その女勇者(魔王)、勇者に溺愛されています。 作:白千ロク(玄川ロク)
■(ドSな)勇者と(元)魔王のいちゃいちゃらぶらぶな話になります。しかし、じれったいのが大半で、いちゃいちゃらぶらぶまでは遠いような違うような
■無理矢理表現も含まれますので、ご注意を
2018.12.05
「く……っ」
魔王は膝をつき、勇者を睨む。そうされているというのに、端正な顔に歪な笑みを浮かべながら、勇者は剣の先を魔王へと向けた。
「なにか言うことはないか? 俺が聞いてやろう、最期だしな」
「言うこと、か……、そうだな……」
ふっと寂しげに笑んだ魔王はぽつりと語り出す。――実は、と。
「オレは、勇者になりたかった……。生まれ変わったら、次は勇者になるんだ」
「そうか。妄想が逞しいな」
「なんだと! 勇者はいつもいつも持て囃されていい思いをしてきただろうが! そして魔王はいつも悪人だ。なぜだ!」
「俺が知るか」
「ぎゃっ!?」
鼻で笑う勇者に吠えた魔王は薙ぎ倒され、その躯に足を乗せられた。倒れる部下が「やめろ!」と叫ぶのも構わずに、傷口を抉るように足を動かされれば、魔王の顔が歪む。
「いっ……っ!」
「お前いい顔するよな。マジでそそるわ。俺は男女どちらもいける派だけど、いまはお前の泣き叫ぶ顔が見たい。見せろよ」
「なにをっ――!」
魔王は勇者の言葉を聞くことはなく、勇者の剣に貫かれた。部下たちの叫びに勇者は「うるさい」と電撃魔法を放つ。
「――望み通り、勇者にしてやろう、魔王様。ただし、俺の女になるだけだがな」
にやりと笑みを浮かべる勇者の先には、それ以上に極悪に笑む魔女がいた。勇者と魔女に辛うじて息がある部下たちは
――勇者と魔女は、互いに思惑があった。勇者は魔王を手にする為に、魔女は魔王の強力な魔力を我が物にする為に手を組んだのだ。
魔王が倒されたという一報は瞬く間に国中に轟いた。英雄と讃えられたレガルド・イレンはそんなものに興味はないが、あるときは酒場にいる女たちを持ち帰り、あるときは宿場にいる男に手を出すなど好き放題している。
活動拠点である騎士団のなかに作られた鍛練所で剣を振るい終わり、お湯を浴びて自室へと戻ったレガルドは、寝台に横たわる女に視線をくべた。
女の年はレガルドと同じように若く、肉付きのよいしなやかな躯には豊満な胸を持ち合わせている。鍛えているレガルドはがっしりとしてはいるが、余分な筋肉はついていない。
「まだ起きないのか、キーエル」
レガルドは頭を拭いたタオルを首にかけながら寝台に上がり、女に覆い被さる。その前髪を掻き上げて額に口づけ、ついで胸を揉みしだいた。最後まですることはないが、日々欲求は溜まるわけだ。少しぐらい躯に触れても致し方がないだろう。
「キーエル」と再び額に唇を押し当てれば、「んぅ……」と女の唇が震えだす。徐に上げられた瞼が二度三度と瞬いた瞬間、声にならない驚きの声が上がった。
「おまっ……、ゆっ、勇者!? なんでお前がいるんだ!? ――え、あれ? なんか声が、変だっ」
「おはよう、キーエル」
「え、あ……ああ、おはようございます……」
「お前が目覚めない間に三年が経った」
「な、なんの話だよ?」
勇者・レガルドが語る話に、魔王は目を丸くする。自分は勇者に倒されたこと。古の魔女の手により若い女勇者――とは言いつつも、『勇者』とは魔王に挑もうとする勇敢な者を表す称号であるので人並みの女に他ならない――に生まれ変わったこと。しかし、成長する過程をすっ飛ばしているので魔力と魂の定着に時間がかかること。勇者は魔王が目覚めるのを待っていたらしいこと。
それらを語る間に額に何度も口づけられていたが、痺れを切らした魔王はレガルドを突っぱねる。
「なにすんだ!」
「拒否をする理由が解らんな。お前が望む通りに、勇者にしてやったんだぞ。なんの不満がある?」
「不満だらけだ! 大体、オレは女になりたいなんて言ってないだろっ」
「不満ならあとで解消してやる。それよりも、お前はいまから俺の女になるんだ、キーエル」
にやりと笑みを溢す勇者をはね除け、魔王は「ひいっ」と後ずさる。後ろには壁しかなく、勇者がそこに手を付いたので逃げ場はない。切り揃えられた短い髪からぽたりぽたりと落ちる水滴が頬を滑り、魔王の顔はいっきに青くなる。それでも勇気を出して、「断る!」と拒否をした。
「だからっ、誰がお前の女になりたいなんて言ったよ! オレは男だぞ!」
「巨乳がなにを言うか」
「ひゃうっ……!」
にやにやと笑みを溢す勇者にむにゅりと胸を揉まれ、魔王の躯が跳ねた。「やめろ!」と腕を離そうと手を添えるが、びくともしない。嫌だ嫌だと頭を振りながら肩に添えた手は、震えるだけで役に立ってくれないようだ。もう片方の胸も揉みしだかれている間に、魔王――キーエル・ロアデの顔は朱に染まる。
「や……、ぁ……やっ、だ……! ゆ、しゃ……ふざけ、んなっ」
「感じやすい躯にしてもらった甲斐があるな。こんなに可愛くなるとは。難点は、俺以外に触れられても感じることか」
「んぅ……、や、めろ……っ、もっ……、触るなって、ば!」
「それは無理な話だな」
浮き出た先端を指の腹で捏ねられ、キーエルの躯がびくびくと跳ねる。乱れた息を吐き出しながら躯を捩るが、捩れば捩るほど勇者の
「ふ、うぅ……」
「解るだろう、キーエル」
「解んねーよっ! おおおっ、オレはっ! かわいいお嫁さんをもらってっ、温かい家庭を築くのが夢でっ――……う、ぁっ!?」
涙を浮かべる目尻に、レガルドの舌が這う。涙を掬い取るように。
「ゆ、しゃ……?」
「なにも泣かせようとしているわけではないからな。俺はキーエルと愛し合おうとしているだけだ」
「ふざけんなっ」
「誰が愛し合うもんか!」と叫べば、ぐらりと目の前が歪む。憎い勇者の顔も形が崩れていく。
「あ、れ……? お、かし……」
「キーエルっ!?」
勇者の躯に倒れ込む魔王は、そのまま意識を失った。