※この作品はR-18です。

嗜虐西遊記【完結】   作:ドン・ドナシアン

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713 恋の罠

「な、舐めていいのかい……?」

 

 孫空女がうっとりとした表情で言った。

 張須陀(ちょうすだ)はほくそ笑んだ。

 

 孫空女は、惚れ薬の影響で完全に陶酔状態にある。

 これで、少なくとも丸一日は、孫空女は張須陀にべた惚れの状態のはずだ。

 一種の縛心状態である。

 

 これを十日間、惚れ薬の効果を寸断させないように続ければ、惚れ薬の影響が完全に身体から抜けなくなり、歌艶や繭の母娘と同じように、もう薬剤なしに張須陀にぞっこんの状態になる。

 だが、張須陀はそこまでするつもりはない。

 高価な薬なのだ。

 

 それに、張須陀の目的は沙那であり、しかも、復讐である。

 身体ではない。

 

 沙那や孫空女の身体を愉しむのは、復讐の駄賃のようなものだ。

 第一、深入りすると、また、あのときのように大きなしっぺ返しを食うような気もする。

 多少の溜飲が下がったくらいで復讐は十分だ。

 

「これを舐めたいか、孫空女?」

 

 張須陀は笑いながら、孫空女の顔の目の前に勃起した男根を突きつけた。

 孫空女が顔を真っ赤にするとともに、ごくりと唾を飲み込む音が聞こえた。

 

「な、舐めろって、命令してよ……」

 

 すると、孫空女が恥ずかしそうな表情で小さな声を出した。

 張須陀は少し驚き、そして、思わず笑みをこぼした。

 どうやら、この孫空女は強い被虐癖があるようだ。

 この惚れ薬には、服用して最初に見た異性を猛烈に好きになってしまうという効果があるのだが、副作用として、当人の性的欲望を剥き出しにもしてしまうという効果もある。

 つまり、自分の一番欲情する性癖を相手にどうしてもねだりたくなるのだ。

 

 この孫空女は破廉恥な行為を強要されるような性交がお気に入りのようだ。

 孫空女の剛腕と武芸を以前に目の当たりにしているだけに、張須陀には意外な感じがした。

 だが、考えてみれば、あの宝玄仙の供にして性奴隷でもあるのだ。

 被虐癖が強いのは当たり前なのかもしれない。

 

 沙那を洞窟に十日間も監禁したときにも、沙那は雌犬の振る舞いを強要されることで性的な欲情をしていた。

 もっとも、あれは演技であり、それで油断を突かれて沙那の脱走を許してしまったのだが、演技でない部分もあった。

 だからこそ、すっかりと沙那が調教されてしまったと騙されてしまったのだと思う。

 

「命令されるのが好きなのか……? じゃあ、まずは口づけだ。俺への愛情を示してみろ」

 

 張須陀は椅子の手摺と脚に両手と両脚を拘束されて動けない孫空女の唇に自分の唇を重ねた。

 

「ああ、んああ、んんっ」

 

 孫空女が当たり前のように張須陀の口を吸い始める。

 しかも、すぐに舌を挿しいれてきて、張須陀の舌を舐め回してきた。

 それだけではなく、口の裏や歯茎の裏などまで舌を這いまわせてくる。

 張須陀はたじろいだ。

 孫空女の舌で痺れるような快感が張須陀に襲ったのだ。

 

「んん……」

 

 孫空女は、興奮したように鼻息を荒くしながら一心不乱に張須陀の口中に舌を這いまわらせる。

 そして、少しでも張須陀が反応した場所があれば、そこを集中的に刺激を繰り返してくる。

 これは口づけというよりは、まさに舌による口への奉仕だ。

 こんな情熱的な口づけなど、これまでどんな女にでもされたことはない。

 張須陀はすっかりと飲まれてしまった。

 

 これが孫空女の本気の口づけということだろう。

 いずれにしても、孫空女は、もう完全に惚れ薬の影響下にあるようだ。

 これなら、もう大丈夫だ。

 

「なかなかよかったぜ、孫空女……。さすがの俺も、すっかりと興奮しちまった……。さあ、縄を解いてやろう。今度は股間に奉仕してくれ……。いや、奉仕しろ」

 

 張須陀は孫空女から口を離しながら言った。

 

「う、うん……」

 

 孫空女がじっと張須陀の顔を見ながらうなづいた。

 本当に片時も目を離さないように張須陀を凝視してくる。

 こっちが気恥ずかしくなるほどだ。

 

 そのくせ、ちらりちらりと、張須陀の勃起した一物にも視線を送ってくる。

 その仕草が可愛らしくて、思わず笑ってしまった。

 張須陀が孫空女の手足の縄を解くと、すぐに孫空女は椅子からおりて、立っている張須陀の前に跪いた。

 

「ほ、奉仕するね……」

 

 孫空女は上気した顔のまま、下袴の前から出ている張須陀の肉竿に舌を這わせだした。

 張須陀の無骨な肉棒に、孫空女の美貌の顔から伸ばされた舌が動き回る。

 張須陀の怒張はあっという間に孫空女のたっぷりの唾液で覆われた。

 

「舐めながら、服を脱ぐんだ、孫空女……」

 

 張須陀は言った。

 

「んんっ」

 

 孫空女は甘い鼻息を出しながら服を脱ぎ始めた。

 まずは、上衣を脱ぎ、次いで、胸当てを外した。

 孫空女の上半身はすっかりと欲情で火照りきり、随分と汗ばんでいた。

 乳首は完全に興奮で勃起している。

 張須陀はすっと右手を伸ばして、その孫空女の乳首を下からなぞった。

 

「ふうんっ」

 

 孫空女がまるで電撃でもあてられたかのように身体をびくりと後ろに反らせた。

 その動きで張須陀の怒張は孫空女の口からこぼれ出たほどだ。

 孫空女の裸身に触れるのは初めてだが、随分と感じやすい身体をしているようだ。

 

 そういえば、沙那も触れればすぐに蕩けそうな感じやすい身体だったか……。

 張須陀は孫空女の乳首を思い切りつねった。

 

「ひぐっ」

 

 孫空女が悲鳴をあげる。

 

「誰がやめていいと言った。続けろ」

 

「ご、ごめん……」

 

 孫空女が怒張を咥え直した。

 だが、その表情にはかすみがかかったようになっていて、目元が悩ましく上気している。

 やはり、被虐性が強いのだ。

 乱暴に扱われることで、孫空女の欲情は余計に昂ぶったようだ。

 

 孫空女は首元を伸ばして、棹の裏の縫い目から亀頭のくびれにたっぷりの唾液をまぶして、音を立てるように舌腹をぶつけるように粘っこくする。

 そうかと思えば、先端の部分だけを口に含ませて優しく揉み含むように口で包んだりもしてくる。

 大した技巧だ。

 口づけも上手だったが、性器への口奉仕はさらに上手だ。

 そのあいだに、身体を窮屈そうに動かして脚から下袴と下着を脱いでいく。

 やがて、やっと孫空女は素裸になった。

 すると、本格的な奉仕が始まった。

 

「こりゃあ、堪らないな……。すごくいいぞ、孫空女……」

 

 張須陀は呻くように言った。

 孫空女が嬉しそうに目元を緩ませた。

 惚れ薬の影響により、孫空女には張須陀が愛しい恋人としか思えなくなっている。

 その男の股間を舐め、それを男が喜ぶことでさらに欲情を増進させているに違いない。

 

「んふう……あぬん……んん……」

 

 孫空女が鼻を鳴らしながら情熱的に口を動かす。

 張須陀の怒張もさらに逞しくなり、先端から汁が滲んできているのを感じる。

 

「そ、それくらいにしてもらおうか……。ははは……。さもないと、口で出しちゃうぜ」

 

 張須陀は孫空女の口から怒張を抜きながら言った。

 

「だ、出してもいいのに……」

 

 孫空女が少しだけ不満そうな顔になった。

 

「そうはいかんよ。だったら、なんのために裸になったんだ? 俺の肉棒で股間を抉ってもらいたいんじゃないのか? 精をお前の子宮にぶちまけて欲しいんじゃないのか?」

 

 張須陀がそう言うと、孫空女ははにかみような表情になった。

 

「えへ……。そ、そりゃあ……」

 

 その表情も可愛らしい。顔も真っ赤だ。

 そして、驚いてもいた。

 こんなにも、孫空女というのは可愛い女だったのかという新鮮な驚きだ。

 張須陀は、床に落ちていた縄を手に取った。

 

「縛って抱いて欲しいか? それとも、縛られずに抱かれたいか?」

 

 張須陀は孫空女の目の前に縄を突きつけた。

 十中八九、孫空女は拘束されるのを望むという確信があった。

 惚れ薬の副作用があるのだ。

 孫空女は自分が欲望を剥き出しにした性行為を望む。

 

「し、縛ってよ……」

 

 孫空女が後ろに両腕をまわして、こちらに背を向けた。

 張須陀は手慣れた手つきで、上下に組まれた孫空女の両腕に縄をかけ、さらに縄を足して乳房の上下にも巻きつけた。

 そして、首から回した縄でさらに乳房を絞り出すようにする。

 

「んふうっ」

 

 縄を強めに締めつけると、孫空女が圧迫された胸から息を吐き出した。

 孫空女の不安と緊張、そして、欲情が縄を通して伝わってくる。

 張須陀は板敷の床に胡坐に座った。

 その胡坐の上に、素裸の孫空女を座らせる。

 ちょうど父親が小さな子供を座らせるような体勢だ。

 まずは両手で縄で引き出された乳房を揉むしごく。

 

「はああっ」

 

 孫空女が大きく息を吐きながら身悶えた。

 張須陀の怒張は孫空女の引き締まった尻の下にある。

 孫空女が動けば、自然と張須陀の勃起した肉棒が孫空女の尻で擦られることになる。

 

「ふうっ、ふうっ、はあっ、はあっ」

 

 乳房を揉みながら乳首を指でしごくようにすると、孫空女の身体の震えがとまらなくなった。

 孫空女の身体からみるみる汗が吹き出してくる。

 

「本当に揉みごたえのある胸だな、孫空女」

 

「う、うん、き、気持ちいい……。はあ、あっ、ああっ、ああっ」

 

 孫空女の赤い髪がはらりはらりと落ちて、汗でうなじや頬に垂れ落ちて張りつく。

 

「そろそろ、欲しいだろう?」

 

 張須陀は孫空女の顔を覗き込むようにした。

 孫空女の顔は火照りきり、美貌はすっかりと欲情で上気している。

 ぞっとするほどの美しさだ。

 

「う、うん。ほ、欲しい……。ね、ねえ、して……。もう、して……」

 

 孫空女は喘ぎながらねだるような声をあげた。

 張須陀は惚れ薬の効果に改めて悦びを感じながら、孫空女の尻を持ちあげて、身体を前にどんと倒した。

 

「あっ」

 

 身体を前方に倒されるかたちになった孫空女は身体を捻って、肩で受け身をした。

 孫空女が痛みに顔を歪めて小さな声をあげる。

 

「ああっ、ああっ」

 

 だが、張須陀が背後から孫空女のねらねらと光る潤みの中心を怒張の先端で小突き回すと、たちまちに甲高い声をあげだす。

 

「こ、こんな、恰好、ああ、はああ……はっ、ああっ……」

 

 背後から男根を捻じ込まれようとしている孫空女は、その羞恥と興奮にすっかりと酔ったようになった。

 

「もっと脚を開け。淫売女が」

 

 張須陀は一度腰を引いて、わざと思い切り孫空女の尻たぶを平手で叩いた。

 

「ふぐっ。わ、わかったよっ」

 

 孫空女はますます顔を真っ赤にして、跪いて尻を掲げている両脚を開くように動かした。

 しかも、叩かれた瞬間に孫空女の女陰から淫汁が溢れるように出たのがわかった。

 惚れ薬の影響で欲情の正直になっているのは心だけではなく身体もだ。

 孫空女は乱暴に叩かれて、激しい欲情に襲われたのだろう。

 張須陀は肉棒を孫空女の女陰に突き入れた。

 

「はああっ」

 

 角度をつけて孫空女の膣の襞を肉棒の先で裂くように抉り擦る。同時に縄に弾き出されている乳房を力を込めて激しく揉んだ。

 

「うああっ、はあっ、ああっ」

 

「気持ちいいか、孫空女」

 

「い、いい。き、気持ちいい」

 

 張須陀の肉棒で股間を突かれるたびに孫空女の身体ががくがくと震える。

 孫空女の激しい孫空女の快感が伝わってくる。

 

「くうっ」

 

 張須陀は顔をしかめた。

 無意識の動作だろうが、孫空女が訴えかけるように腰を振ってくる。

 それはいいのだが、膣の締めつけが半端ではないのだ。

 

「た、たまらないよう」

 

 孫空女が切なそうな声をあげて腰を振った。

 すると、怒張を締めつける力がさらに増した。

 張須陀はあっという間に、快感の頂点に一緒に引きずり込まれそうになる。張須陀は懸命に耐えた。

 

「いぐうう」

 

 孫空女が突然に断末魔のような悲鳴をあげた。

 そして、全身を振り立てて、全身を揺らした。

 どうやら、頂点に達したようだ。

 

 張須陀は、慌てて怒張を抜いた。

 まだ、早い。

 惚れ薬が効いているとはいえ、とことん、堕とさなければ孫空女は張須陀の操りに人形にはならない。

 張須陀は後ろから突いていた孫空女の身体を起こして、今度は対面に孫空女を座らせた。

 達したばかりの孫空女の女陰に、張須陀の怒張がずぶずぶと入っていく。

 

「ああっま、またまた、入っていくうっ」

 

 孫空女が軽く呻きながら身体を反らせた。孫空女の粘膜が張須陀の一物を淫液で包んでいく。

 

 締めつける……。

 吸い込んでもくる……。

 素晴らしい結合感だ。

 

「ま、まだ、遊べるだろう? いくぞ」

 

 孫空女の拘束されている背中に手をまわして支えながら、腰を持つ手を孫空女の尻たぶの真下に持っていく。

 そして、指を深く肛門に挿し込んだ。

 その指をぐるぐると尻穴の中で抉りまわす。

 

「あぐうう──、それはだめえええ」

 

 さっき絶頂したばかりだというのに、孫空女が再び絶頂の仕草を示した。

 そして、大きなよがり声をとともにのけ反り、さらに股間を締めつける。

 

「また、いぐうう」

 

 孫空女が吠えるように叫んだ。

 彼女の身体ががくがくと揺れる。

 また、達したのだ。

 

 張須陀は再び怒張を抜く。

 そして、再び後背位の体位にさせた。

 

 続けざまに孫空女の股間に怒張を挿す。

 孫空女は半狂乱になった。

 

 さらに二度昇天させた。

 

 最後は汗まみれの孫空女を仰向けに床に倒した。

 正常位だ。

 

「そ、孫空女」

 

 張須陀は激しく孫空女の女陰に抽送をしながら叫んだ。

 さすがにもう限界だ。

 これ以上は我慢できない。

 

「あ、あんたが好きあんたがいればなんにもいらないだ、だから、もうちょうだい。あんたの精をちょうだい」

 

 孫空女も狂ったように叫んだ。

 そして、また、孫空女が欲望を弾けさせた。

 

「俺の女になると誓うんだ、孫空女」

 

 張須陀は言った。

 

「なるよおおお──。あんたの女になるうう──」

 

 孫空女が必死の声をあげて腰を振った。

 張須陀はそれを確認しながら、熱い精を孫空女の股間にたっぷりと注ぎ込んだ。

 孫空女の身体が痙攣したように震えた。

 そして、完全に脱力する。

 

「ふうっ」

 

 張須陀は、孫空女の身体を離すと、射精したばかりの一物を抜く。

 どうやら、立て続けの絶頂で孫空女は失神してしまったようだ。

 寝息のような音をたてて動かなくなってしまった。

 

「……お疲れ様、あなた……」

 

「このお姉ちゃんも堕ちたの?」

 

 歌艶(えんか)と繭(まゆ)だ。

 孫空女との行為が終わったので、部屋に戻ってきたようだ。

 

「そうだな……」

 

 張須陀は苦笑した。

 

「お父さん、お掃除するね……」

 

 繭がすぐに張須陀の性器を舌で掃除し始める。

 一方で歌艶は、仰向けに横たわっている孫空女の前にしゃがみ込むと、孫空女の赤い首の輪をじっと見つめだした。

 

「どうかしたか、歌艶?」

 

 張須陀は繭の舌による掃除を受けながら訊ねた。

 

「あなた、この首輪、おそらく、どこかに霊気を送り続けているわ。微弱だけど、この女の居場所が霊気で追えるようにしているのだと思うわ」

 

 歌艶が孫空女の首輪に手で触れながら言った。

 

「なんだって?」

 

 張須陀は声をあげた。

 そんな仕掛けになっているとは思わなかった。

 だったら、いまこうしているあいだにも、あの宝玄仙とかいう魔女が孫空女の首輪の霊気を辿って、ここにやってくる可能性があるではないか。

 惚れ薬の霊気など、大きな力を持った道術遣いにかかれば、すぐに無効にされてしまう。

 歌艶が自分で惚れ薬の霊気を消してしまわないのは、完全に張須陀に堕ちた状態にあるからであって、歌艶でもその気になれば、惚れ薬の効果を消滅させられる。

 張須陀は焦った。

 

「その追跡機能くらいだったら、わたしの道術でも遮断できるわよ、あなた。そうしてしまう?」

 

 歌艶がなんでもないことのように言った。

 

 

 *

 

 

 雨があがったので、宝玄仙たちが待っている宿に向かっていた。

 すると、その途中の軒先で孫空女が待っていた。

 

「沙那……」

 

 宿の近くで待っていた孫空女は、どことなく様子がおかしかった。

 顔は赤いし、なんとなく淫情に酔った感じがある。

 

 どうしたのだろう……。

 

 だが、孫空女のあの感じは、おそらく宝玄仙が関係していると思った。

 沙那は嘆息した。

 

「どうしたの、孫女? なにか、ご主人様にされているの?」

 

 駆け寄ってきた孫空女に沙那は訊ねた。

 孫空女はなにも言わなかった。

 しかし、いきなり沙那の手を掴んで、路地に引っ張り込んだ。

 路地に入ったところで、横の壁に押しつけられる。

 

「なっ?」

 

 なにをするのだとさらに言おうとしたが、その口が孫空女の唇で塞がれた。

 しかも、孫空女の口からなにかの液体が沙那の口の中に流れ込んでくる。

 

「んんっ……」

 

 抵抗しようとしても、孫空女も本気の力を出している。

 さすがに孫空女の馬鹿力で路地の壁に身体を押しつけられては沙那は身動きもできない。

 無理矢理に口の中に入れられた液体を全部飲まされた。

 孫空女が沙那の身体から手を離した。

 

「な、なにするのよ?」

 

 沙那は声をあげた。

 

「ご、ごめん……。だ、だって、こうしないと捨てると言われて……。ごめんね、沙那……。あたし、あの人に捨てられたくなくて……」

 

 孫空女が申し訳なさそうな表情で言った。

 

「捨てる?」

 

 なんのことを言っているのだろう。

 だが、沙那の思念は誰かが路地にやってくる気配で中断された。

 

「誰?」

 

 殺気ではないが、なにか害意のような気配を感じる。

 沙那は、様子のおかしい孫空女を背後に庇うようにして、やってきた人物に身体を向けた。

 

「惚れ薬は、最初に会った異性にのみ反応する。そういうことになっている……」

 

 沙那はびっくりした。

 おかしな言葉をつぶやきながらやってきたのは張須陀だった。

 あのときの張須陀がなんでここに?

 

 沙那は十日間も洞窟に閉じ込められて、この張須陀に雌犬調教を受けた恥辱を思い出した。

 こいつ、生きていたのか?

 

 だが、そのとき、沙那の中のなにかが変わった。

 よくわからないが、張須陀の顔を見ているとぼうっとなってくる。

 

 当惑した……。

 なにが起きたのだろう……?

 

 張須陀から視線を外せなくなる。

 それだけではなく、心臓がどきどきする。

 憎い相手のはずなのに、愛おしいという気持ちでいっぱいになる。

 

「ど、どうしたの、わたし……? な、なんで……?」

 

 沙那は自分になにが起きたのか、さっぱりと理解できなかった。

 さっきまで、この男をこの場で殺してしまうかどうか迷っていたのだ。

 それがいまでは殺すどころか、近づきたくて仕方がない。

 

「な、なんか変よ……。おかしいわ……。こ、こんなの初めて……。わ、わたし、あ、あなたが……」

 

 沙那は言った。

 自分でもなにを喋っているかわからない。

 とにかく、なにか気の利いたことを喋って張須陀に気に入ってもらわなければ……。

 そればかり考えていた。

 

「こんなの初めてか……? そうだろうな……。歌艶、こいつの首輪にも、おかしな追跡の道術がかかっているのか?」

 

 張須陀が声をあげた。

 背後にいる誰かに声をかけたようだ。

 気が動転してわからなかったが、後ろに孫空女以外の人の気配がある。

 沙那は振り返ろうとしたが、張須陀に両手で抱きすくめられて、それはできなかった。

 

「あっ」

 

 緊張で身体が硬直する。

 張須陀にしっかりと抱かれて全身に震えが走る。

 

「どうしたんだ、沙那? 俺に抱かれたそうな顔をしているぞ?」

 

 張須陀が笑いながら、片手を下袴越しに沙那の股間に動かしてきた。

 

「はうっ」

 

 沙那は張須陀の腕の中で身体を思い切り跳ねさせた。

 こんなところで。

 人気のない路地とはいえ、まだ夕方の外だ。

 沙那は羞恥で身体がかっと燃えあがったが抵抗はできなかった。

 張須陀の手が沙那の感じる部分を強く布越しに擦る。

 

「はあっ、はっ、ああっ」

 

 快感が走る。

 口をつぐもうと思っても、どうしても執拗な愛撫に声をあげてしまう。

 そのあいだに、背後の誰かが沙那の首輪に触れている。

 女の気配だ。

 

「終わったわ、あなた」

 

 その女が言った。

 後ろの女は三十がらみの美女だ。

 八歳くらいの女の子もいる。

 

 いつの間にか、沙那の周りを張須陀のほかに、孫空女とそのふたりを含めた四人の人間が囲んでいた。

 

「よし、このまま宿町の外に出るぞ、沙那。孫空女も一緒だ。だが、沙那、もう濡れ濡れだろう。これをやろう。ここで隠れて、股間に捻じ込むんだ。わかったな。ちょっと、下袴と下着をさげれば、すぐにできるだろう。直ちにやれ。お前の仲間の孫空女の股ぐらにはすでに挿入してやっている。淫乱なお前らにはちょうどいい」

 

 張須陀が渡したのは一個の張形だ。

 これを股間に挿入して、着いて来いということらしい。

 だが、逆らえない。

 逆らう気分にならないのだ。

 

「ほらっ、早くしろ。さもないと、置いていくぞ」

 

 張須陀が怒鳴った。

 

「ま、待って、すぐするわ。すぐにやるから」

 

 沙那は泣きそうな気持ちになりながらも、張須陀や周りにいる者に背を向けるようにして、下袴と下着を膝にさげた。

 股間を開いて、さっきの張形を女陰にあてがう。

 

「んんっ」

 

 沙那は歯を食いしばって、その張形を股間に埋め込んでいった。

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