寇員外は手拭いで沙那に目隠しをする。
「あっ」
沙那は悲鳴のような声をあげてしまった。
軽くではあるが、腕を後手に縛られ、さらに視界を奪われたことで、急に不安な気持ちに襲われたのだ。
「わっ」
孫空女の当惑の声もするから、孫空女も目隠しをされたに違いない。
「くうっ、ううっ、ああっ」
そして、すぐに孫空女の大きな嬌声が響きだした。
「な、なに? なにをされているの、孫女?」
沙那の不安感が膨れあがり、思わず沙那は声をあげた。
「なにをやっていてもいいだろう、沙那──。まずは、孫空女の番らしいよ。お前はそうやって、そこで待っていな──」
宝玄仙が笑った。
「あはあ──」
孫空女の声が周囲に響きわたっている。
寇員外と孫空女が抱き合っているのは、沙那のそばだ。
肌と肌が擦れ合う音とふたりの身体で湯が弾ける音が、すぐ近くから聞こえてくる。
そして、孫空女の息は、すでに荒い。
あれは、短い時間で一気に快楽を呼び起こされてしまったときの反応だと思う。
なにをされているのかわからないが、もしかしたら、寇員外はとても愛撫上手なのかもしれない。
「孫空女殿も、とても感じやすいようですね……。しかも、少し露出癖もあるかもしれませんね。見られながらするのは興奮しますか……? ふふふ……」
寇員外がそんなことを言っている。
宝玄仙がそんなことまでわかるのかと感嘆している。
沙那も少し驚いた。
確かに、孫空女はそういう部分はある。
だが、寇員外はただ、孫空女を普通に抱いているだけのはずだ。
なぜ、そこまでわかるのだろう……?
「そ、そんなこと言わないでよ……。あっ、ああっ──」
孫空女があられもない声をあげた。
それにしても、孫空女の乱れぶりは尋常ではない。
「これは大した前戯も必要ありませんね……。では……。孫空女殿は、こうやって、皆さんに見えるように抱いてあげましょう。後ろを向いてください……。前に屈んで……」
寇員外がそう言って、孫空女と立たせたようだ。
言葉から判断して、寇員外は孫空女をほかの者に身体を向けるようにさせて、立位で後ろから犯すようにしているのではないかと思う。
ただ、目隠しをされている沙那には、それはわからない。
とにかく、目隠しをされてなにも見えないのに、すぐ横で孫空女が犯されている。
そう思うと、沙那は異常なほどに自分が動揺しているのがわかった。
そのとき、乳首を誰かがひょいと触った。
「ひゃああ──」
不意のことだし、予想もしていないかった。
沙那は悲鳴をあげて、その場にしゃがみ込んだ。
「だ、誰よ──?」
沙那は声をあげた。
だが、返事の代わりに、今度は脇腹をつるりと撫ぜられた。
「はううっ」
さざ波のような疼きが全身に走り、沙那は身体を打ち震わせた。
「……ふふふ、私ですよ、沙那殿……。放っておいては可哀想だと思いましてね……。でも、予想もしない刺激は効くでしょう?」
「こ、寇員外殿?」
びっくりした。
寇員外は孫空女を抱いているものと思っていたので、まさか、沙那に触れてくるとは思わなかった。
「……でも、しばらく待っていてください」
寇員外がそう言った。
「そ、そんな、ど、どこに行くのさ……。こ、怖いよ……。あ、ああっ」
今度は孫空女が声をあげた。
「どこにも行きませんよ、孫空女殿。ただ、沙那殿の横に来ただけです。さあ、始めますよ」
寇員外が沙那のすぐ隣に来たようだ。
「はあう、はあっ──」
孫空女が激しい喘ぎ声をあげだした。沙那のすぐ横だ。
寇員外は意図的なのか、かなり荒々しく孫空女を犯しているようだ。
寇員外が腰を孫空女の腰に当てる音がぺしぺしと聞こえる。
その音に合わせるように孫空女は吠えるような声をあげている。
官能の悦びに浸っている孫空女の性行為の声と音を、目隠しをしたまま聞かされるのは、とても異様な気持ちだ。
目が見えなくて感覚が研ぎ澄まされている分、音が異常に五体に影響を与える気がする。
すぐ横で孫空女の悶え声を聞かされて、沙那はそれだけで全身が痺れたようになってきた。
「い、いくうっ、いくうう──」
やがて、孫空女がひと際高く叫んだ。
孫空女が達したのはそれからすぐだった。
「……これは素敵だ。感じやすい素晴らしい身体ですね……」
寇員外が笑ったのがわかった。
孫空女は達したようだが、それで許されるわけではなかった。
寇員外はさらに責めたてて、孫空女を二度、三度と達しさせてから、やっと、孫空女に精を放ったようだ。
「……最高でした、孫空女殿……。唇を奪ってもよろしいですかな……」
「う、うん……」
孫空女の苦しそうな声がして、ふたりが沙那の横で口づけをかわしだす。
ねちゃねちゃと唾液と舌が混じり合い、擦れ合う音がする。
やがて、どぼんと大きな湯の音がした。
「あっ──」
いきなり、身体が前から抱きすくめられた。
それが寇員外というのはわかった。
股間に寇員外の手が当たっている。
沙那は寇員外によって、湯の中に引き入れられて、寇員外の前にしゃがむようにされたと思う。
しゃがんで開いている脚の付け根に、寇員外の指が刺激を加えだした。
「あはああ──」
よくわからないが、まるで溜まっていたものが一気に解放させられたような気がした。
横で孫空女が抱かれるのを眼隠しをして接していて、すっかりと気が昂っておかしくなっていたのだと思う。
沙那は自分でもどうすることもできない淫情のうねりに巻き込まれ、途方もない快感に包まれた。
そして、拡がっていく感覚に沙那は当惑していた。
自分でも信じられないくらいに、すでに身体が欲情している。
圧倒的な勢いで押し寄せる愉悦に、もう沙那はわけがわからなくなりかけていた。
迸りかけている歓喜の予兆に、沙那は身体を震わせた。
寇員外は巧みだった。
股間を責めていたかと思うと、不意に乳房を責められたり、そうかと思えば、脇や横腹や臍、あるいは、内腿など予想もしない場所をちょこちょこと責める。
目隠しをしている沙那を翻弄しておいて、沙那の備えがなくなったところを見計らって、股間を本格的に愛撫したりする。
とにかく、ひたすらに、沙那は翻弄された。
おそらく、孫空女もこれをやられて、あっという間に感極まったのだと思う。
そして、いまも、しばらく上半身をねっとりと責められて、胸だけで達しかけていた沙那に、寇員外は不意打ちのように、手を沙那の後ろにやって菊座を責めてきた。
「ふううっ」
沙那は全身をのけ反らせた。
「あんっ──」
次の瞬間、沙那はびっくりして甘い声をあげた。
指で後ろから沙那のお尻の愛撫を続けていたと思った寇員外が、ぐいと沙那の身体を引き寄せて、不意に寇員外の怒張を沙那の女陰に割り込ませてきたのだ。
さっき孫空女の中に放ったばかりのはずの寇員外の一物は逞しかった。
寇員外の一物の先端は、驚くくらいの舐めらかさで、沙那の子宮近くに到達した。
「あ、ああっ、ああ……」
沙那は大きな呻き声を発した。挿入されただけで、腰が砕けそうになった。それをしっかりと寇員外が支えてくれた。
「はんっ、はん、はんっ」
律動が開始された。
沙那は声をあげた。
甘美感が弾ける。
二度、三度と寇員外の怒張が沙那の膣の内側を擦る……。
さらに四度目……。
五度目……。
沙那の女陰の入り口部分から膣の最奥までが強く擦りまくられる。
それだけで、沙那はなにも考えられなくなる。
律動の数が増すにつれて、快美感がどうしようもなく昂ぶる。
「んはあああっ、はうううう」
沙那はついに悶絶してしまった。
脳を溶かすような衝撃で快感が爆発していく。
「本当に素敵な身体だ、沙那殿……。いつまでもこうやって味わい続けたいものですね」
「だ、だめえ、い、いっているの──。いっているのよ──」
沙那の身体は絶頂に達していた。
しかし、寇員外の腰はまったく変わらない速度で動き続けている。
まるで、まだまだ、かなりの時間をこうやって続けるつもりだと言わんばかりだ。
それが沙那に恐怖を与える。
このまま続けられたら、沙那の身体はどうなるのか……?
その恐怖だ。
一度、随喜の頂点に達した沙那だったが、寇員外の男根の刺激によって、再び快感の頂点まで引きあげられた。
「いぐううううっ」
そして、また達する。
だが、寇員外の責めは終わらない。
沙那が達することなど関係ないとばかりに、淡々と責め続けてくる。
達するが、巧みな責めで沙那の身体の昂りはどこまでも上昇してしまう。
目隠しをされて神経が研ぎ澄まされるせいか、沙那の身体に桁違いの快感が襲う。
異常なまでの身体の感度に恐怖さえ覚える。
「いやああああっ、ああああっ」
絶頂が四回目になったとき、あまりの凄まじい興奮に沙那は泣き出してしまった。
しかし、五回目の絶頂のときに、膣の中で寇員外の一物がぶるぶると震えた。
沙那の絶頂に合わせるように、寇員外が熱い迸りを子宮に放ってくれたのだ。
「くはあああっ、んふうううっ」
沙那は途方もない快楽の陶酔に酔いながら、ほっと身体を脱力させた。
「素晴らしい身体でしたよ、沙那殿……。さあ、目隠しを外しましょう」
寇員外は怒張を沙那から抜き、沙那から目隠しを取った。
そして、寇員外が沙那の唇を寄せる。
沙那はもう呆けたようになっていて、なにも考えられずに口の中を寇員外に蹂躙されるに任せた。
やがて、唇を離されたときには、寇員外の身体にもたれかかるよに抱きついてしまった。
「大したものだよ、寇員外──。感じやすいこいつらとはいえ、たった一度の性交でここまで飼い馴らすんだからね」
そのとき、宝玄仙が不意に言った。
やっと、周りが見えるようになってきた。
あまりにも寇員外に圧倒されてしまい、少しのあいたみんなと一緒だということさえ忘れていた気がする。
そう思うと急に羞恥が込みあがってきた。
「す、素敵でした、沙那様、孫様……。わたくしも、いつかおふたりのように素敵な大人になれるでしょうか……?」
素蛾が賞賛の言葉を発した。
でも、よがり狂っているのを見られて、それが素敵だと称されても嬉しくない。
「でも、参考にはならなかったでしょう、素蛾? ふたりとも、なんにも寇員外様にはしなかったものね」
朱姫が素蛾に言った。
「ほ、放っておいてよ……」
沙那は荒い息をしながら言った。
「それにしても、まだまだ足りない雰囲気じゃないのかい、寇員外? 遠慮なく抱きつぶしていいんだよ」
宝玄仙が言った。
沙那はふと寇員外の一物を見た。
確かに、まだ逞しさはなくなっていない。
すでに、孫空女と沙那に一回ずつ射精しているはずだ。
寇員外の年齢であったら、もう限界ではないかと思うのだが……。
「いやいや、すっかりと満足しました、宝玄仙殿。孫空女殿も沙那殿も素晴らしい身体でした。これまでの女性たちの中でも、最高級の女性です……。それに、食事ときにも言いましたが、私は少し精力が強すぎるのです。私が最後までやってしまえば、女の方を壊してしまいます」
寇員外が苦笑して言った。
「それは問題ないさ。こいつらは大した性の技はないけど、身体が丈夫なのだけは取柄でね……、遠慮なく抱きつぶしな」
宝玄仙だ。
「なにをおっしゃっているのです。おふたりとも、素晴らしい性技でしたよ。女陰の二段締め、三段締めの強さなど、この私でさえも、思わずあっという間に、精を出しそうになりましたからね」
寇員外が笑った。
二段締めに三段締め……?
そんなことしたのだろうか……?
沙那はぼんやりと聞いていた。
「いいから、いいから──。とにかく、お前自身が本当に満足するまで、こいつらを抱きな──。いいね、お前ら──」
宝玄仙が沙那と孫空女を睨んだ。
「は、はい……」
「う、うん……」
仕方なく沙那はうなずく。
孫空女も渋々という感じで返事をした。
実際のところ、沙那はもう疲労困憊だ。孫空女も同じような感じだ。
「なるほど……。では、次は、このわたしが
沙那と孫空女は、湯の縁に並んで身体をうつ伏せに倒された。
ふたりとも手首の拘束はまだ解かれていない。
その状態で尻を並べて、脚を開いて、寇員外を待ち受ける態勢になる。
「では、始めますよ……。鶯の谷渡りです」
寇員外が陽気な声をあげて、いきなり沙那の股間に怒張を突きたてた。
「ひっ、ひいっ、あ、ああっ、あっ」
不意に始まった律動に沙那は声をあげた。
静かになりかけていた快感が一気にせりあがる。
しかし、数回律動しただけで、すぐに寇員外は離れた。
そして、隣の孫空女の股間を犯しだす。
「はうっ、はっ、はっ──」
孫空女も喘ぎだした。
だが、やはり数回で終わり、また沙那に戻ってきた。
「ああっ、あっ……」
沙那はまた声をあげた。
「なるほど、鶯のように鳴き声をあげさせながら、女の股の谷を渡るというわけかい……」
宝玄仙が愉しそうな声をあげた。
そして、寇員外の怒張が沙那からまた孫空女に移動する。
いや、寇員外の怒張が抜けると見せかけて、寇員外が一気に勢いよく深いところまで沙那の股間を強く抉った。
「あひいっ、んはああ」
沙那は突きあげられた寇員外の怒張に合わせるように腰を突きあげ、がくがくと総身を震わせて、断末魔のような声をあげてしまった。