※この作品はR-18です。

嗜虐西遊記【完結】   作:ドン・ドナシアン

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771 金角城への突入

 朱姫はぎょっとした。

 部屋の真ん中にある寝台に素裸の銀角が四肢を寝台の四隅に繋げられて喘いでいたのだ。

 そして、全身は真っ赤に充血してして汗びっしょりだった。

 その理由は股間に挿入されたふたつの張形の淫具だ。

 銀角の女陰と肛門には、男根を模した張形が深々と突き挿っていて、それが激しく振動しながらうねっていた。

 

 どれくらい長い時間そうやって放置されているか知らないが、銀角の大きく開いた股間からは夥しい愛液が流れていて寝台の敷布をびしょびしょに濡らしている。

 しかも、銀角はもう朦朧としているようであり、宝玄仙の姿でやってきた朱姫にまったく反応を示さない。

 寝台の横には、裸に丈の長い部屋着一枚だけを身に着けていると思われる男が座っていた。

 

 巴山虎(はざんとら)だ──。

 この男は、以前に金角と銀角が宝玄仙を捕えるために西方諸国までやってきたとき、銀角の下で軍を率いていた男だ。

 だから面識がある。

 

「おう、宝玄仙ではないか……。久しぶりだな。こんなかたちで再会するとはな……」

 

「は、巴山虎、裏切者──。よ、よくもおめおめと生きているね……。し、しかも、銀角はお前の上司だった女だろう……。そ、それを──」

 

 朱姫は宝玄仙の声色で言った。

 いずれにしても、かなり身体の火照りも落ち着いてきた。

 なんとか道術を刻むだけの集中はできそうな気がする。

 

「お前は知らなかっただろうが、俺は銀角に恋焦がれていたのだ。この女を手に入れるためなら、裏切者の汚名などなんでもない──。おい、銀角、懐かしい顔がやってきたぞ。宝玄仙だ──。お前たちが女主人だと認めた宝玄仙がやってきたぞ」

 

 巴山虎が大きく上下している銀角の乳房を鷲づかみして叫んだ。

 

「ほ、ほう……げん……せん──? あああっ、ああっ、ああああ──」

 

 銀角が少しだけ顔をあげて、やっと朱姫に視線を向けた。

 だが、すぐにそれは喘ぎ声に飲み込まれてしまった。

 

「ぎ、銀角──」

 

 朱姫は玉面から縄尻を振りほどくと、銀角に駆け寄った。

 

「銀角、しっかりして──」

 

 朱姫は銀角の顔の上に覆いかぶさるようにして叫んだ。

 

「はあ、はあ、はあ……はああ──ほ、ほうげん……あっ、ああっう、せん……。ど、どうして……ここに……ああっ、ああああ──も、もう許して──とめて、淫具を……とめて──あふううう──」

 

 銀角は叫んだ。

 これはあまりにも反応が激しすぎる。

 おそらく、媚薬を塗られるか、飲まされるかされているのだろう。

 それでこの反応なのだと思う……。

 朱姫は巴山虎を睨んだ。

 

「こ、これはなにをさせているのよ、巴山虎──? ぎ、銀角はもうこれ以上は耐えられないわよ──。淫具を抜いてやってよ。いつから、こうやっているのよ──?」

 

「そう言うな、宝玄仙……。銀角は、明日には俺から離れて、南山軍の迎撃隊長として出陣するのでな。俺から離れても、俺から与えられる快感については、忘れられなくなるように調教によって、身体に刻み込んでいるのだ」

 

 巴山虎が得意気に笑った。

 

「と、ともかく、とめなさいよ、巴山虎──。これじゃあ、話もできないわよ──」

 

 朱姫は怒鳴った。

 

「そうだな──。玉面殿の話によれば、牛魔王様のところにお前が送られる前に、銀角との濃厚な百合の性愛を見せてくれるのだったな──。よし、銀角、百回絶頂の調教はいったん中止だ──。この宝玄仙と乳繰り合え──。それから再開だ」

 

 巴山虎が笑った。

 すると、やっと銀角の股間でうねっていた淫具が静止した。

 銀角が脱力する。

 

「さあ、じゃあ、やってみろ、宝玄仙──」

 

 玉面が朱姫の背後から腕を伸ばした。

 朱姫がはいている下袍を引き下ろし、縄掛けされている上衣を左右に開いて乳房を剥き出しにした。

 朱姫は抵抗しなかった。

 身体は銀角の顔の上から覆いかぶさったままだ。

 

「ほ、宝玄仙様……。な、なぜ、ここに……? き、金角姉さんは……こ、殺されて……。そ、それに、それに……。あ、あれから、いろいろなことが……。本当に……いろいろ……」

 

 銀角が荒い息をしながら、つっと涙をこぼした。

 朱姫は顔を銀角の顔に伸ばして、舌で銀角の涙を舐めた。

 

「泣かないで、銀角……。あとでいっぱい可愛がってあげるからね。あたしは、銀角と遊ぶために、ここにやってきたのよ……。ご主人様も沙那姉さんも孫姉さんも元気よ……。素蛾っていう新しい仲間もいるよ。すぐに呼ぶわね……」

 

 朱姫はささやいた。

 銀角の目が大きく見開いた。

 

「お、お前……、もしかして、朱姫?」

 

 銀角が声をあげた。

 朱姫はにっこりと銀角に微笑みかけた。

 そのときには、朱姫はすでに部屋の中に『移動術』の結界を刻み終わっている。

 朱姫は顔をあげて、巴山虎たちに正対した。

 

「お礼をしないとね、玉面──。わざわざ、巴山虎と銀角がいるところまで連れてきてくれてありがとう──。ご主人様たちも手間がはぶけて喜ぶわ──。ここは巴山虎と銀角がいる部屋です。外には衛兵がいますが、部屋の中には、ほかには玉面しかいません」

 

 朱姫は言った。

 言葉の最後は『移動術』の結界の向こうで待っている宝玄仙たちに道術で伝えたものだ。

 巴山虎たちが呆気にとられている。

 

 だが、すぐに部屋の中で霊気が動いていることに気がついたようだ。

 玉面が懐に入れていたらしい小刀を取り出した。

 

 しかし、もう遅い──。

 朱姫が作った『移動術』の結界から孫空女が『如意棒』を持って飛び出してきた。

 続いて沙那。最後に宝玄仙が出現する。

 

「う、うわっ、なんでだ──?」

 

 あっという間に孫空女に小刀を弾き飛ばされて、玉面は部屋の床に叩きのめされた。

 沙那が、呆然としている巴山虎を突き飛ばし、銀角に駆け寄って淫具を抜くとともに、拘束されている手首と足首の縄を剣で切断する。

 

「お、お前たち──?」

 

 やっと巴山虎が口を開いた。

 

「観念しな、お前ら──。さあ、どう料理してやろうかね……。とりあえず、部屋は封鎖してやったよ。助けがやって来ることはないよ。存分にやりな」

 

 宝玄仙が巴山虎と玉面に手をかざしながら笑った。

 ふたりが道術を遣えないように、霊気を封印してしまったようだ。

 同時に部屋に結界が張られたのもわかった。

 

「ほ、宝玄仙様……。そ、そして、みんな……?」

 

 沙那に助け起こされている銀角が、喜色を顔に浮かべた。

 

「ほ、宝玄仙がふたり──? どちらかが、偽者か──?」

 

 巴山虎が叫んだ。

 

「お手柄だよ、朱姫──。一番いいところに結界を繋いでくれたよ」

 

 孫空女が笑いながら、縛られている朱姫の縄を解いてくれた。

 宝玄仙も朱姫の手首に手を伸ばす。

 手錠が音を立てて床に落ちた。

 拘束するものがなくなった朱姫は、変身を解いて元の姿に戻った。

 

「ち、畜生──。ぎ、銀角、抵抗しろ──。こいつらから俺を守るのだ──。命令だ──」

 

 そのとき、巴山虎が叫んだ。

 朱姫はやっと、銀角の首にあるのが、ただの首輪でないことに気がついた。

 

「くっ──。や、やめてくれ──。そ、そんな──。た、助けて──。あ、あたいは、この巴山虎に逆らえないんだ。あ、あたいから逃げてくれ……」

 

 銀角が沙那を突き飛ばした。

 そして、床に落ちていた玉面の持っていた小刀を取って、巴山虎を守るように、その前に立った。

 すると横で宝玄仙が大きく嘆息した。

 

「これは……。また『服従の首輪』かい……。あのお宝という馬鹿女は、一体全体、何個わたしの霊具を作って、他人に渡しているんだい……」

 

 宝玄仙が手を伸ばした。

 銀角の首輪が呆気なく外れて床に落ちた。

 

「うわっ──? な、なんで首輪が──?」

 

 声をあげたのは巴山虎だ。

 

「なんでじゃないよ──。この首輪はもともと、わたしのものなんだよ。御影という女男のところにいるわたしの偽者が作りまくっては、あちこちに配っているだけだ。わたしの霊具なんだから、わたしが外せるのは当たり前だろう」

 

 宝玄仙が呆れたような声をあげた。

 朱姫は素裸で立っている銀角が、ぶるぶると震えていることに気がついた。

 そして、くるりと振り返ると、いきなり玉面の喉を小刀で掻き斬った。

 玉面は空気が抜けたような声をあげて、その場で絶命した。

 

「ひいいい──」

 

 その横で巴山虎が泣き声をあげた。

 身体には玉面の首から噴きあがっている血を浴びている。

 

「お、お前はすぐには殺してやらないよ、巴山虎──。よ、よくも……、よくも……、あたいを……。それに金角姉さんを……」

 

 銀角が巴山虎を蹴りあげた。

 巴山虎が悲鳴をあげて床に倒れた。

 銀角は巴山虎から部屋着を剥ぎ取って素裸にした。

 そして、倒れている巴山虎に銀角が馬乗りになった。

 

「ひぎゃあああああ──」

 

 次の瞬間、すさまじい巴山虎の絶叫がした。

 鬼のような形相をした銀角の手には、切断した巴山虎の男根が握られていた。

 

「縄を貸しておくれ。朱姫──」

 

 銀角は朱姫を拘束していた縄を受け取ると、暴れまわる巴山虎の身体を踏みつけながら縄の片側を右の足首に結んだ。

 そして、反対の縄尻を窓の横の金具に結びつける。

 次に、沙那から剣を借りて、巴山虎の手首を両方切断してしまった。

 

「うぎゃあああ」

 

 巴山虎がけたたましい声をあげた。

 その巴山虎を銀角が髪を掴んで、強引に窓際まで引っ張っていった。

 

「頭が下にあれば、死ぬまでに時間がかかるだろうさ……。たっぷりと悔いながら死ぬといいよ」

 

 銀角は血だらけの巴山虎の身体を窓の外に放り投げた。

 ここは五階くらいだろう。

 朱姫は窓に駆け寄った。

 一階と二階のあいだくらいで巴山虎の身体が逆さ吊りでぶら下がっている。

 悲鳴なようなものをあげているが、それは力のないものだ。

 

「相変わらず、激しいねえ、銀角」

 

 宝玄仙が呆れ顔をしている。

 

「こ、こんなんじゃあ足りないくらいですよ……。で、でも、どうして、みんなが、ここに……?」

 

 やっと我に返ったような銀角が振り返って言った。

 

「話は後だよ。それよりも、お前に訊ねたいことがあるんだ。金角が殺されたとき、あいつは首にわたしが渡した小さな袋をかけていたはずなんだ。わたしと別れるとき、そうしていたからね。お前、それがどこにあるか知らないかい?」

 

 宝玄仙の言葉に、銀角は慌てたように部屋の隅に寄っていった。

 そして、小さな宝石箱から首飾りになっている袋を持ってきた。

 

「こ、これは金角姉さんが、牛魔王から殺される直前に、あたいに託したもので……。でも、どうしても開かなくって……」

 

 銀角が宝玄仙に渡しながら言った。

 しかし、袋を受け取った宝玄仙は、それを無造作に開いた。

 銀角はびっくりしている。

 袋の中から出てきたのは、金色の小さな玉だ。

 

「そ、それは道術石──? そ、そんなものが中に──?」

 

 銀角が声をあげた。

 

「そうだ、銀角──。このわたしが厳重に封印するとともに、中に入っているものが誰にもわからないように細工をしていたからわからなかっただろうけど、これは道術石だ──。別名、魂の欠片さ……。これは管理の難しい魂の欠片を保管できるように、わたしが作った入れ物なんだよ。おそらく、こんなものを作れるのは、この世でわたしくらいのものさ」

 

 宝玄仙がにやりと微笑んだ。

 

「ね、ねえ、ご主人様……。もしかしたら、それは金角の……?」

 

 沙那が言った。

 

「そういうことさ、沙那──。わたしは金角の魂の欠片を作って、金角自身に渡していたのさ──。まさか、役に立つとは思わなかったけどね……」

 

「そ、そういうことは……つ、つまり、金角姉さんは……」

 

 銀角が目を丸くしている。

 

「ああ……。生き返るさ。これさえあれば、金角は復活できる。よかったよ。これが取りあげられてなくてね……」

 

 宝玄仙が笑った。

 しかし、その顔がすぐに曇った。

 

「どうしたのさ、ご主人様?」

 

 孫空女が横から口を挟んだ。

 だが、宝玄仙は首を傾げている。

 

「……これは……。これじゃあ、金角は復活できない……」

 

 宝玄仙がやがて呟いた。

 

「ふ、復活できないって、どういうことですか、宝玄仙様──?」

 

 銀角が叫んだ。

 

「復活できないというよりは、金角は死んでいないようだよ……。まだ生きている──。本当の魂が死んでいないのに、欠片側で金角を復活することなんてできないよ」

 

 宝玄仙は眉間に皺を寄せている。

 

「死んでない──?」

 

 銀角が大きな声をあげた。

 

 

 *

 

 

「宝玄仙が……?」

 

 牛魔王は言った。

 「平定(へいてい)城」と呼んでいる牛魔王の居城だ。

 雷音(らいおん)大魔王のために、その覇道に逆らう者を滅ぼして、魔域を平定する。

 それが牛魔王の役割と自負しているから、牛魔王は自分の居城をそう呼ばせていた。

 牛魔王は、そこで戻ってきた鉄扇の報告を受けていた。

 

 その内容は、牛魔王としては、はだはだ不満足な内容だった。

 金角の代わりに魔王にしてやった巴山虎は殺され、旧金角領の部族長たちが、救出された銀角に服従を誓うことによって再びまとまり、南山軍の北進から始まった旧金角域における騒乱は終わった……。

 

 つまりは、旧金角の領域に残っている各部族たちを激しく戦わせて、疲弊したところを改めて平定するつもりだった牛魔王の思惑は失敗に終わったということだ。

 北進した南山軍も、金角宮と名を戻した宮殿に集結して、軍の再編成が行われているようだ。

 その南山軍を連れてきたのは、なんとあの宝玄仙という人間族の魔女らしい。

 息子の紅孩児(こうがいじ)を殺し、復讐のために牛魔王が血眼になって探していた女だ。

 それが九霊聖女(くれいせいじょ)に封印された南山大王を復活させ、その九霊聖女までも支配において、南山軍を編成して巴山虎を攻めたのだ。

 今回のことを改めて調査をさせて、やっとそれがわかった。

 

 いずれにしても、巴山虎は呆気なく銀角に殺され、牛魔王が置いていった玉面も死んでいる。

 この鉄扇だけは、混乱した宮殿から逃亡することに成功して、こうやって報告のための戻ってきたらしい。

 

「確かに間違いないのだな、鉄扇──。銀角を救出するためにやってきたのは、宝玄仙だったのだな? そして、その宝玄仙は、いまは、金角の居城だった宮殿に、銀角とともにいるのだな?」

 

「間違いございません。確かです──」

 

 鉄扇は玉座に座る牛魔王の前に跪いたまま言った。

 

「わかった──。それだけ確認できれば、もう用はない──」

 

 牛魔王は道術を放った。

 呻き声さえ発することなく、鉄扇の首から上が胴体から離れて血が噴き出した。

 

「この能無しの屍体を片づけろ──」

 

 牛魔王は吐き捨てた。

 衛兵たちがさっと駆け寄って、鉄扇の死骸を運び出し始める。

 しかし、もう牛魔王の関心は鉄扇から消えた。

 牛魔王は、横に立っている宰相に視線を向けた。

 

「いま各地で戦っている将軍たちの全員に伝えよ。それぞれの判断で、和睦を結んで戦いをやめよと──。わしに逆らった魔王たちの命はとらん。領域も安堵してやる。その条件で結んでいい。その代わり、各軍団を青竜(せいりゅう)山の南側に集結させよ。そう伝えるのだ──。牛魔王の全軍団を集めよ。ただちにだ──」

 

「はっ」

 

 宰相がすぐに立ち去った。

 青竜山というのは、旧金角域に近い牛魔王の直轄域の南側にある要害だ。

 侵攻してきた金角軍を罠にかけたのも、その青竜山にある要塞だった。

 

 牛魔王は玉座の横の杖立てに差してある杖を手に取った。杖といっても、大きな棍棒くらいの太さがある。

 その杖の先端についている首に向かって牛魔王は話しかけた。

 

「金角、聞いたであろう? お前の女主人が銀角を救出してしまったらしいぞ。まあいい……。少しだけの猶予だ。そのうちに、銀角も、その宝玄仙という名の女も、お前と同じように首だけの姿にして、この杖に取りつけてやろう。一本の杖にお前たち三人の首が装着されるということだ。そのときは首だけになった三人で昔話でもして懐かしむといい……。愉しみだな……」

 

 牛魔王は笑った。

 杖の先端に生首だけが装着されている金角の顔が不敵な表情になった。

 

「宝玄仙を殺せるわけがないわ……。あの女の道術はすさまじいのよ。手を出して痛い目に遭うのはお前よ、牛魔王……」

 

 首だけの金角が言った。

 

「そうか? よう言うたわ。その減らず口の褒美に、今日もお前の頭に幻術を送り込んで苦しめてやるぞ……。そうだな……。今日は淫虫にしてやろう。お前の身体を数万匹の淫虫がたかって喰らうのだ。淫虫は獲物を口にするとき、その獲物に快感を呼び起こす媚薬を注いで全身を麻痺させながら、身体を食らうからな。せいぜい、淫らに悶えながら身体を食らってもらうがいい……。淫虫に身体を食い尽くされては復活し、復活してはまた喰らわれる。それを果てしなく繰り返すといいぞ……」

 

 牛魔王が言うと、杖の根元の金角の顔が引きつった。

 そして、すぐに苦しそうに顔をしかめた。

 金角の身体も淫虫も実在していないが、実際に身体があるのと同じような感覚を金角の頭に送り込むのだ

 存在しないのだから、なにをどうしても、金角は身体を蝕まれる苦しみから逃れられない。

 そうやって、この三箇月、首だけになった金角を拷問し続けている。

 

「はあ、はあ、はあ……あああっ、や、やめて、やめて、やめて……あああ──」

 

 さっそく淫虫に全身を苛まれながら食べられる幻に接した金角が大きな声でよがり声を出し始めた。

 牛魔王は、その金角の苦悶の顔に大きな満足を覚えた。

 

 

 

 

(第117話『旧金角域の奪回』終わり、第118話に続く)

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