※この作品はR-18です。

嗜虐西遊記【完結】   作:ドン・ドナシアン

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735 ふたりの狂い皇子

 孫空女の待っている控室に戻ろうとした素蛾の正面から闘士がやってきた。

 付き人らしき者二名を後ろに従え、大きな剣と丸い盾を左右の腕に持っている。

 素蛾には、それが西方帝国の第一皇子の金箍(きんか)であることがすぐにわかった。

 面識はないが、天神(てんじん)国にいた頃に、王女として近傍の王族の名と顔は当然の知識として記憶させられている。

 素蛾は、壁に背中をつけ、軽く頭を下げて道を開けた。

 

 金箍が近づくとともに興奮したような荒い鼻息が聞こえてきた。

 かすかな唸り声のような声もしている。

 まるで肉食動物を思わせるような気配に、素蛾は少し驚いて、かすかに顔をあげた。

 

 そして、びっくりした。

 目の前を通過する金箍は明らかにおかしかった。

 まず、眼が血走っている。

 だらしなく開けた口からは、荒い呼吸とともに涎が垂れ落ち、また、顔は真っ赤で汗をたっぷりとかいていて、そこには知性の欠片も感じることができなかった。

 なによりも素蛾が驚いたのは、金箍の身体から漂う夥しい精液の匂いだ。

 ふと見ると股間が勃起して、具足のない下袴の前が大きく膨らんでいる。

 しかも、まるで尿を漏らしたかのように、膨らんだ下袴の前に大きな染みがあるのだ。

 たったいままで性交をしていたというよりは、いまも性交の途中であるかのような金箍の様子に、素蛾は呆気にとられてしまった。

 

「ああっ? お前は、釘鈀(ていは)のところの陳嬌(ちんきょう)だな──?」

 

 すると、突然に金箍が立ち止まって、壁に張りついていた素蛾に視線を向けた。

 素蛾は得体の知れない恐怖に、悲鳴をあげたくなるのを堪えて平静を保った。

 

「で、殿下、ご武運を……」

 

 素蛾はそれだけを短く言った。

 

「へへへ……、い、い、いつ見ても、いい女だな。て、て釘鈀のような軟弱者の執事をするのはもったいない……。お、俺の妾にならんか……。ちょ、ちょっと、味見をさせろ」

 

 金箍がいきなり、剣と盾を投げ捨てて、素蛾身体を壁に押しつけて、服の胸元を掴んだ。

 

「きゃああああ──」

 

 素蛾はびっくりして悲鳴をあげた。

 だが、圧倒的な力に、素蛾は身動きすらできなくなった。

 金箍が血走った表情のまま、素蛾の着ている服を片手で引き剥がす。

 

「いやあああ──、助けて──」

 

 突然に身体を押し倒された。

 上から金箍に馬乗りにされる。

 身体から服をむしり取られた。

 胸当ては身につけてはいなかったので、服を破られて一気に乳房を剥き出しにされた。

 

 犯される──。

 

 素蛾は思った。

 それよりも、生命の危険を感じた。

 

 金箍は明らかに正常ではない──。

 なにが起きたかわからないが、舌も満足に動いていないし、まるで性に狂った野獣のようだ。

 

 金箍の手が破れた下袍の下の下着にかかった。

 呆気なく引き破られる。

 素蛾は身をよじって逃げることもできなかった。

 

 少しでも抵抗すれば殺される──。

 そんな恐怖が素蛾を覆っていた。

 金箍が自分の下袴をずらして性器を露出させた。

 

 怒張は完全に勃起していて、しかも全体が精でたっぷりと濡れていた。

 凄まじい匂いだ。

 

「ひっ──」

 

 素蛾は顔が引きつるのを感じた。

 生まれて初めての醜悪な性に触れた気がした。

 

 怖い──。

 性交がこんなに怖いと思ったことはない。

 だが、いまはひたすらに犯されるのが怖い。

 素蛾は全身がすくんでなにもできなくなった。

 

「あ、あ、脚を開け──。さ、さもないと、か、顔のかたちが変わるまで殴るぞ、陳嬌──」

 

 金箍が下品な高笑いをした。

 

「殿下、おやめください──。釘鈀皇子のところの陳嬌様ですよ──。どうしたのですか──?」

 

「殿下、お気を確かに──」

 

 金箍の背後から、付き人のふたりが金箍の腕を掴みかかった。

 陳嬌に変身している素蛾から、金箍の身体を引きはがそうとする。

 

「じゃ、邪魔するな──。お、お、俺はこの女を犯したいのだ──」

 

 金箍が太い両腕を振った。

 ふたりの男が後ろの壁に叩きつけられてぐったりとなったのが見えた。

 素蛾は目を丸くした。

 一体全体、金箍はどうしたというのだろう──?

 とても、正常とは思えない。

 

「ま、股ぐらを開かんか──。そ、そそれとも、顔の真ん中に拳を叩きまれたいかあ──」

 

「な、殴らないでえ」

 

 素蛾は恐怖に包まれて、とにかく股を開いた。

 金箍が粗野な笑い声をあげながら、素蛾の股間に怒張の先端を突き立てた。

 

「うぐうっ──」

 

 素蛾は股が裂けるような激痛を感じて身体をのけ反らせた。

 なにしろ、ほとんど濡れていない股間にいきなり大きな怒張の先が挿さったのだ。

 そのとき、目の前を風のようなものが通りすぎたと思った。

 気がつくと、目の前から金箍の姿が消えていた。

 

「なにしてんだよ、この狂人──」

 

 そこにいたのは孫空女だった。

 金箍は、さっき金箍自身が付き人を叩きつけた反対の壁まで、孫空女から蹴り飛ばされていた。

 騒動を耳にした孫空女が、控室から駆けつけてきて素蛾を助けてくれたのだ。

 

「そ、孫様──」

 

 素蛾は嬉しくて名を呼んだ。

 

「大丈夫かい、お前?」

 

 心配そうな表情の孫空女が素蛾に視線を向けた。

 素蛾は起きあがって、孫空女の後ろにさがった。

 

「なにがあったの?」

 

 沙那もやってきた。

 

「で、殿下、大丈夫ですか? お前、な、なんてことを……。衛兵──。衛兵──」

 

 金箍が投げ飛ばした付き人が大声で衛兵を呼んだ。

 一方で、金箍は頭を壁に打ったようであり、呻いてはいたが、すぐには起きあがらなかった。

 だが、剥き出しになった怒張だけは隆々と勃起している。

 十人ほどの衛兵はすぐにやってきた。

 

「この女が金箍皇子を蹴り飛ばしたのだ。捕えよ──」

 

 金箍の付き人が声をあげた。

 

「な、なんだい──? 素蛾を……いや、陳嬌を襲おうとしたのはそっちの皇子だろう。ふざけるな──」

 

 孫空女が『如意棒』を大きくして構えた。

 金箍の付き人の指示によって、衛兵は孫空女に近づいたものの、孫空女が『如意棒』を衛兵に向けて威嚇すると、それ以上襲いかかってこない。

 だが、まだ、孫空女の右肩は本調子ではないことを素蛾は知っている。

 その証拠に、孫空女は左腕で『如意棒』を握って威嚇している。

 

 沙那がすかさず孫空女の隣に並んで、衛兵に剣を向けた。

 素蛾の前で、沙那と孫空女のふたりが、衛兵たちと向き合う態勢になった。

 

「お待ちください──待って──」

 

 そのとき、騒動の中心に誰かが転がりこんできた。

 このときにはほかの闘士たちも大勢やってきていて、野次馬となって人の壁を作っていたのだが、その人の壁を掻き分けるようにして、顔を布で隠した女が飛び込んできたのだ。

 

「で、殿下──、お、お気を鎮めください──。闘士様のたぎった血をお慰めするのは、あたしたち奉仕女の役目です。女を犯すのであれば、この者たちではなくて、あたしらを使ってください──。顔は醜女ですが、精一杯に務めますので、どうか、どうか──」

 

 顔を布で隠した女は、衛兵たちの持つ武器の前を通りすぎて、壁に身体を預けさせたままだった金箍に寄っていった。

 

「ば、馬鹿者──。殿下がお前のような奉仕女風情を相手にするか──。この化け物女が──。退がれ──」

 

 さっき衛兵を呼んだ金箍の付き人が汚らわしいものでも見るような視線をその女に向けて怒鳴った。

 

「んあっ、ほ、ほ、ほ、奉仕女か──? ちょ、ちょうどいい、股ぐらを拡げよ──」

 

 しかし、金箍は起きあがって、目の前に両膝をつけて頭をさげていた女の身体をいきなり掴むと仰向けに倒した。

 そして、女の両脚に手をかけると、がばりと脚を拡げさせて怒張を貫かせた。

 

 素蛾はその光景に恐れおののいた。

 金箍の姿はまるで狂人だ。

 まるで性に飢えた野獣のように、女をむさぼろうとしている。周囲も騒然としている。

 

 前戯もなにもない。

 素蛾は怖くて寒気さえ感じた。

 しかし、顔を隠した女は、素蛾さえ恐怖を覚えた金箍に平然と向かっていったのだ。

 素蛾はある種の感動を彼女に覚えた。

 

「ぎいいい──で、殿下──あ、ありがとうございます──ひぐうう──」

 

 乾いた膣に金箍の大きな一物をめり込まされる女は、その苦痛に悲鳴をあげている。

 だが、懸命に息を大きく吐いて、金箍の怒張を股で受け入れようとしている。

 そして、素蛾は眼を見張った。

 女の身体が金箍を受け入れ始めたのだ。

 おそらく、ほんの短いあいだに、自ら膣に愛液を滲ませたのだと思う。

 愛撫もなしにほとを濡らすことなど素蛾にはできない。

 素蛾は、そんな女の技にも、心から感心してしまった。

 

「はっ、はあっ、はっ」

 

 金箍が激しく律動を始めると、女はそれに合わせるように息をして喘ぎ始めた。

 やがて、金箍が小さな絶息する声をあげるとともに、身体を震わせた。

 女の膣に精を放ち終わったようだ。

 すると金箍は、女から怒張を抜いて、女を床に放り投げた。

 

「い、い、いくぞ──」

 

 金箍は何事もなかったかのように、下袴をはくと大剣と盾を手にして、転送部屋の方向に歩き出した。

 

「で、殿下、お、お待ちを──。殿下を足蹴にしたあの女は……」

 

 付き人がそう言っているが、金箍はすたすたと歩いていく。

 そして、そのまま行ってしまった。付き人も慌てて、それを追っていく。

 

「解散だ──。解散しろ──。持ち場に戻れ──。お前たちもだ──」

 

 声がした。

 素蛾には、それが降妖君(こんようくん)という西方帝国の第三皇子であることがわかった。

 衛兵たちもいなくなり、ほかの闘士たちも消えていった。

 

「た、助かったよ、恵圭(えけい)……。大丈夫かい……?」

 

 孫空女が床に身体を倒したままだった女に寄っていった。

 この女は恵圭というらしい。

 

「こ、これがあたしの仕事だしね……。まあでも、あんたも、いきなり、皇子を蹴り飛ばすなんて大概にしてよ。闘技の中でならいざ知らず、それ以外では皇子は皇子だからね。あんなことをすれば、本当に捕らわれて処刑されても仕方がないところよ……。本当に無茶をやる女ねえ、あんた」

 

 恵圭が身体を起こしながら言った。

 

「無茶をしたのはあいつだよ。素蛾をいきなり襲うなんて……。なに考えているんだよ──」

 

 孫空女はまだ怒っている。

 

「素蛾? 陳嬌様でしょう?」

 

 恵圭はびっくりしている。

 

「あっ……。いや、実は、彼女も仲間なのよ……。秘密にしていてね。これは陳嬌の姿を借りているだけで、本当は十二歳の少女なの……。変身の霊具で姿を変えているだけなのよ」

 

 沙那が慌てたように恵圭にささやいた。

 

「へえええ……。道術なの? へえええ……」

 

 恵圭は感嘆の声をあげた。

 

「あ、あのすごいです──。あっという間に男のものを受け入れる技が素晴らしかったです。ああいうことも女の身体はできるのですね? どうやって、愛撫もなしに膣を濡らしたのですか? その技のこつを教えてもらうことはできませんか?」

 

 素蛾は言った。

 

「はあ? なに、この女、あたしを馬鹿にしているの?」

 

 恵圭は不機嫌そうな顔になった。

 だが、孫空女が笑った。

 

「違うよ。素蛾は本気だよ──。素蛾は性奴隷候補生なんだ。一流の性奴隷になりたくて、勉強中なのさ」

 

 孫空女が笑いながら言った。

 

「ふうん……。変わった子ねえ。でも、本当に陳嬌様じゃなさそうね。まあいいわ。とにかく、あたしの粗末な服でよければ、破かれた服の代わりに渡せるけど、本当に粗末なものよ。どうする?」

 

「お借りします。ありがとうございます」

 

 素蛾は頭をさげた。

 

「ふうん……。じゃあ、とにかく、孫空女たちの控室に入っているといいよ。すぐに服を持ってきてあげるわ。そのときに、訊ねたいことには答えてあげるよ。確かに、あたしは性奴隷の先輩ということになるんだろうからね」

 

 恵圭は笑った。

 

「それにしても、あれでもこの国の第一皇子なの? まるで狂人じゃないの?」

 

 沙那が怒ったように言った。

 

「そうね……。様子がおかしかったわね。確かに、粗野で乱暴なお方だけど、闇雲に女に襲いかかるなんて話は聞いたことがいないわ。一体全体、どうしたのかしら? あんなに血が昇っている金箍皇子には初めて接するわ」

 

 恵圭が当惑したように言った。

 

 

 *

 

 

 降妖君は衛兵を解散させると、金箍の控室に入っていった。

 そこには、避寒子(ひかんこ)と避暑子(ひしょこ)が裸身で横たわっていた。

 だが、降妖君の姿を認めると、身体を起きあがらせた。

 

「順調のようだな」

 

 降妖君は言った。

 

「言われたとおりにやっております、降妖君様……。あの男はあたしたちの性狂いの道術にかけられて、ここにいた数刻のあいだは、ずっとあたしたちの中に精を注ぎ続けていたのですよ」

 

「もう、二十回や、三十回じゃ終わりません。でも、すごいですね。人間族の男であれば、あんなに続けて精を出せば、精が枯れるどころか、頭の線が切れて、死んでしまってもおかしくないのに、どんなに精を出しても、少し休めば回復するのです」

 

「きっと性の強さが特異体質なのかもしれませんわ。性狂いの道術にかけたことで、かえって人間離れした性欲を起こしてしまったようです」

 

 避寒子と避暑子が代わる代わる降妖君に言った。

 

「それでも、弱っているのは確かのようだな。さっきも赤毛の女に一発で蹴り飛ばされていた。いつもの兄者なら、いくらなんでも女の蹴りで飛ばされるということはないと思う……。いずれにしても、明日までに金箍兄貴を完全に無力化すればいいのだ。あの常軌を逸した様子からすると、お前たちの仕事はうまくいっているようだ」

 

 降妖君は言った。

 

「とにかく、金箍はあたしらの性に狂っております。おそらく、いつまでも手放そうとはしないでしょう。今夜も屋敷に連れ帰ると思います……。このまま性狂いをかけ続ければ、明日の朝には正常な判断ができなくなると思います……。なんとか、降妖君様の奴隷の刻印を受け入れるように仕向けます」

 

 最後に避寒子が言った。

 降妖君はその言葉に満足してうなずいた。

 

「頼むぞ。できれば殺すまではしたくない。兄者だしな。だが、無理をする必要もない。奴隷の刻印を受け入れるまでに正気を失わせることができない場合は毒で殺せ」

 

 避寒子と避暑子が無言で頷いた。

 金箍の控室を出た。

 

 その隣が降妖君の控室だ。

 中に入ると、黄獅姫(おうしき)がいた。

 怒りで身体を震わせている。

 

 黄獅姫がここにやってきているのは、降妖君が命じていたからだ。

 降妖君の闘奴隷ということになっている女闘士であり、実際に降妖君の奴隷の刻印を腹に刻ませている。

 降妖君は、黄獅姫だけでなく、全部で二十人近い降妖君の奴隷の刻印を刻んだ闘奴隷をこの大会に送り込んでいた。

 その中には、刻印のかたちを変えて、ほかの者の闘奴隷に仕立てている闘奴隷もいるが、彼らも実際には降妖君の奴隷であり、すべては降妖君のいいなりだ。

 

 降妖君がやろうとしているのは、明日の決勝に残る十六人の闘士のすべてを降妖君の奴隷の刻印を刻んだ者だけにすることだ。

 それが理想だ。まあ、そこまでいかなくても、それに近いかたちになればいい。

 二日目の最初には、決勝に残った闘士たちに、皇帝が直々に声掛けをする。

 つまり、そのときには、皇帝が決勝に残った十六人の闘士に近づくのだ。

 

 そして……。

 

 それを実現するために降妖君が集めた二十人は、いまのところ桁違いの強さを示しており、午後の試合にも全員が残っている。

 このままでいけば、うまく決勝に残る者を降妖君の闘奴隷で固められそうだ。

 

 だが、それを邪魔しそうなのは、いまのところ三人だ。

 邪魔な三人のうちのひとりは金箍である。

 だが、これについては、もう問題はない。

 すでに処置は終わっている。

 

 もうふたりは、意外にも釘鈀の送り込んできたふたりの女戦士だ。

 あのふたりが結構強くて、このまま放っておけば、決勝に残りそうな感じだ。

 午後の試合ではふたりとも降妖君の準備した者と戦うことになるが、なんとか負けさせたいものだ。

 まあ、女ふたりくらいが混じっても、どうということはないのだろうができれば消えて欲しい。

 

 午前中の試合では、念のために道術の具足を騙して身につけさせたのだが、孫空女はそれを切り抜けて勝ってしまった。

 沙那がそれを脱いで裸で戦うとは思わなかったが、まあ、あれはあれで、面白い余興になった。

 観客たちも大喜びだったから、興行としては成功だ。

 

 しかし、なんとか、二試合目で消えてもらう……。

 そうすれば、明日の決勝で企てている計画の準備が完全に整うことになる。

 

「下を全部を脱いで、尻を向けろ、黄獅姫──」

 

 降妖君は言った。

 黄獅姫は屈辱で顔色を変えたまま、降妖君に背を向けると具足を解いて、下袴を下着ごと足首までさげた。

 そして、壁に手を着いて脚を拡げる。

 

「こ、こんなこと約束違反よ……。ど、奴隷の刻印を受け入れたのは、試合に出るためであり、あんたにこんなことをさせるためじゃないわ」

 

「わかっているよ……。だけど、奴隷の刻印を受け入れるということは、どんなことにも逆らえなくなるということだ……。俺は未来の皇帝だぞ。まあ、下半身くらい提供しておけ。そうすれば、大きな見返りとなって戻ってくる……」

 

「で、でも、九霊(きゅうれい)様は……」

 

「九霊聖女にはなにも言うな──。余計なことを告げることを禁じる。いいな──。それよりも、自分で指で擦って濡らせ。準備ができれば言え。命令だ」

 

 降妖君は言った。

 黄獅姫の美貌が歪んだ。

 

 午前中の試合を見ていたが、男の闘士の両腕を容赦なく叩き斬るほどの女傑だ。

 こんなふうに奴隷の刻印で性奴隷にように扱われるのは不本意だろう。

 だから面白いのだ。

 

「はあっ、はあっ、はあっ」

 

 黄獅姫が甘い吐息を刻み始めた。

 壁に左手を伸ばして腰を突き出すような体勢のまま、右手を股間に伸ばして自分の股の愛撫を開始したのだ。

 

「一番、感じるように愛撫するんだぞ。自分の身体だから、どこをどう触れば感じるかはわかっているだろう。命令だ」

 

「げ、下衆が……。こんなこと九霊様が……はあ、はあ、はあ……」

 

「なにが九霊様だ。自分の部下をことごとく、俺に預けたのが、あいつの失敗だ。あいつの主立つ部下は、俺の刻印を受け入れて、俺の言いなりなのだぞ。そこにやってくるのだ。俺はあいつの部下たちに、九霊を殺せと命じることもできるのだぞ。お前にもな……」

 

「なっ──。ま、まさか──。きゅ、九霊様に手を出すつもりか──。う、裏切りを──?」

 

「裏切るつもりなどない──。なにせ最初から手を組んだつもりはないからな。ただ、亜人の力を利用しているだけだ──。もういい。お前たち奴隷は、なにも考えなくていい。俺の命令にただ従えばいいのだ」

 

「き、貴様……。ううっ、く、くうっ」

 

「命令しておくぞ。九霊ではなく、俺の命令に従え──。いいな──。ほかの闘士たちにもそれを命じ終わっている。もはや、九霊の部下は全部が俺の奴隷と化した。奴隷の刻印というものがどんなものかわからずに、部下に受け入れさせたお前の女主人が阿呆なのだ──。それよりも、そろそろ濡れてきたか? なかなか肌がいい色になってきたぞ、黄獅姫──。手伝ってやろう。抵抗するな。命令だ」

 

 降妖君は突き出している黄獅姫の尻の穴に無造作に指を突っ込んだ。

 

「くうう──。き、貴様──。そんなところに──」

 

 尻穴を愛撫してやると、黄獅姫の乱れがいよいよ激しくなった。

 黄獅姫自身が擦ってる股間からは水が跳ねるような音さえ始まった。

 そろそろだろう。降妖君は片手で自分の股間から怒張を出した。

 

「も、もう……だ、大丈夫……はあ、ああ……」

 

 黄獅姫が言った。

 降妖君は尻穴から指を抜き、黄獅姫の腰を両手で持った。

 

「もっと、腰をさげて、こっちに尻を出せ」

 

 降妖君の言葉に、刻印の影響で逆らえない黄獅姫の身体が沈んだ。

 その尻の下に沿うように降妖君は背後から怒張を黄獅姫の女陰に貫かせた。

 

「はあ、ああっ」

 

 黄獅姫の喰い縛った歯から悲鳴交じりの嬌声が漏れた。

 なんだかんだで、黄獅姫の身体は随分と淫乱なのを降妖君は知っている。

 この連中が降妖君の闘士ということで帝都にやってきて、すぐに降妖君はこの黄獅姫を犯したからだ。

 もちろん、奴隷の刻印の力で口封じをすることは忘れていない。

 

 律動を開始すると、すぐに黄獅姫は反応を示しだした。

 そして、さらにしばらく続けると黄獅姫の口からか細い声も漏れ続けるようになった。

 黄獅姫が降妖君に犯されて欲情しているのがわかる。

 同時に黄獅姫が感じている恥辱も感じる。

 

 黄獅姫たちは、九霊聖女という亜人女王と降妖君との密約に従って、人間の闘士を装って西方帝国に送り込まれた九霊戦闘の部下たちだ。

 それが呆気なく、本当に奴隷扱いになって、しかも女闘士の黄獅姫までも降妖君に犯されるなど思いもよらなかっただろう。

 

 所詮は亜人なのだ。

 知恵が足らない連中だ──。

 

 方便でも、奴隷の刻印を受け入れてしまえば、それが主人だ。

 九霊聖女の支配はなくなる。

 それがわからなかったのは、九霊聖女の落ち度だ。

 

 やがて、黄獅姫の声がすすり泣くようなものに変わった。

 この女亜人は、絶頂する瞬間にいまのように泣くような声をあげる。

 この美貌の女亜人が快楽に弱いというのは拾いものだった。

 すべてが終わって、最後に邪魔になる九霊聖女も処分したら、本当に降妖君の性奴隷として飼ってもいいかもしれない。

 それくらいに、いい身体の女亜人だ。

 

「ほおおお──」

 

 黄獅姫が咆哮を放った。

 その五体が震えて、この女が絶頂を極めたことがわかった。

 

「くはあっ」

 

 降妖君はそれに合わせて精を放った。

 それを感じた黄獅姫が、また欲情したようにぶるぶると身体を震わせた。

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