第一章十四節「乂羅」
ファルティオーナ東部は古くから三つの勢力によって束ねられている。
一つは最も旧き豪族を頂に冠し、南東部を統括する【武帝(ぶてい)】。
極東から北東部に掛けて大きな領地を持ち、【神門(みかど)】と呼ばれるものを頂に冠する【乂羅(がいら)】。
最後に大陸中央近くから東部に跨って小国が数十乱立し、互いに牽制しつつも同盟を結ぶ【藩洛(はんらく)】。
その中でも取り分け乂羅は他の勢力を駆逐するだけの器量を持った大国であり、北東部から上の皇国領との軋轢は次第に深まっているとされる。
戦乱の時代が過ぎ、魔王との大戦が終わって後、幾分か落ち着きを取り戻した極東の国家が嘗ての力を取り戻すのには未だ時間が足らず、一応は平穏に見える大国。
それが乂羅という国だ。
大戦が終わった後の軍再編は乂羅における要の政策であり、嘗てよりも多くの兵を常備軍とする為、若者を早期に軍へと組み込む事を可能とする教育が推し進められていた。
その一環として街の周辺警備には学徒も動員され、準軍事行動を取る部隊として編成されていもいる。
他国との国境が近い地域。
ディシグニア側にある無法地帯で起こった大事件。
その報は既に大陸中を駆け回り、国境地帯から流入する大規模な不法入国者や罪人など治安を悪化させる者の取り締まりは急務として未だ実戦経験も無い学徒達に通達されていた。
(……馬車が竹林に入っていったというのは本当みたい)
月明かりしかない世闇をカンテラもなく歩いているのは黒い制服を纏った一人の学徒だった。
制帽を被り、腕章を付け、帯刀した姿は学徒部隊だと地域の人間ならばすぐに分かったはずだ。
大陸中央式の洋服。
制服内部に縫い込まれた最新の【防刃布(パッチ)】が動きを制限しないよう主用臓器と太い血管と関節の上に薄くも主を守っている。
ある程度ならば傍若無人な異国人にも対応出来る。
教師にそう言われてはいたが、それでも学徒はその言葉が本当はただの気休めなのを知っていた。
(でも、私財を持ち出してきたにしては……車輪の溝が浅い? 着の身着のままという事?)
音も立てず学徒は一人竹林の奥へと向っていく。
やがて、一台の荷馬車と火が見えてくると学徒は気付かれぬよう気配を殺して幌の付いた荷馬車の死角からそっと近付いていった。
(……声が聞こえるまだ寝てないの?)
近付くと僅かに薪が火の爆ぜる音に混じって、くぐもった声が聞こえてくる。
これからどうやって乂羅側の臨時関所を抜ける相談かと。
学徒は十数メートル先の幌の中の声を捕らえるべく耳を澄ました。
中の様子が僅か火の灯りで薄い幌へ陰となって映っている。
(何だ。何か……唸っている?)
乂羅式の魔術に近い体系【陰陽(おんみょう)】と呼ばれる呪法による簡易の聴覚強化と視覚強化が音も無く言の葉もなく行われた。
途端。
明確に聞こえてくる声。
ハッキリと幌に映る影に学徒は思わず叫びそうになった。
(な!? なん!!? こ、ここ、こんなところで!!? 北部の人間は気が確かなの!? あ、あんな!!!?)
頬が真っ赤に染まった。
凡(およ)そ。
他人が聞いてはならないだろう秘事がその耳に目には飛び込んできていた。
*
「ティア。その……な……」
頬を染めて瞳を閉じた少女が傍らで顔を上げた姿を少年は内心愛らしいと感じつつ、そっと優しく額に口付けた。
「?」
目を開けたイフィミスラがおかしいと気付いてオデコを触り。
何をされたのか気付く。
「ひ、額!!?」
「ダメだった?」
ちょっと楽しそうに笑う少年にイフィミスラが眉を怒らせた。
「ティア!!」
「ごめん。でも、こういう風に触れ合うの…僕は好きだよ?」
また何か言い出しそうな少女の額に再び少年が口付けする。
「ひぅん!? な、ゃ……そ、そんなに沢山す、するな……」
シナシナと怒りが萎んでいく。
それどころか。
イフィミスラは己の額に柔らかく何度も繰り返される口付けを心底に心地良いとすら感じ始めて。
「てぃあにいさま。えふぃにも…その……」
胡坐(あぐら)を掻いた少年の膝の上に乗っていたエフィリムも羨ましそうにその行為をねだる。
「ん。エフィリムにも……」
擽(くすぐ)ったそうに微笑みながら、エフィリムが額への口付けを受け入れた。
しばし、その戯れのようなじゃれ合いが続いた。
軽く互いに身を寄せるだけの前戯とも言えない触れ合い。
しかし、二人の少女の身体は熱を帯びていく。
零れる笑みにすら艶が混じり始める。
そうして最初に我慢出来なくなったのは少女達の方だった。
「ティア。もうダメ…なのだ。我の此処見てくれ……」
腰の奥。
もぞもぞと股を擦り合わせていたイフィミスラが堪らず、恥ずかしさに目を瞑りながら、仄かに幌の中を照らす明かりの中、自ら皮製の衣服を、腹部より下の腰紐を解く。
翳った内股にはもう蜜が滴っていた。
「てぃあにぃさま。えふぃのも……みてくださいませ……」
スルスルとエフィリムも下の腰紐を解く。
イフィミスラと同じく。
滑(ぬめ)りを帯びた絹の下着が股間に張り付いていた。
二人の少女の痴態に緩く笑んだまま、少年がそっと二人の上着を脱がしていく。
服の下。
震えている蕾が四つ。
どちらも仄かに固くなっている様子が微かな明かりでもよく分かった。
「エフィリム。こっちに」
「はい。てぃあにぃさま……」
エフィリムが膝立ちになって少年の前に己の乳房とも言えない胸を差し出した。
「イフィミスラ……」
少年の手がその僅かにふっくらとしたイフィミスラの胸に伸びる。
「ふぁ…ティァ♡」
チュクッと少年の唇が舌を出してエフィリムの青い蕾に触れて口に含む。
手はイフィミスラの蕾を指で挟んでコロコロと転がし始めた。
二分程も続いた少年の愛撫にピクピクと幼い身体を震わせながら、二人の少女達は自分の中がもう準備を終えたのを感じていた。
完全に濡れた下着からは同じく蜜が滴っている。
「エフィリム…僕のじゃないと我慢出来ない?」
快楽にトロンと蕩けた笑みでコクリとエフィリムが頷く。
「それじゃ、今日は…僕の上に跨ってごらん」
「はぃ。てぃあにいさま……」
震えた少女が己の下着を糸を引かせながら剥がすとむわりとした熱気と蜜の匂いが幌の中に充満する。
少年のもう大きく膨れている下穿きの腰紐が小さな手で解かれた。
捲られた少年の下穿きの中から出てきた幹の大きさにエフィリムは瞳を悦楽に潤ませ、ブルリと背筋を震わせる。
「これが…ティアの…大きい…のだな……」
初めて少年の化身を見たイフィミスラが好奇心と共に何処か自分の事のように誇らしそうに笑みを浮かべて、トクトクとその胸を高鳴らせた。
「それじゃあ。エフィリム。上に跨って、ゆっくりでいいから、腰を落として」
もう何も言わず笑みだけ返して、エフィリムが未だ男を知らないように見えるぴったりと閉じたすじを膝立ちで少年の幹の先端に宛がった。
「ん…ぅぁ♡ ひくぅぅぅん♡♡」
グジュッと粘着いた音を立てて、すじに押し付けられた亀頭がめり込んでいく。
未だ二回目の交合(まぐわい)。
男に慣れていないはずのエフィリムの秘部はそれでも少年との粘膜の接触で歓喜に震え、入ってくる先端の形をなぞるように密着し、プチュプチュと弾ける襞と熱い蜜で迎え絞った。
「っ…エフィリム。そんなにしたら……」
「てぃあにぃさまぁ♡ えふぃの…ここ♡ おま…んこ♡ てぃあにぃさまのかたちぃ♡ おぼえてぇ♡♡」
「いい子だね…エフィリム…」
「っ…はぃ♡」
今にも泣き出しそうな笑みで少年の賛辞を受けた少女は自らの奥に少年の全てを向い入れるべく、体重を少年に預けていく。
ズジュルッと今までの音が可愛く思える程卑猥な音を立てて。
エフィリムの最も奥。
子宮口へ少年の先端が完全に埋まった。
「――――――ッッ!!?」
声にならない絶頂をエフィリムが喉の奥に呑み込む。
本人が言った通り、少年の形を覚えたエフィリムの膣(なか)が形に添ったまま、何度も少年の幹を絞って甘く精をねだる。
その瞬間、少年が達しなかったのは一度少女の中を味わっていたからだった。
それでも気を抜けば、エフィリムの胎に大量の精をこのまま放ってしまいそうな快楽の中、少年は今まで己の股間に指を這わせながら大人しく待っていたイフィミスラに囁く。
「いいよ。イフィミスラの此処…もっと見えるように、ね?」
「ティァァ♡」
プチュルッ。
そんな音と共にイフィミスラの下着が落ちた。
立ち上がった少女が己の最も恥ずかしい場所を少年の顔の前まで近づけていく。
もう完全に濡れている割れ目がテラテラと蜜に濡れて少年の前で咽るような甘く芳しい匂いを放った。
「ん、気持ち良くするから……」
「わ、我のを…する、のか?」
「うん」
「して…くれぇ♡ 我の…おま、んこ♡ そなたの…ものにぃ♡」
少年が舌を出してイフィミスラの股間に顔を埋めた。
「ん゛ゃぁぁぁ♡♡♡」
膝をガクガクと震わせながらも、少年の熱い舌に己の蜜穴をなぞられ、舐められ、潜り込まれて、イフィミスラは軽く達した。
ピチュピチュと膣(なか)から溢れてくる馨(かぐわ)しい蜜を啜り、少年は喉を潤していく。
「ティァァッッ♡ わ、わりぇぇぇ♡♡ おかひくなりゅのらぁぁぁ♡♡♡」
はしたない己の股間を少年の舌が慰めている。
それだけでもう幾度となくイフィミスラの脳裏は甘く焼け付くようだった。
明滅する視界の中。
股間に顔を埋めた想い人の行為がイフィミスラの背筋に大量の電撃が奔っていくような快感を生んだ。
「てぃあにぃさまぁぁ♡ おまんこぉ♡ えふぃがしましゅからぁ♡ みれれくらしゃぁい♡♡♡」
ズグンズグンと膣(なか)を高ぶらせていたエフィリムが我慢出来なくなった様子でゆっくりと腰を震わせて、前後に揺すり始める。
ジュグ、ジュプ、グチュ、ギュチュ。
淫猥な音に幌の中が包まれた。
もしも、未だ性を知らない者が中を覗いたなら、精を即座に漏らして、蜜を吐き出し達しただろう。
二人の少女の甘い喘ぎと蜜と濃密な匂いが幌を異界のように変えていく。
「てぃあにぃひゃまぁぁ♡ てぃあにぃひゃまぁぁ♡ ん゛ぁああああ!!! えふぃのあかひゃんのあにゃぁぁ♡ てぃあにぃひゃまのおひんひんれぇぇ♡♡ かわいがられてまひゅぅぅ♡♡♡」
「やぁ♡ わりぇの恥ずかしいあなぁぁ♡♡ 子づくりあにゃにぃぃぃ♡♡ らめぇぇぇぇ♡♡♡」
二人の少女の桃のような尻を少年の両手が一つずつ掴んで、自分へと引き寄せる。
「ゃぁぁぁぁぁぁ♡ こんらのぉぉぉ♡♡ おひり熱いぃぃぃぃッッッッ♡♡♡」
「ごちゅっれぇぇぇ♡ てぃあにぃひゃまぁぁぁぁッッッッ♡♡♡」
腰を深く突き出され、尻を掴まれる。
たったそれだけで少女達はもう何度も軽く達した。
少年にもっととねだる様子は清らかな乙女ではなく牝穴を濡らした獣だった。
少年が深くエフィリムの子宮口の奥へ先端を突き込み。
イフィミスラの尻をギュウッと掴む。
「ん゛ぉぉぉぉおおおおおッッッ♡♡♡♡」
「にぃひゃまぁぁぁぁぁぁッッッ♡♡♡♡」
少年の精が音を立てる程にエフィリムの奥で弾けた。
ドポポポポポポポポポポポポポポポポ。
一度どころか途切れる事無く白濁が吐き出されていく。
同時に達したイフィミスラが足っていられず少年の身体を預けて崩れ落ちる。
蜜と精と汗に濡れ、何度も何度も絶頂を覚えたエフィリムは意識を朦朧とさせながらも、自分の奥が今までにないくらい満たされている事を感じて微笑んだ。
もう意識する事もなく少年の幹を絞り、蜜を吐き出し、少年の唇に舌を伸ばして、少年に絡みつく。
「にひゃまぁぁ♡ にいひゃまぁぁ♡ えふぃおぼえまひたぁぁ♡♡ にぃひゃまのおひんひんのかたちぃぃ♡♡ えふぃのおまんこぉ♡ もぉにいひゃまのかたちれひゅぅぅ♡♡ にいひゃまいがいはやぁ♡♡ じゅっとじゅっとぉぉ♡ にいひゃまだけのあかひゃんあなれひゅぅぅ♡♡ にぃひゃまがひたくなったらぁしゅきなときにおつかいくださいませぇぇ♡♡♡」
その言葉に偽りなく。
噴出した精で全身を塗れさせたエフィリムの奥、子宮口は少年の亀頭の形となり、奥へ奥へと下がっていっていた。
少年の幹がズブズブと埋まっていき。
最後にはピッタリと恥丘と少年の腹がくっ付く。
「ん゛ぁ゛あ゛あ゛ぁぁ……にぃひゃまのえふぃのあかひゃんのへやにくいこんでぇぇぇ♡♡ ぜんぶはいりまひたぁぁ♡♡」
今まで三分の一しか入らなかったエフィリムの中に幹を全て呑み込まれて、少年は達した時よりも尚大きな快楽を襲われた。
エフィリムの中は既に普通の人間とは違っている。
襞の一つ一つが少年の幹を愛撫し、ドロドロに蕩けた蜜壺となって、本人が意識するまでもなく休まずに少年に求愛している。
腹部と恥丘の間には蜜と精の小さな池が出来ていた。
「嬉しかったよ。エフィリム…今もこんなにしてくれて……」
「ぁあ♡ はぃ♡ てぃあにぃひゃまのおこたねえふぃもぉ♡ うれひいれひゅ♡♡」
「ティァァ♡ 我もぉ♡」
ようやく絶頂の瘧(おこり)から解放されたイフィミスラが甘い声で少年に裸体を絡ませる。
「イフィミスラも気持ち良かった?」
コクンと頷いたイフィミスラに少年がそっと耳打ちした。
「それじゃ…もっと気持ち良くなろっか…」
「ティアァ♡」
少年が仰向けになった。
すぐどうすればいいのか理解したイフィミスラが少年の顔に跨って。
エフィリムと向かう合う形になる。
「よく見えるよ。こんなに糸引かせて……」
「ゃぁ♡ こんなはしたない恰好でぇぇ♡」
「イフィミスラ……」
丸見えとなった少し中心が綻んだすじに少年が口付けした。
舌で深く穴の中央、奥を抉っていく。
「ぁああああああああああッッッ♡♡♡」
背筋を仰け反らせたイフィミスラにエフィリムが淫蕩な笑みを浮かべる。
自分と同じ、自分のように少年の事を想っているのだろう愛らしい子。
そう思っただけで、エフィリムの胎の奥。
精に塗れた子宮口が何度も何度も脈動する。
グプン。
また膣(なか)から出てきた己の蜜と少年の精の塊をそっとエフィリムが幼いその手で掬い上げる。
ニチュァァッと掌から溢れ出る白濁の蜜酒は濃密に糸を引いた。
「いふぃみすらねぇさまぁ♡」
見せつけるようにジュルルと掬ったソレを小さな口元に運んで飲み干したエフィリムが零れ落ちた白濁で更に膨らんだ胎を濡らした。
(ぁあ…そんなぁ♡ ティアの子種ぇぇ♡ 独り占めするなんてぇぇ♡♡)
その恐ろしく淫靡な光景を真直で見ていたイフィミスラが腰の奥から湧き上がる欲求に震えながら、脳裏で「いいなぁ」と羨望を覚える。
「てぃあにぃさまのとってもおいしいです♡♡ どうぞ、ねぇさまも♡♡」
そう言って、また自分の胎の下から掬い上げたソレをエフィリムがイフィミスラに差し出す。
コクリとイフィミスラの喉が鳴った。
「ん♡ ぁ゛♡ くぅん゛♡ こ…んなぁ♡ 飲んだらぁ♡ わりぇぇ♡ もどれなくなっへぇ♡」
それを飲み干した瞬間、自分が後戻り出来なくなる事を本能的に察したイフィミスラはそれでも、今にも零れ落ちてしまいそうな粘度の白濁に、エフィリムの指先に、舌を伸ばし、ピチュッと一滴、舐めた。
――――――。
背筋を一瞬にして駆け上がった熱が身体を震わせて、少年の舌の上に濃密な蜜を滴らせる。
(あ゛ぁ♡ わりぇぇ♡♡ これしゅきぃ♡♡ これなかったりゃぁぁ♡♡ いきてゆけぬぅ♡ こんなのぉ♡♡ 知ったりゃぁぁ♡♡)
完全に少年の子種の味を覚えて、虜(とりこ)となったイフィミスラはエフィリムが微笑みながら傾けてくる手にはしたなく口を開けて舌を這わせた。
「ぁ♡ ぁあ♡ わりぇ♡ もぉ♡ もどれにゃ♡ んくんく♡」
エフィリムの手から流し込まれる白濁の蜜酒をイフィミスラは口の中に受け入れ、精に蹂躙され征服される悦びに打ち震え、喉の奥に甘やかに飲み干していく。
プチュップチュッ。
喉の奥で中の空気を弾けさせていく精を愛おしく想ったのか。
イフィミスラは飲んだ後もエフィリムの手に舌を這わせて何度も腰を震わせつつ、もっともっととソレを舐め取り欲した。
やがて、少女と少年が繋がって出来た白濁と蜜の池に気付き、躊躇も何もなく身体を倒して、舌を伸ばして啜り始める。
ピチュッ、ズチュゥウウウ、ジュルルルルルル。
そんな光景と音色にゾクゾクとエフィリムの奥からは蜜が尽きる事なく溢れる。
「いふぃみすらねぇさまぁぁ♡ もっとえふぃとてぃあにぃさまのぉ♡♡ おくちでぇぇ♡♡♡」
少年と自分のそれを何よりも尊い液体のように飲み干すイフィミスラの姿が、エフィリムには少年の幹の感触とも相まって、ただそれだけで達する程の悦楽となっていた。
二人の少女の淫靡なるも微笑ましい姿に少年は再び背筋を震わせて。
チュゥッと絞られたエフィリムの膣(なか)の感触、子宮口の先端のえらまで包み込んだ感覚に、再び射精した。
「ッ、にぃひゃまぁああああッッッッ♡♡♡♡」
予兆も無く突然始まった放精。
それにエフィリムの中は完全に融け切って悦びの声を上げる。
ようやく全ての池を舐め取り終わろうとしていたイフィミスラの眼前には再び白濁と蜜が溢れ返った。
「んぁあああああああああああッッッ♡♡♡♡」
絞り立ての、未だ少年の中にある熱をそのままに伝えるプリュプリュとした精で顔を汚されながら、イフィミスラはそれを味わえる悦びと背徳にもう迷う事なく舌を這わせて、二人の熱い繋がった場所を口で食(は)んだ。
その口の感触に少年が更に白濁を内から溢れさせる。
(イフィミスラの…口…こんな…柔らかくて……)
もう幌の中は完全に異界だった。
人の世にあってはならない悦びと濃密な牝蜜と狂わせる白濁に染められて。
「イフィミスラ…エフィリム……」
「「……」」
名前を呼んでも反応しない意識を途切れさせた少女達を愛おしく撫ぜながら、少年はもうしばらくこのまま、二人の少女の匂いに包まれていたいと目を閉じた。
*
そんな三人の一部始終を幌の外からとはいえ目撃してしまった学徒は……必死に己の中の情欲と戦っていた。
(こ、こんな…ぁあ…だ、ダメ…しちゃ…だめなの……)
もし幌が無かったならば、学徒はその欲望に勝てなかったかもしれない。
しかし、今の学徒にはそれよりも気になる事が二つあった。
(ん…静まって…きた。幌に映った影。あれは確かに角だった。それに…あの魔力の色…高ぶりで漏れていた。あれは…私と……)
学徒にとって、それは無視出来る事柄ではなかった。
少女達は普通の人間でないとはいえ、仲睦まじく恋人とまぐわっていたならば、きっとその場から立ち去っただろう。
少なくとも愛らしい幼い少女達に二股を掛けるような男を半殺しにしてから。
だが、【陰陽】によって強化された視覚は二つのものを捉えた。
一つは少女の一人の頭部。
人間には無きはずのもの。
二本の角。
そして、もう一人の少女の身体から魔術を使っていなければ分からなかっただろう魔力の起りに際して噴出した色。
(魔族。しかも、あの色が本当ならば、助けなければ……)
学徒は火が消えそうになっているのをいい事に数メートル先の藪まで足音も立てずにそろそろと近付く。
『イフィミスラ…エフィリム……』
どうやら少年以外意識を落としたと見て、一気に飛び出した。
その姿は黒い疾風の如く。
もう寝入っているナーリャはまるで反応せず。
幌の内側、今も確かに姿を捕えている男の首筋へと抜刀から0.23秒で切っ先を付き付けた。
「【遺宋(いそう)】学徒憲兵分隊長【天御門紅亜(あまみかど・こうあ)】だ!!! ただちに武装を解除し、腕を上げろ!!! 当方にはお前達を―――」
むわっ。
押し寄せる男女の交わりの跡に天御門紅亜と名乗った学徒が言葉を失った。
クラクラと呪いでも掛けられたような酩酊感。
更に腰の奥を疼かせる欲望の宴の跡。
白濁と愛液と膨れた幼い胎と小さな秘穴と埋もれた肉棒と青い姿態と白の姿態と穏やかに眠る安らかな顔と―――全てが予想していた以上の想像を絶する淫らな光景に紅亜は刀の切っ先こそ下げなかったものの、全身を震わせて、目を瞑りたくなった。
「……女の子?」
ポツリと喉に先が食い込むのも構わずに少年が「?」と首を傾げる。
「き、貴様が主犯格だな!!!? それにやはり魔族!!? 幼いとはいえ淫魔の類か!!? く、増援を呼ばなければ!!!? それにやはりッッ、この方は…高貴な家柄と見受けた!!! まさか、その淫魔を使い拐(かどわか)したか下郎!!!!」
ユラッと焚火の火の粉が舞って。
一瞬だけ、少年には詳しく紅亜の姿が見えた。
制帽を被った黒い制服姿。
輝かしい刀と菊の紋が左肩に金糸で刺繍されていた。
姿こそ説明してみれば猛々しい。
が、その顔は可憐という言葉が似合うような少女のもの。
制帽から出るツインテールの黒髪も、石楠花(しゃくなげ)を思わせる美しい相貌も、切れ長な瞳も、全て女たればこその美を秘めている。
ナーリャと同程度の背か。
男のような恰好をしていなければ、小さな少年とも見えたかもしれない。
その手足は聊か鍛えられている為か。
しっかりとしていたが、それでも線の細さは隠しようも無く。
逆に鍛えられたものにしか無い美を少年に感じさせた。
胸が殆ど伺えない事を覗けば、清廉なる巫女や乙女と言っても通じるだろう
「貴様!!? 聞いているのか!!! 聞こえているならば、手を上げて投稿しろ!!! そちらのご令嬢はこちらで与る!!!」
「いや、そんなに怒鳴らなくても…もう少しこの子達を寝かせてあげたいんだけど、ダメ?」
「くッ!? 時間稼ぎをするつもりだな!!?」
かなり動揺しつつも首筋に付けられた刃が血を流しそうな程に食い込む。
「この子達を上から退かしてからでいいなら、投降でも何でもしてあげるから、その……ちょっと刀を引いてほしいなぁと」
烈火のようなに怒る薄緑色の瞳が細められた。
「もし、何か要らぬ事をしようとすれば、斬る!!!」
「女の子はもう少しお淑やかにし―――」
パラッ。
いつの間にか刻まれていた斬線にそって少年の髪が一本はらりと落ちた。
「もう一度言ってみろ……貴様を斬る!! 私は男だ!!!」
「ごめん」
本人がそういうならそうなのだろうと少し反省した少年は頭を下げた後、刀には見向きもせず傍らに用意していた幾らかの布で少女達の身体を拭っていく。
濃密な匂いまでは拭い切れないものの、意識を落としたまま、深く眠る二人の少女の身体を優しく清め終わった少年が服を着せて、二人を奥に並ばせて腰掛けさせた。
ずっと少年を睨み付けていた紅亜がその様子に少し眉を動かすものの、刀は下げず馬車の外へ出るよう追い立てた。
「これから幾つか質問する。正直に答えろ」
「あ、うん」
「貴様はディシグニアの混乱で無法地帯から来た者か?」
「そうだけど」
「では、そこで眠りこけている者と馬車の奥で寝ている二人もか?」
「そうだけど」
「嘘を吐くな!!! あの魔族の子と一緒に寝ている方(かた)は高貴な家柄なはずだ!!! 無法地帯にいるわけがない!!! ダークエルフと魔族の子ならば、そういう事はあるだろうが、あの魔力を持つ者がそんなところにいただと!!!? 斬り捨てられたいのか!!!」
「イフィミスラは森の中に魔王の残党に捧げられてて。其処のナーリャは途中で奴隷商に売られてて。奥のエフィリムはあの地域で賭場の景品に出されてて。みんな、色々あったけど一応自分の意思で一緒に旅をしてもらってる……」
少年の馬鹿げた戯言。
常の紅亜ならば斬って捨てていたかもしれない。
しかし、少年の瞳には何の嘘もなかった。
(正気…には見える。でも、そんな荒唐無稽な…魔王の残党? まさか、エルデナンドでの動きに何か関連が?)
役目柄、更には自分の家柄的にも、多くの人間の嘘を見つめてきた紅亜は少年が嘘を吐いているとは思わなかった。
だが、同時に全てを話しているとも思えず、刀を握る手に力を込める。
「……ひとまずはいいだろう。だが、不明な事が多過ぎる。此処でお前を拘束し、そこの三人の身柄は私が預かる」
「どうしても?」
「ああ、どうしても、だ。もし、お前が抵抗するなら、手足の一本や二本は覚悟してもらおう」
脅しだったが、紅亜は必要なら幾らか出血させて相手の抵抗の気を削ぐ方法も心得ていたので、まったくの嘘というわけでもなかった。
「ナーリャとエフィリムをこのまま憲兵隊に渡す気なら、此処で君に手足の一本や二本渡して逃げ出す事にするよ」
「な、正気か!!? 武器もなく抵抗するだと!!?」
「今のご時世、奴隷とか他種族に寛容な地域はまだ七教会の管理が行き届いてるところくらい。そこだって、ダークエルフと魔族の姿を持ってたら、どうなるか目に見えてる。此処も同じ……君は此処で眠ってる子達がそういう謂われない悪意とか暴力を振われてもいいと思う?」
「ぅ…だ、だが、私は!!? このままにしておくつもりはない!!!」
内心で自分の言葉を理解してはいるのだろう紅亜がそれでも引き下がらないのを感じて、少年は脳裏で計算を働かせる。
これから街に向かえば、荷物の検閲やら七教会からの介入が予想されていた。
それを全て自分で突破しようとするのはリスクが高いと思っていた少年にしてみれば、目の前のような自分とは似ても似つかない“善良な仔羊”が現れたのは望外に良い状況かもしれなかった。
「君が僕達を拘束したいなら、僕はこの子達の安全と暴力に晒されない確証を要求する。もしも、この提案が飲めないなら、君は僕の命を抉って、この子達に心の底から恨まれる事になる」
只者ではない。
そう少年の正体を感じながらも、紅亜は甘さを捨てられなかった。
「……もし、お前が私に素直に捕まるならば、いいだろう。この子達の身柄は私個人。いや、私の“家”の手が及ぶ限りにおいて安全を保障しよう。この姿がまずいと言うなら、それに配慮するのも吝かではない……これでいいか?」
少年は内心目の前の少女?に謝りつつ、頷いた。
「だが、この子達の、特にイフィミスラと言ったか? そのお方の事に付いてはこちらで詳しく調べさせてもらう。その間、お前の身柄は遺宋学徒憲兵隊で与る。これに異議は無いか?」
「この子達がもしも傷付いたら、僕は君を許さない。それだけ分かってくれれば」
一瞬、少年の姿が揺れた事に紅亜は警戒したが、それは自分の肉体が本能的に震えたからだとは理解しなかった。
「いいだろう。では、馬車にこの子を運んで出発する。貴様には縄を掛ける」
「どうぞ……」
ナーリャを荷馬車に運んだ少年を腰から取り出した縄で慎重に縛って。
紅亜はそれでようやく一息吐いた。
そうしてドナドナと売られていく子牛のように少年と少女達は一人の学徒に連れ去られた。
勿論、紅亜の憲兵の証である腕章を前に全ての臨時関所を素通りして。
やがて、紫雲が空にくゆる頃、都へと四人と一人の馬車は辿り着いた。
少年が望んだままの通り、安全に何のリスクを負う事もなく。