「な、なにをするつもりなのよ──。や、やめなさい、
朱姫は声をあげた。
だが、実際には怯えていた。
女囚の服である上下の短い布切れのうち、下半身の下袍はそのままだが、上衣は剥がされて、乳房を剝き出しにされている。
また、両手はしっかりと背中側で革紐で縛られて、そして、両足を高さが四寸(約十二センチ)、一辺が二寸(約六センチ)四方の小さな一個の木切れに乗せられているのだ。
乗せているといっても、木切れの幅は狭いので、朱姫のそれぞれの足の裏の一部が木切れの上にあるだけで、大部分はその外側に浮いている。
両側からは、華耶が手配した雑役囚が身体を押さえているので、逃げることはできない。
雑役囚もまた、朱姫と同じ女囚なのだが、監督囚に逆らう囚人はいない。
そんな不安定な状態の朱姫の両乳首の根元に、華耶は二本の糸をくるくると巻きつけているのだ。
ここは、懲罰部屋と呼ばれている繁殖囚専門の罰則部屋だ。
朱姫は、
用心深く隠していたのだが、夜の点呼直後に、不意打ちの抜き打ち検査があり、油断して見つけられてしまったのだ。
「さっきも言った通りよ、朱姫──。これは懲罰よ──。あんたの荷の中から、また縄切れが発見されたわ。二度と、それは許さないと警告したはずよ──」
華耶が怒りを浮かべた顔で言った。
そして、朱姫の乳首に糸で結び目を作り、きゅっと絞った。
「くっ……。だ、だけど、抜き打ちで検査するなんて……、華耶……」
朱姫はささやくように言った。
すると、華耶が結んだばかりの糸を思い切り上に引っ張った。
「あっ、いっ、痛いっ──」
朱姫は顔を引きつらせて叫んだ。
乳首の根元が細い糸に食い込んで、乳首を引きちぎるような激痛を与えたのだ。
「いい加減に、わたしをそんな風に呼ぶことはやめなさい。もう、お前とわたしの立場は違うのよ。監督囚様、あるいは、華耶様と呼びなさい、朱姫。さもないと、懲罰を追加するわよ」
華耶が強い口調で言って、乳首を吊りあげた糸を天井から垂れている鎖に結びつけた。
その鎖を滑車を使ってさらに吊りあげる。
「はぐうううっ」
朱姫の乳首に繋いだ糸が引っ張られて、脳天を抉るような激痛が走る。
さらに、その高さで糸が固定された。
なんとか、直立の体勢を維持すれば、糸が食い込まないが、ちょっとでも動けば、乳首に激痛が走る。
しかも、小さな木切れの上に朱姫は乗らされているのだ。
朱姫は、この糸が朱姫の体重くらいでは、絶対に切れないことを知っている。
万が一、その木切れから足を踏み外せば、たちまちに、その糸は、朱姫のふたつの乳首を切断してしまうだろう。
「か、華耶、こ、こんなこと、やめて──。どうかしちゃたの。あんた?」
少し離れた位置で、朱姫と向かう合うように立たされている摩耶が叫んだ。
摩耶もまた、朱姫と同じように、天井から吊られた鎖で、直立不動の姿勢を強いられていたが、立たされているのは床の上であり、鎖が繋がっているのは、女囚全員に装着されている首輪だ。
朱姫に比べては緩い罰だ。
しかし、それは摩耶が華耶の姉妹だからだというよりは、今回のことが朱姫の方が首謀者と判断されたためによる差という感じだ。
朱姫は他人の朱姫はともかく、血の繋がっているの摩耶にもこんな仕打ちをする華耶に正直驚いていた。
すると、華耶が鋭い視線を摩耶に向けたのがわかった。
華耶に睨みつけられた摩耶が、顔をさっと強張らせたのだ。
「どうかしちゃったじゃないわよ、摩耶。あんたたちこそ、どうかしちゃたの? どうして、決まりをいつも平然と破るの、あんたら? わたしがどれだけ、庇ってあげているかわかってる?」
「庇っている? これで?」
さすがに、摩耶が怒ったような顔になる。
すると、華耶が不機嫌そうに鼻を鳴らした。
「あんたらねえ……。あたしが、全部報告してたら、あんたらはとっくの昔に処分されているわ──。ねえ、わかってよ。わたしはやりたくて、こんな懲罰をやっているんじゃないの。あんたたちにわかってもらって、その命を守るためなのよ。とにかく、今夜は夜通し朝まで、そのまま放置よ。しっかり、反省しなさい」
華耶は、摩耶と朱姫の顔を交互に見ながらそう言うと、連れてきていた雑役囚ふたりに、自分の首の後ろに両手を持ってくるように命じ、金具でそれぞれの手首の革枷を首輪の後ろに固定した。
雑役囚ふたりをそれぞれの檻に連れ戻すつもりだろう。
「へっ、なにが、あたしたちのためよ……。罰を与えるときのあんたは、嬉々として酔ったような顔してるわよ……」
朱姫は小さな声で吐き捨てた。
「なんか言った、朱姫──?」
すると、華耶がきっと朱姫を睨んだ。怒りを露にした凄い形相をしている。
「独り言です、監督囚様」
朱姫は大きな声で言った。
「独り言? それにしては、声が大きいんじゃない、朱姫?」
華耶はかなり感情的になっている感じだ。
「監督囚様の耳がいいのなんか、知りませんよ──。同じように囚われた仲間なのに、監督囚なんかにたまたま選ばれて、のぼせあがっているから、きっと、耳の調子までいいんじゃないんですか?」
朱姫は嫌みたっぷりに言った。
「な、なんですってぇ」
華耶がさっと、腰にかけてある『禁錮具』に手をやった。
朱姫はびくりとした。
しかし、華耶は、結局、朱姫の頭に激痛を与えるその道具を使おうとはしなかった。
その代わり、にやりと頬に酷薄そうな笑みを浮かべ、滑車を操作して、朱姫の乳首を吊りあげている糸をさらに少しあげた。
「ううっ」
朱姫は呻いた。乳首に鋭い痛みが走った。
慌てて、踵を浮かす。
ただでさえ小さな木片に乗せられていることで不安定だった体勢が、さらに不安定になった。
しかも、乳首に激痛が走らないようにするためには、こうやって、踵を浮かせていなければならない。
この状態で、まさか、朝まですごさせる気なのか……?
朱姫は鼻白んだ。
「ま、華耶、そんなのやりすぎよ──。やめなさい。目を覚まして──。なんで、こんなことするのよ──」
悲鳴のような声をあげたのは、朱姫の対面に立たされている摩耶だ。華耶の振る舞いが信じられないという顔をしている。
「可哀想だけど、口でわからないなら、身体でわからせるしかないのよ、摩耶。動物にものを教えるには、やっぱり、罰しかないわ」
そして、華耶は、朱姫に視線を向けた。
「ひと晩かかって、言うことをきかないときのお仕置きの苦しみを身体の隅々に染み込ませなさい、朱姫。じゃあ、明日ね。踵を降ろしたり、眠って、木片から落ちないようにね。ふたつの乳首がなくなるわよ……。じゃあ、お休み、朱姫。いや、お前はお休みじゃないわね」
華耶が笑った。
「あ、あたしたちは、人じゃなくて動物?」
朱姫は荒くなる息に耐えながら言った。
「そうよ。それを自覚しなさい」
華耶は諭すような口調で言った。
「だ、だったら、あんたも人でなく動物よ、華耶……。あんたも自覚しなさい」
朱姫が言うと、華耶は嫌な顔をした。
だが、それ以上はなにも言わずに、拘束した雑役囚を連れて、懲罰部屋を出ていく。
朱姫は、残酷な状態のまま、華耶とふたりきりにされた。
「ああ……。しゅ、朱姫、大丈夫? ご、ごめんなさい。華耶が……。なんで、あんな風になっちゃったのか……。でも、あの子、根が真面目で……だからかな? でも、こんな残酷なことができるわけないのに……。優しい性格なのよ。本当は……」
摩耶が狼狽えたような声で言った。
「わ、わかっているわ……。こ、この環境が華耶をあんな風にしているのよ……。そうでなければ、み、みんな普通の人間よ……」
朱姫は木切れの上で、必死につま先立ちを保ちながら、それだけを言った。
*
「お前のような高慢な女は、実はこういう惨めな情交の方が燃えるんだよ。そうだろう、
宝玄仙は、李媛の股間に埋め込んでいるふたつの淫具を作動させなから、舌を李媛の首の後ろに這わせ、胸を服の上から揉みたててやっている。
「はああっ」
李媛が興奮したように高い声を放った。
この女司政官が極度の淫情に襲われていることは明らかだ。
また、目隠しをされていることが、李媛の身体の感度をあげるとともに、なにも見えないということが奇妙な安心感となって、李媛を解放的にさせていることは確かだろう。
しかし、もしも、後ろの席に乗っているのが、家出をした娘の
それとも、この女は娘たちの前で辱しめられるという恥辱に、さらに欲情して、もっとよがり狂うだろうか。
そんな気もする。
宝玄仙は、後ろの席で声を殺して、李媛の恥態に驚いている貞女と李姫に視線を向けた。
ふたりもまた、官能によがる李媛にあてられたのか、顔を真っ赤に上気させている。
「見な、お前たち、これが李媛の本当の正体だよ。こいつは、重度の被虐癖だ。惨めに責められれば、責められるほど、興奮するど変態だ。よく覚えておきな……。ほら、変態司政官、窓の覆いを開けてやったよ。夜でもまだ宵の口だ。大通りには人手もある。また、市民に見られながら達しな」
宝玄仙は、愛撫の場所をもうどろどろになっている股間に移動した。上半身が女司政官としての清楚な衣装で、下半分は裸体だというのは、なかなかに淫靡な姿だ。
そんな格好にされて、上だけとはいえ、外から見られる状態でいたぶられるのは、李媛には堪らない惨めさだろう。
そして、その露出の羞恥に李媛が正気を保つことが難しいくらいの快感を味わっているのが、宝玄仙にははっきりとわかった。
もっとも、窓の覆い布を開けたところで、夜道からでは、動いている馬車の中の李媛の顔など見えるわけがないが……。
この李媛の被虐癖がもともとの性質であるのか、青獅子によって刷り込まれたものかは知らないが、これだけの被虐の性癖を、誰にも発散させてもらえず、司政官として禁欲生活を送り続けたのはつらかったに違いない。
それが李媛を人が変わったような苛々に陥られていたのは明らかだ。
「あ、ああっ……だ、誰に話しておるのじゃ──? だ、誰が後ろにおるのだ? そ、それに、足元の人間は誰じゃ? あっ、はああっ──」
李媛が切羽詰まった声をあげた。
もちろん、足元の袋詰めの人間は
特殊な霊具の袋だから、中で窒息することも、悲鳴が外に漏れることもない。
そして、馬車の床に転がしてから、ずっと最大限に『女淫輪』を振動させてやっているから、もしかしたら、もう十数回は達しているかもしれない。
しかし、意識だけはあるはずだ。
そして、狂うこともない。
一丈青には、覚醒の道術をかけてある。
だから、限度を超えた快感を一丈青は受け続けるしかないのだ。
もちろん発狂もできない。
そんな生易しいことは、宝玄仙の調教にはない。
「お前は、そんなこと、気にしなくてもいいんだよ。いいから、よがり狂ってな、変態。ほら、布を噛ませてやる。声を我慢していきな」
宝玄仙は、李媛の口に、準備していた布を噛ませ、愛撫の手を激しくした。
「んんんんんっ」
李媛は全身をおこりのように震わせて、また絶頂した。
「ご主人様、もうすぐ、城門です」
馭者台にいる沙那が叫んだ。
ずっと警戒しながら隣に座っている孫空女が、黙ったまま耳から手に『如意棒』を移動させたのがわかった。
宝玄仙は李媛の口から布を取った。
「じゃあ、李媛、うまくやりな。失敗したり、助けを求めようとしたら、即座にその格好で馬車の外に放り出す。ついでに、浣腸栓もそのときに外してやるからね」
宝玄仙は言った。
しかし、もう何度も馬車の中でいかされた李媛は、すっかりと屈服し、逆らう気持ちはなさそうだ。
そうでないとしても、さすがに、下半身丸出しで、股間の二穴を淫具で塞がれた姿では外には放り出されたくないだろう。
しかも、すでに便意の限界をすぎている李媛は、浣腸栓を外された瞬間に、大便を撒き散らすことになることは間違いない。
「わ、わかっておる……」
李媛は被虐酔いしたような呆けた表情で言った。
孫空女が後部席とこちら側を仕切る車内の布を閉めた。
宝玄仙はそれを確認して、李媛の目隠しを外す。
馬車の速度が落ちた。
やがて、完全に停まる。
馬車を城門で警戒している兵がなにか話している声がする。
「出番だよ」
宝玄仙は窓に李媛の顔を押しやった。
ついでに、股間の淫具に微弱の振動を与えてやる。
「うっ」
李媛が一瞬、眉を寄せて身体を震わせた。しかし、外の兵に気づかれるのを怖れた李媛は、すぐに真顔を作った。
「わ、わらわじゃ、李媛じゃ──。所用で出る。い、急いでおる。通せ──。それと、明日の夕には戻る。心配ないと伝えよ」
李媛が窓の外に顔だけ出して叫んだ。
言えと強要した言葉のままだ。
真面目を装う他所行きの顔だが、こちら側にある下半身は丸出しなのだ。その不釣り合いさが面白い。
しかし、横の孫空女が異常なほどに緊張しているのがわかる。
もしも、この馬車を調べられる事態になれば、あとは暴れて突破するか、城郭側にもう一度、逃げるかしかない。
沙那は、城門で警戒に当たっている兵が、この馬車を通過させない可能性は五分五分だと言っていた。
この時間に予告もなしに、司政官の李媛が城壁の外に出るのはおかしいし、警護兵が前後にいないのも不自然だからだそうだ。
だが、反面、屋敷に戻ると告げてから、真っ直ぐに、この馬車は城門に向かってきた。
ここにいるのは、道術のない歩兵隊だから、李媛が行方不明になったことが、もうここに伝えられていることはあり得ない。
だが、外から門を開けろと指示をしている声が聞こえてきた。
どうやら、案じるようなことは、なにもなさそうだ。
宝玄仙はほっとした。
やがて、馬車が再び動き出す。
馬車が城門を抜けたのがわかった。
「よくやったよ、李媛」
宝玄仙は、また、李媛に目隠しをした。
「や、約束じゃ……。じょ、城門を出たら、不浄に行かせてくれると申したはずじゃ……」
すると、李媛が訴えるように言った。
「不浄? ああ、厠のことかい。そんなことは言ってないよ。大便をさせてやると言っただけさ。沙那──。そこら辺に小川があるはずだろう? 停めてやりな。司政官閣下がもよおしているのさ」
宝玄仙は、笑いながら沙那に声をあげた。
「待ってください。もう少し進んでから、安心できる場所で停まりますから」
馭者台の沙那が叫んだ。
「お、小川とはなんじゃ?」
李媛が狼狽えた声をあげた。
「お前はなにも考えずに、よがってな」
宝玄仙はまた、李媛の前後の淫具を作動させた。
今度はしばらく動かしっぱなしにする。
「ひいっ、ひいっ、ひっ」
すぐに身体を震わせて呻き出した李媛が、がくがくと痙攣をして、また全身をのけ反らせた。
「呆れたねえ……。本当に簡単に達するねえ」
宝玄仙がわざとらしくからかうと、李媛が恥辱に顔を歪ませた。
しばらくすると、やっと馬車が停まった。どこかの林の中のようだ。
孫空女が馬車の扉を開く。
すぐに孫空女と沙那がとさっと散っていく。
ふたりで警戒に当たってくれるのだろう。
宝玄仙は、後ろ手に拘束している李媛を目隠しのまま、馬車の外に出した。
道術で灯りを周りに照らす。
ここは、街道から外れた脇道の横の林のようだ。そばに小川が流れている。
「ほら、おいで」
宝玄仙は李媛の腕を掴んで、小川に連れていった。
移動とともに、道術の灯りもついてくる。
宝玄仙は目隠しをしている李媛の腕をとったまま、小川の中に連れていった。
「つ、冷たい」
小川は足首ほどの深さだ。その真ん中に立たされた李媛は、怯えたような仕草をした。
「待って、わたしたちにお世話をさせてください」
そのとき、馬車から貞女と李姫のふたりが慌てたようにやって来た。
「り、李姫の声か? お前たちがおるのか? さ、貞女もか? だ、大事はないか? 無事か?」
李媛がびっくりした声をあげた。
宝玄仙は、李媛に存在を悟られるなと言ったにも関わらず、それに逆らってやってきたふたりに苦笑した。
李媛の目隠しを外す。
「李姫──、貞女──。なんともないのか? ほ、宝玄仙殿、頼む。捕らえるのも、仕返しも、わらわだけで十分のはずじゃ。ふたりは解放してくれ」
ふたりの姿を確認した李媛は一瞬、ほっとした顔になり、今度は、宝玄仙に懇願の声をあげた。
「そんなんじゃありません、お母様。わたしたちは、その……。申し訳ありません」
「李媛様、こんな恩を仇で返すようなまねをお許しを──」
「李姫? 貞女?」
李媛はふたりからいきなり謝られて当惑している。
「こいつらは、わたしがこいつらを保護するという条件で、お前を売ったのさ……。その話はいいさ。それよりも、李姫、李媛の肛門栓を抜いてやりな。貞女は排便をする李媛の股間を愛撫するんだ」
「はい」
貞女がすぐに李媛の腕を宝玄仙から受け取り、李媛の肉芽あたりの刺激を始めた。
李姫も反対側の腕を掴んだ。
「まだよ、李姫。合図をするまで抜かないで」
「はい、貞女お姉様」
ふたりが李媛を小川の上に立たせたまま、覚め始める。
「なっ……、そ、そんな……い、いやっ、お、お前たち、なにを……」
李媛が狼狽えなからも、激しくよがり出す。
ふたりには、李媛の本質が被虐癖であるという宝玄仙の予想をさんざんに説明した。
そして、実際にも馬車の中の李媛の恥態を見て確認もしたはずだ。
そのことで、ふたりはかなり大胆な気分になっているようだ。
主人であり、実母である李媛を責めるという行為をついに、自分たちから志願してやり始めた。
この辺りの心境は、宝玄仙には完全に理解することはできないものの、わかる部分もある。
貞女にしろ、李姫にしろ、このふたりは、亜人たちに囚われているあいだ、彼らに犯され、調教されるというつらい時間を朱姫も含めた倒錯した百合の情交をかわすことで耐え続けたらしい。
また、亜人の奴隷でいるときは、李媛への責めを亜人たちの前で見世物として、やらされることも何度もあったという。
そんな時間の中で、貞女も李姫も、本当に李媛とそういう関係になることを夢見たこともあると、正直に昨日語った。
もしも、あの亜人の奴隷の日々が続いていれば、貞女と李姫の関係と同じ関係に、李媛が加わったのは間違いないとも思っていたようだ。
だが、その日々は突然終わり、李媛は人が変わったように、苛ついた態度をとるようになった。
それが三人の関係をぎくしゃくさせてしまった……。
だから、李姫と貞女は、その溝を強引に戻そうとしているのだ。
李媛を自分たちが囚われてしまった嗜虐と被虐の性に引っ張り込むことによって……。
宝玄仙は少し離れて、三人を見守ることにした。
娘と従女に責められる李媛が、はっきりと欲情していることは明らかだ。
「いぐうううう」
しばらくすると、李媛ががくがくと身体を震わせた。
李姫が李姫の肛門栓を引き抜き、李媛の尻から大量の排便が吹き出した。
「き、気持ちいい──」
李媛が叫んでいる。
どうやら、責めるふたりに強要されたようだ。
そして、その屈辱によっても、李媛は激しい快楽に襲われているらしい。
ここから見ていても、李媛は呆けてはいるが、同時に憑き物が取れたような穏やかな顔になっている。
李媛もまた、吹っ切れたのかもしれない。
貞女と李姫は、場合によっては、宝玄仙たちと一緒に、南に向かう予定だったが、あの感じだとふたりは李媛の屋敷に戻ることを選ぶ気がする。
「お前ら、いつまでも乳繰り合うんじゃないよ──。そろそろ、戻ってきな」
宝玄仙は、李媛の排便が終わっても、ふたりがかりの愛撫をやめない李姫たちに叫んだ。
あの三人は、これでうまくいくのだろうな。
なんとなく、宝玄仙はそう思った。
(第92話『女司政官と魔女』終わり、第93話『半妖族の叛乱』に続く)