※この作品はR-18です。

嗜虐西遊記【完結】   作:ドン・ドナシアン

615 / 819
615 馬車の中の道楽

「参ったなあ……。ねえ、沙那、次に呼ばれたら交替してよ……」

 

 孫空女が馭者台にやってきた。

 背後の荷台から聞こえる声は、一丈青(いちじょうせい)のつんざくような絶叫から、その代わりに呻くような呼吸に変化していた。

 また、休憩だという宝玄仙の声も聞こえていたから、一丈青は宝玄仙によって、これから強引に食事と水を飲まされて、道術による体力回復を受けるはずだ。

 その後、一丈青が引き続き苛酷な「肉芽調教」を受けることになるのか、それとも、少しばかりの睡眠を許されるのかは知らない。まったくの宝玄仙の気紛れにかかっている。

 

「いやよ」

 

 沙那は手綱を握って、前を見たままひと言で返した。

 

「な、なに言ってんだよ、沙那。あたしばっかり狡いじゃないか。馭者だったら、あたしでもできるよ。ちょっと、手綱貸しなよ」

 

「嫌だってば──。朱姫がいないんだから仕方ないじゃないのよ。だから、あんたがご主人様の調教の助手をやるしかないのよ」

 

「全然、理屈にもなっていないじゃないか、沙那──。朱姫がいなければ、なんであたしなんだよ。沙那だっていいじゃないか」

 

 孫空女が不平を言った。

 もちろん、沙那も孫空女も荷台にいる宝玄仙に聞こえないくらいの小声だ。

 竜飛国の街道を南に進む荷馬車の旅は順調に続いている。

 

 目的にしている大黒山(だいこくさん)という賊徒の砦は、もうわずかに迫っていた。

 おそらく、今日どこかで休み、明日の早朝に出立すれば、午前中のうちには砦に到着しそうだ。

 

 大黒山は、逃亡亜人を集めて里だ。

 そこを砦にして国軍の討伐を防いでいるという賊徒の頭領の大黒天(だいこくてん)に会う。

 そして、亜人収容所の襲撃の助力を頼む……。

 それが沙那の考えていることだ。

 

 逃亡亜人を匿って、彼らが暮らすことができる場所を作るくらいの頭領だから、その目と鼻の先といっていい距離にある「亜人収容所」の存在は、憤懣の対象に違いない。

 不当な理由で囚人にされた亜人や半妖が、監禁されて理不尽な虐待を受け続けているのだ。それを看過するようであれば、逃亡亜人の保護者としての大黒天の名折れだのはずだ。

 

 しかしながら、大黒天をよく知っている双六によれば、大黒天という頭領は、なかなかにしたたかな男のようだ。

 飄々としてとらえどころがなく、簡単に他人の言葉に載せられるような男ではないという。

 なによりも、戦が好きではないという。

 

 確かに、この二日ほどの旅で集めた情報によれば、大黒天という頭領は、自ら望んで戦をしたということは一度もないようだ。

 それどころか、近傍の農村や城郭などを略奪することも、旅人などを襲うこともない。

 もっぱら内政に力を入れて、自給自足によって砦の奥にある里に集まっている住民を養っている。

 

 そうやって、国軍にとって危険な存在ではないということを示すことで、国の敵意を逸らしているという感じだ。

 だから、そういう内にこもる性質の頭領をその気にさせて、亜人収容所の襲撃に協力させなければならない──。

 

 考えることは多い……。

 それを後ろでやっているくだらないことで思考を邪魔されたくない。

 

「……それにしても順調だよね。こういう荷馬車の旅というのも楽でいいよね……。ちゃんとした街道しか進めないという欠点はあるけど、歩かなくていいから楽でいいし、荷馬車で寝れるから、野宿の場所を探さなくていいしね」

 

 孫空女が沙那の隣に腰掛けたまま言った。

 

「馬鹿ねえ、孫女……。こんな荷馬車の旅なんて続けていられないわよ。わたしは、早晩、これをご主人様から手放ささせるわよ……。ここから先は、荷馬車では通れない道が多いとか、荷馬車だと関所や城門を通過するときに税がかかりすぎるとか、適当に言い訳してね……」

 

 沙那は、孫空女にしか聞こえないように注意しながらささやくように言った。

 

「なんでだよ? いいじゃないか……。長庚(ちょうこう)はこれを返してくれとは言っていないんだろう? 手放さなければならないときもあるかもしれないけど、さもなければ、この荷馬車は持っていこうよ──」

 

「だから、あんたは考えが浅いのよ、孫女──。獅駝(しだ)の城郭を出立してから、旅が順調でしょう? いつもだったら、この倍はかかっているわ。なんでかわかる?」

 

「なんでって……、なんでなんだい?」

 

「別に荷馬車の速度がそんなに速いわけじゃないのよ。ゆっくりと進んでいるんだから、荷馬車の進みなんて、徒歩の進みと変わらないのよ。それなのに、旅がはかどっているのよ」

 

「旅がはかどるのが問題のような言い方じゃないか、沙那──。まあ、荷馬車に乗っていれば、荷は持たなくていいし、馬に草と水を与える時間だけ停まれば、別にずっと動いているからねえ……。それに、朱姫を助けなければならいんだから、急ぐ必要もあるし……。荷馬車は便利だよ」

 

「そうよ。便利なのよ。それが問題なのよ」

 

「まったく、なにを言っているのかわからないね、沙那。なんで、荷馬車が問題なのさ?」

 

「本当にわかっていないのね、孫女……。いまは、一丈青という生贄がいるからいいわよ……。だけど、一丈青は、亜人収容所から朱姫を助け出したら、放り出すでしょう? そうしたら、馬車に乗って歩かなくていいご主人様の道楽の相手を誰がするのよ──?」

 

「相手って……」

 

「あんたには、想像できないの? 馭者なんてひとりでいいのよ──。どうせ、あの調子乗りの朱姫は、うまく立ち回って、ご主人様の助手のような立場に収まるでしょう? そうすれば、あたしかあんたが、あの一丈青の立場を務めなければならないということよ──。徒歩の旅だったら、ご主人様も、さすがにあまり手を出せないけど、荷馬車があれば、ご主人様は移動しながら、わたしたちの誰かを嗜虐できるのよ──。そして、何度も言うけど、それはわたしかあんたなの──」

 

「えっ?」

 

「えっ、じゃないわよ。そんな状況に、ご主人様を置くわけにはいかないわ。絶対に荷馬車は処分させる。徒歩の旅でも、ご主人様は、なんだかんだと、おかしなことをわたしたちにやって、旅に時間がかかったりしていたのよ──。これが荷馬車の旅なんかになったら、それこそ、四六時中、のべつ幕なしに、あの道楽を続けるわよ──。あのご主人様は──」

 

 沙那はまくしたてた。

 いままでだったら、夜だけでよかった宝玄仙の嗜虐を旅をしている移動中も受けさせられる……。

 それを想像しただけで、ぞっとする。

 

「あっ」

 

 孫空女が表情を変えた。

 やっと、孫空女も沙那の不安を理解してくれたようだ。

 

「おおい、どっちか、ちょっと来な──。こっちを手伝うんだよ──」

 

 その時、宝玄仙の声がした。

 沙那はぎくりとした。

 

「ね、ねえ、行って……。行ってたら、孫女──。わたし、本当に嫌なのよ。ずっと、あれに付き合っていると、なんか、わたしが責められている錯覚に陥って、落ち着かなくなるのよ──。あんた行ってよ──」

 

 沙那はぐいと肘で孫空女の身体を後ろに押した。

 

「あ、あたしは、さんざんに付き合ったじゃないか──。絶対に、次は沙那だよ。別に今回はご主人様の性の相手をするんじゃないんだ。ただ、横にいて、ご主人様の命令に従って、一丈青を嗜虐するだけだよ──」

 

「でも……」

 

「だいたい、追っ払おうと思えば、適当に追っ払えたのに、沙那が荷馬車に乗せて、連れていきたいと言ったんじゃないか。ご主人様に白象宮のことを忘れさせるためだとかいって……。責任とりなよ……」

 

「だって、あんな酷いことになるなんて……」

 

 沙那は時折垣間見ることがある一丈青の股間の凄まじさを思い出して、ぞっとした。

 そのとき、宝玄仙の少し苛立ったような声が再びした。

 

「こらっ、お前たち、聞こえないのかい──。今度は、沙那がおいで──」

 

 宝玄仙の怒鳴り声が馭者台にも響く。

 

「ほらっ、ご指名だよ」

 

 孫空女が嬉しそうに、沙那から手綱を取りあげた。

 沙那は、暗い気持ちで馭者台から荷台に移動した。

 本当に気が進まない……。

 

 そこには、宝玄仙の命令で特別に荷台の床に取りつけた金具に四肢を拡げて手首と足首を縛られて、仰向けにされている一丈青がいた。

 一丈青の股間には、いまや小指くらいの大きさにまで成長した肉芽がぴんと屹立していて、それが糸で繋がって、荷台の幌の枠につけた自在鉤で引っ張られている。

 

 一丈青が身に着けているのは、股間にしっかりと喰い込んでいる革の貞操帯だけだ。

 その貞操帯には女陰の部分と肉芽の部分に穴が開いていて、すっかりと肥大化した肉芽が貞操帯の穴から飛び出ている。

 貞操帯に覆われているので根元は見えないが、そこには、あの『女陰輪』が食い込んで、膨張した肉芽がほんの少しも小さくなるのを妨げるとともに、一丈青に絶え間のない肉芽の疼きを与えているはずだ。

 

 もちろん、貞操帯の下の一丈青の股間はつるつるに陰毛が剃りあげられていて一本の産毛すらない。

 宝玄仙の命令で、沙那と孫空女が剃毛し、毛穴を殺す薬剤を塗った。それから貞操帯を装着したのだ。

 

「そ、その金具……」

 

 そして、沙那は思わず声をあげた。

 今朝にはなかったものが、一丈青の肉芽にあったからだ。

 一丈青の小指ほどになった肉芽の先に、極細の金属の輪のようなものが食い込んでいる。

 糸はその輪に巻きついていて、それが真っ直ぐに天井方向に伸びていた。

 

「ああ、これかい? 毎回、毎回、糸を巻きつけるのも面倒だからね。かなり大きくなったことだし、糸を繋げるための金具を喰い込ませてやったんだよ……。それよりも、そこに刷毛があるだろう。しばらく擦ってやりな。刷毛にはちょっとした催淫剤が滲み出る仕掛けになっているからね……。塗られれば塗られるほど、気が狂うような疼きに襲われるというわけさ」

 

 宝玄仙が笑っており、身体を開いて仰向けになっている一丈青の横に胡坐になって座っている。

 そして、その宝玄仙が自分が手に持っていた刷毛で、糸で吊られた一丈青の肉芽をさわさわと擦った。

 

「いいいっ……があああああ……も、もうごろじて……おげがい……ごろじで……」

 

 その瞬間、一丈青ががくがくと身体を反応させて絶叫した。

 さらに、口から泡のようなものも吹き出した。

 一丈青の顔は涙も鼻水も涎も垂れ流しであり、凄まじいものだった。

 眼は完全に焦点が定まっておらず、まるでなにも見えていないかのようだ。

 

「自死できるものならしてみな。わたしの道術があっという間に、お前を回復させてしまうよ」

 

 宝玄仙が笑いながら、貞操帯から出ている大きな一丈青の肉芽を摘まんで揺すった。

 

「ほごおおおっ」

 

 

 一丈青が激しく絶叫して泣き始めた。

 凄い号泣だ。

 責められすぎて、もう感情の制御ができなくなっているのかもしれない。

 

 沙那は仕方なく、一丈青を挟んで宝玄仙に向かい合う態勢で床に座った。

 刷毛は一丈青の半裸の身体の横に無造作に置いてある。

 それを手に取る。

 大きくなった一丈青の肉芽の側面を刷毛ですっと擦る。

 

「あがあああっ──」

 

 一丈青が狂乱の声をあげた。

 股間を吊りあげているために、もともと大きく反っていた身体さらに反り返った。

 さらに、革紐を巻きつけている足首が紐を引き千切らんばかりに突っ張り、顔と髪が左右に激しく揺り動く。

 

「はがやああ──ごろじて──ごろぎて──」

 

 一丈青の喚く声はほとんど言葉になっておらず、ほとんど意味がわからないが、どうやら殺してくれと叫んでいるようだ。

 とにかく、言語を絶する宝玄仙の調教を受け続けたために、しっかりと狂ってしまったようになっているのは確かだ。

 沙那は怖くなってきた。

 

「ね、ねえ、ご主人様……」

 

 さすがにこれ以上の責めに躊躇い、沙那は思わず宝玄仙を見た。

 

「大丈夫だよ……。いくらでも責めてやりな──。このわたしが調教の途中で相手を発狂させてしまうような失敗をするわけないだろう……。ちゃんとぎりぎりのところで加減しているよ。ただ、発狂寸前のところを果てしなく彷徨せているだけだ。時間が経てば、正気に戻るよ──。頭だけはね……。但し、身体だけはどうにもならないようになっているだろうけどね」

 

 宝玄仙も反対側から刷毛責めを再開する。

 一丈青は半狂乱で暴れ回った。

 こんな状態では、わずかな身悶えさえも糸が肉芽を抉って、全身を貫くような激痛が走るはずなのだが、一丈青はまったく頓着くせずに、上気した身体をのたうたせている。

 

「もう、痛みも疼きもわからなくなっているのさ……。いまのこいつには、肉芽を引っ張られる苦痛でさえ、途方もない快感に違いないよ──。こうなったら、道術でも普通の状態には戻れないね。一生、この疼き続ける肉芽と一緒に生活するしかないだろうさ。まあ、元に戻してやるつもりもないけどね」

 

 宝玄仙の言葉を空恐ろしく聞きながら、沙那も宝玄仙の刷毛の動きに合わせるように、さわさわと反対側から一丈青の肉芽を擦っていく。

 

「ふぐうっ、ふううっ、ぐううっ、ひぎいいいっ──」

 

 やがて、一丈青がおかしな悲鳴をあげながら、全身をがくがくと震わせ出した。

 その眼がほとんど白眼になっている。

 

「ほらっ、見てな、沙那……。次が面白いからね……」

 

 宝玄仙が意味ありげに刷毛を動かしながら微笑んだ。

 沙那は手を動かしながら、首を傾げた。

 

「ひぐうううっ──いがいいいっ──」

 

 次の瞬間、一丈青が吠えるような悲鳴をあげた。

 達したというような声ではなかった。

 怖ろしい苦痛を与えられたような反応だ。

 なにが起こったのだろう……?

 沙那は、思わず刷毛でくすぐる手を休めて、目を丸くした。

 

「また、電撃を浴びたね、一丈青……? 達しそうになったら電撃が股間に走ると教えただろう。我慢しないから、そんなことになるのさ」

 

 宝玄仙が大笑いした。

 

「ど、どうしたのですか、一丈青は?」

 

 沙那はびっくりして訊ねた。一丈青の苦痛の悲鳴はただ事ではなかった。

 

「なあに、こいつの身体に道術で細工して、どんなに肉芽に刺激を受けても絶頂できないようにしているのさ。それも、ただ寸止めになるだけじゃなく、電撃の激痛が起きて、それを強制的に中断させられるんだよ……。なかなかの責めだろう、沙那」

 

 宝玄仙はまた、一丈青の股間に刷毛をあてながら笑い続

けている。

 沙那は自分の顔が鼻白むのをはっきりと感じた。

 しかし、宝玄仙は一丈青の肉芽に刺激を加えるのをやめようとはしない。

 一丈青は糸に構わず、激しく暴れ続ける。

 

「だけど、心配いらないよ、一丈青……。お前が処女を捨てたときに、道術は解放するようにしてあるからね。そのときには、最初の男を相手に、この数日分を一気に解放するといいよ。普通は、最初の性交で達したりすることはないけど、お前の場合はこの世の物とは思えないような快感が襲うはずだよ」

 

 宝玄仙は大笑いした。

 一丈青が号泣し始めた。

 

「ね、ねえ、ご主人様──。いまのはどういう意味なのですか……?」

 

 沙那は言った。

 

「どうもこうもないさ。言葉の通りだよ。こいつには、わたしらに手を出した酬いとして、生娘のまま、どうしようもない色情狂になってもらうのさ……。こいつがはいている貞操帯をよく見てみな」

 

 宝玄仙が意味ありげに言った。

 沙那は一丈青の開いた股間を凝視した。

 

「あっ」

 

 このとき沙那は、初めて一丈青の股間に喰い込んでいる貞操帯がかすかにうねうねと動いていることにも気がついた。

 どうやら、一丈青は、肉芽を責められるわけではなく、貞操帯でも股間に刺激を与え続けられていたようだ。

 

「……ふふふ、気がついたかい、沙那……。この貞操帯には、内側に小さな触手がたくさん生えていて、こいつの性感帯という性感帯を開発しまくっているんだよ……。肉芽の調教は、肉芽だけでは都合が悪くてね……。まあ、だけど、生娘だけは掘ってないよ。ただし、それを除けば、こいつは、動き続ける触手の刺激に常に苛まれ続けているということさ」

 

「は、はあ……」

 

「そして、この肉芽への刺激……。さすがの生娘のこいつでも、本当はいきまくるくらいの刺激のはずなんだけど、達しようとするたびに、こいつの身体には電撃が流れて、それを中断させるように道術がかかるのさ……。心配しなくても、もう普通の生活はできないだろうね。完全に性感を壊しているしね。すでにこいつは、四六時中、発情するような色情狂さ」

 

 宝玄仙が大笑いした。

 ますます、一丈青の泣き声は大きくなる。

 沙那は、ただただ、ぞっとした。

 

「……ごねがい……おがじて……もう、解放じて……ゆるじて……」

 

 一丈青が引きつった啼泣を洩らした。

 

「電撃を浴びたくなければ、達しないように我慢すればいいのさ……。心配しなくても、この呪いはお前が最初に男と性交したときに消えてしまうようにしてあるから心配しなくてもいいよ。わたしも、お前の寸止めの呪いを一生かけておくほど残酷ではないからね」

 

 宝玄仙が笑った。

 沙那は十分に残酷だと思ったが黙っていた。

 床に磔にされている一丈青の股間の下には、まるで大量の水でもこぼしたかと思うような染みがある。

 これが全部、貞操帯の穴からはみ出した一丈青の愛液だということは沙那はわかっていた。

 だが、それは、すべて一度も達することなく、果てしない寸止めのあいだに垂れ流れたものなのだ。

 沙那は心の底から怖くなった。

 

「じゃあ、続けるよ、沙那……。さあ、一丈青、調教の続きだ。電撃が嫌なら達しないように我慢するんだ。快感を解放してしまって、身体が絶頂しようとしたら、自動的に電撃が股間に飛ぶからね──。ほらっ、いくよ──」

 

 宝玄仙が刷毛で肉芽を刺激しながら、敏感な場所に媚薬を塗りこめていく。

 一丈青は狂ったような呻き声をあげ始めた。

 もはや、人間とは思えないような一丈青の狂乱に、沙那はたじろぎを感じてしまって手がとまっていた。

 

「沙那、なにをやっているんだい──。ちょっと、自在鉤を上にあげて、糸を引っ張りな──。発散できない快感が溜まりに溜まっているから、また肉芽が膨らんできたよ……。だから、もう少しは明日までに大きくできそうさ。考えてみれば、こいつはいい土産になりそうじゃないかい──」

 

「み、土産……ですか……?」

 

「ああ、そうさ……。国軍の道術師隊といえば、亜人を目の仇にして追い回している連中だそうだからね……。亜人の巣に奴隷として置いていくには、そこの女隊長というのはちょうどいいんじゃないかい? 収容所を襲うときに、こいつの知っていることを喋らせた後は、もう用済みなんだろう? だったら、子供の珍棒のようなものを股ぐらにぶら下げたこいつを頭領への土産に献上するさ」

 

 宝玄仙が笑った。

 沙那は、一丈青の発狂するような悲鳴から耳を塞ぎたいのを我慢して、自在鉤を操作するために立ちあがった。

 

 

 

 

(第93話『半妖族の砦』終わり、第94話『半妖族の叛乱』に続く)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。