※この作品はR-18です。

嗜虐西遊記【完結】   作:ドン・ドナシアン

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696 罰奴隷の生き人形

「では、七名の奴隷に対して、生き人形化の罰が与えられます。まずは、瑞姉妹のふたりの瑞蘭と瑞恋です」

 

 品評会に出場している性奴隷十六名は、真下にある試合場を見おろす縁を囲んで座らせられていたが、その中から、すでに決勝進出の可能性がなくなった七名がこちら側に追い立てられてきた。

 

 朱姫は、木杭に裸身を寄せるようにして地面にしゃがんだまま、係の男たちが全裸の性奴隷たちを連行するように集めてくる様子を静かに見守っていた。

 その素裸の女奴隷七人が、係の男たちに追い立てられるように立たされたのは、主賓席のある大きな卓の前に設置された台の横だ。

 女たちは裸身の身体を両手で隠しながら、全員が同じように内腿を擦り合せて腰を動かしていた。

 

 沙那たちもそうだったが、品評会の第三競技に出場した性奴隷たちは、痒み縄と呼ばれる縄をずっと股間に喰い込まされている。

 いま前に出されてきた女奴隷たちは、すでにその痒み縄の股縄は外されているが、痒みの汁が股間に沁み込んでいるので痒いのだろう。

 それで身体をつらそうにくねらせているに違いない。

 

 その中から、まずはその中からふたりの女が引き出されてくる。

 このふたりが瑞蘭と瑞恋という姉妹性奴隷なのだろう。

 

 一方で、主賓席の中央に座っている宝玄仙は上機嫌だった。

 それについては、朱姫はほっとしていた。

 宝玄仙が座っているのは主催の上官太守の隣席であり、一番の上席だ。

 突然にやってきた異邦の客に対するものとしては異例の待遇だろう。

 それだけ、宝玄仙は上官太守に気に入られたということに違いない。

 もっとも、その上官太守は、第三競技が開始になってから、まだ姿を会場には現してはいない。

 まあ、主催者としていろいろと忙しいのだろう。

 

 いずれにしても、宝玄仙は本当に愉しそうだ。子供のようにいつも無邪気な女主人だが、今回はそれに輪をかけて陽気だ。

 朱姫は、そんな宝玄仙のいる主賓席の真横の場所に杭を打たれて、そこに犬のように繋がれていた。

 もちろん素っ裸だ。

 しかも、繋げられているのは首輪ではなく、宝玄仙が気紛れで朱姫に施した大きな鼻輪だった。

 主賓席は、ほかの観客席の並びからは前に出た場所であり、その横ということは朱姫が繋げられている場所は観客席の目前の目立つ場所だということだ。

 そんな場所に、わざわざ素裸の朱姫を繋げるのは、宝玄仙の嫌がらせ以外のなにものでもない。

 

 だが、沙那と孫空女と素蛾の三人が勝ってくれてよかった。

 おかげで、朱姫もこうやって、目立つ場所に杭に繋げられる以上のことはされなくて済んでいる。

 宝玄仙は目の前の女奴隷同士の全裸格闘に夢中のようだ。

 なにしろ、第三競技の一回戦が終わった時点では、孫空女、沙那、素蛾の三人が一位から三位まで位置を占めている。

 おかげで宝玄仙はご機嫌だし、宝玄仙の機嫌が良ければ、朱姫は宝玄仙に酷い目に遭わなくて済むのだ。

 

 夕べは振動する張形をお尻に入れっぱなしにされて、夜のあいだずっと放置された。

 そして、朝になり、身体を休むことも許されずに、大勢の見物人のいる前で、お尻にその張形を入れっぱなしにされたままで、数刻も輪姦されたのだ。

 宝玄仙にしてみれば、ただの気紛れの遊びなのだが、やられる側は堪ったものじゃない。

 だが、とにかく終わった。

 

 今日の品評会の本戦では、三人が頑張ってくれたおかげで、午後くらいからは、なにもされずに済んだ。

 鈴が鳴るたびにお尻に淫靡な刺激が走る鈴を両乳首と股間に装着されていたのだが、それも、第二競技の後段には外すことができた。

 

 沙那たち三人ともが上位に食い込みそうなのがはっきりして、宝玄仙がそっちに夢中になったのだ。

 それで朱姫はその鈴を自分の道術で外してしまった。

 

 普段だったら、そんな勝手なことをすれば、烈火のごとく怒ってなにをされるかわからないが、今日は絶対になにも言われない自信があった。

 案の定、宝玄仙は、朱姫に鈴を装着したことさえ忘れている気配だ。

 

「さあ、瑞姉妹には、姉妹ということで特別の趣向を準備しております。尻出し人形と股出し人形です」

 

 司会が陽気な声で言った。

 朱姫は視線を正面の台に戻した。

 姉妹だというだけあり、瑞蘭と瑞恋は顔がよく似ていた。

 姉の瑞蘭は背が高く、孫空女と変わらない感じだ。

 それに比べて妹の瑞恋は華奢な雰囲気だ。

 怯えた様子のふたりだったが、まずは姉の瑞蘭がこちらに背を向けさせられ、主賓席にお尻を向けるように腰を曲げさせられた。

 しかも、自ら尻の穴を両手で左右から引っ張って、肛門を剥き出しにして拡げることを強要されている。

 すると、突然、瑞蘭の真下から白い煙の風が吹きあがった。

 

「きゃあああ」

 

 悲鳴は瑞蘭ではなく、その横の妹の瑞恋だ。

 瑞蘭が、お尻を突き出して両手で自ら尻穴を開かされた格好のまま、真っ白い石像のように固まってしまったのだ。

 見物人たちは大きな歓声をあげているが、朱姫はその気の毒な光景に息をのんだ。

 

「見事な尻出し人形が完成しました。さあ、次は妹の瑞恋です。瑞恋には、姉の瑞蘭とは逆に、身体をのけ反って股間を前に曝け出す格好になり、女陰を自分の手で開いてもらいます。つまり、股出し人形です」

 

 瑞恋は、司会の男の言葉に一瞬だけ顔をひきつらせたが、すぐに観念した様子で、強要された羞恥の格好をした。

 白い煙が吹きあがり、瑞恋はその格好で白い石像のようになった。

 後ろで待機していた進行係の男たちがさっと出てきて、ふたりの首輪を鎖でつ繋いだ。

 片側はお尻を突き出して自ら尻穴を開き、もう一方は股間を前に突き出して、やはり股間を自ら開いた対の羞恥人形の完成である。

 

「この姉妹人形は祭典の入り口付近に飾られる予定です。ほかの生き人形たちについても、これから会場の各場所に展示されますので、実際に手に触れてお愉しみになっていただきたいと思います。この生き人形の特徴は……」

 

 司会が正面を向いている瑞恋の股間を無造作に手をやって、肉芽を乱暴に擦るような仕草をした。

 

「は……ひゃ……ひ……ひゅ……」

 

 すると表情の固まっている真っ白な顔の瑞恋の口から息が漏れるような音がした。

 司会は瑞恋の真っ白な裸身の股間を弄り続けている。

 それにつれて、瑞恋の口から洩れる息は強くなる気もする。

 ただ、かすかな反応だ。瑞恋の身体は、やはり真っ白な彫像のようにぴくりとも動かない。

 それは表情も同じだ。

 ただ、甘い吐息のようなものだけが静かに漏れ続けるのだ。

 

「見た目は石膏の像のようですが固くはありません。肌触りは人間の肌と似ています。人形にされている女体は身体をぴくりとも動かせませんが、しっかりと触れられることによって感じる刺激は受け続けています。その証拠として、かすかに息が漏れるように術を施しております。ただし、道術の白い膜が女体を守っておりますので、傷つけることも、痛みを感じさせることはできません。人形にされた女が感じることができるのは快楽のみです。その分は、安心していじりまわしていただいて結構です」

 

 司会が明るく言うと場内に笑いが込みあがった。

 しかし、ふと見ると、これから同じ処置を施されるために待っている残りの五人の女奴隷たちの顔は真っ青だ。

 

 一方で、これから試合が残されている沙那たちを含めた奴隷女たちもつらそうな表情をしている。

 負けた女たちからは、痒みの走る股縄は外されているが、これから試合の残る女たちは、痒み縄の股縄をされたままなのだ。

 それが苦しいのだろう。

 

「それから注意事項です。この生き人形の外に放置するような演出の場合は、必ず、無理矢理に性器を突っ込もうとする男がいつも現れるのです。でも、それは不可能です。女の性器についても、この状態で固まっておりますので、強引に挿入しようとしても、怪我をするのは男側の性器の方です。皆さんの性器が折れてしまっては大変ですから挿入は諦めてください。ただし──」

 

 冗談で笑いをとってから、司会は後ろの男たちから受け取った真っ白い張形を上にかざした。

 そして、その張形に、やはり後ろの男から受け取った溶剤をたっぷりと表面につけ、今度はこちらにお尻の穴を向けている瑞蘭の尻に挿した。

 塗っている潤滑油のような薬剤の影響なのか、司会が瑞蘭の尻に挿した張形は特に抵抗の様子もなく、あっさりと根元まで生き人形になった瑞蘭の肛門に突き挿さった。

 しかも、朱姫の位置からもはっきりと消えるくらいの激しい振動音をさせだした。

 

「……ひ……ひゃ……ふ……は……」

 

 途端に、後ろを向いている瑞蘭の口から強く息を吐く音が響きだす。

 

「……この道術のかかった張形のみは、生き人形の股間に挿すことができます。生き人形のそばに設置します各屋台で購入することができますので、どうしても使いたい方は購入していただきたいと思います……。それと、いま張形に塗りました薬剤は強烈な掻痒剤でもあります。これを身動きできない生き人形たちに塗って、その苦しみを想像して愉しむという遊びもあります。よければこちらもお試しください」

 

 説明の終わった司会が手を振った。

 瑞蘭と瑞恋の一対の生き人形が消滅した。

 

 おそらく、『移動術』で展示の位置に跳躍されたのだろう。

 そうやって、次々に女奴隷たちが引き出されて、ひとりずつ卑猥な姿勢を取らされてから、真っ白い人形化の道術を受けて、どこかに道術で飛ばされた。

 

 瑞蘭と瑞恋の次は、香凛という女だった。

 沙那に経絡突きの術で負けた女であり、第二競技終了の時点では、素蛾よりも点数は上だった。

 香凛は仰向けにされてから、両脚を腕の方向に持ってこられて股間を空の方向にあげるようにされた。

 いわゆる“まんぐり返し”の格好だ。

 そして、お尻の穴に金属の輪のようなものを嵌められてから、花一輪をそこに差された。

 

 次の女は夜夜女という名の奴隷だ。

 夜夜女は、ふたつの台を跨ぐようにして膝を曲げてしゃがませられ、まるで大便をするときの格好になり、さらに両膝を水平に開かされて台ごと固められた。

 さらに、夜夜女には水分を際限なく尿袋に転送される道術が施され、ほどなく夜夜女の股間からは尿がじょろじょろと流れ出した。

 夜夜女は尿をしたまま、どこかに転送された。

 

 小耽耽という女は、香凛が尻に嵌められた金属の筒を女陰に嵌められ、がに股にされて固められた。

 そのとき、大きく口を開いて固められたので、口の中も好きなように触れる人形になった。

 

 白蘭という女は、大股に脚を開いた姿勢になり、勃起された肉芽と乳首に弦で結ばれた。

 弦を弾くたびに弦が弾けて音が鳴ったが、同時に白蘭が激しく息をするので、彼女がつらい状態であることが伺い知れた。

 

 最後の蔡女は、両手を背中側で支えて、開いた股間を高く晒した状態にされた。

 彼女だけは主人の好意ということで、肉芽を含む女陰については、生身のまま残された。

 ほかの全身を石化された彼女の股間だけを生身で残すので、明日の祭典終了まで、犯し放題という説明だった。

 

 そうやって、七人の女奴隷たちが、それぞれに羞恥の格好にさせられて、転送された。

 七人目の女奴隷が主賓席の前の台からいなくなると、生き人形の処置に興奮した観客たちに対して第二回戦の組み合わせが空中に表示された。

 

 

 

 孫空女 - 奈美女

 和 玉 - 神 美

 素 蛾 - 麻 魔

 沙 那 - 小 芳

 

 

 

 *

 

 

 そして、すぐに第二回戦が始まった。

 真下の試合場に縄で下された孫空女と奈美女が戦い始めたが、試合の開始直後に、孫空女が両方の股間の“手”を引き千切り、あっさりと奈美女の脚を固めて拘束した。

 結局、二度達するまで奈美女は、孫空女に固められた脚を解くことができずに孫空女の勝利が決まった。

 

 

 *

 

 

「孫空女の勝利ですな」

 

 上官は苦虫を噛み殺したような表情だ。

 道術で投影されている正面の画面には、孫空女が戦いを妨害する手をいの一番に引き千切ってから相手の奈美女に飛びかかり、あっさりと勝利を掴む光景が映っていた。

 劉和(りゅうわ)はそれを上官とともに見守っていた。

 

 宝玄仙の奴隷女のふたりを故意に負けさせて、まずは生き人形にして、明日の祭典終了まで無力化するという思惑は残念ながら外れた。

 強引に身体を固めてしまうことはできるが、それでは自分の女奴隷の活躍を愉しそうに観戦している宝玄仙が競技の不自然さに気がついてしまうだろう。

 そうすれば、宝玄仙は、持ち前の道術を遣って、あっさりと逃亡をしてしまうに違いない。

 それをされてはどうにもならないのだ。

 もしかしたら、保護をしようと思っている素蛾王女さえも連れていかれるかもしれない。

 

 なにしろ、友好国である天神国からは、素蛾王女を誘拐した宝玄仙は希代の道術遣いであるという情報がきていた。

 宝玄仙が衛舎国からの情報通りの道術遣いだとすれば、宝玄仙を捕えるには、この鳳仙国の国都にいる魔道師隊の力が必要だ。

 

 その魔道師隊は、国都からこちらに向かっているはずだが、まだ到着していない。

 彼らの到着を待たないことには、大きな力を持っていると思われる宝玄仙を捕える手段はない。

 それまでは自然の感じで品評会を続けるしかない。

 そうやって油断させておいて、魔道師隊が到着次第、宝玄仙を包囲して捕えてしまう。

 それしかない。

 

 一方で、国都からやってくる魔道師隊の到着前に、上官が処置をしておこうと考えたのは、宝玄仙の奴隷であり、品評会にも出ている孫空女と沙那を無力化してしまうことだ。

 このふたりが宝玄仙の護衛役という情報も天神国からは入っていた。

 まあ、そうは言っても奴隷女のことであるし、所詮はたかが女だ。

 大した連中ではないだろうと思っていたらしいが、第三競技の戦いで示したふたりの強さは別格的な強さだった。

 

 予定では、腰縄から生えている二本の“手”が、孫空女と沙那の股間を責め、ふたりはぎりぎりのところで一回戦で敗退させる予定だったのだ。

 そうやって、一回戦終了の時点でほかの選手に逆転させて、生き人形として無力化するつもりだったのだ。

 そのために品評会としての盛りあがりのことも考え、上官は、第二競技の終了時点で、孫空女と沙那を上位に位置させたようだ。

 

 だが、孫空女と沙那という宝玄仙のふたりの女奴隷が全裸格闘の第一回戦で示したのは、たかが女奴隷と侮ることのできない圧倒的な強さだった。

 孫空女が引き千切った二本の“手”は、大の男が数名がかりで引っ張っても切れないはずのものだ。

 だが、あの細い身体のどこにそんな力があるのか、孫空女は何度もあの腰縄の手を片手で引き千切ってみせている。

 

 また、沙那の遣った不思議な指の技……。

 

 いずれにしても、あのふたりは一筋縄でいかない女たちということがわかった。

 宝玄仙の捕縛のときには、宝玄仙の高い道術のみを警戒していて、劉和自身は孫空女や沙那という女奴隷のことは頭に入れていなかった。

 上官がふたりを無力化しておこうと考えたのも、あくまでも念のためであって、深い考えのことではなかったはずだ。

 

 つまりは、道術師隊が到着して宝玄仙の捕縛の際に、奴隷たちを邪魔にならない状態にしておくことができればもうけものだし、そうでなくても、すでに庭園に忍び込ませてある上官の軍を突入させればよいことであり、本当に警戒をして処置しておこうと思っていたのは、宝玄仙の霊気だけだったのだ。

 

 だが、これで計算をし直す必要も出てきた。

 あのふたりは危険だ。

 宝玄仙の霊気を封じても、あるいは、あのふたりに包囲の突破を許すかもしれない。

 

「上官、なんとしても、宝玄仙を捕縛するときには、あの危険な女奴隷ふたりは、処置しておかなければならんぞ」

 

 劉和は言った。

 

「なんとか、その方法を考えます……。準決勝は壁尻の予定でしたから、埋め込んでしまえばいいのですが、いまやっている第三競技の優勝者には準決勝免除を発表してしまいました。だから、そのひとりについては、別の策を考えねばなりません」

 

 上官は言った。

 準決勝の競技は、決勝進出をするひとりを選ぶ競技であり、第三競技の優勝者を除く上位三名を壁尻にして、下半身だけを壁の外に出して場内の三箇所に設置する予定のようだ。

 そして、観客に三体の壁尻を犯させ、たくさんの精を身体に入れられた者が決勝進出という競技だ。

 

 また、決勝はひとりの男を相手に性交させ、大勢の見物人の前で、その性の技を判定して競うというもののようだ。

 実は、その決勝戦で性奴隷の相手を劉和が仮面をつけて行うということになっており、競技終了時点で、劉和が仮面を観客の前で外すことにより観衆を驚かせ、その場で優勝の性奴隷を表彰するという趣向なのだ。

 

 いずれにしても、性奴隷を拘束できるような競技は、明日の準決勝の壁尻だけであるのだが、いまのところ、孫空女か沙那が第三競技で優勝するのは間違いなさそうだ。

 それで上官が困っているようだ。

 

 不意に、劉和の耳に風の唸りのような音が聞こえた。

 しかし、ここは上官の屋敷の奥にある部屋だ。風の音などするはずがない。

 

「……殿下……」

 

 気がつくと、背後に、黄天楼(おうてんろう)が立っていた。

 国都で魔道師隊を率いる老人だ。

 劉和は、“老子”と呼んでいた。

 

「ろ、老子。到着は明日ではなかったのか?」

 

 劉和は声をあげた。

 どうやって入ってきたのかまったくわからなかった。

 風の音がしたと思ったら、いつの間にか劉和と上官しかいないはずのこの部屋に黄天楼が立っていたのだ。

 

「急いで来いという命令でございましたので、急いで参りました……。明日と申したのは、なにかの突発事項があった場合の“もしも”のことを含んでおりました。もしもはなにもございませんでした。国軍魔道師隊一個小隊。到着でございます、殿下」

 

 黄天楼が表情を変えずに言った。

 

「そ、そうか。とにかく、急な命令に大儀であった、老子。お前たちにやってもらいたいのは……」

 

 劉和は宝玄仙のことを説明しようとした。

 しかし、それを黄天楼が遮った。

 

「宝玄仙という旅の魔女……。それを捕縛すること……。それでございましょう? 隣国の衛舎国の王女をさらって性奴隷にしている悪い魔女の道術を封じて拘束すること……。それでよろしいですか、殿下?」

 

「なぜ、それを?」

 

 劉和はびっくりして言った。

 任務は道術通信によって、大まかなことは伝えてはいたが、細かい任務は言ってはいない。

 ましてや、この仕事が衛舎国の素蛾王女に関わる内容であることなどは伝えてはいなかったのだ。

 

「……殿下のご命令を待つようでは、魔道師隊の隊長は務まりませぬ……。大きなことを伝えて頂ければ、私にも耳もあり目もあります。任務の背景については移動しながら把握して参りました……。ところで、その宝玄仙という魔女は、すでに捕捉しております。この祭典のあちこちに埋めた手の者が、ひそかにその宝玄仙を包囲しました。後は命令ひとつ。この瞬間にも、道術を封じた状態で捕縛が可能です……」

 

「おお、そうか──」

 

 劉和は声をあげた。

 すると、黄天楼が皺だらけの頬を歪める。

 

「ところで、どのような捕縛がお好みでしょうか、殿下……? ほかの観客に気づかれぬように静かに捕えますか? それとも派手に? あるいは、道術を遣えなくした魔女をなぶるようにして、一枚一枚服を剥がして辱めながら拘束するという方法もありますぞ……」

 

 無表情だった黄天楼が、初めてにやりと劉和に笑いかけた。

 劉和も思わず、笑い返してしまった。

 

 そのとき、競技の様子を投影している画面から観客たちの大歓声が響いた。

 第二回戦の第二試合で、和玉という女が神美という女奴隷に勝ったのだ。

 次戦は、素蛾王女と麻魔という女奴隷の試合だ。

 

「上官、とりあえず、次の素蛾王女の試合の前に間を置け。なんでもいい。少し時間を取れ」

 

「わかりました、殿下」

 

 上官が会場にいる部下に指示を送るために、通信をする霊具に駆け寄った。






 *


[第三競技途中経過]
(第二回戦第二試合終了時点)

 ※は敗戦により最終得点が決定、×は五位以下が確定

 順位 奴隷名  得点 
 1位 孫空女 112
 2位 沙 那  79
    和 玉  79
 4位 素 蛾  77
 5位 杏 奈  76※×
 6位 麻 魔  73
 7位 小 芳  64 
 8位 神 美  47※×
 9位 奈美女  40※×
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