上衣が腕から抜かれて、まずは、
さらに革靴が脱がされて、革靴の下にはいている靴下と……。
どんどんと着ているものを脱がされていく。
宝玄仙の命令を受けた孫空女と沙那というふたりの女が、無造作に
一丈青は、それに対して、なんの抵抗もできなかった。
全身が金縛りになったように動かない。
しかも、舌さえも凍りついて、悲鳴も出ない。
道術対決で負ける……。
それは、一丈青には想像もできないことだった。
百年に一度の逸材と称され、わずか二十歳にして、道術師隊の隊長に抜擢されるほどの一丈青が、道術においてまったく歯が立たずに、完全に敗北したのだ。
十歳のときに高い霊気が覚醒し、それから何人もの道術の師匠についたが、簡単に師匠を道術では打ち負かすことができた。
だから、自分よりも優れた道術遣いは、この世にはいないとさえ思っていたのだ。
しかし、負けた。
さっき、宝玄仙に霊気を飛ばされたときには、一丈青もまた、同じことを宝玄仙にやろうとしていた。
だが、宝玄仙が自分の周りに刻んでいた簡易結界に刃が立たず、逆に一丈青の道術は、身体に漲らせていた霊気ごと消滅させられた。
圧倒的な力量差……。
一丈青はそれを生まれて初めて思い知った。
そして、その魔女に捕らえられた。
一丈青の背に冷たい汗が流れる。
「一丈青とやら、お前にはいろいろと訊ねたいことがあるからね……。どうせ、簡単には喋らないだろうから、まずは、この宝玄仙の色責めに遭ってもらうよ。そうすれば、あることないこと、なんでも喋るようになるさ……。とにかく、まずは、お前に色々と喋ってもらってから、それから、
宝玄仙が笑った。
李媛──?
この宝玄仙たちは、本当に司政官の李媛に手を出そうとしているのか……?
李媛は、この宝玄仙という魔女が、朱姫のことで李媛に仕返しをすると思って怖がっていた。
だが、一丈青は、そんな懸念など、李媛の臆病さから出た妄想であって、一介の旅の女が王軍で護っている李媛に、手出しをすることはありえないと考えていた。
しかし、どうやら、この女たちは、この国の道術師隊や王軍隊を怖くもなんともないようだ。
一丈青は驚いた。
「ご主人様、あることないことでは困ります……。正確な情報でなければ……。それに訊き出したいのは、朱姫が囚われているという亜人収容所のことです……。昼間、捕まえた道術師隊の男によれば、この一丈青は、王軍道術師隊長として、頻繁にその収容所にも赴くことがあるそうですから、こいつには、その収容所の情報を洗いざらい喋らせたいのです」
栗毛の女が一丈青の胸当てを剥ぎ取りながら言った。
人気のない夜とはいえ、ここは商家が軒を並べる商家街だ。
一丈青は、こんな野外で乳房を剝き出しにされた羞恥で、全身が真っ赤になるのを感じた。
その沙那が孫空女に一丈青からとりあげた胸当てを渡した。
孫空女は、宝玄仙の命令で、一丈青から脱がせたものを行政府の前に捨ててくるとかで、いままで脱がせたものを畳み直し始めていた。
「わかっているよ、沙那……。だけど、その李媛という性悪女には、きっちりと落とし前をつけていこうじゃないかい──。ちょっとくらい恥ずかしい目に遭わせるくらいなら、あの
李姫?
貞女?
宝玄仙が何気なく口に出した名前に、一丈青はびっくりした。
李姫とは、あの李媛の娘のことだろう。
貞女とは、李姫の恋人だと李媛に告白し、李媛が激怒して少し前に屋敷から解雇した侍女のはずだ。
そして、その直後に、貞女どころか李姫も家出をしてしまい、李媛が必死で行方を探させている。
李媛は王軍道術師隊にも、李姫を捜索しろと一丈青に言ってきたが、さすがに家出娘の捜索など道術師隊のすることではないと断ったが……。
その李姫と貞女と接触があるのか……?
「ご、ご主人様──。なんで口に出すんですか──?」
一丈青の腰の下着に手をかけていた沙那が、その作業をやめて宝玄仙に詰め寄った。
「えっ? ああ、まずかったい?」
「当たり前じゃないですか──。これで、この女は逃がすわけにはいかなくなりましたよ。情報を白状させた後で殺すしかなくなりました。李姫と貞女に迷惑がかかります」
沙那が呆れた声をあげた。
しかし、殺すという言葉に一丈青はぞっとした。
「じゃあ、こいつを連れていけばいいじゃないか、沙那──。どうせ、その収容所とかを襲撃するか、忍び込むかして、朱姫を助けるんだろう? だったら、そこまで連れていったらいいよ。情報源として必要だしさあ……。そのあいだに、あの坊やがふたりをこの城郭から逃がして、安全なところに匿うさ。それが、あのふたりが、あたしらや朱姫と李媛の情報を提供してくれた条件なんだしね」
孫空女が言った。
「あ、あんたも喋りすぎよ、孫女」
沙那が怒ったように言った。
「まあいいさ。それよりも、こいつは随分と肌がぴちぴちしているじゃないかい? 王軍の道術師隊の女隊長ということだから、顔は若くても、まさか、三十を下ることはないと思っていたけど、何歳だい? 声を返してやるから喋りな」
宝玄仙が一丈青に道術を刻んだのがわかった。
舌の感覚が戻った。
助けを……。
一丈青がその瞬間に考えたのは、それだ。
道術師隊は、この城郭の四方八方に散らばせてある。
ここは道端だし、運よく近くに部下がいれば……。
「悲鳴をあげて助けを呼びたければ、そうしてもいいけど、そのときは、集まった人間の前で、お前の下着を剥ぎ取るからね……。そうだ。お前の仲間が見つけやすいように、照明をつけてやるよ。一丈青隊長のすっぽんぽんの裸芸だ。大声で仲間を呼びな」
すると、一丈青が立たされている周りに、すっと光の輪が浮かんだ。
夜闇に自分の半裸の姿が浮かびあがったのがわかった。
「わっ、うわっ」
一丈青は動揺した。
助けを呼ぼうとした舌も動かなくなる。
確かに、こんな姿を見られるわけには……。
「……ふふふ、悲鳴をあげるつもりはなくなったようだね。じゃあ、訊ねたことを言いな。まず、知りたいのはお前の歳だ……。次に、男との経験がどのくらいあるのか言いな。それによって、調教のやり方が変わってくるからね……」
宝玄仙が沙那を押し避けるようにして、一丈青の前に出てきた。
そして、いま一丈青が唯一身に着けている下着の前部分に手をかけた。
しかも、その指をゆっくりとさげていく……。
「まったくご主人様は……」
宝玄仙の後ろで沙那が呆れ顔でぶつぶつと呟いたのが聞こえた。
一方で一丈青が脱いだものを抱えて立ちあがっている孫空女は、その隣で苦笑している。
そのあいだにも、じわじわと下着がさがっていく。
下から照らされる光に、一丈青の恥毛の一部が露出する。
「ま、待って──。に、二十よ」
一丈青は慌てて言った。
とにかく、時間を稼がなければ……。
一瞬にして消された霊気は、時間さえ経てば少しずつだが、身体が周囲から霊気を吸収して回復する。
そうすれば、『移動術』で逃げられる……。
それまで、なんとか時をかけるのだ……。
「へえ、本当にそんなに若いのかい……。そう言えば、結構、霊気の戻りが早いねえ……。もう、霊気が溜まりつつあるじゃないかい。さすがは、その若さで道術師隊の隊長だけやるだけあるねえ。面倒だから、封印しておくかね……。じゃあ、ちょっとばかり、ぴりっとするよ。まあ、本格的なものじゃないけど簡易道術陣だ。これで、お前の霊気はわたしの思いのままさ」
宝玄仙がすっと、一丈青の下着を一気に膝までずりさげた。
「ああ……」
一丈青は羞恥と汚辱に顔をさっと横に捩じった。
しかし、次の瞬間、突然に熱の塊りが下腹部に当たった感触が沸き起こった。
「ひぐうっ」
一丈青は口から強い呻き声を迸らせた。
その熱さはすぐになくなったが、慌てて、その箇所に視線を落とした。
赤ん坊の拳大の道術陣が一丈青の股間に刻まれている。
一丈青は驚いた。
「これで、お前はわたしがこれを消すまで、道術は遣えないよ。おまけに、わたしの道術はお前の身体にかけ放題だ。挨拶代りに、全身の感度をあげてやるよ。とりあえず、五倍くらいでどうだい?」
すると、急に全身が熱くなった。
身体が火照り、脂汗のようなものが毛穴という毛孔から噴き出してくる。
「な、なに、これ……」
一丈青は歯を喰いしばった。
全身からおかしな疼きが込みあがってくる。
「とにかく、ご主人様、本当にここでは人目があります……。予定通りに、例の空き家に移動しましょうよ」
沙那が口を挟んだ。
「待ちな。この娘は、肝心なことに答えてないよ……。さあ、言いな。お前の肌の感じ……。なんとなくだが、わたしはお前は生娘なんじゃないかと思うがね……。どうなんだい?」
「そ、そんなこと……」
一丈青は顔を宝玄仙から背けるために横に捩じった。
しかし、宝玄仙がぐいと顎を掴んで、真っ直ぐに一丈青を宝玄仙に向ける。すると、身体に宝玄仙の霊気が流れ込んで顔を固定される。
「答えるんだよ。生娘かい──? それとも、経験はあるのかい?」
宝玄仙がにやにやと笑いながら一丈青に迫る。
一丈青は、必死に口をつぐんだ。
なんで、そんなことを答えなければならないのだ。
「答えないのかい……」
口をつぐんで、身体を震わせている一丈青の股間に、宝玄仙が手をやった。
その手に霊気が漲っている。
すると、宝玄仙の手に男性器を思わせる木の張形が現われた。
びっくりした。
「早く答えな。生娘だったら、やめてやる。そうでなければ、まずは、この場で挨拶代りの張形責めだ……。心配しなくても、道術陣を使って前戯なんかなくても、どろどろに蜜が溢れるようにしてやるから、生娘でもなければ苦痛ではないはずさ」
宝玄仙がくすくすと笑いながら、一丈青の太腿に片手を軽く置いた。
すると、まるで自分の脚ではないかのように、一丈青の両脚がすっと動いて、肩幅に脚を開いて動かなくなる。
膝の上に下着がかかったままだったので、その下着が脚を開いたためにいっぱい伸びたのがわかった。
「挿すよ……。ほらっ……。股間が熱くなってきただろう……。もしも、お前が男の経験があるなら、この道術でたっぷりと蜜が出るはずだ。だけど、生娘だったら、この道術じゃ駄目なんだ。だから、そうでなければ言いな。さもないと、乾いた女陰に木の棒を挿されるという、女として生まれたことを後悔するような苦痛を味わうことになるよ」
宝玄仙の持つ張形の先端が一丈青の無防備な股間に当たった。それがじわじわとあがってくる。
一丈青は恐怖した。
女陰が渇いていることはわかっている。
一丈青には男の経験は一度もないのだ。
「や、やめて──。生娘よ──。生娘だったら──。こ、怖い──」
一丈青は悲鳴をあげた。
そして、自分でも驚くことに、わっと両眼から涙がぼろぼろと流れ出したのだ。
「やっぱり、そうだったよ、沙那──。こいつは生娘だってよ」
宝玄仙が張形を一丈青の股間から離して大笑いした。
「もう……。なにがおかしいんですか、ご主人様」
沙那が嘆息したのがわかった。
しかし、宝玄仙は本当になにがおかしいのか、げらげらと笑いながら、一丈青の足首から下着を抜いた。
「ほらっ、行っておいで、孫空女──。そのあいだに、わたしらは例の家に移動しているから……」
宝玄仙が一丈青の下着をぽんと孫空女に放った。
だが、一丈青は、自分の中のなにかが毀れてしまったのか、ぼろぼろと流れ続ける涙をどうしてもとめることができなかった。