「第二競技については、特に集合場所はない。競技開始時間に、お前たちが存在した場所から競技が始まることになる――。さあ、係から下着を受け取って、そこではけ。はいたら解散だ――。その下着が目印になって、会場内のどの飲食物も無料でもらえるぞ。祭りを愉しんで来い――。すでにひと組目の連中も解散している」
配られた下着は、ごく普通の白い布の下着のようだった。
とりあえず、沙那は渡された下着をはいた。
「わっ」
沙那は思わず声をあげてしまった。
股間に下着を身に着けさせた途端、下着が肌に吸いつくように密着したのだ。
それだけではなく、真っ白い生地がだんだんと透明になり、ほとんどなにもはいていないかのように透けてしまった。
これではまったくの裸身であるのと同じだ。
飲食物を庭園内のどの屋台や施設無料でもらえるとか言っていたので、これで、どうやって、選手とそうでない者の見分けがつくのかと思っていたら、乳房の上に赤い文字が浮びあがった。
“品評会選手”――。
そう書いてある。
どうやら、透明になった下着の影響のようだ。
これも霊具なのだろう。
とにかく、いつまでも身体を晒したままでいるのは恥ずかしいので、手で胸と股間を隠そうとした。
舞台の下の観客は、第一競技が終わったということで、ちらほらと離れていっていたが、まだまだ大勢の人間が沙那たち性奴隷品評会の様子を見物している。
「ひゃあああ――」
沙那は再び声をあげた。
手で乳房と股間を隠した瞬間に、胸と股間に強い振動のような刺激を感じて、身体を焼くような熱い快感が襲ったのだ。
沙那は慌てて手を離した。
「ひいいっ――、胸が――」
横で甲高い声があがった。
孫空女の声だ。
孫空女もまた、胸を手で隠そうとして、性の疼きを感じたのだろう。
「どうしたのですか、沙那様、孫様?」
素蛾が目を丸くしている。
「どうしたも、こうしたも……」
沙那は素蛾に生返事をしながら周囲を見渡した。
舞台の上では、ほかの奴隷たちが裸身を手で覆おうとしてあちこちで悲鳴をあげている。
また、いまや、股間にはいた下着は完全に透明になっていた。
よく見ればうっすらと布が覆っているのがわかるものの、ひと目見ただけでは下着なしでいるとしか思えないだろう。
股の亀裂どころか、肌の皺一本一本まで鮮やかに浮き出ている。
そして、どうやら、仕組みがわかってきた。
沙那はもう一度、股間を覆うように手で近づけてみた。
「ふぐうっ」
沙那は全身を弓なりにしてのけ反った。
手を覆おうとした股間に、まるで股間に振動する淫具を当てられたような刺激が襲ったのだ。
慌てて手を離しながら、沙那は仕掛けられた仕打ちに歯噛みした。
つまりは、この下着をはくと、身体を隠そうとすれば強い淫情がその部分に走るようになっているのだ。
だから、ほぼ全裸の身体を晒して歩くか、あるいは、強い淫情に襲われるのを承知して、身体を隠すかのどちらかしか選べないということだ。
これも性奴隷品評会の出場者を辱めるための仕掛けだろう。
せめて、進行係を睨みつけてやろうと思ったが、いつの間にか進行係はいなくなっている。
それだけじゃなく、司会もいないし、たったいままで、けたたましい悲鳴をあげ続けていた舞台の上下のふたりの脱落者もいない。
夕方までくすぐり継続の罰を与えられるとかいっていたふたりは、どこかに運び去られたようだ。
「さ、沙那、これって……」
孫空女が赤い顔をして沙那を見た。
「そ、そのようね……。わたしたちが自分の身体を隠そうとすると、身体が反応して快感が迸るようになっているようね。なんて、いやらしい仕掛けなのかしら……」
沙那は嘆息した。
「ああ、つまり、性奴隷は裸身を隠してはならないという調教でもあるのですね。素晴らしいです」
素蛾が感心するような声を出した。
なにが素晴らしいと思うのかわからないが、どうもこの娘と話すと調子が狂う。
「お前たち、頑張ったねえ――。わたしの性奴隷が一抜けと二抜けとはすごいじゃないかい。沙那は辛うじて残ったという感じだったけどね……」
宝玄仙の声がした。
顔をあげた。
舞台のすぐ下に宝玄仙が上機嫌で立っている。
また、横に朱姫がいた。
朱姫は、両膝を地面につけていて、肩で荒い息をしている。
なぜか髪はぐしゃぐしゃだ。
薄桃色の小奇麗な上衣と下袍を身に着けていたが、びりびりに破かれてふたつの乳房も股間も剥き出しだった。
さらに、宝玄仙は手に鎖を持っていて、それは朱姫の股間に伸びている。
沙那はその鎖が朱姫のどこに繋がっているのか考えないようにした。
「朱姫姉さん、どうしたのですか?」
素蛾がぱっと舞台を降りて、朱姫に駆け寄った。
そして、朱姫の髪を手で整え始めた。
だが、手でやるだけではうまくいかないのだろう。
すぐにきょろきょろしはじめ、主賓席に残っていた水差しを見つけて運んできた。
それで自分の手を水で濡らして、朱姫の髪を手で整え始める。
「あ、ありがとう、素蛾……」
朱姫が言った。
その朱姫の声は枯れていた。
それで、なんとなく、朱姫の様子の状態の原因の察しがついた。
。
おそらく、朱姫の声が枯れているのは、悲鳴のあげすぎだろう。
沙那もそういう状態になることがあるからわかるのだ。
それだけで、朱姫が尋常ではない仕打ちに遭ったということがわかる。
「朱姫姉さん、あ、あのいっぱい汚れが……。水と手でお拭きしていいですか……?」
朱姫の髪を整えている素蛾が困惑したように言った。
その素蛾の言葉で沙那も気がついたが、ぼろぼろに破けた服から露出している朱姫の肌には、たくさんの男の精がこびりついている。
「お、お願いするわ……」
疲労困憊の様子の朱姫が言った。
すると、素蛾が嬉しそうに、自分の手を布代わりにして、朱姫の身体を洗いだす。
それにしても、本当に素蛾は朱姫に懐いている。
朱姫に構うのも、構われるのも嬉しくて仕方ないようだ。
いまも、嬉々として朱姫の肌を甲斐甲斐しく洗っている。
「ご主人様、朱姫はどうしたのさ?」
孫空女が言った。
沙那も孫空女も、まだ、くすぐり責めの余韻から完全には醒めなくて、舞台に尻をつけて座ったままでいた。
「なあに、本戦に残ったお前たちに比べれば、朱姫があまりにも不甲斐ないからね。ちょっとばかりお仕置きをしてやったのさ。尻に張形を入れっぱなしにして、十人の男の性奴隷との公開輪姦だよ」
宝玄仙は愉しそうに言った。
つまりは二本挿しの強姦というわけだ。
しかも、十人……。
沙那は聞いてるだけで鼻白んできた。
一方で朱姫は、素蛾の世話を受けながら、まだ、激しく息をしている。
げんなりしていて精根尽きてしまったという感じだ。
「ところで、その服ってなんで、そんなにぼろぼろなのさ? 性奴隷の連中が破ったのかい?」
「まあ、そうなんだけどね。これも演出のひとつさ、孫空女――。朱姫の見た目は十六歳の少女だろう? そんなのが服をびりびりと破かれながら大勢の大男に寄ってたかって輪姦されるのは壮絶な光景だからね。見物人もそういうのを喜ぶんだよ――。この純情そうな少女の出で立ちの衣装も太守に準備してもらったのさ――」
「あっ、そう……」
孫空女は生返事だ。
沙那など、声を挟む気にもなれない。
まあ、朱姫には気の毒とは思うが……。
「ところで、いつまで呆けているんだい、朱姫。さっさと立ちな。『治療術』で体力は回復してやっただろう――。いつまでも座ってないで、しゃきっとしな――」
宝玄仙がぐいと朱姫の股間に繋がっている股間を引いた。
「ひぎゃあああ――。ご、ご主人様、引っ張らないで――」
朱姫が身体を拭かせていた素蛾を突き飛ばするように絶叫して立ちあがった。
やっぱり……。
沙那は宝玄仙が強く引っ張った細い鎖の先が朱姫の肉芽に繋がっているのをはっきりと見た。
朱姫の肉芽には金属の指輪のようなものが食い込んでいて、それが宝玄仙が手に持つ鎖に繋がっている。
宝玄仙は面白がって、その鎖を手繰り寄せるようにして、上に引きあげるように動かしている。
朱姫は泣き叫びながら、つま先立ちで少しでも肉芽を引っ張られる痛みを防ごうとしている。
沙那は、そのとき初めて朱姫の両手に後ろ手錠が嵌められていることに気がついた。
「い、痛い――ひいっ――痛いです――ご、ご主人様――も、もう、許して――」
朱姫が泣き喚いた。
「なに言ってんだい、朱姫――。呆気なく予選で負けてしまって、こんなんじゃあ足りないくらいだよ。ほかの三人は一回戦が終わり、休憩を挟んで二回戦もあるし、三回戦もやるんだ。そして、きっと明日の決勝に残る四人にも選ばれるに違いないよ。それ比べれば、お前なんか予選落ちじゃないか――。これくらいの折檻じゃあ、生ぬるいくらいさ――」
宝玄仙はそう言って、さらに鎖を上方にぐいぐいとあげている。
こういうときの宝玄仙には本当に容赦がないことを沙那も知っている。
多少、身体を傷つけても、あっという間に治してしまえる道術があるから、本当に滅茶苦茶に他人の身体を扱うのだ。
朱姫の無毛の股間には、肉芽の根元を締めあげる金具に引っ張られ、強引に屹立された朱姫の芯が無残な姿になっていた。
苦しさに喘ぐ朱姫はすっかりと悶え泣いている。
しかし、両手を後手に拘束されている朱姫には、限界まで爪先立ちになってしまうと、それ以上痛みを和らげる方法などあるわけもなく、ただ、宝玄仙の乱暴な仕打ちに耐えることしかできないだろう。
また、朱姫の後ろでは素蛾が蒼い顔をしておろおろしている。
察するところ、昨日の夕方から朱姫はずっとこの調子で宝玄仙の虐待をひとりで受け続けていたに違いない。
いつも調子の乗って沙那を苛める小娘だが、ちょっと哀れになってきた。
「でも、ご主人様……。おそらく、朱姫が予選落ちしたのは仕方がないことかもしれませんよ。昨夜、女奴隷たちが集まる宿舎で耳にしたんですが、太守の性奴隷の五人も予選落ちしましたが、彼女たちは道術遣いだったのですよ。大きな道術は遣えないけど道術遣いなんです」
「それがどうかしたのかい、沙那? 確かに、あの五人は道術遣いだそうだね。それはわたしも聞いたよ」
宝玄仙が朱姫の肉芽に繋がった鎖を緩めて言った。
とりあえず、宝玄仙の無残な仕打ちから解放された朱姫は、ほっとした表情になった。
「わたしの勘ですけど、道術遣いは最初から予選落ちすると決まっていたと思いますよ。競技そのものが道術に依存したものが多いですからね。朱姫などを本戦に参加させたら、引っ掻き回されてしまいますよ。競技を成立させるために、最初から本戦には道術遣いを参加させるつもりはなかったんですよ」
本戦に進むことの条件のひとつが、道術が遣えないことではないかと思ったのは、たまたま、ほかの女奴隷から、上官太守の女奴隷はほとんどが道術遣いだということを耳にしたときだ。
太守の性奴隷には道術遣いが多いということは、この周辺では有名な話だったようだ。
なにしろ、道術遣いが奴隷になるなど滅多にないことなのだ。
そして、上官太守の性奴隷の五人は、あの予選会の会場場所で目立って美しかった。
だが、彼女たちは予選で落ちた。
沙那は、あの美しい性奴隷だった五人が予選落ちしたことが不思議で堪らなかったが、実際に始まった本戦の競技を考えると、なんとなく納得がいったのだ。
競技では霊具を駆使して、性奴隷の競技者を追い詰めて競争をさせていたが、もしも、道術が遣える者がいたら、道術で抵抗して競技を成立させなくするだろう。
現に、朱姫は予選会のときでも『誓いのサークレット』の効果を無効にする道術を遣っていた。
そう考えると辻褄がある。
朱姫があっさりと予選落ちしたことについてもだ。
性器のかたちで審査などというふざけた理由ではなく、おそらく、道術遣いを落としたのだ。
それを除けば、本戦出場者は、単純に容姿で選んだのだと思う。
残った二十人は確かにそれなりの美女や美少女だった。
そして、沙那の観察する限り、全員が道術遣いではない。
また、予選には数名の亜人もいたが、彼女たちも本戦には進んでいない。
亜人は例外なく霊気を帯びており、ほとんどが道術を遣えるからだろう。
ほかにも選考基準はあったのかもしれないが、少なくとも道術遣いでないことが、本戦の出場資格だったに違いない。
そういう意味では、孫空女も全身に霊気を帯びた存在であり一種の道術遣いなのだが、孫空女の霊気の帯び方は特殊なので問題視はされなかったのだと思う。
沙那はそう宝玄仙に説明した。
あるいは、まったく的外れなことを説明したのかもしれないが、それはどうでもいい。
要は宝玄仙がなんらかの納得をすればいいのだ。
「なるほどねえ……。そういえば、太守も似たようなことを言っていたかねえ。自分のところの性奴隷は、当初から予選を突破する望みはなかったとかいうようなことをね……。わかったよ――。じゃあ、朱姫、とりあえず、折檻は勘弁してやる」
宝玄仙は手に持っていた鎖を地面に放り投げた。
同時に朱姫の股間に密着していた金具も地面に落ちた。
また、朱姫が後手にかけられていた手錠も外れた。
朱姫は心の底からほっとした表情になった。
「あ、ありがとうございます、沙那姉さん……。あ、あたし、ずっと夕べから、お仕置き受け続けていたんですよ……。助かりました……」
朱姫がぐったりした表情で言った。
「ひとつ、貸しよ」
沙那は苦笑した。
「まあいいさ……。とにかく、お前たちも、しばらくは休憩だろう。ちょっとばかり、この奴隷品評会の会場を回ろうじゃないか。わたしも少しは見たんだけどね。ここでは広い庭園のあちこちで、いろいろな催しをやっているのさ。お前たちの品評会は、その中心の催し物なんだけど、端々でやっている出し物も結構愉しいよ。おいで――」
宝玄仙が歩き出した。
「は、はい……。待ってください――」
沙那は急いで立ち上がると、宝玄仙を慌てて追いかけた。
この女主人はひとりで行動させると、どんな災難を呼び起こしてくれるのかわからない。
しかし、沙那はそのとき、思わず手で股間を無意識に隠すように動かしたらしい。
次の瞬間、まるで股間に淫具で振動を当てられたような衝撃が走った。
「ふくううっ」
沙那は素裸の素足をがくりと折り曲げていた。
さすがに、宝玄仙と朱姫が奇異の目で見た。
「なんだい?」
宝玄仙はきょとんとしている。
沙那は仕方なく事情を説明した。
宝玄仙は大笑いした。
「なるほど、それでお前たちは、素っ裸で歩きながら、手で裸体を隠すこともできないというわけかい」
宝玄仙は意地悪く笑い続ける。
「へえ……。でも、手で隠すことができなくても、布で覆うのはどうなんですか?」
朱姫がそういいながら、もう誰もいなくなった卓に掛けられていた大きな布を道術でさっと取り寄せた。
そして、沙那の身体にがばりと巻きつけると、両側に伸ばしていた腕ごと布の両端で沙那の身体を素早く縛ってしまった。
「ひいいいっ」
沙那は悲鳴をあげた。
乳房と股間を中心に、すっぽりと布で覆われた肉体の部分から急激に淫らな刺激が湧き起きたのだ。
「いやあ、だ、だめえっ――」
全身を硬直させながら、沙那は両膝を完全に折って内股を擦り合わせるようにしゃがみ込んでいた。
あまりもの峻烈で甘美な衝撃に沙那は吠えるような声をあげた。
その声で周囲の通行人が驚いてこっちに視線を向けるのがわかったが、我慢できるような刺激ではない。
慌てて布を取り去ろうと思ったが、朱姫が早業で布を腕ごと上から縛ってしまったので簡単に取れないのだ。
沙那はのたうちまわりそうになった。
「と、取って――。布を取って――ひぐうううっ」
沙那は身体の内面から発生する淫靡な刺激と戦いながら懸命に布を取り去った。
やっとのこと布を身体から払い去り、振動のような衝撃が停止したときには、すっかりと内腿が濡れて、それが膝まで垂れているのを自覚しないわけにはいかなかった。
「しゅ、朱姫――」
沙那は布を朱姫に投げつけて怒鳴った。
「身体を隠すんじゃなくて、一生懸命に裸になろうとするなんて、沙那姉さんの姿、面白かったですよ――」
朱姫は悪びれた表情もなく、布を受け止めると、けらけらと笑った。
ついさっきまで宝玄仙のお仕置きで悲惨な表情をしていたくせに、朱姫はもう大喜びで笑っている。
それにたったいま沙那に助け舟を出してもらったのは、もう覚えていないのか、自分の悪戯が沙那に功を及ぼしたことに満足な表情もしていた。
やっぱり、こんな小娘、もうしばらく宝玄仙の罰を受けさせておけばよかった……。
沙那は歯噛みした。
「さ、沙那、大丈夫かい……?」
孫空女が心配そうにしゃがんだままの沙那を助け起こした。
「沙那様、素敵です……。わたくし、早く沙那様みたいな、色っぽい大人になりたいです」
なにが感動させたのかわからないが、素蛾がきらきらとした視線を沙那に向けた。
「でも、この道術ならあたしにもできそうですよ。こんど悪戯して、旅で街道を歩くときに、沙那姉さんや孫姉さんにかけちゃおうかなあ……。そうしたら、沙那姉さんや孫姉さんは、道の真ん中で服を脱いじゃいうかもしれませんね」
朱姫があっけらかんと言った。
沙那はびっくりした。
「あ、あんた、そんなことしたら承知しないわよ――。だいだい、わたしの身体からは霊気がなくなったんだから、道術はかけられないでしょう――。せいぜい『縛心術』くらいで――」
沙那は言った。
「かけられますよ――。沙那姉さんの身体には、ご主人様の『道術陣』があるじゃないですか。その霊気の正確な波動をこの前、教えてもらったんです。だから、いまでは、あたしは、沙那姉さんや孫姉さんの身体をご主人様みたいにいじれますよ」
朱姫がそういったので、沙那は本当に驚いてしまった。
「あ、あたしの身体にも朱姫が道術をかけられるって? な、なんで、そんなの教えたのさ、ご主人様――?」
孫空女は宝玄仙に文句を言っている。
「訊かれ方から教えただけだよ。文句があるのかい、孫空女――。それよりも、行くよ――」
宝玄仙がにこにこしながら歩き出した。
沙那は仕方なく、今度は身体を隠さないように注意しながら、なるべく宝玄仙の陰に隠れるように歩いた。
その後ろをやはり、素っ裸の孫空女と素蛾が、身体を隠すこともできずについてくる。
朱姫は服を着ているといっても、ずたずたの布を身にまとっているだけであり、やはり裸のようなものだ。
そんな破廉恥な恰好で歩いているのだが、大勢の観客で賑わうこの上官太守の庭園では、そんな姿がほとんど目立たない。
なにしろ、羞恥の姿でうろついている奴隷がたくさんいるし、屋台で売り子のようなことをしている女奴隷は、ほとんど半裸か全裸だ。
ちらほらと品評会の参加奴隷も全裸で歩いているし、昨夜の予選で落ちた性奴隷たちも、それぞれの主人の趣向を凝らした淫靡な衣装を身に着けている。
おかげで、ただ裸でいるだけであれば、誰も沙那たちをじろじろと眺める者もいないことには助かった。
「宝玄仙様――」
そのとき、どこからか大きな声がかかった。
声の方向にいたのは上官太守から宝玄仙の世話をするようにあてがわれていた女奴隷の
相変わらず羞恥の格好をしており、臍から上は清楚な女執事の服装なのに、股間には襟から垂らした長いリボンで股間が隠れるだけの格好だ。
駆けてくる身体の揺れで、リボンからはみ出た恥毛がちらちらと見え隠れしている。
そして、紫音は、もうひとりの奴隷女と一緒だった。
その女奴隷も紫音と同じ首輪をしている。
そして、その女奴隷の格好も奇妙だ。
その奴隷女は、肩から手首までと内腿と足首までを橙色の布で覆っていたが、胴体の部分にはなにも身につけておらず、乳房も股間も剥き出しだったのだ。その代わりに腹に人参の絵が描かれている。
「宝玄仙様が興味を抱かれた“人参娘”を連れて参りましたよ……。でも、やっと捕まえて連れてきたら、さっきの場所から、いつの間にかいなくなっておられて……。随分と探したんですよ」
紫音が恨めしそうに言った。
「ああ、そうだったねえ……。悪かったよ。うろうろしようと思ってね――。ところで、こいつが“人参娘”かい」
宝玄仙が陽気に言った。
「はい、あたしが人参娘です――。ちょっと塩辛い人参汁は、いかがですか?」
人参娘だと名乗った女が、いきなり、足を開いてがに股になった。