「やっと、来たか……。お前、もう少し頑張らないと、いまのところ最下位だぞ」
ふらつく足を懸命に進めながら三番目の障害にやってきた沙那に、進行係の男がにやついた笑いを浮かべながら言った。
「ああ、そう……」
沙那は生返事をした。
そんなことは、どうでもいい……。
勝ちたいわけじゃない。
むしろ、うまく負ければ、それが一番いいのだ。
下手に決勝になんかに残って、明日もこんな破廉恥な競技を続けさせられて、生恥をかかされるのは堪らない。
うまい具合に最下位なのであれば、このまま進めばいいと思った。
沙那は進行係の指示に従い、一本の触手が生えている場所に向かい股を開いた。
両腕は第二障害のときに背中に後手縛りでしっかりと緊縛されたままだった。
すると、触手の先についている筆のようなものが、沙那の肉芽に向かってきた。
「ひ、ひいっ」
沙那は竦みあがった。
いつもだったら、これほど動揺はしないが、馬鹿みたいにいきすぎて、全身が怖ろしく鋭敏になっている。
「……それでいくんじゃねえぞ。その後はいくら達してもいいが、陰核に赤墨を塗るあいだに達すると、この関門に出発点まで戻されるからな……。まあ、もっとも、ちょっとのあいだだから、それで達するようなはしたない女はあり得ねえけどな」
進行係の笑い声がした。
だが、沙那はそれどころじゃなかった。
触手の先の筆の部分で肉芽をくすぐられ、たちまちに火で抉られたかのような鋭い熱さを感じた。
「ひっ、ひっ、ひいいっ、も、もういやあ……」
沙那は意識に反して込みあがった快感に耐えられなくて、膝が完全に脱力してしゃがみ込んでしまった。
軽く達してしまったのだ。
その瞬間、沙那に身体が捻じれるような感覚と電撃が襲った。
「えええええ?」
最後に聞いたのは、進行係の驚愕の声だった。
*
「おい、赤毛。俺のを舐めな」
十人の珍棒から精を口で抜くという課題を言い渡されて、関門から離れた途端に、孫空女の周りに大勢の男が群がってきた。
その中から、ほかの男たちを蹴散らすように出てきて、大きな男が前に立ちはだかったのだ。
「ほら、奴隷女、舐めるんだよ」
その男は、すでに下袴を下げている。
仕方なく孫空女はその場に跪いた。
なんでもいい……。
十本抜けば終わりだし、誰の精でも一緒だ。
性器を舐めさせてくれと、見物人に頼み回るような恥をかかなくていいから、寄ってきた男たちから抜くのがいい。
「ほら、ぼやぼやするな」
巨根が孫空女の横面をはたこうとした。
おそらく、そうやって、自分の大きな性器を誇示するのが趣味なのだろう。
孫空女はうまく顔を避けて、それを口で受け止めた。
「おっ?」
男が戸惑ったような声をあげた。
孫空女は自分の舌技を駆使して、一心不乱に舐め始めた。
「お、お前、うまいな……。お、おおっ?」
性器に精の強い匂いがする。
きっと、すでにもう何度も出しているに違いない。
それをさっさと精を出させるのはちょっと面倒だ。
だが、確か睾丸を刺激すれば、出したばかりでも、次の精を出しやすくなるはずだ。
孫空女は、一度刺激を続けていた棹の部分から、睾丸の部分に責めの場所を替えた。
「おお、おお、おお……」
目の前の男が馬鹿みたいな声を出して、腰を震わせ始めた。
*
「沙那、お前の感じやすさは半端なものじゃないな……。天下一品だよ……。からかっているわけじゃねえぞ。本心だ。お前みたいな女とやれたらいいだろうなあ……。俺だけじゃねえ。見物人はみんなそう思っているぜ」
三個目の障害の位置に、やっと沙那が戻ってきたとき、進行係の男が言った。
「はあ、はあ、はあ……。そ、それよりも課題を……。か、痒いのよ」
沙那は声をあげた。
もう、なにも考えられない。
さっき墨を塗られている最中に達して、また、出発位置に引き戻された。
愕然とする思いだったが、ここに戻っている障害路にあった谷渡りの触手は出てこなかったし、ふたつめの張形運びも、すでに終わったということで免除された。
おかげでただ歩いてきただけだ。それはほっとした。
そして到着すると、なぜか大勢の見物人の拍手喝采で出迎えられた。
野次の声も、最初の頃とは比べものにならないくらいに大きくなっている。
また、激励の声援もある。
とにかく、なんでこんなに多いのだろうと思うほど、周囲の透明の壁を見物人が取り巻いている。
「……じゃあ、最後の障害を突破する条件を説明するぞ……」
進行係が説明し始めた。
「え、ええ……。で、でも早く……」
だが、ほんの少しもじっとできないような猛烈な痒みだ。
沙那は内腿を擦り合わせながら説明を聞いた。
そして、聞いているうちに、あまりにも破廉恥な競技の内容に沙那は鼻白んだ。
三個目の障害突破の条件は、目の前の階段をのぼり、透明の屋根の上で腹這いになり、陰核習字をするというものだった。
そういえば、孫空女がそんなことを言っていたっけ……。
とにかく、それで見物人の大半が、透明の屋根の下に集まっているのだと思った。
沙那は、説明終了と同時に沙那は階段を駆けあがり、透明の屋根に腹這いになった。
陰核習字をする屋根の上はぶよぶよの柔らかい素材であり、腰を押しつけるように密着すれば、なんとか肉芽が床の表面に届く。
だが、股を拡げて、ぐいと押しつけなければ無理だ。
考えられなくらいにみっともない恰好だ。
しかも、嫌でも真下にいる大勢の男たちの卑猥な視線が目に入ってくる。
沙那はたじろいだ。
そのとき、進行係の声が下から追ってきた。
「……そうだ。さっき言いかけたが、この競技全体で最下位から数名は、罰奴隷で失格になるらしいぞ。やる気が出るように教えておいてやるぜ。罰奴隷は、明日の昼まで犬に輪姦だ。俺もその準備を手伝ったからな。間違いないぜ」
進行係が言った。
沙那はびっくりした。
「そ、そんな」
沙那は悲鳴をあげた。
冗談じゃなかった。
それだけは嫌だ。
だが、確か進行係は、沙那が現在の最下位だと言っていたはずだ。
急がなければ。
もう、恥ずかしいなどと言っていられない。
どっちにしても、恥も吹き飛ぶような、恐ろしい痒みに襲われている。
沙那は羞恥に耐えて、床に蛙のように張りついた。
大歓声があがる。
恥ずかしさに全身がかっと熱くなる。
それでもやるしかない。
沙那は腰を動かし始めた。
「ふうううっ」
痒みが消滅する快美感はあまりにも気持ちよかった。
沙那は我慢できなくて、さらに腰に力を入れて強く擦った。
すると、一文字も書かないうちにすぐに軽い絶頂感がやってきて、沙那はがくがくと身体を震わせながら気をやった。
だが、それでも文字を書くのはやめなかった。
達しながら書いた文字は、芸術点に加算されると言われたからだ。
せめてその点だけでも稼がなければ……。
さもなければ、犬を相手の獣姦の晒し者だ。
「あ、ああっ……」
だが、達している肉芽をさらに擦りつけることで、さらに快感が深まってしまい、沙那は再び発作のような絶頂に襲われた。
真下では、観客たちがどっと哄笑している。
だが、そんなことに構っていられない。
沙那は達しながらさらに腰を動かした。
それにしても、なんという馬鹿馬鹿しい文字を書かせるのだろう。
“おまんこ気持ちいい、けつまんこ最高”。
考えた人間の発想の貧困さが知れる……。
そんなことを思いながら、懸命に腰を動かした。
しかし、沙那の身体は悲しいくらいに、その動作から凄まじい快感を拾ってしまう。
それでも休んではならないと自分を戒めて、懸命に肉芽を擦り動かす。絶頂と絶頂の間隔がわからなくなり、沙那はほとんどずっと絶頂状態のまま文字を書くような状況になった。
下で綺麗な金文字だと馬鹿にするような歓声があがっている。
なにが嬉しいのだと思った。
「はあっ、はあっ、はぎいいい」
そのとき、まるで堰を切ったような快感の塊が襲いかかった。
これまでは軽い絶頂が続いていただけだったのだが、それを連続するうちに、沙那の身体の感覚が異常な状態になったのかもしれない。
「くはああああっ、いやあああ」
津波のような快感の大きな波が襲いかかった。
今度は動けなかった。
沙那は床にがに股で張りついたまま咆哮をしていた。
「はああっ、あっ、いや、いやああ──」
沙那は悲鳴をあげた。
まだ昇天の途中であり、全身が痙攣のように震えていたが、沙那が悲鳴をあげたのは、股間からじょろじょろと尿が流れ始めたからだ。
あまりにもいきすぎて、完全に身体が緩んでしまったようだ。
沙那は身体に尿がつくのを避けようと、慌てて腹這いの身体を起こした。
しかし、一度始まった尿は止めることもできず、沙那の敏感な尿道を刺激しながら透明の床を濡らしていった。
真下では、観客たちの発狂したような歓声があがっていたが、沙那はたったいま書いたばかりの陰核習字の字が沙那の尿で流れてしまうのを見て茫然とした。
進行係が何事かとあがってきて、状況を確認して爆笑した。
「こ、これじゃあ、続きができねえじゃねえか。達しながら小便を垂れるとは、こんなのは想定していなかったぞ。まあいい。終わったことにしてやるよ。次の関門に向かいな」
進行係が腹を抱えて笑いながら言った。
沙那の両手を縛っていた触手の縄が消滅した。
*
「素蛾──」
孫空女は声をかけた。
「孫様」
すると、素蛾が泣きそうな顔をあげた。
跪いている素蛾の股間の下には小さな皿があった。
そこには素蛾のものらしい淫液が溜まっている。
また、素蛾のほかに十人くらいの女奴隷が跪いて自慰に耽っている。
なかなかに凄まじい光景だ。
競技者の女奴隷がいるのは、演台のような場所であり、その周囲を観客が取り囲んでいた。
孫空女はその台上にあがらされた。
「赤毛女か。関門三の課題はまん汁溜めだ。その皿にまん汁が全部たまって、一滴でもあふれて、こぼれれば終わりだ。次の関門に行っていい」
進行係が孫空女に皿を渡した。
なるほど、そういう競技なのかと思った。
ふと見ると、ほとんど溜まっている者、半部くらいの者、始めたばかりの者。まちまちだ。
とにかく、十人くらいの女奴隷が素っ裸で全身汗まみれになり、自慰に狂っているのだ。
それは壮絶な景色であるだけでなく、臭いもすごい。
「わ、わたくし、うまくできなくて……。自慰って、どうすればいんですか……?」
素蛾が半泣きで言った。
こいつが最初の障害関門を突破したのは、かなり前のはずだ。
それなのに、孫空女が追いついたということは、素蛾はこの自慰の課題でかなり苦労しているのだろう。
考えてみれば、素蛾は性奴隷志願者であり、性的なことに興味津々のおかしなお姫様だったが、性的経験そのものは皆無だった。
宮殿時代は自慰なんかやったこともない気配だったし、素蛾の調教係を任じている朱姫も、自慰そのものについては、あまり教えていなかったと思う。
「あたしの言うとおりにしな、素蛾。まずは、恥ずかしさを忘れること。そして、一番、感じる場所を弄るんだ。あたしはお尻に指を入れて前を擦る。お尻と肉芽だ」
孫空女は素蛾の横に跪き、両手を腰の前後に持ってきた。
観客たちがさら興奮した声をあげるが、それは無視する。
「は、恥ずかしくありません。ちょ、ちょっと興奮しますけど……。」
素蛾は孫空女の真似をして、手を腰の前後に持ってきた。
そして、それまでは、周りの女たちの真似をして、手をあっちにやったり、こっちにやったりしていたと、素蛾は孫空女に言った。
「……これが正式のやり方なのですね。わかりました」
素蛾が無邪気な声をあげた。
孫空女は苦笑した。
「正式なやり方なんてないさ……。一番感じる場所を触ればいいんだよ。それは人それぞれだからね」
「は、はい。教えて頂いてありがとうございます」
素蛾が大きな声で言った。
すると、どっと周りで笑い声があがった。
素蛾と孫空女の前にたくさんの見物人が集中しているのだ。
その笑い声は悪意のこもったようなものではないようだ。
また、観客たちの中には、かなりの数の子供もいる。
そういえば、その少年たちが、さっきから懸命に素蛾を応援するような言葉を叫んでいるような気もする。
「そして、眼をつぶって……」
孫空女は言った。
「眼をつぶるんですね……。はい……」
素蛾は眼をつぶったようだ。
「そしたら擦る……。それから、自分でやっていると思わないんだ。一番触って欲しい人に苛められていると考えるんだ。それか、興奮する相手に襲われていると想像するんだ」
孫空女は素蛾に言った。
孫空女の心に浮かんだのは、まずは宝玄仙だ。
身体を拘束されて、宝玄仙が孫空女の身体を小馬鹿にしながら触っている……。
そう想像しながら、腰にやった前後の手を動か始めた。
かっと全身が熱くなった。
すると、いつの間にか、責めているのが沙那に変わっていた。沙那が恥ずかしそうに、孫空女に口づけを求め……。股間を擦り合わせてきて……。
「はあ、はあ、はあっ……朱姫姉さん……はあ、はああっ……」
そのとき、横で素蛾の感極まった声が聞こえてきた。
孫空女は思わずほくそ笑んでしまった。
[現在の状況、孫空女たち三人は、一から四の順で進んでいる。]
■関門一
・第一障害(触手径)
・第二障害(張形運搬)
・第三障害(肉芽文字)
■関門二
・口奉仕十人抜き ←沙那(到着直後)
■関門三
・まん汁溜め ←素蛾、孫空女
■関門四
・大量浣腸
■最終関門
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