第一章十六節「寛容」
遺宋は比較的に大陸中央からの影響を受けている。
故に平均的な乂羅の都市とは違う幾つかの特徴を有する。
乂羅において基本三階建てが限界の木造建築が都の大部分を占めるのに対し、遺宋はレンガ造りやモダン様式と呼ばれる大陸中央の建築が複数街並みに混ざる。
どちらの様式も半々の折衷案的な都の整備は乂羅の政治に大きな権力を持つ【天御門(あまみかど)】家の意思を反映するものだ。
しかし、天御門に反発する勢力もまた都には多い。
古来からの様式を支持する【土御門(つちみかど)】家は大陸中央の文化を取り入れる姿勢に批判的であり、同等の家柄である【天御門(あまみかど)】のやり方に対して幾らかの注文を付ける事もある。
学徒憲兵隊もまたそういった乂羅を取り仕切る両家の意向を反映した新古の戦いの場でもあった。
それを誰よりもよく知っている紅亜は前日に少女達から釘を刺された事を踏まえつつ、強制奉仕活動……主に学徒憲兵隊の雑用を押し付けられている少年を見守っていた。
三人の少女達を離れに迎えて一日。
何かと少女達に気遣いを見せた紅亜だったが、主にイフィミスラとの良好な関係は築けていなかった。
その最たる理由こそティアと呼ばれる男だ。
安否の受け答えするだけで少女達との時間の大半を消費してしまう。
それは紅亜にしてみれば歯痒い時間そのものだった。
“ああいう事”をするような中なのだから心配するのは当然なんだろうとは頭で理解出来ても、少女達が入れ込む様子は紅亜には不可解過ぎた。
少年は確かに少女達の事を思っているとは思った。
しかし、それにしても解せないのは少女達が少年の何処を好いているのかという事だ。
優しい優しいと少女達は少年の事を口にする。
それどころか。
少女達自身の事を質問していたのに、いつの間にか返ってくる答えは少年の事ばかりなんていうのもザラだ。
何か納得できないものが紅亜の中には蟠(わだかま)っていた。
「あ、校庭の地ならしが終わったら、今度は体育館の補修もお願いします。それが終わったら昼食後、溝浚いに花壇の手入れ、全校舎の外からの窓拭きに学徒憲兵隊の隊舎で掃き掃除。全て終了したら、井戸からの水汲みと風呂焚きもして貰います」
「……はい」
文句も言わず。
黙々と校庭の奥で作業をしている少年を見つめる。
指示を出している妹を見ながら、内心……いい気味だと思ってしまったのは、あの夜の光景が未だ目に焼き付いているからかもしれない。
だが、それにしてもあまり苛め抜く事になれば、イフィミスラからの不興を買うかも知れず。
「青嵐。もう少し穏やかにしておいた方が……」
そう紅亜は口を出していた。
「お姉様」
「うん?」
「お姉様はまだ男だからそういう事が言えるのだとわたしは思います」
キリッと紅亜すら少し引き気味になるような笑顔で青嵐が笑った。
「ティアさんと話していて思いましたが、あの方は婦女子の敵です。ええ、間違いありません。わたしの勘がそう言っています。悪い方では無さそうですけど、あの男らしくない曖昧さや笑顔の裏が何か信用なりません。昨日聴取したお三方に関しても言えますが、何だか心配です」
「心配?」
「あの“全て理解している”ような感じがわたしはちょっと……女性にとっては毒のようにも思えるので……」
紅亜は自分の中の蟠(わだかま)りに多少説明が付いた気がした。
(見透かされているような気分になっていたのか。あの瞳に覗かれると)
相対した夜。
まるで全てを見透かすような瞳で話していた。
それが引っ掛かっていた事の一つ。
「お姉様。今日の夜はその……お勤め、ですよね?」
「あ、ああ、そうなると思う」
ずっと少年を見つめていた事に気付いて、紅亜は視線を青嵐に移した。
「では、その……お辛くなったら、お部屋に来てください。お待ちしています」
「……いつもありがとう。青嵐」
「いえ、妹として、当然の事です」
少し頬を紅くした青嵐の髪を紅亜の指が優しく撫ぜる。
その様子を見ていた一部の学徒憲兵隊がやたら静かに盛り上がっている様子を見て、校庭を鉄のローラーで慣らしていた少年はしばらくは此処にいても大丈夫そうだと学徒憲兵隊に対する内心の評価を下した。
学徒憲兵と銘打っても基本的には学生。
その内実がトップダウンで、更に高名な家柄の人間が上に立っているとすれば、組織の性質は基本的に一部の有能な人間を軸にその他大勢の手足を使って目的を達成するようなものと推測出来る。
つまり、そのトップに正体がばれる気配が無ければ、不意の偶然でもなければ正体の秘匿はまだまだ安泰と見ていいという事になる。
(イフィミスラ達も丁寧に扱われてるみたいだし)
校庭の端で話している姉妹の話を盗み聞きしながら、少年はギコギコとローラーを引いた。
それからしばらく後。
こき使われた少年は青嵐からの今日はもう良しという言葉と共に格子付きの房にようやく帰っていた。
一日中、こき使われて気付けばもう夕飯も過ぎた頃合。
房の内部には東部で言う一汁三菜の乗った盆が置かれていた。
それを懐かしく思いながら少年が食す。
(そう言えば、よくユアンにこういうの食べさせられてたっけ……)
懐かしい心地で薄く笑みを浮かべながら少年は味噌汁を飲んだ。
そんな姿を見つけて、様子を見に来ていた青嵐は思わずムッとしてしまった。
(あれ、おいしくはないのに……)
本来、反省の意味を込めて食されるはずの食事が薄い笑みで喜ばしそうに食べられているというのは、罰を与えている方からすれば複雑この上ない。
「ティアさん」
「あ、青嵐さん?」
「見ず知らずの女性の名前を呼ぶのはどうかと思いませんか?」
「えっと、天御門さん?」
「今度からは気を付けて下さい。奉仕の量が今の三倍になりますよ?」
慌てた様子で少年が何度も頷く。
「と、言っても今日一日あの地獄のような奉仕活動を一人でやり切った貴方にもう次の仕事はありませんけど……」
「え?」
「本来なら一か月掛けてやる奉仕活動を全て今日やらせました。本来なら、複数人の人間が同時に並行して行うものです。一人で終わらせたなら一か月分と言ってもいいでしょう」
「その、どうして?」
「女の敵に情けを掛けたつもりは毛頭ありません。でも、規律を重んじる憲兵隊が無用な労務を課したなんて噂が立っても困りますから」
何も言えなくなった少年がジッと晴嵐を見上げる。
「明日の日の出と共に部屋からは自由に出て行って構いません。受付に行けば、没収された装備と路銀は全額お返しします。それとこれを」
「?」
一枚の薄紙が渡された。
内容を見た少年が再び晴嵐に視線を戻す。
「お姉様がこれからお連れの方をどうするのかは存じませんが、三人を養うにはあれだけでは足りないでしょう。職業斡旋所では外国の方も一応受け付けています。貴方のように真面目に今日のように勤め上げる能力があれば、困りはしません」
「……ありがとう。天御門さん」
「感謝されるような事はしていません。全ては貴方の働きを見て決めた結果です。あの仕事量は普通の人間ならとっくの昔に根を上げているでしょう。ですから、これは貴方の働きぶりに対する当然の結果だと思ってください。実際、一日で終わらなかったら明日もやらせるつもりでしたから」
少年はさすがに苦笑した。
「昔はよく同じような肉体労働をしてたから、これくらいは……」
「同じような?」
「まぁ、奴隷階級のやる事なんて差して変わらないし」
「貴方はその、そういう身分から解放されて?」
かなり以外そうな表情で晴嵐が驚きに固まる。
「旅をするようになってから奴隷って何か知ったくらい、昔はかなり無知な方だったから」
「そうですか。この近代化の時代にそんな場所が……」
「随分と昔の話だから。今の奴隷って殆どお手伝いとか雑用とか。死ぬまで酷使されてた昔に比べれば、一部の専業奴隷以外は恵まれてる方じゃないかな……」
実感の籠った言葉に嘘は無かった。
「少し、貸してください」
晴嵐が少年に渡した薄紙を受け取って裏にすると胸元に差していた大陸中央式のペンでサラサラと何事かを書いていく。
「どうぞ……」
「これって地図?」
「我が家への道筋です。そこに署名もしておきましたから、家の者に見せれば通してくれるはずです」
「いいの?」
「同情とか況してや憐みなどではありません。自分が奴隷だったなんて何の得にもならない事を喋る方にならば、渡しても悪用はされないと思ったまでです。お姉様は貴方を信用するまでは家には入れないでしょう。ですが、あのお三方は貴方を本当に案じていた。連れ出せるかはお姉様次第ですが、会いに行く事には問題が無いと判断したまでです」
「人が好いって言われない?」
「他人に奴隷だった等とバレれば、どうなるか。旅をしているならばお分かりでしょう? 人が好いのは貴方です。ティアさん」
「そうかな。ただ、何だか懐かしかったから……」
「懐かしい?」
「僕に初めて奴隷の事を教えてくれたのはとっても真面目で誰かの為に刃を振う人だった。その人は『我が刃の届く内は必ず守ろう』って、そんな弱い人と理不尽に泣く人の刃を自負してて……」
「随分と高潔な方を知っているのですね。弱者と理不尽に泣く者の刃。まるでユアン様のようです」
「うん……」
「さぁ、話はこれでお終いです。ティアさん。明日になるまでは休んでいてください。くれぐれも脱走したりしないように。いいですか?」
「疑われるような事したっけ?」
「こう見えても人間心理には詳しいですから」
「えっと、どうして?」
「色々と世の中には理不尽に泣く人が多いという事です。それが例え何処であろうと……」
もう何も言わず晴嵐は一人通路を去って行った。
その後ろ姿に少し頭を下げて、それから少年はごめんと呟く。
「一応、朝までには戻るから……」
そう言い訳して。
少年は虚空へと視線を向ける。
「五時間丁度で同一地点に再転移。ハルトゥムの屋敷に繋いで」
『了解しました。我が創造主。東館の七号室に繋ぎます。転移後、この座標に囮(デコイ)を置きますか?』
「そうしてくれると助かるかな。後は此処に人避けの結界もお願い」
『敷設準備。敷設。敷設完了。【因痕(キカトリクス)】波上昇値は基準値内。偽装・隠蔽に関しても問題無いと確認します。では、転移を開始しますか?』
「うん」
『転移地に附設された多重構造結界によって転移に三十秒の時差が発生しますが、よろしいでしょうか?』
「構わない」
『では、カウントダウンを始めます』
「今の内に少しは治してあげらればいいけど……精査と心体(しんたい)の復元手順の構築はどう?」
『精査は完了しました。復元手順に付いては現在の稼働率及び因痕波上昇限界値では不可能と推定。対象の体内と魂に残存する魔力と術式の逆算は困難。粘膜接触による魔力接種で残存魔力の中和を行い、式の活動を復元域以下に下げ、定期的な対話による心身の回復を行う事を提案します』
「……そう」
『転移開始』
少年は声の言っている事を正確に理解し、ただ頷いた。
「おい!! 明日には出られるんだから、おとなしくしてろ!!」
ブツブツと少年の独り言に番をしていた学徒がやってくるものの、少年がペコリを頭を下げるのを見て、鼻を鳴らして戻っていく。
房の中、目を閉じた少年にそれ以降、朝になるまで声が掛かる事は無かった。
*
薄紅色の壁から幾つかのランプが付き出している。
そう大きくない精々が十畳程の部屋だった。
窓はなく。
橙色の明かりだけが室内を照らしている。
その中心にある寝台は石製。
しかし、発条(ばね)を中に備える敷布は厚く。
その上に幾重にも重ねられた絹は最上。
唯一、通常と違う事があるとすれば、その寝台の上にある全てのものの色が部屋の壁紙と同じ色という事だろう。
「準備は終わってる?」
『解凍は終了しました。対象エルフの見当識は77%以上喪失。通常会話は可能。ただし、全てが性欲に関するものと推測されます』
「それじゃ、しばらくは見てて」
『了解しました。我が創造主』
声が途切れて。
少年は寝台の上でぼんやりとした様子のエルフの女を見つめる。
そのはしたなく淫夢でも見ているように染まる頬。
崩れていない頭二つ分はあろうかという乳房は乳蜜を垂れ流し、胎は未だふっくらとして、その下の割れ目は閉じてこそいるものの、淫蜜で寝台を汚している。
「初めまして」
「?」
少年が近付くと十代程だろう女は肥大化してツンと上向く乳房を震わせて。
少年の股間に視線を注いだ。
乳輪も乳首も桜色なものの、大きい。
翳っていても解る程に陰核(クリトリス)は大豆の如く膨らんでいる。
「僕はティア。君の名前は?」
「な…ま…ぇ…おー…れ、む?」
「オーレム?」
反応はぼんやりとしていて定かではない。
それでも少年はオーレムともう一度呼んでから、寝台の上に上がった。
「きもちいい事、一緒にしようか?」
ピクリとオーレムが反応を示した。
「気持ちいい事、したい。おちんちん♡ おまんこ♡」
欲望に濡れ始めたオーレムの瞳が淫蕩に沈んでいく。
「うん。でも、その前に…まずは胸でしてくれる?」
「おっぱい♡ したい! したい!! してください!!!」
背筋を震わせながら、身を起こしたオーレムが寝台に座っている少年に向かって前屈みになり、胸をその股間に突き出した。
ブルンと巨大な乳房が少年の腹部に当たる。
「脱がせてみて?」
「ぬ…がします♡ おちんちん♡ おっぱい、気持ち、良く、して欲しい…です♡」
オーレムが少年の服を脱がし始めた。
腰ひもだけではなく上着まで脱がして、更に吐息を震わせる。
「おおきぃ…です♡ おちんちんおっきぃよぉ♡」
「気に入ってくれた?」
コクンと何度も嬉しそうに淫らな笑みで唾液さえ流しながらオーレムが頷く。
既に膨らんでいる少年の幹に今にもしゃぶり付きそうな顔だった。
(服を脱がす動作とか基本的な生活習慣までは記憶がある。それと欲望を一応…制御出来てる。後は…)
少年がオーレムの状況を一つずつ確認しながら、優しく頭を撫でた。
「……挟んで擦ってみて」
「こす、ります♡ おちんちん♡ おっぱぃ…壊れ、ちゃいます♡」
記憶の混濁で口調も定まらないまま。
それでも欲望を口にしたオーレムはまるで生娘のような恥じらいと娼婦のような淫蕩さに胸を震わせて、裸になった少年の幹に胸を寄せた。
ズニュムと少年の怒張を巨大な肉壁が包み込む。
「ん……」
吸い付くようなエルフの肌。
それだけで並みの男ならすぐに達したかもしれない。
「ぁ…ドクンドクンって、おちんちん震えてぇ♡ 可愛いです♡」
早くしゃぶりたいという欲求に抗っているのか。
口元から舌がチロチロと覗く。
それでもオーレムはまず言われた通り。
その乳房で少年の怒張をゆっくりと扱いた。
まるで宝物でも扱うかのように視線を釘付けにして
「そう……上手いよ。今度は口でしてみて」
「ふぁあい♡」
舌が裏筋をなぞるように亀頭を含んで、ピチュピチュと甘い音色を奏でた。
「いい子だね。ご褒美をあげないと」
ツンと上向いて乳蜜を垂れ流し始めていた乳頭を少年が乳全体に触れながらやわやわと捏ねた。
「ひぐぅぅぅぅぅぅぅん♡♡」
今まで夢中で先端を咥えていたオーレムが唇を離して嬌声を上げる。
「おっぱぃぃぃ♡ くちゅくちゅしちゃぁ♡ ゃぁあ♡」
否定しながらのおねだりだった。
オーレムは自分の胸に添えていた手で幹を強く扱いた。
「おひんひんぃぃょぉぉ♡♡♡」
もう既に汗と唾液と先走った雄の汁で胸の間の雄槍は濡れ光っている。
「こんなに先尖らせて。中に入っちゃいそうなくらい震わせて…こう?」
今まで膨れた桜色の乳輪に押し付けるように乳頭を捏ねていた細い指が、その先端に触れる。
「ぁあ♡ そりぇぇ♡♡」
「中も触れるよ」
「い、いりぇてぇ♡♡」
指が先端の小さな陥没をグリグリと弄る。
「ぐりぐりぃぃ♡ こりぇぇ♡ はぁぁぁ♡♡」
溢れてくる蜜乳の孔に人差し指が指がクプンと埋まった。
「んぁ゛ぁ゛ぁ゛♡」
オーレムが舌をはしたなくだらんと垂らして喘いだ。
「この子の此処、今どうなってる?」
『乳房内に通常とは違う器官を確認しています。女性の膣及び子宮のような形状を確認。これは尻穴等の肛門にも見られる症状で、残留魔力の大半が内臓と魂魄への変質だけに特化されていると推測されます』
「……魔力の中和だけで形状を元に戻せる?」
『肉体の復元は魔力中和だけでは不可能と断定。初期症状を逸脱し、ほぼ肉体として変質が完了している現状ではまず肉体の魔力中和による精神面へのアプローチのみを推奨します』
「背中にでいいから【変鋼筒(コンヴァージョネム・フェロー)】を四本。それと股間の分化も手伝って。制御は全部こっちでやるから」
『了解しました。我が創造主。【変鋼筒(コンヴァージョネム・フェロー)】を通常空間内に復元置換。埋没は肺と脇腹でよろしいでしょうか?』
「いいよ」
少年の背後の虚空に小さな黒光りする正方形が現れる。
掌に乗るだろうソレが四つ。
ガキュンと音をさせて内側から開き展開していく。
どうすれば内側にそれ程の面積が詰め込めるのか。
4cm程の半径と8cm程の長さを併せ持つ円筒形の物体となった。
『埋没開始します。効果時間は三時間十四分前後。魔力形質の変換制御は誤差0.332%内と推定。許容範囲内です』
ドスッと四本の円筒が少年の背後に突き刺さる。
武器で攻撃された時のようにダラダラと血が流れていくものの、少年は構わなかった。
ギリギリと回転しながら埋まっていく円筒が全て肌の中に押し込まれると、流れた血は輝きとなって失せ、肌も再び傷を覆う。
「オーレム」
「ふぁぁい♡ なん、ですか?」
乳首の奥へと指を這わせられ、ビクビクと身体を震わせながら悦びを享受していたオーレムが次は何をしてくれるのだろうかと少年をまるで神に相対する如く恍惚のまま見上げた。
「胸、奥までして欲しくない?」
「ぁあ! し、してくださりしたいだいたいでれすす♡♡♡」
目の焦点がブレて。
何を思い出したのか。
オーレムの股間からは潮。
乳頭からコプコプと今まで以上に乳蜜が溢れていく。
正常な言葉もままならない程の快楽を覚えている身体はすぐにでもそれを欲しがっていた。
「可愛い桜色の此処、二つ同時にしていい?」
「は、ぁぁぁぁぃ♡♡♡ おーりぇむはぁ♡ おっぱいおまんこぉぉぉしゅきれすぅぅっっっ♡♡♡♡」
オーレムの目の前で、少年の幹に異変が起こった。
怒張が精を吐き出す時以上に膨らみ、膨らみ、膨らみ続けて、中心からまるで割れるようにズルンと根本まで二又に分かれていく。
「しゅごぃぃでで、です♡♡ ティアさまぁぁぁ♡♡♡」
もう瞳の奥をハートマークにして今にもしゃぶりたそうな顔になったオーレムが少年の名前を呼ぶ。
「名前呼んでくれたね。いい子だよ。オーレム」
「はぃぃ♡ で、ですからぁぁ♡ オーレムのぉぉ♡ 種付け用おっぱいにぃぃぃ♡ そ、しょれぇぇ♡」
「いいよ。二つとも君のだから」
「~~~~~♡♡♡」
自らの巨大な乳房を掴んで、二又に分かれた二本の怒張にオーレムは自らの先端を触れ合わせた。
「んぁぁああああああああ!!!!? 凄いれれれ、ですぅすれすうぅぅぅぅ♡♡」
今にも乳房の中に潜り込みそうな少年の先端の感触にオーレムの身体は歓喜に打ち震える。
「じゃぁ、犯して上げるから、乳首を上向きにして待ってるんだよ?」
「はぃぃぃぃ♡♡」
一端膝立ちになった少年が二又のソレを掴み。
超乳というべき乳の先端に宛がった。
「いくからね」
オーレムが応える前に少年の二本槍が乳房を貫いた。
ズンッ。
乳の奥、今はもうただ命のスープを生み出すだけとは違う器官と化した雌穴からの衝撃に唾液を垂れ流し、眼球を裏返しそうになりながら、オーレムが絶頂した。
一突きで達した母性の象徴から乳蜜が吹き上がる。
ブチュゥゥッッと少年の男根にブチ当たりながら、吹き上がった白濁は少年のソレを更に奥へと誘い、新しく出来た子宮口とでも言うべき場所へと吸い込まれた。
ドチュン。
本来一つであったはずの器官を二つ、それも特大の雄自身に貫かれて、オーレムが一度では到底達しきれない量の衝撃に甘く絶叫した。
「ん゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ッッッッッ♡♡♡♡♡」
蜜乳の噴射する量も増え、少年も同じく耐え切れず、自らの精を乳の奥、新しく出来たオーレムの二つの子宮へと解き放った。
「っ!!?」
ヴビュルルルルルルルルルルルルルルルル。
二つの白濁を爆発させ、オーレムの乳が一瞬大きく膨らんだ。
次の瞬間、少年とエルフの本来繋がるはずの無い二つの接触地点から大量の白が今まで以上に噴出して二人を白く染め上げた。
「ひ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッッッッ!!!!? お゛っぱぃ゛おま゛んこ゛ぉはりゃむぅうううううううう♡♡♡ てぃあしゃまのあかちゃんじゅしぇぇして゛るの゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛♡♡♡♡♡」
激しく割れ目からも潮を噴出させながら、完全に一匹の牝と化したオーレムは常人では耐え切れない量の快楽を受けて尚、残留魔力によって変質された肉体と魂のおかげで壊れ過ぎる事もなかった。
完全に白濁に呑まれたオーレムが意識を失いつつ。
乳の器官で少年の幹を締め付け、先端を食みしめる。
「♡♡♡」
快楽に蕩け崩れた牝の中に未だ白濁を吐き出しながら。
少年が虚空に声を掛ける。
「ど、う……注いだ分は中和出来た?」
『変質した魔力による中和作業は頭部及び胸部全体に掛けて11.22%完了しました。見当識の回復も見込めます。胴体部及び腹部、下半身に付いては今後順次性行による中和を行う事を推奨。中和によって肉体の変質が落ち着くまで日を置いた方が効果的と推測されます』
「そう、それじゃ。今日はもう終わりにしよう、かな……」
大量の魔力を制御・変換・放出した為、肉体に負荷が掛かった少年の声には力が無かった。
ゆっくりと肥大化した乳から幹が引き抜かれる。
『本来の意味での性行は未だ行われていません。罪悪感を感じる必要性は皆無です。我が創造主』
少年の苦く笑った顔に虚空へ声が響く。
「……助ける為って言えば、何でもしていいわけじゃないよ」
『対象エルフ。オーレムは既に処女膜を喪失し、魔による蹂躙を受けています。彼女は現時点では快楽を得て悦びこそするでしょうが、悲しみはしないと推測されます』
「それでもちゃんと治ったら、平手の一つもされると思うけど」
『魂魄の残留魔力中和は総体的に肉体に残る魔力を全て中和して初めて成されます。現在のような速度で中和作業を行う場合ならば、正常な見当識が回復される過程で説明を行えば問題ないと推測されます』
「確かに、そうかもしれない。でも、巻き込んだ責任くらいは取らないと…」
『我が創造主。貴方の最大の弱点はその優しさと責任感です』
「返す言葉もないよ。でも、僕は本当の意味で優しくはないし、責任も果たしてない」
『ですが、責任を果たす為にこそ、貴方は旅をしている』
少年はそれに応えず。
「もう再凍結は必要ない。少しずつでいいから、この館で生活させてあげて。庭と周辺への遠出くらいなら付き添えば大丈夫じゃない?」
『既に生活の為の用意は整っています』
「そう。それじゃ館内部のものは勝手に使っていいって後で言っておいて」
ゆっくりと少年がオーレムとの間に出来た白濁で染められたシーツに倒れ込む。
「肉体の賦活に入るから、その…間に…綺麗に…し……」
声が途切れると同時に少年の意識もまた己の肉体へと向かい闇に潜っていく。
『了解しました。規定時間が経過した後、再転移を開始します。今日はお疲れ様でした』
後には男と女の姿態だけが残り、片方は数時間後、その場から消えた。
*
雀の鳴き声に密やかに聞こえる靄の掛かった早朝の舎に一人。
影がやってきていた。
校舎内で寝ずの番をしていた者達がその姿を見て直立不動で敬礼する。
本来ならば笑顔を絶やさず朝の挨拶を返すはずの影の主はただ頷くだけで。
誰の目にも彼女、いや彼が張りつめているのが解った。
「拘留者はまだいるか?」
「はっ!! 今、房より受付へ装備を取りに出たばかりであります!!!」
ありがとうとも返さず。
格子に背を向けて踵を返した紅亜はすぐ目的を見つけた。
既に装備を受け取り。
路銀も返してもらった様子で少年は隊舎から出ていく寸前。
「待て!!」
「?」
振り返った少年が紅亜の顔を見て驚いた様子となる。
「えっと、妹さんに出ていいって言われたんだけど」
「事情は妹からは聞いている。だから、来た」
「イフィミスラ達はどうしてる?」
「何も問題は無い。貴様の事を口にする以外は……」
「そう。それで何か用?」
「用があるのは貴様ではないのか?」
少年の言葉に紅亜は自分でも思っていなかった程に冷たい声音が出た事に驚きつつも、内心で決めていた言葉を紡ぐ。
「これ程に早く出る事が出来たのは予想外だった。本来ならもう少し時間を掛かると踏んでいたからな」
「何が言いたいのか聞いても?」
含みのある言い方に少年が問う。
「……私はあの方をイフィミスラ様を保護する事とした」
「身柄を引き受けたいって申し出と取っていいのかな」
「ああ、そうだ。昨日一日で大半は調べた。エルデナンド側は回答を保留しているが、抗議すらしてこないという事は噂は事実なのだろう。生贄に捧げられた姫イフィミスラ・ハージェット・テトス・エルデナンド。彼女は私の、いや……天御門の分家筋であるこの天御門紅亜が身柄を引き受けたい」
紅亜の顔には真剣な表情が浮いていた。
それは何かを決断した顔。
決意を見て取った少年はそれも意に介さず尋ねる。
「それをイフィミスラは?」
「知らない。まだ、知る必要はない」
「本人の事なんだから、相談した方がいいと思うけど」
「貴様がイフィミスラ様の心に巣食っている事は百も承知している。他の二人も同様だろう。だが、しかし、あの方は……大皇の血を引いている」
「それがどうかした?」
「―――貴様はこの意味がよく分かっていないらしいな」
「誰か偉い人の血を引いてるのは解ったけど、それと君の言う引き受ける話には繋がりでもあるの?」
「例え、捨てられようと彼の者の血を引く事には違いない。天御門はそれを引き受けるに足る家だ。そして、彼女は貴様のような旅人に付いて何処とも知れぬ場所で死ぬような運命の人ではない」
「正義感なら君は正しいけど、間違ってる。憐憫なら君は間違ってるけど、正しい」
「謎掛けでもしているつもりか」
「そのつもりはないよ。ただ、どっちにしても決めるのは君じゃない」
「貴様という存在に縛り付けられた状態のイフィミスラ様のお考えを少しずつ解き解していくつもりだった。しかし、貴様はもう刑を終えた。その足でお三方を迎えに行こうとするだろう。私はそのような蛮行を許すつもりはない」
「君が言いたい事は解った。それでどうするつもりか教えてくれない?」
「貴様を天御門の家の力で追放するのは容易だろう。しかし、それではイフィミスラ様のお考えは変わらず、お心を痛める。かと言って此処で貴様を斬り捨てるという選択肢は私自身が、私の誇りが許さない」
「なら、君は僕をどうしたいの?」
しばしの沈黙があった。
「私に……いや、我が天御門家に仕えろ」
ガタガタガタッと廊下の片隅に集まって聞き耳を立てていた学徒のほぼ全員が倒れ込むように二人を遠目に凝視する。
「それはどういう意味で?」
「天御門の御用人となれ。複数ある分家筋と言えど名は最上。名誉も財も欲しいまま。常人には到底無理な縁談すら出来るだろう。旅する理由は知らないが、一生……いや、末代までの暮らしを保障しよう」
「断ると言ったら?」
「イフィミスラ様の幸福が貴様との旅の中にあると言えるのなら、甘んじて貴様の来訪を受けよう。その結果、イフィミスラ様が貴様と共に往き、全てが台無しとなったならば、必ず償わせると確約しよう」
少年は歳に似合わず老獪な事をする紅亜に少し感心した。
反発する者を取り込む最良の方法は全て満たしてやる事。
人間心理をよく理解している言葉には偽りもない。
もし御用人となるならば、イフィミスラとの関係も維持されると暗に言っている時点で、これ以上の説得の言葉はないに違いない。
更に少年の一番痛いところを突いてくるのだから、それが試験なら百点を与えても申し分ない。
「君がそこまでしてイフィミスラを留めたいのは貴い血を引いてるから、本当に理由はそれだけ?」
「これ以上、貴様に言う必要はない」
「……そう」
実際、イフィミスラをそのまま自分の地獄への道行(みちゆき)に同行させるのを躊躇っていた少年にしてみれば、紅亜の提案は自分が御用人になるという選択はないにしろ、確かに魅力的なものではあった。
「返答は如何に」
その綺麗な少女の顔。
研ぎ澄まされて、見られただけで斬られてしまいそうな瞳。
「……君の提案には乗らない。けど、しばらくはゆっくり行くつもりだったから、何処かに逗留するのも計画はしてた。だから、半月……君のところにお世話になるよ。もし、イフィミスラの考えを変えたいなら、その時間で努力すればいい。イフィミスラが君のところに残るって言うなら、僕は止めないし、引き留めもしない。けど、そうでないなら半月後、僕はあの子達と一緒に此処を去る。それでどうかな?」
紅亜は今時分に出来る最上の言葉を述べたつもりだった。
それに偽りはない。
少年を受け入れる事で生じるであろう多くの困難もイフィミスラの為ならばと飲み込むつもりでいた。
しかし、少年は乗ってこなかった。
それどころか立場は与える方から与えられる側になっていた。
時間。
諦めきれないならば、自分でどうにかしろと少年は紅亜に言ったのだ。
そして、決して紅亜がその条件を拒否しないと少年には分かっていた。
(全てを見透かす瞳。こういう事なの? イフィミスラ様はこの瞳に……)
内心、此処まで上手く返されるとは思っていなかった。
既に退路は無い。
半月とは短いなんて口に出来ようはずもない。
人の心を変えるのに必要なのはただ誠意と言葉以外にないと。
そう、紅亜は知っていた。
時間が足りないなんて言い訳は貴人として人の上に立つ者として、断じて口には出来なかった。
「分かった。その条件を呑もう」
「そっか。じゃあ、はい」
「?」
少年が紅亜に手を差し出す。
「一応、これから君のところにお世話になる身だから。東部では一つ屋根の下、同じ釜の飯を食うって言うんだったっけ? よろしくって事で」
「……ふん」
紅亜は手を取らないわけにはいかなかった。
此処で手を引いたら、少年に対し引き下がった事になると感じて。
「ティアでいいよ。紅亜」
「呼び捨てにするな。イフィミスラ様ならまだしも……」
「男だって言ったのは君だけど。対等の男同士なら呼び捨てでも構わないと思わない?」
「……い、いいだろう」
初めて。
親にすら呼ばれた事の無かった、呼び捨ての名。
その響きに慣れず。
思わず顔を赤らめそうになりながらも、何とか紅亜は握手した。
「ああ、それとイフィミスラと色々するかもしれないけど、気にしないで」
「なッッ?!!!」
ボッと紅亜の顔が朱に染まった。
その脳裏に蘇るのは未だ記憶に生々しい少女達の淫らな痴態。
イフィミスラの白濁に塗れながら恍惚としていた表情を思い出して、紅亜は思わず叫ぶ。
「わ、わわ、私の家でそんな事を許すわけがないだろぉおッ!!!」
『こ、こ、紅亜様があんなに赤くなるなんて!!?』
『あ、あんなに恥ずかしそうな紅亜隊長は初めてだぜ!? く、萌える!!?』
『分隊長のあんな顔を見たらオレ!! オレ!!! ちょっと厠(かわや)逝ってくる!!?』
後ろで混乱しつつも盛り上がっている学徒達が騒ぎ出す。
ようやく騒ぎに気付いた紅亜が全員を持ち場に戻れと追い散らしたのはそれからすぐの事だった。
そうして旅は一時の休息へと至る。
少年の傷が癒えるまで。
ほんの僅かな安寧が旅の幕間に落ちた。