだったのだ……。
身から出た錆とでもいうべきか……。
朱姫は知らなかったが、実は朱姫には、ずっと李媛の手配した手の者が身辺を見張っていたらしいのだ。
それで、最後の夜に、朱姫が李媛の娘の李姫を破廉恥な姿で夜の城郭に連れ回して嗜虐したのがばれた。
李媛は激怒した。
そして、たまたま、王都からやってきた道術師隊に朱姫を捕らえさせて、竜飛国の国都の郊外にある亜人収容所送りにしたのだ。
そのとき、朱姫は、
それは、朱姫の道術を封じるものであり、しかも、得意の『縛心術』さえも封じられてしまった。
道術を遣わない読心術でさえも、ほとんど動かなくなった。
朱姫には、逃亡の手段が奪われてしまったのだ。
また、朱姫は宝玄仙から与えられた首輪をしており、それは宝玄仙が朱姫を『移動術』で追ってこれるための追跡機能がついてたのだが、その機能を破壊された。
そして、朱姫を捕らえた道術師隊によって軍営に連れていかれ、収容所行きのこの檻車に放り込まれたのだ。
そのとき、一緒に檻車に入れられたのが、目の前の
角があるとしても、小さくてほとんど隠れているらしく、亜人には見えないものの、彼女たちもまた、朱姫と同じように亜人収容所に連れていかれるのだから、亜人なのだろう……?
とにかく、なにも喋らないのでわからない。
年齢は十六くらいだろう。
朱姫は実際には二十に近いが、宝玄仙に身体に刻まれた道術陣の影響で、見た目の年齢が停止してしまっているので、このふたりも朱姫のことを同じ歳くらいだと思っているだろう。
それはいいのだが、なぜか朱姫のことを敵視しているみたいに、口を開かない。
警戒している気配であり、話しかけてもふたりの世界に入り込んだように、朱姫に心を開かない。
朱姫はもう一度深く嘆息した。
そのとき、檻車ががくりと揺れて静止した。
「ひいっ、華耶……」
「摩耶……」
すると、ふたりが怯えたように声をあげた。
檻車はだいだい三刻(約三時間)に一度停まる。
すると、決まって輸送に当たっている兵が檻車に入ってくるのだ。
それを怯えているに違いない……。
檻車の扉がどんと外から叩かれた。
首の後ろに両手を繋げられた不自由な身体で朱姫は立ちあがって、扉に遠い壁に背中をつけるように移動した。
摩耶と華耶も同じようにしている。
それが、護送にあたっている兵から命じられている態勢なのだ。
がらりと檻車の扉が開いた。
入ってきたのは、三人の兵だ。
「へへ、半刻(約三十分)の休憩だ……。ちゃんと、三人いるな……」
兵の中のひとりが言った。
その顔には卑猥な表情が浮かんでいる。
反吐が出そうだ。
「見てのとおりよ……」
朱姫は不貞腐れたように言った。
すると、さっきの兵が手に持っていた革鞭でぴしゃりと床を叩いた。
「ひいっ」
「ああっ……」
華耶と摩耶の顔が真っ蒼になり、その顔が恐怖の色で染まった。
「なんだと──。その口の利き方はなんだ──」
そして、朱姫に向かって、その鞭の先端が勢いよく飛んできた。
「くっ」
腰の横に鞭が炸裂して、貫頭衣の下袍《かほう》部分の一部が避けた。
朱姫はその激痛に顔をしかめた。
「……しゅ、囚人三名、異常ありません……。こ、これでいいの──」
朱姫は強要された言葉を大きな声で告げた。
しかし、鞭は再び飛んでいた。
今度は下袍の下の脚が剝き出しになっている部分を弾いた。
しかし、朱姫は今度は歯を喰いしばって悲鳴を耐えた。
だが、朱姫が鞭打たれたことで、横のふたりの泣き声が大きくなった。
鞭打たれたのは自分だと朱姫は言いたかったが黙っていた。
このふたりは朱姫よりも少し早く、獅駝の城郭に連行され、そこでかなり酷い目に遭ったようだ。
それですっかりと、自分たちを捕らえて亜人収容所に護送するこの兵たちを怯えきっているのだ。
そして、泣いてばかりだ。
「よし、三名異常なし……。じゃあ、いつもの通りだ──。しっかり、やれ──。できなければ、鞭打ちだ──」
三人の兵の後ろの檻車の扉ががらがらと閉じられた。
檻車は閉鎖され、三人の兵と朱姫たち女囚の三人の合計六人だけになった。
「早くしてよ……」
朱姫は跪いて兵たちの一物を口で奉仕する体勢をとった。
これが、この亜人収容所までの護送のあいだ、休息のたびに強要されている行為であり、一回の休憩ごとに、三人の兵がやってきて、ひとりずつ口で奉仕をするのだ。
嫌がって拒否する素振りを見せれば、鞭で死ぬほど叩かれる。
一番最初のときには、思い切り拒否して、この移送を指揮している将校らしき男にかなり激しく鞭打たれた。それだけではなくて、額に埋められている小さな石による拷問も受けた。
この石は単純に朱姫の道術を封じているだけでなく、兵たちが持っている操作具でいくらでも激痛を与えられるらしいのだ。
そして、朱姫が口の奉仕を嫌がった途端に、もの凄い頭痛が朱姫を襲った。
その将校が操作具を操っているのは、すぐにわかった。
そして、朱姫が頭痛にのたうち回るところを残りの兵がふたりがかりで鞭を打ちつけたのだ。
そのとき、摩耶と華耶は、ただ見ていただけだが、朱姫に与えられる拷問に恐れをなして、それからずっと怯えきっている。
それから、ずっと休憩の度に、交替でやってくる将兵たちの肉棒をしゃぶることを強要されている。
女が三人いるから、三人ごとやってくるようだが、五回目くらいからふた周り目が始まった。
だから、この檻車は十数人程度で輸送をしているのだろうとわかる。
この檻車の天井は格子になっていて、そこから明かりが取れるが、四周は完全に壁になっていて、周りを見ることもできないのだ。
また、ひと回りした兵の中に、道術遣いらしき男がふたり混じっていた。
威張っていて、明らかにほかの兵たちは怖れのようなものをそのふたりの道術遣いに向けていた。
ただ、そんな道術師兵も、ほかの兵と同じように朱姫たちに肉棒を向けるのだが……。
その辺りは、全部公平になっているようだ。
いまやってきた三人は、すべて普通の兵だ。
しかも、将校も混じっていない。将校は服が違うのですぐわかる。
兵たちがそれぞれ、跪いている三人の前に立った。そして、下袴を緩めて肉棒を出した。
朱姫の眼の前の男根はすっかりと勃起している。
眼の前の怒張を口に咥える。
こんなものさっさと終わらせたい。
舌を動かす……。
眼の前の兵が気持ちよさそうな顔をする……。
朱姫は吐気がしそうになるのを我慢して、男の肉棒の先端の割れ目の部分を舌先で刺激する。
どうせ、一回精を出させれば、とりあえずは満足するのだ。
手っ取り早く、精を出させるには、この先端の亀裂の部分を刺激するに限る。
大抵の男は、それをすれば、比較的に短い時間で精を出してくれる。
本当に男というのは最悪の生き物だと思う……。
この朱姫たちを移送している男たちがいい見本だ。
将校であろうと、道術師兵であろうと、一介の兵であろうとまったく変わりはしない……。
抵抗できない女を見つければ、性奉仕を強要し、拒否すれば力で押しつけようとする。
みんな男は同じだ……。
だが、横の摩耶と華耶が大きな声で泣きだした。
余程、こういうことに慣れていないのか、もう、かなりの数をこなしているはずなのに、こうやって口奉仕を強要されるたびに号泣をする。
「ちっ、埒もねえ──。最初の頃は、泣きながらしゃぶられるのも新鮮でよかったが、いつまでも同じじゃあ、勃起したものも萎えてしまうぜ……。俺は、隊長のところにいって、例の『
華耶というのは朱姫の隣に跪いている女だ。
その向こうが摩耶だ。
ほとんど同じ顔だが、額に埋められている石の色が違う。
摩耶が青色で、華耶は赤色だ。
また、朱姫の石は黒色らしい。
朱姫はその額の石の色で区分をしていた。
だが、華耶の様子も、その向こうの摩耶の様子も変化がない。
すると、華耶の前の男が不貞腐れたように肉棒をしまった。
華耶が泣くばかりで自分から咥えようとしないからだ。
また、『禁錮具』というのが、最初に朱姫が受けた石を使ってもの凄い頭痛を与えることができる霊具のようだ。
霊具といっても、道術遣いではない将校がそれを操っていたので、なにか仕掛けがあるのだろう。
一番向こう側の兵も同調するように
それでも、摩耶についても、やはり、華耶と同様に泣くばかりで奉仕を進んでする気配はない。
朱姫はそれを横目で見守りながら、心の中で嘆息した。
「俺が行ってくるぜ──。なあに、ここで鞭打って殺したって構わねえんだ。こいつらは、ふたりとも半妖らしいからな──。生きていたって仕方がねえ虫けらと一緒だ──」
向こう側の男が言った。随分と憤慨をしている様子だ。
これは大変なことになりそうだと、朱姫は当惑した。
だが、華耶についても、摩耶についても、さらに声をあげて泣くばかりだ。
朱姫はこの様子を眼の前の男の一物に奉仕を続けながら横目で見守っていた。
それにしても……。
いま、兵は摩耶と華耶を半妖と言ったか……?
朱姫はその言葉に驚いた。
このふたりも半妖なのか……?
すでに、真ん中の男が外に一度出ていく気配を示している。
「待って──」
朱姫は一度口を離して、大きな声で叫んだ。
そして、もう一度、眼の前の肉棒を咥え直して、奉仕の速度を加速した。
「おお、これは凄え──」
朱姫の前の兵が感極まった声をあげた。
一気に男の精を搾り取るつもりで、根元から先端まで激しく口と舌全体で擦りまくっているのだ。
「おほっ」
男の腰がぶるりと震えた。
あっという間に朱姫の口の中に精の噴射が迸った。
朱姫は、とりあえず、唾とともに、精を喉の奥に押し込んだ。
「……ま、待って、ふたりもあたしが相手をする。それで、このふたりを許してあげて──」
朱姫は慌てたように言った。
さもなければ、さっきの兵はいまにも、外に出て行きそうだ。
「ふたり?」
すると、華耶に腹を立てて『禁錮具』を取りに行くと動きかけた兵が、きょとんとした顔を朱姫に見せた。
「そりゃあ、いいぜ──。お前ら、こいつはなかなかの性技だぜ。きっと、娼婦でもやっていたのかもしれねえ……。凄い技を持っているぜ」
朱姫から精を絞られたばかりの兵が笑いながら言った。
「そちらのふたりも、あたしがやるわ。だから、摩耶と華耶は勘忍してあげてよ……。それだけじゃない──。これから、休憩のたびに、あたしが三人ともするわ。みんなにそう言っておいて──。休憩の時間以内に、三人の精を出すことができなければ、なにをしてもいいわ」
朱姫は一気に言った。
三人の兵は驚いたような顔で朱姫を凝視したが、すぐに、それは面白いと笑い出した。
「だったら、浣腸を賭けようじゃねえか──」
真ん中の兵が笑いながら言った。
「浣腸?」
朱姫はきょとんとした。
「ああ、そうだ──。浣腸だ。もう、休憩の残り時間は、四半刻(約十五分)くらいしかねえだろう。それで、残りのふたりもやれ。ちゃんと精を搾り取れれば、なにもしねえ……。ただし、間に合わなければ、その貞操帯の尻の穴の部分には手で外せるくらいの小さな蓋があるんだが、それを開いて、そこに浣腸液を注ぎ込んでやる」
「なっ」
朱姫は絶句してしまった。
しかし、その兵はけらけらと笑いながら話を続ける。
「お前ら、小便は、檻車の隅の木桶に貞操帯の穴からしているようだが、糞はしてねえだろう……。尻の穴は小さいし、普段は蓋があるから、そこから糞を垂れるのは無理だからな……。だが、その穴は小さな管くらいは通せるんだ。そういう仕掛けになっていてな──。しかし、貞操帯は、ここにいる護送兵には外す鍵がねえ──。そうなれば、浣腸をされればどうなるかわかるな?」
朱姫は息を呑んだ。
そんなことをされれば、貞操帯の内側で大便まみれになるか、あるいは、貞操帯でしっかりと塞がれて排便できなくて、苦しみにのたうつことになるだろう……。
しかし、朱姫は覚悟を決めた。
「い、いいわよ……。そ、その代わり、あんたらも卑怯な真似はしないで。奉仕の途中で肉棒を抜いたり、あたしに咥えさせないということはしないで」
朱姫は言った。
すると、男たちはまた笑った。
「それは請け合うぜ。俺たちは、糞に苦しむ臭い女を見たいわけじゃねえ。抜いてもらえればいいんだからな──」
すると、さっきの兵が言った。
「じゃあ、ふたりとも来て──。あたしの口に、同時に二本とも入れて」
朱姫はさらに言った。