「素敵ですよ、沙那姉さん──。沙那姉さんはやっぱり、男女の姿がよくお似合いです。沙那姉さんは、一応は素蛾の先輩なんですから、素蛾なんかに負けないでくださいよ」
床の上に敷いてある大きな敷き布団の上に進もうとしていた沙那に、朱姫が冷やかしの言葉をかけた。
沙那は宝玄仙に命じられて、双頭の張形を股間に挿入していた。
だから、沙那の股間には隆々とした張形が見事な仰角でそそり勃っている。
「う、うるさいわねえ、朱姫──。そういうお前も、素蛾に負けたじゃないのよ。お前に言われたくないわよ」
沙那は怒鳴り返した。
すると、なぜか敷布を取り巻いている宝玄仙、孫空女、銀角が大きな声で一斉に笑った。
沙那は急に恥ずかしくなってしまった。
その笑いで、沙那は昂っていた心が冷静さを取り戻した感じになり、はっと我に返ったのだ。
なにをやっているかというと、今夜はいつもの五人に銀角を交えた「百合の遊宴」をやっているのだ。
もちろん、宝玄仙の命令だ。
ここに集まっている女たちは、全員が完全な全裸だ。
そして、宝玄仙の命令で「百合の性愛勝負」をふたりひと組で、ずっとやらされているところなのだ。
先に達してしまえば、負けになるという勝負を何度も繰り返し行っている。
最初は三組ずつそれぞれに同時にやっていたのだが、いまは宝玄仙に指名されたふたりが真ん中の寝具で抱き合い、それをほかの者がまわりで見物するというかたちに変わったところだ。
すでに、この乱交が始まってかなりの時間がすぎている。
もう夜中は回っただろう。
この調子なら、朝まで続きそうだ。
まあいい……。
数日中に牛魔王軍の侵攻がないことだけは確かだ。
今夜はもう諦めて、沙那も宝玄仙の命じたこの遊宴に没頭する覚悟だ。
次は、沙那と素蛾が性愛の勝負をするように指名された。
旧金角の領域と牛魔王の領域のあいだに広がる
牛魔王軍団と呼ばれている魔域最大軍団は、盤桓平原を挟んだ青竜山にある牛魔王軍の要塞に軍団を続々と集結させており、その数はすでに十万を超し、十五万にも達しようとしている。
その目的は、牛魔王の傀儡だった
それに対して、沙那は、とにかく集められる全勢力を牛魔王が侵攻して来るであろう経路を塞ぐこの要塞に集結させた。
しかし、集められたのは西方帝国からの援軍を含む九霊聖女以下の南山軍五千と、
この旧金角軍の首領は銀角になる。
その両方の軍の総帥が宝玄仙ということになっている。
これだけの兵力差ともなれば、とりあえず要塞に籠城して牛魔王軍団をもちこたえ、勝機が来るのを期待するしかないだろう。
積極的に出撃するとしても、しっかりと相手を見極めてからだ。
絶望的な戦いだが勝機はある。
勝機というのは戦場で牛魔王を殺すことだ。
牛魔王軍団が何十万いようとも、所詮は牛魔王ひとりの霊気で集めている「
牛魔王軍団といえば、無数の傀儡兵が特徴であり、「傀儡兵」というのは、霊気で作った戦闘人形のことだ。
たとえば、地表にいる蟻のような虫に道術石を砕いた砂で霊気を与えるなどの手段により、人間のような大きさにして最小限の知性を与え、武具と武器を持たせて兵にするのだ。
牛魔王は、この道術により一度に十万もの傀儡兵を作って魔域を席巻した。
そうやって、牛魔王とその主人である雷音大王は、魔域の覇者となったのだ。
これは、魔域では有名な話であり、沙那も少し調べるだけで、その詳細も知ることができた。
だから、勝機というのは、戦場で牛魔王を殺すことということになる。
これに成功すれば、牛魔王軍団の核となる傀儡兵の大集団が消滅して、牛魔王軍団は崩壊する。
だが、問題は牛魔王を殺すことができる機会をどうやって作るかだ。
それだけの傀儡兵がいれば、なにも牛魔王が第一線に出てこなくても勝てるだろう。牛魔王自らが戦場に立つ必要はない。
だから、沙那が考えていることは、この要塞における籠城戦も含めて、とにかく牛魔王軍団の攻撃を防ぎ、勝ち続けることだ。
そうなれば、ついには膠着した戦況に焦れて牛魔王が戦場に出てくる可能性がある。
そして、戦場で牛魔王を殺す。
それが、沙那が考えられる唯一の勝機だ。
そのために、目前の戦いに、勝って、勝って、勝ち続けて、なんとか牛魔王を第一線に引っ張り込む。
それしかない……。
いずれにしても、圧倒的な大軍の侵攻を待ち受ける摩運城は、非常な緊張状態に包まれていた。
しかし、どんな状況であろうとも、性愛を愉しむのが宝玄仙という女主人だ。
銀角の復活祝いに、宝玄仙たち一行五人を含めた淫行の遊宴をやろうとか言い出し、銀角を引っ張っり込み、この宝玄仙にあてがわれている摩雲城の一室に六人を強引に集めたのだ。
すでに夕食も終わっているし、籠城戦の準備に支障はないといえばないのだが……。
まあ、宝玄仙のように、常に自然体でいるのは、緊張で潰れてしまうよりもいいことなのだろう……。
とにかく、沙那は素蛾が裸でちょこんと座っている寝具の上にあがった。
すでに素蛾は朱姫と一戦終わっているので汗まみれだ。
素蛾はあの唾液の力で、朱姫を呆気なくいかせてしまって勝ち残っているというところだ。
そういう沙那も、さっき銀角と抱き合いをさせられて全身がまだ重い。
沙那は銀角からあっという間に二度も昇天させられた。
その銀角も宝玄仙を相手に、孫空女と組んでふたり掛かりで挑んだが、宝玄仙の性技に孫空女も銀角も簡単に絶頂した。
宝玄仙はお尻が弱いのだと孫空女が銀角をけしかけて、ふたりで力で宝玄仙を動けなくして責めようとしたのだが、宝玄仙に隙をつかれて、ふたりとも舌で感じさせられて、拘束できなくなってしまい、簡単に潰されたのだ。
その銀角は、孫空女と朱姫からも責められて達した。
そうやって、お互いに、いかせ、いかせられというのが続いていた。
この六人の中で、まだ一度も達していないのは宝玄仙くらいだろう。
少し前の勝負では、朱姫と素蛾がふたりがかりで宝玄仙を責めたというのもあった。
それでも宝玄仙はふたりに勝った。
さすがに、単純な性技だけの勝負になると、この中の誰も宝玄仙には太刀打ちできない。
「沙那には、武器として双頭の張形をつけさせたんだからね……。まあ、好きなように責めな、沙那……。だけど、どうせお前のことだから、それだけでも素蛾には敵わないだろうから、もうひとつ“有利な条件”を与えてやるよ。素蛾、お前は両手に手枷をつけな。後手にかけるんだ」
宝玄仙が横に置いていた鎖付きの手枷を素蛾に放った。
「はい、ご主人様」
素蛾がその手枷を持って、両手を背中に回した。
「待って、手伝ってあげるわね」
朱姫がすかさず寄って、手枷を素蛾に装着する。
「な、なに言ってんですか……。素蛾に条件つけるって、いくらなんでも、わたしが素蛾に負けるなんて……」
別にこんな性愛の勝負で、負けようが勝とうがどうでもいいとは思っているが、いくらなんでも素蛾は昨日、今日、性に目覚めたような童女だ。
そんな素蛾に対して、沙那が敵わないと言われるのは少し心外だ。
「なんだい、沙那? まさか、素蛾にまともにやって勝てると思っているんじゃないだろうねえ?」
沙那の表情で心を読んだのか、宝玄仙がからかうような声をあげた。
「沙那姉さんは、この中で一番弱いんですよ。だから、かなり有利な条件にしてもらってちょうどいいですよ……。さあ、できたわ、素蛾。沙那姉さんなんて、こてんぱんに伸してやるといいわ。とにかく、張形を挿入されたら、逆に動かし返してあげなさい。それで沙那姉さんなんて、やっつけられるわ」
「はい、頑張ります、朱姫姉さん」
素蛾が相変わらず、沙那には理解できない張り切りを見せる。
「よし、いいわよ……。じゃあ、気合を入れてあげるわね、素蛾」
朱姫が素蛾の無防備な乳首にすっと両手を伸ばして指で捻るような仕草をした。
「ひゃ、ひゃん──。しゅ、朱姫姉さん、く、くすぐったいです……。あ、あん──」
素蛾が肌を真っ赤にして身悶えした。
しかし、朱姫はすぐに手を離して、笑いながら敷布からおりていった。
「沙那姉さん、いまの要領ですよ。後ろからなら、素蛾はなにもできませんからね。その体勢になれば、沙那姉さんでも勝てますよ」
朱姫がまたからかうような言葉をかけた。
「い、いい加減にしてよ──。わ、わたしだって、さすがに、素蛾には負けないわよ──」
とにかく、沙那は素蛾の前に跪いて腰をおろしながら言った。
確かに、この状況であれば、素蛾の後ろから責めるべきなのだが、朱姫の言うとおりにすることが、なぜか癪に障ったのだ。
「いや、負けると思うね。沙那には悪いけど、余程の不公平な戦いじゃないと、沙那は素蛾に勝てないよ。無理せずに、素蛾の後ろから責めな。それでも、素蛾の体液の餌食になると思うけどね」
すると、孫空女も笑って声をかけてきた。
そういえば、孫空女も素蛾と勝負をしていたと思う。
そのときは、まだ三組ずつやっていたときだったので、どっちが勝ったのかは知らない。
「あ、あんたまで、そんなこと言うの、孫女? ひ、ひどいわよ──。素蛾なんかに負けないわよ」
沙那は思わず叫んでしまった。
「わたくしも負けません。一生懸命にやります。よろしくお願いします」
すると素蛾がにこにこしながら声をあげた。
「へえ……。だったら、賭けをしませんか、沙那姉さん。あたしは絶対に沙那姉さんが負けると思います。沙那姉さんが素蛾に負けたら、ここにいるみんなの便器になってください」
朱姫が言った。
「便器?」
沙那は朱姫を睨んだ。
「ほかの五人のおしっこを口で飲むんです。一滴残らずですよ……。素蛾に勝てるんですよね? だったら、そうしましょうよ」
朱姫が挑発していることはわかっている。
だが、これはいい機会だと思った。
これを利用して、朱姫に日頃の仕返しをしてやろうと考えた。
「沙那、やめなよ……。朱姫に乗せられてつまらない賭けをすると後悔するよ」
孫空女が横から口を挟んでくる。
「いいえ、やるわ。その代わり、わたしが勝ったら、あんたが罰を受けなさい、朱姫。ここにいる全員からお尻を無抵抗で張形で責められるのよ。ひとり百回よ。あわせて、五百回、張形をお尻に抜き挿しされなさい。だったら受けるわ」
「ご、五百回?」
今度は朱姫がたじろいだ声をあげた。
お尻の弱い朱姫が五百回も肛門だけを責められて耐えられるわけがない。
いい気味だ──。
この小娘は白目を剥いて、悶絶するに決まっている。
そんな小気味のいいことが待っているなら、沙那はこんなくだらない勝負に真剣に取り組める。
「そりゃあいいよ──。その勝負、確かに見届けたよ──。じゃあ、存分にやりな、沙那に素蛾──。特に、素蛾は真剣にやるんだよ。そうでないとつまらないからね──」
宝玄仙が大笑いした。
素蛾が大きな声でわかりましたと返事をした。
「……それにしても、あんたらは相変わらずなんだねえ……。嬉しくなるよ。でもこうやっているあいだも、金角姉さんがつらい目に遭っているかもしれないと思うと……」
そのとき、いままであまり口を開かなかった銀角がぽつりと言った。
牛魔王から首を斬られて死んだとばかり思っていた金角が、どこかで生きていると言ったのは宝玄仙だ。
かつて宝玄仙が金角から作った『魂の欠片』は、しっかりと銀角が渡されて確保していたのだが、それによって金角の復活はできなかったのだ。
宝玄仙によれば、金角の本体は死んでいないらしい。
だから、魂の欠片では金角を復活できないのだ。
宝玄仙が金角の生存に言及した時、銀角はそんなはずはないと叫んだ。
金角は、巴山虎の裏切りという罠に嵌まって、大勢の部下を救うことを条件に、牛魔王軍によって首を全軍の前で切断されている。
それは銀角自身が目の当たりにしていたことらしい。
あれは間違いなく金角自身だと銀角は断言した。
しかし、宝玄仙によれば、首を切断しても死なないようにする道術は、あり得ないことではないそうだ。
事実、宝玄仙も同じことができると言っていた。
銀角は呆然としていた。
しばらくして、銀角は、そういえば、金角の首そのものは、首実検をすると称して、金角軍を包囲した牛魔王軍が持ち帰ったということを思い出したように告げた。
宝玄仙によれば、首だけの姿になった金角はその状態でまだ生きている可能性が高いらしい
従って、牛魔王軍団との戦いは、金角を救出するという意味合いも帯びている。
そうなれば、銀角の戦意は非常に激しく、牛魔王の喉笛に噛みついてでも、戦場で牛魔王を殺して、金角を救い出すのだと意気込んでいる。
だから、こんな風になにもかも忘れて、女同士の快楽に耽るのは心が咎めるのかもしれない。
「なに言っているんだい、銀角──。お前がそんなんだと、勝てる戦いにも勝てやしないよ──。戦争なんて遊びのつもりでやりな──。金角はどんな方法を使っても必ず、この宝玄仙が復活してやる──。それは信じな──。とにかく、今夜はお前の救出祝いの遊宴なんだ。お前が暗い顔をしていたら始まらないよ──。じゃあ、次はお前が素蛾とやるんだよ──。沙那のような淫女ならともかく、名高い女将軍の銀角様が、よもや十二歳の人間族の小娘に性愛の勝負で負けることはないだろうねえ──。負ければ、沙那と一緒に便器の刑だからね──」
宝玄仙が言った。
「あ、あたいも次にやるのかい、宝玄仙様? この小娘と?」
「そうだよ──。まあ、お前も洗礼を浴びるといいよ」
宝玄仙が笑った。
「わ、わたしのことを淫女だなんてひどいですよ──。わたしは、淫女なんかじゃありません──。、そりゃあ、少しばかり、ご主人様の調教を受けたから、他人よりは感じやすい身体をしていることは認めますけど……」
「御託は終わりだよ──。だったら素蛾と勝負して勝ちな、沙那──。勝てば、二度と淫女呼ばわりはしないよ」
宝玄仙が笑った。
いよいよ、勝負を始めるということになった。
「いくわよ……」
「はい、沙那様」
沙那と素蛾は全裸で向かい合った。
素蛾は後手に拘束されている。
いくらなんでも、その素蛾に負けるわけがない。
沙那はさっと素蛾の背後に回った。
朱姫の言った通りにするようで、少し躊躇ったが、確実に勝つには確かにそれしかない。
だが、考えがあった。
双頭の張形を使わないということだ。
それを使えば、朱姫の言った通りに、沙那が返り討ちになる可能性がある。
だから、張形を挿し込まない。
それよりも、単純に指だけで素蛾をいかせればいい……。
沙那は、すっと手を滑らせて素蛾のぴったりと閉じあわされている股間にこじ入れるように指先を潜り込ませた。
また、もう一方の手は素蛾の小さな胸の膨らみに伸ばす。
「ああっ──。さ、沙那様……。き、気持ちいいです……。ああっ、そんな……」
素蛾は懸命に股を閉じ合せているが、さすがに沙那の指の力に抵抗できるわけがない。
沙那の指は素蛾の肉芽にあたる部分を探り当てた。
「ふううっ、ああっ、沙那様……」
背後から抱きすくめられている素蛾が沙那の腕の中で身をよじった。
いける……。
すでに素蛾だって何度か達している。十二歳の童女の股間は愛液でびっしょりと濡れていた。
これなら、こうやって肉芽と乳首を擦り続けるだけで……。
「沙那姉さん──。せっかくの張形なんですから、それを使わないと──」
朱姫が野次を入れてきた。
双頭の張形で素蛾の股間を突けば、素蛾も感じるだろうが沙那も感じるのだ。
それで思わぬ反撃を被る。
朱姫はそれがわかっているから、あんな賭けを申し出たのだと思う。
しかし、その手には乗らない……。
そんな危険なことをするよりは、こうやって一方的な態勢で責めた方が確実だ。
「あ、ああ、あん、ああん……」
素蛾の身悶えがかなり激しくなった。
しっかりと閉じあわされていた腿は、すでに力が緩んで股は完全に割れている。
「こらっ、素蛾──。あんた、本気出すのよ──。あんたが負けたら、あたしが罰を受けることになってんのよ──」
朱姫が叫んだ。
もしも、張形を使っていたら素蛾との勝負は負ける可能性もある。
しかし、それさえしなければ、沙那は自分が責められることなく、素蛾を責め続けることもできる。
「は、はい、しゅ……朱姫……姉さん……。さ、沙那様……わ、わたくしと口づけをしてください……」
素蛾が大きく首を後ろに曲げて、顔を沙那に向けた。
「そ、そんなことするわけないでしょう──」
沙那は笑いそうになった。
素蛾の唾液は危険な媚薬だ。
なぜそんなことになったのかは、宝玄仙でさえわからないと言っていたが、素蛾が少し前に瀕死の傷を帯びてしまい、命を助けるために宝玄仙が身体に道術陣を刻むしかない状況になってしまった。
その結果、なぜか素蛾の身体に変化が起きて、素蛾の体液に特殊な「癒し」が生まれてしまったのだ。
つまり、怪我をしたり病気の者には、素蛾の排尿や唾液を飲ませたり、塗ったりすれば怪我や病が癒えるのだ。
また、それだけではなく、健康な者が素蛾の体液に触れると、その部分に妖しい疼きが生じて激情に襲われてしまう。
ましてや、唾液なんか飲んだら、とんでもないことになる。
あの宝玄仙でさえ、素蛾の唾液をまともに飲めば、しばらく道術が遣えなくなるほどの淫情に陥るのだ。
沙那は一層、素蛾の股間を責める指に熱を込めた。
手の中で喘ぐ素蛾は、ますます淫情に耽ったようになっていく。
抱きすくめている沙那にも、素蛾が絶頂に向かっているのがしっかりとわかるくらいに身体が熱い。
「あん、あん、ああっ、さ、沙那しゃま、き、気持ちいいでうううう──」
素蛾の身体がさらに震えだした。
だが、この頃になると、沙那はある違和感を覚えいていた。
異様なむず痒さが全身に襲ってきたのだ。
いや……。
これは快感の火照り……?
だが、自覚してしまうとそれに間違いなかった。
次第に肉が溶けていくような感触が、沙那の官能の芯を強く掻きたてていく。
なんで──?
だが……。
だんだんとそれが非常に強い疼きに変化する。
そして、それが全身というよりは、素蛾と肌を接している部分からやってくるのがわかった。
素蛾の身体に密着している沙那の身体が熱くなり、それが素蛾の身悶えで擦られて、強い快感に変化しているのだ。
「ああっ──」
沙那ははっとして、思わず素蛾から手を離して飛びのいた。
汗だ──。
唾液や尿ほどには強くはないが、素蛾の汗自体にも同じような媚薬効果があるのだ。
素蛾は最初から汗びっしょりだった。
それがじわじわと沙那の肌に浸透して、沙那を冒していたのだ。
だが、次の瞬間、沙那は大きな失敗をしてしまったことに気がついた。
たとえ、素蛾の汗が危険な媚薬であるとしても、素蛾への責めをやめるべきではなかった──。
いずれにしても、一方的に素蛾を責める態勢だったのだ──。
「えい──」
そのときには、身体に自由を得た素蛾が沙那に身体をぶつけるように飛びかかっていた。
素蛾の舌が沙那の乳首に当たり、そのまますっと臍に向かっておりていく。
「ひうううっ──」
凄まじい快感が襲って、沙那はそのまま仰向けに倒れてしまった。
すぐに素蛾をどけようとしたが、素蛾が巧みに沙那の唇を口で覆って、唾液を送り込んできた。
「んんん──」
それだけで沙那は全身が脱力するほどの淫情に襲いかかられた。
いや、実際に脱力してしまった。
素蛾の唾液を飲み込んでしまい全身が電撃を帯びたように痺れてしまった。
次いで、素蛾はさっと身体を反転させると、両腿で沙那の股間を挟むようにして全身で覆いかぶさり、顔を沙那の股間に密着させた。
素蛾の舌が張形が食い込んでいる沙那の股間にまともに襲いかかる──。
舌と唾液が襲い、しかも、素蛾の顔で張形が激しく動かされる。
いきなり頭が真っ白になった。
「うぐううう──」
気がつくと、沙那は全身をのけ反らせて悲鳴をあげていた。
呆気なく達してしまったのだ。
朱姫の大喜びの笑い声が聞こえてきた。
「沙那姉さん、約束ですよ──。罰ですからね──。罰です──」
朱姫が手を叩いて悦んでいる。
素蛾に負けたというよりは、朱姫に負けた気がして、口惜しさが込みあがってきた。
「ほらね、沙那……。だから言ったのに……」
孫空女が苦笑していた。
「も、もしかして、あんたって、素蛾は唾液だけじゃなくて、汗も危険だって知っていた、孫女?」
沙那ははっとして孫空女に叫んだ。
「知ってたよ──。あたしだって、素蛾と肌を合わせたんだからね……。おかげで負けたけどね。だから、賭けはやめとけって忠告したのにさあ……」
「し、知ってたら、教えてよ──」
沙那は声を張りあげた。
「あ、あのう……。なんか、ごめんなさい、沙那様」
すると、素蛾が申し訳なさそうに声をかけてきた。
「あ、謝んないでよ──。もう──」
沙那は声をあげた。
そして、まだ挿さりっぱなしだった相当の張形を抜いて横に投げた。
「さて、じゃあ、さっそく、さっき言った儀式といくかい──。じゃあ、言い出しっぺの朱姫だ。沙那は口を開けて上を向きな。その寝具はまだ使うんだからね。沙那、一滴残らず、こぼすんじゃないよ──」
宝玄仙が嬉しそうに言った。
「も、もう勝手にしてください……」
沙那も観念して大きく口を開いて上を向いた。
朱姫が笑いながら、脚を開いて沙那の顔に跨ってきた。
「ほ、本当にやるのかい?」
銀角がびっくりした声をあげた。
「この手の話で、ご主人様は冗談を言わないのさ。諦めな、銀角」
孫空女が言った。
そのとき、急に扉の外が騒がしくなったことに沙那は気がついた。
そして、すぐに扉が廊下側から叩かれた。
もっとも、この部屋には宝玄仙の結界が張ってある。
外から誰も部屋には入れないし、こちらの声も廊下に漏れることはない。
だが、次の瞬間、開かないはずの扉が大きく開いた。
沙那は驚愕した。
外からやってきて扉を開いたのは、二十歳くらいの若い女だった。
「相変わらずね、みんな……。知らない顔も多いけど……」
その女が言った。