「今夜は男に奉仕する練習だ、
宝玄仙が素蛾に言った。
朱姫は素蛾の腕を後手にしっかりと緊縛しながら、それを聞いていた。
朱姫たち四人に素蛾を加えた五人で、その宿屋の離れの一室を借りた。
離れは繋がった二部屋になっていて、宿屋のほかの部屋とは独立した造りになっている。
つまりは、余分な金子を支払って、隣室などに気兼ねをしなくていい環境を手に入れたということだ。
宝玄仙曰く、今回はここで素蛾を仕上げるということなので、少なくとも明日の丸一日はここに逗留するつもりだろうと朱姫は思った。
二間になっているこっち側の部屋には、いまは朱姫と素蛾と宝玄仙がいて、隣の部屋では沙那と孫空女が待機させられている。
「は、はい……。お、怖気づきません。頑張ります」
素蛾が裸身を真っ直ぐに宝玄仙に向けて、元気な声で言った。
だが、感情の変化を読むことができる朱姫の心の中に、素蛾の抱いた恐怖と不安の感情がどっと流れ込んできた。
健気なことを口にしているが、初めて男と性交するのが怖くはないわけがない。
それでも、素蛾は、これから男に抱かせるという宝玄仙の理不尽な言葉に、ほんの少しの反抗の言葉も、躊躇の言葉も口にしない。
どうやら、それは、性奴隷には向かないという烙印を押されたら、すぐさま自分は朱姫たちに捨てられると思っている気配だ。
これまで、この天神国の本物のお姫様である素蛾という童女に接してわかったのは、この素蛾は心の底から、朱姫たち四人との旅を愉しんでいるという事実だ。
自ら調教して欲しいというおかしなお姫様だが、なぜか、朱姫たちから、こうやって淫靡な仕打ちを受けるのはとても好きなようだ。
素蛾を調教するときには、好奇心と期待感、そして、快感と愛情……。
そういう感情でいっぱいになり、負の感情というのはまったく現れない。
宝玄仙は変わり者の突き抜けた童女だと称するが、まさにその通りと朱姫も思う。
ただ、これから男に抱かせると宝玄仙が言ったとき、この旅で初めて、素蛾に戸惑いとかすかな嫌悪感の感情が出現した。
そして、すぐに、それが不安感と恐怖感に変化した。
朱姫はこの素蛾の感情の変化について、おそらく、素蛾の不安や恐怖の大部分は、男と性交をするということそのものよりも、それを嫌がることで朱姫や宝玄仙に嫌われるのではないかという気持ちなのではないかと推測した。
「素蛾、あたしたちは、お前のことが好きよ……。嫌なら嫌がってもいいのよ……。でも、それでお前を捨てたりすることはないわ。それどころか、少しくらいは嫌がってくれる方が愉しいのよ」
朱姫は、そんな素蛾の不安を取り除いであげようと考えて、背後から素蛾のちょっと膨らんでいるだけの胸に手を這わせながら、耳元でささやくように言った。
「あっ……、き、気持ちいいです、朱姫姉さん……。そ、それに、本当に素蛾のことを好きですか……? 朱姫姉さんは素蛾のこと捨てませんか……?」
「もちろん、好きよ」
朱姫は言った。
すると、素蛾の心がさっと明るい感情に変化した。
その劇的な心の変化は、朱姫でさえ戸惑うほどだ。
おそらく、そういう楽天的な性質は天性のものなのだろう。
天神国の本物のお姫様として、この世の不幸や憎悪などからまったく隔離されて育つと、こんな性質の童女が育つのだろうか……?
「……捨てるわけないわよ……。ちゃんと、国都までお前のことは送り届けるわ。安心して」
朱姫は言った。
だが、素蛾を安心させようと思って口にした言葉で、朱姫はふと寂しさに襲われてしまった。
この童女が天神国の本物のお姫様であることを発見して、国都まで連れて行くことになって十日近くがすぎた。
おそらく、もう数日歩けば、国都に到着するだろう。
この旅のあいだだけは、素蛾にこうやって淫らな性調教をしているが、国都で宮廷に引き渡せば、もう朱姫など話しかけることさえも許されないような高貴な立場に戻ってしまうだろう。
素蛾ともお別れだ。
それを考えると悲しい気持ちに襲われる。
朱姫のことをを慕ってくれるこのお姫様との旅は愉しい。それも終わりに近づいていると思うと、とても寂しくなる。
「あれっ?」
そのとき、朱姫は思わず声をあげてしまった。
素蛾の心が急に悲しみで溢れたのだ。
一瞬、その理由がわからなかったが、すぐに、素蛾もまた朱姫たちと別れることを寂しがってくれているのだと思った。
それがわかったとき、朱姫は思わず後ろからぎゅっと素蛾を抱きしめた。
「しゅ、朱姫姉さん……」
素蛾の心の悲しみが小さくなる。
朱姫は手を素蛾の股間の亀裂に這わせた。
そして、ゆっくりと亀裂に沿って指を上下に動かし始める。
「はあ……あっ、しゅ、朱姫姉さん……あ、ありがとうございます……。そ、それをしてもらえると、た、愉しい気分だけになることができます……。ああっ……ああ……」
素蛾が背後から抱かれる朱姫の腕の中で身悶えを始めた。
もう、素蛾の心には負の感情は皆無になった。
朱姫は、正直で素直な素蛾の感情が愉しくて、思わずほくそ笑んでしまった。
「じゃあ、素蛾を抱く“男”を呼ぶよ──。お前たち、入っておいで」
宝玄仙が隣室を繋ぐ扉を叩いた。
すると、素っ裸の沙那と孫空女が裸身を両手で隠しながら、赤い顔をして入ってきた。
そのびくびくした態度に朱姫も吹き出してしまった。
素蛾は呆気に取られている。
また、素蛾の心には、“男”といわれて現れた沙那と孫空女に対する戸惑いと安堵の感情が観察できた。
「こらっ──。お前たち、隠すんじゃないよ。堂々と股間にぶら下げているものを素蛾に見せてやるんだよ」
宝玄仙が怒鳴った。
ふたりは渋々という感じで、両手を体側に移動させ、隠していた股間を露わにした。
「わっ? そ、それはどうしたのですか、沙那様、孫空女様」
素蛾はびっくりしている。
素蛾が驚くのは無理もない。
ふたりの股間には女の性器のほかに、男の男根がしっかりとぶら下がっているのだ。
もちろん、宝玄仙の道術だ。
ふたりの男根は、まだ小さい状態だがしっかりと本物そっくりのものが股間に垂れさがっている。
しかも、丁寧なことに、男根のほかに睾丸まである。
素蛾に勉強させるためだから、できるだけ本物の男の股間に似せたのだろう。
それにしても、女の性器のほかに、完全な男の性器がついているというのは、かなり奇妙な感じだ。
「見知らぬ土地で後腐れの男ない男を調達するのは難しいからね。今夜については、お前が相手をする“男”はこいつらだ。そして、わたしに朱姫だ。とにかく、今日から明日にかけて、ここでじっくりと男との性交について調教をするよ。だから、覚悟しな、素蛾──。最低限の技は、ここで叩き込むからね。いいね──?」
「は、はい、ご主人様──。ありがとうございます──。皆様がお相手で嬉しいです」
素蛾がほっとした顔で言った。
「よし、じゃあ、まずは、男の性器について勉強だ。孫空女、こっちに来な」
宝玄仙がそう命じるとともに、孫空女の腕ががちゃんと鳴った。
孫空女の四肢の手首と足首には、赤い輪の『拘束環』という霊具が装着されている。
これは、宝玄仙の道術で好きなような組み合わせで密着させることができる。
いま、孫空女は、両手首を背中側で密着させられた。
「う、うん……」
孫空女が赤い顔をしたまま前に出た。
すると、宝玄仙が孫空女の股間の一物をむんずと掴んだ。
「わっ、ちょ、ちょっと、いきなり……」
孫空女が戸惑いの声をあげた。
「素蛾、これが男の性器だ。道術で一時的に作ったものだけど、本物と変わりはしないよ。男根とか、一物とか、あるいは大きくなれば怒張とかとも呼ぶ。それをこうやって近くで見たことはあるかい?」
宝玄仙が孫空女の股間のものをしごきながら言った。
「わっ、わっ……な、なにするのさ、ご主人様……。は、恥ずかしいよ。ちょ、ちょっと──」
「黙ってな、孫空女──。お前はただ、突っ立てればいいんだよ……。それで、素蛾、どうなんだい?」
宝玄仙が怒鳴った。
「は、はい……。見たことはありません……。あっ、そ、そんなに大きくなるんですね?」
宝玄仙に股間を刺激されている孫空女の股間がむくむくと頭をもたげてきた。
すぐにすっかりと膨張して固くなる。素蛾がそれを見て言った。
「そうだよ──。孫空女、どうして、大きくなったか説明しな」
宝玄仙がさらに、孫空女の怒張に激しさを加えて揉みながら言った。
「ひっ、ひいっ……。き、気持ちいいと、お、お、大きくなるんだよ……。ちょ、ちょっと、いい加減にしてよ、ご主人様……」
孫空女はすっかりと狼狽して、後手に拘束された身体をしきりに左右にくねらせている。
「ほらっ、これくらい大きくなれば、お前にもすっかりと馴染みのある張形と同じくらいの大きさになったろう? だけど、まずは、こうやって大きくしなければ駄目なのさ。性奴隷というのは、最初は小さくて柔らかい男の性器を逞しく勃起させることから始めるんだ」
「ぼ、ぼっき……ですか……?」
「勃起だよ。勃起──。一物を大きくすることを勃起というのさ」
「はい。勃起ですね。覚えました──」
素蛾が言った。
「そうだよ。それにしても、お前を買った奴隷商人の親父はお前を破瓜させたんだろう? せめて、そのときに性器を見なかったのかい?」
「あのご主人様は、張形で素蛾の破瓜をなさいました。ご自分ではされなかったのです」
「そうかい……。それにしても、破瓜は痛かったかい……。わたしが点検した限りにおいては、綺麗に処女膜はなくなっていたけどね」
宝玄仙が言った。
「奴隷商のご主人様は、痛みが少なくなる薬剤を使ってくれました。少しは痛かったですが、覚悟していたほどのものはありませんでした……。ちょっと気持ちよかったくらいで……」
素蛾ははにかむように言った。
「ねえ、ご主人様、折角だから、素蛾に、ふたり同時の男の射精を見せてあげましょうよ。あたし、沙那姉さんを担当していいですか?」
朱姫は、素蛾の身体を離して言った。
「お、お前、来るんじゃないわよ、朱姫──。いい気になると承知しないわよ──」
沙那が怒った表情で言った。
「お前はそうやって、すぐにむきになって嫌がるから、朱姫にからかわれるんだよ、沙那──。わかった。沙那、前においで──。朱姫、沙那も縄掛けをしな──。孫空女と並んで射精させよう。沙那、逆らうんじゃないよ……。じゃあ、素蛾、こいつらで男の生理を見せてやるから、まずは観察してな」
宝玄仙が孫空女の男根をしごく手をゆっくりにしながら言った。
これから開始する沙那の射精に合わせるためだろ。
素蛾が元気な返事をした。
宝玄仙の命令に、沙那が口惜しそうな顔で顔をしかめる。
「さあ、そういうわけだがら、沙那姉さん、両手を背中に回してくださいね」
朱姫は鼻歌交じりに、荷から縄を取り出すと、歯噛みしながら両腕を背中に回した沙那を後手縛りに拘束した。
両手を背中でしっかりと結び、それを胸の上下に回した縄で胴体と密着させる。
その状態で沙那を素蛾の前まで進ませて、朱姫が沙那の股間にぶら下がっている一物を擦り始めた。
「あっ……くっ……ちょ、ちょっと、朱姫……」
沙那が苦痛に顔を歪めるような表情になった。
しかし、沙那の股間の男根はあっという間に大きくなり逞しさを示しだす。
「く、苦しいのですか、沙那様……?」
沙那が顔をしかめているので、素蛾が心配そうな声をあげた。
「沙那姉さんは苦しいんじゃないのよ、素蛾……。気持ちいいのよ。でも、こうやって、あたしに悪戯されると嫌がるのよ……。だけど、嫌がりながらよがる沙那姉さんも可愛いでしょう? それよりも、もういきそうじゃないですか、沙那姉さん?」
朱姫は沙那をからかった。
感じやすい沙那は、その男根も感じやすいらしく、早くも息が荒くなり、怒張が射精の兆しの汁を垂らしだした。
「あ、あんた、いつもいつも……わたしばかり……はあ……あっ、ああっ、だ、だめ……な、なんかおかしくなる。こ、この男の性器でしごかれるのと……はあ……あ、頭がおかしくなりそうになるの……う、うう……」
「遠慮しなくていいんですよ、沙那姉さん──。ねえ、ご主人様、沙那姉さんは、もうすぐいくと思いますよ」
「わかった──。こっちも仕上げるよ……。ほらっ、孫空女、もっといい気分になりな。沙那は準備万端らしいよ」
宝玄仙が笑いながら孫空女に与える刺激を強める。
「ねえ、沙那姉さん、こうやった方がいいですか? それとも、こうですか?」
朱姫は先端、中央、根元、そして、睾丸と巧みに刺激の場所を変化させながら、沙那に息つく暇も与えないほどに、刺激していく。
「ああっ、はあっ……あっ、あっ、あっ……」
沙那が断続的な喘ぎ声を出し始めた。
朱姫は宝玄仙に視線を送った。
孫空女の怒張をしごいている宝玄仙も微笑んでうなずく。
「素蛾、数をかぞえなさい。一から十まで──。ご主人様、十でいきますよ」
「いいよ」
宝玄仙がうなずいた。
「は、はい……。一……二……三……」
素蛾が数を唱え出す。
「ま、待って──」
沙那が切羽詰った声をあげた。
「なにを待つんですか、沙那姉さん。遠慮しなくていいですよ。素蛾に男の射精を見せてあげてください」
朱姫は微笑みを浮かべながら、さらに激しく沙那の男根を擦った。
沙那がいよいよ激しく震えてくる。
「……八……九……十──」
素蛾が言った。
「あっ」
「はああっ」
沙那と孫空女が同時に絶息するような声をあげた。
ふたりの怒張の先端から、男の精液とそっくりの白濁液が飛び出す。
宝玄仙の道術で作った男根は、男の快感もあるが、女の快感も引き出してしまう。
ふたりは射精に続いて、がっくりと脱力したように腰を落とした。
「さあ、これが男の射精だよ、素蛾……。だけど、本当なら、こんな風に床にぶちまけさせないんだよ。ちゃんと、お前の身体で男の精を受け止めるんだ。女陰でも肛門でも、口でもね──。じゃあ、お前たち、床に飛んだものを舌で掃除しな。ただし、孫空女のものは沙那が……。沙那のものは孫空女がやるんだ」
宝玄仙が言うと、ふたりは諦めたよに無言で床に這いつくばり、お互いの精を舐め始める。
「あっ、わたくしがします──。沙那様と孫空女様はお立ち下さい──」
素蛾が慌てたようにしゃがもうとした。
だが、それを朱姫が押しとどめた。
「いいのよ、素蛾……。それよりも、お前はやることがあるわ。次は、お前も男になって、男の性を勉強するのよ。男にどんな奉仕をすればいいか、今度は、お前自身が男になって学ぶのよ」
「わ、わたくしが男……ですか……?」
素蛾が当惑している。
「そうよ。ふふふ……」
朱姫は、緊縛した素蛾の身体を再び愛撫し始めた。
素蛾はすぐに喘ぎ声を出してよがり始める。
朱姫は素蛾の太腿に手を差し入れ、内腿から股間に付近をくすぐるように愛撫した。素蛾の心から快感に溺れている感覚が流れ込んでくる。それがあまりに強いので、朱姫までおかしな感覚になりそうだ。
「ああ、ああっ、しゅ、朱姫姉さん……」
素蛾が声を出した。
本当に感じやすい童女だ。
身体にはまだ幼さが残るのに、性感だけは淫靡にできあがっている。
もっとも、それは朱姫と宝玄仙がふたりがかりで、この十日ほどの旅で最大限に引き出してやったというのもあるが……。
素蛾の股間はあっという間に淫靡な汁で溢れてきた。
朱姫は指を女陰に入れてみた。
素蛾はいよいよ感極まった声をあげたが、苦痛のようなものは示さなかった。
「ご主人様、いいみたいですよ」
朱姫は宝玄仙を見た。
一方で、沙那と孫空女は床の掃除も終わり、いまは寝台に腰かけて休むことを許されている。
ふたりの勃起はまだ続いている状態だ。
これが男の性器なら、射精の後はすぐに快感が去って小さくなり始めるのだが、女の快感はしばらくは続く。
だから、勃起した男の性器もそんなに簡単には小さくならない。
「よし、素蛾、股をお開き」
宝玄仙が言った。
「は、はい……」
素蛾は慌てたように大きく股を開いた。
宝玄仙が持ち出してきたのは、『模擬男根』という霊具の淫具だ。
外観は両方に張形がある双頭の張形の淫具だが、外側となる部分はまだだらりと垂れさがっている。
これを女陰に挿入すると、一時的に女陰に挿した部分は素蛾の肉に同化して、男の性器そのものになるらしい。
素蛾は霊気を帯びてはいないし、沙那のように魔法陣も刻んではいない。
そんな素蛾のために、宝玄仙がわざわざ作成した淫具の霊具だ。
「挿すよ……」
素蛾の股間はそれほどの抵抗もなく、宝玄仙の淫具を受け入れた。
「あっ、ふうっ、くう……」
素蛾がよがりだす。
朱姫は肩を抱くように、素蛾をしっかりと掴んだ。
「終わったよ……」
宝玄仙が素蛾から手を離した。
すると、素蛾の股間に男性そのものの性器ができあがった。
「こ、これって……?」
すると、明らかに素蛾が戸惑い始めた。
「……こ、こんなの恥ずかしいです……」
全裸で外に出ても恥ずかしがらない本物のお姫様が、自分の股間に出現した男根に大きく戸惑い、そして、羞恥の感情を発散し始めた。