※この作品はR-18です。

嗜虐西遊記【完結】   作:ドン・ドナシアン

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742 第一皇子とふたりの淫女

「次は、避寒子(ひかんこ)と口づけをしてくださいまし……」

 

 避寒子がくすくすと笑って、避暑子(ひしょこ)の唇が重なっていた金箍の唇を奪った。

 彼女の唾液が金箍の口の中に注がれるのがわかった。

 

 仰向けに寝そべっている金箍(きんか)の上半身に避寒子の裸身が覆いかぶさる。

 柔らかな避寒子の唇の感触と不思議な香の匂いが、ますます金箍の頭を朦朧とさせ、快感を限界まで昂ぶらせる。

 

 金箍の屋敷内の寝室だった。

 闘技場から戻るとすぐに、金箍は避寒子と避暑子を寝室に連れ込んで家人を遠ざけると、延々と三人で淫行に耽った。

 

 避寒子と避暑子の美人姉妹に代わる代わる奉仕され、もはや、なにがどうなっているのか、さっぱりと理解できない。

 全身が疼きに包まれ、局部どころか、全身のどこをどう触れられても、それが快感に繋がってしまう。

 こんなことは初めてだった……。

 金箍はひたすらに、目の前の美貌の姉妹から与えられる快楽に酔っていた。

 

「まあ、ひどい、お姉さま……。じゃあ、あたしは、また皇子様の精をいただきます……」

 

 金箍の上半身から押し出されたかたちの避暑子がくすくすと笑いながら、金箍の下半身に移動していく。

 その避暑子が勃起している金箍の一物を口にした。

 避暑子が金箍の怒張の先端の亀裂に舌を挿し込むように強く押し擦る。

 同時に強く先端を吸いあげる。

 たちまちに、金箍の怒張は避暑子の口の中に精を迸らせていた。

 

「へ、へへへ……き、気持ちいいぞ……」

 

 金箍は避寒子に口の中を舐め尽くされながら呟いた。

 自分の涎が顎に滴り、それが胸に垂れ落ち続けているのが辛うじてわかる。

 

 しかし、それはどうでもいい……。

 避寒子の濡れた舌先が、かぐわしい香りを吐きかけながら、金箍の口の中の粘膜全体をねっとりと愛撫してくる。

 唾液の塊りが、また金箍の喉に押し込まれたと思った。

 すると、射精したばかりの肉棒がむくむくと元気を取り戻した。

 

「さあ、お姉さん、交代しましょうよ。今度の精も美味しいですよ、避寒姉さま……。あたしは酔ってしまいそうです……」

 

 避暑子が金箍の股間から身体をずらせた。

 

「まあ、皇子様、さっきから妹ばかり狡いですわ。あたしにもください……」

 

 金箍の口の中を舌で愛撫していた避寒子が乳房で金箍の身体を擦りながら下側に移動した。

 そして、そそり勃っている金箍の一物に跨って自分の膣に入れた。

 同時に、今度は妹の避暑子が金箍の口を吸い始める。

 

「んんんっ」

 

 挿入された金箍の怒張が、温かい避寒子の膣の中で細かい振動で刺激されながら根元から先端に向かって揉み動かされた。

 避寒子が女陰の筋肉でそのように刺激を加えているのだ。

 金箍はぶるぶると身体を震わせて精を発した。

 

「まだまだですよ、皇子様……。避寒子、もっと唾液を注いで……」

 

 避寒子の言葉で、避暑子は自分の唾液を金箍の口に注いできた。

 

「さあ、あたしたちの唾液をお飲みあそばせ……。汗でもなんでも結構ですよ。それとも、おしっこになさいますか……。あたしたちの体液を口にしている限り、皇子様の快感はとまりません。無尽蔵に精を出すこともできます。さあ……もっと、あたしたちと遊んでください」

 

 避寒子のささやきを耳にしながら、金箍は言われるまま唾液を口にした。

 すると、かっと身体がまた熱くなった。

 

「はううっ──、も、もっと、大きくなったわ──。す、すてき……。ああ、皇子様のお道具をお股で咥えるだけで避寒子はいきそうです」

 

 すると、今度は避寒子が身体を震わせた。

 軽く達したようだ。

 

「皇子様、避暑子のお乳もどうぞ……。これもお薬ですわ……。もっと、もっと気持ちよくなれますわ」

 

 避暑子が金箍の口の中に片側の乳房を押しつけるようにした。

 

「んんっ……い、息ができん……」

 

 大きな避暑子の乳房で口を鼻を塞がれた金箍は、苦しくて呻いた。

 

「苦しければ、避暑子の乳を吸ってくださいまし……。吸ってくれなければ、乳房はどけてあげません」

 

 避暑子がくすくすと笑った。そして、乳房を鼻の穴を塞ぐようにぐいぐいと押しつけてくる。

 

「んんっ……」

 

 仕方なく金箍は、口の中にある避暑子の乳首を吸った。

 すると、乳首から母乳のようなものが吹き出した。

 それを吸うと、頭がさらに朦朧とした。

 全身がかっと熱くなり、まるで身体全体が性感帯にでもなったような強い快楽に覆われた。

 

 一方で、股間では避寒子があの膣の動きで、金箍の怒張を揉み動かし続ける。

 また、達しそうになった。

 

「くあっ──」

 

 息がもたなくて、金箍は顔をそむけて避暑子の乳房から口を離した。

 

「お逃がしいたしません。片側のおっぱいだけしか吸っていただけないなど、避暑子は疼いて死んでしまいまう。さあ、反対の乳もどうか……」

 

 だが、避暑子が上体をずらせて、金箍の口に反対の乳房を乗せた。

 また、金箍に対して完全に横向きの体勢になり、乳房全体で顔を圧迫するように乗せる。

 

「んああ……」

 

 金箍はもがいた。

 だが、避暑子は両手で金箍の顔を抱きかかえて、金箍の顔が避暑子の乳房の下以外にずれるのを防いだ。

 

「苦しければ、乳を飲むのです。命令ですよ、皇子様……」

 

 避暑子の声に操られるように、金箍は懸命に口の中の乳首を吸った。

 乳首から漏れ出る母乳が口を通じて喉の奥にどんどんを入っていく。

 快感が拡がる──。

 金箍は宙に浮くような感覚に陥った。

 

「あ、ああっ、皇子様──、そのような強い淫気を発散なされると、避寒子はおかしくなる……。おかしくなるううっ──。おっ、おおっ、おいしい淫気……す、すてきいっ……」

 

 股に跨っていた避寒子ががくがくと全身を震わせて吠えた。

 金箍は自分の怒張の先から精が放出され続けているのがわかった。

 

 射精ではない──。

 まるで尿でもしているかのように、だくだくと精が放出を続けているのだ。

 そのあいだ、金箍はとてつもない快感に包まれ続けていた。

 

「んんん──」

 

 金箍は避暑子の乳房を顔に乗せられたまま吠えた。

 吠えながら金箍は狂ったように全身を跳ねさせた。

 凄まじい快感にじっとしていられないのだ。

 だが、ふたりの美女が巨漢の金箍を完全に押さえつけている。

 

 死ぬ……。

 死んでしまう……。

 

 金箍は激烈な快美感とともに、すっと意識を手放してしまった。

 

 

 *

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皇子様、皇子様……」

 

 揺り動かされた。

 金箍は寝台の上にふたりの女に前後から抱えられるように座っていた。

 すぐにはどういう状況なのかわからなかった。

 

「しっかりとしてください、皇子様……。まだまだ、淫気をください。とても素敵な淫気です。こんなおいしい淫気を出される人間の殿方は初めてです。あたしたちふたりは、すっかりと酔っております」

 

 前側にいる女がくすくすと笑いながら言った。

 金箍はやっと、それが避寒子の声だということがわかった。

 

 少し、思い出してきた……。

 そういえば、避寒子と避暑子というふたりの美女と、ずっと性交をしていたところだったのだ……。

 このふたりを連れてきたのは降妖君(こんようくん)であり、それは武術大会における金箍専用の奉仕女として、どこからか見つけて連れてきたのだ。

 奉仕女というのは、試合の直前に、金箍の一物から精を抜く役割の女であり、精力の強すぎる金箍は、冷静な試合をするために、必ずそういう女を必要としていたのだ。

 避寒子と避暑子という美人姉妹はそういう目的の女であり、今日も金箍は、このふたりにただ金箍の身体を刺激させて、短い時間で精を搾らせるだけのつもりだった。

 だが、金箍はあっという間に、このふたりの虜になった。

 

 試合直前の短い時間どころではない──。

 闘技場で金箍はこのふたりの身体をむさぼり続けた。

 素晴らしい女体だった。

 どこかの娼館の高級娼婦だとは思うが、このふたりはたぐいまれな性技と淫靡な肢体により、金箍を欲情させ、快感に包み続けた。

 おかしなことに、このふたりを相手にすると、いくらでも性器が勃起して精を放つことができた。

 それどころか、射精すればするほど、快感は上昇し、次の射精のために一物は大きくなり、精の放出の準備をした。

 

 あんな経験は初めてだった。

 闘技場だけのはずが、そのまま屋敷に連れ帰り、こうやって抱き続けている。

 移動の馬車の中で淫行に耽り、屋敷に戻っても、食事もすることなく三人で寝室に閉じこもって全裸で絡み続けた。

 どうやら、その挙句に、金箍は気を失ってしまったようだ。

 

「な、なんだ?」

 

 そのとき、初めて、金箍は自分の身体が動かないことに気がついた。

 両腕が背中に回っている。

 縄で背中で縛られているようだ。

 腕が縛られて、その縄尻が胸の上下にも回り、胴体に密着されている。腕だけではない。

 両脚もそれぞれの膝を曲げた状態で腿とふくらはぎを密着して括られ、脚を動かせないようになっている。

 さらに、曲げた脚を背中側に開くように縄を背中に引っ張られているので、脚を閉じることもできない。

 

「ど、どういうことだ、これは──?」

 

 金箍はびっくりして叫んだ。

 すると、ふたりの美女がくすくすと笑った。

 

「これは、途中で意識を手放された皇子様への罰でございます」

 

「そうです……。罰です──。もう、朝まで許してさしあげませんよ。もっと精をください。もう、皇子様はなにもしなてくもいいですからね。避寒子と避暑子になにもかも委ねてください」

 

 ふたりが金箍の身体を押し倒した。

 拘束されて身動きできない金箍は、勃起している怒張を天井に向けた状態で仰向けにされた。

 

「さあ、皇子様はあたしたちの性の奴隷でございます。もっと、精を搾ってさしあげます」

 

「ふふふ……この世のものとは思えぬ、快楽の極致に皇子様をお連れしてさしあげますわ」

 

 避寒子が口ですっぽりと金箍の一物を含んだ。

 舌が金箍の一物と睾丸を這いまわる。

 一体全体、どうやって口にしているのかわからないが、避寒子の小さな口の中には、金箍の性器全体がすっぽりと入ってしまっている。

 あっという間に射精寸前に金箍は追い込まれた。

 

「か、快楽の……きょ、極致か──。お、俺はもうそれを味わっているぞ──」

 

 金箍は声をあげた。

 

「いいえ……。本当の快楽の極致でございます……。うふふ……。さっきまでの快感など、比べものにはなりません……。もっと、もっと高みでございます……。人間族の殿方には、到底辿り着けぬ桃源郷に、あたしたちがご案内してさしあげます」

 

 避暑子が笑いながら、縄が上下に喰い込んでいる金箍の胸を舐め始めた。

 同時に、避暑子の指が避寒子が刺激を与えている一物の下側に伸びて、肛門に指を入れてきた。

 

「ぐおおおおっ」

 

 金箍は吠えた。

 避暑子の指が金箍の肛門の中で曲がり、腹側に押した瞬間に、避寒子の口の中に精が迸ったのだ。

 金箍は拘束された全身をのたうたせて、狂ったような官能を吐き出した。

 

「まだまだでございますよ、皇子様──」

 

 避暑子は肛門に指を入れたまま、避寒子の顔をどかせて、勃起している金箍の怒張に跨った。

 脚を大きく開いて金箍の股間に馬乗りになるような体勢だ。

 またもや快感がせりあがってきた。

 

 金箍はよがり狂った。

 射精をしても快感が少しも落ちないのだ──。

 それどころか、射精とともに快楽が飛翔し、その快感が持続し、さらに避寒子と避暑子に快感を加えられることで、そこからまた上にあがる。

 それが連続する。

 もはや、金箍はまともにものを考えられないようになっていた。

 

「あはああ、素敵──。おいしい淫気──。本当に変になるう──」

 

 避暑子が金箍の上で大きく身体を弓なりにした。

 

「まあ、次はあたしよ──」

 

 避寒子がどんと避暑子を押しどけた。

 さっきの避暑子と同じ体勢で避寒子も金箍の股間の上に座った。

 振動をする不思議な避寒子の膣の刺激が襲いかかった。

 また、避寒子も金箍の肛門に指を入れて、そこからも刺激を送り続けている。

 

「んごおおお──」

 

 金箍は身体を震わせえて精を放出した。

 だが、衰えることのない金箍の一物は勃起のままの状態を持続し、次々に避寒子の女陰に精を放出した。

 

 確かに性の極致だ──。

 これが最高だと思うと、次の一瞬にはそれが遥か下にあるような快感に襲われる。

 吠え続けている金箍の顔の上に避暑子の股間が跨った。

 

「皇子様、あたしの股をお舐めあそばせ……。さもないと、このまま息を止めて殺してしまいますよ」

 

 避暑子が笑いながら言った。

 

 息が苦しい……。

 金箍は必死になって舌を動かした。

 

 顔の上で避暑子がよがり狂っているのがわかる。

 だが、鼻も口の完全に避暑子の股に乗っかられているので、息が入ってこない。

 

 しかし、気持ちいい──。

 避暑子の蜜を舐めるたびに、全身の感度があがっていく気がした。

 その分、避寒子の膣に包まれている一物の快感も飛翔する。

 

 息が……。

 金箍は絶息寸前になった。

 

「ぷああっ──」

 

 避暑子が金箍の顔から股をどけた。

 金箍は盛大に息をした。

 しかし、すぐに顔に乗られて息が止められる。

 

「さあ、舐めるのです、皇子様──。命令です──」

 

 避寒子が言った。

 金箍は言われるまま、必死で顔の上の避暑子の股を舐めて奉仕した。

 

「もっと、快感を放出しなさい──。命令ですよ、皇子様」

 

 精を搾りとるように怒張を女陰で咥えている避暑子も言った。

 快感を高めなければ……。

 

 金箍が思ったのはそれだけだ。

 そう思えば、いくらでも欲情を高めることができた。

 金箍はほとんど、止まる隙間のないくらいに射精を続けていた。

 

 息が……。

 一方で顔を股に塞がれて苦しい。

 

 本当に息がとまって死にそうだと思った瞬間に、またちょっとだけ、避暑子が腰を浮かせた。

 しかし、すぐに顔に股を乗せて息を塞ぐ。

 それが繰り返している。

 

 なにも考えられない──。

 呼吸をとめられて気を失いそうになると、ちょっとだけ避暑子が腰をあげて金箍に息をすることを許す。

 だが、十分な呼吸をしないうちに、また股間を顔に乗せられる。

 そのあいだも、避寒子が金箍の怒張を股間で締めつけ続ける。

 

 金箍は連続で射精し続けた。

 とにかく、金箍は言われるままに、顔の上の股を下で舐め、勃起を続ける一物から精を放った。

 すべての思考は停止し、ただ女体の存在と彼女たちが与える快感だけを感じ続けた。

 

「……いいですね、奴隷……?」

 

 誰かが言った。

 なにを言われたかわからなかった。

 

 ただ息ができなくて苦しい。

 苦しいのに気持ちがいい──。

 

 信じられないくらいの精が股間から迸り続ける。

 また、息ができなくて、意識が飛びそうになる。

 

 すると、顔に跨っている女が腰をあげて、金箍に息を許してくれた。

 だが、それは束の間だ。

 

 ふたりの女のくすくす笑いが続く。

 これはどういう状況なのか……?

 金箍はまったく考えることができなくなった。

 股間の根元に強い刺激を覚えた。

 

「……お預けよ──。これで射精ができないわ──。早く、奴隷の誓いをなさいませ、皇子様──。さもないと、このままですよ」

 

 下半身をむさぼっていた女がそう言った気がした。

 

「んんがあ──」

 

 金箍は、驚いて塞がれている口で悲鳴をあげた。

 勃起している一物の根元に、なにかを巻かれたのだとやっとわかった。

 連続していた射精が止まったのだ。

 

 快感がなくなったわけではない。

 むしろ大きくなっている。

 ただ、精が堰き止められたのだ。

 それなのに、怒張にも睾丸にも肛門にも快感が送り込まれ続ける。

 金箍の性器は暴発寸前に陥った。

 

「んがああ──」

 

 金箍は苦しくて絶叫した。

 快感はある。

 これ以上ないほどに──。

 だが、それが発散できない。

 逃げ場のなくなった快楽の津波が金箍の身体を席巻する。

 

「なにか言いたいのですか、奴隷? 奴隷の刻印を受け入れるのですね?」

 

 顔の上の女が、またくすくすと笑いながら言った。

 

「奴隷……?」

 

 意味がわからない。

 思考することができないのだ。

 

「なにも考える必要はないのですよ、皇子様……。受け入れると言えば、これを外してあげます。でも、誓わないと、いつまでもこのままですよ……」

 

 股間にいる女が肛門に入れている指を抉るように上に押した。

 

「ひがああ──」

 

 精の迸りを感じた。だが、やはりとめられる。

 金箍は泣き叫んでしまった。

 

 発散したい──。

 

 精を出したい──。

 

 苦しい──。

 

「受け入れる──。誓う──。なんでもする──。だから、精を出させてくれ──。頼むううっ──」

 

 金箍は絶叫した。

 

「……はい……。よく、言えましたね……」

 

 怒張の根元に女が触った。

 ふっと、性器の圧迫感がなくなった。

 

「ひぎゃあああ──」

 

 ものすごい快感が迸った──。

 なにも考えられない──。

 

 股間から連続射精が始まった。

 とまらない──。

 射精がとまらない──。

 

「あはああっ──こ、こんなのすごい──あたしも狂う──こんな濃い淫気なんて、一気に喰らえない──」

 

 股間に跨っていた女が後ろにひっくり返るのがわかった。金箍の怒張から女の股がすっぽ抜けるかたちになった。

 

 それでも射精はとまらない……。

 金箍の怒張は受け取る者がいなくなった精を空中に次々に放出し続けた。

 

 そして、意識は完全な闇に包まれた。

 

 

 *

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶりのご馳走だったわね……」

 

 心からの満足とともに、避寒子は言った。

 目の前には、完全に気絶している金箍の裸身が横たわっている。

 縄掛けはそのままだ。

 みっともなく開いた股には、いまだに衰えることのない一物が勃起している。

 

 これだけの性狂いの道術を身体に注ぎ込んだのだ。

 おそらく、放っておいても、三日はこの勃起が萎えることはないはずだ。

 金箍の胸には、この金箍が『奴隷の刻印』を受け入れたことを示している刻印が刻まれている。

 

「本当……。人間族にしておくのは惜しいわ。このまま、魔域に連れ帰って飼いたいくらい……。こんなにも、あたしたちの性狂いの道術を受け入れて平気だなんてね……。普通の人間族ならもう死んでいるわね」

 

 避暑子が応じた。

 避寒子も避暑子も、九霊聖女の命令で降妖君にこの西方帝国に連れてこられた淫魔である。

 淫魔というのは淫気を食料の代わりにする妖魔であり、人間や亜人たちが性交のときに発する淫気を身体に吸収して力を得る生物だ。

 それが、ふたり揃って人間族の男を相手にしたのだ。

 完全に堕ちるのに、これだけの時間がかかったというのが長すぎるくらいだ。

 

 とにかく終わった。

 ふたりが九霊聖女(くれいせいじょ)に指示されていたのは、この金箍に奴隷の刻印を打ちこんで無力化することだった。

 かたちとしては、降妖君の命令ということになっており、降妖君は、自分自身の指示で避寒子と避暑子が金箍にそれを施したと思っているが、実際には違う。

 

 避寒子も避暑子も、九霊聖女の指示で、降妖君に従うふりをして動いただけで、現実には九霊聖女の命令でやったことだ。

 

 第一、ふたりは、『奴隷の刻印』という道術は本来は遣えない。

 九霊聖女に霊気を一時的に貸してもらい、その力を金箍に遣っただけだ。

 だから、金箍に刻んだ奴隷の刻印の「主人」の対象は九霊聖女だ。

 それしかできないのだ。

 

 降妖君からは、降妖君を主人とする奴隷の刻印を打てと言われたが、実はそんなことはできない。

 いま、金箍が胸に刻んでいるのは、九霊聖女を主人とする刻印だ。

 だから、これから最後の仕上げをする必要がある。

 避寒子は金箍を覚醒させる道術を送り込んだ。

 金箍の身体の淫気を激しくかき乱すのだ。それで金箍は目覚める。

 

「んあああ? な、なんだ?」

 

 金箍が目を開けた。

 だが、まだ、まともに物が考えられないような感じだ。

 

 避寒子は避暑子を見た。

 避暑子が『言玉』を出す。

 言玉というのは、言葉を閉じ込めた道術の球体だ。

 避暑子がそれを弾かせると、九霊聖女自身の言葉が流れ出た。

 

「……金箍、よくお聞き、わたしは九霊だよ。わたしが指示をするまで、降妖君を主人として、その命令に服従するんだ。いいね──。それから、奴隷の刻印のことは未来永劫に忘れてしまいな──」

 

 九霊聖女の言葉に、金箍が虚ろな顔をうなずかせた。

 金箍は九霊聖女には遭ったことはないが、九霊聖女を主人と刻んでいるので、その言葉を直接にきけば、命令に従ってしまうのだ。

 いまの金箍の状態で、“忘れろ”と命令されれば、おそらく、記憶操作も受け入れただろう。

 金箍は少なくとも、なにかのきっかけがなければ、自分が奴隷の刻印を受け入れたことさえ、思い出さないはずだ。

 

 とにかく、これで終わった。

 ふたりの任務は完了した。

 これからは、純粋に避寒子と避暑子の時間だ。

 まだ、朝までには数刻ある……。

 朝になっても、試合開始まではかなりある。

 愉しむ時間はたっぷりとあるだろう。

 

「よくできましたね、皇子様……。では、もっとあたしたちと遊びましょう……」

 

 避寒子はくすくすと笑いながら言った。避暑子も同じように笑っている。

 

「へ、へへへ、へへへ……」

 

 すると、金箍が締まりのない顔を嬉しそうに歪ませた。

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