しばらく、庭園を歩いた。
まともに服を着ているのは宝玄仙だけで、その横を裸身の下半身に一本のリボンを垂らしているだけの
その中でも、宝玄仙に道術をかけられた朱姫は苦しそうだ。
鈴が鳴る度に、尻から拡がる欲情に全身を震わせて立ち竦んでいる。
屋台では、「ちんこ焼き」というものと、「まんこ焼き」という食べ物をもらった。
沙那たち品評会の選手は腹に浮かんだ文字によってただだし、宝玄仙たちも上官太守の招待客という扱いで無料だった。
「ちんこ焼き」と「まんこ焼き」いう下品な名称の食べ物は、宝玄仙が面白がって、全員が一個ずつ食べることになったものだ。
「ちんこ焼き」というのは牛肉を男性器そっくりに加工したものを炙り焼きした串焼きだ。
「まんこ焼き」は焼きあわびだ。
とにかく、形状が不気味なくらいに本物そっくりに作ってあった。
味は悪くはなかったものの、「ちんこ焼き」を人混みの中で、許可が出るまで、舌だけで舐めさせられたのは、恥ずかしくて堪らなかった。
手は出さなかったが、各種の食べ物の女体盛りもあったし、男体盛りもあった。
逞しい美男子の性奴隷の勃起した男根を道具代わりにして、麺を啜る屋台にはたくさんの中年の女たちが列を作っていた。
大道芸も充実していて、あちらこちらで各芸人たちが芸を披露していた。
一番人気があったのは、第一競技のときに、裸躍りと放尿芸を見せた子供たちの見世物だった。
あのときに激しい躍りを見せた子供たちが、今度は全身にぬるぬるの潤滑油を塗りたくって、まるで百合の性行為そのもののように艶かしく身体を音楽に合わせて擦り合わせるというものをやっていた。
これには見物人は大喜びであり、しかも、興奮した主人たちが、連れてきた女奴隷を犯しながら見世物に夢中になっていた。
とにかく、ちょっと形容のできない退廃的な情景がそこに広がっていた。
ほかにも、尻や女陰で卵を出し入れしたり、長細い果物を切断するという芸をしているのもあった。
それを見ていたとき、下手だと舌打ちした宝玄仙が、沙那たちを参加させようとした。なんとか断念させたのだが、それも大変だった。
参加型の催しもあり、あちこちで公然と老若男女の性行為が行われもしていた。
宝玄仙はどこでなにをしてもずっと上機嫌だった。
この国に住み着いてもいいと、何度も笑いながら嬉しそうに繰り返していたが、それが満更冗談でもないことを沙那は気がついていた。
宝玄仙にかつて少しだけ、実母と暮らした年少期のことを教えてもらったことがある。
その話の限りにおいて、この国のやこの祭典の雰囲気は、宝玄仙の幼少時代の生活の雰囲気に似ているはずだ。
宝玄仙が意識しているのか、していないのかはわからないが、おそらく、宝玄仙はいま、まるで子供時代に戻ったような錯覚に陥っているのかもしれない。
そのときだった。
小さな喧噪が起きた気配があり、視線を向けると、そこには小さめの馬車が祭典の係員のような男たちに阻まれて、とめられている状況だった。
しばらく観察していると、どうやら強引に馬車で式典内に乗り入れようとして、ここでとめられたみたいだ。
馬車の中にいるらしい女の金切り声と、馬車の外の係員の淡々とした受け答えが繰り返されている。
「あれは、なんだい?」
宝玄仙が同行している紫音に訊ねた。
すると、紫音が困ったような表情で口を開く。
「
紫音が説明した。
そう言われてみれば、馬車そのもののは、二人乗り程の小さなものだが、馬車の誂えも装飾もかなりの財がかかっているというのはわかる。
ある程度の資産家であり、それなりの身分の者なのだろうと推測できた。
「なんだい、虞美というのは? 偉いのかい?」
宝玄仙が言った。
「太守様の伯母様です。それに道術については第一人者で、実力は国内随一ともいわれています。だから、誰にも夫人の我儘をとめられないでいて……」
紫音が困ったように言った。
すると、やっと観念したのか、馬車の扉が開いて、中から人が出てくる気配があった。
見ていると、最初に飛び出したのは、ひとりの若い男だ。
しかし、首に首輪をしているほかは、ほぼ全裸であり、股間の男根の根元に真っ赤色のリボンを蝶結びでつけている。
顔は大変な美男子なのだが、この国の奴隷の
男奴隷は躊躇なく、馬車の下にうずくまる。
すると、男奴隷の背中を台にして足を載せ、ひとりの貴族女が出てきた。
年齢は四十過ぎだろうが、かなりの美貌である。
だが、はいている下袍の丈が怖ろしく短い。ほとんど、股間の付け根くらいしかなく、男奴隷の奴隷を踏んでおりてくるときには、ちょうどこっちが正面なのもあり、はっきりと股間の中が見えてしまった。
どうやら、下着のようなものは身に着けてないみたいだ。
沙那の視線には、女の股間の陰毛まで見えてしまった。
「随分と女主人も、色っぽいじゃないかい。まるで、あれ自身が奴隷女みたいに破廉恥な格好さ」
宝玄仙が大笑いした。
「聞こえますよ」
沙那は慌ててたしなめたが、そのときには、当人の虞美夫人という女性がこっちを睨んでつかつかと歩いてきていた。
沙那は嘆息した。
なんとなく、騒動の気配を感じてしまったからだ。
「あたしのことを女奴隷だと言ったのが聞こえたんだけどね、あんたは?」
虞美夫人がやって来て、宝玄仙の前に立って言った。
両手を左右の脇腹に置き、脚を肩幅に開いて、鋭い顔で宝玄仙を睨んでいる。気の強さが服を着ているような女だと思った。
完全に腹を立てている雰囲気に、仕方なく沙那は宝玄仙を守れるように、右斜め前に一歩に出る。
反対側では、孫空女が同じような位置に進み出た。
「ああ、気に障ったら悪かったね。宝玄仙さ。ここの上官に招待された客でね。旅の女さ」
「旅の女? ふん、上官も、上級貴族としての心得がまだまだ不足さ。こんな下品な女を客人として連れ込むなんてねえ」
「下品? わたしに言ったのかい? 肌だけじゃなくて、目も耄碌し始めているのかい? ちゃんと手を抜かないで化粧しないと、皺が隠れてないじゃないかい。これからは、そんな化粧もしないような顔で人前に出んじゃないよ。年寄りは年寄りらしく、屋敷にでも引っ込んでな」
「なんだって──」
虞美夫人が怒りに血が昇ったみたいな顔になるとともに、彼女の左手が青白く光るのがわかった。
霊気の暴発の傾向だ。
沙那ははっとした。
霊気を感じることのできない沙那でさえわかるくらいに霊気が身体からあふれ出ているのだ。
「孫女──」
沙那は小さく言った。
孫空女が頷いて、宝玄仙を守るように完全に前に出た。
「どいてな、孫空女。こんなちんけな道術遣いの暴発にどうかなるような宝玄仙様じゃないさ。とにかく、もうどっかに行きな。見ての通り、忙しいんだ」
宝玄仙が大笑いした。
沙那はすかさず、宝玄仙を引っ張った。
「そうですね。もう行きましょう、ご主人様。もっと面白い催しがあるかもしれません。さあ……」
無理矢理に宝玄仙を虞美夫人から引き離す。
宝玄仙が笑って、その場を離れて歩き出す。
沙那はほっとした。
おろおろと見守っていた紫音も明らかにほっとした様子になっている。
「ご主人様──」
そのときだった。
孫空女の叫び声がして、振り返ると、大きな火の玉が迫ってきていた。
沙那は驚愕した。
周囲に絶叫がとどろく。
「ふっ」
しかし、宝玄仙がさっと沙那たちを庇うように、振り返って両手を拡げた。
火の玉が突如として宙に静止する。
そして、さっきの虞美夫人の周りで氷の槍が一斉に地面から発生した。そのまま、檻のように彼女に向かって尖った先端を伸ばす。
「ひいっ」
氷の槍に全身を貫かせそうになった虞美夫人が恐怖を顔に浮かべて悲鳴をあげる。
しかし、氷の槍は彼女を貫くことなく、ぎりぎりでとまった。
虞美夫人が顔を真っ蒼にして、全身を硬直させている。
「ちんけな道術でわたしをどうにかできると思ったかい──。能力の違いもわからないなら、二度と道術遣いなんか名乗るんじゃないよ」
宝玄仙が火の玉を消滅させるとともに、虞美夫人に向かって、手を伸ばした。
大きな突風のようなものが彼女を貫き、一瞬後、彼女の身体から気の塊のようなものがなくなっていることに気がついた。
「朱姫?」
沙那は朱姫に訊ねた。
「あの女の人から霊気が消滅しました。ご主人様が霊気を消滅させて、さらに、道術を封印したのだと思います」
朱姫が言った。
沙那は頷いた。
すると、騒ぎを聞きつけたのか、衛兵のような集団が駆けてきた。二十人ほどであり、武具を身につけて剣を持っている。また、その中に上官もいた。
「これは、どういうことです? おや、伯母上殿──。伯母上は先日のことで、謹慎を申し渡していたはずですよ。なぜ、ここにいるのです?」
上官が氷の檻に閉じ込められている虞美夫人を見て、険しい表情になった。
よくわからないが、同じような騒ぎを前にも起こしたのだろう。それで、もしかしたら、太守であり、甥の上官を怒らせて、出入り禁止でも喰らっていたのかもしれない。
「し、知らないよ──。このわたしを謹慎処分なんて、そんなことを許されるものかい──。そ、それよりも、この失礼な女を捕縛するんだよ。牢にお入れ。このわたしが直々に拷問してやる──」
虞美夫人が真っ赤な顔で怒鳴った。
しかし、紫音が上官に近づいて、事態の説明をする。
話を聞き終わった上官は、大きく嘆息して、宝玄仙に向かって頭をさげた。
「身内が失礼をいたしました。伯母については、こちらで責任をもって罰を与えます。申し訳ありませんでした」
上官が言った。
「ば、罰だって──。お前ごときがなにを……」
すると、虞美夫人が真っ赤になって、道術を発生させるような仕草になった。
だが、すぐに怪訝な表情になる。
「ふん、道術が遣えなくなったかい。すでに、お前の道術はわたしが封印したよ。お前は、わたしが封印を解除しない限り、もう道術は遣えない。そして、わたしは封印を解除するつもりはない。わかったかい──」
宝玄仙が怒鳴った。
すると、やっと、道術を封印されてしまったことを理解したのか、虞美夫人が「ひっ」と顔をひきつらせた。
「伯母上の術を封印? いまの一瞬で?」
上官がびっくりしている。
「さあて、それで、上官、どう落とし前をつけるんだい? こいつはわたしを殺そうとしたんだ。だったら、殺しても構わないかい?」
宝玄仙がちょっと意地悪げに頬を歪ませた。
次の瞬間、虞美夫人が閉じ込められている地面の真下から氷の槍が飛び出す。
「きゃあああ」
虞美夫人の脚のあいだから飛び出した氷の槍は、彼女の短い下袍の裾を下から貫き、そのまま顎に向かって伸びて、またもやぎりぎりで静止した。
「ひいっ、ひいっ、ひいっ、ゆ、許して……」
虞美夫人が泣き声をあげた。
「こ、殺すのは……。それは勘弁を……」
上官が困ったように言った。
沙那はあいだに入った。
「もう、いいじゃないですか……。殺すなんて、物騒ですよ」
とりあえず言った。
宝玄仙が鼻を鳴らす。
「まあ、それもそうか。だったら、この場で謝りな。それで許してやるよ。上官、こいつに、わたしに謝らせな。そうすれば、命は取らないでいるよ。別にほかに詫びも不要だ。その代わり、わたしが満足するまで、ちゃんと謝らせるからね」
「それくらいなら……。伯母上、よいですね」
上官が氷に檻の中の虞美夫人に視線を向ける。
すでに、牙を抜かれたみたいになっている虞美夫人が真っ蒼な顔色のまま、数度頷いた。
すると、虞美夫人の周りから氷が一斉に消滅した。
虞美夫人がへなへなとその場に崩れ落ちて、両膝を地面につけた。
「おう、わかってんじゃないかい。そうだよ。ちゃんとした謝罪というのは、昔から土下座と決まってるんだ。わきまえているのは、まあ評価だね」
「ふえ? 土下座?」
虞美夫人はきょとんとしている。
すると、宝玄仙がすっと右腕を伸ばした。
宝玄仙の右手に、電撃の鞭のような長い光線状のものが出現して、それがばちばちと音を立てる。どうやら、道術で霊気を固まらせて鞭状に固形化したようだ。
相変わらず、道術にかけては桁外れの能力を発揮する人だと思った。
宝玄仙が手を虞美夫人に向かって、ひと振りすると、破れた下袍の裾から出ている虞美夫人の太腿を容赦なく打った。
「あうううっ」
腰を捩って、後ろにひっくり返りそうになった虞美夫人が尻もちをつく。
「さっさとしな、出来損ない──。土下座で謝罪だよ。逃げようとしたら、この電撃帯を巻きつかせてほったらかしにするよ」
さらに、二発、三発と、電撃の鞭を虞美夫人に打ちつける。
彼女の腿の肉が震えるほどの連打だ。
「ご主人様──」
さすがに、沙那は慌てたが、今度は上官が沙那をとめた。
「このくらいで済めば問題ありません。存分に扱いください。太守として認めます」
上官が言った。
それが聞こえたのか、虞美夫人が「ひいっ」と声をあげた。
「ほら、聞いた通りだ──。このわたしを火炎で殺そうとした落とし前をただの謝罪だけで許そうとしてるんだ。さっさと謝らないかい──」
宝玄仙が笑いながら、電撃の鞭を次々に虞美夫人に浴びせている。
それで気がついたが、いつの間にか、大きな人の集団ができている。ただ、こういうのも、この祭典の催しのひとつなのかと思っているのか、騒ぐ様子はない。
ただ、哀れに鞭打たれては悲鳴をあげている虞美夫人をからかうような野次を飛ばしたりしている。
中には、「虞美夫人」だと驚いている声をも聞こえたりしているが、それは少数派だ。
集まっている多くが庶民層なので、太守でもない貴族夫人の顔までは、あまり知らないのだろう。
「も、もう、や、やめてええ──。申し訳ありませんでした──」
ついに虞美夫人が両膝と両手を地面につけて謝罪の言葉を発した。
「どこで謝ってんだい──。土下座の場所は、わたしの足元だよ。
宝玄仙が笑いながら、電撃鞭ではなく、電撃の玉を飛ばした。
「ひぎゃああああ」
獣のような声を出して、虞美夫人がひっくり返る。
だが、今度は再び電撃鞭の嵐だ。
沙那は嘆息した。
すでに、宝玄仙が完全に遊んでいるのがわかったからだ。こうなったら、ある程度のことをやらせないと、宝玄仙はとまらない。
ふと見ると、朱姫や素蛾はもちろん、孫空女も静観の態勢だ。沙那もそれに倣うことにした。
「ひっ、ひっ、ひっ」
虞美夫人がすっかりと恐怖に顔を引きつらせて、やっとのこと宝玄仙の足元に辿りつく。
「遅すぎるんだよ、お前──」
宝玄仙が虞美夫人の髪を掴んで顔をあげさせて、火のような平手を頬に放った。
「んびいっ」
おかしな声をあげて虞美夫人が横倒しに倒れる。
「謝る前に勝手に寝るんじゃないよ」
すると、宝玄仙が虞美夫人に電撃を浴びせる。
どうやら、謝らせることよりも、気の強かった虞美夫人を完全に屈服させる遊びに愉しくなった気配だ。
一方で、あまりもの暴力の連打に、虞美夫人もすっかりと衝撃を受けており、いまや、最初の気迫は皆無になっている。
ただただ怯える女がそこにいるだけだ。
「申し訳ありませんでした……」
虞美夫人が再び土下座をする。
だが、その後頭部を宝玄仙が上から足で踏みつけた。
「んぐっ」
踏む力が強かったのか、虞美夫人が地面に顔をつけたまま、おかしな声を出す。
「謝るときには、頭は相手の足よりも下だよ。そのくらいのこと知らないのかい、能無し──」
宝玄仙は愉しそうに笑っている。
わが主人ながらも、どこまでも調子に乗るのは悪い癖だ。だが、こういう残酷そうな光景も、周囲の野次馬は喜んでいる。
宝玄仙が暴発して、虞美夫人が泣き声をあげるたびに拍手喝采だ。それもあり、宝玄仙はだんだんと調子に乗っている感じもある。
「もう一度、ちゃんと謝りな」
「は、はいっ、申しわけ」
やっと宝玄仙の足がどけられて、虞美夫人が頭を地面に擦りつけるように言った。
その肩を宝玄仙が蹴り飛ばした。
「横着すんじゃないよ──。立った状態からやり直しだよ」
「はいっ」
虞美夫人はすっかりと泣きべそをかいている。
よろよろと立ちあがる。
何度も強力な電撃を帯びて、髪も乱れ、服もぼろぼろだ。
真っ直ぐに立ちあがったところで、再び宝玄仙の平手が虞美夫人の頬に炸裂する。
「遅いんだよ。ほら、やり直しだよ」
股を拡げてひっくり返った虞美夫人に容赦なく、宝玄仙が虞美夫人に電撃を浴びせた。
虞美夫人が大きな声で泣きじゃくりだした。
なぜか、周囲が大喚声をあげる。
結局、宝玄仙が虞美夫人を許したのは、三度目の土下座のときだった。
後頭部を力一杯に踏みつけながら、宝玄仙が高笑いする。
「これに懲りたら、乱暴するときは、人を見てやりな。ほら、お前を踏んで靴が汚れたよ。舐めてきれいにしな」
宝玄仙が当然という感じで命じる。
さすがに怒るのではないかと思ったが、すでに精魂つきているのだろう。虞美夫人は特に、抵抗する素振りをすることなく、突き出された宝玄仙の靴を両手捧げ持つようにして、底に舌を這わせ始める。
沙那は、そろそろ止め時だと判断して、宝玄仙に声をかける。
今度は、宝玄仙は満足したように歩き出した。
一方で、虞美夫人については、上官の指示で衛兵に連れていかれた。
集まった野次馬が宝玄仙に拍手をする。
宝玄仙が満足したように、彼らに片手を振った。
*
性の祭典を愉しんで、どのくらいの時間が経った頃だろうか……。
突然に上空に花火があがった。
そして、突然に空に白い煙が立ち込めて空を覆う。
次の瞬間、沙那はぎょっとした。
その白い空が十八分割され、そこに沙那たち十八人の女たちの映像が映し出されたのだ。
もちろん、沙那のほかに、孫空女もいれば、素蛾もいる。
全員が品評会に出場している選手たちだ。
空の映像の女たちは、会場のそれぞれの場所で当惑した表情をしていた。
全員が一糸まとわぬ素っ裸だ。
実際には一枚の下着を着ているのだが、まったくの透明なので、裸にしか見えないのだ。
すると、十八分割の映像のそれぞれの裸身が女奴隷の顔になり、それが小さくなって、今度は股間が大写しになった。
沙那は、自分の股間が写し出されたとき、はっきりと朱姫との淫情の名残りが無毛の股間にあるのがわかった。
さっき達してから、拭うこともできなくて、淫液の滴りがまだ乾ききらずに、そのままになっている。
十八人の女の中でそんなはしたない股は、沙那の顔が横にある股ぐらだけだ。
「ひっ」
思わず股間を隠そうとして、それはできないことを沙那は思い出した。
せめて、ぎゅっと股間を閉めたが、すると空にある沙那の股もぎゅっと閉じた。
「さあ、では第二競技の時間がやって参りました。第二競技では、各奴隷に全部で五個の関門に挑戦してもらいます。最後の関門を除き、どの関門から始めても構いません。それぞれの関門には、ひとつずつの課題があり、その課題を満たせば、次の関門の課題に進めます。五個の関門の課題を早く終わらせた奴隷から得点が与えられます。今回は単純に速さの戦いです。ただし、競技は性感帯が発達していると不利になるものもありますので、それは芸術点などの得点で是正されます」
空に司会の声が響き渡った。
道術の力で会場全体に声を流しているようだ。
「あふうっ」
そのとき、突然に沙那の股間が小さく振動し始めた。
「はあっ、お尻が──」
「あ、ああん──」
一方で沙那と向かい合わせに立っていた孫空女と素蛾は、お尻に刺激を感じたようだ。
三人で前のめりになるかたちになって甘い声を出し合った。
「終わっていない関門のうち、もっとも近い関門の位置は、奴隷には股間の疼きで伝えられます。関門は近くまで行けば、すぐにわかります」
どうやら、前の股間に振動が伝われば前側、肛門なら後ろ側に関門があるということなのだろう。
いまは三人に一番近い関門は、沙那が向いている方向にあるということだ。
沙那は股間の刺激に耐えながら思った。
ふと、思い出して空を見る。
大写しになった沙那の股間からは、隠しようのない淫液がはっきりと見えている。
沙那は恥ずかしさで消え入りたくなった。
「そして、もうひとつ大切なことがあります。関門で受けた課題をこなす以外に奴隷は絶対に達してはなりません。なにがなんでも、耐えてもらいます。間違って達しようものなら……」
不意に声が意味ありげな口調のものに代わり、空の映像が股間の大写しから、再び身体全体に変化したと思った。
「ひぎゃうあああ───」
「ぐあああっ」
「いぎいいい──」
すると、股間全体に恐ろしいほどの電撃が迸った。
沙那は絶叫してひっくり返った。孫空女と素蛾も同じように倒れた。
局部にとてつもない電撃が突然に走ったのだ。
いくら沙那でも我慢の限界は越えていた。
電撃はすぐに収まったが恐怖は残った。
全身に冷や汗がどっと出た。
見上げる空の十八人の女奴隷たちはすべてひっくり返って、顔に恐怖の色を浮かべている。
「また、達しなくても一定時間内に次の関門を見つけられないときも、電撃が走ります。その場合は、電撃の時間は三分となります。そして、それは断続的に繰り返されます。それぞれの課題が制限時間内にできない場合もそれぞれに罰があります」
冗談じゃないと思った。
あんな恐ろしい電撃を三分も股間に受け続けられるわけがない……。
「では、検討を祈る、性奴隷たち──。さあ、競え──」
声が終わると同時に、競技の開始を告げる花火がもう一度空に轟いた。
(第101話『奴隷品評会・一回戦』終わり、第102話『奴隷品評会・二回戦』に続く)