「な、なにを……の、飲ませたのよ──?」
沙那はあっという間に全身に生じた脱力感とおかしな疼きに腰が砕けそうになり叫んだ。
そして、次の瞬間、本当に腰が抜けたようになり、がくりと身体がさがった。
だが、首輪のために沙那の喉が強く締めあげられ、沙那は慌てて脚を踏ん張った。
そして、沙那は愕然とした。
全身が焼けるように熱くなり、同時に股間や乳房に強いむず痒さが襲ってきたのだ。
脚が震え、まるでなにかに吸いとられるようにどんどんと力が抜けていく。
「陛下、申し訳ありませんが、この奴隷女は、じゃじゃ馬の程度がかなり強いので、例の催淫剤を使わせてもらいましたわい。あまり、抵抗が激しくても陛下の負担が大きいと思うのでのう」
どうやら首輪の鎖を天井に繋げられた沙那の後ろから、おかしな薬物を飲ませたのは王允のようだ。
おそらく媚薬だ……。
しかも、かなりの強力なものであることは間違いない。
その証拠に、沙那の身体は信じられないくらいに、欲情しようとしている。
これは、危険すぎる媚薬だ……。
沙那は息を飲んだ。
とにかく、歯を食いしばって、全身に拡がっていく強い疼きに耐えようとした。
しかし、こうしているあいだにも、薬物の影響が急速に沙那を苛んでいく。
身体だけではなく、正常な思考まで奪っていきそうなこの薬物の力に、沙那は恐れおののいた。
「なあに、抵抗する女は大好物だぞ。そのままでもよかったがな。嫌がる女を力で押さえつけて手籠めにする醍醐味というのも、また格別な味があるというものだ」
目の前で寝台に上体をあげて横になっている
「それはいかんですな、陛下。陛下はまだ本調子ではない。無理な負担は禁物じゃ。今日のところは、薬物で大人しくなった女を抱くことで我慢してもらいますぞ」
王允が溥儀雷帝に笑いながら口調で言った。
「こ、答えるのよ……。な、なにを飲ませたのよ──?」
沙那は絶叫した。
しかし、それで力を使い果たしたようになってしまい完全に膝ががくりと折れた。
「んぐう──」
首輪で喉が絞まり、沙那は悲鳴をあげた。
次の瞬間、天井から吊られていた鎖が外れた。
首輪の引っ張りがなくなった沙那は、その場に崩れ落ちた。
「……王允殿がお前に飲ませたのは、お前のような気の強い女を躾けるための薬品だ。どんなに慎みのある女でも、あれを飲めば、悶え狂って小便を垂れ流して泡を吹くという壮絶な催淫剤だ。強い中毒性もあるからな──。薬物の効果がなくなったら、今度は中毒症状でも、のたうちまわることにもなる」
「ひ、卑怯者……」
沙那は司馬進により溥儀雷帝のいる寝台にあげられそうになり、最後の力を振り絞って転がり倒れて、司馬進の腕から首輪に繋がった鎖を手から離させた。
「ほう……。あの催淫剤を飲んで、まだ、そんなに動けるのか?」
司馬進は呆気にとられた表情をした。
沙那は力の入らない脚を踏ん張って立ちあがると、後手に縛られた身体を壁につけた。
冗談じゃない──。
最後の最後まで抵抗してやろうと思った。
人を馬鹿にするにもほどがある。
それに、沙那が皇帝に連れて行かれたことは、すぐに
宝玄仙は、沙那が皇帝に連れていかれたことを悟れば、必ず怒って助けにきてくれるはずだ。
だから、それまで耐えればいい……。
沙那は自分に言いきかせた。
しかし、問題は、その宝玄仙が、いまは
最初に朱姫の『縛心術』で黄獅姫から、可能な限りの情報を引き出したとき、朱姫によれば、黄獅姫の心には、『縛心術』にかけられたときに、逆に封印されて黄獅姫の記憶からなくなったようになる情報が隠されていると言っていた。
つまり、それは『縛心術』対策の防護道術のようなのだが、それについては、『縛心術』によって引き出せないので、『縛心術』を解いた状態で白状させなければならないらしい。
その情報がなにかわからないものの、それを黄獅姫から引き出そうとしているのが宝玄仙だ。
だから、宝玄仙は新たらしい玩具を与えられた好奇心の強い子供のように、嬉々として黄獅姫に性的拷問を加えて、その情報を白状させようとしている。
まあ、宝玄仙のことだから、いつものように、情報を取ることはもうどうでもよくなっていて、黄獅姫をいたぶることに夢中になっているようだが……。
とにかく、沙那が皇帝にさらわれたことが宝玄仙に伝われば、宝玄仙はすぐにでも動いてくれるとは思う。
ただ、沙那が出てくるときには、誰かに邪魔をされるのを嫌がった宝玄仙は、黄獅姫を閉じ込めている釘鈀の屋敷の地下の一室を道術で閉鎖してこもっているのだ。
沙那が釘鈀の呼び出しを受けたと思って、それを宝玄仙に伝えようとしたが、部屋の外から宝玄仙に接触できないために断念し、黙って出てきたのだ。
だから、釘鈀がすぐに皇帝の行動に気がついたとしても、すぐには宝玄仙には伝わらない可能性が高い。
「ほう、面白いのう……。ならば、どこまで頑張れるか頑張ってみよ、沙那とやら……。おい、司馬進、棚にある砂時計を持って来い。それともうひとつの例の薬もな。薬はお前が持っておれ──」
溥儀雷帝が言った。
なにかを企んでいる様子だ。
沙那は嫌な予感がした。
司馬進が壁の棚から大き目の砂時計を持ってきて溥儀雷帝に渡した。
また、小壺を手に持っている。
「これから、ちょっとした遊びをしてやろう、沙那……。この砂時計が落ちきるまでに、そこにいる司馬進から逃げきってみよ。その代わり、司馬進はお前を捕えて、服を剥がし、壺の中にある薬剤をお前の股間に塗りたくる……。その壺の中には塗り薬がある。お前がさっき飲んだ媚薬以上に強力な催淫剤だ。それを塗られれば、おそらく、お前の頭は狂って、ただ男を求めて腰を振るだけの雌獣に成り下がる」
溥儀雷帝が笑った。
沙那はぞっとした。
ただでさえ、いま沙那が飲まされた媚薬は、沙那がこれまでに味わったことがないような強力な催淫剤だ。
その状態の沙那に、さらに得体の知れない薬を塗ろうというのだ。
沙那はぞっとした。
「ひ、卑怯よ──。そ、そんな薬を使うだなんて……。あ、あんたたちは卑怯者よ──。それでも皇帝? そんな薬を女に使って犯すだなんて、卑怯者にも程があるわ──」
沙那はありったけの声で叫んだ。
だが、強気の言葉の反面、沙那はもう自分が堕ちるかもしれないという恐怖にも襲われていた。
大きな声で悪態をついているのは、そのことで、少しでも沙那自身を鼓舞して、沙那の身体が官能に崩れるのを防ぐためでもある。
なにしろ、もう全身の火照りが我慢のならないものになり、壁を背もたれながらも立っていられそうになくなってきているのだ。
「卑怯者か……。なかなかいい名だな──。よし、では、これからこの塗り薬の名を“卑怯者の薬”とするか……。ならば、これを塗られたくなければ、砂時計が落ちきるまで、司馬進から逃げ回ってみせよ、沙那」
溥儀雷帝が寝台の横の小さな台に砂時計を置いた。
砂が落ち始める。
「いいんですか、陛下? 陛下が抱く奴隷女を俺が先にいたぶったりして」
司馬進が卑猥な表情をしながら、片手で持った小坪の蓋を外した。
かなりの距離があるのに、つんとする刺激臭が沙那の鼻に漂ってくる。
それだけで、あの薬もまた恐ろしい媚薬であることがわかる。
「構わん──。だが、犯すのは余だからな。その代わり指でたっぷりと女陰にその薬を塗り込んでやれ……」
「それはありがたき幸せ──。では、命により、露払いを仰せつかまりますか……」
司馬進が沙那の方に寄ってきた。
「く、来るんじゃない……わよ……」
沙那は壁に沿ってじりじりと移動した。
だが、司馬進が大股で沙那に近寄ってくる。
逃げられない──。
沙那は壁を離れて走ろうとした。
だが、数歩もいかないうちに脚がもつれて倒れてしまった。
後手を縛られているので、手で受け身をとることもできす、そのまま肩から落ちる。
「ぐうっ」
沙那は激痛に呻き声をあげた。
「もう終わりか? 呆気なかったなあ──」
司馬進が床に壺を置いて、片手で沙那の襟の背を掴んだのがわかった。
首を押さえられて、上衣を背中側で真っ二つに引き破られる。
「いやああ──」
沙那は汗びっしょりの背中に冷たい風を感じて、思わず悲鳴をあげた。
必死で起きようとした……。
だが、本当にもう力が入らない──。
「ほら、もっと抵抗をしてくれないと、陛下が愉しめないではないか。もっと頑張ってみせ、療養をされている陛下をお慰めせよ」
司馬進が沙那の腹の下に足を入れて、沙那を仰向けにした。
今度は沙那の下袴に上から両手を伸ばして腰紐に手をかけた。
今度はそれを緩めようとする。
「こ、このう……」
沙那は必死で両脚首が縄で繋いでいる足を司馬進の片脚に巻きつけた。
そして、そのまま身体を捻った。
「おおっと──」
司馬進か沙那から片脚を払われた状態になり、体勢を崩して倒れてしまった。
「な、なめんじゃないわよ──」
沙那は大声で喚きつつ、再びなんとか立ちあがった。
そうやって、強引に激昂することで、辛うじて起きあがる力を振り絞っているのだ。
「あっ──」
だが、沙那は声をあげた。
いつの間にか、完全に下袴の腰紐と前側の留め具を完全に外されてしまっていたようだ。
沙那のはいていた下袴は足首まで落ちてしまい下半身は下着一枚になってしまったのだ。
溥儀雷帝が沙那の狼狽ぶりを眺めて大笑いをしている。
沙那は膝を曲げて股間を隠すようにしながら、ちらりと砂時計を見た。
まだ、三分の一も終わっていない。
この連中が約束を守る保証はないが、せめて砂時計が砂を落ちきるまで逃げおおせて意地を通してやる──。
沙那は動くのをやめた。
動けば足がもつれるのだ。
どうせ、脚で逃げ回ることなど不可能だ。
その代りに沙那は、力の限りに下唇を噛んだ。
口の中に血の味が拡がり痛みが走った。
その代わりに、少しだけ頭がすっきりしてきた。
「次は残った上衣の布切れを剥がすかな……? それとも、先に毟り取るかな……?」
司馬進がゆっくりと近寄ってきた。
沙那は朦朧として動けないふりをして動かなかった。
それは半分は演技だったが、半分は真実だ。
実際、もうあまり動く力は残っていない。
司馬進が、沙那の上衣の襟を今度は前側から掴んだ。
いまだ──。
沙那は頭を後ろに一度さげて、力の限り司馬進の鼻めがけて頭突きをした。
「ぐわっ」
すっかりと油断していた司馬進が鼻を押さえてうずくまった。
「く、喰らえ──」
沙那は司馬進の顎をめがけて、さらに膝を叩き込んだ。
司馬進が悲鳴をあげて横倒しに倒れる。
「くうっ……」
今度は少しは時間を稼げるだろう……。
沙那は仰向けにひっくり返った司馬進から離れた。
そのとき、なにかが脚に引っ掛かった。
それがいつの間にかそばに寄っていた王允だとわかったときには、沙那は王允に足につまずいて倒れてしまっていた。
「い、痛い──。ひ、卑怯よ──」
またもや肩から落ちて床に倒れた沙那は、顔を振り向かせて王允を睨みつけた。
「これはすまんのう……。じゃあ、身体を起こしてやろう──」
王允が沙那の胸を背後から掴んだ。
「な、なにすんのよ──」
沙那は叫んだ。
その両手が破れている上衣の布の下に入り、さらに胸当ての下まで潜り込んだのだ。
「あんっ、あっ、いやあっ」
だが、次の瞬間、愕然とした。
沙那の両方の乳首まで達した王允の指になにかが塗られていたのを感じたのだ。
それが例の塗り薬だと悟ったのは、王允の足元に、司馬進が床に置いたままだった小壺が置いてあるのが見えたときだ。
「な、なにを……」
沙那は懸命に上体を捻って王允の指を胸から払いのけた。
「くあっ──」
しかし、いきなりだった──。
薬物を塗った乳首がまるで燃えたように熱くなったのだ。
「ひいいいい──」
沙那は上体をのけ反らせて大声をあげていた。乳首からの凄まじい疼きが全身を駆け巡った。
こんなの少しも耐えることなどできない。
「な、なんていう女奴隷だ──。その状態で抵抗しやがって──」
鼻血を手で拭きながら、司馬進が怒りを顔に浮かべて近寄ってきた。
沙那を上から組伏せ、沙那の身体から上衣も胸当ても取りあげ、あっという間に下着までもむしり取った。
沙那はついに全裸にされてしまった。
もう抵抗などできない……。
それよりも、乳首が溶けそうで狂いそうだ。
「こうなったら、本当に発狂するくらいに大量に塗ってやる。尻の穴にもな──」
露わになった沙那の膣に司馬進が指を挿入して、たっぷりと薬を塗り込めていくのがわかった。
「あ、ああ……や、やめて……も、もう……やめて──ひいいいい──」
すぐに沸き起こった異常な感覚に、沙那は生汗を噴き出しながら泣き叫んでしまった。