「そろそろ、奴隷の誓いをしたくなったんじゃないのか、素蛾? 手っ取り早く、全部を片づけたいのだ。朱姫を裏切って……、そして、摩雲城のみんなを裏切って、俺に乗っ取らせたお前だ? 全部、思い出させてやったろう──。いまさら、抵抗してどうする? この俺の奴隷になることを受け入れると言え……。それで許してやる。さもないと、朱姫をもっと責めるぞ……。お前についてもな。それとも、自分はともかく、朱姫が痛めつけられるのが愉しいのか? さらに朱姫を裏切るか?」
同じ言葉を黒い頭巾をかぶった黒服の男が耳元で言ってくる。
それは影法師というらしい。
素蛾は呻いた。
摩雲城の地下にある囚人用の営牢だ。
その拷問部屋で素蛾は天井から手足を束ねて吊られていた。
束ねられている方向は背中側だ。
つまり、素蛾は強引に四肢を背中側に捻じ曲げられてひとつにまとめられ、身体の前面を床側にして吊られていたのだ。
また、その手首と足首のすべてに、『服従の鎖』が巻かれている。
しかも、胴体の下には縄で繋げられた大きな金属の塊りがぶらさげられていた。
逆海老のかたちに折り曲げられた素蛾の背中から耐えがたい苦痛が湧き起っている。
「しゅ、朱姫姉さんは渡しません……。み、みんなも……」
「だが、すでに一回裏切った。それを思い出せ……。一度裏切るのも、二度裏切るのも同じだ……。もう、お前の仲間はお前を仲間とはみなさん……。俺の顔を見ろ。頭巾に包まれた闇をじっと見つめるのだ」
影法師が素蛾の髪の毛を掴んで、ぐいと顔を引きあげた。
そのために、さらに背中側に身体が曲がり、凄まじい激痛が身体に走った。
素蛾は悲鳴をあげた。
「そ、素蛾──。か、顔を覗いては駄目よ──。ま、また、『縛心術』にかかるわよ──。眼を眼をつぶりなさい──。それと、そいつの話を真に受けないのよ──。お前の心を折って、『縛心術』を受け入れやすくしようとしているの──。耐えなさい──」
朱姫の絶叫がした。
その朱姫は、少し離れたところにある太い柱を背中側で抱くように拘束されていた。
胴体を鎖で柱に括りつけられ、手足を柱の反対側に曲げられて枷で留められているのだ。
「は、はい、しゅ、朱姫姉さん──。そ、それと……ご、ごめんなさい──。ごめんなさい──」
素蛾は懸命に眼をつぶりながらぼろぼろと涙をこぼした。
自分がなにをしたのか、はっきりと覚えている。
こんなことになったのは素蛾のせいだ。
それはもうわかっている。
素蛾が朱姫の足首に『服従の鎖』なんか装着しなければ、朱姫が抵抗することもできずに、影法師に捕らわれるということはなかっただろう。
そして、その朱姫の道術を遣って、九霊聖女をはじめとする摩雲城のみんなに『服従の鎖』をつけて無力化なんかしなければ、この要塞にあるさまざまな警戒手段によって御影の影法師の潜入など防げたはずだ。
朱姫にやったことも覚えている。
あんなに朱姫が嫌がったのに、大勢の亜人兵の前に連れ出して恥ずかしいことをいっぱいさせた。
しかも、素蛾はそれを嬉々としてやっていた。
そのときは、おそらくなんらかの手段で操られていたのであり、自分が自分でなかった気もするのだが、一方で、朱姫に対するいじめを愉しんでいた自分の感情も覚えいている。
取り返しのつかないことをした……。
その思いが繰り返している。
「あ、謝らなくていい──。そんなのあたしだって、いっぱいみんなにやってる──。そ、それよりも、そいつはあたしと素蛾を使って、ご主人様たちを捕えようとしているのよ──。もう、支配を受け入れてはだめ──。抵抗しなさい──」
「は、はい、朱姫姉さん──」
素蛾は叫んだ。
「うるさいなあ、こいつら──」
影法師が素蛾の身体を床方向に引っ張っている重りを蹴飛ばした。
重りが揺れて、激しい痛みが背中に走った。
「あぎゃあああ」
素蛾は絶叫した。
「鳴智、朱姫の身体に、もっと模様をつけろ。減らず口がきけなくなるようにな」
影法師が言った。
鳴智というのは、この影法師、すなわち、御影の部下の女のようだ。
素蛾と朱姫が影法師によって、この営牢に監禁されると、その影法師が『移動術』でどこからか連れてきたのだ。
その鳴智が、朱姫が拘束されている柱の横に置いてある脚付きの鉄の籠から焼け鉄杭を引き出した。
その鉄の籠では焼いた石炭が煌々と燃えていて、そこに差されている細い鉄杭はどれも先端を真っ赤にさせている。
その中の一本を器具で取り出した鳴智が、鉄杭の真っ赤な部分を朱姫の白い腹に押しつけた。
「ひぎゃああああ──」
朱姫がものすごいを絶叫して、喉を限界まで反らせた。
そうやって、さっきから鳴智は影法師に命じられて、朱姫の身体に何度も焼け鉄杭を押しつけているのだ。
朱姫の身体にはたくさんの赤い火傷の線が惨たらしくついている。
鳴智は真っ青な顔をして顔を歪めている。
彼女の首には首輪がある。
朱姫がそれを見て、『服従の首輪』だと言っていた。
だから、もしかしたら、鳴智もまた、その首輪の力で無理矢理に服従をさせられているのかもしれない。
朱姫を拷問する鳴智の顔はとても苦しそうだ。
そのとき、悲鳴をあげる朱姫のそばでなにか透明な球体が割れるのが見えた気がした。
なにかの言葉が聞こえたが、朱姫の悲鳴でここまでは聞き取れなかった。
「んっ、なんだ?」
影法師が鳴智の方を見た。
「つ、通信球です。銀角から朱姫に……。戦勝祝いの内輪の宴をやりたいという伝言です」
鳴智が言った。
「ふんっ、牛魔王に勝ったお祝いか──。なるほど、もう戦いは終わった気分でいるということだ……」
影法師が大きな声で笑った。
そして、素蛾に視線を向け直す。
「奴隷になると誓うなら、これが最後の機会だぞ、素蛾……。なぜだかわかるか?」
影法師が小馬鹿にしたような口調で、素蛾の眼の前で手のひらを向けた。
すると、その手の上に一個の木箱が出現した。
その中には小指の先程度の
その箱には箸も差してあった。
「これは電撃虫という魔虫だ。刺激を加えられると身体から強烈な電撃を発するのだ……。かなりの電撃だ。これを使った拷問を受けた者は、俺が知る限り、全員が拷問に屈した。どんな屈強な亜人男でもな……。」
影法師が数匹の虫を箸で無造作に摘まむと、素蛾の乳首の上にくっつけた。
「ひがあああ」
素蛾は背中の痛みも忘れて全身を揺すって吠えた。
乳首から強い痛みが走ったのだ。
必死で首を曲げて胸を覗くと、さっきの電撃虫が素蛾の乳首を食い破って、身体の中に侵入をしていっていた。
突き破られた場所から数筋の血が流れている。
素蛾はあまりの痛みで悲鳴をあげ続けた。
「そ、素蛾──。素蛾──」
朱姫が大声で名を呼んだのが辛うじて聞こえた。
「痛いか……。だったら、服従の鎖を受け入れろ──。電撃虫は人間の肌に接触すると、その鋭い牙で肌に穴をあけて、その下に隠れる性質があるのだ……。それと……」
影法師が電撃虫が潜り込んだ素蛾の乳房の部分を揉むような刺激を加えた。
「ぐうううっ──やあああ──」
素蛾は絶叫した。
不快で強い痛みを伴う電撃が乳首の下から襲ってきた。
影法師が胸を刺激するあいだ、素蛾は曲がっている背中をさらに曲げて声をあげ続けた。
そして、影法師が手を離した。
電撃がなくなった。
「どうだ? つまり、電撃虫は潜り込んだ肌を揉まれることによって、怒ってお前の身体の中で電撃を発するということだ。だが、身体の外から触っている拷問者には、電撃が走ることはない。便利な拷問具だろう?」
影法師が笑いながら、再び箸で反対側の乳房に電撃虫を接触させた。
素蛾は悲鳴をあげた。
「素蛾、素蛾──。や、やめなさい、お前──。あたしを拷問したらいいでしょう──」
朱姫の怒声が耳に入ってきた。
「もちろん、そのつもりだ──。鳴智──。今度は股間に鉄杭を突っ込んでやれ──。命令だ」
影法師が冷たく言った。
電撃虫が乳房を食い破る激痛を受けながら、それを聞いて素蛾は耳を疑った。
「命令」を受けた鳴智が一瞬息を飲み、そして、呻き声のようなものをあげた。
だが、その手はしっかりと新しい焼け鉄杭を取り出している。
それが朱姫の股間の下側に移動した。
「や、やめて──やめてあげてください──。お願いです──」
「待て、鳴智、やめろ──。だったら、誓え、素蛾──。誓うんだ──」
影法師が耳元で怒鳴った。
「そ、素蛾、だめええ──。絶対に屈しては駄目──」
朱姫が喚いた。
「は、はい……。で、でも……」
素蛾はどうしていいかわからなかった。
鳴智の持つ鉄杭は、朱姫の女陰のすぐ真下でとまっている。
その顔は引きつり、泣きそうな表情をしている。
「お前、は、早く、誓いなさい──。後のことは、宝玄仙がなんとかするわよ……。わ、わたしは、命じられれば本当に挿すしかないのよ」
鳴智も叫んだ。
「だ、だめええ──」
また、朱姫が声をあげた。
そのとき、影法師が舌打ちしたのが聞こえた。
「もういい。そのまま挿してやれ、鳴智──。命令だ」
影法師が言った。
鳴智が悲鳴のような声をあげながら手を動かす。
「うぎゃああああああ──」
次の瞬間、この世のものとは思えない朱姫の絶叫が拷問室に響いた。
*
「あがががが──」
素蛾は喚き続けた。
電撃虫が食い破った胸を影法師の手が揉み続ける。
素蛾は揉まれているあいだ悲鳴をあげ続けた。
声を張りあげていないとあまりの電撃の激痛に頭が狂いそうになるのだ。
しかし、影法師は笑い声をあげながら、執拗に胸を揉み続ける。
その振動で乳房の下に潜り込んでいる電撃虫が怒って素蛾の身体の下で強い電撃を放ち続けている。
それがだんだんと強くなる。
影法師が手を離した。
その途端に、激しかった電撃がやっとなくなり、素蛾は逆海老に吊られている身体を脱力させた。
それが繰り返される。
「なかなか強情だな……。電撃虫の放つ電撃の苦痛をここまで耐えた者はいないぞ。ならば、今度は股倉に虫をけしかけてやろう」
はっとした。
影法師が横の台に置いていた電撃虫が入った箱を取ったのがわかった。
そして、箸で十匹近い小指の先ほどの長さの極小の
それを掴んだまま、素蛾の股間側に移動していった。
「ひっ、ひいっ、いや、それはいやです──。あっ、ああっ──。しゅ、朱姫姉さん──朱姫姉さん──」
素蛾は恐怖に悲鳴をあげた。
しかし、鳴智という女に焼け鉄杭を股に突っ込まれた朱姫は、いまは完全に意識がなく柱を逆向きに抱いた状態で拘束された姿でぐったりとなっている。
死んではいないと思うが、その呼吸はとても不規則で大人しい。
もちろん、素蛾が叫んでも、返事が返ってくることはない。
虫が股間に触れたのがわかった。
「ひがあああ──」
素蛾はありったけの声を出して叫んだ。
膣そのものには一番最初に突っ込まれた張形が挿さったままだが、その周囲から電撃虫が肌を食い破って身体に侵入を果たそうとしている。
信じられないような痛みが股間から発生する。
素蛾は逆海老の身体を揺すって絶叫し続けた。
「こんなもので、そんなに苦しんでいては、拷問には耐えられんぞ、我慢しようとするだけ無駄だ。服従の鎖を受け入れると誓え」
影法師がそう言いながら、さらにひと摘まみの電撃虫を肉芽の周囲に置いたのがわかった。
素蛾はさらに加わった激痛に吠えた。
「いくぞ」
影法師が笑った。
膣に埋められていた張形が振動を始めた。
影法師の道術だ。
「あがががが──」
股間に埋まった電撃虫が、振動に怒って一斉に強力な電撃を発生した。
耐えることのできない苦痛が素蛾の身体を襲う。
張形の振動はすぐに止まり、電撃虫の電撃もなくなったが、身体の痙攣は今度はいつまでも続いた。
「ぎゃあああ」
あまり時間を開けずに、再び振動が起きた。
張形が暴れている素蛾の股間から生温かい尿が吹き出した。
素蛾は悲鳴をあげながら大量の尿を床にしたたり落としていた。
「汚いなあ──」
御影が苦笑する声が聞こえた。
振動と電撃がとまった。
「う、うう……。も、もう、や、やめ……て……く、ください……」
素蛾は完全に脱力したまま言った。
「服従の鎖を受け入れると誓えばやめてやる。朱姫の治療もしてやろう……。あのまま放置していれば死ぬだろうな。身体の血の半分は頑丈な妖魔、つまり、亜人だそうだから、いくらかは耐えるだろうが、さすがに、あのまま治療術を与えずに放置していれば死ぬだろう……。朱姫が死ぬぞ──。それでもいいのか? お前が強情なせいで、朱姫が死ぬのだぞ」
御影が今度は素蛾の小さく膨らんでいるだけの乳房を指で揉んできた。
胸の下の電撃虫が暴れて、その電撃が身体を次々に突き抜ける。
「いぎいいいい──」
素蛾は悲鳴をあげた。
そして、張形も動き出す。
しかも、さっきまでの倍以上の振動だ。
電撃もそれだけ大きくなる。
「ぎゃあああああ──があああああああ──ぎいいいいいい──」
素蛾はただ泣き叫んだ。
「朱姫を見ろ──。朱姫が死ぬぞ──。鳴智、今度は眼の玉に焼き鉄杭を突きさせ」
影法師が素蛾の耳元で怒鳴ったのが辛うじて聞こえた。
鳴智がぶるぶると震えながら、真っ赤な石炭が燃えている鉄の容器から鉄杭を取り出すのが見えた。
「ち、誓います──。誓う──。朱姫姉さんをこれ以上傷つけないで──」
素蛾はありったけの声で叫んだ。
影法師が素蛾の手から手を離すとともに張形の振動もなくなった。
同時になにか熱いものが身体に流れるのを感じた。
服従の鎖の支配を受け入れたことによって、霊気が素蛾の身体に刻まれたに違いない。
「鳴智、杭を刺すのを中止しろ──。朱姫に気付け薬を飲ませるんだ」
影法師が早口で言った。
鳴智の持つ杭は、朱姫の顔の直前まで迫っていた。
彼女がほっとした表情で鉄杭を箱に戻す。
そして、竹製の水筒を取り出して、気を失っている朱姫の口の中に液体を注ぎ始めた。
朱姫が咳きこみはじめた。
意識を回復したのだ。
一方で、影法師は朱姫に対して道術を放ったようだ。
惨たらしくただれていた火傷が、みみず腫れ程度の傷になっていく。
股間の火傷も消滅していっている。
素蛾はとりあえず、ほっとした。
がらがらと音を立てて、天井から四肢を吊っている鎖が床に落ちた。
手足の拘束も外されたが、素蛾は立つこともできなかった。
素蛾はうつ伏せのまま床に這った状態でいた。
「……素蛾、命令だ。朱姫に御影や影法師……。そして、鳴智の言葉に逆らうなと命じるのだ」
影法師が言った
「朱姫姉さん、御影、影法師、鳴智の言葉に従ってください。命令です……」
素蛾の口は素蛾の心とは関係なしに、そう告げていた。
『縛心術』とは違う。
これが操りの力なのかと思った。
そのとき、ずっと挿入されていた張形が突然に外に飛び出した。
不意に床にうつ伏せになっていた身体が背後から引き起こされた。
「えっ?」
なにをされるのか考える余裕はなかった。
いきなり、尻側から女陰に影法師の怒張が打ち込んできた。
「ひぎゃああ──ややめえっ──やめて──」
素蛾は絶叫した。
怒張が膣を挿入してきたことにより、肌が動いて電撃虫が暴れ出したのだ。電撃が放たれ始める。
しかも、影法師は素蛾の胸に手を伸ばして揉んできた。
全身で凄まじい電撃が暴れまくる。
「これはいいわね……。ただでさえ、ぐっと締まって気持ちがいい童女の膣が、さらに締るわ。これだとすぐに精を放ちそうよ」
影法師……?
身体がばらばらになりそうな苦痛の中で素蛾はただ悲鳴をあげるだけだったが、一方で、いきなり影法師の口調が変化したことに驚いていた。
そう思うと、実体のないような空虚さしか感じなかった影法師の気配とは異なり、素蛾を犯している男からは身体の温かさも感じる。
もしかして、御影の本体……?
「でも、こんなに痛めつけられているのに、お前の膣はぬるぬるで滑りがいいわあ……。お前は天性の被虐奴隷の素質があるのかもね……」
御影と思われる男が愉しそうに素蛾の身体に男性器を送り込んでくる。
おそらく、犯している男には電撃は襲わないのだろう。
だが、素蛾の股間と胸の下に埋まった電撃虫は、激怒の電撃を素蛾に送り込み続ける。
気の遠くなるような苦痛だ。
だが、御影と思われる男の言うとおり、この痛みの中で素蛾が深い快感を覚えているのも事実のようだ。
そのとき、やっと覚醒した朱姫が素蛾の名を呼んだ声が聞こえた気がした。
「出すわよ──」
御影が怒鳴った。
その瞬間、素蛾の膣の奥で御影の精が放出されるのを感じた。