673 快楽我慢勝負
「くはっ……ああっ……」
山間道を横で歩いていた
「あくうっ」
しかし、ほとんど同時に沙那も声をあげて、その場にうずくまってしまった。
股間に挿入されている張形付きの貞操帯が、沙那の前後の穴を突然振動で刺激し始めたのだ。
「また、引き分けですね、沙那姉さん……。それにしても、もうすぐ人出の多い町の中に入っちゃいますよ。下袴を返して欲しければ、せめて、素蛾に勝たないと、張形付きの貞操帯だけのその格好で町まで歩くことになりますよ」
「な、なに言ってんの──。ひいっ」
沙那はかっとなって怒鳴りあげようとした。
しかし、股間の刺激に邪魔をされて、言葉が出てこない。
沙那はそのまま身体をのけぞらせた。
すると、朱姫が悪戯っぽく笑う。
「ふふふ……。ほら、頑張ってくださいね……。それどころか、明日からしばらく、ひとりだけ恥ずかしい格好で旅をしなければならないんですからね……。でも、心配いりませんよ。沙那姉さんが負けたら、うんと恥ずかしい恰好を毎日考えてあげますから」
さらに、朱姫はからかいを続けた。
沙那は歯を喰いしばった。朱姫などどうでもいいが、沙那が暴れると、横で笑っている宝玄仙がなにをするかわからない。
とりあえず、羞恥と恥辱に耐えた。
すると、やっと、持っていた張形の操作具で張形の振動が切断された。
沙那は素蛾とともに、荒い息をしながら後手に手錠をかけられた身体を立ちあがらせた。
国都を通る主街道とは離れていて、行き交う旅人もまばらである。
それをいいことに、沙那たちは、宝玄仙に命令によって、女陰と肛門に食い込む張形付きの貞操帯をはかせられ、いつやってくるかわからない振動に平静を装うという競争をやらされていた。
いまは、沙那と素蛾の勝負だ。
勝負のあいだは、ふたりとも下半身は貞操帯だけの格好にされ、下袴と下袍を脱がされている。
「あ、あのう……。わたくしが一番下っ端の奴隷ですから……。だ、だから、町の中を貞操帯だけで歩く罰はわたくしが……」
素蛾がおずおずと言った。
「駄目だよ、素蛾──。わざと負けたりしたら承知しないよ。しっかりと、朱姫にお前の心を見張らせているからね。とにかく、四人の中で一番快感に弱い駄目奴隷は、今日からしばらくこの国の街道を羞恥歩きの罰だ──。そう決めたんだ。お前らふたり負け残っているんだから、しっかりとやりな」
宝玄仙が言った。
「いまのは勝負なしですね……。あたしには、どちらが早かったか、また判定できませんでした……。とにかく、またやり直しにしましょう──。そうですよね、孫姉さん?」
朱姫が明るい口調で孫空女に訊ねた。
「ま、まあね……。で、でも、あたしにはもう聞かないでよ。みんな一緒になって遊んでいて、暴漢にでも襲われたら危険だから、あたしは警戒に専念するよ」
孫空女はそう言って、我関せずと言わんばかりに少し距離をとった。
さっきまで、孫空女もいまの沙那と同じように、背中で手錠をかけられて下袴を脱がされて歩いていたのだ。
すでに孫空女も朱姫も普通の格好に戻っているが、沙那はそれを恨めしく見た。
「とにかく、やり直しだよ──。朱姫、ふたりの貞操帯から痒み剤をまた噴射させな」
宝玄仙が言った。
「あっ……」
「そんな」
素蛾と沙那は思わず声をあげた。
すでに何度か股間とお尻の穴に向けた張形の先からの痒み剤の噴射を受けていて、沙那も素蛾も、股間とお尻の激しい掻痒感に苛まれていた。
いつ始まるかわからない張形の振動に耐えることができないのも、すっかりと貞操帯の内側が痒みに襲われ、怖ろしいほどの焦燥感に苛まれているからだ。
そして、腰をとめることのできないほど痒い場所で、いつ動かされるのかわからない振動を我慢しろというのだ。
さすがに、沙那もそんなことをされたら平静を装うことなど不可能だ。
だから、何回かの勝負でも、沙那も素蛾もすぐに反応してしまい、いまだに決着がついていない。
そのために、まったく人気のない山道で開始した勝負も、なんとなく人里に近い雰囲気になってきた。
だが、それに耐えなければ、本当に明日から破廉恥な姿で旅をさせられる羽目になるのだ。
沙那は焦っていた。
「も、もう痒み剤は堪忍してくださいよ、ご主人様……。そ、それに、孫女と朱姫はそんなのはなかったじゃないですか」
沙那は無駄とわかっている抗議をした。
「一回戦のときは、お前も痒み剤はなかっただだろう? 羞恥奴隷決定戦の決勝戦だからね。決勝進出のふたりに敬意を表して、痒み剤も足してやったのさ──。いずれにしても、もう試合は再開だ。ふたり並んで歩きな。ちんたら歩いていると宿のある町並みに入る前に陽が暮れてしまうじゃないか」
宝玄仙が嘲笑った。
沙那は歯噛みした。
「し、仕方がない……。歩こう、素蛾……」
「は、はい、沙那様」
沙那と素蛾は声を掛け合って、また山街道を頼りない姿で歩きだした。
素蛾の故郷である
沙那たち五人は人の多い国都を通る街道を避けて、東側の山脚沿いの街道を北に向けて進んでいた。
このまま鳳仙国を北進して、北の国境を越えれば西方帝国だ。
もっとも、西方帝国というのは、沙那たちの故郷である帝国の物言いであり、この辺りでは単に“帝国”、あるいは、“人間帝国”と称するらしい。
旅を始めてからそろそろ五年……。
ここまでやって来たのだという実感がわく。
そして、その西方帝国を縦断してもっと進むと、金角が待っている魔域の勢力地に入るはずだ。
いまのところ、金角や銀角からの接触はない。
ただ、金角と宝玄仙は、『主従の誓い』を結んだ「主人」と「部下」の関係だ。
真言の誓いという道術契約で結ばれた主従の関係が絶対的に強固であることは、沙那は身を持って知っている。
金角は、いつかやってくるという宝玄仙の約束を信じて、沙那たちの到着を待っているはずだ。
予想をされた素蛾を奪回するための衛舎国の追手はいまのところなかった。
沙那たちの行方を追うことができないのか、あるいは、あの国王が調教されて「汚された」と感じている素蛾を見捨てる気になったのかは不明だ。
素蛾が「調教」されたと知ったとき、素蛾を厄介払いするように、北の辺境送りにしようとしていたくらいだから、もう素蛾などどうでもいいと思っているかもしれない。その辺りは確かめようもない。
いずれにしても、鳳仙国でも宝玄仙や素蛾がなんらかの手段で手配されている気配はなく、いまのところ問題のない旅をしていた。
だからこそ、街道を進みながら、羞恥奴隷決定戦などという呑気なことをやっていられるのだ。
素蛾もすっかりと、一行に溶け込んで懐き、いまは愉しそうに旅をしている。
沙那にしてみれば、こんな毎日のように卑猥な手段で苛められ続けるような旅のどこかいいのかわからないが、素蛾は充実しているようだ。
それにしても、いま沙那と素蛾がやっている破廉恥な所業をさせられているのは、この鳳仙国の習慣に関係がある。
沙那たちのいた東方帝国とは大陸の反対側になるこちら側では、奴隷制度の盛んな地域であり、この鳳仙国も日常的に奴隷を目の当たりにするのが当たり前の国になっていた。
しかも、この鳳仙国の奴隷の姿は、いままでの奴隷と一線を画している。
沙那も国境を越えて驚いたが、どうやらこの国の奴隷は、半裸ですごさせるというのが風習らしいのだ。
沙那たちがこれまでの国で接した奴隷は首に目立つ首輪をしていた以外は、粗末な服装をしているというのはあったが、比較的まともな服装をしているのが多かった。
だが、ここの奴隷は違う。
ほとんど全裸に近いような姿でいたり、革の下着だけで歩いたりと露出度の多い非常に目立つ服装をしているのだ。
特に、女奴隷の姿は惨めなものであり、下半身をすっぽんぽんで歩いたり、股の付け根までしかない短い下袍だったり、あるいは、一瞬だけ見ればまともそうに見えるのに、乳房と股間の前後に大きな穴が開いて性器などが剥き出しになっている服を着ていたりする。
とにかく、この国の女奴隷は主人が趣向を凝らした破廉恥な姿で連れ歩くというのが流行らしく、国の東側の人口の少ない地域でも、そういう女奴隷をたびたび目撃した。
それで、ついに気紛れが爆発した宝玄仙が、四人のうちのひとりに、この国の女奴隷と同じような破廉恥な姿で旅をさせると言い出したのだ。
この手のくだらない思いつきは、一度言い始めれば、供たちの抗議は受け付けない宝玄仙だ。
その結果、沙那たち四人がやらせられたのが、この一行で「最下層」の奴隷を決めるための勝負だ。
最初は、素蛾が自ら、自分こそ最下層の奴隷だと言ったが、そんなことで宝玄仙が「愉しみ」を実行する機会を放棄するわけがない。
沙那たち四人は、道端で下半身を裸にされ、四人揃って張形付きの貞操帯をはかされた。
勝負の決まりは、この張形を股間で咥えて歩き、とにかく突然の振動に平静を装った方が勝ちということになった。
負け残りであり、一番堪え性のない者が、最下層奴隷ということで、明日から羞恥の姿で旅をさせられる。
そして、勝負が始まった。
一回戦は、沙那対朱姫、孫空女対素蛾という組み合わせになった。
そして、結局、沙那と素蛾がそれぞれに負け残った。
勝った孫空女と朱姫は貞操帯を外されて、服も着ることを許された。
負け残った沙那と素蛾は決勝戦をやっているのだが、決勝戦はなかなか決着がつかなかった。
そのうちに、朱姫がいつの間にか責め側になって、操作盤で振動を与える役をやることにもなった。
決勝戦が決着がつかないのは、宝玄仙が決勝戦については、ただ振動するだけじゃ面白くないので、痒み剤も追加するといって、股間に挿入されているふたつの張形の先端と側面から強力な痒み座を噴射させたことによる。
強力な宝玄仙の痒み剤だ。
我慢するなど不可能であり、沙那も素蛾も桁違いの痒みに襲われて、ふたりで悲鳴をあげてしまった。
そして、勝負が始まった。
意地の悪い朱姫は、なかなかに張形を動かさずに、すっかりと沙那と素蛾に痒みが浸透して、満足に歩けなくなるまで放置した。
それで忘れたころに、不意に動かすのだ。
沙那も素蛾もそれには、一瞬も我慢できずに、振動に反応してしまう……。
勝負は長引き、繰り返された。
今回も沙那と素蛾は同時にしゃがみ込んだ。
「じゃあ、再試合ですよ。今度も一刻(約一時間)くらいしてから動くと思いますからね。それまでは、そのまま歩いて下さいね」
朱姫があっけらかんと言った。
「な、なに言ってんのよ、朱姫──。そんなに歩いたら、人里に入っちゃうわよ」
沙那は文句を言った。
「あううっ、ぐううっ──」
しかし、次の瞬間、沙那は再び呻き声とともに、その場にしゃがみ込んでしまった。
突然に貞操帯の内側で、二本の張形ではなく肉芽に当たる部分にあった内側の大きな丸い鋲のようなものが強い振動を始めたのだ。
沙那は、全身を真っ赤にして、震えながらしゃがみ込んだ。
「さ、沙那様?」
横で素蛾が少し驚いている。
勝負だからふたりの貞操帯は、必ず同じ振動をするはずだった。
素蛾の様子から考えると、素蛾の貞操帯は動いていないのだろう。
朱姫は沙那側だけの貞操帯を動かしたのだ。
「ごめんなさな、沙那姉さん……。間違えて沙那姉さんの肉芽の部分の振動をさせちゃいました」
朱姫がわざとらしく謝罪の言葉を口にした。
「と、とにかく、と、とめてええ──」
沙那は悲鳴をあげた。
朱姫は謝りながらも、ずっと肉芽に与える振動をとめないでいるのだ。
沙那の食い縛る口からは、沙那の苦悶の声が漏れ続ける。
「あら、すみません、沙那姉さん……。いま、とめますね……」
朱姫が笑いながら、やっと沙那の肉芽の振動をとめた。
「じゃあ、痒み剤を噴射です。それで勝負開始ですからね……。振動は忘れたころにやってくると思うけど、頑張ってくださいね」
沙那がやっと立ちあがると、すぐに痒み剤がまた噴射されるのを股間とお尻に感じた。
しかし、沙那はある予感がしていた。
すぐに朱姫は振動を与えてくるだろうと思ったのだ。
さっきのように、しばらくは痒みに苦しむ時間だと油断をさせ、意地悪くすぐに刺激をしてきたりするのは朱姫の常套手段だ。
「おうっ」
沙那は声を飲み込んだ。
やっぱりだ──。
女陰と肛門の張形が急に激しく動いたのだ。
さっき、間違えたとか言って沙那だけ刺激を与えたのは、朱姫の悪ふざけだけではない。
朱姫は、明日からの羞恥奴隷役を素蛾ではなく沙那にしたいはずだ。
だから、先に沙那だけ刺激しておいて、快感に反応しやすくしてから、すぐに張形を作動させたのだ。
だが、沙那はそれを読んでいた。
そうするだろうと思ったし、そうしなければ、時間が経ってしまい沙那だけ刺激を与えた効果がなくなる。
だから、間髪入れずに作動すると絶対に思った。
「はふううっ」
素蛾がその場にうずくまった。
「うっ、ううっ……」
沙那はややしばらくしてから、腰を曲げだけで終わった。予想をしていた分だけ、沙那が長く耐えることができたのだ。
沙那は気力が抜けてしまい、その場に脱力して座り込んでしまった。
「沙那の勝ちかい──。じゃあ、明日からの羞恥奴隷は素蛾に決まりだね。なんとか、先輩奴隷としての面目を守ったじゃないかい、沙那」
宝玄仙が笑った。
その瞬間、貞操帯と手錠ががちゃんと音を立てて外れた。
「ああっ」
貞操帯が抜け落ちる刺激で沙那は甘い声をあげてしまったが、痒みはすっと消えていっている。宝玄仙が道術で癒してくれたのだ。
とにかく、沙那はほっとした。
「だめじゃないの、素蛾──。折角、沙那姉さんだけ、先に刺激したのに……」
素蛾の教育係を任じている朱姫が素蛾に歩み寄った。
やっぱり、そのつもりだったのだと思ったが、沙那はなにも言わなかった。
とにかく勝ったのだ。
沙那は荷から布を出して、急いで股間を手入れすると取りあげられていた
「ご、ごめんなさい、朱姫姉さん……あっ、ああっ、そ、そこ……き、気持ちいいです……はあっ……」
十二歳の素蛾がその年齢としてはふさわしくないような甘い声をあげ出した。
朱姫が痒み剤に苛まれている素蛾の股間に解毒剤をまぶしているのだ。
ほかの者とは異なり、素蛾の身体には道術陣はない。
だから、宝玄仙も素蛾の身体を道術で痒みを癒したりはできないのだ。
それで朱姫が痒みをなくす薬を素蛾の股間やお尻の穴に直接指で塗っている。
素蛾の股間からも貞操帯と手錠は外れていた。
いまは、素蛾は上半身だけに服を着て、下半身はなにも身に着けていない状態だ。
「じゃあ、素蛾、この一行の羞恥奴隷の装束はこれだよ。朱姫、それをつけてやりな」
宝玄仙が差し出したのは、真っ赤な小さな布切れだ。
布切れといっても両方の手のひらを合わせたくらいの大きさしかない。
その布の片側の端に二本の細い紐がついている。
沙那は見ているだけで恥ずかしくなった。
布切れで股間の前を隠して、紐を腰の後ろで結ぶのだろう。
股間を隠すといっても、小さな布きれだけだし、後ろ側のお尻は剥き出しだ。
その通りの姿に素蛾はなった。
もしも、負けていたら、沙那があの恰好になったのだ。
沙那はぞっとした。
「よく、似合っているわよ、素蛾……。風が吹いても隠してはだめよ。羞恥奴隷には身体を隠す権利はないのよ」
素蛾にその恰好をさせた朱姫が適当なことを言い諭している。
しかし、素直な素蛾はそれを真剣に頷いている。
沙那は服装を直しながら、それを横から見ていた。
「は、はい、朱姫姉さん。素蛾は羞恥奴隷です……。でも、これも、奴隷っぽくて素敵ですね」
素蛾は顔を赤らめて言った。
あんな恥ずかしい恰好にされて、満更でもなさそうな素蛾の様子に沙那は半分呆れた。
本当にあの元王女の感性は不明だ。
「でも、沙那姉さんに羞恥奴隷になって欲しかったな。いろいろと趣向を思いついていたのに……。素蛾がもっと頑張ればよかったのに」
「冗談じゃないわよ──」
沙那は朱姫に文句を言った。
「ごめんなさい、朱姫姉さん……。期待に添えなくて……。次は頑張りますから……」
素蛾が言った。
「次?」
そのとき、宝玄仙が嬉しそうな声をあげた。
沙那はぎくりとした。
「つ、次?」
無関係を装って、少し離れた場所に立っていた孫空女も声をあげた。
「いいこと言うねえ、素蛾──。そうだね。次もやろうか……。数日したら次の奴隷競争をやるよ。また四人で競争だよ」
宝玄仙が嬉しそうな声をあげた。
沙那は、余計なひと言を口にした素蛾を恨めしく見た。
「じゃあ、次こそ、頑張ります、朱姫姉さん」
素蛾は小さな真っ赤な布だけで股間を覆った姿で明るく言った。
「そ、そうね……」
朱姫の顔も引きつっている。朱姫だって、次は勝つとは限らない。今度はなんとか朱姫を負かせたい。
沙那は思った。
「次はお尻だけでやったらどうです、ご主人様?」
沙那は言った。
お尻が弱点の朱姫は尻穴の刺激勝負なら負けは確定だ。
今回の一回戦だって、宝玄仙が両者にお尻の刺激をしていたら、沙那が朱姫に勝ったと思う。
お尻なら朱姫に勝てる……。
「そ、そんなの狡いですよ──。だめです」
朱姫が声をあげた。
「それはご主人様が決めることよ」
沙那は一蹴した。
「じゃあ、それでいこうか。どうやって、お尻対決をするかは考えておくよ」
「そんなあ……」
宝玄仙の言葉に朱姫が声をあげた。