昼間、招待場で会ったのとほとんど変わらない平凡な着物を身に着けている。
ただ、身体を洗ったばかりという感じであり、かすかに肌から湯の匂いが漂ってきた。
招かれた部屋で小萩は、大黒天とふたりきりで食事をすることになった。
「この度は、わたしたちを引き受けてくださって感謝いたします」
まずは、やってきた大黒天の前で床に手をついて、小萩は深々と頭をさげた。
卓や椅子のようなものはなく、絨毯が敷き詰められている床に直接座るかたちの客間だ。
その部屋の中央にふたつの膳があり、それぞれに自然薯と干し魚などを料理にしたものが乗っている。
食事は新鮮そうであったが豪華なものではない。
大黒天が普段口にするものだと思った。酒も横にあった。
やってきた大黒天に対して、小萩はすぐに膳の横に移動して、まずは、お礼の言葉を言った。
「頭をあげてください……。頼まれたから、引き受けただけです」
大黒天が言った。
小萩が頭をあげると、大黒天の無邪気そうな微笑がそこにあった。
思わず引き込まれるような純粋な笑顔だ。
なぜか、小萩は自分の心臓が高まるのを感じた。
「あ、あの土産を……。皆でお金を持ち寄って、頭領殿に提供しようと購ったのですが、なにぶんと安い物です。でも、みんなの気持ちとしてお受け取りください」
小萩は準備していた酒を差し出した。
大黒天はにこにこと微笑みながら、それをふたりの膳の横に置いた。
「なに、見ての通り、俺も質素な生活をしています。口にしている酒もいつも安物だから、高級な酒の味なんてわからんのです。でも、量は飲みますから、ありがたくいただきます」
大黒天が笑った。
清々しいほどの笑顔だ。
小萩は、思わずその笑顔に釣り込まれて、自分も笑みを浮かべていることに気がついた。
「それから、頭領殿はやめてください──。誰もそんな呼び方はしませんよ。大黒天と名で呼んでくれればいいです。見てわかる通り、頭領など、俺の柄じゃないのですよ」
「まあ、では、なぜ、頭領をしているのですか、大黒天様?」
思わず小萩は笑って訊ねた。
これほどの賊徒の頭領というのに、少しも偉ぶった感じがない。
いきなり、初対面の相手に、しかも、賊徒の頭領に、こんな軽口をいうのは失礼すぎるとは思ったが、なんとなくそれを許してしまう雰囲気が大黒天にある。
それが大黒天の魅力なのかもしれない。
「なあに、みんなに頼まれたからやっているだけです」
大黒天は笑った。
小萩もつられて笑ってしまった。
そして、この部屋にやって来る前に案内を受けたときのことを少し思い出した。
招待場で待っていた小萩を案内人が迎えにきたのだが、その案内人は、お
年齢は四十くらいだと思う。
訊ねると大黒天の妻のひとりだと言ったので、小萩は少し驚いた。
正直な感想としては、お寧が醜女とは思わなかったが美人ではない。
大黒天は女好きだと、あの後でさんざんに朱雀に言われたので、その妻たちは絶世の美女だろうと想像した。
これほどの賊徒の頭領であれば、女など好きなだけ集められるだろうし、
しかし、妻のひとりだと名乗った女は、どこにでもいそうな中年女だった。
だから意外だったのだ。
また、お寧は、馬車に乗って迎えにきていた。
そして、少しばかり馬車で進んで大黒天の屋敷に着いた。
それまでに、大きな城門も通りすぎた。
屋敷に通されたときに、残りのふたりの妻にも会った。
いずれも、平凡な顔立ちの女だ。
歳もふたりとも三十より下ということはなさそうだ。
三人とも大黒天よりも年長という感じだったので、もしかしたら、それが大黒天の好みなのだろうか……?
小萩は朝に会ったよりも、さらに短い裾の服を着て、髪もかなり若く見えるように頑張ったのだが、もしかしたら、逆がよかったかもしれないとさえ思った。
しかし、大黒天はさっきからちらちらと、座っている小萩の剥き出しの太股を眺めてくれているようなので、大黒天が小萩を女として、意識してくれているのは確かだ。
それにしても、大黒天はこっそりと小萩の脚を見ているつもりかもしれないが、小萩からすれば、男の視線は丸わかりだ。
それでも、こっそり見ては、すぐに眼を逸らしたりする仕草はなんか可愛い。
小萩はひとりでに、頬が緩むのを感じた。
「小萩殿は酒は飲みますか?」
大黒天が言った。
「の、飲みます」
小萩は酒をたしなむ。
飲んで乱れるということはないが、好きなのだ。
「では、俺はあなた方がくれた酒を頂きます。小萩殿は、この里で作った酒をどうぞ。こんな場所で作った粗酒ですが」
向かい合わせになった膳の横に、あらかじめ準備されていた陶器の酒瓶と小萩がたったいま差し出した酒瓶のふたつが並んでいる。
大黒天はまずは、陶器の瓶を手に取って、小萩の膳にあった盃に伸ばした。
小萩は慌てて、盃を両手でとって差し出した。
酒が注がれる。
それを見て、小萩は少し驚いた。
色のないまるで水のような透明の酒だ。
そんな酒は小萩は見たことはなかった。
香りもない。
本当に水ではないかと思った。
興味を抱いて、鼻に近づけてみた。
ほんのりと酒の香りがする。
やはり、酒なのだ。
ひと口飲んでみた。
「す、凄い……」
小萩は呆然としてしまった。
里で作った粗酒と言ったがとんでもないことだ。
これは美酒だ。
これほどの味の酒は、おそらく国都にもない。
それをここで……?
小萩は盃を持ったまま呆気にとられた。
すると、眼の前の大黒天が笑った。
「あっ」
小萩はそのとき、初めて自分だけ勝手に酒を飲んでしまったことに気がついた。
大黒天からお互いの酒を交換して飲みましょうと言われたのだ。
だから、盃に酒を注がれたら、今度は、持ってきた土産の酒を大黒天の盃に注ぐべきだったのだ。
「も、申し訳ありません。わ、わたしったら、勝手に……。でも、あんまり綺麗なお酒だったので……」
小萩は盃を膳に戻し、慌てて土産の酒瓶を手に取った。封と栓を抜く。
しかし、それを注ごうとして躊躇った。
たったいま、飲んだ美酒に比べれば、駄酒もいいところだ。
「い、いえ……。これは、やっぱり、わたしが頂きます……。こんな見事な酒をいただいた後では、恥ずかしくてこんなものを大黒天様には差し出せません」
本心だった。
任務のためには、これを大黒天に飲ませた方がよいのだが、いくらなんでも、いまの見事な酒と、この安酒を一緒には飲ませられない。
すると、大黒天が盃を差し出したまま笑った。
「俺は量を飲むだけで、味などわからんのです。朱雀などは、俺には安酒しか飲ませませんよ。ああ、もちろん、土産の酒がどうのこうのと言っているんじゃないんです」
「いえ、安酒です。この綺麗なお酒と一緒では恥ずかしいです」
「参ったなあ……。酒の土産に、こちらも酒を振る舞うというのは、駄目だったのかなあ……。とにかく、交互に頂きますよ。あなたは、この里の酒を飲むといい。随分と気にいってくれたようで嬉しいですよ。さあ、その土産の酒をください」
小萩はなおも躊躇ったが、大黒天に重ねて所望されたので、仕方なく購ってきた酒を大黒天の盃に注いだ。
本当はそんなに安いものではない。
賊徒の頭領に取り入るためだから、それなりのものを準備してきたのだ。
しかし、さっきの澄んだような美しい酒に比べれば、白く濁った土産の酒は見劣りする。
「では、出会いに……」
大黒天が盃をかざして言った。
小萩も応じて、残っていた盃の酒を一口に飲んだ。
喉をすっと気持ちよく、その酒が過ぎていった。
胃のなかで心地よい温かさが広がる。
小萩は酒は弱い方ではなかったが、これは知らず飲み過ぎてしまいそうな怖さがある。
「本当に美味しいです」
小萩は心から言った。
大黒天が微笑みながら、その酒を足してくれる。
それから、小萩は大黒天と酒と肴をかわしながら、しばらく話をした。
膳の肴も質素そうだが、新鮮でとても味がよかった。
本当にこの酒の味を引き立てるものだ。
小萩はついつい酒が進んでしまう自分に気がついていた。
しかし、小萩はそれは気にしないことにした。
この後で、大黒天に抱いてもらうと決めている。
大黒天の情婦になって近辺を探れる立場になるというのが、小萩の任務なのだ。
だが、そんな任務、多少は酒の力を借りなければできるものじゃない。
大黒天は、この酒は里でできた米で作ったものだと教えてくれた。
専用の工房があり、そこに職人がいて作るのだという。
小萩は、国都にもこんな美酒はどこにもないと断言した。
大黒天はにっこりと笑って嬉しそうに頷いた。
大黒天は自分でも、言っていたとおり、相当の酒豪だった。
そして、本当に、土産の酒と透明の酒を交互に飲んだ。
小萩の持ってきた酒もぐびぐびと飲む。
だが、少しも様子が変わる気配はない。
それには、小萩も首を傾げた。
実は、小萩が持ってきた酒には、強い媚薬が混じっているのだ。
「夢殿」という強烈な催淫剤であり、少しでも飲めば、男でも女でも、身体の疼きがとまらなくなるはずだ。
たが、大黒天はそれをかなり口にしたはずだが、いまのところ顔色すら変わらない。
もしかしたら、薬剤が効かない体質なのだろうか?
外見ではわからないが、大黒天も亜人のはずだ。
亜人には薬剤の効果のない者もいると耳にしたことがある。
そして、小萩もまた、血に亜人の血が混じっている。
多少、他の者より、身体が軽くて素早く動ける程度で道術は遣えないものの、紛れもなく、この身体の一部には亜人の血が流れている。
だから、この任務に選ばれたのだ。
大黒天は実に屈託のなさそうなさわやかな男だった。
なによりも、邪気のなさそうな笑顔がいい。
この男を冴えない男だと思った第一印象は消えている。
それよりも魅力的な男だった。
小萩は任務を忘れて、大黒天に惹かれかけていた。
大黒天は、なにを訊ねても、気持ちよく教えてくれた。
この里には、女、子供、老人を含めて五千人くらいが暮らしていること……。
そのうちの半分は戦うことができ、また、常備軍は千名くらいなこと……。
里の中に武具や火薬の工房もあり、戦いに必要なものはすべてまかなえることなど、最重要の情報がいとも容易く手に入った。
「わ、わたしもこっちを頂きます」
小萩は初めて、自分が持ってきた媚薬入りの酒に手を伸ばした。
手酌で空にした自分の盃に注ぐ。
一気に飲んだ。
すぐに効果は出た。
かっと身体が熱くなって、全身の血が激しく動き出すのがわかった。股間がじゅんと湿り、つっと蜜が下着を濡らす。性感は研ぎ澄まされるように鋭くなり、子宮から発する疼きが全身を走る回り始める。
やっぱり、強い媚薬だ。
「いい飲みっぷりですねえ……。俺の妻たちは酒を飲まないから、いつも、ひとりで飲まなければならないのです。でも、今夜はあなたのような綺麗な女性が相手になってくれるので、実に愉しい。やはり、酒の味を引き立てるのは飲み相手ですよ」
大黒天は笑った。
「奥さまたちとは、どういう成り行きで一緒になったのですか?」
不躾な質問だというのはわかっている。
でも、小萩は知りたかったのだ。
酔いの勢いというのもあった。
それに、大黒天には、なにを訊ねても、あるいは、喋ってもいいという不思議な安心感もある。
「なあに、頼まれたからです」
大黒天は言った。
「頼まれたから?」
その意表をつく言葉に小萩は声をあげた。
「ええ……。彼らの死んだ夫たちに」
「死んだ夫? では、あの方々は未亡人なのですか?」
「そうです。彼らの夫だった三人と俺と朱雀は、最初にこの地に入って、逃亡亜人の里を作ろうと誓い合った仲間でした。しかし、その三人は残念ながら、官軍が最初にここを討伐しようとしたときの戦いで死んでしまいました。そのとき、彼らには、万が一のときは、彼らの妻たちの面倒を看て欲しいと頼まれていたのです。俺は死んだ三人との約束で彼女たちを引き取りました。あの三人と男女の関係になったのは、その後のことです」
大黒天はあっけらかんと言った。
「まあ、ならば、頼まれたから、妻にしたのですか?」
「そういうことになりますかねえ……」
大黒天は笑った。
小萩は今度こそ決心した。
もう一度媚薬入りの酒を手酌で盃に注ぐと、また、ひと息に飲んだ。
かっと身体が熱くなった。
「だったら……。わたしが抱いて欲しいとお願いしたら、抱いて頂けますか?」
小萩は大黒天の顔をじっと見た。
「それはもちろんですが、でも、お願いしても、やめることはできませんよ」
大黒天は、手を伸ばして小萩の手をぐっと握る。
そして、小萩を立ちあがらせた。
*
「あぐうううっ──はああうあっ──お、おねがい──ゆ、ゆるして──」
大黒天が小萩の中で五度目の精を放った。
しかし、大黒天の怒張は少しも勢いを失っていないことはわかる。
大黒天は男根を小萩から抜くことなく、再び激しい律動を開始した。
「あうううっ──。も、もう、ゆるしてぇ──」
小萩は呻いた。
長い情交で全身の節々が痛い。
身体は綿になったみたいに力が入らない。
腰はまるで鉛でも打ち込まれたかのようだ。
しかし、大黒天はまだ、続けるつもりのようだ。
なんという絶倫なのだ。
小萩は、支えになるものを求めて、とにかく大黒天の背中にしがみつきながら思った。
この男に妻が三人いる理由がわかる気もする。
大黒天が小萩の胸に顔を埋めて乳首を強く吸った。
小萩は思わず声をあげて、大黒天に抱かれている身体をがくかくと震わせた。
もう、小萩が何度達したかということは、意味のないことになっていた。
際限のない昇天のあいだに、いくらか正気を保てる時間がある。
そんな感じだ。
そして、そのあいだに大黒天は、小萩から怒張を抜くことなく五度達し、いまは、六度目の精を発するために腰を動かしている。
「も、もう、堪忍……も、もう、だめ……お、お願い……ゆるしてぇ──」
小萩は最後の力を振り絞るようの絶叫した。
「こ、小萩殿は、なにもしなくていい……。じっとしていればいいのです」
大黒天が吠えるような声で言った。
そして、大黒天の獣のような激しさはとまらない。
小萩は凄まじい勢いで子宮の入り口を突かれまくる。
「はああああ───」
小萩は吠えた。
もう、なにがどうなっているのかわからない。
大黒天に犯されながら、また、信じられないくらいに深く強く絶頂した……。
全身が宙に浮く……。
恍惚とした快感の中で、小萩はただ呼吸を求めてもがいていた。
視界が朦朧となる。
おそらく、自分は泣いているのではないかと小萩は思った。
小萩は、ただなにも考えられずに、嗚咽し、喘ぎ、のたうち、快楽の極みに達し続けた。
「こ、小萩殿──」
大黒天の腰ががくがくと動いた。
精の塊が小萩の膣の奥深くに叩きつけられるのかわかった。
すると、やっと大黒天が満足したように小萩を離した。
大黒天がようやく、男根を小萩から抜く……。
大量の蜜と精が小萩の股間から垂れ流れるのがわかったが、いまは開いた脚を閉じることさえできない……。
「す、少しも休みましょうか……」
小萩を見下ろす大黒天が優しげな笑みを浮かべた。
素敵な微笑みだと思っていたが、いまはその微笑みが怖い……。
だが、いま、休むと言ったか……?
終わりじゃなくて……?
まあいい。
聞き間違いだろう……。
あるいは、言い間違いかだ。
とにかく、やっと大黒天の怒張は逞しさを失った感じである。
やっと終わった……。
それにしても長かった……。
一生分の性交をこの数刻でやり尽くした気さえする。
小萩を包んだのは心からの安堵だ。
「あ、あのう……あ、ありがとうございました……」
とりあえず、小萩は胸を上下に大きく動かしながら言った。
「いや、礼には及びません。まだ相手をしてもらいますから」
小萩は耳を疑った。
そして、はっとした。
さっき力がなくなったと思った大黒天の一物は、再びいきり勃っている。
「ひひいいっ」
小萩は心からの恐怖に身体を引きつらせた。
大黒天は安全に脱力している小萩の身体をひっくり返して尻をあけた体勢にした。
今度は後ろから大黒天の肉棒が小萩を貫いた。
「あううう、あああっ、ひゃあああ」
小萩は奇声をあげた。
そして、また始まった……。
いつしか、大黒天の律動に、小萩は官能の芯まで痺れたようになって、獣のような声をあげていた。
それからは、小萩はほとんどものを考えられない状態になっていた。
大黒天に抱かれるというよりは、この際限のない絶倫男に情交のための場所を提供するたけの肉に成り果てた感じだった。
大黒天は背後から好きなように小萩を抱き潰し、何度か精を放った。
その間、小萩がどのくらい果てたかなどわからない。
とにかく、精を発してから、次の精を発するまでの時間が長い。
そして、精を発しても怒張の逞しさがなくならない。
律動を続け、そのあいだに精をまた発するくらいに回復するという感じだ。
小萩はずっと責められ続けるだけだ。
あがりっぱなしの性感は落ちることがない。
いったいどのくらいまで、快感があがるのかと思うくらいに立て続けに達した。
やがて、身体の痙攣がとまらなくなった。
大黒天が小萩の身体を離して、仰向けにした。
目の前が白い……。
眼が廻る……。
意識が消えていく……。
そのとき、脚ががばりと開かれるのがわかった。
「なっ? も、もういやああああ──」
大黒天が再び上から小萩の女陰を犯そうとしていた。
小萩は悲鳴をあげた。
*
温かいものが身体に触れるのがわかった。
小萩は眼を開いた。
お寧……?
大黒天の妻のひとりのお寧だ。
彼女が仰向けになっている小萩の裸身を拭いている……?
夢心地の中で、なんとなく、そんなことをぼんやりと思った。
そして、はっとした。
お寧だけではない。
他の妻たちもいる。
三人が横たわっている小萩の裸身を湯で拭いてくれているのだ。
「こ、これは──」
小萩は驚愕し、慌てて起きあがろうとした。
だが、完全に腰が抜けていて動けない。
「あ、あの……」
小萩は、この言い訳をしようとしたが、なにを言うべきか思いつかなくて、言葉に詰まった。
「大丈夫よ。わかっているから……。指一本動かないんでしょう? もう、朝だけど、起きなくていいわよ。身体が回復するまで、今日は横になってるといいわ」
お寧が優しい手つきで、小萩の股間に布を当てて押し拭くようにした。
同性とはいえ、性器を拭かれるなど恥ずかしいのだが、本当に身体が動かなくて抵抗できない。
それにしても、いま、もうすぐ朝と言ったか……?
そう言えば、周囲が明るい。
つまり、小萩は、ほぼひと晩、あんな暴力的な抱かれ方をしたということか……?
そういえば、小萩は何度も失神し、そのたびに頬を叩かれて覚醒させられ、情交を続けさせられた。
そのとき、なんとなく、だんだんと外の夜闇が白い朝の光に変わっていったような……。
「でも、若いって、凄いわねえ。あの旦那様のお相手をひとりでできるなんて……。わたしたちは、いつも三人がかりなのに……。これからは、少し楽になりそうよ……。よろしく、小萩ちゃん」
確か、
このふたりはお寧の反対側に腰をおろし、やはり、小萩の身体を布で拭いてくれている。
「本当……。ひとりで相手するなんて、想像したたけで怖いわ」
真麗も笑った。
なんだか、小萩を受け入れてくれている感じだが、どういうことになっているんだろう……?
「あのう……。大黒天様は……?」
小萩はとりあえず訊ねた。
「満足してたわ……。いまは別の部屋で休まれている。わたしたちに、あなたの世話をして欲しいと頼んでからね」
お寧が言った。
「とにかく、今日は小萩ちゃんはお休みよ。午後からでも明日からの分担について話し合いましょう。家事の分担とかね」
「家事の分担なんか、どうでもいいわ……。でも、小萩ちゃんが来てくれたから、これで夜の分担も少しは楽になるわね。だけど、正直なところ、もうちょっと妻の数を増やして欲しいわよねえ。さすがにあれでは、四人でもつらいわ」
「大丈夫よ。小萩ちゃんが増えたんだもの。若いんだから」
京葉と真麗がそう言って笑い合った。
「あっ」
そのとき、小萩はやっと思い出した。
夕べというべきか、さっきというべきかわからないが、あの激しい情交の果てに、小萩は半ば意識のない状態の中で、大黒天に自分も妻のひとりに加えて欲しいと泣いて頼んでいた気がする。
いや、なんとなく、その前に、許して欲しければ大黒天の妻になれとからかわれたような気も……。
とにかく、覚えていない。
しかし、確かに小萩は大黒天の裸身にしがみついて、妻にしてくれと泣いたと思う。
そして、大黒天は、胡座にかいた脚の上に小萩を貫かせながら、承諾するというようなことを言ったような……。
「お、思い出しました──。わたし、皆様を差し置いて、勝手なことを……。わ、わたし、あの大黒天様の……」
小萩は慌てて、力を身体を起こして、改めて三人に挨拶をしようとした。
だが、お寧が押し留めた。
「全部、わかっているといったでしょう、小萩さん」
お寧がにっこりと微笑んだ。
「そうよ、よろしく」
「歓迎するわ」
京葉と真麗も言った。
「よ、よろしくお願いします、お姉様方」
小萩は言った。
愛人でも、妻でも、任務のとおりだから問題はなく、小萩の思惑通りなのだが、小萩は正直、もう任務などどうでもいいという気持ちだ。
それよりも、あんな抱かれ方をしてしまったら、おそらく、もう小萩は他の男には抱かれることはできない。
それを小萩は、はっきりと確信していた。