※この作品はR-18です。

聖娼館ハルトゥム   作:Anacletus

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第一章十九節★

第一章十九節「思慕」

 

 陣を張った場所を簡易の指令所として学徒憲兵隊の大部隊はそれぞれの方角から獣や動植物が変質した魔の森へと進軍していた。

 

 頭部を保護する【陰陽(おんみょう)】の札が複数貼られた兜。

 

 顔面を保護する夜叉の仮面。

 

 過去、戦場で活躍していたものを準えて造られたソレは実用一辺倒に鉄の地金を晒している。

 

 学徒憲兵隊の常用する制服はそれだけでかなりの防護や実戦をこなせる戦闘服でもある。

 

 制服の下に着込まれた鎖帷子と合わせれば、常備軍の一般部隊を軽く凌ぐ防御力を兼ね備える。

 

 それでも彼らの主な活動は地域の治安維持であり、通常装備は小型警棒が殆どだが、こういった害獣の駆除の際にはそれが刀へと変わる。

 

 帯刀許可を得た彼らの得物は近頃乂羅でも正式な装備として認知されつつある鋼板から打ち出した通称【バネガタナ】と呼ばれる衝撃を受け流し幾ら切ろうと刃毀れしない特殊刀。

 

 連綿と続く陰陽の加護を与えられたソレは達人ともなれば、一刀で大木を切り裂き、大岩を割る。

 

『全体。包囲しつつ殲滅せよ!!!』

 

 音声を伝える札から命令を受け取った学徒達は横一列に隊列を組んで山狩りの要領でその森を包囲していった。

 

『第三班。接敵しました。これより駆除に入ります』

 

『第七班。接敵しました。これより駆除に入ります』

 

『第十四班。奇襲を受けました。負傷者を交代させつつ防戦に入ります』

 

『第十一班。第十四班の援護に向います。陣形を黄憐の陣に移行します』

 

 次々に入ってくる伝令に的確な指示を出しつつ、指令所で紅亜はテーブルの地図を睨んでいた。

 

 その横には少女が一人。

 

 身を守れるようにと身に合わない刀を帯刀しつつ、床几(しょうぎ)に坐っている。

 

「紅亜殿。その、少し包囲が崩れているように感じるのだが、大丈夫なのか?」

 

 戦術に関しても一通りの知識は持っていたイフィミスラは地図の上で兵達の状況をリアルタイムで反映していく樹の駒を見つめた。

 

 二人の学徒が静かに伝令からの情報で駒を進めたり引いたりしながら再配置を繰り返している。

 

「ご心配なく。イフィミスラ様の言われる通り、多少包囲が崩れていますが、それはいつもの事なので」

 

「いつもの?」

 

「この一帯の【湧魔(ふつま)】はとても強く。本来は軍を投入して殲滅戦を行うのが常道。我々のような未熟者では完璧に殲滅を行える事も稀なのです」

 

「そうなのか?」

 

「学徒憲兵隊が出来てからは軍の緊急での出動頻度は格段に下がりました。これは学徒憲兵隊の期待されていた成果の一端であり、同時に宿命のようなものでもあります。外国の言葉で言えば、此処にいる者は全員が今後軍の“えりーと”として働くような人材ばかりなのですが、やはりそれでもまだ学徒……拙い事は否めません。此処は危険と隣り合わせの任をこなすことにより、自覚と強さと誇りを学ぶ場であり、その代価の天秤にはいつも命が掛かっている」

 

「そうか。凄いのだな。此処の者達は」

 

「はい」

 

 紅亜はイフィミスラの素直な尊敬の眼差しに堂々と答えた。

 

「それにしても此処での見学でなくとも、良かったのでは?」

 

 イフィミスラがフルフルと首を横に振る。

 

「ナーリャやエフィリムにはきっと分からぬだろうが、我はこういう事が幾分かは分かる。それに紅亜殿が戦っているところを見てみたかったのだ」

 

「いえ、本来賞賛されるべきは前線で戦っている学徒達で私のような後ろで指示を出すだけの者は戦っているとまでは」

 

 紅亜の謙遜は実際、正しいものだった。

 

 幾つかの陰陽の術法を修め、それなりに戦えもする紅亜だったが、実際にそれは学途中でも実戦における最低限度の嗜みであり、決して強いとは言えない。

 

 将として指示を出すにしても戦術的な事は現場の学徒達に一任していて、事実上はどの学徒が上に立っていても大きく戦略や命令が変わるわけではない。

 

 それはつまり兵員の損失による各隊の機能不全を未然に防ぐ万能型の兵を育成にしているという事に他ならないが、同時に個性というものを重視しなくなっているという事でもあった。

 

 誰が失われようと機能と統制を欠く事無き部隊。

 

 正にエリートという名が相応しい学徒達の活躍は画一化された次世代乂羅軍そのものの動きと言っても過言ではない。

 

「だが、それでも学徒達が命令を良く聞き、良く守るのはきっと紅亜殿だからこそ。我はそう思うぞ」

 

「ありがとうございます。イフィミスラ様」

 

 柔らかな顔で頷いた紅亜の顔に幕屋にいた他の者達が微笑ましいものを見た時のように和むものの、すぐにまた兵の顔となって状況の把握と命令の伝達へと戻っていく。

 

「ナーリャもエフィリムも炊き出しの手伝いをしているのだ。我こそこの場では役立たずと言うもの。だが、その分、紅亜殿の活躍しかと伝えよう」

 

 何も言わず。

 

 イフィミスラの言葉に背を押された気がした紅亜は再び新たな命令を出す事に没頭し始めた。

 

 その様子を見つめながらイフィミスラは脳裏で少しだけムッとしていた。

 

 勿論、それは紅亜にではなく。

 

 この場にいない。

 

 というより、この場に来られなかったというのが正しい少年に対して。

 

(どうしてお前は……我が知らない間に……ああいう者と知り合っているのだ。ティア……)

 

 今朝の事を思い出し、イフィミスラはモヤモヤとした内心を苦く思った。

 

 とても白い肌。

 

 長く白い髪と赤い瞳をした綺麗な少女だった。

 

 多少捻くれている感があるイフィミスラとは真逆に純真無垢そうな。

 

(土御門の姫、か)

 

 イフィミスラの胸がチクリと痛む。

 

 少年が自分の知らない少女と笑みを浮かべ合っている光景を、自分と同じような事をしてしまっている光景を、無意識にでも想像してしまって。

 

(馬鹿、馬鹿、大馬鹿者……)

 

 今、遺宋の都で何をしているのだろうかと少女は少しだけ幕屋の外、青い空へと視線を向けていた。

 

 出来るなら。

 

 明日一番にでも帰らなければと思いながら。

 

 *

 

 天御門分家本邸。

 

 今はもうお付すら帰って一人きりだった土御門の姫は御簾の中、一人の少年を迎えていた。

 

 本来ならば「下郎が!!!」と斬り殺されても文句は言えない所業だが、今や土御門烙南に付き従う者は一人もいない。

 

 貴人が居を移すとなれば今まで世話をしていた者が普通は付いてくるはずだったが、天御門と土御門の確執故か。

 

 全ての世話の仕方を天御門の下人達に伝えた従者達は誰も残る事は無かった。

 

「あ、あの……」

 

「何かな?」

 

 赤く鮮やかな毛氈(もうせん)に正座した烙南は未だ顔を上げられず俯いている。

 

「その……またお会い出来て、嬉しく思います」

 

「広い家だから確かにそうかも」

 

 そういう事ではない。

 

 少女にしてみれば、もう二度と会えないものと思っていた。

 

 まるで幽玄に現れて消えた少年。

 

 そういうものは中々現れないもの。

 

 そう昔から見ていた絵巻には描いていた。

 

 それでも今朝になって再び庭へ散歩に出た少女は少年を見つけた。

 

 黒い学徒憲兵隊の制服を着込んだ少年を。

 

 家の主である紅亜や他の少女達と共に歩き去ろうとする横顔を。

 

『もし!!』

 

 少女にしてみれば、今まで生きてきて一番大きな声を上げた瞬間だった。

 

 その声に振り返った少年が自分を見つけて、少し手を上げて応えてくれただけで、世界が広がった気がして、少女は内心の不安や寂しさを失ってしまった。

 

 少年以外が一様に驚いた表情をする中。

 

 自分の傍まで歩いてきた少年が「また会いましたね」とそう言ってくれただけで、身体の奥から太鼓でも鳴らしたかのような衝撃を受けて、少女は倒れそうになった。

 

 それを制服の腕が捉えて。

 

 また、同じ。

 

 そう、昨日と同じ事をされて。

 

 何とはしたない事かと脳裏の女の従者達が金切声を上げて。

 

 それも全てどうでも良くなって。

 

 少女はその場で泣いてしまった。

 

『その、大丈夫ですか?』

 

 困らせていると少女には自覚があった。

 

 少年の背後からは「何をしている貴様!?」と家の長である紅亜の驚きと怒りの声が聞こえていたし、少女達が遠目に唖然としてもいた。

 

 それから何も涙で何も言えなくなった少女に代わって「昨日の朝にちょっと……」と説明を果たした少年は責め立てられた。

 

 それを見ていられなくて。

 

 途中、「この方に良くして頂いたのです」と何とか言って。

 

 ようやく場が治まった後。

 

 少年が勉学の場へ赴こうとするのを手が勝手に引き留めた。

 

 少女の意思を反映したはずの手。

 

 しかし、そんな事を意識すらしなかった手。

 

 初めてだったかもしれない。

 

 少女が自分から我儘を言うのは。

 

『この方とお話を……させてくださいませんか?』

 

 その申し出に驚いた紅亜は少年を睨んで、幾分か悩んで、少年に問い掛けた。

 貴様はどうしたいのかと。

 

 少年は困った様子で、それでも後ろの少女達に一度近付いて何事かを囁くと、再び烙南の下に戻ってきて「あんまり楽しい話はできないかもしれませんけど」と控えめに笑った。

 

 そうして少年はそこに招かれた。

 

「……」

 

 たぶん、初めての客人だった。

 

 土御門烙南が天御門分家に来て。

 

 いや、生まれて初めて自ら招いた人という意味でもだろう。

 

「ティア様は天御門の御客人、なのですよね?」

 

「一応は」

 

「その、でしたら……此処での身分は同等。砕けた口調で構いません」

 

 男相手にそんな事を言ってしまう己のはしたなさに少女は赤くなった。

 

 でも、それでも、聞いてしまったのだ。

 

 少年の傍にいる自分と同じ位の歳頃の少女達が楽しそうに気軽な言葉を掛けているのを。

 

 いいなと羨んだ心は否定しても否定しても湧き上がって、心の大部分を占めてしまって、それでは話も出来そうになくて。

 

「いいの?」

 

「っ」

 

 呆気なく手に入れてしまった。

 

 少年が少女達にしていたのと同じ口調。

 

 それに舞い上がりそうな心地を覚えながら烙南はコクコクと必死に頷いた。

 

「じゃあ、僕もティア、でいいよ」

 

「ふぁ!? い、いけません!! 殿方をその、よ、呼び捨てには……」

 

 思わず声を上げて恥ずかしくなり少女は俯く。

 

「そう?」

 

「は、はぃ……女子(おなご)は殿方を立ててこそ、なので……」

 

 そうは言っても、わざわざ親しい呼び名を否定してしまっては少年に嫌われてしまうかもしれないと思い到った少女は必死に考え、閃いた。

 

「ぁ、ぁの……もし、よろしければ、その……」

 

「?」

 

「ぁ、兄様(あにさま)と……」

 

 思わず自分は何を言っているのだろうと少女は内心悶絶した。

 

 それでもそれ以外に良さそうな呼び方が思いつかなかった。

 

 男性に対する時の親しい呼び方。

 

 名前ではなくて。

 

 それでも不快にはさせない呼び方。

 

 一度も誰にも使った事の無いソレは少年にどう取られるだろうかと。

 

 また鳴り始める胸の奥の太鼓の音が少女の内で大きくなっていく。

 

「うん。烙南がそれでいいなら」

 

「!!?」

 

 己の呼び名。

 

 呼び捨ての名。

 

 一度とて男性に呼ばれた事の無い名。

 

 従者達は女ばかりで。

 

 育ててくれたのは女しかいなくて。

 

 自分が何の為に生まれたのかは知っていても、男という生物をついぞ二日前まで知らなかった少女は、フラリと、その声に感じる陶酔で倒れそうになった。

 

「大丈夫?」

 

 三度目。

 

 また抱かれた腕。

 

 その力強さが少女には何か特別なものに思えた。

 

 周りにいた女達の腕と大差ないかもしれない細さ。

 

 それでも確かに感じられた温もりから離れがたくて。

 

「~~~」

 

 ゆっくりと烙南はその名残惜しいと感じる腕の中から身を剥がす。

 

 陶然となりそうな意識を持ち直しながら。

 

「あ、兄……様……」

 

「何?」

 

 静かな瞳に吸い込まれそうになりながら、少女は微笑む。

 

「誰かを呼ぶのはこんなにも嬉しい、ものなのですね……」

 

「誰かがいないと人は自分に成れないものだから。烙南が見知らぬ他人として初めて呼ぶ名が僕なら、光栄に思うよ」

 

「兄様…兄様……」

 

 少年は微笑ましい少女の声に応え、髪を乱さぬように折り返された髪を撫ぜた。

 

「そういえば、烙南はどうして此処に?」

 

 何か楽しげな話題でも探そうかと少年が訊く。

 

 正に最も少女が喜ぶ、少女の本質たる質問を。

 

「はい。わたくしは土御門の中でも確率が高い者らしいので……天御門紅亜様との間に【神門(みかど)】となれるかもしれない御子を孕む為に」

 

 場に似合わない程、涼やかな風が屋敷の中を吹き抜けていく。

 

 固まる事こそ無かったものの、それでも自分を子を成す為だけにいる存在だと無自覚に語った少女に少年は少し、ほんの少しだけ目を細めて。

 

「そっか……」

 

 何事も無かったように優しく呟いた。

 

「その、わたくしでは無理かもしれませんが……」

 

「そうなの?」

 

「わたくしは、まだ…ぁ、穴が幼くて……」

 

 さすがに何のとは聞かなかったが、少年は少女がどういう風に教育されきたのか、その一端を発言から透かし見た。

 

「紅亜様とは昨日お話したのですが、他の方との夜のお勤めが忙しく。わたくしとは最後になるかもしれないと…」

 

 まるで自分が悪いのだと言わんばかりに気を落とす少女は“一般常識”を少年に語る。

 

 それがどれだけ歪んでいるのか。

 

 またどれだけ世間とかけ離れているのか知らぬまま。

 

「穴を慣らすのはこれから一人でするようにと言われていて。良い穴となれるよう蟲壺だけはあるのですが、一人ではそうなれるか……」

 

 不安そうに語る烙南に少年が訊ねる。

 

「蟲壺?」

 

「兄様(あにさま)は見たことがありませんか? 女子(おなご)の穴を殿方の悦ぶように変えてくれるものです。あ、今お見せしますね」

 

 まるで気分でも変えるように。

 

 自分の道具を自慢するように。

 

 御簾の奥。

 

 幾つか置かれた家具の中から烙南は自分の両手に収まる程の小型の壺を持ち出して少年の前に置いた。

 

「その……信頼出来る方か紅亜様にだけ見せるように言われていて、本当は紅亜様に最初に見せようと思っていたのですけれど。あ、兄様は信頼出来る方、ですから……」

 

 恥ずかしそうに微笑んで、少女が自らの着物の裾をはだけさせ、そっと壺の上に膝立ちで跨った。

 

「おいで…おいで…わたくしのホトを解す刻限です……」

 

 乂羅において女性器を示す古語で壺の中のソレを呼ぶ少女の瞳は濡れていた。

 

「ちょっと、ま」

 

 思わず止めようとした少年だったものの、壺の中から突如現れたソレはビュルルルルッと吹き上がるようにはだけた股の奥へと密着した。

 

「ぁ…ん…ふぁ…兄様…これが…蟲壺です」

 

 少年に見られながらフルフルと肌を震わせて。

 

 少女は自らの秘部を親しい者へ曝した。

 

 帯の下。

 

 薄暗い股下を見せるように少女が手で裾を開き持ち上げる。

 

 其処には薄紅色をした肉が蠢いていた。

 

 少女の滑らかな恥丘。

 

 その下にある割れ目に埋め込まれた柔らかな肉槍。

 

 そして、その槍を支え下着の形を模すように股間と腰を覆う肉布。

 

 張り付いた肉を透かして、少女の秘部は丸見えだった。

 

「ぁ♡ 兄様ぁ♡ わたくしの…此処…良い子…孕める♡ でしょうか♡」

 

 ビクビクと腰を震わせながら恥ずかしい場所を晒して、少女は問う。

 

 今まで心地良くはあったが、そんなにも背筋を震わせた事は無かったと、そう思いながら。

 

 見ているのが従者達ではなく“兄様”だから、こんなにも気持ち良いのだろうかと疑問に思いながら。

 

「烙南。もう十分に見せて貰ったから、戻してもいいよ」

 

 あくまで優しく少年が頭を撫ぜながら促す。

 

 しかし、常とは違う感覚と背筋を登る悦楽に少女の思考は蕩けてしまっていた。

 

「ぁ♡ はぃ♡ で、もぉ♡ この、子……くぅん♡」

 

 常とは違う使用者の状況を感じ取ったのか。

 

 蠢いていて烙南を貫いていた槍を覆うように肉布が完全に股間へと吸い付いた。

 

 溢れ始めた蜜を栄養源に蠢きながら、未だ触れられてこなかった包皮の中へ肉粒が殺到する。

 

「ひぁぁ♡ ちがッ♡ これぇ♡ いつもと違ってぇぇ♡ 兄様ぁぁ♡ 兄様ぁぁ♡ わたくひのぉ♡ らくなのあなぁ♡ へんですぅ♡ こんなぁぁ♡」

 

 ジュリュリュリュリュル。

 

 蜜穴と陰核を同時に解し、膣(なか)の襞一枚一枚を丁寧に調教しつつ、蟲壺から出てきた肉の塊は牝としての自覚を芽生えさせる為にゆっくりと中から小さな肉棒を引き抜き始める。

 

「あぁ♡ 出ていってぇ♡ ちゃんとぉ♡ いれ、いれないとぉ♡ いけません♡」

 

 自分から男を咥え込む為の調教を素直に受け入れ、そのまだ完全には抜けきっていないソレを押し込もうと手を伸ばして。

 

「烙南」

 

 少年が手を押し留めた。

 

「兄様ぁぁ……」

 

 蕩けた顔で上目使いに少年を見上げる少女が小首を傾げる。

 

「いつも、これでしてるの?」

 

「はぃ♡ 夜にはぁ♡ 御布団の中でぇ♡」

 

「そうなんだ。今までも一人で?」

 

「お付の者がこれでしてくれていましたぁ♡」

 

「そっか。なら、これからは蟲壺(コレ)じゃなくて僕がしてあげたらダメかな?」

 

 ゾクンと今までにない震えが烙南の背筋に走った。

 

(兄様がして…くれる? 兄様が…蟲壺じゃなくて……ッッ)

 

 蟲壺の肉棒が完全に抜け落ちた瞬間、烙南は達していた。

 

「ふぁぃ♡ 兄様ぁぁ♡ 烙南の穴♡ 良い子を孕める穴にぃぃ♡」

 

 震えながら問いに頷いた少女の股間に手を伸ばし、少年が肉塊を引き剥がす。

 

 今まで散々幼い穴を調教してきたソレは少年に捕まれた瞬間ショック死して、ベチャリと壺の中に落とされた。

 

「今日の夜になったら、ね?」

 

 急激に意識が落ちていくのを感じながら・

 

 少女は夜の事を思ってプチュッと蜜を一筋すじから滴らせた。

 

「……」

 

 少年が少女の意識が落ちた事を確認してから、死んだ蟲壺の中身を見つめる。

 

(最上級の【禁断蟲(エクソティシス)】。それも調整されてる。この子の膣(なか)の具合や動き方、形や開き具合まで全部行き過ぎないように管理してたみたいだけど……これが乂羅を支配する家のやり方……)

 

 精神こそ壊されない。

 

 苦痛こそ与えられない。

 

 しかし、心の底から別の常識を刷り込まれ、それが当たり前だと牝として徹底的な調教を施されている事には変わりなかった。

 

 徹底的というのがあらゆる欲望に応えられる存在か、如何なる男のものでも完成された乙女のように咥えられる存在か、という違いはあるものの。

 

「……いいよ」

 

 少年は、シンア・ザ・クリティカルアンラッカーは意識の無い土御門の姫に囁く。

 

「出会った以上は運命。この国が君を呪うなら、僕は君を呪う此処を壊そう。だって」

 

 苦笑して。

 

 本当に笑ってしまうくらい単純な理由を、少年は告げる。

 

「僕は君の兄様になったみたいだから」

 

 夜が来るまではまだ遠く。

 

 さりとて、闇が近づくのは世の常で。

 

(イフィミスラ。烙南との事。怒るかな……)

 

 明日、帰ってくる少女(イフィミスラ)の事を思い。

 

 少年はポリポリと頬を掻いた。

 

 何だか思いっきり魔術で吹き飛ばされそうだなという未来予想図が外れる事を祈りながら。

 

 *

 

―――大陸南東部ハルファス大森林深奥紀元の泉より。

 

 エルフ達が暮らす集落の中でも重要な箇所はとりわけ二つと言われている。

 

 一つは【宇宙樹(ユグドラシル)】とその周辺。

 

 一つは【紀元の泉】(テムポリヴゥス)と呼ばれる水源。

 

 魔力やその他の地脈にも繋がる泉は宇宙樹があるから生まれたのか逆に泉があるから宇宙樹が生まれたのかと言われるような共生関係にある。

 

 その半径一キロ近い湖の水辺に立つ屋敷に今日も人知れず高位の要職に付くエルフの親族達が呼び出されていた。

 

『では、次の者。ヴィナロイ・ファウの伴侶』

 

 湖を一望出来る部屋で順番を待っていた女達と子供達の一組が屋敷の廊下へと通された。

 

 長老達の署名がある召喚状。

 

 届けば行かぬわけにもいかない。

 

 先に子供を先に呼ばれ、後に呼ばれるからと宥められたエルフの女は一人示された通路の先へと子の姿を探しながら歩いた。

 

 やがて、黒い扉が眼前に現れる。

 

『入れ』

 

 その声に抗い難いものを感じながら、女が扉を開いて、目を見張った。

 

「え?」

 

「ぁ、おかあさまぁ♡」

 

『扉を閉めろ』

 

 ギチッと女は声の命ずるまま、扉を閉めて、呆然となる。

 

「はぁぁ♡ とってもおいしいです♡ アーフル様ぁぁ♡♡」

 

「おっきいです♡ オマンコ疼いちゃうよぉ♡♡」

 

「好きです♡ 沢山、私のまんまん使ってくださいませ♡ アーフル様ぁ♡♡」

 

 傲岸不遜。

 

 そのような態度で椅子に座ったダークエルフの幹に舌を這わせているエルフの少女達の中に自分の娘を見つけて、女は走り寄ろうとした。

 

 しかし、身体は動かない。

 

 それどころか。

 

 声すらも出ない事に女が気付く。

 

「さっきしてもらったばっかりじゃない♡ アーフル様も今度は他の子が良いですよね? わ、私の赤ちゃんの穴一杯濡れてます♡ ど、どうですか♡ 他の子よりも小さくてぇ♡ 淫乱な穴なんです♡」

 

 えらをしゃぶり、幹をしゃぶり、玉をしゃぶり、鈴口に舌を這わせる少女達。

 

 その熱心な様は胸に差す怒りとも恐怖とも付かない感情とは別に女の股間を熱くしていく。

 

「アルフィーヤ、だったか? お前の母に何か言う事は無いのか?」

 

 クツクツと顔を歪ませながら笑んで、アーフル・ナーシムは自分の股間に顔を埋めていた美しい娘達の一人に促した。

 

「はい♡ おかあさまぁ♡ いま、いまねぇ♡ あーふるさまのおちんちんおしゃぶりしてさしあげてるんだよぉ♡ きょうからみんなであーふるさまのあかちゃんはらませてもらえるんだってぇ♡」

 

 一体、短時間で娘に何があったのか。

 

 知る由もない母は娘の変わりように絶望するより早く火の【要素(エレメント)】をダークエルフへと奔らせていた。

 

 小さな火球がアーフルの頭部に炸裂する寸前、掻き消える。

 

「!?」

 

 身体や口が動かなくとも魔術体系、超常の力は発動するものだったが、それにしても何をしている様子もないアーフルが力を防いだとは思えず。

 

 正体不明の現象に女の身体がガタガタと震えた。

 

「どうぞ♡ アーフル様。エルニーヤのおまんこをお使いください♡ も、もうおしゃぶりで我慢出来なくなって…あ、赤ちゃん早く欲しいよぉ♡♡♡」

 

「自分で入れろ」

 

「はい♡♡ あ…んあああああああああああッッッ♡♡♡」

 

 少女達の一人が未だ着ていた服を脱ぎ捨てて、自ら男の怒張を跨いだ。

 

 グッともう濡れていた割れ目に先端が潜り込み。

 

 少女は体重を掛けて自分を貫く。

 

 それでも未だ幼い少女達の奥までは浅く。

 

 一番奥を貫かれて舌を出して喘ぐ仲間の下。

 

 少女達が余った幹に玉に再びしゃぶりつく。

 

 唾液と蜜に股間を塗れさせながら、アーフルが女を睨んだ。

 

「来い」

「?!!!」

 

 女の身体が言われるがまま従って椅子の前、少女達の前まで歩いていく。

 

「あっ♡ あっ♡ ひぅっ♡ ん゛♡ じゅぼじゅぼ凄いのぉおおお♡♡♡」

 

 目の前の大人の事など目に入っていないのか。

 

 アーフルの上で何度も奉仕するように幹を絞っていた少女の顔は淫悦と幼い羞恥に染まり、今にも達しそうになっていた。

 

「おくぅ♡♡ アーフル様のおちんちんでぇ♡♡ 幸せなのぉおおおおおッッッ♡♡♡」

 

 自由を奪われた女は目の前で大人顔負けに乱れてみせる子を何処かで見たように感じて、思い出す。

 

 近頃見なかった近所の少女だった。

 

 エルフの集落の中でも高い地位にある自警団長の娘。

 

 どうしたのだろうかと頭の片隅にあった顔は今や。

 

「ピーリヤ様みたいにしてぇぇ♡♡♡ 孕むだけの子にしてぇぇ♡♡♡ 赤ちゃんアクメしゃせてぇぇ♡♡♡」

 

 ドプン。

 

 幹を駆け昇った精がエルニーヤと名乗った少女の子宮を直撃した。

 

「んぁああああああッッッ♡♡♡」

 

 ビシャビシャと穴から噴出した精が舌を這わせていた少女達の顔を汚す。

 

「ふぁぁ♡ もっと赤ちゃんの種くださいませぇ♡♡」

 

 舌に掛かる精を何度も何度も啜りながら、再現無く精で汚れていく床や仲間達の顔や服に少女達の顔が寄せられる。

 

「悪い子だ。オレの子種をこんなに零すとは…」

 

 パチンとアーフルが余裕の表情で指を弾く。

 

 部屋の奥。

 

 赤黒い緞帳で覆われていた壁の中から灰色のものが飛び出してくる。

 

 はっはっはっと唾液を垂れ流しながら目を血走らせたエルフの大人程もあるだろう体躯。

 

 巨大な狗が吠える事なくアーフルの手の下に頭を差し出した。

 

「しばらくコイツの子でも孕んでいろ。三匹産んだらまた相手をしてやろう」

 

「はぃぃぃ♡ ごめんなさい♡ アーフル様ぁ♡ エルニーヤはこの子の狗おちんちんで孕んで反省しますぅ♡ ど、どうぞ、エルニーヤの此処に貴方のおちんちんでびゅーびゅー赤ちゃんの種くださいぃ♡」

 

 躊躇う事なくアーフルに言われたまま、自らの腰を引き抜くと床に伏せて、その巨大な狗にエルニーヤが尻を突き出す。

 

 おおおおおおおおおおおおおおおおおおん。

 

 嬉しそうに一声啼いた狗が躊躇なくその未だアーフルの種が溢れる秘裂に長く細いソレを突き入れた。

 

「ひぃあああああああああああああああああ♡♡♡ 赤ひゃんのお部屋入ってるよぉおおお♡♡♡」

 

 ジュボッジュボッジュボッとリズミカルに腰を振る狗のペニスに卑猥な変形を強制された秘部は何度も何度も白濁を零した。

 

 悪夢のような淫らさで狗に侵されている間もエルニーヤの顔には嫌悪一つ無かった。

 

「さて、待たせたな。ヴィナロイ・ファウの伴侶、オーヴィーナ・ファウだな?」

 

 自然と恐怖のあまり涙を零していた女は何故か悪魔のような男の質問に頷く。

 

「お前に訊きたい事がある。お前の夫は湖の管理人だったはずだ。そうだろう?」

 

 どうして目の前の悪魔のような男に素直に頷いているのか。

 

 分からぬままオーヴィーナがガクガクと唇の端から泡を吹き始める。

 

「それでだ。お前の夫が在任中、とあるものを持っていたはずだ。小さな鍵の形をした……見たことはあるか?」

 

 首肯。

 

「そうか。それをたぶんお前の夫は何処かに隠した。お前はそれを知っているのではないか? オレはそれが欲しい。在り処を知っているならば、教えろ」

 

 首を横に振ろうとして、何かをイメージした脳裏が、思い出した。

 

(確か娘に……記念だからと夫が……)

 

「ほう。ならば、解決だ。よくやってくれた。褒美として親子共々オレの子を孕むだけの人生を送れるように図ってやろう。アルフィーヤ」

 

 名を呼ばれて、歓喜に潮を吹きながらエルフの少女が立ち上がる。

 

「は、はぃ♡ アーフル様♡」

 

「胸を見せろ」

 

「わ、わかりましたぁ♡」

 

 上を脱いだアルフィーヤの胸元には鈍く輝く金属製の鍵が下げられていた。

 

「ど、どうですか♡ アルフィーヤの胸」

 

 胸元の鍵の付いた紐を引き千切り。

 

 少女の腰を抱いたアーフルが、期待に震える少女の唇に吸い付いた。

 

「ん♡ んむぅ♡ んんん♡♡♡」

 

 言葉も無く。

 

 蕩けた表情で舌を受け入れたアルフィーヤが指を腰元に這わせる。

 

 唇を離したアーフルが微笑んで立ち上がった。

 

 犯されているエルニーヤを置いて緞帳の奥へと向かっていく。

 

 幾重にも重ねられた厚い膜がアーフルが歩く度に開かれ、それに少女達とオーヴィーナが連なるように付き従っていく。

 

「到着だ」

 

 やがて、全ての緞帳の先へと全員が抜けた。

 

 湯気。

 

 それと嬌声の多重奏。

 

「おぅッ♡ おうッッ♡♡♡ んおおおおおおおおおおおおおッッ♡♡♡」

 

「ひぁああああああ♡ 生まりぇるぅうううううううううううう♡♡♡」

 

「あ゛♡ あ゛♡ アーフルしゃまぁ♡ 今、産まれまひたぁ♡♡♡」

 

 広場の中央にある巨大な湯船の中、女同士で交合(まぐわう)者の声。

 

 破水の音。

 

 乳房を吸う音。

 

 未だに未熟な蜜穴を巨大な狗達のペニスで広げる音。

 

 新しい命の始まりの産声。

 

 それに悦びの声を上げる胎の膨れた少女達の声。

 

 出産したにも関わらず、すぐ欲望に囚われ、寝そべった狗達のペニスを使い自慰に耽る水音。

 

「――――――」

 

 もはやこの世のものとは思えない淫獄の地が其処にあった。

 

 オーヴィーナと呼ばれた女の理性はその光景を目にした瞬間、朽ち果てて、そうしてようやく彼女は身体の自由を取り戻す。

 

「アーフル様。どうぞオーヴィーナの子供を生んだ使用済みのおまんこをお使いください」

 

「楽しみにさせてもらおう。だが、その前にまずはこの子からだな」

 

「アーフル様ぁ♡」

 

 産まれたての小鹿のように震えながら、アルフィーヤが恋した乙女のように首筋に口付けた。

 

 その様子に女達から祝福の声が上がる。

 

 やがて、親子の嬌声が辺りに響き、二つの命がその胎には宿された。

 

 そうして女達がいる場所で多くの命が産まれていた頃。

 

 緞帳に隠された一角。

 

 狗達の食事に為り掛けた者が一人。

 

「オー…ぃー…あ…る…や………」

 

 狗の餌としてようやく、その胃袋へと収まった。

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