朱姫は、
鳴戸と猪公の気配は完全に消滅している。
憑依させていた小板とともに、灰になったと考えるしかない。
宝玄仙の供として旅をする間は、人間の旅に妖魔を同行させるわけにはいかないので、板に眠らせたままでいさせることが多かったが、ひとりで旅をしているときは、頻繁に出現させていた。
ずっと、一緒に旅をしていたのだ。
それがいなくなったということが信じられない。
それで、はっとした。
宝玄仙に異変を報せにいかせた奏羽はどうなったのか?
奏羽を憑依させていた板は、本体が外に出たので、ただの板切れとして地面に落ちている。
だが、それなりに時間が経ったのに、奏羽が戻る気配はない。
空を飛んでいった奏羽なら、宝玄仙のところに辿り着くまですぐだ。
とっくに戻っていてもおかしくない。
その板を
鳴戸と猪公が憑依していた板の燃えかすと一緒に朱姫に差し出した。
「
日値が言った。
「逃げる?」
それで我に返った。
するも、朱姫を拘束していた草が消滅した。
「
「玩具?」
朱姫は顔をあげた。
「性奴隷だ。銀角様は可愛い娘を自分の性愛の対象にして愉しむんだ。それも普通に愛するんじゃない。嗜虐するんだ。相手が嫌がったり、苦しんだりするのを見るのが好きなんだ。変態なんだ――。そして、飽きたら殺してしまう。お前、大変なことになるぞ」
どこかで聞いたような性癖だ。
もっとも、飽きたら殺して捨てるというところは、宝玄仙とは違うようだが。
「一緒に、逃げよう、能生」
日値が朱姫の手を取った。
「逃げるって、どこによ?」
「どこだっていいだろう。とにかく、遠くに行くんだ」
日値は森の中を走り出した。
手を取られたまま朱姫も走る。
「でも、ご主人様が……」
朱姫は駆けながら言った。
「お前と一緒だった女法師のことだったら諦めるんだ。金角様と銀角様に狙われて、逃げられるわけがない。ここは、あのおふたりの新しい領域なんだ」
「駄目だよ――」
朱姫は、日値の手を振り払って立ちどまった。
日値が驚いて、朱姫を振り返る。
「ご主人様を見捨てられないよ」
「ご主人様って……。お前、もしかしたら、あの宝玄仙という女法師と主従の契約を結んだのか、能生?」
「……朱姫よ。いまは、朱姫というの――。ご主人様から貰った新しい名乗り名よ。真名を教えて、支配されてる……」
「真名? まさか――。真名を知られて、それで、新しい名乗り名……。つまり真名の支配をされたということ?」
日値がじっと朱姫を見た。
真名の支配の重みは、妖魔なら誰でも知っている。
「日値は……。日値は、日値のままなんだね……。名乗りを以前から変えてないということは、まだ、真名は支配されてないんだ」
朱姫は言った。
「まさか、真名なんて……。もちろん、真名までは教える気もない……。でも、主従の契約をしてもらおうと思ってる。まだ、下っ端だから本当の家来にしてもらうところまではいっていないけどね……。でも、手柄を立てれば、主従の契約をして、本当の家来になることになっているんだ。金角様は俺たち下っ端でも、奴隷にするんじゃなく、主従契約をしてくれるんだ。いい魔王様なんだ」
真名の支配による一方的な支配と異なり、主従の契約というのは、一種の契約術であり、真言の誓約により、主従の関係をお互いの魂に刻み込むというものだ。
主従の契約を結ぶと、従側は主側に服従して裏切れなくなるが、主側も従側を見捨てたりはできなくなる。
主従の関係が魂に刻まれるからだ。
妖魔のあいだでは、一般的な主従の関係だ。
人間族は、従側の忠誠心はともかく、主側の心が縛られるのは不都合らしく、滅多には行われないという。
いずれにせよ、妖魔なら魔力、人間なら霊気という力を帯びた者同士でないと、『主従の誓い』は結ぶことはできない。
「……そいつらに支配されたいの、日値?」
「金角軍団と言えば、妖魔の支配する魔域でも、最強の軍のひとつだ。こっちには、一千ほどしか連れて来ていないけど、魔域に帰れば、一万の大軍だ。そこに所属できるというのは、魔域の妖魔の中では、誇りと憧れなんだ」
「それで、あたしたちを見つけて、手柄を立てたということね」
この一帯に入ってきた宝玄仙を見つけたのは、この日値なのだろう。
植物の妖魔である日値は、草木のあるところなら、その草木の感覚に憑依して、一瞬にしてかなりの地域のことを感じることができる。
その力で捜索を任されて、朱姫たち一行を見つけたのだと思う。
そして、金角軍の一部を銀角が率いて出動した。
そういうことに違いない。
「能生……、いや、朱姫がいるということは、知らなかったんだ。報告の報せを発してから、朱姫に気がついたんだ……。ほら、俺は、お前のことを男だと思っていたから、女の格好の朱姫には、すぐには気がつかなかったんだ……」
日値は苦しそうに言った。
朱姫を危うい目に遭わせることになってしまったことに後悔をしてくれているようだ。
「……あたしは、行けないよ、日値……。ご主人様たちと一緒にいなきゃ……」
朱姫は言った。
「えっ?」
「ご主人様のところに戻るよ」
「冗談じゃない――。もう、銀角様に石にされているよ。天教の術遣いが、すごい霊具を置いていったんだ。『紅ひざご』といって、その霊具を見た者を石にしてしまうんだ。どんな術遣いでも、あの霊具は防げないと言っていた」
「とにかく、様子を見に戻る」
朱姫は反転した。
宝玄仙たちのいた場所に向かって走る。
その身体を日値が掴んだ。
「やめろって――。お前も捕まるだけだ。銀角様に弄ばれた末に殺されてしまうんだ。飽きたら殺しちゃうんだ。そういう噂だ」
「いいから、離せ、日値――」
朱姫は叫んだ。
だが、胴体を掴まれて振りほどけない。
この日値は、いつの間にこんなに力が強くなったのだろう。
数年前に一緒に旅をしていた頃は、まだ、ふたりとも少年と少女で、力の差などほとんどなかったに――。
「朱姫、来る――」
朱姫を掴んでいた日値が声をあげた。
なにかを感じたのだろう。
だが、すぐに、確かに、妖魔の集団が森の中を近づいているのが見えた。
「こっちに――」
妖魔の近づく気配の反対側に日値が引っ張った。
朱姫も日値とともに走る。
だが、反対側にも一隊がいる。
「駄目だ、もう囲まれている」
日値が絶望的な声をあげた。
朱姫も、いつの間にかすっかりと包囲されているという事実に気がついた。
あっという間に、妖魔は周りを取り囲み、逃げ場が失われた。
妖魔たちの影から銀角が進み出てきた。
「日値、これは、どういうことだい? あたいは見張ってろと、言ったはずだけどね」
「ぎ、銀角様……。そ、そのう……、この朱姫は俺の友達なんです……」
日値が言った。
「朱姫? そうか、もしかして、お前はこいつに真名を支配されて、この女から名乗り名を貰ったのかい? なんか、お前の帯びる魔力には、宝玄仙の魔力の香りを感じるよ」
銀角はにやりと朱姫を見て笑った。
朱姫は、銀角の視線の先を追った。
「ご主人様ああああっ――」
朱姫は絶叫した。
そこには、三匹の妖魔によって、横倒しに担がれている宝玄仙の姿があった。
完全に石になっている。
「銀角様、お願いです。この朱姫だけは……」
日値が銀角の前に立ちはだかった。
銀角が、日値の顔に向かって腕を振った。
殴られた日値の身体が二回、三回と地面に転がる。
「日値――」
朱姫は日値に駆け寄ろうとした。
だが、その腕を銀角が掴む。
そして、朱姫の服の襟もとを掴むと、下まで一気に引き下ろした。
「きゃああああ――」
服の前側を全部引き裂かれた朱姫は両手で胸を隠して、うずくまった。
しかし、銀角は、次いで、朱姫の服の背中側を掴んで引き裂く。
朱姫の服は、前と後ろを完全に引き裂かれて、ただの布きれに変わった。
下着ごと破られた朱姫は、全裸同然の格好になった。
その朱姫の髪を銀角が掴んで、無理矢理に立たせる。
「ひいいっ」
朱姫は、両手で前を隠しながら悲鳴をあげた。
銀角は、朱姫の裸身を倒れている日値に見えるようにかざしているのだ。
「日値、この娘はお前の女かい?」
銀角が朱姫を髪の毛を掴んで吊りあげたまま言った。
朱姫は、苦痛に呻く。
「い、いえ……。だ、だけど、好きです……」
身体を起こした日値が口から血を流しながら言った。
「そうか。じゃあ、そこで見ていな――。おい、お前たち四人、こっちに来い」
銀角が背後にいた四匹の妖魔兵に声をかける。
その妖魔たちは、すぐに銀角と朱姫の前にやってきた。
「それぞれ、この朱姫の手足を一本ずつ掴め。そして、日値に、こいつの股ぐらがよく見えるように晒しな」
「嫌だ――。嫌だよう――」
朱姫は泣き叫んだ。
しかし、四匹の妖魔が朱姫の四肢をそれぞれに掴んで、裸身を空中で大きく開げられる。
さらに松明を持った別の妖魔が朱姫の裸身を照らす。
日値の視線が突き刺さる。
嫌だ――。
見られている。
恥ずかしい。
「毛は一本も生えてないね。あの巫女に剃られたかい?」
銀角は、朱姫の前側にやってきて、朱姫の股間を覗き込んだ。
「離して、離してったらあ――」
朱姫はもがいた。
だが、四匹の妖魔に身体を掴まれては、びくともできない。
朱姫は、空中で四肢を開かれたまま、なにもすることができない。
銀角は、具足の間からなにかを取り出した――。
……というよりも、魔力で霊具のようなものを出現させたのだ。
「供のふたりを襲っていた、あの女法師の変態ぶりから考えると、結構、お前も調教されているんだろう、朱姫?」
そう言えば、沙那と孫空女はいないようだ。
宝玄仙は石にされてしまったようだが、ふたりは無事なのだろうか?
だが、その思考は、銀角が朱姫の陰部に近づけたものを見て、かき消された。
銀角が持っているのは霊具じゃなかった。
一匹の白蛇だ。
それが頭をもたげて朱姫の股間に迫っている。
「な、なにするつもりなのよ――。やめてえっ――。来ないで――」
銀角の手に握られた蛇が朱姫の股間に向かって口を開けるのが見えた。
朱姫は絶叫した。
だが、予想したような蛇の牙の痛みはなかった。
その代わりに、朱姫の陰部を這い回るおぞましい舌の感触が朱姫を襲う。
「ひいいいっ――。ふぐうっ――、ああ……や、やめて……。や、やめ……」
蛇の舌が朱姫の股間を舐め続ける。
たちまちに、身体が砕けるような快感が朱姫を包む。
「なかなかの感度じゃないか、朱姫。この蛇は魔力で改良している特殊な生き物だ。歯は抜いてあるから安心しな。その代わり、とても感じる舌を口の中に入れている。この蛇もなかなかの性技だろう、朱姫? あたいが仕込んだんだよ」
銀角がくすくすと笑った。
朱姫はもがく。
だが、朱姫を掴む妖魔の力が強くなるだけだ。
「ああ……はあ……あはああ……ああ……」
快感がせりあがる。
我慢できない声が口から出てしまう。
官能の疼きが全身を覆い、それは、痛みのように全身を苛む熱に変化する。
股間が小刻みに震える。
朱姫は、それを止めることができない。
「やめて……。誰か……誰か、助けて――」
朱姫は呻くように言った。
「そんなに嫌かい、朱姫? おや、泣いているのかい?」
朱姫の顔を銀角が掴んだ。
銀角の顔が眼の前にある。
「お願い。ひ、酷いことしないで……」
朱姫は銀角に言った。その間も蛇の舌は、朱姫の股間を舐め回している。蛇が、朱姫の淫孔から流れ出る愛液を舐め吸っているのだ。
「ふふふ。この蛇はねえ、雌の淫液が大好物なのさ。久しぶりに、こんなに多くの食料にありつけて喜んでいよ。だけど、こんなものじゃないよ。こいつに貫かれれば、お前は、これまでに知らなかった別の世界に行けるよ」
「貫く――? いやあ――。か、勘忍――。堪忍してください」
朱姫は喚いた。
「じゃあ、宝玄仙と別れて、あたいの性奴隷になると誓うかい。そうしたら、考えてやってもいいよ。真名だったら、主従契約の魔術を取り消すのは大変だけど、できないわけじゃない。あたいが、お前に新しい名乗り名をやってもいいよ」
冗談じゃない。
こんな雌妖に支配されたくない。
「ひいいっ、いやああああ――」
朱姫は首を横に振った。
「……まあいい。ゆっくりと仕込んでやるよ……」
銀角が朱姫の顔から手を離す。
そして、次の瞬間、朱姫は戦慄した。
蛇の頭が朱姫の淫孔に頭をつけたのだ。
そして、ゆっくりと身体を振りながら、胴体を這い動く。
一方で、蛇の頭は、強引に秘部の中に入ってくる。
「ひぎいいいっ」
朱姫は声をあげた。
ずいずいと入ってくる蛇の感触に、朱姫は内腿を引き攣らせた。
朱姫の淫孔の中で、左右に身体を振りながら進む蛇に、朱姫は我を忘れるような衝撃を受けた。
どういう魔力を帯びているのかわからないが、蛇の肌にふれた淫孔の内側の粘膜は、蛇が進むのに従い、白蛇と一体になるように溶けていくような感覚に変わっていく。
蛇に朱姫の秘肉が犯されるのではなく、朱姫の秘肉そのものが、朱姫を襲う淫具に変わっていく感じだ。
「あがあぁぁぁ――」
朱姫はのけ反って果てた。
だが、まだ蛇はゆっくりとした蠕動運動の途中だ。
途中で達してしまった朱姫を銀角が嘲笑っている。
それでも、快感はとまらない。
次の波が朱姫を襲う。
蛇の頭が朱姫の子宮の手前に到達した。
そこから沸き起こったわけのわからない感覚に、朱姫は二度目の絶頂に達した。
「
銀角は言ったが、もう、朱姫は、銀角の言っていることの半分も理解できない。
三度目の波に朱姫は咆哮した。
自分の身体が妖魔たちに拘束され、しかも蛇に犯されたまま、どこかに連れていかれようとしているのだけが、かろうじてわかった。
「ああっ、いやだ、ああっ、ああっ」
朱姫は無理矢理に与えられる快感の激しさと、裸体を露出させられ、さらに絶頂する姿を晒されながら運ばれるというあまりもの屈辱に意識さえ失いそうだ。
そして、わけのわからない感覚が次々に襲いかかって、まともに思考することもできなくなっていく。
秘部の中は蕩けきっている。
おそらく、この大蛇の持つ特殊な能力のせいと思うが、とにかく、朱姫はそのために、息もできないような快感に襲われている。
しかも、大蛇の頭が敏感な子宮の奥の快感のつぼのような場所を刺激し、それだけで朱姫は絶頂を向かえそうになる。
「ああん、いやあっ」
しかも、大蛇の入りきっていない胴体は、朱姫の肉芽やお尻の辺りまで、うねうねと這って刺激を送り込む。
「こりゃあ、大した淫乱娘さ。気にすることはない。周りの雄妖魔どもに、見せつけてやりな」
銀角が朱姫の横を進みながら揶揄の言葉をかけてくる。
だが、朱姫はそれどころじゃない。
四肢を掴まれながら、身体を宙で仰向けにされて移動しているので、身体が前後左右に激しく動いて、胎内の大蛇がそれで動くたびに、衝撃のような甘い痺れが襲うのだ。
「それ、どんどん舐めな、
白というのは大蛇の名前なのか、銀角のその言葉を合図にするように、子宮に頭を届かせている大蛇が中で舌を動かしだしたのがわかった。
「あはああっ、はああ、いやああああ」
蛇の舌が動き、頭が子宮口を持ちあげることによる、あまりもの快美感に、朱姫は悲鳴のような嬌声をあげてしまった。
「あんっ、うふううっ」
そのときだった。
歩く速度が変化して、身体が上下に跳ねた。
「ひゃっ、ひゃん、だめえっ、いくうう」
とてつもない快感の衝撃が貫く。
朱姫は全身をがくがくと震わせて達してしまった。
銀角がげらげらと笑った。
「浅ましいねえ。ちょっとは恥ずかしいとか感覚はないのかい? ちょっとくらい、慎みを見せたらどうなんだい?」
銀角がからかう。
しかし、大蛇の頭が奥で激しく動き続け、さらに全身の揺れが加わって、朱姫はすべての快楽の衝撃を子宮で受けることになり、とんでもない痺れが腰骨や背骨を駆け抜けていく。
「やめてえっ、許してぇ、いやだあああ」
朱姫は悲鳴をあげた。
もう、頭がおかしくなる。
「こりゃあ、面白いねえ。こいつ、身体が動くたびに絶頂してんのかい? 面白いから、歩きながら上下に振ってやりな」
銀角が声をかけた。
すると、朱姫を掴んでいる妖魔たちや、周囲の妖魔兵が一斉に爆笑した。
「そうれっ」
「そうれっ」
「それいっ」
すると、掛け声があがり、まるでお神輿のように、朱姫は大きく身体を上下される。
大蛇も驚いて、激しく膣の中で暴れだす。
「ひいいいっ、ひぎいいい」
蛇の頭が何度も何度も子宮を抉り、それがとてつもない快感になって、朱姫の脳に押し寄せた。
「んふうううっ」
大勢の妖魔兵の前で、またもや、朱姫は達してしまった。
しかし、それでも、終わらない。
次の波が、もうそこまで来ている。
「それいっ」
「そうれっ」
「そうれ――」
愉快がる妖魔兵が容赦なく朱姫の裸体を揺らす。
「あはああああ、また、いくううう」
朱姫は全身を痙攣させて、快感の極みに達する。
信じられない絶頂感に、朱姫は悶え狂う。
だが、大蛇の責めは終わらない。
朱姫は吠えるように声をあげ、三度連続の絶頂の衝撃で、今度こそ、頭が真っ白になるのを感じた。