柔らかい長椅子に深々と腰をおろしているお宝の目の前に、素っ裸の
その両手は腰の前後に置かれていて、菊座と女陰に指が挿入されて、それが激しく前後に動いていた。
「うはあっ」
高い声を放って、魔凛が下肢を震わせ始めた。
「待て」
すかさず、お宝は声をかけた。
魔凛が股間にやっていた手が凍りついたように静止する。
『服従の鎖』の力だ。
またしても、絶頂寸前に自慰を中止させられた魔凛が泣き声をあげた。
お宝はその姿に大笑いした。
「も、もう、許してください──。か、勘弁してください──」
魔凛が叫んだ。
しかし、お宝は無視して、今度は手に持っていた乗馬鞭の先で魔凛の肉芽のあたりをぐいと押した。
そして、いきなり強く擦った。
「ひっ、ひうっ」
魔凛が腰の前後の穴に指を挿入したまま跪いている身体を思い切り反り返らせた。
もう、午後に入ってから三刻(約三時間)はこの寸止め自慰を続けさせているから、魔凛の身体は信じられないくらいに敏感になっているのだ。
だが、すぐに魔凛の身体が絶頂の兆候を醸しだしたので、お宝は乗馬鞭をさっと引きあげた。
「あ、ああっ」
魔凛の顔が憐みを乞うように歪んだ。
「勘弁してどうして欲しいんだい? 最後まで自慰をさせてくれと言いたいのかい? それでも、かつては鳥人族を率いた若き女族長かい──。いきたければ、これでいきな」
お宝は横の台に手を伸ばして張形を手に取ると、魔凛の目の前で粘性の痒み剤を張形の表面にたっぷりと塗ってやった。
「さあ、手を前に入っている穴から出して受け取るんだ。それを穴に入れな。ただし、許可なく動かすんじゃないよ──」
お宝は笑った。
魔凛の顔がおののいている。
そんなものを股間に入れれば、どうなるかはわかりきっている。
しかし、命令に応じないわけにはいかない。
なにしろ、魔凛には、お宝の言葉には一切逆らうなと命令をしている。
魔凛が震える手で張形を受け取り、声を懸命に噛み殺しながら、自ら女陰にそれを貫かせていった。
「い、入れました……」
魔凛が言った。
「じゃあ、両手を頭の上に置くんだ……。そうだ。お前の見事な翼を拡げな。今度はその翼の先に張形を糸で繋げてやるよ。ばさばさと翼を動かしながら張形で自慰をするというのはどうだい?」
「そ、そんな──」
魔凛が目を見開いた。
鳥人族にとって翼は神聖なものだ。
それを嗜虐の材料に使われることに、魔凛は信じられないという顔をしている。
だが、お宝は自分の思いつきに嬉しくなり、張形と翼を繋げる糸を探すために立ちあがった。
ここはお宝も暮らしている雷音院の敷地内にある御影の屋敷だ。
昼前に御影から通信球で伝言があり、お宝は魔凛の首輪に刻んでいる「主人」を御影を主人として刻み直すように指示されていた。
それで魔凛を呼び出して必要な処置を実施したのだ。
「主人」となる御影本人がこの場にいないのでは、首輪に刻まれている「主人」の変更をするのは手間がかかるのだが、なんとかそれをやった。
だが、そのついでに魔凛をいたぶって遊んでいたところだ。
「主人」を御影に変えると、魔凛をお宝の言葉で身体を操ることができなくなるので、首輪の主人を変更する前に足首に『服従の鎖』を巻かせて、お宝を「主人」として刻ませた。
服従の鎖は、お宝が新しく作った操り霊具であり、服従の首輪と同じ効果がある。
それを身体のどこかに巻いてから、誰かを「主人」とみなして奴隷になると口にさせれば、その「主人」の言葉に身体が逆らえなくなるのだ。
まあ、「服従の首輪」の簡易版というところだ。
ただ、服従の鎖と服従の首輪の違いは強靭さにある。
服従の首輪は、「主人」でなければ、基本的には刃物でも道術でも外すことはできない。
それに比べて、服従の鎖は物理的な手段で切断してしまえば、外すことができる。
ただ、その代わり一個を作るのに時間がかかる服従の首輪に比べれば、一度に大量に作ることが可能だ。
魔凛には、鎖を外すなと命令を加えているので、偶然に切断することはあり得るかもしれないが、自ら引き千切ることはできない。
とにかく、いま魔凛は、服従の首輪で御影を「主人」として受け入れ、服従の鎖でお宝を「主人」として受け入れている状態だ。
そして、午後に入ってずっとこうやってお宝の焦らし責めを受けている。
もう半狂乱だ。
御影からは明日の朝まで屋敷には戻らないと連絡が来ているし、鳴智もいない。
だから、魔凛を使って退屈凌ぎをすることにしたのだが、いい時間潰しになっていた。
棚から糸を取り出して魔凛のところに戻ろうとすると、不意に部屋の扉が開いて、鳴智が入ってきた。
「おや、鳴智──。うちの人のところじゃなかったのかい? 今日は大切な用事があると言っていたけど」
お宝は言った。
御影は雷音大王の後宮にいるはずだ。
鳴智はそこに呼ばれて、御影の警護をしてるはずだった。
御影はこの女の能力を結構評価していて、自分の護衛を始め、さまざまな特殊工作をさせたりする。
まあいい……。
これで退屈凌ぎの材料がもうひとり増えたということだ。
お宝としても、冷酷にいたぶるなら魔凛よりも、鳴智の方が愉しい。
この鳴智が屈辱に顔を歪めて泣き叫ぶのに接すると、胸がすっと楽になる気がする。
「御影様の用事はやっと終わりました。それであなたのところに来たのです」
鳴智がつかつかとお宝に向かって歩いてきながら言った。
「そうかい……。だったら、豚の挨拶を……」
豚の挨拶をしろ──。
そう言うつもりだった。
鳴智には、お宝に会うたびに、四つん這いになり豚の鳴き真似をしながら挨拶をしろと命じていた。
だが、最後まで言い切ることができなかった。
「おごっ」
なにかが腹に押しあてられて衝撃を感じた。
お宝はその場に崩れ落ちていた。
電撃棒──?
床に倒れたお宝は鳴智の手に、すりこ木のような大きさの電撃棒があることに気がついた。
強力な電撃を相手に加えさせることができる霊具であり、霊気のない鳴智にも使えるように処置したものを武器として御影が与えているものだ。
それを鳴智はお宝に使ったのだ。
かっとして、鳴智を道術で拘束しようと思ったが、鳴智が屈んでお宝の首にもう一度、電撃棒を当てる方が早かった。
凄まじい衝撃とともに、お宝の意識は暗闇に吸い込まれた。
最後に聞いたのは、驚愕する魔凛が鳴智の名を呼ぶ声だった。
*
がらがらと鎖が鳴る音でお宝は目を覚ました。
ひんやりとした石床の感触を頬と身体に感じた。
一瞬、ここがどこなのかわからなかったが、すぐに屋敷の地下にある石牢だとわかった。
御影が作らせたものであり、天井と床と壁が石でできていて、壁の一面だけは鉄格子になって廊下に面している。
監禁した者に拷問をすることができるように、部屋も広めで天井も高い。
そんな石牢が十部屋ほどあるのだ。
ただ、いま監禁している者は誰もいない。
どうやら、お宝はその一室で寝かされていたようだ。
状況を把握しようと思ったが、両手が天井方向に少しずつ引きあげられて、はっとした。
両方の親指の根元に指錠が食い込んでいる。
そこに太い鎖が繋げられていて、それが天井にどんどんとあがっていっていた。
また、手首には、『道術封じの枷』が嵌められている。
「あっ」
親指に痛みを感じて、お宝は慌てて立ちあがった。
指錠が上にあがっているので、体重が金具が食い込んでいる親指の根元にまともにかかったのだ。
しかし、立ちあがっても鎖の引きあげはとまらない。
そして、やっと自分が腰の下着一枚しか身に着けていないことに気がついた。
やがて、万歳をする態勢になった。
慌てて指錠に道術を込めて外そうとしたが、手首にある道術封じの枷が邪魔をして霊気が込められない。
ついに足が床から離れるほどに鎖が引きあがった。
「ひぎいいいいっ」
お宝は絶叫した。
身体の重みのすべてが親指の根元に喰い込んできたのだ。
あまりの痛さにお宝は悲鳴をあげ続けた。
鎖はお宝の足が人の頭一個分くらい浮いたところでやっと止まった。
「拷問される立場になった気分はどうだい、お宝?」
背中から声がした。
鳴智の声だ。
びっくりした。
それとともに、屋敷の居間で魔凛を嗜虐している最中に、突然にやってきた鳴智に電撃棒を当てられて気を失ってしまったことを思い出した。
つまりは、これは鳴智の仕業なのだ──。
気を失ったお宝を屋敷の地下牢に身体を運んで、こうやって拘束したのだろう。
服を剥ぎ取ったのも、指錠による拘束も、手首にある道術封じの枷も鳴智の仕業に違いない。
だが、なぜ──?
お宝は当惑した。
とにかく、指が痛くて千切れそうだった。
身体を振って、回転して背中側にいる鳴智に対面しようとした。
だが、動くと激痛が指に走ってしまい、お宝は大きな声をあげてしまった。
「痛たたたたた──。ち、畜生──。なんのつもりだい、鳴智──。か、覚悟はできているんだろうねえ──。す、すぐにわたしをおろすんだよ──」
お宝は指の痛みに耐えて絶叫した。
そのとき、後ろ側から片方の太腿を棒の先のようなもので突かれたと思った。
「あがあああ──」
次の瞬間、お宝は絶叫した。
親指に激痛が走ったが、棒の先端が当たった場所から拡がった痛みはそれの比ではなかった。
身体の内側から凄まじい痛覚が湧き起るという感じだ。
一瞬にして、頭が白くなりそうになった。
「『心神棒』はどうだった、お宝? 気に入ったんなら、いくらでもまた食らわせるよ──。言っておくけど、いまの衝撃は最弱だからね」
鳴智がお宝の前に回ってきた。
手に白い棒を持っている。
それが心神棒と呼んだ武器のようだ。
また、隣りに魔凛もいる。
魔凛は普通の乗馬鞭を手にしていた。
それは、さっきまでお宝が魔凛をいたぶるのに使っていたもののようだ。
お宝は目の前のふたりに唖然とした。
だが、すぐに気力を奮い起こして、ふたりを睨みつけた。
「く、くそっ、お前たち、なんの真似か知らないけど、こんなことをして許さないからね──。いますぐにわたしをおろして、手首の枷を外すんだ──。命令だよ」
お宝は怒鳴った。
だが、鳴智も魔凛も平然とお宝を見つめたままだ。
「命令」が効かない?
驚いてふたりの首を見たが、『服従の首輪』はしっかりと嵌まっている。
ただ、魔凛の足首に装着させていた『服従の鎖』はなくなっている。
それは強引に外したのだろう。
しかし、服従の首輪によって、魔凛はともかく鳴智はお宝の命令に従えという御影の命令を加えられていたはずだ。
それが通じないというのはどういうことなのだ……?
お宝は混乱した。
一方で指にかかる身体の重さの激痛が続いている。
お宝は少しでも痛みを軽減しようと思って、手で指錠を引っ張りあげている鎖を握った。
それでかなり指錠にかかる身体の重さが小さくなる。
そのとき、鳴智がまた心神棒でお宝の腹にぐいと突いた。
「や、やめ……」
やめてくれという言葉を最後まで言うことはできなかった。
「いぎゃあああああ」
意識が吹っ飛ぶかと思うような痛みがまた襲った。
お宝は悲鳴をあげ続けた。
全身の毛穴という毛穴から一斉に脂汗が噴き出るのがわかった。
「あがあああ、があああっ、や、やめなああああ──く、あがあああ──」
手を離してしまい親指に激痛が走った。
慌てて鎖を握り直す。
「質問にはすぐに返事だよ、お宝──。心神棒を気に入ったかどうか訊ねたろう?」
鳴智が顔に嘲笑の笑みを浮かべながら言った。
かっとなったが、また心神棒がお宝の身体に向けられそうになり、急いで口を開いた。
「き、気に入るわけないだろう──。も、もうやめてくれよ」
「そうかい……。気に入らないかい……」
鳴智が愉しそうに笑った。
魔凛も横ですっかりと溜飲がさがったような顔をしている。
「そ、それなんだい──。し、心神棒だって……?」
お宝は荒い息をしながら言った。
鞭とは違うようだ。
なにかの霊具だとは思うが、鞭が外から加えられる痛みだとすれば、心神棒は身体の内側から湧き起る痛みだ。
身体の芯にある痛点が刺激されて激しい衝撃が発生するという感じだ。
お宝は恐怖に包まれた。
「ああ、そうだよ、お宝……。以前、金凰魔王のところに、孫空女と宝玄仙を救出しに行ったことがあったろう? そのとき、錬奴院という女奴隷の調教施設で看守たちが使っていたものさ。なにかの使い道があるんじゃないかと思って、もらってきたのさ。どうやら霊気のないわたしでも使えるようだからね……」
鳴智が今度はお宝の乳房をその心神棒でぐいと突いた。
「あぎゃああああ──」
抗議をする余裕はなかった。
怖ろしい衝撃がお宝の胸から全身に一気に押し拡がった。
「鳴智ばかり狡いよ。これでもくらいな、お宝──」
横で見ていた魔凛が、悲鳴をあげているお宝の太腿を乗馬鞭で打ち据えた。
「ひぎいいい──」
刃物で斬られたと錯覚するような鋭い痛みが両方の腿に起きた。
お宝は髪を振り乱して苦悶の声をあげる。
また、鎖が手から離れて親指に痛みが走る。
お宝はしばらくのあいだか細い呻きをあげ続けた。
鎖を持ちなおそうとしても、今度はなかなか力が復活しない。
しばらくして、やっとのこと鎖を握って痛みを軽減することができた。
「まさか、たったこれだけで音をあげたんじゃないでしょうねえ、お宝? お願いだから、もう少し抵抗してよね。あっという間に屈伏されたら、興醒めもいいところだからね」
鳴智が言った。
お宝は歯を食い縛った。
「……も、もうやめるんだよ──。命令だ──。命令──。わたしを自由にするように命令する。命令だ──」
お宝はありったけの声で叫んだ。
あるいは耳栓でもしているのかと思ったのだ。
服従の首輪は耳で聞いた命令に身体を従わせる霊具だ。
だから、命令の声そのものが聞こえないと身体を操ることができない。
「うるさいねえ──。そんなに声を張りあげなくても聞こえてるよ」
鳴智が笑いながら言った。
お宝は愕然とした。
声は聞こえている……。
しかし、鳴智も魔凛も静止したままだ。
どうして……?
「なぜ、お前の言葉に従わないか不思議なのかい、お宝?」
鳴智がそう言いながら心神棒でお宝の股間をぐいと突いてきた。
「い、嫌ああっ、や、やめて──」
さっきの怖ろしい痛みを思い出してしまいお宝は悲鳴をあげていた。
それが股間に加えられる……。
想像しただけで全身の肌が粟立った。
しかし、その一瞬後には、鳴智たちの前で泣き声をあげてしまったことを強く後悔した。
「あらあら、可愛い悲鳴もあげられるんじゃないかい、お宝……。血も涙もない出来損ないだと思っていたけどね……」
出来損ないという言葉に、お宝は怒りが込みあがった。
だが、鳴智が心神棒をお宝の股間の下に入れて滑るように前後に動かしてきたことでその怒りがどこかに飛んでしまった。
「うふうっ」
意表を突かれた刺激にお宝は今度は甘い声をあげていた。
「勝手に感じてるんじゃないよ、お宝──」
今度は魔凛の乗馬鞭が鎖を握っていた腕に炸裂した。
「ひぐうう」
自分でも惨めと感じるほど、お宝は身体を反らせて少女のような悲鳴を放った。
そして、鞭の痛みで腕の力が抜けて鎖から手を離してしまう。
その瞬間、怖ろしい痛みがまた両方の親指の根元にかかり、また一度悲鳴をあげた。
お宝は懸命に鎖を握り直した。
「なるほど、そうやって指にかかる痛みを減らしていたんだね。面白いねえ……。じゃあ、ちょっと遊んでやるわ」
鳴智が股間の下にあった心神棒を抜いて腰紐に挟んだ。
そのとき、お宝は鳴智の腰紐に、小さくて不細工な布の飾りが紐でぶら下がっていることに気がついた。
「あっ、それは──?」
思わず声をあげていた。
それは鳴智の二歳になる
鳴智から人質として取りあげているその娘をお宝は、ある亜人老婆に預けていた。そして、少し前にお宝が様子を見に行ったとき、長く会えない母親の鳴智がいつか迎えに来てくれたときにあげるのだと言って、娘が一興懸命に作っていたのを覚えている。
それを鳴智が持っているということは、鳴智は娘と会ったのか……?
なにか異変が起きている。
それだけは、なんとなくわかった。
「ああ、これかい? さっき会ってきた娘がくれたのさ。人でなしだと思っていたけど、一応は親切な扱いを娘にはしてくれていたようじゃないかい。それだけは感謝するよ、お宝」
鳴智が腰紐についている下手糞な花のような布飾りを動かしながら嬉しそうに言った。
「あ、会ってきた──? お、お前にはうちの人が娘を見てしまったら殺せと命令を与えていただろう──? そ、それに、どうやって娘の隠し場所がわかったんだい?」
お宝は叫んだ。
鳴智の娘は御影が鳴智を言いなりにするための大事な人質でもある。
それをどこかに隠しておくように指示されたお宝は、その居場所を御影にさえ教えていなかった。
それなのに鳴智はその娘と会ってきたという──。
どういうことなのだ──?
「娘がどこにいるかなんて、わたしはとっくの昔に知っていたよ。さもないと、うっかりと顔を見てしまって、娘を殺すということになるかもしれないじゃないか──。とにかく、お前の言葉に逆らうなとか、娘の顔を見たら殺せとかいう命令が消滅しているのは、今回の仕事で必要があり、ずっと与えられ続けたままになっている『命令』を一度、御影様が消去された。そして、改めて、御影様の命令に従えと命令を受けたのさ」
「命令のかけ換え?」
なんでそんなことが必要だったのかは知らない。
しかし、いまこの異常な状況が発生しているということは、確かに、そんなこをがあったのだろう。
お宝は嫌な予感がした。
「ほかの大抵の命令も刻み直されたよ……。ただ、御影様はうっかりと、お前の言葉に従えという命令だけはし直すのを忘れてしまったのさ。娘を殺すように指示した命令も同じだ……。まあ、そういうことさ。どういうことかわかったかい──?」
鳴智が笑った。
そして、吊られているお宝の背後にすっと回った。
なにか嫌な予感がした。
「そ、そうだとしても、こんなことして自分たちがどうなるかわかっているのかい、鳴智──? それに魔凛もだよ──。奴隷の分際でわたしに手を出したとわかったら、うちの人が戻ったときにその罰を受けることになるんだよ──。わたしだって、生まれてきたことを後悔するような拷問をお前らにするからね──。もちろん、うちの人は、もう一度わたしの言葉に逆らえないように、首輪に命令を刻み直すだろうしね──」
「だけど、残念ながらその御影様は十日は屋敷には戻らないそうさ……。その伝言を預かっている──。だから、ここに監禁されているお前を御影様が助けてくれるのは十日後ということだ──。わたしはこういう機会をずっと待っていたんだ……。よくもよくも、長いあいだ人を好きなように弄んでくれたねえ。十日間、みっちりと仕返しをしてやるよ……。その後、わたしらを殺すなり、拷問するなり好きにするといいよ」
鳴智の手が後ろからお宝の脇に伸びた。
そして、いきなり無防備な脇をくすぐり始めたのだ。
「ひっ、いや、な、なにすんだい──。いや、いや、はははははは──。だ、だめええ──。いやはははははは──」
お宝はくすぐったさで腕の力が抜けそうになった。
だが、力を抜くと指の根元にまともに体重が食い込む。
だからといって、身体を振って逃げることもできず、お宝は激しく泣き笑った。
「しっかりと握ってないと、指が千切れるよ、お宝──。それそれ、ここなんかどうだい──」
鳴智が意地悪く脇の下のくすぐったい場所を探るように指を動かしてきた。お宝は悲鳴をあげた。
「面白そうね。わたしも参加するよ」
鳴智と同じように乗馬鞭を腰紐に差し込んだ魔凛が、前側からお宝の脇腹の部分を柔らかく手でくすぐってきた。
お宝は狂ったように笑い続けた。