最初の排便が終わってから、三度続けて浣腸され、宝玄仙は精根尽きたような気持ちになった。
そのあいだに、浮いていた足先は床に届くほどに、やっとさげられた。
だが、両手が天井吊られて、足環の霊具で大股開きを強要されているのは変わらない。
それにしても、これからどうなるのだろうか……?
どうしたら、この闘勝仙の罠から逃げられるのか……。
それとも、もうこの境遇から逃れる手段はないのか……。
それだけを考えていた。
「さて、そろそろ、あたしは、行ってもいいですよね」
この女も調教の終わっているはずの「玩具」のはずだった。
だが、いつの間にか、闘勝仙に買収され、宝玄仙を陥れるのに一枚噛んだ役目を果たしていた。
三箇月間、色責めにどっぷり漬けこんで、宝玄仙から逃げられない身体にしたつもりだった。
だが、結局、自分の責めの甘さを思い知った。
その挙句、このざまだ。
そもそも、屋敷を始め、財産管理のすべてを任せていた家宰の
自由を奪われただけでなく、八仙となるまでに貯めた財の全ては、もはや奪われてしまっている可能性が高い。
そして、宝玄仙は、八仙という天教の最高幹部にして、闘勝仙の奴隷に成り下がってしまったというわけだ。
「そうだな……。確かに、次の段階に進むためには、恵圭には去って貰わねばならんな……。桃源――」
闘勝仙が桃源に声をかける。
「はい」
「恵圭を西に向かう奴隷商人に売り渡すように手配しろ。最終的には西域まで連れていって奴隷にするのだ。すぐにやれ」
「かしこまりました」
桃源が動揺した様子もなく返事をした。
そして、宝玄仙の見ている前で、驚愕している恵圭になにかを投げつけた。
「えっ?」
恵圭は呆然としている。
宝玄仙も呆気にとられた。
恵圭に投げられたのは、彼女を拘束するための縄だ。
霊具であり、勝手に恵圭に巻きつきだした縄は、あっという間に、恵圭を雁字搦めにして身動きできなくした。
「きゃあああ」
恵圭が悲鳴をあげる。
手足を胴体に縛られた恵圭が床に転がった。
「や、約束が違うわ。ほ、宝玄仙様を陥れることに協力したら、大金持ちにして、故郷に戻してくれると言ったじゃない」
恵圭が叫んでいる。
宝玄仙も驚いた。
恵圭が闘勝仙側の一味だと思っていたのだ。
それをなぜ、闘勝仙は奴隷商人に売り飛ばそうとしているのか。
「済まんな、恵圭。事情が変わったのだ」
「じ、事情とはなんですか、闘勝仙様?」
恵圭の悲痛な叫びが屋敷に響く。
「二つ目の盟約を成立させるためには、お前をわしは手放さなければならん。それが条件となったからだ。お前が礼金を貰って故郷に行っては、わしがお前を手放したことにはならん。それでは、居場所が変わるだけで、お前が、わしの手の者になったという事実は変わらんからな」
「えっ、えっ、えっ?」
恵圭は全く何を言われたか、わかってないみたいだ。
しかし、宝玄仙は、盟約の際に交わした言葉を思い起こして、闘勝仙がなにを言わんとしているのかわかってきた。
つまりは、宝玄仙が確実に、恵圭を守ろうとした条件が、逆に恵圭を追い詰めることになったのだと思う。
「……つまり、わしが、お前を奴隷商人に売り渡して初めて、“手放した”という状態になるということだ。それが成立すれば、この宝玄仙にわしの術がかけ放題になる」
闘勝仙が淡々と言った。
恵圭は泣き叫んでいる。
その口を桃源は霊具で塞いでしまった。
声の出なくなった恵圭の身体を軽々と担いで、桃源は屋敷を出ていった。
「……ほ、本当に、恵圭を西行きの奴隷馬車に乗せるのかい……?」
いまだに天井から吊られて拘束されたままの宝玄仙は言った。
「お前が心配することではない、宝」
「……そうだね」
多分、売り渡すのだろう。
偶然だが、恵圭を闘勝仙から護ろうとして、逆に、恵圭が不幸になる理由を作ってしまったのだ。
だが、それほどまでに『盟約の紐』で結ばれた約束は絶対なのだ。
とにかく、闘勝仙が宝玄仙を犯さなければ、一生、宝玄仙は、闘勝仙に逆らえない人形に成り果てる。
たとえ、宝玄仙の道術の力が上回ろうとも、宝玄仙は闘勝仙に術が遣えず、逆に、宝玄仙は闘勝仙の術に逆らえない。
「……わ、わたしを支配できて、満足かい、闘勝仙?」
宝玄仙は闘勝仙を見た。
次の瞬間、尻に激痛が走った。
宝玄仙の尻が乗馬鞭で打たれたのだ。
叩いたのは鳴智だ。
「ひいいっ」
宝玄仙は悲鳴をあげた。
「口の利き方に気をつけなさい、宝玄仙。お前は、まだ、闘勝仙様と対等のつもりなのかい。お前は、闘勝仙様はおろか、この屋敷の執事の桃源様よりも、このあたしよりも最下層の生き物だ。わかっているのかい」
そして、もう一度、尻を叩かれた。
宝玄仙は歯を食い縛って、その激痛に耐えた。
「もうよい、鳴智。いいのだ。屈服していようと、してなかろうと、これから宝玄仙は永遠にわしの嗜虐物になった。できれば、少しでも長く抵抗し続けて欲しいものだ。簡単に屈服してしては面白くないのでな」
闘勝仙は言った。
「はい」
鳴智が頭をさげる。
「ところで、そろそろ来るころかな?」
闘勝仙が呟くように言った。
なんのことだろうと考えていると、屋敷の玄関が開いて、誰かが入ってきた。
複数の男たちのようだ。
しかし、宝玄仙は、入り口に背を向けるようにされていたので、誰が入ってきたのかわからない。
とにかく、複数の男の足音に宝玄仙は総毛だった。
宝玄仙は両手を天井から吊られて、全裸で大きく足を開いた姿で立たされているのだ。
「おお、これはいい眺めだ」
「まったく、巫女服もいいとは思っていたが、それを剥いた姿がこれほどまでとは思わなかった」
入ってきた男たちは、宝玄仙のすぐ後ろに立ち、背後から宝玄仙の裸身を眺めまわしだした。
宝玄仙は、それが誰の声であるのかがすぐにわかった。
闘勝仙の取り巻きのふたりであり、同じ八仙の
あまりいい評判を耳にしないふたりであり、宝玄仙に言わせれば、腰巾着“一号“”二号”だ。
同僚である彼らまで、惨めな姿を見られたのだと思うと、悔しさが火の玉のように込みあがる。
しかし、この言語に絶する屈辱的な姿を隠す方法はなく、屈辱に宝玄仙の全身は、小刻みに震えてきた。
「ふざけるな――。な、なんで、お前らがここに来るんだい?」
宝玄仙は背中側にいるふたりに向かって叫ぶ。
「もちろん、お前と遊ぶためさ、宝玄仙」
ふたりのうちのどちらかの指が宝玄仙の肛門の入口に触れた。
そして、寸刻みで指を中に挿し込んでいく。
「いひいっ」
心構えのできていなかった宝玄仙は嬌声をあげてしまった。
そもそも、少し回復してきたとはいえ、女たちによる張形責めによる連続絶頂で、宝玄仙の肉体は快感の疼きが暴れ狂っている。
「ほう、随分といい声で鳴きますね、この宝玄仙は」
身体の前に出てきて肉芽を摘まみ始めたのは呂洞仙だ。
だったら後ろから尻をなぶっているのは、漢離仙なのだろう。
さすがに前後から責められて、瞬く間に快感がせりあがってくる。
さっき女中たちに責められたときに使われた媚薬の影響も残っているせいでもあると思う。
あっという間に切羽詰った身体になってしまった宝玄仙は、自分でも恥ずかしい悩ましい声を出してしまった。
そして、その声は、どんなに耐えようとしても、口から漏れ出るのを防ぐことができない。
宝玄仙に嬌声をひとしきりあげさせると、ふたりの手がやっと離れた。
「わしは、お前を犯すことができんからな。代わりにこのふたりに来てもらった。これから、長い付き合いになるのだ。挨拶をしろ、宝」
闘勝仙が言った。
「な、長い付き合いとはなんだい?」
「お前は、この闘勝仙だけではなく、この漢離仙と呂洞仙の奴隷にもなるのだ。盟約はわしの息のかかった示す者にも、逆らわんということだった……。それだけじゃない。ほかにも指名するぞ。この屋敷の家人はすべてわしの息のかかった者に入れ替える。そのすべての人間の奴隷になってもらう。無論、この鳴智、そして、桃源の奴隷にもな……。さらに命令だ。奴隷になったことは、誰にも言うな。わかったな」
闘勝仙が、宝玄仙の髪を掴んで、宝玄仙の顔を自分の顔に向けて言った。
『呪い』だとわかった。
縛心術に似ているが、闘勝仙の呪いはもっと強力だ。
こうやって、言葉を魂そのものに刻んで、人の心や身体を操るのだ。
受け入れてはならない――。
わかっていたが逆らえない。
宝玄仙の頭に闘勝仙の『呪い』が刻まれたことがわかった。
これで、宝玄仙は、いまの境遇を誰にも喋ることはできない。
もっとも、こんな恥ずべきことを誰にも言うつもりはない。
こんなことが知られるなら、それこそ死んだ方がましだ。
「自殺も許さん」
闘勝仙が言った。
それも、魂に刻まれた。
「では、いいぞ、漢離仙、呂洞仙……。宝玄仙を愉しむがいい」
「ありがとうございます、闘勝仙様。では、さっそく……」
漢離仙と呂洞仙の手が、再び宝玄仙に伸びる。
「宝玄仙はお尻が弱点ですよ。可愛がってあげてください」
鳴智が声をかけた。
その言葉にふたりの視線が宝玄仙の尻に注目した。
肛門に指がまた挿し込まれる。
そして、激しく動かされる。
「あっ、いやっ」
痺れるような肛門の感触にすぐに宝玄仙は、啜り泣きのような声を出してしまっていた。
「おうおう、あの宝玄仙が真っ赤になって泣き始めたぞ」
「漢離仙、変わってくれ。俺も宝玄仙の尻を味わいたい」
「いいとも。じゃあ、俺は乳でも揉んでやるか。どうだ、ふたりで、尻と胸だけで、いかせてみるか、呂洞仙?」
「いいだろう」
ふたりが本格的に愛撫の刺激を加えだす。
漢離仙と呂洞仙の手管に、あっという間に宝玄仙は追いつめられた。
そして、大きな声を出しながら、この日、何十回目かの絶頂に達した。
「おお、潮を噴いた」
漢離仙と呂洞仙が手を叩いて笑った。
もう宝玄仙はあまりの恥辱と羞恥に気を失いそうだった。
「ところで、頼んだ仙薬はできたか、呂洞仙?」
闘勝仙が言った。
宝玄仙が霊具作りの才女であれば、呂洞仙は、仙薬作りの天才という二つ名を持つ。
最初に鳴智に飲まされたおかしな薬も、この男が調合したに違いない。
「もちろんです。これです。ただ、やはり、闘勝仙様の“呪い”の味つけが必要です。お願いできますか?」
呂洞仙が宝玄仙の視界にも入るように、気味の悪い緑色の液体の入った瓶を出した。
「無論だ。逆らえない呪いに変えてやろう。宝の口に瓶を咥えさせろ」
闘勝仙の言葉で、呂洞仙が宝玄仙の口の中に、蓋を開けたその瓶を突っ込んだ。
文句を言う余裕もなかった。
「お手伝いします」
鳴智が宝玄仙の髪をまたもや掴んで、宝玄仙は上を向かされた。
口でしっかりとその瓶を咥えてさせられてしまい離れない。呂洞仙と鳴智がふたりがかりで、宝玄仙の顔と液薬の入った瓶を押さえている。
もちろん、飲みくだしたくない宝玄仙は、口の中で喉に入れるまいと抵抗した。
「どんな効果があるのですか?」
鳴智が、そう言いながら、宝玄仙の鼻をつまんだ。
宝玄仙は顔を振って、鳴智の指も口の瓶も振り払おうとするのだが、万力にでも挟まれているように宝玄仙の顔は動かない。
息ができない。
宝玄仙は苦しくなる。
もう、飲みくだすしかない。
「強力な媚薬だ。これを飲むと、解毒薬を飲まなければ、いき狂いの発作がとまらなくなるのだ。一日に三千回も五千回も絶頂してしまう。苦しいぞ。それに、この薬のすごいところは、飲んだ毒が身体から抜けることがないことだ。いき狂いの発作をとめるのは、特殊な解毒剤を飲むしかない。もっとも、解毒剤の効果は、約十日だ。十日に一度、その解毒剤が必要になるのだ――。お前も飲むか、鳴智?」
呂洞仙が笑った。
随分と親しげだ。
もしかして、すでに何度も会っているのか?
ならば、桃源を通じて知り合ったのだと思う。
そして、結局、宝玄仙は、その仙薬を全部飲み干さされてしまっていた。
「冗談じゃありません。そんな哀れな女は、この宝玄仙だけで十分ですよ」
鳴智はやっと宝玄仙の鼻をつまんでいた手を離した。すべてを身体に受け入れてしまった宝玄仙は、苦しさに咳込んだ。
「呪いで薬液の影響を魂に定着させる。宝玄仙が生きている限り、宝玄仙の魂は、この毒の発作を十日に一度ごとに繰り返す。生きている限り、解毒できない。魂に刻まれた」
闘勝仙が言った。
言葉が魂に刻まれるのがわかった。
「ああ、飲んじゃったな、宝玄仙……。まあ、発作は、十日に一度くらいだ。その間に、俺たちの三人からひとりずつ解毒剤を貰い歩くんだ。わかったな」
呂洞仙が大笑いした。
宝玄仙は歯噛みした。
「じょ、冗談を言うんじゃないよ。もう、わたしが逆らえないことはわかっただろう。あんたたちの玩具にでもなんにでもなる。だけど、解毒剤くらいは、与えておくれよ」
「ところが、そうはいかないのだよな、宝玄仙……。解毒剤は、ここに置いていくことはできないんだ。お前がもらい歩くしかない」
呂洞仙は言った。
「なんでだい?」
「解毒剤は、俺たちの精液だ。そういう具合に調合した。十日に一度だ。それらの全部を十日ごとに飲むことができなければ、恐ろしいいき狂いの発作というわけだ。解毒剤を置いていけない理由がわかったか、宝玄仙」
「まあ、だったら、この宝玄仙は、精液を求めて、お三方を通い歩かないとならないわけですね? 十日ごとに」
鳴智が哄笑した。
宝玄仙は眼の前が真っ暗になる思いだった。
仙薬作りの天才である呂洞仙のことだ。その言葉の通りのものを作りあげたのだろう。闘勝仙によって、呪いの上乗せまでされている。
そうであれば、これから十日ごとに、この恥辱を受けに三人の元を回らないとならないということだ。
「な、なにを言ってるんだい――。じゃあ、闘勝仙は、どうするんだい? あれが役に立たないから、わたしを抱けないんじゃなかったのかい?」
口惜しさに宝玄仙は怒鳴った。
「わしの場合の精液は小便だ。十日に一度、わしの小便を飲みに来い、宝。さっそく、後で飲ましてやる」
もう、なにも応じる気力もない。
こいつらの精液と小便をすする立場に成り下がったのだと思うほかない。
「さて、じゃあ、そろそろ、改めてこいつの調教をはじめますか、闘勝仙様」
漢離仙が言った。
「そうだな」
「あたしも手伝っていいですか?」
鳴智だ。
「もちろんだ、鳴智。男では連続で数をやるのも限界があるしな。これから、宝玄の尻を徹底的に開発していく。ほかのどこにも触らずに、尻だけをいたぶって三日間責め抜くんだ。俺と呂洞仙で中心にやるが、お前には俺たちが休んでいる間に、道具でと媚薬で尻を責め抜いてやってくれ。三日間、眠らせずに、尻を責める。そんな調教を受ければ、さすがの宝玄仙も三日後には、尻を触られただけで、気をやってしまう尻人形になるだろう」
「この宝玄仙が、そんなに浅ましい身体になるのですか? 愉しみです。もともと、尻が弱点ですから、こいつは本当に素晴らしい尻人形になるの思いますよ」
鳴智が媚びるように言った。
しかし、宝玄仙は、そんな会話をもう他人のように聞いていた。
いや、他人事のように聞かなければ、耐えられるものじゃなかった。
「じゃあ、行くぞ。まずは、この霊具からだ」
宝玄仙の肛門の中になにかが入ってきた。
背中側で見えないが、張形のようなものだということがすぐにわかった。
宝玄仙の尻の内側で、その内襞に吸い付くように形を変化させたかと思うと、小刻みに振動を始めた。
「ふごあぁぁ」
宝玄仙は沸き起こる快感に咆哮した。
もう、何十回も頂点にのぼり詰めさせられている。
快楽に歯止めがつかなくなっている。
強烈な刺激にもう対処出来ない。
奥深い淫密な快感が背筋を這いあがって、宝玄仙の身体の芯を燃えあがらせる。
こ、こんな……。お尻が――。
「もう、いきそうか、宝玄仙。いくらでもいっていいぞ。お前は、今日から俺たちの性奴隷だ」
漢離仙が笑った。
ここにいる者たちから責めなぶられて、惨めな性奴隷になる――。
その言葉が合図であるかのように、宝玄仙の中でなにかが起こった。
気持ちがいい。
その圧倒的な快感を受け入れる宝玄仙が、宝玄仙の中に誕生した。
「い、いくううぅぅ」
身体を限界まで仰け反らせて、宝玄仙は叫んだ。