※この作品はR-18です。

聖娼館ハルトゥム   作:Anacletus

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2015年の第一弾は第二書うまでのキャラクター紹介!! あの人もこの人もエロの人も充実した仕上がりになったかと思います。まだ用語編が出来てないorz。まぁ、今年中には上がると思うのでそっと見守っていてくだされば幸いです。遅れましたが、新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。「緑炎の葬列」シリーズは一月か二月中に終わって、その後はエロ日常編が始まるかと思うので気長にお待ちください。では、また。


第二章決定稿設定資料集【キャラクター編】

第二章決定稿設定資料集【キャラクター編】

 

*ネタバレ注意。

 

*性別・その他の基礎情報(プロフィール)は章毎に追加の可能性有り。

 

~主人公side~

 

シンア・ザ・クリティカルアンラッカー♂

 

《その2》

世界一評判の悪い男にして三文小説に出てくる悪い魔王の叩き台その人。三人の少女達との旅において南部大帝国イグニシア・クルシスに辿り着くも皇帝に“歓待”を受け、しばしの逗留となった。その後、奴隷都市周辺国境地帯における武帝と帝国の騒乱に際し、黒い天使を撃破。後に友人との約束から大陸中央南より東部に跨る藩落へと赴いた。ひょんな事から出合った少女セイリの為に囮となった結果、藩落都市国家アーズトリテの地下研究棟に幽閉。交配実験の為に数十人の少女達と交わった。アーズトリテへと襲来した【基幹異種】との戦闘の後、七聖女フルー・バレッサと邂逅。惑星規模の【質量武装】を前に皇帝より貸し出された国家規模の魔術具を使用する事により難を逃れるが、存在を構成する基礎情報を分裂発現させられた為、肉体以外を少女達の下から旅立たせた。第二章において魔王の復元能力が極限まで封印されている事が聖女の口から語られている。これは肉体の復元が最終的には“因果の断絶”に行き着く事を示している。因果の切断によって発生する【因痕】の実態は“破壊された肉体にまつわる原因と結果の破断”であり、それが惑星内に生きる全ての存在の運命を歪めてしまう事から、少年は最小限度の復元能力行使で【因痕】の発生収束を防いでいた。魔王の能力が“復元”である事は第一章でも語られたが、第二章においては内実が垣間見える。惑星を破壊する規模の魔力量を誇る【基幹異種】を素手で抉り取るというような行為は本来不可能なはずである。超過圧された積層魔力の塊にも等しい存在はそれだけで周辺に魔力的な場を形成し、同時に生態としての強靭な魔力循環活動を行っている。これは魔力の総量は変わらずとも大規模な魔力が“動いた”為に周囲の様々な物理事象、物理量が変化するという事である。魔力形質にも依るが循環する魔力の影響により、四大元素(水・火・風・土)や他の物理元素を流動させ、“障壁”を自然に持つという事である。そういった障壁+純粋な超加圧魔力を素手で抉るという事がどんな理不尽であるか想像に難くない。単純に言うなら、炎の中に手を突っ込んで焼けた石を抉り抜くようなものである。それを可能にしているのは少年の復元能力で追加される質量・物理量(エネルギー)である。人体を生命体という複雑系の事象と解釈した場合、無限の復元力は見掛け上“無限の質量”や“無限の熱量”に置き換わる。即ち、あらゆる人体が内包する元素、原子、エネルギーの無限化を意味する。実態としての質量及び魔力量を持ち、尚且つ有限である【基幹異種】達の肉体を抉ったのは復元の度に凄まじい速度で追加され続ける質量や熱量であり、障壁と肉体が局所的にその投入速度に耐え切れず崩壊したという事を意味する。七聖女との戦闘においては無限の復元力VS有限だが惑星数個の質量という図式で戦っていたわけだが、惑星並みの超超超超大質量が生み出す物理量(エネルギー)の投入速度が少年の無限の復元力が追加する物理量(エネルギー)流入速度を上回っていた為、最終的に復元が追い付かなかったわけである。これらの状況から魔王本来の復元速度は限りなく零に近い事が予測され、同時に能力の大半が半減以下の状態で運用されている事が判明した。法則や原理そのものと同一視される場そのものに等しい少年を殺す事は可能だし、消滅させる事も不可能ではないが、それは所謂一般的な死ではない。状態が変化しただけであり、復元力自体が損なわれないという点で無意味なのである。故に個体としての要素を分解して行動不能にする封印が選択されたのは実に理に叶った方法と言える。

 

ラタウト・ヴェルガナ♀

 

《その2》

少年と別れてからエルデナンドの教会に勤めていた少女。南東部武帝とイグニシアの国境域における騒乱で人手(ひとで)を募集した教会内部の人事異動で難民キャンプへ新人職員として回された。教会内部の一部からは既に魔王との関係がバレており、一時期は魔王の因子が与える影響を研究する目的で研究部門の一施設に送られるはずだった。しかし、七聖女ハティアの介入により、研究部門への移送は頓挫。本来ならそのまま難民キャンプでの仕事を続けるはずだったが、七教会の独立外部機構【叙事詩機関(エピコス)】の長に西部旧教会派の施設へ“借り”として出向させられる事が決まった。難民キャンプにおいては数奇な巡り合わせでハティアの娘であるユヒア出迎えの人員となり、その縁で友達となる。奴隷上がりの自分にも何が出来るか模索し始めた幸薄い少女だが、少年との思い出を糧に本人は至って前向きに生きている。

 

ルヒ・サヤトネ♀

 

《その2》

未だ主の下へ帰り着きそうにない【蒼穹の騎士】。マロウの監視を行いつつ、旅の途中に助けた少女達を宛がい、記憶が無い内に枷として機能させようと画策。第一章で助けたイーステルに続いてアイレン、アルハを加えた三人との間に子供を儲けさせ、その狙いをほぼ達成した。イグニシア国境地帯の騒乱に際して、四人から離脱。その際に見せた能力は魔眼と【魔刃(ベネフィシア・グラディオ)】の能力を複合し、【運命糸(リネア・フェイティ)】と呼ばれる因果律を糸の束として視覚化、具象化するものだった。あらゆる因果の収束と断絶を行う唯一神にも等しい行為をしてみせたが、能力使用の代償は自身の因果の薄弱化であり、大陸の殆どの存在に知覚されず、肉体の弱体化現象を引き起こした。その際にキリアに救われ、少年の下へ帰るのを一端棚上げ。可能性を感じたキリアの思想に対して力を貸す事を約束した。僅かに四人への感傷を見せるも、未だ一途に少年の為働く騎士の鏡のような少女である。

 

イフィミスラ・ハージェット・テトス・エルデナンド♀

 

《その2》

魔王の従者として大きく力を付けつつある元生贄皇女。第二章ではイグニシアで少年と別れて行動したり、ナーリャやエフィリムを引っ張って追い掛けていくような積極性を示した。国境地帯で見えない化け物に襲われた際は都市機能の中枢である政庁施設一帯全てを焼滅させる大規模魔術まで発動するようになり、その実力は着実に上がっている。しかし、少年があっちにふらふらこっちにふらふらと出掛けては帰って来ないという現状に溜息を吐く事が多く、藩落まで追い掛けていく際には多くの困難を経験した。再開の際にはマヲンと一緒に添い寝していた少年を詰りまくった。七聖女との戦闘に置いて自己同一性を保てなくなった少年を救う為、ハルトゥムにおいて【聖王同盟(サクラム・フェデレイションズ)】を自身を含めた十一人の少女達と共に結成。実働メンバーの中核として活動を始めた。途中、天使に浚われたナーリャの記憶が戻り始めていた事を感じ取っていた事から、自責の念に駆られている。浮遊大陸ハルトゥムの実質的な運用は彼女に任せられており、その権限は【紫影の従者】と呼ばれる高格外套【最従者(ディアコノス)】の中核機械群十三機、及び機構の手足たる三千機の子機、及び【地平機構(システム・ホライゾン)】と呼ばれる大戦時に高位の神々や超越者達を世界の外に放逐したシステムまでも及んでいる。まだ未熟ながらも魔王の従者と呼ぶに相応しい意思を持つ者となった。

 

ナーリャ・ナーシム♀

 

《その2》

本名【ナーリヤ・ナーシム・エルトロイカ】。エルフの性奴として売られ記憶を失っていたが、少しずつ自らの事を思い出し、最終的には藩落アーズトリテに向かう途中、天使達に襲撃される事によって完全に覚醒した。【神担者(コスタレロ)】と呼ばれる旧い魔族達の遺構を守るダークエルフの一族だった事が判明。その能力は過去の血族が行った契約を担うというもので、覚醒後は【外なる神々】との間に強力な繋がりを持つに到った。これによって兄であるアーフルが何故魔族達の置き土産である強力な兵器を一人で運用出来たかが解明された。二人の一族は本来がダークエルフの祭事を行う家系だったが、事実上は有名無実化していた。集落を人間側が襲撃して後、囚われとなったナーリヤが記憶が戻るに連れて悪夢に魘されるようになったのは本人の資質が命の危機や忘我の境地に到った後に魔王である少年との接触で目覚めたせいである。本来、大陸内部で人間の手に負えない存在が現われた場合発動する保険の一つであった高位天使達が一瞬でやられた事から鑑みて、ナーリヤの姿を模った【外なる神々】はもう殆ど大陸に存在しない最高位の大神か、それ以上の力を有する事が見て取れる。黄金の仮面を被るナーリヤの姿をした神を中核とした四柱に七聖女クラル・リテルが使役する天使達は破損。大陸中央諸国の地方都市アイウィスは封印されていたナーリヤと共に地表から消失した。今後、第三章にて、その後の話が描かれていく事となる。記憶を失う前と後では人格に大きな隔たりが見られるものの、自己同一性は保たれている様子で一般的な他者と接する“人格(ペルソナ)”の一部が強く出ている状態と考えられる。果実を皮ごと食べる子供っぽい人格も、神々の力を盾に天使達を脅す人格も彼女自身の一部と言える。

 

エフィリム・エーネ♀

 

《その2》

三人姉妹の末っ子という位置で姉達を常にサポートしていた半魔族少女。ナーリャやイフィミスラを姉と慕い、共に旅をしていく中で今までの儚さに強さを垣間見せるようになった。交わりの中で少年の心を知り、更に深く繋がりたいと願うようになる。あまり主張する事は無いが、イフィミスラにとってもナーリャにとっても無くてはならない妹である。少年との交合によって魔族としての能力を開花させ、淫魔として非凡な才能を見せる。少年と尻で交わった時を境にして肉体が変化し、人とは違う内臓器官を取得。従来の消化器官である腸は失われ、新たな子宮と何を食べても満腹にならない高度な存在としての象徴である胃を手に入れた。これは従来の肉体に必要な物質を胃や腸で消化して肉体へと取り入れる方式を棄てたという事であり、食した物質の大半ををエネルギーとして取る事を意味している。多くの超越者達と同様の取り入れた物質=エネルギーという図を体内で完成させた為、仙人の如く霞を食べても生きていける身体である。この状態になった生命の大半は生半可な毒物や劇物では死なない為、殆ど何を食べてもお腹を壊さないし、排泄も必要ない。その代わりに満腹という状態を得るのが難しくなってしまうという欠点もある。少年との最後の交わりで複数枚の翼が発現したが、これは魔族の階位としては最上級の血統である事を意味している。今後、力の付けようによっては高位の魔族すら虜に出来る“魅了”の術を身に付ける事が可能となるが、本人は少年以外に身体を許す気はない。他者を求める淫魔としての非凡な才能はそう遠い日の事ではない母親からの迫害で植え付けられた強迫観念に後押しされていた事が二章の最後で本人の口から語られる。地獄の底、永劫の果てまで連れて行くとの少年の想いを受け止めて、少年を必ず取り戻す事をイフィミスラと同様に誓った。胎の中にいる姉妹が少年の気配を覚えている旨をイフィミスラに伝え、共に少年の捜索へと加わる決断をしている。

 

天御門紅亜♀

 

《その2》

過去の多くを捨て去ったものの、家という枠を超えて烙南を世話するツンデレ少女。ハルトゥムでの治療を行いながら、少年がいない間、同じような境遇である土御門烙南を世話する事となった紅亜であるが、その日常は生活の維持に当てられている。家事炊事は基本であり、世話の合間にハルトゥムの周辺の見回りなどもしている。それはよく娼館から出て散策するようになった烙南の為であり、道端の小石を拾ったり、危ない植物や動物が無いかなどを調べている。過去、男として常に在ろうとした角張った物々しさは消え、今は女性としての自分を素直に受け入れられるようになった。少年を密かに旦那様と呼んでいて、寝言で烙南に聞かれた事を知って慌てふためく場面も女としての自分を受け入れた末のものならば納得である。今も学徒憲兵隊の制服を愛用していて、常に凛々しい装いを崩していないが、それは遠く故郷で頑張る妹との再会を祈っての事。烙南とは実の姉妹のように仲睦まじく暮らしており、ハルトゥムの住人であるオーレムとの関係も悪くない。七聖女の企みや情報を伝える為、藩落で争っている少年の下へと【紫影の従者】の力で送られたが、高空で撃墜される憂き目にあった。自分自身で女らしさというものを日々研究していて、下着や夜の装いを研鑽するのが実は密かな趣味になっている。第二章の後、新たな役として少年の肉体とハルトゥムの治安を預かる番人となる事を誓った。実はM(マゾヒスト)の気があり、少年に苛められる事に悦びを感じるようになってしまった。【聖王同盟】では少年の肉体の管理や世話を引き受ける寮母のような立ち位置と言える。

 

土御門烙南♀

 

《その2》

少年に救われた後は密やかにハルトゥムで暮らす元神門少女。現在は同じ故郷の出身である紅亜に世話をされながらハルトゥムの館で暮らしている。近頃は小さな大陸の各地に散策に出る事が多く。【紫影の従者】にお弁当を作ってもらう事もしばしばな様子。神門としての後遺症なのかどうか。自らの長大な白い髪を自由自在に動かせるようになった為、身の回りの世話をしてくれる紅亜に手伝いの旨を申し入れている。ハルトゥムでは何不自由なく暮らしているが、兄様と慕う少年がいないのが唯一の不満。姉妹のように紅亜を慕っており、姉として今では接するようになった。少年が肉体だけを置いて旅立った後、【聖王同盟】として紅亜やオーレムと共にハルトゥムの守護者となった。その血統の謎は未だ解かれていない。

 

 

 

~イグニシア・クルシスside~

 

エト・エイラル・エイム・イニグシア・クルシス♀

 

イグニシア・クルシスを束ねる若き【皇帝(インペレータ)】。幼い頃、数人の皇帝候補の兄がいたが、それら全てを暗殺し、帝位に付いた暗い過去を持つ。褐色の肌に金の輪を結わえた髪や菫色の片目、ラフなワンピースを着ながら不釣合いだろう絢爛な外套を着込む等、色々とチグハグな少女、。恐ろしく頭脳明晰な皇帝である一方、普通の少女としての自分を心の奥底へと封印している。第二章において魔王である少年に聖女すら知らない“秘密”を聞かせて驚かせ、自分の下で一定期間滞在する約束をさせた。帝国と武帝の国境域において強大な天使の精神攻撃に晒されるも、自我崩壊の寸前で少年に助けられ、それ以降魔王としてだけではなく、少年を一人の男性としても見るようになる。二年に及ぶ大改革でイグニシア・クルシスを【近代化】と同等の速度で発展させ、その偉業故に破天荒な行いも全て旧い帝国の者達に黙認させている。武帝との賠償の席では七聖女ハティア・ウェスティアリアをも抑えて未来への布石を打ち、武帝併合への道筋を付けた。少年との交わりの中で自分が帝国の祖である水分の女神とその神官の子孫、つまり神の血を引く者である事を打ち明け、少年との間に子供を持つ事を切望している。藩落へと少年が旅立って後、それを半ば追い掛けるように帝国旗艦【貴皇(ペルソナ・ノーブリス)】で遊説の旅へ赴いた。見えない化け物の襲来で消えそうになっていた【双來】を救い、その未来を買う形で同盟を締結。帝国との直通隧道や耕作地、国家を覆う堀等までも与えた。それから藩落各地で演説をしながらアーズトリテまで到り、クラウゼン公爵家や異種、聖女の争いに巻き込まれる。アーズトリテ崩壊時の難民達を一時的に匿い、収容した事でクラウゼン公爵家及びアーズトリテに対して恩を売り、太いパイプを持った。少年が肉体を置いて旅立った後、【聖王同盟】の実質的な出資者(パトロン)として名乗りを上げ、巨額の資金を供給する約束をし、魔王へ公私共に入れ込んでいる。少年と【総主教(パトリアルヒス)】だけの秘密を握っており、それは世界を変える秘密だと知りながら、その重要情報が記載された日誌を消却した。これは少年への敬意と好意の末に出した結論であり、魔王の善き理解者として並び立つ事を誓った末の行動である。未来を見据える彼女は遣り方こそ七教会のような合理主義であるが、目指す場所が真逆という七教会最大の対抗馬であり、今後もその動向次第では世界が大きく動いていく事が予測される。

 

エーレイン・ディウアーズ・L・アルバストレ♀

 

陛下馬鹿。陛下教信奉者。陛下無しには生きていけない病の患者。夢、陛下の夢が実現する事。好きなもの。陛下。好きな事。陛下のする事なら何でも。嫌いなもの。陛下を侮辱し、害そうとするもの。秘密。陛下の薄い本を隠し持っている(罪悪感&背徳感)。という、エト・エイラル・エイム・イグニシア・クルシスの為だけに生き、死ぬ事を心情とする十代後半の紅髪を持つ肉体発育良好な帝都守護職部隊長。元々はエト直轄の近衛にいたが、皇帝好きのあまり近衛から守護職へと強制的に配置転換された経緯を持つ。日々人々を皇帝好きに洗脳し、皇帝に歯向かう者は容赦なく逮捕しまくっていた(一日で釈放)。元々、アルバストレと呼ばれる帝国に吸収される寸前だった最貧国の姫で、前代皇帝であるエトの祖父に家族、親族を皆殺しにされるという経験をしている。その時、部下や下僕の一人も連れず、戦争を止める為にやってきたエトに拾われ、現在に至るが、本人は復讐なんて考えもしていない。実は現在も王族としての地位を持っていて地元に帰れば歓待される身分。が、それを感じさせない程に帝国上層部において自立している為、周囲の人々は位を捨てたと勘違いしていたりする。王位の継承権があるという事は領地の所有権を持っているという事だが、彼女は心酔する皇帝(エト)に仕える為、祖国の政治一切を当時生き残った家臣団へ任せた。その気になれば、帝国大貴族の一員として領主の地位を受けられるが、本人は今もエトに仕える事だけに心血を注いでいる。彼女とエトが前代皇帝と交わした戦争終結時の締約は今も遵守されており、祖国は昔の貧しさから脱しつつあるという。反発する過激派や家臣団達を何とか諌められたのは皇帝を継いだエトの手腕とエーレインの姫としての決断、この二つが揃ったからであり、今も領地の者達からは公式な領主として彼女を押す声が絶えない。少年を王城に連れて来て以降、今度はエトから傍付きの側近として仕えるよう指示され、常に同行する事となった。魔王である少年に対しては複雑な感情を抱いており、エトとの初夜の件から縊り殺したくもあるが、同時に守るべき相手としても意識している。その皇帝第一主義から来る奇抜な行動はよく問題視されるが、全てが全てエトの為である為、誰も咎められない暴走女郎である。藩落においては少年を迎えに行くも鹵獲され、交合実験の被検体として交わってしまう事となった。本人はエトに捧げる予定だった処女を奪われて、大いに残念がっている(不満に思わないのは少年との体の相性が良かったから)。【聖王同盟】においてはエトの下で様々な雑事に借り出される為、中核メンバー中で最も忙しいと言っても過言ではない。実は同盟中、超乳エルフなオーレムを覗けば一番の巨乳である。

 

エリザリド・ディオノース・エンタンレ♀

 

過去、武帝と帝国の戦争終結時の協定において嫁ぐ事が決まっていたエトの許婚。現在はイグニシア・クルシスに輿入れする名目で来ているが、実際にはエトの秘書のような事をしている十代前半の少女。栗色の髪を短く纏め、青い紐で結わえているのだが、いつもぴょいんと癖っ毛が頭上で飛び出てしまうのが悩み。動き易いようカスタマイズした碧いドレスを王城では常々身に纏っていて、専業奴隷達の中でいつも浮いた感じに働いている。エーレインとは犬猿の仲で相棒。互いに出会った時から相手を気に食わなかったが、そのそつの無い仕事ぶりにどちらも相手を認めるしなかった。元々は彼女自身の母親が嫁ぐ事となっていたが、エトの祖父である皇帝が後の皇帝に豪族の娘を嫁がせる事を約束させていた経緯がある。元々は豪族の姫であり、武帝においては最高に近い血筋で、何不自由無く暮らしていた。次代皇帝が女であるエトになってしまったものの、それでも約束は反故に出来ないと豪族側から送られて来たが、本人はエトに出会うまで荷物でも纏めて帰ろうかと思っていたという。久方振りに出た女帝の傍に仕える内、ズルズルと帰る機会は引き伸ばされ、今や王城で秘書役をこなすまでになったが、その過去はあまり明るくない。幼い頃に母と死別しており、父は武帝特有のハーレムを築く豪族の長であった為、本人はエトに出会うまで親の愛情というものを知らず、皇帝に仕えるという自分の処遇も冷めた目で達観していた。それが変わったのは皇帝として自らの未来を信じて進み続けるエトの姿や、その周囲に集う人々の温かい輪に加わった事が大きい。自分と何処か境遇が似通っているエーレインが必死に己の職務をこなしている姿を心の底から羨ましく思い、いつの間にか応援していた彼女はもう皇帝の側近として無くてはならない存在となっている。武帝国境域での騒乱時、武帝への援助を嘆願した彼女の功績は実際多大であった。エリザリド無しではエトが武帝に対して掛ける温情は決して大きくなく、長期に渡る併合助長策は平穏とは無縁のものになっていた可能性が高い。自らを人質同然に差し出した故郷を嘗ての彼女なら切り捨てていたかもしれない。しかし、エトの傍で前を向いて歩み始めた彼女はこれからも周囲の人々に恥じない生き方をしたいと真摯に願っている様子である。ちなみに一人だけ少年に抱かれていない事を実はコンプレックスに感じていたりする。彼女がいつ処女を捨てるかは第三章以後の話となる。

 

D・グラム・ハイラン♂(29)

 

イグニシア・クルシスの筆頭執政官にして枯木のような外見の男。エトの片腕であり、前代皇帝からの宮使えであるバルデバランとは犬猿の仲。嘗ては南部の魔術結社において【真名(エイリアス】持ちの若手筆頭最有力株だった。【虚淵光(イーヴィヒカイト)】の名は空間制御魔術の論壇においては常連であり、今も時折南部の魔術結社は彼を頼って支援を申し入れる場合が多い。政治においては常に膨大な仕事を抱えている為、多忙。帝国に来た少年と少女達を分断し、皇帝へ引き合わせた張本人であるが、すぐに自分と魔王との差を感じ取り、以降は魔王に関して積極的な働きかけを行わなかった。皇帝であるエトに心底心酔しており、その政治手腕や手並みで世の中が変わっていく様を真直で見る事を生き甲斐にしている。巨大な帝国の権力を活用して魔術師としての能力を高めており、彼が制御する空間には国の大魔術師達が編んだ術や魔力、触媒、武具、秘薬、その他無数のものが保管されている。藩落においてエトが燃やした書物に惹かれてやってきたユヒアを追い返すよう言われ、その実力の一端が垣間見られた。あらゆる魔術や魔導を停止させる【要素】の集積魔術や銃を使った近接攻撃、制御する空間内部から適宜必要なものを取り出して攻撃するスタイルは変幻自在であり、七聖女である母の指導を受けたユヒアを両者本気ではないとはいえ、打ち負かした。ユヒアが不意に発現させた【奇跡】の内容に驚愕し、殺害を決意するも失敗してしまう。彼が何を知ったのかは三章以降で語られる事となる。

 

バルデバラン・デオ・エイルム・ソシアニア♂(64)

 

前代皇帝に仕えていた片腕にして【アウテーナム・レクレス】の全権を掌握する重鎮。巌の如きに肉体を持つ武闘派でありながら、同時に帝都の執政をこなす文武両道の男。ハイランと並び賞されるエトの片腕であり、その能力は前代皇帝が懐刀として重宝していた。エトの事は孫娘のように想っており、急激な改革を進めるハイランやエトのブレーキ役でもある。旧い反エト派の帝国貴族達とエトの間を取り仕切る役柄であり、彼無しには帝国内が一枚岩として機能する事は在り得ないとされる。ハイランとは反りの合わない様子で常に反目し在っているが、エトに仕えるという一点においては協力体制にある為、二人揃って両天秤と貴族達からは密やかに言われている。元々は帝国地方の小領主でしなかったが、前代皇帝が早々と自分の領地を息子に受け継がせて隠居した彼を側近として取り立てた事から彼の中央での活躍は始まっている。三十数年前に起こった武帝と帝国の戦争時、前線において戦っていた彼は武帝側の必殺の手札である【劫竜】達の前に屈し、それを更に殲滅した魔王たる少年の前に倒れ臥した。それ以来、魔王の怖ろしさを身に染みて感じていた彼がエトの魔王を取り込もうとする作戦に反対していたのはイグニシアの未来を思っての事である。連れて来られた少年との勝負において全てを覆す機会を得るも敗北。その後は魔王とエトの関係に対して口を挟む事は無くなった。戦略家、戦術家としても実戦経験のある一流であり、前代皇帝に仕えていた時は南部の完全併合で大いに尽力した為、現在のイグニシア・クルシスの軍人で彼を知らない者はない。その戦いぶりは戦者と呼ぶに相応しいものであり、遠国の軍事関係者も彼の名を一目置いている。

 

 

 

~武帝side~

 

アイレン♀

 

武帝においてマロウとサヤトネが出会った幼い部族の少女。常に殆ど裸であり、身に付けるのは腰紐とそこから股間に垂れる薄布のみという部族独特の姿をしていた。部族の間では身分証代わりの紋様(ペイント)を体中に塗っていたが、一族そのものが消えてしまっていた為、二度と故郷に帰る事は無かった。彼女の部族がいた場所が彼女の名前となっている。風竜への生贄として樹木で編まれた鳥篭に入れられていたところをマロウが見つけ、竜を撃退し救ったが、その後追い掛けて来た“違ってしまった”一族の者に射られ、生死の境を彷徨う。性魔術の行使を勧められたマロウは苦渋の決断の末に交合を果たして命を救うもサヤトネによるマロウを縛る為の鎖として使用される。初めての交合においてはサヤトネの術によって体を賦活され、マロウの子供を受精、受胎するに至る。殆ど大陸標準言語を解さないが、命を救ってくれたマロウを一途に思っており、サヤトネが消えて以降、精神的に負担を負った“夫”に幼い身体で健気に尽す事を常としている。まだ、第二章の時点ではマロウに彼女を妊娠させた自覚が無かった為、半ば妹や子供ようにして扱われてもいるが、想いに関しては通じ合っている部分もある為、必ずしもそれだけではない。武帝出のアルハやイーステルと共に三人揃ってマロウの“妻”として支える事を決心しているが、表立ってそれが表明される事はない。藩落の【双來】にマロウが任官して以降も三人一緒に大陸標準言語を学びつつ、夫の為に家事炊事を行っている。本名は【アイレンの泉に住まうロコに連なる家の七番目の子】と言う。

 

イーステル♀

 

《その2》

マロウが旅の途中、沸魔の森で救った少女。半魔族化してしまった事を機に記憶を失い、両親から殺されそうになったが、マロウが引き取り、現在に至っている。半魔族でありながら、獣型の化物に侵蝕された為、額の角や瞳の他にも獣人(ベスティア)のような耳や尻尾や体毛というものも獲得した。サヤトネがマロウに対して施した鎖の一人目であり、体内にマロウとの子供を宿している。記憶が一部は残っており、比較的言語を解するものの、やはり不自由で片言。第二章においては強靭な肉体を生かしてアイレンやアルハを見えない化け物の襲撃時、守ろうと必死になっていた。二人の事をまるで姉妹のように思っており、甘えたり、可愛がったりするが、“妻”としての自覚も出てきた為か。ライバルとしても意識している様子である。マロウの任官後、まとめ役として火事炊事を二人と共に学んでいる。その後の話は番外編や回統世界ファルティオーナにおいて語られる事となる。

 

アルハ・イルフラメル・レミエント・ユア♀

 

武帝において占術師、巫女の祖母を持つ少女。アグランと呼ばれる祖母の血統、ニェハエルの血筋を受け継ぐ者であり、“違ってしまった”武帝の豪族達に火竜の生贄に捧げられた。生贄に捧げられた時点で膣に御神体を埋め込まれた為、処女を失っている。マロウに神殿より救われて後、彼を夫と自ら見定めた。サヤトネが画策した第三の鎖としてマロウが重症を負った後に交合を行い受胎、妊娠している。祖母からはお転婆と呼ばれていたが、マロウに助け出されてからは少し猫を被って大人しい。武帝より脱出した為、自分の家族がどうなったかを正確には知らない。ただ、“違ってしまった”犠牲者達の事は知っていた為、生存してはいないだろうと内心確信している。マロウの双來への任官後、夫の帰りを待つ“妻”として、彼女は大陸標準言語を他の二人と共に学習中。まだ自分達が受胎している事は知らないものの、行為の結果は知っているのでそろそろ出来るだろうかとそわそわしながら毎日を送っている。

 

ガナイ♂(24)

 

正式名称【ガナイの丘のガリに連なる七番目の子】。武帝においてマロウ達に接触を持ってきた部族の戦士。片言だが、大陸標準言語を解し、二人を巫女の下に連れていった。アルハの奪取を終えて武帝より脱出する際、マロウ達と別れ、脱出中の部族や豪族達を支援する為に危険な森へと帰っていった。サヤトネの強さに惚れ込んだ為、途中で求愛するも振られる。彼の物語は第三章以降、再び武帝に関わる話において語られる。

 

 

 

~双來side~

 

シャルア・リクト・フェス♀

 

祖国嫌いな辺境国家【双來】の王位継承権最下位の姫。儚げな容姿にくすんだ灰金の髪。何処か諦観を含んだ希望の欠片も無い瞳の少女である。への字になった口元は基本的に不機嫌そうに歪んでいる事が殆どで、姫という言葉から最も遠い存在。見えない化け物に蹂躙され、今にも消えそうな祖国を救う為に大師父と呼ばれた存在が残した【ラストーラ大山岳】の“聖域”へと到ったが、辛くも成果は零という結果に終わった。実は双來国王と藩落でも1、2を争う都市国家アーズトリテのクラウゼン公爵家が保有した血統“奇蹟の一滴”の間に生まれた存在。非公式ながらも血統の濃さだけで言えば、序列最上位に君臨する為、その血自体が藩落内においては多大な影響力を持つ。貧しい財政状況から病に掛かった母の薬代を捻出しなかった実父である国王を怨んでおり、他の王族達からは浮いた存在として見られていた。それでも大嫌いな祖国の為に尽くそうと命を投げ出して大きな力の眠る“聖域”を求めたのは母が愛した国を守りたいとの一心から。少年やセイリとの出会いによって皇帝であるエトと接見し、その明晰な頭脳で導き出した解答で取引を持ち掛けた。結果的に国を救う立役者となり、若くして国の外交官の地位を持つイグニシア・クルシスとの橋渡し役となる。化物から国が救われて後、国王と母の事を語り合い幾分か和解、これからも国の為に尽す事を心の内に決めた。皇帝の怖ろしき“贈物”の後、その自らの血筋を持って始まるだろう新しい国作りと戦争という受難を受け止める覚悟をしたが、その決断が試されるのは第三章以後を予定。クーバの連れて来たマロウを偽名のまま任官させた事がその後の彼女の人生を大きく変える事になる……。実は大師父ディクトに出現を預言されていた姫であり、彼が残した占術情報によれば、魔王の一番の女になると大陸統一がもれなく付いてくるはずだった。が、その情報は結局彼女には伝わらず、彼女は魔王とは真逆の立ち位置の人間を国に受け入れてしまう。その未来が如何なるものとなるのか。それは誰にも分からない。

 

クーバ・ザイ♀(19)

 

姫様ラブ。姫様万歳。姫様素晴らしい。ああ、姫様さえ居ればクーバはもう何も要りません。何処かで見たような主大好きな護衛騎士。主にシャルアの幸せそうな顔を主食にしており、実際主の笑顔さえあれば、麺麭が軽く三本は食べられる。常に不機嫌なシャルアの片腕として辣腕を振るっており、命も掛ける行動派。ただ、微妙に計画性の無い行動を起こすのが玉に瑕で、騎士としての実力は中の並みと普通。小さい頃からシャルアの護衛に付いており、半ば姉妹や妹大好きな姉みたいな立ち位置にいるが、実は双來の傭兵達を纏めていた国王の片腕の娘という血筋。母親の死後、殆ど笑わなくなってしまったシャルアの境遇に心を痛めていて、常に笑顔を絶やさない。マロウを双來に任官させる切っ掛けを作った張本人。後に彼女はシャルアの仲人としての役目を果たすが、それはまた別の話。

 

ディクト・ベッケン・ルースティン♂(推定150歳以上で死亡)

 

双來において大師父と呼ばれていた男。その正体は百年以上を生きた藩落の創始者にして【大皇(ディヴス・プリンシプス)】と呼ばれた存在。大陸史上唯一大陸統一を成し遂げると信じられた国王ディレイ・アルム・セト・ニェハエルその人である。嘗て【皇帝(インペレータ)】にもその血統を受け継がせた事もある彼の国が藩落と呼ばれる小国家群に分裂してしまったのは自身の力の衰えに原因がある。怖ろしく強い超常の力を持っていた彼は一代の内に強大な国家を築き上げたが、道半ばでその力を殆ど失う事となり、自身の力が無ければ維持不可能だった国を多数の敵国に内部から操らせ、分裂させる事で消滅の危機から救いコントロールしたのである。もしも、彼がそのような行動を起こさなかった場合、藩落の全ての民が他国に虐殺され、完全に領地のみを残して消え去るだろう事は確定的だった。結果、自身を死亡扱いとして各国の利害を調整し、内部分裂の形を取った救済策を実行に移したのである。結果として藩落は外部からの影響を受け易いながらも都市国家間の紛争による手の出しづらさが影響して他国にとって必然的に争いを仕掛ける理由から遠い地域となっていった。しかし、自国の民を殺し合わせる事で全滅から救うという行為に彼が半ば絶望と諦観を抱いていたのは事実である。結果、辺境と呼ばれる双來で名を偽り余生を過ごす事となった。数十年前に出会った魔王である少年との出会いを切っ掛けに大きな遺産を残した彼はひっそりとこの世から去っている。彼が何を願い何を残したのかは子供の頃から一緒にいた相棒であり、ペットでもある【崩狼(ソラ・アヴィス)】だけが知っている。

 

 

 

~エーデリア&アーズトリテside~

 

セイリ・ティウアズライト・エルメトロ・ニェハエル♀

 

国父ニェハエルの血を引く都市国家エーデリアの将軍の娘。エーデリア特産の織物である【瑠織(るおり)】と同じ鼈甲(べっこう)色の整った髪を持ち、凜として感情の薄い相貌はエーデリアの宝石とも讃えられる少女。いつも頭部には父から貰った菱形の飾を頂いている。【血統信仰(スティンマ)】の中心地である祖国がアーズトリテによる吸収の危機に瀕している事に心を痛め、暗殺された父の残した“聖地”の伝承に縋って国を脱出し、双來へと赴いた。しかし、聖地を前にして守護者、番人である【崩狼】の前に力尽きそうになっているところを少年に救われている。少年と共に双來に襲来する見えない化け物退治に携わるも、すぐエーデリアの追手によって離脱を余儀無くされた。その後、少年がアーズトリテに囮として出向き、都市を統括するクラウゼン公爵家当主ランナとの取引を行った為、その時点でアーズトリテ側からの追跡は停止したが、裏切り者が仕切る祖国でセイリは再び追われる身となってしまう。祖国エーデリアに置いてきた使用人達を救おうと舞い戻った彼女は彼らを逃がす為、祖国への思いの丈を遊説中のエトにぶつける。しかし、皇帝の怒りを買った代償に【貴皇】の砲撃を受け、力尽きてしまいそうになる。彼女が助かったのは一重に彼女の想いを聞いたエーデリアの人々が立ち上がった為であり、決して偶然では無かった。それは祖国を牛耳っていたアーズトリテ側の人間達からすれば、信じられない出来事だったに違いない。将軍の娘としてではなく、祖国の英雄となった彼女が今後、民を導くのは必然と言える。己の為に身を擲(なげう)ってくれた少年に恩を返そうと【聖王同盟】に入ったのも、彼女のこれからの治世に重要な人々が組織にいたからだけではない。少年と交合(まぐわい)、少年の事を理解した時、これから来る時代を共に迎えたいと願った彼女は相手を深く知らないからこそ、常に隠されていた魔王としての罪悪感をハッキリと言葉に出来た。為政者として、エトと同様のようでいて違う道を歩むだろう彼女が少年を救おうとした事は、今後の物語において大きな意味を持つようになっていく。

 

ランナ・クラウゼン・アリト・ニェハエル♂(76)

 

藩落の中心的国家アーズトリテの運営者クラウゼン公爵家当主。常に時代遅れのローブを纏う魔術師ルックな老人。過去、七教会の研究開発部門において学び教鞭を取った血統を合理化する先鋭技術の開発者。その頭脳は七教会最高の学者であったフルーにも劣らず。若い頃は共に議論を戦わせ合う仲だった。当時、魔王の複製実験等、複数の魔王関連の計画に携わっており、優秀な人材として重宝されていたが、自己の技術開発終了と共に祖国への帰途へ付こうとした。内紛が続く藩落救済の条件でフルーに慰留されたが、七教会での研究は終わったとして彼はそれを拒絶。聖女との友人関係にも終止符が打たれている。その後、クラウゼン公爵家に戻った彼が目指した血統の合理化は【血統信仰】を超えた【異種教義(グノーシア・ドグマ)】へと至り、実際に優秀な子孫を残す事に成功するようになった。これを持って藩落における地位と名誉、権力を欲しいままとした彼が最終的に行き着いたのは全ての血統の祖の創生。人や多くの神々、基幹異種が発生する以前から存在した究極の固体【大母】の復活だった。人類種の究極系である聖女の再現、全ての異種の祖たる【基幹異種(バルバロス)】の再生。これらを短時間で為し得るクラウゼンに伝わっていた“門”の起動に血道を上げた彼は最終的に数奇な巡り合せから魔王を手中とした事で、その野望を己の生きている間に起こそうと行動を開始する。既に生み出す事に成功していた基幹異種に最も近い娘マヲンの力を拠り代にして、魔王の死と復元の際に発生する不の力を取り込み、門を起動させる事に成功した彼は再生した基幹異種を自らに組み込む事で新たな種としての転生までも果たし、結果として【大母】の能力までも手にした。彼がいつかその段階まで辿り着くと予想していた七聖女フルー・バレッサの襲来は半ば必然。最初から激突する事すら有り得ると二人の天才は予想していたが、その懸念はついに現実となった。聖女にすら命令を強制的に受け入れさせる大いなる力【真権(パーフェクトゥム・インペリオ)】の前にフルーもまた引き下がれず。互いに己が産み出した必殺の手札の応酬によって、二人は決着を付け、勝敗はフルーに上がった。死後、己の体を娘達に残し、クラウゼン公爵家の神々との契約通りに魂を旅立たせる際、己が人生の勝利者として逝くのだとクヲンに語り、いつかの再会を喫した。彼の遺した研究成果たる二人の娘と彼の【大母】の能力を宿す肉体は最終的に七教会最大の懸念材料として今後も存在を意識される事になるだろう。最後の最後まで親友たる聖女に己の想いを打ち明けられなかった事が、たぶんは彼の未練らしい未練かもしれない。

 

マヲン・クラウゼン・セト・ニェハエル♀

 

クラウゼン公爵家長女の亜人のような少女。真白い肌に海月に食われたような頭部。頭部から伸びる海月の足のような交接器。餅を伸ばしたような尻尾。着物の袖のような鰭っぽい翼を持つ。外見上は完全に亜人であるが、喉の構造上「クヲ」としか発音出来ない。その為、クラウゼンに仕える者や地下研究棟の被検体達はクヲ語の習得に余念が無い。天真爛漫を絵に描いたような性格で好奇心が強く、何より愛らしい仕草が評判で半ばクラウゼン公認のマスコットと化している。その正体はランナがニェハエルの最高血統として産み出した最も血の濃い先祖帰り固体。ランナのクラウゼン公爵家が辿るだろう【大母】創生までの道程を歩むはずだった存在である。家のあらゆる情報を教育されており、その智識だけみれば、父であるランナにも引けを取らない。嘗てクラウゼンから出奔した“奇蹟の一滴”と呼ばれる固体が産み落とすはずだった。その能力はほぼ【基幹異種(バルバロス)】に肉薄しており、大陸史上稀に見る究極生物で、様々な能力を高次元で備えている。最も単純な能力としてニェハエルの血統に関してのみ、その血筋の者の能力を一時的に強化する事が出来る。お披露目されたのは魔王である少年がクラウゼン公爵家に連れてこられて以降の為、アーズトリテの上層部以外には馴染みも薄いが、ランナの死後は正当後継者として当主の座に付いた。実は両性具有で性器は好きな方を選んで肉体を変化させられる。交配実験においては次代のクラウゼン公爵家を支えるスタンダードな種族として様々な少女達との交合を行い子を儲けている途中だった。交配実験の相手として連れて来られたエルフの少女達との間にも子を作ったが、【基幹異種(バルバロス)】に乗っ取られて母体ごと変質してしまい、それに大きな怒りと哀しみを見せた。戦闘状況に陥った場合、肉体が変化し、頭部が魚や鮫の鼻面の如く変形、交接器が消えて両腕の翼が鋭利になる。その力は復活した【基幹異種】達を切り裂いた事から、常識的な範囲を超える超絶の能力を秘めている事が垣間見えるが、そのような形態になる事は稀らしい。ただ、クラウゼン公爵家、家族と慕う地下研究棟の被検体達、アーズトリテの人々、それらを大切にする姿は一人の存在として多くの者達に支持される要因となっている。四大貴族と呼ばれる四貴族の子女達とは特に姉妹のように育てられた関係で、彼女のクヲ語を正確に理解出来るのは現在は彼女達のみとされる。ランナが死亡し、少年の封印が完了した後、【聖王同盟】にて魔王複製実験に付いての調査と対外的な反七教会勢力としてクラウゼン公爵家を先頭にアーズトリテを復興させる旗頭となった。実は父であるランナの焼いた小麦菓子が好物であったが、第二章の後……二度と食べられなくなってしまった。

 

クヲン・クラウゼン・イストリア・ニェハエル♀

 

クラウゼン公爵家次女にしてマヲンの妹。黒いマヲン呼ばわりされる姿であるが、姉と違って基本的に巨大なフラスコ内部で生活している。肉体的な気質がマヲンに比べて貧弱なせいであまり外の空気を吸う機会が無く、地下研究棟でも彼女の事を知るのは姉と四大貴族の少女達、父親、一部の家令達のみである。その為、外の世界を観測する時は専ら動物に化けた分身(アバター)を放っており、ランナの死後にその魂と邂逅したのは他ならぬ彼女だった。あらゆるものを観測していながら、基本的には外の事に付いてあまり干渉しない彼女であるが、父の言葉を受けて後は少しずつ関わりを持つ事に興味を覚えていると言う。第三章にて彼女の物語は大きく進展し、語られる事となる。

 

 

 

~七教会サイド~

 

フルー・バレッサ♀(?)

 

《その2》

割と本気で世界を亡ぼしかねない超技術開発者の眼鏡っ子。その神出鬼没ぶりは日に日にエスカレートしており、封鎖された禁忌書庫を我が物顔で歩いていたり、大陸各地の甘いものめぐりに七教会の重要区画から瞬時に出掛けたり、と……恐ろしく行動範囲が広い。技術者としてはアウトドア派に属するだろう。過去にランナとの因縁があり、親友でもあった。互いの思想の違いから道を違え、最終的には命を掛けて戦う事になると予想しながらも互いに暗黙の不可侵を貫き、現代まで交流は一切持たずにいた。その技術力にモノを言わせた発明や兵器は第二章において遺憾なく能力を発揮されている。アーズトリテの失われた地下神殿に封印された巨大遺構を一発で消滅させたり、魔王の復元能力を超える惑星規模の【質量武装】を運用したり、何でもござれである。七教会が保有する多数の超技術の産物は歩兵装備から戦艦まで彼女の技術的基礎無しには成立しない。未だ保有する奇跡の詳しい内容は出てきていないが、アーズトリテにおける最終決戦時に発動された能力は仮にも惑星内部で絶対と言っても過言ではない生命の根源的な序列を顕す【真権】に拮抗し、七つの惑星を内包した【星封質量器】の後押しを伴って競り勝った。本人は半分能力を返されて重症との弁だが、大神すらも従える原初生命の能力はあらゆる生命が発現させる能力の源であり、実質的には辛勝どころか大勝利と言える。ランナという心からの友を失ったまま、少年との戦いに突入した彼女が奇跡を使わなかったのは【真権】の影響が未だ残っており、奇跡そのものが極度に不安定化していた為。それでも【星封質量器】を基礎とした超大質量の引力と物理量(エネルギー)出力によって少年を消滅状況一歩手前にまで追い込み、魔王としての復元要素を別々の空間に指定し直すところまでやってのけた手際は神掛かっている。フルーが来る直前にミュルト・ジオバトスが【真権】に停止させられていた事を考えれば、理不尽を覆す理不尽を更なる理不尽で覆すというデタラメさがよく分かるだろう。最終的に世界の最たる理不尽である少年の助けを求めた品が自分の贈った物ではなかった事に動揺し、大陸上空に浮かべられていたイグニシアの要石の発動を許した事が直接の敗因となった。少年が七聖女の敵としての道を選んでいる事を知っているものの、それでも魔王を倒すという信念を曲げなかった事から、七聖女全員の総意が非常に強固である事が分かる。しかし、当時少年を殺そうとした時からロクな食事を取っておらず、甘味やおやつに類するものだけを食しているなど、その心の繊細さも垣間見せた。

 

クラル・リテル♀(?)

 

《その2》

七聖女中一人だけ老婆の姿を取る唯一神の代行者。唯一神が過去の大戦【黄昏の悠久戦争】において倒れた後、制御を失った天使達の統率を行う天界の代理人としての地位に収まっている。七聖女内の役割においてフルーが七教会の実務、ハティアが思想や福祉の旗頭だとすれば、クラルは全てを伏せながら唯一神の代理を行う影の統治者と言えるだろう。しかし、それはあくまで代行であって成り代わっているわけではない為、神そのものとしての力は持たない。天界と天使達の統治、神への信仰を司る部署のまとめ役と言えば適当だろう。七教会の布教者が神に重きを置かず、人に重きを置き、神への信仰を薄れさせている。という批判が近頃の教会内部からは出ているが、実は唯一神そのものを非実在の域にまで人々の意識から遠ざけ、死んだかどうかを有耶無耶にする狙いがあるという事は七聖女とその周辺からすれば自明である。神への帰依に頼らず、七教会という実務を取り仕切る組織そのものへの信仰を集める事。それが最終的には七教会内部で七聖女達が目指している最終的な改革であり、地位を磐石のものとする第一歩でもある。その為、基本的には公の場に出てこない。そればかりでなく教会の行事にもあまり積極的な参加をしていない。七聖女中最も日陰者とされているが、その実力は運命すらも腕力で捻じ曲げるような老女であり、縁の下の力持ちとも言える。魔王と最初に出会った聖女であり、少年の幼少時代を唯独り知る存在であり、少年にとっても特別であった事は間違いない。現在の魔王追討に対しては何ら興味を持っていない様子ではあるが、口の化物に七教会の部隊がやられた事を機に天界から現界し、天使達を使ってナーリャを捉えるなど、積極的な行動を始めている。彼女の若い頃の篆刻写真や絵画が実は闇市場で超高額取引されているとも言われているが、その嘗ての美貌は闇の中に消えている。

 

ユアン・クオ♀(?)

 

《その2》

黒髪長髪の麗人。月下美人と讃えられる七聖女の武人にしてハティアの親友。何かと七聖女として腰が軽い為、教会の各行事に毎回必ず呼ばれる彼女であるが、その実際のところは今も昔も変わらず、人々を守る事に重きを置く“守人”である。他の聖女とは違い柔軟なフットワークで仕事をこなす為、公的な露出だけで言えばハティアよりも多い。第一章から第二章に掛けてずっと親友であるハティアを励まし続け、更に【乂羅】での様々な雑事を引き受けていた為、あまり第二章においては出番が無かった。しかし、それでも親友が魘される夢を立ち斬るた為に奇蹟【白刀峯真円(はくとうほうまえん)】によって、自らの少年との大切な過去を“無かった事にする”など、その力と決意は筋金入り。彼女の奇蹟は刀に宿り、あらゆるモノやコトを宇宙内部より検閲する最終兵器に近い能力である。それがどんなものだろうと、概念だろうが、事象だろうが、過去だろうが、未来だろうが、ありとあらゆるものを“無かった事”に出来る為、影響はそれで斬られたモノだけに留まらず、あらゆる関連事象にまで波及する。例えば、もしも火を彼女の奇蹟が切った場合、宇宙内部における火という概念、事象、その関連物の全てが影響を受ける。このような非常識な能力の為、あまり奇蹟としての使い勝手は良くない。更に宇宙内部から検閲された事象を彼女自身が観測する術を持っていない為、敵を奇蹟で斬れば、敵がいなかった事になり、現実との齟齬が発生するなどの矛盾が発生する。このような状況から彼女は奇蹟を開眼していながら、奇蹟を使った事が一度も無いという状況に陥っている。実際、この奇蹟が何回使われたのか殆ど誰も把握出来ず、また奇蹟の使用後に何が失われたかを知る術はほぼ無い。ハティアが作中で例外的に奇蹟の使用とその使用先を感じ取れたのは彼女が超絶の魔導を使い、観測行為に付いても高次元の視点を持っている事と、違和感を感じられる程度にはユアンの奇蹟に対する耐性を備えていたからに他ならない。超越者の類で高次の観測手段を持つ者達ならユアンの奇蹟の発動回数程度は知り得るという事である。大陸中の教会を化物が襲撃した時、少年とフルーの一騎打ちの後、他の聖女達の初動が遅いのに対してユアンは最速で行動を開始している。七聖女の先陣を切る彼女こそが、実は聖女中最も弱いというのは何とも皮肉な話であるが、彼女無しには聖女達がまともに組織だった行動を取れないという事を鑑みれば、ユアンの存在は無くてはならないものと言える。

 

ハティア・ウェスティアリア♀(?)

 

《その2》

夫は行方不明、娘は仕事で帰って来ない、可憐な家庭崩壊魔導聖女。第一章序盤で夫であるマロウを失って以来、表側は取り繕っているものの、第二章でも精神的に不安定な状態に置かれていた。親友であるユアン・クオや魔王追討師団の連隊長達がサポートしていたが、夜は魘される事が多く、あまり眠れていない。過去、少年との間に友情や仲間への信頼以上のものを育んでいたが、七聖女として決別して以降、過去の夢をよく見るようになっていた。イグニシア国境地帯での騒乱では難民の支援と武帝・イグニシア間の調停役も買って出たが、皇帝の策略に対しては打つ手が無かった。七聖女と魔王の間にある暗黙の了解を守っているものの、難民支援の途中でうっかり出会ってしまった少年を大声で責めたり、ヒステリックに対応するなど、今も過去の気持ちに整理を付けられないでいる様子。魔術においては死人蘇生すら可能にする超絶の技量を有しているが、様々な柵や制約から口の形をした化け物が教会関連施設を襲撃した際、死者を多数出した(被害は最小限度のものだが、本人は納得していない)。その事を悔やんでおり、更に追い詰められていたが、回りの人間達の心遣いと最愛の娘であるユヒアの来訪から快方へと向かっていた。本人の魔術・魔導の技量は神域を越えると形容されるに相応しいもので、“外なる神々”を構成する物質すら扱い得る大陸只一人の術者でもある。本人の奇跡は未だ出て来ていないが、術の補佐に使ったり、第一章のように魔力を供給する際に何らかの形で補助に使ったりと汎用性は高いと見られる。大陸に未だ存在する神々を使役している様子から、常識では考えられない“神すら格下と言えるだけの実力”を有していると推測される。その全力は未だ限定された状況下では発揮されておらず。惑星すら細切れにする魔術を一分程度で編むなど、底は知れない。娘であるユヒアがハイランとの戦闘後に倒れた事を知って駆け付けたところまでは分かっているが、それ以降の情報はない。少年とフルーの決戦時、駆け付ける事も出来たが、娘の心配でそれどころではなかったと思われる。フルー本人も少年との一騎打ちを望んでいた為、戦闘には参加していないが、もし参加していれば、確実に少年は復活する為の条件が現状より厳しくなっていたはずである。その意味では魔王を倒す事よりも家族を守る事が優先されている為、少年に対して無意識の甘さを棄て切れていないとも取れる。その気になれば、超技術の塊を運用するフルーと同等以上の戦力であるのは確実であり、実力的には七聖女中三本の指に入る。

 

マロウ・ブレステンド♂(?)

 

《その2》

記憶喪失不貞騎士。第一章後も記憶は戻っておらず、イーステルの他に第二章ではアイレン、アルハといった武帝の少女達も妊娠させてしまった。サヤトネの善意を微塵も疑っていない辺り、第二章でも人が良過ぎると言わざるを得ないだろう。武帝侵入後、その異常に気付き、アイレンを救ってから、戦闘に関する一部の技能が戻った。その後、ガナイとの出会い、巫女からの依頼、孫娘であるアルハの救出とお人よし全開で少女達を救ったものの、サヤトネの周到な策によって少女達全員と関係を持ち、妊娠させてしまっている。武帝国境域ではサヤトネの能力によって運命を三人の少女達と固く結び付けられ、記憶が戻ったとしても容易には教会へ復帰出来ないように密かに追い詰められている。サヤトネの離脱後は少女達を食べさせていかなければとの使命感から藩落双來において任官を果たした。その力はその後の紛争において大きな役割を果たす事になるが、それはまた別の話。途中、途中で妻であるハティアの記憶が僅かに夢として漏れ出しているが、それも完全に記憶が戻るような症状ではなく、愛する妻の下へ戻るのは遠い日となるに違いない。

 

ユヒア・ウェスティアリア♀

 

七聖女ハティア・ウェスティアリアとマロウ・ブレステンドの娘。薄い胸、手折れそうな首、薄い唇、意志の強そうな太目の眉に母譲りの金糸のおかっぱ頭。全体的には人形のように繊細だが、利発そうなお嬢様のような外見。常に七教会の制服にブカブカなグレーの外套を着込んで引き摺っている。聖女で唯一結婚しているハティアの娘であり、英雄と讃えられる父を持つ彼女だが、以外にもあまり特権階級としての教育は受けていない。確かにアルヴァイッツを祖国として中央諸国最高学府と謳われる教育機関に席を置いていたが、上流社会と縁はあるものの、普通の学生として育てられた。それはハティアの教育方針であり、マロウもそれに賛同していた為、七聖女の子孫という特別な存在でありながら、その性格は中央諸国の民を体現するかのような善良さに溢れている。七聖女や彼女達の周囲の人間とは知り合いで可愛がってくれるおじさんやおばさんと慕っている。幼い頃は両親共に大戦の準備や戦後のゴタゴタで忙しく、あまり頻繁には会えないという不遇な時期を過ごしたが、その分の愛情を両親が家にいる間は注がれ、それ程寂しい幼年期では無かった。七聖女本人、または彼女達の周囲の人間に預けられる事が多かった為、教会内部では聖女の娘として可能な限り甘やかす派と愛情を持って厳しく接する派の二閥の間でそれなりに楽しい時間を過ごしてもいたらしい。その影響か。七教会の機関で働く事を幼心に決めていた。大陸地方から中央に来て学んでいた親友の帰国と死亡という経緯から学校を飛び出し、母仕込みの魔導を持って教会で働き始めるものの、ハティアの影響によってお飾りにされる場合が多く、様々な機関を渡り歩いた。結果、最終的に全てが実力主義で決められる旧教会派の独立外部機構【叙事詩機関(エピコス)】へと任官。危険な書物の回収や焚書、それらの情報を得た人間の記憶消去等を行う任務へ付くようになる。大陸の状況が落ち着いて来るに連れて家で過ごす時間が大きくなっていたハティアからすると、幼少期にはあまり会えず、会えるようになったら家に娘がいないという状態となった為、娘と共有出来る時間は時を経てもあまり変わらない事態となってしまった。教会内部では次世代の聖女として上層部から密かに期待されていたが、藩落における任務の失敗。そして、それに伴って開花した【奇蹟】を巡って第三章以降では再び物語が動き出す事となる。任務の途中、武帝国境域で母と過ごし、ハティアの心労を慮ったフェルラスが帯同する事となった。滞在中、教会の見習いとして現地で働いていたラタウト・ヴェルガナと友人関係となっている。

 

ミュルト・ジオバトス♀(?)

 

大海洋と呼ばれる大陸外全ての海で崇められる七聖女。【外洋監察師団(がいようかんさつしだん)】の統括者にして異名は【灯台(きぼう)の姫女神(ひめがみ)】。透き通るような青い髪をショートヘアにした淡く黄色いドレス風の衣装を着込む少女。幼い外見や言動とは裏腹に人真似が得意という少し変わった趣味を持つ。バルガとは旧知の仲。海神以上に漁業関係者や海運関係者からは慕われる正に海の聖女。七聖女の大半が大陸内陸部で活動しているのに対し、彼女は外洋や沿岸部での活動が昔から多く、その活躍は海賊という生業を大陸から絶滅させた。海宝と呼ばれる類のものを全て七教会の倉に収め、海を荒らす国家や組織を容赦なく潰し続けた事で【大海聖(レヴィヤタン)】とも畏れられる。その最大の特徴は戦闘時と通常時の風貌の変化とされる。戦っている最中、海賊の軍港を潰した時の顔を見た画家が描いた絵は闇市場で高額商品として出回っている。フルーの命によって大海洋において“門”の探索に当たっていた事が本人の口から語られた。様々な異種、亜人、神々との交渉事に長け、旧き者達から好かれる性質も持っているとされる。海でやる事を終えた彼女は魔王追討師団を訪問し、その後ユヒアを追うようにフラフラと藩落へと立ち寄った。その際には滅ぼされた都市に蔓延る化物を一層する為に風化の呪文で都市を塵芥に還している。黒髪だったものが、不可思議な光沢に変化したり、髪が後ろに撫で付けられたりと、容姿の変化はかなり大きく、普段は髪の色を染めている事も判明している。ただ、アーフルの自己展開自己知覚封鎖型の魔術に一杯食わされ、地下の化物とエルフ達を見逃してしまった。その後、エーデリアからアーズトリテまで歩むものの、ランナの使った【真権】の前に為す術無く、アーズトリテの全ての事象に“関われなくなってしまう”。ランナの力が聖女にすら届くものの証明した形になったが、彼女もまた超越者として七聖女に加わる者である。アーズトリテ崩壊時、多くの人々をキロ単位の魔導方陣で守るなど、その力の全ては未だ解放されていなかったと推測される。アーズトリテで出会った少年が呟いた通り、実は魔王に連れ去られた双子の片割れという事でも有名。それらの事情は第三章以後語られる事となる。

 

バルガ・レオノトルテ♂

 

魔王を討伐した英雄にして御伽噺の騎士。外見は脂ぎった小太りの身体を持つ厳つい壮年の男。現在は七教会の客将として力を貸していて、マロウ無き後の魔王追討師団の師団長に就任している。だが、まったく師団に顔を出さないばかりか、殆ど関心が無い様子。武帝国境域での戦いにおいては突如顕れ、周辺で精神汚染に晒されていた難民達の呪縛を解いて、イグニシアの航空戦力を引っ掻き回して半減させた後、天使の討伐へと向かった。その行動が表すように傲岸不遜で周囲の事を顧みない性格。嘗て、人間であった頃には一国を預かる将として活躍していたが、前代魔王の出現と国王の殺害、国の廃滅を機に流浪の旅へと出た。その後、多くの冒険を重ねて力を付け、超越者となった彼が魔王を打ち倒したとされる。これが大陸中央諸国や地方でも語られる騎士様の話、絵本の騎士物語の原型であり、寝物語の騎士像の真実である。美化され過ぎている感がある物語ではあるが、ほぼ全て実話を下に構成されており、過去の大陸では魔王以上にその強大な力で国々を混乱させ、同時に人々を災厄から守り抜いた。その当時の逸話から騎士鎧は白というのが、大陸では常識になっていて、未だ彼に憧れる何も知らない騎士の卵達は数多い。現在の魔王である少年とも因縁があり、その情報を得る目的で聖女達に協力しているとされるが、実態は聖女側がこれ以上強力な力であるバルガを放置しておけなくなったというのが正しい。聖女三人掛かりでの“説得”時には聖女三人を相手にしていながら一歩も譲らない大立ち回りを演じたらしく。その当時の事は教会軍事関係者によって語り草になっている。

 

アルガ・レア♀(42)

 

《その2》

砲兵連隊を預かる女連隊長。第二章においては殆ど出番が無かったが、実は第一章において少年と話していた筋肉の化身の分体に憑依されていた。フェルラスに次世代聖女に関する様々な情報を伝えた後、憑依は解除されている。アーフルに授けられた漆黒の門を運ぶ手配をしたのは彼女だが、その事自体をもう覚えてはいない。実はフェルラスに想いを寄せていたが、その感情の全ては憑依解除の際に失われてしまった。

 

フェルラス・ディオス♂(32)

 

《その2》

機動歩兵連隊を預かる連隊長。第二章では圧倒的な状況の悪さから武帝国境域では避難民の防御以外にあまり出番が無かった。ハティアが経営する孤児院の出であり、ユヒアとは小さな頃から面識がある。国境域での戦いの後、ハティアの心労を軽くする思惑からユヒアに付いていく事を決心し共に旅立った。しかし、任務の途中ユヒアが【奇蹟】を発現して倒れてしまった為、その報をハティアに届けつつ、ユヒアを守りながら落ち着ける場まで運んでいる。その後、どうなったのかは第三章以後語られる事となる。

 

マディクトナシエ♂(81)

 

七聖女フルー・バレッサの副官にして教会実務の事実上の最高責任者。愛称はフルー曰く「つるピカ」。完全に禿げ上がった頭に謹厳実直を絵に描いたような顔の壮年。主にフルーのブレーキ役で彼女がいない間の様々な教会の運行は彼の裁量で行われている。大陸中央諸国においても教会の顔役として知られており、聖女達にもある程度、教会の意向を守らせる事が出来る貴重な存在。七聖女全員と面識があり、彼女達からは教会をフルーの代わりに毎日上手く運行してくれる人という認識を持たれている。実は教会の秘儀の一つである不老処置を施されており、歳をもう取らない。フルーに進言というか常識や観念を説き、厳しい愚痴を零しているお目付け役という事もあり、当人からは渋い顔をされる毎日。しかし、フルーの事を心の底から信じており、その為ならば七聖女、七教会そのものすら切り捨てる事も厭わないという側面も持ち合わせる。七聖女が全員が不在の時にも彼がいる限り、教会の運行にはまったく支障が無いという有能極まる七教会最大の重鎮である。

 

~その他~

 

キリア・ユエト・セマネ♀(23)

 

《その2》

第一章において故郷を旅立った元ガランス幹部。第二章に置いてはイフィミスラ達と奇妙な縁から一時旅を共にした。武帝国境域での騒乱で少年の影を追い掛けたものの、途中でサヤトネと再会し、救っている。その再会によってサヤトネはキリアの中に新しい可能性を見出し、キリアもまた可能性をサヤトネの中に見て、ギブアンドテイクの関係を持つ事で合意した。その後、彼女達は西部へと向かっている。その繋がりが第三章以後、大陸に大きな変革を齎すに違いない。

 

アーフル・ナーシム♂(?)

 

《その2》

第一章において黒の棺に取り込まれたダークエルフの青年。第二章においては武帝、藩落と各地に災厄を振りまきながら騒乱を巻き起こした。武帝においてはエルフの群落内において他の亜人達すら洗脳し、魔族達の残した巨大遺構【罪過(メギド)】を復活させ、その絶大な威力を誇る一撃で人間社会、無数の国家を消滅させようと画策した。その前段階として武帝内部を見えない化け物に襲撃させ、内部から侵蝕。豪族をアルデーティル・エーリエルに洗脳させ、イグニシア側へと襲撃を仕掛けさせた。しかし、その計画は起動させた【罪過】を派遣されていた七聖女ソィラ・ミクラの奇蹟【破壊者(ワンダリカ)】によって半分以上消滅させられた事で頓挫。進行計画の要であった四匹の竜の内一匹をソィラに撃破、マロウに行動不能にされ、残る竜も火竜に関しては生贄を捧げる前に奪還された事で挫かれた。ソィラによる攻撃で重症を負った後、藩落に逃げ延びて潜伏。教会に駆逐されつつあった見えない化け物を藩落内部へと侵入させ、都市国家の一つを完全に奪取。地下で戦力となる自身の血を引くエルフと洗脳した人間を使った“増産”を繰り返している。ミュルト・ジオバトスによる襲撃を受けるも被害を表層部分に留め、自身は裏から自分の血を引くエルフの幼子をアルデーティルを通し奴隷として大陸各地に“出荷”し、見えない化け物を蔓延らせようと策謀を巡らしている。藩落に潜伏の後、己を概念領域側に保存する事に成功し、エルフの秘術である【再顕(エフィンゲレ)】によって、術者や発動する媒体さえあれば、何処からでも自分を引き出す事に成功している。これによって事実上の不老不死となり、幾らでも自身を複製する事が可能となった。第三章以後、エルフと人間の間に再びの騒乱が起きるのは必定であり、力を付けた彼が表立った行動を開始する可能性は高い。

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