※この作品はR-18です。

嗜虐西遊記【完結】   作:ドン・ドナシアン

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 第13話   復讐の行方【白骨(はっこつ)夫人】~宝象(ほうしょう)国
74  半妖娘の獣化処置


「十全(とうぜん)、さらにひと目盛、伸長しな……」

 

 白骨(はっこつ)夫人が言ったのが辛うじて聞こえた。

 だが、ほとんどは朱姫自身の激しい悲鳴のため、よく聞こえない。

 しかし、やはり、耳に入ってきた通りの指示を白骨夫人がしたようだ。

 十全という見習いの妖魔遣いの青年が、滑車を操作したのがわかった。

 滑車に繋がれた朱姫の獣の肢と腕が外側に引っぱられる。

 限界まで伸びきった身体が、さらに伸ばされる。

 

「イガアアアッ、グガアアア――」

 

 その激痛に朱姫は吠える。

 口から出るのは人間の言葉ではない。

 獣の鳴き声だ。

 朱姫の首に嵌められた霊具が、朱姫の人間の姿をほとんど雌の狼に近い姿に変化させているのだ。

 

 朱姫は大きな鉄の台に四肢を上下に引っ張られて仰向けに拘束されていた。

 つまり、半分獣の姿の前脚を頭の上に鎖で引き伸ばされ、後肢もまた、脚側の大きな滑車に繋がれていて、それぞれどんどんと引っ張られているのだ。四肢に繋がった滑車が回転することで、朱姫の身体がどんどんと引き伸ばされるというわけだ。

 腕と股に信じられないほどの激痛が走る。

 朱姫は吠え続けた。

 

 白骨夫人と名乗る妖魔奴隷商の屋敷である。

 椀子山(わんしざん)という辺境で、たまたま宝玄仙たちと離れていたときに、この白骨たちの妖魔狩りに遇ってしまった朱姫は、霊具によって、妖術で変化(へんげ)した半獣の姿から戻れないようにされ、そのまま獣姿のまま、数日間輸送されて、ここに連れ込まれた。

 道術を遣うことも、暴れて逃亡することも、術で封じられた。

 おそらく、首に嵌められている首輪が、なんらかの手段で朱姫の力を封印しているのだと思うが、とにかく、一切の抵抗ができない。

 ただ、命令に従うことしかできないのだ。

 

 ここがどこなのか判然としないが、連中の会話によれば、朱姫が捕らわれた椀子山から、さらに西に向かったところにある『宝象国(ほうぞうこく)』という王国の王都の近くであるみたいだ。

 

 とにかく、この建物に連れ込まれて、すぐに拷問が始まった。

 朱姫になにかを白状させるとか、強引に魂の契約を強要する目的のようなものではない。

 近く行われる妖魔奴隷市までに、完全に朱姫を屈服させて、大人しくさせるためたの拷問だ。

 つまり、拷問のための拷問ということだ。

 朱姫は苦しみ続けるしかなかった。

 

「なかなかに丈夫な身体だねえ。しかも、股の道具の方は人間の女と同じとはねえ。獣のような妖魔の雌を抱きたいという変態もたくさんいるしね。こりゃあ、思った以上の高値で売れるさ」

 

 白骨の指が無造作に朱姫の淫孔に突き挿さった。

 その指が前後左右に動く。

 激痛と快感が同時に襲う。

 指には、朱姫が感じやすいように、強力な媚薬を塗っているのだ。

 もう何度も重ね塗りをされているので、ほんの少しの刺激で気が狂うほどに感じてしまうのだ。

 激痛とともに与えられる快感に、朱姫は咆哮し続けた。

 

 それでも、白骨による朱姫の陰部なぶりは終わらない。

 少しで身体をよじらせれば、腕と肢の間接が外れてしまうと思う。

 それくらい限界まで、四肢を上下に引っ張られている。

 だから、朱姫は白骨の愛撫を避けることができない。

 

「先程、身体を洗浄をしたときには、こいつは、前の穴よりも、後ろの穴が敏感そうじゃったぞ」

 

 愉しそうに口を挟んだのは、千鬼(せんき)という男だ。

 口調も外見も、かなりの老人にしか見えないが、それは他人を油断させるための変装でしかなく、実際は、まだ四十ほどの壮年の男だ。

 それは、さっき身体を洗われたときに、犯されて知った。

 それなりに若々しい性器だった。

 

「どれどれ?」

 

 膣を愛撫されたまま、白骨の別の指が肛門に突き挿さった。

 

「ンギャアアアア」

 

 朱姫の身体に閃光のような快感の迸りが貫く。

 無意識に身体が震えた。

 

「ハボガアアア」

 

 それによって、肩と腰に激痛が加わる。

 口と膣からなにかの塊のようなものが噴き出た気がした。

 

「面白いねえ。こいつ、下の口で潮を噴きながら、上の口からも泡を吹き出したよ。余程、あの巫女に淫乱に躾けられていたようだ」

 

 白骨の笑い声を朱姫は気の遠くなりかけた意識で聞いた。

 

「さて、もう少し、身体を伸ばしてみるかい。どのくらいが限界なのかを、これからの調教のために、知っておかなければならないからね――。十全、もう一段階伸ばしな」

 

「はい、白骨様」

 

 これ以上は無理――。

 朱姫は言葉の代わりに、必死に首を横に振って、涙目で哀願した。

 そして、泣き叫んだ。

 しかし、それはほとんど獣の呻き声でしかなかった。

 すでに、朱姫の身体には大声で吠える力さえも残っていなかったのだ。

 ごりごりと鎖の引かれる音がして、全身が伸びていく。

 しばらくすると、両方の肩にがつんと巨大な棍棒で殴られでもしたような衝撃を感じた。

 

「アギャハアアア――」

 

 さらに、信じられないような激痛が続く。

 息もできないほどの痛みだ。

 意識が遠くなる。

 

「ついに、肩が抜けたね。ついでだ。股の関節も外しちまいな。後でくっつけるから。そのまま皮膚を焼いちまおう」

 

 皮膚を焼く?

 わけがわからなかった。

 もう、思考することはできない。

 気を失う寸前、滑車がまた回転して、また身体を引っ張った。肩の痛みは信じられないものになり、さらに、股間から脚の骨が音を立てて外れるのがわかった。

 

 朱姫はやっと失神した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 *

 

 

 気がつくと、全身がなにかに包まれていた。

 熱い――。

 

 熱い――。

 

 なんだ?

 

 熱い。

 熱い。

 熱い――。

 

「ッ――」

 

 皮膚が溶かされる。

 朱姫は悲鳴をあげた。

 いや、あげたつもりだったが、口からなにもでてきはしない。

 それよりも、眼も開けられない。

 全身になにかの膜のようなものが密着している。

 

 なにが起きているのか、もう朱姫には理解する力もない。

 ただ、皮膚が焼けただれているというような感覚に襲われているだけだ。

 だが、呼吸には問題はない。

 息だけは、苦しくはないのだ。

 

 本当に身体を焼かれているのか――。

 それとも、そういう錯覚を与えられているのかわからない。

 やがて、朱姫の口の中になにかの管のようなものが入ってきた。

 それが喉の近くまで突き刺さる。

 大きくえずく。

 しかし、容赦なく管は喉の奥に入っていく。

 すぐに、その管から、なにか動くものがやってきた。

 

 虫――?

 

 朱姫が口の中で感じたのは、手足のない小さな芋虫のようなものだ。

 それが無数に身体に入っていく。

 

 助けて、助けて――。

 

 朱姫は絶望の叫びを頭の中で吠え続けた。

 

 

 

 

 

 

 

「白骨様」

 

「なんだい、十全?」

 

 白骨は朱姫を包んでいる繭(まゆ)を見守りながら言った。

 手足の関節を外されたままの獣の姿の朱姫を台に固定したまま、獣化の最初の処置を施している最中だ。

 

「これは、どういう作業なのですか?」

 

 十全は指示された通りに、繭の中にいる朱姫の口に管を差し込んで、臙脂(えんじ)虫を次々に体内に送るという作業を続けている。

 

「これは、朱姫の皮膚の発汗機能を殺しているのさ。買い手の中には、雌の妖魔が体液を全身から放出させながらいき狂うというのを悦ぶ変態もいるけど、大抵は嫌うからね。どんなに発情しても、汗を身体から流さないようにしてしまうのさ」

 

 この好奇心の旺盛な見習い妖魔遣いは、どんな些細なことでも、白骨から知識や技を吸収しようと一生懸命だ。

 それが白骨には微笑ましい。

 

「でも、そうすると、体温の調整ができなくて死んでしまうのでは?」

 

 十全がそう訊ねたので、思わず白骨は噴き出してしまった。

 

「馬鹿だねえ。それは人間の場合だろう……。こいつは、獣にしてしまうんだよ。体温調整なんて、口ですればいいのさ。ほら、よく、犬が舌を出して、はあはあやっているだろう。この朱姫も、そういう風になるだけさ」

 

「それもそうですね……。じゃあ、この長虫はどういう役割を与えるのです?」

 

「臙脂(えんじ)虫という寄生体には、ふたつの作用がある。覚えておきなさい。ひとつは発汗作用の補填よ。いくら口から熱を出すといっても、本来は人間に近い身体の構造を持つ妖魔の場合は、どうしてもそれだけでは、体温調整はできない。その役割を臙脂虫がするのよ」

 

「どういうことですか?」

 

 十全は訊ねながら、長虫を蓄えている容器を交換した。

 朱姫の身体の中に新しい虫が入っていく。

 

「発汗作用をできなくしたことによる体温調整のできない熱を、身体の中の臙脂虫が吸収するのよ。熱を吸収した臙脂虫は死んでしまい、それは、この半妖の糞便と一緒に、体外に出されることになるけどね」

 

「もうひとつの機能は、なんですか?」

 

「それは、もちろん、こいつの内臓を強くするためよ。まさか、こいつに、人間と同じものを食べさせるわけにはいかないでしょう?」

 

「いまは粗末ですが、こいつにも通常食を与えてますよ」

 

 十全は首を捻った。

 確かに、この雌の半妖に与えているのは、まだ人間の食事と言えるものだ。家畜の餌に近いが、そのものではない。

 十全はそれを言っているのだろう。

 

「まだ処置が終わってないからね。内臓処置が済めば次は給餌調教よ……。とにかく、家畜としての妖魔の餌は、腐ったものや、普通の家畜用の餌がほとんどさ。しかし、最初からそうすることはできない。なぜだかわかるかい?」

 

「さすがに、腹を壊してしまうのでは?」

 

「そうだね。こういう最初から家畜ではない妖魔は、内臓が鍛えられていないから、そういうものを食べさせればすぐに弱ってしまう。だから、わざとそれに耐えられるように、売り物にする前の処置として、寄生体を注入してしまうというわけよ」

 

「なるほど、よく、わかりました」

 

 十全が嬉しそうに頭をさげた。

 新しいことを覚えたのが、本当に嬉しいみたいだ。

 なかなかに真面目だ。

 こういう前向きな若者に接すると、白骨の能力をもってして、早く一人前にしてやりたいと思う。

 

 そのときだった。

 朱姫の意識が弱いものとなってきたのを白骨は感じた。

 おそらく、肉体改造による一時的なものとは思うが、強引な内臓の改造処置が、朱姫の生命力を大きく奪いつつあるのだと思う。

 このままでは、朱姫は死んでしまうだろう。

 

「わかりましたが、熱の吸収により臙脂虫が死滅してしまうと、臙脂虫による消化作用もなくなってしまうのではないのですか?」

 

 十全がさらに質問を加えてきた。

 白骨はそれを制した。

 

「ちょっと待って、十全。それよりも、朱姫に薬剤を投入した方がよさそうね。生命力が弱まっているわよ。一度、虫の注入をやめなさい。管は喉に入れたままでいいわ」

 

「えっ? は、はい」

 

 十前が、慌てて管を朱姫の肛門部分の繭に差し込んだ。

 霊具である管は、自分で朱姫の肛門を探し当てて、深く突き刺さる。

 手際はいい。

 十全は、すでに肛門に刺さった管の反対側に薬剤の入った桶を繋ぎ終わっている。

 白骨は満足した。

 十全は、桶の中の薬剤を注入を止めていた留め具を外す。薬剤が、朱姫の肛門から流し込まれる。

 

「強心薬を投与」

 

「はい」

 

 十全が繭の上から大きな針を心臓近く目掛けて突き刺した。

 針の先端には強い効果の薬剤が塗ってあり、それを心臓付近に投与したのだ。

 白骨はさらに、朱姫の全身に道術で強い電撃を与えた。

 二度……。

 三度……。

 

「いいようよ。尻の管を抜いていいわ。虫の注入も再開」

 

 白骨は言った。

 朱姫の失われそうだった生命力が急上昇して、心臓の動きも強まったのを道術で感じる。

 意識も取り戻したようだ。

 朱姫の頭から流れてくる悲鳴を白骨は感じる。

 

「すいませんでした、白骨様。僕には、この個体が弱まっているのがわかりませんでした」

 

 十全はうな垂れている。

 ただ、やはり、尻管を抜菅と臙脂虫の注入再開処置の手際は、円滑で素早い。

 多分、相当に自主練習をしていると思う。

 

「いいのよ。お前は、まだ駆け出しだからね。だけど、いま朱姫の生命力が変化したのは、わかるでしょう?」

 

「はい。ぼんやりとですが、変化したのは、わかりました」

 

「だったらいいわ。何度か経験を積めば、微妙な違いが区別できるようになるわ。もっとも、その違いがわかるようになるまでは、生命力の変化を感じたら、例外なく肛門から薬剤を与えなさい。この薬剤は、発狂するほどの痛みにより、個体に苦しみを与えるだけのことだから、暴れなければ問題はないわ」

 

「あっ、もしかしたら、さっき腕と肢の関節を外したのも、そういうときのために、必要だったのですね?」

 

「そういうことよ。痛みで暴れまわったら、管が外れて面倒になるからね。さっき、朱姫の関節は外したから、暴れたくても暴れられないのよ。この娘が、発狂するほどの苦しみを感じているのは、道術力を通じてわかるわ」

 

 白骨は笑った。

 

「ああ、僕も、白骨様のような大きな道術力があればいいのですが……」

 

 十全は顔をしかめた。

 

「大丈夫よ、お前には天性の勘の良さと手際の良さがある。妖魔遣いには、必ずしも強い道術力は必要であるわけではないわ。もっとも、まったく道術が遣えなくても困るけどね」

 

「僕程度の力でも、一流の妖魔遣いになれますか?」

 

「このあたしが、お前には素質があると認めたのよ。自信を持ちなさい」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 十全は、嬉しそうに破顔した。本当に可愛らしい。

 

「そういえば、さっきの話の続きだけど、臙脂虫の繁殖力はとてつもないわ。この朱姫の腸全体にあっという間に卵を植え付けてしまい、もしも数が少なくなれば、その分だけ孵化をして勝手に補うのよ」

 

「なるほど、わかりました」

 

「さて、そろそろ、処置が終わったようね。じゃあ、十全、繭から朱姫を出して、檻に入れておきなさい。関節も戻しておいてね。できるわね?」

 

「お任せください、白骨様」

 

 十全は言った。

 道術を通じて伝わってくる朱姫の強い苦しみは、まだ白骨に届き続いていた。

 

「次は給餌調教だけど、お前に任せるわ。臙脂虫が完全定着するまでに丸二日かかるから、給餌訓練はそれからよ。それまでは食べ物はもちろん、一切の水分も与えないこと。大丈夫よ。妖魔の身体は丈夫だから、しばらく干からびさせても死にはしないわ」

 

「了解しました」

 

 仕事を与えられたのが嬉しいのか、十全が顔に満面の笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 *

 

 

 首に弱い痛みを感じた。

 首輪から伝わる痛みだ。

 朱姫は、慌てて首を開いた檻の穴に出した。

 檻の穴ががしゃんと閉じて、朱姫の首を床に固定する。

 身体は檻の中なので、檻の外に出ているのは、顔の部分だけだ。

 朱姫は、檻の中でお尻と尾を上に向けた状態で、床に腹這いになった。

 屈辱的な格好だが、抵抗すれば痛みはさっきのようなものではすまない。

 それこそ、全身をのたうち回らせるような激痛が走る。

 

「ほら、餌だぞ、朱姫」

 

 十全という若い男が朱姫の顔の下に皿を置いた。

 強烈な悪臭が朱姫の鼻を襲う。

 何度食べても、この匂いだけは慣れない。

 

「まだだぞ、我慢だ」

 

 食べていいという合図がなければ、口にしてはいけない。

 逆に、食べろという言葉で、すぐに口に入れる。

 動物のように躾けられているのだということくらいはわかる。

 

「おうおう、やっておるな、十全」

 

 階段を千鬼が降りてきたのが声でわかる。

 朱姫はこれからはじまることを想像して、屈辱に震えた。

 

「ちょっと、檻の後を解放しろ、十全」

 

「またですか、千鬼さん。売り物の妖魔を勝手に性処理に使ったら、白骨様に叱られますよ」

 

 十全が不満そうな声を出している。

 

「まさか告げ口をするんじゃないだろうな、十全?」

 

「しませんよ」

 

「だったら、さっさと解放しろ。お前も言わない。俺も言わない。もちろん、この雌も喋ることはできない。だったら、ばれやしないよ」

 

「もう……、早くしてくださいよ」

 

 十全は壁にかけてある鍵を千鬼に渡したようだ。

 朱姫の後ろに千鬼が回った。

 鍵が開けられて、曝け出されている朱姫の股間に千鬼の指が触れる。

 

「ヒギイッ」

 

 思わず声が出る。

 哀しいことに、出るのは動物の声でしかない。

 この首の霊具が、雌の狼の妖魔に朱姫の姿も声も固定しているのだ。

 

「食べろ――」

 

 十全の声がする。

 朱姫は皿の中の餌に舌を伸ばす。

 粘性のあるその餌はもの凄い悪臭だ。

 だが、なぜか味はおいしい。

 ひと舐めすれば、もう、舌を止めることなどできない。

 この世のものとは思えないくらいに味がいいのだ。

 

 しかし、それは身体に入れられた大量の寄生虫による錯覚らしい。

 こんな臭くて、不味いものをおいしそうに食べる朱姫に、白骨が朱姫がますます動物に近くなったと嘲笑ったのを思い出す。

 こうやって、動物の餌のようなものを口にする訓練を受け始めて五日くらいだろうか?

 

 その傍ら、さまざまな拷問調教も受けている。

 四つん這いで鞭打たれながら、半日以上も全力疾走させられたり、股間や口に焼き鉄杭を挿入されたり、得体の知れない薬剤を大量投与されて死の縁を何度も歩まされたりだ。

 そういうことに、どういう意味があるのかもわからない。

 ただ、とにかく、丈夫な肉体になったということだけはわかる。

 膣を大火傷したりしても、翌日には痛みもなく回復したりする。

 白骨たちが施した肉体改良の調教がそんな変化を朱姫にもたらしているのだと思うが……。

 

 そのとき、朱姫の女陰に、後ろから千鬼の男根が突き挿さった。

 朱姫は、呻き声をあげて、身体を仰け反らせた。

 

「ヒギイッ」

 

 朱姫は首の激痛に悲鳴をあげた。

 餌を食べるのを途中でやめたからだ。

 慌てて、舌を皿に戻す。

 

「おう、おう、おう」

 

 一方で、そのあいだも、朱姫の肛門は千鬼の激しい凌辱を与えられている。

 千鬼が馬鹿みたいな奇声をあげて、朱姫の尻を犯し続ける。

 

 食べ物を口にしながら犯される――。

 気の遠くなるような、あまりの恥辱に意識が混濁さえする。

 それとともに、快感の暴流が身体で暴れ回る。

 朱姫は口の中のものを懸命に咀嚼しながら、次第にお尻からせりあがっていく淫らな快楽に身を任せるしかなかった。

 

 いくうううううっ――。

 

 朱姫は、心の中で叫んだ。

 だが、朱姫の反応とはまったく関係なく、千鬼は果ててしまい、朱姫は、もう少しのところで取り残された。

 

「ははは。どうやら、この雌、まだ達していなかったのに、終わっちまったんで、残念そうな反応を見せやがったぜ」

 

 朱姫の肛門から一物を引き抜いた千鬼は、ぴしゃりと朱姫の尻を叩いた。

 餌を食べながら、朱姫は内心で歯噛みした。

 もしも、許されるのならば、とうに屈辱の涙をこぼしていたかもしれない。

 だが、もう、朱姫の身体からは、涙も汗も出ない。

 いつの間にか、そういう身体に作りかえられていたのだ。どうやら、肌からあらゆる体液が出ないようにされたというのは、地獄のような処置が終わって数日してから、やっと気がついた。

 

「どうだ、続きをお前がやってやったらどうだ、十全?」

 

 千鬼がまだ、いやらしく朱姫の股間をまさぐりながら言う。

 

「よしてください。僕は雌妖となんかやりませんよ」

 

「雌妖といっても、ついているものは人間の女と変わりはねえぞ。それに、こいつは、もともと人間に近かったんだ。なかなか、いいものを持っているぜ。そもそも、これは性処理としての愛玩用の雌妖として売られるんだろう? だったら、こっちも、ちゃんと開発しておくことも妖魔遣いの役目のひとつだぜ」

 

「わかったようなことを言わないでください。とにかく、僕は、白骨様の教えにしか従いません」

 

「わかったよ、頭の固い坊やだぜ。とにかく、また、内密に頼むぜ」

 

 千鬼は、濡れそぼったままの朱姫の股間を指でさんざんにいたぶったまま、さっと手を引っ込めて戻っていった。

 その頃には、朱姫の顔の下の皿も空になっていた。

 

「よくできたぞ、朱姫。ほら、ご褒美だ」

 

 十全は用具袋から黒色の張形を出して、朱姫の前にかざした。

 朱姫は、激しく首を振って拒否した。

 

 そんなのいらない――。

 いらないのだ。

 躾に従った褒美として快楽を与えるつもりらしいが、この十全は極端すぎるのだ。

 それこそ、数刻くらい淫具の刺激を与えっぱなしにしたりする。

 まともに女を抱いたことがないのか、限界を超える快感もまた、拷問と同じということがわからないみたいだ。

 

「今日は錬成はないから、次の給餌までつけたままにしておいてやる。たっぷり感じるんだぞ。よかったな。しかも、特別だぞ。お尻も気持ちよくしてやるな。朱姫はお尻が大好きだものな」

 

 十全が朱姫の背後に回り、先ほど千鬼に弄ばれた股間に、その張形を差し込んだ。

 準備の終わっている股間は、つるりとそれを飲み込んでしまう。

 たとえ、準備ができていなくても、霊具であるその張形は、あっさりと朱姫の膣の中に入ってしまうのだ。しかも、術がかけられているので、どんなことをしても抜けることはない。

 さらに、細い張形もお尻の穴に……。

 二つの淫具が朱姫の中で暴れだす。

 

「ヒギイイイィィィ――」

 

 白骨がよく豚の鳴き声だと揶揄する悲鳴を朱姫はあげてしまった。

 張形が朱姫の陰部の中で回転しながら暴れ回る。

 張形には小枝のようなものもついていて、振動が肉芽にも容赦なく加えられる。

 

「いまみたいに、いい子にしていたら、こんな風に気持ちよくなれるんだぞ。よく、憶えるんだ、朱姫」

 

 十全のそんな言葉を聞きながら、朱姫は、早くも一回目の絶頂に達した。

 それでも張形は止まらない。

 十全の宣言のとおりに、次の給餌調教まで、数刻間も続けて、張形は朱姫を責め続けるのだろう。

 

 こんなのは、ご褒美でもなんでもない――。

 ただの拷問だ。

 言葉さえ喋れれば、そう訴えたかった。

 

 やがて、二度目の絶頂――。

 

「はっ、はっ、はっ、ハギャアアアッ、キュワワワアアッ」

 

 朱姫は三度目の絶頂に、ぶるぶると身体を震わせて咆哮した。

 いつの間にか、朱姫の舌はだらりと口の外に垂れさがり、自分が、はあはあと、犬のように息をしていることに朱姫は気がついた。

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