「はああ……」
「ふうう……」
「あっ、あっ、ああっ」
あちこちから、艶かしい女の嬌声が聞こえる。
健康診断のような検査の後で、女としての身体の感度や反応を確かめるための検査のようなものが始まったのだ。
大きな建物の中を、朱姫はほかの女たちと同じように建物内を蛇行するように、天井から吊られた鎖が引かれるままに進まされているが、愛液を採集された後に始まったのは、朱姫の身体を愛撫したり、性器を細かく計測したりする検査だ。
ところどころでとめられて、肉体各部を目や指や器具で検査をするのだ。
まずは、乳房を揉まれ、次に股間に指を入れられ、さらには肛門を指で刺激されたりもした。
そのたびに、どうしても恥ずかしい反応を示してしまい、朱姫の股間からは愛液が垂れはじめる。
周囲からも、ほかの女の愛液の香りが激しく漂っている。
各種の検査の中で一番堪えたのは、肉芽の反応前と反応後の大きさの変化を調べる検査だった。
特別の計測具で刺激前の肉芽の大きさを計測し、次に媚薬のようなものを肉芽に塗り込み、股間が熱くなった頃に激しく振動する性具を当てられ、無理矢理絶頂させられてから、その直後の肉芽の大きさを計測されたのだ。
そこでは、前の女囚を待つような態勢になったので、朱姫も三人ほどが終わるのを待ち、そこで薬剤と器具で強引に昇天させられた。
検査に当たる女兵は、なかなかの手管であり、朱姫も含めて、そこでその検査をさせられた者はどの女囚も簡単にいかされていた。
おまけに、砂時計を使って、刺激を開始してから達するまでの時間まで計測し、それを無表情で記録するのだ。
それはさすがに、精神的にも肉体的にもつらかった。
だが、検査をする女兵たちは、朱姫の身体に興味を抱いて触るのではなく、単純な検査として朱姫の性感帯を刺激するだけなのだ。
それは朱姫の屈辱感をさらに助長した。
とにかく、朱姫はどこの検査でも抵抗することは無意味と思っていたから、諾々と従っていたのだが、ほかの女については、朱姫が見ている限り、さすがに嫌がる素振りを示したりしていた。
しかし、ちょっとでも命令に従ったり、抵抗の素振りをみせれば、容赦なく乗馬鞭や平手が飛んできて、服従させられていた。
少し前を進む
特に、肉芽刺激による絶頂検査などかなり強く狼狽していた。
だが、だんだんと検査が進むにつれ、大人しく指示に従うようになっていった。
後ろの
前を進む朱姫を見習って、検査の女に逆らわなかったのかもしれない。
また、各検査が終わるたびに、それぞれの検査を担任する女たちは、朱姫の背中にある板になにかの文字を書き足していった。
そのうちに、順々に前に送られている女の全員がすべての検査を受けているわけではないこともわかった。
中には、各検査をほとんど素通りで、前に送られている者もいる。
どういう区分けになっているかわからなかったが、どうやら、朱姫や前後の双子の姉妹のように若い女については、ほぼ全部の検査を受け、それに比べれば、老人に近い者は、ほとんどなにも検査を受けずに前に進んでいるということもわかってきた。
しばらくすると、今度は鎖がかなり緩んで、運動のようなことをさせられた。
女兵の指示で、床に描いてある二本の線のあいだを短い時間で汗が出るまで往復したり、身体を曲げて跳躍のようなことなどをした。
身体を淫らに弄られたあとで、こんな運動をするのは堪えたが、なんとか全力でやった。
運動能力の測定にあたっては、再び女囚が手伝いとして、たくさん駆り出されていた。
やはり、彼女たちの腹には、一から四までの数字が書かれている。
また、身体の柔軟や器具を使って筋力なども測定された。
まず、器具を使った筋力測定を受け、次に、検査官の前で恥部を晒しながら前屈をし、片脚をあげ、脚を横開きにがに股になって進んだり、仰向けになって尻だけを高くあげる姿勢をとらされたりと、あらゆる屈辱的な姿勢を取らされた。
それに淡々を無感動に計測器をあてて、数値を記録されるのだ。
口惜しかった……。
むしろ好色な目で見られるより屈辱的だった。
あまりの口惜しさに、朱姫の眼からはつっと涙がこぼれたほどだ。
とにかく、それが最後であり、検査のようなことは終わりだった。
さらに鎖が進み、入口からも見えた布の幕がある場所に着いた。
布の幕は中心のところに隙間がある。
そのまま、朱姫は、布の幕の向こう側に鎖で引っ張り進まされた。
先に進んでいった者も全員がそこに集まっている。
正面に三個の卓があり、ふたりの男とひとりの女が座っていて、その三人が連れてこられた女たちを検分するように、じっと視線を送っていた。
真ん中の卓は初老の男であり、服装からこの中でもっとも高位の役人だとわかった。その左隣りは中年の女だ。また、右隣りは軍装をした男だった。
なんとなく、ここは検査結果の判定をするような気配がある。
その三人の後方には、さらに建物の奥に向かう出入り口があり、十名ほどの男女の兵が待機をしていた。
朱姫が幕の内側に入ったときは、先に進んでいた摩耶を含めて八人がすでに横隊に並ばされていて、三人の男女に正面を向くように立たされていた。朱姫も同じように立たされる。
ふと見ると、鎖に引かれてやってきた女を統制する役として、最初に朱姫たちを外から建物に追いたてた
両手を吊るしていた鎖は、卓の三人に対して横並びになるように女たちを鎖を引っ張っていたが、さらに真媛子が乗馬鞭で脅しながら、女たちを卓の方向に正面を向けるように誘導していた。
また、ほかにも二名ほどの女兵がいて、朱姫たちの背中にかけられていた板を回収していった。
やがて、華耶が幕のこちら側にやってきた。その華耶も同じように正面に面して立たされ、背中の板を回収された。
「最初の一組です、
真媛子が真ん中の卓の初老の男に告げた。
そして、女たちの背中にかけられていた板が前の卓の男女に手渡された。
「左から二番目と四番目は、“区分なし”だ。連れていっていい──」
最初に発言したのは、老舎所長と呼ばれた男の右隣りの軍装の男だ。
待機していた後ろの兵がわらわらとやってきて、指定されたふたりの手錠を外して、奥に連れていった。
そのふたりは老人の女だった。
やはり、額に道術封じの石を埋め込まれているのがちらりと見えた。
「子供はいらないんじゃないのかしら……。真ん中の奴……。労働用にも使えないし……」
今度は左側の中年の女が喋った。
「だが、子は成長すれば、繁殖用にも使えるかもしれんぞ。いまは、八歳くらいか? 五年もすれば一人前の仕事もこなすだろうし」
すると軍人が言った。
「亜人はこれからもたくさん入るわよ。五年も使い物にならない者を食わせておく必要はないわ。処分でいいんじゃない……?」
「だが、なかなか、可愛らしい顔をしている。磨けば光る珠の可能性もあるぞ。性奴隷として特別調教してもいい。性感数値も子供にしては高い。素質はありそうだ。ああいう子供を抱きたがる男もいる。需要はあるぞ」
朱姫は、誰のことを話しているかわかった。
十人の中に、ひとりだけ童女が混じっているのだ。
彼女について話しているのだとわかった。
しかも、話の内容から類推すると、どうやら、ここで決められようとしているのは、連れて来られたそれぞれの女をここに収容するか、それとも処分するかということのようだ。
処分というのが、どういう意味なのかは想像がつく……。
そういえば、檻車から建物に連行される途中で、檻車で朱姫たちを連行してきた隊長に真媛子が、役に立たない女囚を「屠殺処分」にするとか話していたような気がする。
そして、最初に老人が、“区分なし”と言われて、外に連れ出された。
つまり……。
朱姫は、ここで行われようとしていることにぞっとした……。
「一箇月様子を見るか……。それで性奴隷として、すぐに使える見込みがあるようであれば、官営の妓楼で稼がせればよいであろう……。だが、使えぬようであれば屠殺じゃな──。これからもいくらでも亜人は送られてくる。確かに、
老舎という所長が口を開いた。
また、楊姫というのは、左側の女の名のようだ。
「まあ、じゃあ、わたしのところで鍛えてみるか……」
すると、楊姫が童女を睨んだ。手に朱姫たちから回収した板の一枚を持っている。
「名は、
楊姫が板を見てからその童女に怒鳴った。
「ひっ」
童女の悲痛な叫びが聞こえた。
朱姫はその童女を覗いた。
明らかに幼い子供だ。
こんな幼い子が、一箇月やそこらで、大人の男を相手できるようになるとは思えなかった。
告げられた仕打ちの残酷さに、朱姫は自分の顔が蒼ざめるのを感じた。
「おいおい、あの歳で股ぐらはさすがにきついだろう、楊姫……。尻の方が見込みがあるんじゃねえか」
軍装男が笑った。
「もちろん、尻も鍛えるわ……。だけど、骨盤を柔らかくする薬剤も使うから、一箇月あれば不可能ではないはずよ……。あとは、こいつの頑張り次第ね──。そうだ。一箇月したら、あんたのところに連れて来るわ、
楊姫が笑った。
あの軍人は愛甲という名前らしい。
それにしても、こんなことを堂々と喋るなど、朱姫たち女囚をまったく人と思っていない証拠だ。
「俺がか?」
愛甲がおどけたような声をあげた。
「当たり前よ──。口を挟んだ限りは責任持ちなさいね」
楊姫だ。
「おいおい、楊姫──。愛甲の一物では、合格するものも合格せんぞ。大人の雌でもかなりつらい巨根じゃ」
真ん中の老舎が口を挟んで笑った。
「いいんです、所長。それくらいできないと、この先、あの歳で性奴隷として、自分の食い扶持を稼げないわ──。わかった、芽衣──? 一箇月後にこのおじさんの一物よ──。じゃあ、連れていって──」
楊姫が後ろの兵に声をかけた。
すると、今度は二名の女兵ととともに、黒衣の道術遣い風の服装の男が進み出てきた。
朱姫を捕らえた道術師隊の兵が同じような服装だったので、その男はおそらく、道術遣いの兵に違いないと朱姫は思った。
その道術遣いが、怯えて声の出ないような感じの童女の前に立った。
「きゃあああ──」
すると、その童女が悲鳴をあげた。
はっとしたが、すぐに童女は、吊られていた鎖を外されて、女兵に連れていかれた。
その童女が朱姫たちの前を通ったので、その童女の裸体の腹部分に、“性奴隷”という意味の文字が書かれているのが見えた。
おそらく、いまの道術遣いが、童女の腹に文字を刻んだに違いない……。
それから、次々に女たちが、“一”から“四”までの番号を腹に刻まれてから、順に連れていかれた。
番号を刻まれる女囚について、卓の三人が“労働囚”と口走っていた気がする。
そういえば、検査を手伝っていた女囚たちの腹にも、数字が書かれていたので、与えられた番号は労働者用の女囚の班の番号かなにかなのだろう。
ただ、ひとりだけ飛ばされて保留された女がいた。
先頭に並んでいた女であり、見ると朱姫たちと同じように若い女だ。
やがて、その飛ばされた女と朱姫たち三人の四人が残った。
「この四匹は、すべてわたしが預かるわ……。全員繁殖囚。繁殖用が不足しているのよ──」
楊姫が言った。
「おいおい、楊姫──。こいつらは性奴隷がいいだろう──。繁殖囚はもったいないぞ。特に、九番なんかいいじゃないか。まだ若そうだが、性感も高いし、かなりの美貌だ……。いい接待用の性奴隷になるぜ。だいたい、この数値を見ろよ。全身の性感数値がこんなに高いんだぞ。おまけに尻の感度が抜群だ。こんなに淫乱度が高い雌は初めてだぜ」
愛甲が声をあげて笑いながら、検査記録の一枚を楊姫に投げた。
九番目というのは朱姫のことのようだ。
むっとした。
三人だけではなく、後方の兵たちの視線も朱姫の裸身に集まる。
放っておいてくれと思った。
「いくら見てくれが可愛くても、亜人の性奴隷じゃあ使い道が限られるわ。高官の接待用に使った後では、官営の娼館で客を取らせることになると思うけど、亜人じゃあ、性奴隷としても、単価を叩かれて、そんなに稼げないわ……。だから、どうしても数をこなさせなけるばならなくなる。でも、そうすると、一年くらいでおかしな病気になるから、後からでは繁殖用にできなくなるのよ……」
「いや、こいつなら、高級娼婦扱いで利くだろう。貸出先にそういう条件をつければ……」
「無駄よ──。亜人の性奴隷の扱いはどこに預けても酷いわ。男客が病気持ちとわかっていて、亜人奴隷に抱かせたりもするし……。だから、繁殖用なら最初から繁殖用として育てたいわ。こいつらなら若いから、きちんと管理すれば、繁殖囚として最低十年は使えるわ──。それに、本当に繁殖用が不足しているのよ。前所長の方針で、若い亜人の雌を性奴隷にたくさん回しちゃったからね……」
楊姫だ。
繁殖囚……?
なにをする目的の女囚なのか、訊ねなくても、なんとなくわかる。
朱姫は鼻白んだ。
横の摩耶と華耶も蒼い顔をして、身体を震わせている。
「一番目は、処女か……」
老舎が卓に残っている四人の検査結果を記した板を見ながら言った。
「そうよ……。処女よ。だから、最初の種付けは所長がおやりになればいかが? 性奴隷囚にするとなれば、性交の相手を管理しないとならないから、誰でも彼でもというわけにはいかないわ……。実際のところ、ほとんど客以外には抱かせることはない……。だけど、繁殖囚なら、誰の種でもいいのよ。毎日、股ぐらに男の精を繰り返し注いで、誰でもいいから種付けさえできればいいの……。この四匹の全員を所長が味わってから、ほかの者に回してもいいわ……」
「誰でもいいから、わしでもいいというのは、ちと酷くないか?」
老者が笑い声をあげた。
「とにかく、赤ん坊は高く売れるし、一年にひとり生まれれば、性奴隷で稼がせるよりもずっと儲かるわ……。亜人同士の赤ん坊は安くなるから、種付けは人間族にしかさせない……。とにかく、繁殖囚の方が儲かるのよ──。性奴隷の調教は面倒なだけで実入りが少ないし……。ねえ、あんたらも、繁殖囚にすれば空いているときは、この雌を種付けしていいのよ。あんたらだって、繁殖囚が多い方が愉しいわよねえ……」
楊姫が後方にいる男の兵たちに冗談めかしく声をかけた。
男たちだけでなく、楊姫の陽気な物言いに女兵もどっと笑った。
その当事者である朱姫たちからすれば、笑うどころじゃなかったが……。
「処女といえば、ほかの三匹は性経験ありだな……。特に九番目は豊富か……。八番目は非処女だが、破瓜をしたのはごく最近とあったな……。膣に裂傷もいくらか残っていると検査記録にある……。おい、どこで破瓜をした……? ええっと……摩耶だな?」
愛甲が所長の前にあった検査記録の板を覗き見て訊ねた。
性経験が豊富と判断されたらしい九番目とは朱姫だ。
同じく性経験ありと判定された十番目は華耶だ。
そういえば、檻車の中でお互いの境遇について話したとき、華耶については、最近に結婚を約束したばかりの恋人ができたと言っていた。
摩耶についてはなにも聞かなかったが……。
「答えるのよ、摩耶──。痛い目に遭わすのは簡単なのよ」
楊姫が卓の上に、あの『禁錮具』を乗せた。
その道具を見た瞬間、朱姫は自分の身体が自然に硬直するのがわかった。
口惜しいが、あの激痛は、朱姫の身体にすっかりと恐怖心を植え付けてしまった。
「……お、犯されたのは、
摩耶が言った。
朱姫は嘆息した。
そうではないかと思ったのだ。
朱姫の場合は、女隊長の
事実、一丈青と離れて朱姫たちの移送に同行したふたりの道術師隊の兵は、移送隊の将兵と同じように、朱姫たちに口奉仕を強要した。
「ちっ……。あいつらか……。今度、一丈青に言っておくか──。もしも、性奴隷にするという判定になったら商品価値が落ちるだろうが……。偉そうにしているくせに、実際のところ、道術師隊の連中の引き締めが甘いんだよなあ……」
愛甲がぶつぶつと不平のようなことを呟いた。
「……九番目は朱姫という名か──。おお? これは、見た目以上に力もあるのだな。労働囚としても使えそうだのう──」
老舎が卓に置かれてある板の一枚を眺めて言った。
さっき、愛甲が楊姫に投げた板であり、それは朱姫の検査結果を記録した板なのだろう。
「どれ? おお、これはなかなかの数値だな。雌囚でこの筋力の数値はなかなかだ。並みの男並みだな……。お前の種族はなんだ?」
愛甲がその板を覗き込みながら言った。
「……しゅ、種族は……わかりません。相の子……半妖です」
仕方なく言った。
朱姫の母親は妖魔、つまり、ここで言う亜人であり、父は人間族なのだが、母の種族など知らない。
そんなことを知る前に、母親は殺されたのだ。
「ああ、半妖か……。ならば、合点もいく。半妖には、まれに道術や筋力が活性化して、高い能力を持つようになる者も多いしな」
「だけど、繁殖囚でいいわ。男並み程度なら、雄囚を使えばいいでしょう。わざわざ、ほかに使える雌囚を労働用に回す必要はないわよ」
楊姫が言った。
「まあ、そうだな」
愛甲も肩を竦めた。
「あ、あの……、わたしたち……華耶と摩耶は、亜人の血は四分の一だけです。普通の人間と同じです」
すると突然に摩耶が口を挟んだ。
半妖の話題が出たので、華耶はかすかな望みに期待したのかもしれない。
それにしても、この状況で自分から口を開くとは、摩耶の勇気に朱姫は少し感心した。
「それがどうした……? ここに連れ込まれた以上、四分の一であろうと、実際には、純血の人間族であろうと、亜人は亜人だ──。人じゃない。実際のところ、かなりの雌囚が、自分は本当は亜人ではないと言うな。まあ、道術検査をすれば、嘘か本当かは判定できるのだが、そんなことは面倒でやるつもりはない。ましてや、四分の一なら立派な亜人だ──」
愛甲が笑った。
「いいだろう……。この四匹は繁殖囚じゃ」
すると、所長が言った。
例の道術遣いがつかつかと近寄ってきた。
最初に、一番向こうにいる女の腹に文字を道術で刻んだ。
ここからは見えないが、“繁殖囚”と記したのだろう。
その女の悲鳴があがった。
そして、すぐに道術遣いが朱姫の隣の華耶の前にやってきた。
「……待てよ、楊姫──。いくらなんでも、独り占めはよくねえぞ。こっちにも一匹回してくれよ。監督囚候補が欲しい──。その雌でいい。それをくれ」
愛甲が口を挟んだ。
「まあ、愛甲──。この四匹は繁殖囚よ──。監督囚であれば、別に若い雌である必要はないんでしょう──。ほかから選べばいいじゃないの」
「だが、もう、ほかの雌は労働囚に区分してしまっただろう──。雌囚の監督囚も不足だ──。ひとりはもらうぞ。お前のところは、最初の童女も持っていっただろう。その四匹も含めて、半分とは欲張りすぎだ──。この一組のうち、半分近くもお前のところに送られるのであれば、俺のところにも、一匹はもらわないと納得できないな……。次は次だ」
愛好が言った。
「わかった……。じゃあ、ここは、楊姫が泣いておけ──。次の十匹についても、また、労働囚にするか、それとも楊姫のところの性奴隷か繁殖囚にするか、あるいは、愛甲の直接管理の監督囚にするかは区分するが、確かに、それぞれの雌囚の素養もあるが、ある程度は需要に合わせた数の調整も必要だからのう……。それでいいじゃろう、楊姫? その雌については、愛甲のところじゃ。監督囚候補として育成せい」
老舎が宣言するように言った。
楊姫が、仕方がないという意味のことを呟くのが聞こえた。
「あぐううっ」
次の瞬間、朱姫は呻き声をあげた。
腹部に火を当てられたような痛みが走ったのだ。
しかし、それは一瞬で消滅した。
すると、朱姫の腹には、“繁殖”という文字が刻まれていた。
「きゃあああ──」
続いて摩耶の悲鳴も起きた。
摩耶もまた道術遣いに文字を刻まれたのだ。
「繁殖囚として、わたしのところに来ることになった三匹を連れていって──」
楊姫が後ろに声をかけた。
兵たちが出てきて、一番目の女と朱姫と摩耶の手錠を天井に繋がっている鎖から外して、建物の奥に連行していく。
「……その雌は俺のところだぞ。間違えるなよ──」
華耶の鎖を外している兵に、愛甲がすかさずそう言った。
*
【
■所長
■監督囚班
班長
……
■繁殖囚班
班長
……一番目の女、朱姫、
■性奴隷囚班
班長 楊姫(兼務)
……
■労働囚部
部長 老舎(兼務)
1班……
2班……
3班……
4班……
■雑役囚班
…………
■屠殺所班
…………