宝玄仙を広間に移動させ、そこで天井から両手を吊らせた。
全裸だ。
足先は爪先がかすかに床から浮くくらいのものだ。
しかも、馬鹿みたいに脚を大股で拡げており、
闘勝仙は、屈辱に顔を歪める宝玄仙の姿に笑ってしまった。
宝玄仙の両脚が開いているのは、足首にお互いに反撥し合う足輪を嵌めさせているからだ。
だから、開脚した脚を閉じられないのだ。
宝玄仙に目を付けたのは、この巫女が八仙候補となり、何度か地方から帝都に顔を出すようになった四年前からだ。
あまりの美しさと醸し出す色香の強さに闘勝仙は息を呑んだものだった。
そして、美しい外見とは裏腹の気の強さにも魅了された。
闘勝仙は、たちまちに、この美貌の女法師の虜になった。
だが、隙はなかった。
簡単には男に靡くような女ではない。かつては、恋の多い女として有名だった時期もあったらしいが、いまでは、男嫌いと称していいくらいに、男を受け入れない。
だが、多淫の性質は変わらず、若い女を苛むのが好きで、地方神殿長の館に若い女を集めて、女主人として、毎日のように百合の性に興じているということもわかった。
なかなかの変態ぶりの性癖は、手の者に調べさせて、すぐにわかった。
試しに口説いてみたが、けんもほろろに断られた。
さらに興味を抱いた。
そういう女を逆に苛め抜くというのも面白い。
宝玄仙の八仙の昇格について話し合うにあたり、空席となっていた八仙の椅子に、宝玄仙をもっとも推薦したのは、当時の帝仙だった
確かに、宝玄仙の霊具作りの才能と貢献は顕著なものがあったし、道術力には非凡なものがあった。
それだけでなく、他人の道術を受けつけないという術返しの能力は、持って生まれた血によるものであるらしく、それだけは闘勝仙よりも勝ると思った。
だが、全員が百歳を越える八仙に、宝玄仙の若さで加わるというのは異例だった。
だが、結局は、それは全員の了承により、宝玄仙の八仙昇格は決定された。
玉龍仙の推薦もさることながら、次の帝仙候補と目されている最大の実力者の闘勝仙の賛意も大きかった。
宝玄仙は、八仙のひとりと認められた。
だが、闘勝仙の狙いは、宝玄仙を八仙の器と認めるのとは別のところにあった。
術返しの強い宝玄仙を罠に嵌めるには、接触することの多い八仙同士である方がやりやすいと思ったからだ。闘勝仙の狙いは、最初から宝玄仙の身体だった。
帝都にやってきた宝玄仙に、自然なかたちで
新たな宝玄仙の帝都の館に、桃源を家宰として潜り込ませたのだ。桃源は闘勝仙の「犬」だ。
宝玄仙は、桃源がおり、闘勝仙の息もかかっている館に、地方神館から、飼っていた若い女たちを連れてやってきた。
あとは、いつでも料理できるはずだった。
だが、闘勝仙の狙いを狂わせたのは、宝玄仙が闘勝仙が考えていた以上の道術遣いであったことだった。
簡単には術にはかからないし、霊具にも抵抗できる。
罠に嵌めるのは、「呪い」だと最初から決めていたものの、問題はその手段だった。
宝玄仙が霊具作りに長けるように、闘勝仙の得意は他人に呪いをかけて、支配してしまうことだ。
ただ、宝玄仙の場合は、術封じの体質が強すぎて、そのままでは、闘勝仙の呪いをかけられない。
なんらかの手段で、弱らせてから呪いをかける必要があるが、その手段が問題だった。
なにしろ、口にする料理や水には気を使っているし、人前で決して食べ物を口にしない。
桃源を通じて、悪意のある罠に嵌めることも考えたが、その機会はなかった。
宝玄仙は、自分の身の周りの世話は、地方から一緒に連れてきた女中たちにしかやらせない。
それは徹底されていて、彼女たちは宝玄仙を護るために、絶対に、桃源を含めて部外者には宝玄仙に近づかせない。桃源は話をする程度しか接近することはできないようだった。
女たちの忠誠心高く、隙がない。
宝玄仙が口にするものに毒見をする者も交替で決められている。台所に桃源が入ることもできない。
そもそも、宝玄仙自身が術遣いとして一流なので、桃源といえども屋敷でおかしなことをやるとすぐに発覚しそうだった。
そうこうしているうちに四年も経った。
帝仙だった玉龍仙は老去し、闘勝仙は新しい帝仙になっていた。
ひとりひとりと、ほかの八仙たちを支配していき、もっとも古株の
闘勝仙の狙いは、宝玄仙だけになっていた。
そして、その機会は訪れた。
宝玄仙が新しい奴隷を手に入れたのだ。
宝玄仙の若い娘に対する嗜虐趣味は、すぐにわかったが、この四年、宝玄仙はその嗜虐趣味を地方から一緒に連れてきた女中で済ませていた。
しかし、気心の知れた娘たちでは、満足しきれなくなったのか、宝玄仙は、
闘勝仙は、桃源を動かした。
桃源に、鳴智を支配するように指示したのだ。
その鳴智を宝玄仙は調教して服従させたが、本当にそれをやったのは桃源だ。
宝玄仙が大神殿における女法師の役目を果たしている間に、この桃源が宝玄仙の調教を上塗りしていた。
これにより、桃源は完全に鳴智を意のままにすることに成功した。
それからは簡単だった。
今日という機会を狙って、鳴智が宝玄仙に口移しで仙薬を飲ませ、宝玄仙は道術が遣えなくなった。
もっとも、一時的なものであり、いずれは仙薬の効果は切れる。
それまでに、宝玄仙を支配してしまう必要がある。
いずれにしても、もう宝玄仙は落ちたも同じだ。
闘勝仙は、ついに捕らわれの身にした宝玄仙を満足とともに眺めていた。
「ん、んんっ、んんんっ」
その宝玄仙が、拘束された裸身を弓なりにして、また果てた。
自分が使っていた女中に、張形で責められているのだ。
それをさせているのは闘勝仙である。
闘勝仙の指示で動いているのが桃源と鳴智だ。
そして、いまや、この館の結界は、宝玄仙はなく闘勝仙によるものに刻み変えた。
そこまでの準備を密かにやったのは桃源であり、今日、なんなく館に入った闘勝仙は、自分の道術で宝玄仙たちの女たちを無力化した。
そして、宝玄仙を拘束した桃源と鳴智と合流し、宝玄仙をいたぶり始めたというところだ。
もちろん、宝玄仙が術を遣えない状態はまだ続いている。術を遣おうとすれば、全身に電撃が流れて術が中断される仕掛けだ。
宝玄仙は、もはや術を遣おうとも思えないみたいだ。
また、足に嵌めた足輪は、お互いに反撥し合うので、宝玄仙は十数回も続けて気をやらされて汗と愛液まみれの身体を惜しげもなく晒すしかなかった。
その宝玄仙を、拘束している女中たちに、ひとりひとり、張形で責めることを要求した。
それに応じて宝玄仙に気をやらせることができれば、女たちは解放されるだけでなく、かなりの財を持たされて故郷に戻ることを許されるというとこにした。
宝玄仙を責めることに同意しなければ、女奴隷として、遠い西域の果てに向かう奴隷商人に売ると脅すと、女中たちは蒼い顔をして宝玄仙を責め始めた。
嬉々として宝玄仙の責めを統制しているのは、鳴智だ。
「交代だよ。次の女、まずは尻責めをしろ。逆らえば呪い殺す。わしに二言はない」
何度も繰り返している脅しの言葉を闘勝仙は発する。
いまは、この館の全員が集まっている。
宝玄仙に仕える女たちは、術を封じられて、拷問まがいの嗜虐を受けさせられている宝玄仙の姿に、すっかりと怯えきっている。
「ほら、次だよ、次――。お前だ――」
まるで新しい女主人のように、この場を支配しはじめた鳴智が怒鳴った。
ひとりの女中が進み出る。
さっきからやっているのは、ひと廻り目として、集めた女たちに交代で責めさせ、宝玄仙に繰り返し絶頂をさせるということだ。
調教をするには、まずは、体力を根こそぎ奪う。
それが基本だ。
「ほら、張形に油剤を足して、この雌の尻に突っ込みな。ほら、宝玄仙、嬉しいだろう? どうでもいいけど、ほんっとに、お前はいやらしい変態だよ」
鳴智が張形を次の女に渡すとともに、宝玄仙の黒髪を引っ張って、強引に自分に向けさせた。
宝玄仙の口には、言葉が喋れないように、小さな穴の空いた丸い球体を噛ませて顔の後ろで縛って外れないようにしている。
穴から糸の引く大量の涎を垂れ流している宝玄仙が必死の様子で鼻息をしつつ、鳴智を憎々しげに睨む。
「なんだい、その生意気そうな顔は――。そら、悔しければ少しでも我慢してみな、変態女――」
交代した女に宝玄仙の尻責めを始めさせ、鳴智は吊られていれ宝玄仙の前に前に回って、尻責めに使わせている油剤の壺に指を入れて、たっぷりと油剤を指にまぶして、肉芽をいじりだす。
「んふうっ、んんんっ、んんんっ」
前後責めを受ける宝玄仙が泣くような声をあげて、またまた悶えだす。
それにしても、この鳴智という少女……。
この宝玄仙を相手になかなかの女調教師ぶりだ。
三箇月間、宝玄仙の調教を受け続けたということだが、実際には根っからの嗜虐性なのだと思う。
それが、三箇月も性奴隷のように扱われ、怒りが脳天に達しているようだ。
この女は使えるな……。
立場が逆転した鳴智と宝玄仙の様子を眺めつつ、このまま鳴智を宝玄仙の調教役にしてもいいなと考えた。
「んんん、んんっ」
宝玄仙ががくがくと震えて、早くも絶頂の兆しを示しだした。
もう十回以上も達しており、身体が異常に敏感になっているようだ。また、おそらく全身は脱力状態と思う。
特に尻責めには弱いようだ。
眺めていれば、それは明らかだ。
「んぐううううっ」
口に丸い球体を入れられている宝玄仙が裸身を跳ねさせた。
実のところ、さっきから鳴智が女たちに使わせている油剤は、強力な媚薬でもある。
それを繰り返し塗り足される宝玄仙の身体は、いまや狂ったような官能の猛威に晒されていると思う。
「んふうっ」
そして、達した。
宝玄仙の身体が脚を拡げたまま、がくりと垂れ下がる。
すると、鳴智が桃源に視線を送って、合図のような仕草をする。
「これで一巡です、闘勝仙様」
すると、闘勝仙同様に、鳴智が宝玄仙を責めるのを見守っていた桃源が恭しく頭をさげた。
「ならば、次に二巡目だ。次からは絶頂させた後で、十発ずつの鞭打ちだ。終わった者から追い出せ」
「はっ」
桃源が恭しく頭をさげた。
鳴智が再び宝玄仙の髪を掴んで、自分に向けさせる。
「聞いた通りだよ、宝――。嬉しいだろう? 全員に鞭打ってもらえるよ……。さあ、お前らは支度しな」
鳴智が宝玄仙の髪を掴んだまま、女たちに向かって、大きな声をあげた。
*
闘勝仙の前で、宝玄仙への責めの二巡目が続いている。
今度は、絶頂をさせたら鞭打ちである。
すでに、八人まで終わった。
宝玄仙を責め終わったその八人は、すでに金粒を持たされて放り出された。今日のうちに、帝都の外門を出ていなければ、やはり、西域に売り飛ばすと言っているので、今頃は慌てて旅支度をしているはずだ。
「ほ、宝玄仙様、申し訳ありません。お別れです……」
がくがくと絶頂をしたばかりの宝玄仙に、九人目の女中が乗馬鞭を手に取り、宝玄仙の裸体を打ち始める。
もはや、抵抗する力もない宝玄仙は、それを諾々と受け入れる。
そして、十発が終わる。
「ご苦労さん。じゃあ、そこにある金粒の袋を持って、出ていくのよ。このことを口外するんじゃないわよ。もっとも、口外したってどうしようもないだろうけどね」
鳴智が女に言った。
そして、がくりと顔を垂らしている宝玄仙の陰毛をつかむと、無造作に引き抜いた。
「んぎいいいっ」
宝玄仙が目を見開いて悲鳴をあげた。
「勝手に目をつぶるんじゃないよ。さもないと、また陰毛をむしるよ――。ほら、悔しいかい、宝玄仙? 長年使っていた女たちに、次々に責められて、鞭でぶたれるのは?」
さすがの宝玄仙も、鳴智に応じる気力はないようだ。
それはそうであろう。
もう、数刻も休むことなく責められ続けている。達した回数は、二十じゃ足りないはずだ。
気を失った回数も三回だ。
そのたびに、鳴智に頬をはたかれている。
そして、今度は陰毛むしりか……。
なかなかに冷酷な娘のようだ。
「行きなさい……」
桃源が役目の終わった九人目に声をかけた。
女が泣きそうな顔で部屋を飛び出ていく。荷をまとめて館から立ち去るためだ。
最後の女中の番になった。
ほかの女は知らないが、闘勝仙はこの女中の名だけは記憶している。
宝玄仙が一番お気に入りの女中であり、もちろん、宝玄仙とは身体の関係でもある。
その恵圭に鳴智が張形を渡した。
「やっぱり、もう嫌です、宝玄仙様を裏切るなど――」
恵圭が鳴智の持たせた張形を投げ捨てた。
「お前の名は?」
闘勝仙は、椅子に腰かけたまま、その恵圭を睨んだ。
名は知っているが、確認のようなものだ。
「恵圭です……」
恵圭が震える声で言った。
「よいのか? 西域に連れていく奴隷商人に売り飛ばすぞ? 二度とは戻れんぞ?」
「お、お世話になった、宝玄仙様を裏切れません」
宝玄仙がなにかを叫んでいる。
だが、口を塞がれているために、なにを叫んでいるのかわからない。
「いいの、恵圭? 西域なんて、妖魔の巣よ。そんなところに売られたら、あっというまに死んでしまうわよ。妖魔の相手をさせられるのよ。そこまでの義理があるの? この変態巫女に?」
鳴智が呆れたというような声をあげた。
「お、お前には、宝玄仙様のことがなにもわかっていないのよ、鳴智――。こんなことして、恥知らず――」
恵圭が鳴智の頬を張った。
すると、鳴智が恵圭の頬を張り返した。
恵圭の身体が崩れ落ちた。
その恵圭を闘勝仙は、道術で床に張り付けた。
恵圭が床に押し潰される苦痛に悲鳴をあげる。
そして、床から一度浮きあがらせて、くるりと反転して今度は仰向けに床に張りつけられた。
その身体がずるずると動いて、丁度、宝玄仙の股間の真下に来る位置で再び固定をしてやる。
「宝に浣腸をしてやれ」
闘勝仙は指示をして、鳴智に宝玄仙の尻穴に浣腸液を注がせた。
ももとも、女たちがいなくなったら、浣腸責めの予定になっていた。だから、準備をしてあった。
鳴智が浣腸器をとって、宝玄仙の尻穴に注ぎ込む。
「んんっ、んぐう……」
宝玄仙がぶるぶると震えて、苦しみだす。
しかし、一回目の浣腸液の注ぎ込みが終わると、鳴智はすぐに二回目を開始した。
そして、三回……。
吊られている宝玄仙の下腹部がぽこりと膨らんだ。
「鳴智、宝玄仙の口に嵌っているものを外してやれ」
すぐに宝玄仙の口が解放される。
「お、お前……たち……。しょ、承知……しない……からね……」
宝玄仙が喘ぎ喘ぎに言った。
「それよりも、お前の足の真下には、お前を裏切ることを拒否した恵圭の顔があるんだからね。その恵圭の顔の上に、糞便を巻き散らすんじゃないよ」
そう言って、鳴智が宝玄仙の肛門を指で擦りはじめた。
「なっ、なにを……ひいっ」
宝玄仙は、感極まった声をあげた。
だが、糞便と聞いて、宝玄仙の股間の真下に張りつけられている恵圭がぎょっとした表情をした。
「や、やめてぇ」
恵圭が悲鳴をあげる。
闘勝仙は恵圭の顔を道術で固定して動かせないようにした。
恵圭の顔が恐怖に染まるのがわかった。
一方で、宝玄仙も苦痛に顔を歪める。
「恵圭、この宝玄仙に大量の浣腸を施したのは見ていたわよね……。つまり、お前の顔は、いまにも大便を洩らしそうな宝玄仙の真下にあるということさ。こいつが大便を洩らせば、どうなるかわかるわよね?」
鳴智が言った。
「ひっ、いやあああっ」
恵圭が驚いて、顔の前を自分の手で覆った。
その手を闘勝仙は道術で取り払う。
それだけではなく、大きく口を開いて閉じられないようにした。
「ああぁ、ああぁぁ――」
恵圭が口を開けたまま悲痛な叫びをあげた。
「や、やめておくれ」
闘勝仙のやったことに気がついた宝玄仙が、血の気を失った顔でひきつった。
もう、限界に近いだろう。
その状態にある肛門を鳴智が刺激を加え続けている。
肛門の真下には、口を開けている恵圭の顔だ。
「宝玄仙よ、恵圭をどかして欲しいか?」
闘勝仙は静かに訊ねた。
「か、彼女を……許してやっておくれ、お願いだよ」
宝玄仙は身悶えしながら叫んだ。
その間も、鳴智はの肛門をなぶり続けている。
「だったら『盟約の紐』だ。拒否すれば、お前が糞尿を撒き散らすまで、鳴智は肛門をなぶり続けるぞ」
「そうよ、宝玄仙。お尻の弱いお前がこんなことにいつまでも耐えられるわけがないでしょう? 恵圭の口に中に糞便をしたくなければ、早く、誓うのよ」
「あ、わかったから、やめておくれ、もう…」
宝玄仙は歯を噛み鳴らして震えながら言った。
鳴智が肛門から手を離した。
これ以上の刺激は危ないと思ったのだろう。
宝玄仙の全身は脂汗もまみれている。
すでに二十回は気をやっていて、肛門を締め付ける体力などないはずだ。
ここまで耐えられたのが奇跡に近い。
「誓ってもらいたいことは簡単だ。お前は俺に犯されて身体を許すことを受け入れる。つまりは、俺の一物がお前の膣をほじり、精を放つことを受け入れるのだ。それが条件だ。それが終わるまで、お前は俺と俺の示す者に対して、いかなる道術も遣えない。それだけだ」
「わ、わかった。受ける……。だ、だけど、恵圭を……恵圭を解放してあげておくれ……」
『盟約の紐』というのは、いわゆる道術による契約行為であり、そのもっとも簡易なものだ。
だが、契約者が闘勝仙と宝玄仙という稀代の道術師ふたりなのだから、結びつく霊気も強力だ。
誓いを破ることは、事実上不可能だろう。
しかし、命を脅かすほどの契約はできないので、道術による約定としては軽い方ということと、結ぶ契約が、闘勝仙が一度宝玄仙を犯すだけなので宝玄仙としては、受け入れ易いはずだ。
案の定、あっさりと宝玄仙としては、受け入れた。
闘勝仙は、ほくそ笑んだ。
「それは二つ目の契約だな……。とにかく、さっきの盟約を結べ。お前はわしに犯される。犯され終わるまで、わしとわしの示す者にいなかる術も遣えない。その代わり、一度犯されれば、盟約は破棄され、お前に飲ませた薬の解毒剤もやろう。術に対する縛りもない。わしとお前の関係はなにもなしだ」
「……む、結ぶよ」
宝玄仙は言った。
宝玄仙とすれば、いまの状態でも、闘勝仙が犯そうと思えば、抵抗はできない。
いまさら、身体を奪われることくらいは覚悟しているはずだ。
一度、身体を許せば、解放すると約束すると言ってくれているのだから、宝玄仙からすればむしろありがたいはずだ。
術の縛りが、お互いの身体に走るのがわかった。
闘勝仙は満足した。もうひとつだ。
「は、早く。早く――。え、恵圭を」
宝玄仙の下では、まだ、恵圭が口を開けたまま悲鳴をあげている。宝玄仙の呻きもいよいよ切羽詰ったものになってきた。
「そうだな。では、恵圭を解放するための道術契約だ……。もうひとつの約定だ……。お前は、さっきの『盟約の紐』が終わるまで、俺の術を受け入れ続ける。お前の術返しは、俺の術に限りに無効になる。たとえ、お前の結界の中であってもだ」
これは、どうだろう?
宝玄仙も一度犯されるまでの我慢とはいえ、闘勝仙が術を受け放題になるのは嫌だろう。
「……え、恵圭が、お前と一緒にいる状態では……駄目だ。え、恵圭を追い出しな……。手放すことが……すべての絶対条件……。恵圭を手放すこと……。そうでなければ、なにもお前はできない……」
宝玄仙の顔は真っ白だ。
もう、限界に違いない。
それを盟約に含ませることで、先に恵圭を解放させるつもりだろう。
「いいだろう。結ぶ」
「む、結ぶよ……」
二つ目の盟約も結ばれた。
『盟約の魔術』は絶対だ。
闘勝仙は、宝玄仙の真下の恵圭を解放した。
身体の自由を得た恵圭が、宝玄仙の下から転がり出る。
開けっ放しだった顎がつらそうだ。
口の周りは涎で汚れている。
「や、約束が違うじゃない――。も、もう少しで、こいつの大便を口に入れられるところだったわ。ひ、酷いですよ。闘勝仙様、それに桃源」
「まあ、そう言うな、恵圭。お前を護ろうとして、宝玄仙様は、『盟約の紐』を受け入れたのだ。そうでなければ、簡単には同意しなかったでしょう」
桃源が笑った。
「その代わり、礼金は上乗せしてもらうわよ、桃源。お前も、お前だよ、鳴智。思い切り頬を張りやがって痛かったよ」
「悪かったわね、恵圭さん。だけど、恵圭さんも真に迫っていたじゃない。あんたを護ろうと、宝玄仙は、闘勝仙様に犯されるという約束も、闘勝仙様の道術に対して術返しが無効になるという約束までしたのよ」
鳴智も笑った。
宝玄仙が蒼白な顔で呆気にとられている。
「ど、どういうことだい?」
宝玄仙が、急に悲壮感のなくなった恵圭と鳴智の顔を交互に視線を移す。
「……も、もしかして、ぐるなのかい、お前ら?」
「そういうことです、宝玄仙様。ごめんさないね……。宝玄仙様を追いつめるのに協力してくれと頼まれたの。宝玄仙様に恨みはないけど、礼金もよかったし……。お金に目がくらんじゃいました」
恵圭の声はあっけらかんとした声だ。
宝玄仙はびっくりしている。
それはそうだろう。
宝玄仙は、いつの間にか味方だろ思っていたありとあらゆる周りの人間に裏切られていたのだ。
執事の桃源――。
奴隷の鳴智――。
そして、愛人にしていた女中の恵圭――。
このすべてが、一致協力して、宝玄仙を闘勝仙に売り渡すために画策していたというわけだ。
「じゃあ、行くわね。桃源殿。あたしの取り分を頂戴」
恵圭は立ち去ろうとした。
それを闘勝仙は留めた。
「待て、そんなに急ぐ必要はないだろう。お前が渡した宝玄仙への引導だ。最後のひと押しをしていけ」
闘勝仙は言った。
恵圭が首を傾げた。
「どうするのです?」
「宝玄仙はもう排便したくて仕方がないはずだ。だから、餞別代わりに、お前も、薬液を追加してから行け」
「ちょ、ちょっと待っておくれ。お、お願いだよ。こ、これ以上は――」
宝玄仙は逆上したような声をあげた。
闘勝仙がなにを恵圭に命じたのか理解したのだ。
もう限界を超えている宝玄仙にさらに浣腸液を追加しろと闘勝仙は言ったことで、宝玄仙は完全に狼狽した。
恵圭が鳴智から浣腸器を受け取る。
「ち、畜生。と、闘勝仙――。ふ、ふざけるなあっ。さっさと犯して帰れええ。ここまでわたしを愚弄することはないだろう――」
宝玄仙は泣き叫んだ。
「そう言うな、お前のような女を辱めること……。それだけがわしの愉しみなのだから。わしの一物はもう役に立たんでな」
「なっ?」
宝玄仙は驚いてる。
「……だから、役に立たんのだ……。従って、残念だが、お前を犯すことはできん。こうやって、いい女を見つけては、冷酷にいじめることだけがわしの性欲の発散方法なのだ。射精なしでな……。特に、お前のような気の強く、才能のある女がそうやって、泣き声をあげるのがなによりの愉しみなのだ」
「お、犯せない……? 役に立たない? 精を放てない? ちょ、ちょっと、待ってよ。だったら……」
宝玄仙の表情が本当に悲痛なものになった。
「そういうことだ、宝玄仙。最初の盟約だが、わしがお前を犯すまでは、わしに術は遣えんのだったな。だったら、永遠にお前はわしに術は遣えん。そして、ふたつ目の盟約は、最初の盟約が成就するまで、お前は、わしの術を受け放題だったな。ならば、同じく、永遠にお前は、わしの術から逃れられんというわけだ」
闘勝仙は大笑いした。
宝玄仙は真っ青になった。
一度精を受ければ、終わりという盟約のつもりだったはずだから、永続性のある契約であると悟り、顔がひきつっている。
「き、汚いぞ。い、いや、やってみてはどうなんだい? わ、わたしがなんとかするよ。わたしの性の技で……」
宝玄仙もだんだんと結んでしまった盟約の内容の重大さに気がついたみたいだ。
闘勝仙が一度、宝玄仙を犯すのを我慢すれば、闘勝仙の罠から脱出できるが、逆に、犯されない限りに、宝玄仙は闘勝仙の「玩具」のままだ。
そして、闘勝仙は宝玄仙を犯すつもりはない。
これで、宝玄仙は術に無防備になった。
あとは、徹底的に調教して心を折り、永遠に解けることのない闘勝仙の「呪い」を受け入れさせるのみである。
「それよりも、恵圭、早く、浣腸液を追加してやれ。宝玄仙が、物欲しそうに尻を揺らしておるわ」
「え、恵圭。や、やめな――」
宝玄仙は首を仰け反らせて呻くように言った。
恵圭は、そんな宝玄仙に容赦なく、追加の浣腸液を注ぎ込んだ。
「さて、美貌の八仙の排泄姿を皆で拝もうか」
闘勝仙は、真っ蒼な顔の宝玄仙の前に立った。
桃源、鳴智、恵圭も、宝玄仙を囲んで立つ。
宝玄仙は美しい顔をしかめて、歯ぎしりをしている。
「もう、限界なのではありませんか、宝玄仙様。足の下に桶をあてがいましょう」
桃源が準備してあった木桶を宝玄仙の開いた股に、木桶を置こうとした。
「駄目よ、桃源様。ちゃんとお願いさせなきゃ」
鳴智がくすくすと笑った。
「宝玄仙、三箇月間、嬲り者にして申し訳ありませんでしたと、その鳴智に謝って、木桶をあてがって貰え」
闘勝仙は言った。
もう、限界を遥かに通り過ぎて、腹の中を抉るような苦しさであろう。
宝玄仙は、もうどどうでもいいようだ。
鳴智に向かって悲痛な表情で口を開いた。
「……な、鳴智――。も、申し訳――」
「わたしのことは、鳴智様とお呼び」
「ぎひいっ」
鳴智が宝玄仙の乳首を捩じったのだ。
宝玄仙が悲鳴をあげた。
「な、鳴智様、もう、駄目。あ、謝る。謝ります。桶を――桶を――」
宝玄仙は叫んだ。
「待て、鏡だ、桃源」
「準備してあります」
桃源が、二枚の大きな姿見を宝玄仙の前後に置いた。
「宝玄仙、この二枚の姿見は、『映し身の鏡』という霊具でな。ここに映った光景をわしの術でいつでも再現することができるのだ。それにお前の排便姿を刻んでやろう。お前がわしに逆らえば、これを帝都の広場で繰り返し流す」
「早く、早く、鳴智様」
もう宝玄仙は、言われていることが判断できないのだろう。
血走ったような眼で叫んだ。
「ああっ」
鳴智が便器をあてがと同時に、宝玄仙が慟哭しながら、排泄を開始した。