※この作品はR-18です。

嗜虐西遊記【完結】   作:ドン・ドナシアン

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65  半妖少女の破瓜と人間狩り

 なにも見えない。

 朱姫は、全裸で目隠しされている。

 腕は背中に回して、縄で拘束されていた。

 

「はっ、はっ、はっ、ああ」

 

 朱姫の荒い息遣いが周りの森林に響いている。

 拘束されて目隠しをされた状態で、朱姫は沙那の愛撫をひたすら受けているのだ。

 山の風が、汗にまみれた朱姫の身体をこする。

 

 朱姫は沙那の膝の上だ。

 沙那のかく胡座の上でうつ伏せになり、ひたすら、沙那の性の責めを受ける。

 

「あ、ああっ、さ、沙那姉さん、も、もうっ」

 

「なにも考えない……。わたしたちに心を委ねて、朱姫……。いい気持ちでしょう……?」

 

「き、気持ち、い、いいですけど、ああっ」

 

 沙那の指は朱姫の肛門に突き刺さっていて、粘膜の内側を擦り続けるのだ。

 開発され尽くした朱姫の肛門は、そこからいくらでも快楽を引きこんでしまう。

 ひと掻きひと掻きが、朱姫の意識を飛ばすような衝撃――。

 だが、快感がぎりぎりのところで留まっている。

 朱姫が簡単にいってしまわないように、沙那の指の動きは調整されているからだ。

 

「あ、ああっ、沙那姉さん、も、もう許してえっ」

 

「いいから、ただただ、快感を受け入れるのよ……」

 

「そ、そんなこと言われても、あはあっ、いくつっ、もういかせてえっ」

 

 吹きあがった快感により、朱姫はがくがくと身体を震わせて、うつ伏せの裸体を弓なりにした。

 しかし、またしても、絶頂寸前で沙那の刺激がなくなる。

 朱姫は泣き声あげた。

 

「ごめんね、朱姫……。でも、もう少し、可愛い声を聞かせてね……」

 

 沙那がくすくすと笑う。

 優しげな笑いだが、やっていることは酷い。

 

 永々と敏感なお尻ばかり刺激され、快感が爆発しそうになる……。

 でも、達しようとすると、すっと刺激がとまる……。

 そして、動く……。

 また、せりあがる。

 だが、それが頂点に達しそうな直前にまたとまる……。

 ひたすら、それを繰り返されているのだ。

 もう、いきたい……。

 だが、いかせてもらえない……。

 

「また、始めるわね……」

 

「あっ、あっ、あはあっ、さ、沙那姉さん――」

 

 もう何十回も同じことをされているので、ほんの少しの刺激で、もう朱姫の快感は爆発しそうになる。

 お尻に挿入したままの沙那の指が、ゆっくりと朱姫のお尻の中の粘膜を掻くように動く。

 

「ああっ、いやあっ」

 

 瞬時に快感がのぼってくる……。

 しかし、やっぱり、またとまる。

 

「お……お願いです、さ、沙那姉さん……。あ、あたし……もうっ」

 

「駄目よ。ご主人様の許しがなければ……。わたしが怒られるわ……。でも、快楽ならいくらでも感じいいのよ……。たくさん、たくさんよ……。だから、溜めこみなさい、朱姫」

 

 沙那の舌が朱姫の小さな胸の膨らみを這い回る。

 舌がもう尖りきっている乳首を乳房に押し込み、そして、舌が離れて乳首が尖りを取り戻す。

 また、押し込まれる。

 弾かれる。

 

 乳首も乳房も朱姫の強いの性感帯だ。

 宝玄仙によって、後ろの孔の快楽とともに、淫情の源にされたのだ。

 猛烈な興奮が朱姫に突き起こる。

 

「いいよ、沙那――。一度、いかせな」

 

「はい、ご主人様」

 

 朱姫の尻たぶに突き挿さった指の動きが激しくなった。

 沙那の舌が朱姫のうなじを這う。

 そして、耳――。

 最後に沙那の唇が朱姫の唇に重なってきた。

 舌が挿入してきた。

 口の中の敏感な場所が蹂躙される……。

 大人の口づけ……。

 

「んんんっ――んぐうっ……――んんっ――んああっ――」

 

 なにかが突き抜けた。

 激しい痙攣が朱姫の身体を揺らす。

 朱姫はついに快感を極めた。

 そして、熱い情欲の香が身体に溶けていく。

 じわじわとそれが全身を包む。

 淫情の嵐が次第に収まり、そして、静かなうねりに変わる。

 それでも、まだ、朱姫の中に溜まった疼きは消えていない。

 沙那の口が離れた。

 

「沙那、もういいよ。孫空女と交替だ。お前は、その辺で鳥か兎でも狩っておいで。今日は、ここで野宿する。朱姫には精がつくものを食わしてやりたいんだ。暗くなるまでに戻るんだ。いいね」

 

「わかりました」

 

 沙那が朱姫の身体を地面に敷いた大きな布の上に、仰向けに降ろした。

 目隠しのために視界がないので、無防備に裸体で横になるのは怖い……。

 

「じゃあ、行ってくるわ、朱姫。またね……」

 

 沙那の唇が再び、朱姫の唇に軽く当たった。

 

「次は、あたしかい?」

 

 孫空女の声が離れた場所からした。

 

「そうだよ。これで朱姫の身体中を磨きあげな。先端から媚薬が滲み出る霊具だ。それで朱姫に全身をくまなく擦りあげるんだ。塗り残しでもあろうものなから承知しないよ、孫空女」

 

「わかったよ、ご主人様」

 

 孫空女の声が聞こえる。

 

「ご、ご主人様、す、少し休ませてください……。そ、それに、霊具って……。しかも、媚薬って……」

 

 朱姫は、荒い息を吐き出しながら言った。

 

「いいからお前はなにも考えずに、感じまくっていればいいのさ、朱姫。すべては、この宝玄仙に委ねるんだ」

 

 宝玄仙に強く言われるとなぜか逆らえない。

 身も心も支配されるというのはこういうことなのだろうか。

 

「あっ」

 

 朱姫は小さく叫んでしまった。

 仰向けに寝かされていた身体が不意に勝手に動き、仰向けのまま、両膝は立膝になって大きく左右に開かれたのだ。

 

「あんっ」

 

 右の耳に柔らかいものが当たった。

 ひんやりとした感触――。

 筆?

 そして、くすぐられる。

 とっさに、身体を捻って避けようとしたが、なぜか背中が張りついて動けない。

 

「いひいっ」

 

 思わず、顔を反対に向ける。

 すると、反対の耳にもそれが……。

 

「や、やだあ――ああっ……ああ……ああっ……」

 

 逃げ場を失った朱姫は、ただ!強烈な刺激をただ受け入れるしかなく、はしたなく声をあげる。

 

「朱姫、いくら、わたしの結界の中とは言え、ここは街道からちょっとばかり外れただけの岩場だよ。まっ昼間からそんなはしたない声をはりあげるんじゃないよ」

 

 宝玄仙のからかいに慌てて口をつぐむ。

 だが、孫空女の持っているなにか……おそらく、刷毛のようなものだろうが、それが朱姫の顔中を這いまわる。

 くすぐったい。

 声をあげずにはいられるもんじゃない。

 

「んんんっ――うふう……くううっ……んんっ――」

 

 刷毛が顔から離れて大きく伸ばされた手に進む。

 指の間、そして、手のひら……。

 手の甲……。

 本当に少しの隙間もなく、身体中が擦られていく。

 そして、塗られた部分が、なにかじわじわと虫が這いまわるような感覚が湧き起きる。

 そして、熱い――。

 朱姫は怖くなった。

 ただ、顔と手に塗られただけで、湧きあがるこの異常な火照り――。

 これをもっと敏感な部分に塗られたらどうなるのか……。

 

「そ、そこは……だめえっ――、そ、孫姉さん」

 

 両脇に穂先をねじ込むようにして同時にくすぐられ、朱姫は仰け反った。

 

「わたしも参加しようかね」

 

 宝玄仙が近づく気配がした。

 不意に股間全体が、刷毛でひと撫でされた。

 

「ひぐううううっ」

 

 朱姫は獣のような声をあげえしまう。

 

「堪え性がないねえ。吠えるような声をあげるなというのがわかんないのかい、朱姫」

 

 宝玄仙が持っていると思うわれる刷毛が、二度、三度と、朱姫の股間全体を上下する。凄まじい衝撃が突きあがる。

 

「いぐううっ」

 

 朱姫は吠えた。

 

「心配ないよ、朱姫。この霊具は、いくら性感を与えても絶対に気をやったりはさせないからね。さっきの沙那の言い草じゃないけど、いくらでも快楽を溜め込みな」

 

 宝玄仙の刷毛が容赦なく股間を擦る。

 一気に絶頂に達したかのような淫情が爆発する。

 だが、いってはいない。

 そうでないというのが直後にわかる。

 いくらでも、さらにのぼりあがる。

 だが、それは頂点ではない。

 さらに高く高くのぼっていく。

 

「あっ、ああっ、だめ、だめえっ」

 

 そのあいだにも、孫空女の刷毛の方は、乳首や乳房を這いまわっている。

 そして、乳房の間――。

 横腹――。

 臍の周り――。

 

「あふうっ」

 

 快楽の槍が全身に突き刺さる。

 刷毛から染み出ている媚薬は、全身に流れる血を淫情の疼きに変化させている。

 凄まじい最高潮の波が朱姫を襲う。

 だが、次の瞬間にさらに最高潮に突きあがり、そして、また、絶頂の寸前……。

 何度も果てたかと勘違いするかのような崩壊寸前の快楽の壁――。

 崩壊しては、復活し、また、すぐに崩壊する……。

 

「ほら、ほら、もっとだ。もっと、溜め込むんだ。破瓜の痛みなんて感じないくらいに、前戯で狂いな」

 

「いやああっ、はうううっ」

 

 繰り返す津波――。

 信じられないほどの高みにまで朱姫はあがっている。

 もう、喉が割れるほどの嬌声をあげ続けている。

 なにも考える余裕はない。

 ここが四周が解放された昼間の奥深い山中にある岩場の影であろうが、天下の往来であろうが、それとも、人込みの激しい城郭の大通りのど真ん中であろうが関係ない。

 

「ああっ、も、もう許してえっ、ああああっ」

 

「朱姫、頑張れ。ご主人様は、朱姫がつらくないように、こんなにやってんだ」

 

「余計なこと喋るんじゃないよ、孫空女。お前は手を動かしな」

 

「う、うん……」

 

 宝玄仙と孫空女が朱姫を責めながら語りかけてくる。

 でも、なにも頭に入ってこない。

 

「あはあああっ」

 

 朱姫は絶叫して、身体を跳び跳ねさせた。

 しかし、いけない。

 寸前でとまっている。

 この沸騰するような快楽――。

 宙を舞いあがる――。

 どこまでもどこまでも高く。

 怖い――。

 降りるのが怖い――。

 このまま、絶頂したらどうなるのか――。

 

 本当なら、もう何度も絶頂しているに違いない。

 まだ、霊具の力でそれがとめられ、その分、快楽が膨れあがっている。

 いまの朱姫は、限界まで膨れ上がった快楽の風船だ。

 崩壊する――。

 この快楽が弾ければ発狂する。

 

 それくらい気持ちいい。

 そして、追い詰められている。

 こんな凄まじいものがこの世にあったのか。

 また、あがる。

 

 宝玄仙の刷毛は、いつまでもただ単調に股間を上下するだけ。

 孫空女の刷毛は、全身をこれでもかというように丹念にこすりあげる。

 もう駄目――。

 もう、なにをされているのか理解する力もなくなってきた。

 

 肉芽が――。

 膣孔の口が――。

 尿道の周り――。

 肛門――。

 そして、いま、孫空女が擦っている足首が熱い――。

 熱い――。

 熱い――。

 熱い――。

 孫空女の刷毛が足の裏と足の指のあいだ――。

 

「ひひゃああああ」

 

「孫空女、間違って指で直接に朱姫の肌に触るんじゃないよ――。いまの朱姫は、ただ指で足の裏を撫ぜただけで絶頂するよ」

 

「わ、わかったよ、ご主人様」

 

「いぐうううう――」

 

 もう何十度目かの錯覚の絶頂が朱姫を襲う。

 ふたりの刷毛がやっと離れた。

 そして、朱姫の身体を縛っていた宝玄仙の道術も解けた。

 すっと、朱姫の目隠しが外された。

 まだ、ぼんやりとした朱姫の視界の中に全裸の宝玄仙が入ってきた。

 その横の孫空女も全裸だ。

 

「……ご、ご主人様……」

 

 ただ、呼び掛けた。

 それだけだ。

 身体が熱い――。

 快楽で引きちぎられる――。

 気がつくと、朱姫はすすり泣いていたようだ。

 どこにもいけない淫情の嵐が、朱姫の全身で暴れ回っている。

 

「朱姫、これを見てごらん」

 

 宝玄仙だ。

 虚ろな視界で見上げる。

 宝玄仙の全身は、うっすらと汗をかき、白い肌が上気している。

 その股間には、勃起した男根がそそり立っている。

 朱姫の意識は、宝玄仙の怒張に吸い込まれた。

 

「……怖いかい、朱姫。これが、いまから、お前の股間に突き刺さる。これまで玩具を与えられていた尻の孔じゃない。お前の女の孔だ。そこに突き刺す。この宝玄仙が朱姫を犯すよ」

 

「こ、怖い……」

 

 宝玄仙に犯されて、限界以上に溜め込んだ快楽を爆発させたい。

 だが、男として宝玄仙をを受け入れのは恐ろしい。

 ただ、怖ろしい――。

 理由はない。怖い。

 

「……お前は、幼い頃に人間の男たちにより、眼の前で親を殴り殺された……。それがお前を心に傷を作っているんだ。それが普通の娘以上の恐怖を作るようだね」

 

「そ……それは……」

 

 そんな風に考えたことはなかった。

 ただ、男とは汚らわしいと思っていただけだ。

 だから、朱姫の性の対象は女だ。

 男に触れられると思っただけで身体が凍る。

 性行為を男とするなど朱姫の中では考えられない。

 

 長い旅の間に強姦されかかったことはたくさんある。

 男の格好をしていたのもそのためだ。

 犯されそうになったときは、容赦なく対応した。

 

 朱姫には普段は隠れている妖魔としての能力もある。

 『獣人』の魔術で男を殺したこともある。

 だけど目の前にあるのは……。

 女だ。

 でも男のものがある。

 

「お前は、今日女になる……。お前には、この宝玄仙のように男になって女を征服する者になる素質がある。だが、それには女としての悦びの知る必要がある」

 

「は、はい……」

 

「これは、宝玄仙の一部だ。男のものしゃない……」

 

 その怒張が朱姫の顔に突きつけられる。

 

「舐めるんだよ。お前の唾で濡らすんだ。宝玄仙をお前たちが受け入れるときの儀式だよ」

 

 朱姫は身体を起こして、膝立ちしている宝玄仙の股間から生えている男根を口に含んだ。

 両腕は背中で緊縛されているな、それ以外は、いつの間にか自由になっていた。

 

 舌で舐め回す。

 なぜか痺れるような快感が、朱姫の股間に伝わる。

 

「そうだ。上手だよ、朱姫……。愛情を込めて舐めまわしてごらん。舐めるだけじゃない。先っぽから出るものを吸い取ったり、それとも軽く力を加えたりするんだ。力を加えるときには、自分の唾液で厚く包んでからだ……。そうそう……上手だ。男によっては、感じ方が違う。女にも気持ちのいいやり方が違うように、男もいろいろだ。先端が気持ちいのか。筋の部分が気持ちいのか……。それとも、強く刺激を与えた方がいいのか、弱い方がいいのか……。よく相手を見るんだ。あるいは舌で感じてごらん、朱姫……。このわたしは、どうやったら気持ちよさそうだい?」

 

 朱姫は口の中のものを頬張りながら、宝玄仙を感じようと集中した。強くする――。

 弱くする。先っぽ――。

 それとも奥――。

 先から宝玄仙の蜜が染み出てくる。

 

 わかってきた……。

 先端の膨らみ――。

 それを全部、頬張る。

 そして、少しだけ強く……。

 

 宝玄仙は先端の膨らんでいる部分を口で包まれて、そして、強めに刺激されるのが好きみたいだ。

 その宝玄仙から染み出る蜜の量が多くなった。

 先端に入っている割れ目の部分も弱いようだ。

 

「……い、いいよ……、しゅ、朱姫……。き、気持ちいいよ……。そ、そうだ。男を口の中でいかせようと思ったら、苦しくても亀頭の全体を包む……。つ、強くしてもいいけど、絶対に……歯を立てちゃあ……だ、駄目だ。男は、女以上に……弱い……」

 

 宝玄仙の声がうわずっている。

 朱姫の舌で感じているのだとわかる。

 もっと、感じさせたい。

 もっと、宝玄仙を翻弄させたい――。

 朱姫の口で、宝玄仙を犯す。

 犯してやる――。

 全部吸い尽くす――。

 

「く、くうっ……。お、お前、教えもしないのに……どうして、そんな技が……。だ、駄目だ――。くうっ」

 

 宝玄仙の欲情を感じる。宝玄仙の顔が欲情で歪んでいる。

 吸う――。

 舐める――。

 吸う。

 なにもかもを奪い取る――。

 喉の奥に当たるような苦しさ。

 それでも耐える。

 

 宝玄仙が震えた。

 

 そして、だらりとした蜜の塊りが朱姫の口の中に迸った。

 

「……た、大したものさ……。最初の一回で、宝玄仙をいかせてしまうとはね。それは飲み込みな。嫌でも飲み込むんだ」

 

 朱姫は頷きながら、宝玄仙の怒張から出たものを喉に流し込んだ。

 

「じゃあ、いくよ。朱姫、横になりな」

 

 宝玄仙が言った。

 言われた通りに仰向けになる。

 視界に青い空が映った 。

 それが宝玄仙の顔で隠された。

 宝玄仙の顔は、上気している。

 息も少しあがっているようだ。

 

「お前は、途中から快楽を与えられることよりも、この宝玄仙に快楽を与えることに夢中になったね?」

 

 宝玄仙が言った。

 そうかもしれない。

 よくわからない。

 ただ、やりたいと思ったことをしただけだ。朱姫は、明確な返事をすることもできなかったので、ただ、宝玄仙を見返していた。

 

「お前にも、そのうち嗜虐側の快楽を教え込んでやろう。征服して翻弄させ、屈服させる悦びだ。だけど、いまは与えられる悦びを覚え尽くすんだ」

 

 宝玄仙の肉棒が、朱姫の淫孔の先端に触れる。

 

「……もう、前戯めいたことはしない。ただ、突き入れるだけだ。いいね」

 

「き、きてください、ご主人様……」

 

 ぐいと先端が挿入される。ゆっくりと入ってくる。

 

「……破瓜の痛みなんか与えやしないよ、朱姫。わたしの道術でね。わたしとの性交で味わうのは快楽だけだ」

 

「いいい――ひいいいい……いいいっ――」

 

 入ってくる。

 宝玄仙が――。

 溜められていたものが爆発する。

 突き刺さる。

 朱姫の最奥に宝玄仙の怒張の先が当たる。

 

 突き刺さる――。

 痛みなど存在しない。

 そんなものよりも、凄まじい快楽――。

 

 子宮が――。

 焼ける――。

 なにかが拡がり――。

 それが、朱姫を覆い尽くす。

 朱姫の中でなにかが弾け飛び、そして、爆発した。

 

「ご、ご主人様――、いぐううう―――」

 

 朱姫は大声で叫んでいた。

 だが、また、のぼってくる。

 再び、絶頂――。

 

 

 *

 

 

 兎どころか、鳥さえもいない――。

 沙那は焦り始めていた。

 野宿をしている場所からは、随分と離れることになったが、沙那は、獲物を求めてずっと、森の奥へ奥へと歩き続けていた。

 

 宝玄仙が、今日を朱姫にとっての特別な日にしようとしているのはわかっていた。

 だから、干して乾かした保存食を水に漬けて戻すだけの食べ物ではなく、少しでもおいしいものを朱姫に食べさせたいと考えているのだろう。

 

 沙那にとっても、最初の交合は宝玄仙だった。

 やはり、自分の道術により股間に男根を生やした宝玄仙に犯されたのだ。

 もっとも、宝玄仙のときは、ほとんど記憶にないくらいの快楽の嵐に翻弄されてからの破瓜だった。

 覚えているのは、圧倒的な暴力にも思える快楽だけで、ほかにはなにもない。

 

 いまにして思えば、それも宝玄仙の優しさなのだろう。

 最初の交合が苦痛でしかなければ、淫情の行為を愉しめないものとして記憶してしまうかもしれない。

 だから、痛みなど感じる余裕のないくらいの快楽の洪水に襲いながらの破瓜をさせる……。

 

 ただ、沙那に言わせれば、宝玄仙の与える快楽は限度を過ぎている。

 度を過ぎた快楽は苦痛でしかない。

 ただ、宝玄仙は、そこのところがよくわかっていないのかもしれない。

 

 ともかく、宝玄仙と愛陽で会ったばかりの頃の沙那はもういない。

 まだ、一年ほどに過ぎないが、宝玄仙の「調教」により変わってしまった。

 それに、沙那の身体は、宝玄仙以外の様々な男も受け入れさせられた。

 性交を快楽として愉しむことも覚えた。

 一年前の沙那には理解もできないだろうが、宝玄仙に対して、愛情に近いものを感じている自分も存在している。

 

 それにしても、とにかく、なんでもいいから獲物を捕らえて戻らなければ大変なことになる。

 あの宝玄仙の本質は、嗜虐に心を震わせる変態法師だ。

 だから、どうやって、沙那や孫空女や朱姫に、恥辱を与えようかとそればかりを考え続けている。

 言いつけを守れず、手ぶらで帰ったとあっては、どんな罰を宝玄仙に与えられるかわからない。

 このところの宝玄仙の的先は朱姫だった。

 だが、どんなきっかけで、沙那が的になるかわからない。

 だから、かなり、宝玄仙たちから離れることになったが、獲物を求めて、森深く深くと進んでいるのだ。

 

 なにかの気配を感じた。

 生き物の気配だ。

 

 よかった――。

 獲物だ。

 

 だが、希望を感じていた沙那に緊張が走った。

 近づいてくる気配は獣の類ではない。

 “妖魔”?

 

 沙那は、持っていた小弓を肩に持ち替えて、細剣を抜く。

 それとともに、腰を屈めて、身体を草の下に隠した。

 その沙那の横を矢が通り過ぎる。

 

「消えたぞ」

 

「いや、姿勢を低くしただけだ。動いていねえ」

 

 妖魔の声。

 かなり近い。

 沙那は気配を殺して、移動していく。

 

 移動しながら周囲を観察する。

 ここは草の生い茂る樹木がまばらに生えている山林の中だ。

 山道からはかなり離れている。

 草の高さは人間の腰ほどなので、屈んでしまえば、姿を隠すことができる。

 矢も通り難い。

 

 声がした方向に数匹の妖魔の気配がある。

 沙那は、反対側に向かって、草の間を這い進む。

 

 さっきの矢が、草の間の地面に突き刺さっていた。

 抜いて、矢じりを観察する。

 やはり、毒が塗ってある。

 

「雌の人間だ――」

 

「久しぶりの獲物だ。逃がすんじゃねえぞ。人間が手に入ったとあっては、黄袍魔(おうほうま)様が戻ってこられたときに、お悦びになられるぜ」

 

 声が近づいてくる。

 沙那は内心で舌打ちした。

 よくわからないが、どうやら、獲物を探しに来て、妖魔の巣に入ってしまったようだ。

 しかも、人間に敵意を持っている。

 捕らえる気満々のようだ。

 

 沙那はさらに移動しながら、気配の反対側に向かい草の下を進む。

 だが、沙那の肌がなにかを感じた。

 

 前からも矢――。

 転がって避ける。

 たったいま、沙那がいた場所に数本の矢が突き刺さっている。

 驚いた。

 前後に挟まれているとしたら、矢は遣ってこないと思ったのだ。

 だから、反対側にも妖魔がいる可能性はあまり考えなかった。

 前後に挟んでいるのに関わらず、躊躇なく矢を遣うところをみると、かなり、正確に沙那の居場所を特定しているのかもしれない。

 気配を探る。

 

 やはり、反対側からも妖魔の気配――。

 沙那は、息を殺して、自分の気配を殺すことに専念した。

 動けば草が動く。

 それで場所が特定される。

 

 それにしても、いつの間にか囲まれてしまったらしい。

 妖魔たちは、自分を“獲物”にするつもりなのかもしれない。

 

 いずれにしても、どれくらいの勢力なのか。

 話し声から判断すると、前後に数匹ずつ。

 それくらいなら、どうということもないと思うが、もしも、それ以上の勢力だとすれば、迂闊に出ていくことは危険かもしれない。

 

 また、なにかが肌に刺さる。

 沙那は、身体を起こして、横に跳躍した。

 沙那がいた場所に投網が降りかかっている。

 

「いたぞ――。あそこだ――」

 

 声のする方向に振り向く。

 広く展開する妖魔が五匹――。

 用心深く樹木を盾にして、こちらを囲んでいる。

 それぞれに角があり、さまざまな動物の顔をした身体の大きな妖魔だ。

 真ん中が弓――。

 残りは剣――。

 

 だが、沙那はとっさに持ち替えた小弓を樹上に向けていた。

 投網を抱えた鳥妖がそこにいる。

 

 射る――。

 悲鳴をあげて、鳥妖が落ちる。

 

 そこに、矢が飛んでくる。

 剣で払う。

 

 反対側――。

 今度は身体を低くする。

 草に阻まれて、矢の方向が変化して逸れた。

 

 身体を低くしながら、沙那は反対側の様子も確認していた。

 反対側にも五匹……。

 隊形はやはり、樹木を盾に広く展開している。

 

 ……ということは、少なくとも十匹。

 

 いや、鳥妖を含めれば、十一匹。

 あるいはそれ以上の勢力に囲まれているかもしれない。

 

 いや、もっとだ――。

 沙那は、上にさらに二匹の鳥妖が飛んでいるのを確認した。

 樹木の影に隠れているが、上から沙那の居場所を見ている。

 沙那は、もう隠れるのをやめた。

 上空から探られては、隠れても仕方がない。

 これ以上の勢力が集まる前に強行突破すべきだ。

 

「どけええっ――」

 

 立ちあがって、前方の妖魔に向かって駆ける。

 

 正面から矢――。

 細剣で払う。

 

 駆ける。

 もう、弓を持っている妖魔が眼の前だ。

 剣を一閃。手応えがある。

 確認もせずに、横を通り過ぎる。

 

 突破した――。

 次の瞬間、なにかが起こった。

 景色が消滅する――。

 

「罠に嵌ったぞ――」

 

 妖魔の歓声――。

 この胃が捻じれるような感触――。

 沙那には経験がある。

 道術陣――。

 

「くっ、しまった」

 

 沙那は声をあげた。

 『移動術』で飛ばされるときの感触だ。

 どうやら、包囲網の後方に、さらに、結界による罠が準備されていたようだ。

 

 『移動術』でどこかに飛ばされる。

 捕まった――。

 

「ご主人様―――、助けて――」

 

 沙那は叫んでいた。

 だが、その声が残ることはなかった。

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