※この作品はR-18です。

嗜虐西遊記【完結】   作:ドン・ドナシアン

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 第103話 奴隷品評会・二回戦【上官太守Ⅲ】
687 関門一(第一障害)・触手径(みち)


「さ、先に行って……」

 

 沙那が膝をくねらせて立ち止まってしまった。

 

「沙那様──」

 

 素蛾が声をあげた。

 小走りに駆けていた孫空女は、走るのをやめて振り返った。

 

「だ、大丈夫……。ということないけど……。お、遅れていく……。いいから、行って……」

 

 沙那は荒い息をしながら言った。

 孫空女の股間でもぶるぶると振動が続いて、いやらしいほどに肉芽を苛んでいる。

 快感に特に弱い沙那にはつらいのだろう。

 

 第二競技の課題は、全部で五個の関門で示される課題をすべて終わらせることらしい。

 そして、その関門の位置は、股間にはいている透明の下着が示すようだ。

 すなわち、肉芽の部分が振動すれば前側、肛門が振動すれば後ろ側という感じだ。左右の判断は振動ではわからないので、それは眼で探すしかない。

 とにかく、その刺激を頼りに関門の位置を探ることになる。

 関門は、その近くまで行けばわかるということだ。

 

 しかし、股間の振動によって達してしまえば、恐ろしい電撃が直接女陰に叩き込まれる。

 だから、沙那は立ちどまって、息を整える時間を求めたのだろう。

 しかし、関門に向かうのにも制限時間があり、時間内に到達できなければ、その電撃は三分も続くらしい。

 競技の前に全競技参加者の性奴隷が電撃の洗礼を浴びせられたが、とてもじゃないが三分も耐えれるとは思わなかった。

 股間に浴びる電撃など、慣れることなどできない。

 あの恐怖を思い出すだけで、さすがの孫空女でも冷や汗が出てくる。

 

 だから、早く行きたい。

 奴隷たちには、一体どのくらいで関門に到達しなければ電撃がやってくるのか教えられていない。

 それはこの瞬間かもしれないのだ。

 

「い、行って……」

 

 もう一度、沙那が言った。

 沙那は数歩進んだが、全身を真っ赤にして、また立ち竦んだようになって身体を震わせた。

 いまは、完全にとまっている。

 可哀想だが、あれでは制限時間に間に合わないかもしれない。

 

「素蛾、行くよ」

 

 孫空女はそれだけ言って、歩みを再開した。

 

「は、はい」

 

 素蛾も続く。

 

 やがて、関門らしき場所についた。

 なにか文字らしき模様が書いてある看板があり、その横に男が木の椅子に座っていた。

 その向こうに人の背丈ほどの壁があり、壁の前には小さな白線の円が描かれている。

 また、その横には池のような丸い場所があり、そこに膝ほどの高さの触手の束が粘性の分泌液を発散しながらうごめいていた。

 

 孫空女はぎょっとした。

 また、そこに到着するとともに、いままで、ずっと動いていた股間の振動もとまった。

 それで、はっきりとここが関門であることがわかった。

 それまでは、前を向いても後ろを向いても、絶対に振動がとまらなかったのだ。

 

「一番は孫空女だな。次は素蛾だ。白線の円に入り、手首を背中で合わせろ。そうすれば台の上に行ける」

 

 看板の横の男が記録のようなものを眺めながら言った。

 それに選手の名が書いてあるのだろう。

 

「この関門では、この壁を登ったところに障害物のある路がある。障害は三個だ。それらを通過して、その向こうにある旗に触る。それだけだ。ただし、路の途中で達してしまうと、道術でそこに戻される。無論、電撃もある……。まあ、頑張るんだな。ここは順番に進んでもらう。素蛾は俺が合図をしたら進んでいい」

 

 関門の男が言った“そこ”というのは、横の触手の池のようだ。

 孫空女は鼻白んだ。

 

 あんなところに戻されたら堪らない。

 下手したら、触手に捕らわれて出てこれなくなるかもしれない……。

 まあいい……。

 つまりは、達しなければいいのだ。

 

「わかりました」

 

 素蛾がうなずいている。

 

「じゃあ、先に行くね、素蛾」

 

 孫空女は壁の前の白い円に入って、手を後ろに回した。

 

「うわっ」

 

 ぬるりという気味の悪い感触と圧迫感が手首を襲った。

 思わず振り返ると、地面から触手が伸びて、孫空女の両手首を縄のように縛っている。

 触手は地面から切断されて、そのまま孫空女の拘束具となった。

 

 そして、腹が捻れる感触があった。

 わっという歓声があった。

 気がつくと、孫空女は壁の上にいた。

 

 壁の上は台になっていて、三間(約三十メートル)ほど先に同じような台があり、そこまで肩幅の倍ほどの二本の板が置いてある。

 観客席は台の下側にあり、そこからたくさんの観客が見上げているのだ。

 つまり、観客の座っている席は板のあるところよりも外側にあり、座っている観客の視線は股の下だ。

 なんといういやらしい作りだと思った。

 

 また、反対側の壁の向こう側は白い煙が立ち込めていて、先は見えなくなっている。

 旗は三個の障害の向こうと言っていたので、煙のずっと先にあるのだろう。

 孫空女はふと沙那はどうなったのだろうと考えて、上空を見上げた。

 

「あれっ?」

 

 思わず声をあげた。

 競技が開始する前は、十八人全員の姿が分割で映っていたのに、いま、孫空女に見えるのは、下から覗かれる自分の姿だけだった。

 ほかは、ぼんやりとして白い煙にしか見えない。

 

 まあいい……。

 孫空女は板を渡って向こう側の台に進もうとして、一方の台を選んで進もうとした。

 

「わっ」

 

 思わず声をあげた。

 孫空女が両足を板に踏み入れようとした途端、その板が消滅したのだ。孫空女は危うく落ちるところだった。

 しかし、孫空女が足を引っ込めると、消滅した板が出現した。

 

 首を傾げながらゆっくりと同じように足を出す。

 やはり、板が消滅する。

 慌てて、反対側の板に向かった。

 結果は同じだった。

 

「そういうことかい……」

 

 孫空女はなんとなく、この板のからくりがわかってきた。

 今度は、孫空女は二本の板のある両方に脚を乗せて一歩ずつ進むことにした。

 

 板は消えなかった。

 だが、下にいる観客たちにまともに股ぐらを晒すことになる。

 観客たちの卑猥な視線と揶揄が突き刺さる気がした。

 かっと熱いものが孫空女の内面から込みあがる。

 

「くっ……」

 

 孫空女は唇を噛んで、自分自身のおかしな感覚を振りきろうとした。

 とにかく、両方の板に脚を乗せたまま数歩ほど進んだ。

 両手が背中で拘束されているので、うまく進まないと踏み外しそうだった。

 孫空女は、そろそろと注意深く進んだ。

 そのとき、ふたつの板の下からなにかが一斉に出てきたと思った。

 

「うわっ? な、なにさ──」

 

 孫空女は悲鳴をあげた。

 下から現れたのは、なんと触手だった。

 その数は十本はある。

 それが、両方の板に脚をかけているために脚を閉じられない孫空女の股に襲いかかってきた。

 巨大な蛇のような触手がぬるぬるの液体を表面から出しながら、内腿から股間めがけて進んでくる。

 

「う、うわっ、や、やだよう──」

 

 孫空女は触手を避けようと、思わず腰を捻った。

 触手といえば、ずっと以前、女人国というところで、如意仙女という女神に触手責めにされたことがある。

 そのときの恐ろしい記憶がいきなり走馬灯のように甦った。

 

「あっ」

 

 気がついたときには、もう遅かった。

 孫空女は片足を板から踏み外して下に落下していた。

 大歓声とともに、自分の身体が『移動術』で転送される感触がやって来た……。

 

 

 *

 

 

「ああっ」

 

 沙那は立ち竦んで、力一杯唇を噛んだ。

 肉芽に伝わり続ける振動に耐えられず、快感が限界を超えそうになって、愉悦の頂点を極めそうになったのだ。

 慌てて、身体を反転させる。

 すると、股間を苛んでいた振動が止まって、振動の場所が肛門に変化する。

 なんとか、絶頂は回避できて、ほっとするとともに、少しでも進もうと、後ろ足で進んでいく。

 しかし、今度は、お尻から伝わる振動で泣きたくなるような快感が拡がってしまう。

 

「うつ、ううっ、はあっ」

 

 歯を食い縛っても苦悶の声ははっきりと漏れる。すっかりと上気している顔をしかめて、沙那はまた、身体を反転させた。

 これで振動の場所が前に戻る。

 なんとか数歩を進み、また、耐えられなくなり、身体を反転させた。

 

 身体を回転させることで、肉芽と肛門に刺激を分散させてはいるものの、結局は常に刺激は受け続けているのだ。

 前後の性感に交互に刺激を受け続けているという事実には変わりなく、沙那の身体はどこまでも敏感になっていくかのようだった。

 沙那はもう関門に向かう途中で、進退窮まった状態になりかけていた。

 

 観客たちは全部で五個あるはずのそれぞれの関門に散らばっているのか、関門に向かう道筋ではまばらだったが、それでも途切れることはないくらいに見物人はいる。

 甘い痺れに身体が砕けそうになっている沙那の痴態を指さして、揶揄する者も後を絶たない。

 

 だが、このまま亀のような歩みで向かうわけにはいかないのだ。制限時間がどれだけなのかわからないが、それが過ぎてしまえば、あの恐ろしい電撃を股間に三分も受けることになる。

 

 すでに孫空女と素蛾は関門についただろうか……?

 沙那は空を見た。

 空には、競技に参加している十八人の映像が分割して浮びあがっているはずだ。

 

「あれ?」

 

 しかし、映っていたのは、沙那の姿だけだった。

 脂汗びっしょりになり、全身を真っ赤にして、小刻みに腰を震わせながら這うような速度で歩く沙那の姿は、我ながら情けなく、そして、淫靡だった。

 なんで自分はこんなに感じやすいのだろう。

 情けなさで涙が出そうになる。

 

 それにしても、なぜ、上空に映っているのが沙那だけになったのだろう。

 疑問に思って、沙那は観客たちの様子を観察した。

 だが、観客たちの中には、沙那に眼には映っていない空の部分を指さして、笑ったり、応援したりしている者もいる。

 その状況から、沙那は、どうやら本当は空には全選手の映像があるのだが、参加している選手自身には、自分の姿しか見えないように、道術がかけられているのだろうと予想した。

 

 考えてみれば、そうしておかなければ、空を覗いて、ほかの選手の状況を観察することで、これからどんな課題がさせられることになるかだとか、あるいは、それぞれの関門の位置が事前にわかってしまうことになる。

 そう考えていて、沙那は横に進んではどうかと思った。

 

 関門の方向に向かって、必ず前か後ろが振動するようになっている。

 それを探知機の代わりにして、近くにある関門を探すのだが、関門に対して真横になるように位置すれば、うまい具合に振動が止まるのではないか。

 少しでも止まってくれさえすれば、身体を少し落ち着けることもできる。

 沙那は注意深く、身体を回転させた……。

 

「ひゃああ──」

 

 いきなりだった。

 ずっと前側だった振動が後ろになったかと思うと、前後が同時に激しく反応して沙那に刺激を与えてきたのだ。

 どうやら、完全に前後中間の位置では、前後同時に最大限度で振動するようだ。

 そう思ったときは遅かった。

 沙那は一気に昂ぶった前後の刺激に身体の芯まで燃えあがらせてしまい、一気に絶頂に向かって快感を飛翔させた。

 

「ひぎゃあああ──」

 

 だが、それは突然の電撃によって中断された。

 股間から迸った電撃に沙那の視界は回転した。

 気がつくと、沙那は地面に大股を拡げてひっくり返っていた。

 

「いやあああっ」

 

 沙那は慌てて股を閉じた。

 そして、懸命に起きあがって駆け出す。

 電撃の激痛より、沸騰しかけていた快感がなんとか収まったのだ。

 

 そして、少し進んだところで、白い壁があり、その手前に“関門一”と書かれた看板と椅子に座っている男がいた。

 さっきの競技説明によれば、第一関門から第四関門までは、どの順番でもよく、競技参加の十八名は、一番近い関門に向かっているはずだ。

 第五関門だけは最後に行うものと決まっているらしい。

 

 ふと見ると、壁の前にはふたりいて、ひとりは素蛾だった。もうひとりはほかの競技者だ。

 孫空女の姿はない。

 素蛾が沙那に気がついて、壁の前から手を振った。

 

 その瞬間だった……。

 前側で動いていた振動がぴたりと停止した。

 だが、後ろの振動が始まるわけでもない。

 沙那は嫌な予感がした。

 

「いぎゃああああ──」

 

 沙那は絶叫していた。

 電撃が始まったのだ。

 沙那はひっくり返った。

 しかし、電撃は止まらない……。

 

 死ぬ──。

 沙那は地面にひっくり返ったまま金切声で悲鳴をあげ続けた。

 

 

 *

 

 

 孫空女が壁の上に転送されて少し経った頃だった……。

 素蛾はぎこちない歩みながらも、こっちにやってきている沙那を見つけた。

 

 思わず、手を振った。

 しかし、その沙那が急に倒れたのだ。

 そして、絶叫して、のたうちまわっている。

 

 素蛾は、沙那に許された関門到着までの制限時間が終わって、三分の懲罰電撃が始まったのだということを悟った。

 だが、さっき素蛾も味わったあの電撃を三分間も浴びるなどということは想像できない。

 尋常な苦しみではないだろう。

 現に、関門の手前で沙那はこの世の終わりのような悲鳴をあげて苦しみ続けている。

 

 素蛾は駆け出した。

 沙那を引っ張って連れてこようと思ったのだ。

 関門に制限時間までに到着できなければ、受けるという罰の電撃だ。

 だったら、関門に着いてしまえば、止まるはずだ。

 

「沙那様──」

 

 素蛾は地面にのたうっている沙那を掴んだ。

 全力をあげて起きあがらせる。

 悲鳴をあげて暴れる沙那を素蛾の肩を借して、関門受付の男の前まで連れてくる。

 すると、沙那の悲鳴がとまった。

 がっくりと脱力しているが、やっぱり関門受付にやってきたことで、電撃がとまったようだ。

 

 

「はあ、はあ、はあ、お、恩にきるわ、素蛾……」

 

 沙那が息も絶え絶えに言った。

 

「よし、沙那の受け付けを確認した。前の競技者と同じように、俺が指示をしたら円の中に入って、手首を背中で組め──。それと、素蛾、お前は列から離れたから、順番が入れ替わったぞ。沙那の前だ」

 

 受付の男が言った。

 

「わかりました……」

 

 素蛾は返事をした。

 早く進みたかったが仕方がない。

 沙那を放っておくわけにはいかなかったのだ。

 

 そのとき、孫空女の悲鳴が聞こえた。

 壁の横の触手の池に孫空女が転送されてきたのだ。

 触手の束の中で、孫空女がもがいている。

 孫空女は首から下のすべてに触手にまとわりつかれて悲鳴をあげていた。

 懸命に外に出ようとしているが、後ろ手に拘束されたままらしく、うまく脱出できないようだ。

 そして、凄まじい悲鳴をあげた。

 

 

 *

 

 

 板から足を踏み外し直後、孫空女は自分の身体が転送されるのを感じた。

 そして、気がつくと触手の林の真ん中にいた。

 

「ああ、あああっ──」

 

 無数の触手に一斉に裸身を絡みつかれた。

 肉芽、肛門、女陰、乳房、とにかく、あらゆる部分を同時に触手の表面が擦りまくる。

 孫空女は触手の海の中で踊り狂った。

 だが絡みつく触手をどかすことができない。

 両手はしっかりと拘束されたままなのだ。

 乳房が擦られ、背中に刺激を受け、股間に触手に群がられる。

 

「ひいいっ、た、助けて──」

 

 孫空女は悲鳴をあげた。

 全身同時の愛撫に孫空女の意識が飛びかける。

 逃げようにも、腰に力が入らない……。

 

「ふああああっ」

 

 触手のひとつが肛門にいきなり深く入ってきたのだ。

 しかも、肉芽に五、六本の触手が集まって挟まれるかたちで代わる代わるに擦りだす。

 

「あはああっ、いくううっ──」

 

 孫空女の頭は真っ白になった。

 背中が反り返る。

 達した……。

 そう思った瞬間、女陰に電撃が走った。

 

「ぐあああっ──」

 

 それで我に返ったが、触手から脱出できるわけではない。

 孫空女はもがき続けた。

 

 次の瞬間、なにかが孫空女の髪を掴んだ。

 ぐいと引っ張られる。

 

 そして、腕を掴まれた。

 

「孫様──」

 

「孫空女──」

 

 どすんという音とともに、孫空女はやっと触手の池から引きずり出されていた。

 どうやら、素蛾と沙那が助けてくれたようだ。

 

「きゃあああ──」

 

 すると、たったいま孫空女が襲われていた触手の池に、奴隷女がまた転送されてきた。

 

「次だ──。素蛾──」

 

 関門の男の声がした。

 

「はいっ」

 

 孫空女を助け起こそうとしていた素蛾が弾けるように立ちあがった。

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