※この作品はR-18です。

聖娼館ハルトゥム   作:Anacletus

237 / 318
かなり書き上がっているので3日に一回の連続投稿で四回程投稿するかと思われます。では、次回。


第三章百二十九節★

第三章百二十九節「取り戻した日常Ⅸ」

 

―――アルヴァス亜人国首都ハガス南部月兎亭。

 

 少年が通された部屋は通常の間取りとは違う楕円形をした一室だった。

 

 室内は十五畳程と広く。

 

 その半分程をやはり丸みを帯びて潰れたような楕円型の寝台が占領している。

 

 大きさもさる事ながら、その寝台で最も特徴的なのは淵の部分が高く、中央へ向かって擂鉢状に緩く僅かな高低が存在する事だろうか。

 

 淵に足を掛けて座れば、僅かに膝裏が引っ掛かる形だ。

 

 ただ、寝台そのものの全高が低く抑えられており、絨毯と近いので大柄な者には膝丈が寝台の高さ的に余るだろう。

 

 室内の調度は全て飴色のアンティーク調な代物で統一されており、奥にはバスルームとトイレが一つ。

 

 壁紙が薄桃色で壁際に暖色で統一された紙筒で覆われた洋光(ランプ)が複数在り、雰囲気は良いものの、暗さとは無縁で周囲を明るく照らし出している。

 

 寝台横の台には香が既に焚かれてあり、甘いというよりは濃密と言うべきだろう白檀にも似た香木の身体を火照らせる匂いが充満していた。

 

 朝、沐浴は済ませてきていたものの。

 

 街の雑多な香りに染められていた璃紗は少年を誘って少し狭いバスルームへと入り、一つの湯船にもう張ってあったお湯へと身を浸した。

 

 薄っすらと湯煙の中。

 

 少女は幼い身体に身重な胎を抱えながらも少年に甲斐甲斐しく尽くし。

 

 素手で石鹸を伸ばしては少年の身体を隅々まで洗い。

 

 洗い終わって湯船に入れば、少年に甘えながらも何度も自分を背後から抱き止める腕を撫でながら自分の身体へ触れさせた。

 

 湯殿の中。

 

 もう少年の幹は太くそそり勃っていたが、少女は寝台に行くまではとただ心地よくイチャイチャと指を絡めつつ湯浴みを愉しみ。

 

 出る段になってからは少年と互いに用意されていたタオルで身体を拭き合い。

 

 用意されていた香油を少年の身体に自分の身体を重ねるようにして塗り伸ばした。

 

 ヌチュヌチュと幼くも母となった少女の瑞々しく初々しく……それでいて牝の匂いをさせる肌が複数種類のハーブの効能を抽出された油で薫りを立ち上らせ。

 

 互いに身体を香油で弛緩させた二人が寄り添うようにして寝台に座る。

 

 その時になって見計らっていたかのようにノックが二回。

 

 どうぞと少年が呟くと。

 

 ドアが開いて璃紗と同じくらいだろう歳の少女達が自分達の性を何一つ隠さない下着姿で頭を下げてから列を作って入ってくる。

 

 その瞳はこれから行われる事を思ってか不安と期待と緊張と淫欲に染まっており、中にはもう僅かにすじを濡らしている者もいた。

 

「あ、みんな……」

 

 璃紗が嬉しそうな笑みで入ってきた少女達。

 

 自分の月兎亭にいた時の仲間達の姿に高揚した表情を見せる。

 

「り、璃紗……その……時々来てるから知ってたけど……赤ちゃんの事……おめでとう」

 

 一人の獣人の少女が祝福すれば、次々に少女達からの声が相次いだ。

 

「やっぱり、もうご主人様を持ってる子って……何か違うね。璃紗」

 

「うん。大人っぽくなったもん」

 

「あぅぅ。こんなに凄いので璃紗毎日してもらってたんだ……」

 

「っ、おっきぃ……」

 

 少年のそそり勃った幹を直接目の当たりにして驚きと喉の渇きを覚えた少女達が染まっていた頬を更に赤くし、とろんとした瞳となる。

 

「みんな……イクスとするところ……見てて? 凄く今……璃紗は幸せだよ」

 

 疼いた身体の奥から湧き上る衝動に身を任せて。

 

 少女は立ち上がると自分の主に視線を向ける。

 

 コクリと頷いた少年に嬉しそうな笑みを返して。

 

 その小さな身体には不相応に膨れた腹部を大事そうに抱えながら。

 

 少女は少年と向かい合うようにして寝台の縁に脚を掛けて立ち上がり、抱き付くようにして四つん這いの姿勢となり、胸に顔を埋めて……仲間達に自分と大好きな人の行為が見えるよう腰を上向けた。

 

 それはまるで璃紗が少年を襲っているようにも見える。

 

 香油で塗れ照ら映える腹部から股間までの曲線と少しだけ肉厚になった臀部。

 

 まだ大人の証拠とも言える陰毛も生えないピッタリと閉じられたすじが糸を引かせて蜜を零し、少年の幹の先端に吸い付く。

 

「ぁん……これがイクスのおちんちん、だよ? 璃紗に一杯一杯種付け交尾してくれた……お腹に赤ちゃん仕込んでくれた……孕ませてくれた……見せてあげるね……これから璃紗がおまんこでご奉仕するところ♡」

 

 ニュグッ。

 

 蜜をすじから溢れさせながら、幼い膣内(なか)へと少年の先端が押し込まれていく。

 

「ふぁ、ぁ♡ んぅ♡ っく♡ イクス大きいよぉ♡ いつもよりも太くてぇ……♡」

 

 ハァハァと舌をチロリと出しながら吐息を零して。

 

 蕩けた表情で璃紗が自分の体重を掛けて、とても入らなそうにも思える太さと大きさの少年の幹を自分の中へ受け入れていく様子に周囲の少女達は顔を赤くしながらも、何処か憧れた様子で唾を飲み込み……モヂモヂと股間を切なそうに擦り合わせた。

 

 ドヂュ……グヂュルル、ゴヂュル。

 

 ゆっくりと腰が落ち切ると。

 

 妊娠後に襞が厚くなった膣は幼いながらも少年の幹を受け入れる包容力と弾力。

 

 そして、幹を最後まで完全に受け入れ、子宮口を押し潰されながらも少年に自分の意思で奉仕する自在な動きを可能とした。

 

 ジュグルルルル。

 

 孕んだ腹部の曲線から汗が滴る。

 

 その合間にも繋がった少年の幹をしゃぶるように襞の形態が変化し、繊毛状となった膣壁が腰側に当たる少年の傘の中央から下を何度も優しくなぞるように蠢いた。

 

「っく」

 

 少年の身体が震えて、璃紗の腰を僅かに強く掴む。

 

「ぁん♡ 見てぇ♡ いまぁ♡ イクスのおちんちんで璃紗の赤ちゃんのお部屋の入り口ぃ♡ グヂュッてぇ…… 抉られてぇ♡ これが種付け交尾だよ♡ みんなぁ♡」

 

 思わず唾を飲み込んだ少女達は少年の大きな睾丸の上に尻が汗を滴らせながら、その幹を咥え込んだ様子に釘付けだった。

 

 蜜が零れて滑らかに照り返される二人の交わる場所。

 

 ひくつく尻穴まで丸見えにしながら、確実にすじよりも太く見える少年の幹が肉の穴を拉げさせて入っていく瞬間に軽く背筋を震わせて、達する者もあった。

 

 フルフルと尻と背筋を見られる羞恥と背徳に震わせて。

 

 まるで子供に教育する大人のように、妖しげな笑みで璃紗がゆっくりと腰を引き抜く。

 

 ヌリュリュリュリュゥ。

 

 滑らかな二人の蜜が幹全体を照り返す。

 

 引き抜かれる時に太くなったのが全ての光景を余さず見ていた少女達には丸分かりだっただろう。

 

「交尾ぃ♡ イクスとの交尾見られちゃってるよぉ♡ 赤ちゃんいるのにぃ♡ 気持ちいいからまた種付け交尾してるところぉ……」

 

 甘えた声でもう少年に犯して欲しいと切なそうな表情で訴える璃紗が唾液を零しながら、僅かにフリフリと腰を左右に揺らした。

 

 グヂュ、ヂュグルル。

 

「璃紗ッ もう、するよ?」

 

「うん♡ うん♡ してぇ♡ イクスが璃紗のご主人様でぇ♡ 璃紗を孕ませて、どうやって赤ちゃん作ってくれたのか見せてあげてぇ♡」

 

 少年が両手で自分の上に跨る璃紗の細い腰を上下させるように動かす。

 グヂュ、グヂュ、ヂュゴ、ヂュグヂュグヂュグ。

「ひぁぁぁぁ♡♡ んゃぁぁ♡ イクスぅ♡ いいよぉぉ♡ イクスのおちんちんでグヂュグヂュってぇぇ♪ ひぐぅ♡ 璃紗のおまんこぉ♡ イクスのおちんちんで可愛がってぇ……」

 

 背筋から駆け上がる襞が傘に抉られる甘美な衝撃がゾクゾクと背筋を這い上がり、璃紗が甘い喘ぎ声で舌を出して狗のように鳴きながら、膣内(なか)を蠢かせる。

 

 抽挿の度にグヂュグヂュと子宮口を抉られる度にまだ幼い身体を牝の悦びで震わせて。

 

 少女が女としての幸せに浸る様子に見ていた少女達はもう自分のすじや淫核(クリトリス)や乳首に触れて、己を慰め始めていた。

 

 そんな最中も子宮口から全身に響く衝撃に璃紗は全身を戦慄かせ、少年の幹は限界に向かって膨れていく。

 

 そうして完全に怒張した亀頭が一際大きく一番奥を捏ね潰すように押し込んだ時。

 

「っ」

 

 ビュボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ。

 

「ぁぉおおおおおおぉぉおおおおおおおおおおおおおぉおおぉぉぉッッッ♡♡♡」

 

 背筋を逸らせて、少年の掴んだ腰を更に深く沈めて、璃紗は絶頂していた。

 

 子宮口から先に入り込めなかった大量の白濁が膣内(なか)に溢れるも、繋がった入り口はきつく少年を扱き上げて精を吸い上げ、内部で溜まって膨れていく。

 

「みんなみてぇぇぇ♡ りしゃがたねつけこうびでめしゅいぬになるところぉぉぉ♡♡ たねちゅけれおにゃかのこもいくしゅのあかひゃんれきひゃうよぉぉ♡♡」

 

 膨れていく腹部。

 

 膣内の精の量が限界を迎えるより先に我先にと我慢出来なくなった璃紗の同輩達が少年と璃紗の股間へと群がり、その蜜と精の匂いに陶酔した様子で舌が届きそうな程に顔を近付ける。

 

 やがて、少年の放精が終わろうという頃。

 

「ぁ♡」

 

 今まで少年を絞り上げていた膣内と入り口が長い絶頂を終わら始めて緩んだ。

 

 途端。

 

 ボバッ。

 

 まるで破裂するかの如く。

 

 二人の蜜と汗に濡れて繋がった部位から白濁と璃紗の蜜が交じり合いながら溢れ出した。

 

 「~~~~っ♡♡♡」

 

 股間に群がっていた少女達がビチャビチャと顔を濡らす精の匂いで背筋を震わせ、すじの奥をジュクジュクと潤ませながら達し、思わず舌を出して夜露で上を凌ぐように二人の濃密な馨を味わい飲み干していく。

 

 完全に発情した少女達の股間から僅かに潮が吹き。

 

 粘着いた蜜と絡んで床を濡らした。

 

 その合間にも股間に群がった少女達は其々代わる代わる舌で互いの顔や二人の繋がり続ける場所の白濁を舐め取っていく。

 

 娼婦として教育された少女達の誰もが男を悦ばせる為の行為は一通り学んでおり、その舌先の愛撫は丁寧だった。

 

 ある者は少年の更に膨れたようにも思える大きな睾丸を片方ずつ他の者と一緒に唇と舌先でしゃぶり上げ、ある者は少年の今も太さを減んじない幹を舐め上げ、ある者は二人の尻穴や臀部へ口付けして肌の味を舌の上で躍らせる。

 

「ゃぁぁ♡ みんなになめられてるよぉ♡ りしゃだけのいくひゅなのにぃ♡ いくひゅのおひんひんもおっきいたまたまもおひりのあなもりしゃのなんらよぉ……」

 

 仲間達の始めての口淫で本来自分だけが知っていたはずの行為が行われてしまう事に嫉妬を口にするも、尻穴や臀部、繋がった場所までも舐め上げられて、その顔は蕩け切った様子で再びの快楽にだらしなくとろんと緩んでいた。

 

「ぁっ♡ あっ♡ ひくぅ♡ らめぇぇ♡ おひりのあにゃくにゅくにゅひちゃぁ♡ おひりおまんこはいくひゅのらのぉ♡♡」

 

 少女達は大量の精と蜜を舌で舐め取り、味わいながら唾液で二人の股間を清めていく。

 

 そうして、少年が璃紗の膣内から亀頭をゆっくりと抜いた瞬間。

 

 ちゅぽんと音がして、再び璃紗のすじから大量の白濁が零れ落ちた。

 

 それを待っていたかのように数人の少女達が口で受け止め、コクコクと喉を鳴らしながら飲み干し、殆ど流れ出たところで璃紗のまだ薄く少年に貫かれた穴が覗く穴に舌が捻じ込まれる。

 

 ジュズルルル、ヂュルルルルルルル。

 

「ひぁああぁあぁあぁ♡♡♡ いくひゅのこだねのんだら、らめらのぉぉ♡♡ りしゃのなんらからぁぁ♡♡」

 

 自分の中から愛しい少年の精が吸い出されて行く事に言葉では抵抗しても、その甘美な複数の舌の口淫の快楽に逆らえず。

 

 璃紗の顔は甘く歪んで背筋がブルブルと震えた。

 

「お慰め致します。イクス様」

 

 口々に少女達が呟いて、その今まで少年の精を舐め取っていた舌で完全に姿を現した少年の幹の先端から睾丸の裏までしゃぶり始めた。

 

 大きな亀頭を最も先に口内に頬張った少女は舌先で傘の裏を丁寧になぞり上げながら、何度も少年の鈴口から零れていた蜜を吸い上げ。

 

 竿は中央と左右で三人ずつが同時に舌先で捏ねるように刺激しながら上下させ。

 

 玉は左右に二人ずつ上下で分かれて口内に含んで優しく転がし。

 

 尻穴には一番下先が長いものが吸い付いて内部を優しく解す。

 

 まだ穢れを知らなかった無垢な舌は今や一人前の娼婦と同じ。

 

 いや、それ以上に艶ややかな快楽を二人に齎し。

 

 その雄と牝の味と匂いを溺れるように味わっていた。

 

「ぁぁぁあぁぁ♡ まらぁぁ♡ まらきもひよくなっひゃうよぉぉ♡ いくひゅぅ♡ ごめんなひゃぃぃ♡」

 

 背筋が再び焼けていく。

 

 その甘く切なく留め切れない牝の本能に逆らえず。

 

 少年以外の手で絶頂するのを謝りながら、璃紗が背筋をまた逸らせる。

 

 目の前で最初に達する時は確認出来なかった少女の痴態が露となる。

 

 舌と唾液を零した唇。

 

 八の字を描いて歪んだ眉。

 

 瞳は快楽に潤み切って、僅かに上向き。

 

 蜜と汗と精に塗れた大きな腹部が艶やかに明かりを照り返す。

 

「あっ♡ あっ♡ っっ♡ あぁあぁあぁ~~~~~~っっっ♡♡♡」

 

 ビクビクと全身を痙攣させながら、腹を揺らして、ブチャァアアッと盛大に潮をすじから吹かせながら、璃紗が再び絶頂した。

 

 ヘタッと自分の身体に寄り掛かって、未だに痙攣しながら達し続ける少女の額に軽く口付けして、自分もまた達しようとしていた少年は璃紗から口を話すよう少女達に言って、動魔術で浮かせて仰向けにすると自分の腹の上に乗せるようにして股を開かせた。

 

「今度はみんなにあげるよ。璃紗」

 

「いくひゅぅ♡ やぁ♡ いくひゅはりしゃのらのぉ♡」

 

「璃紗にも沢山上げるから、ね? この子にも」

 

「ぁぅ♡」

 

 少年が未だ少女達の口淫で舐められ続けた幹を太く固くそそり勃たせながら、自分の手で璃紗の手を取り、共に大きな腹の上に置いた。

 

 優しく滑るまろみを帯びた肌を一緒に撫でれば、中で動く様子が他の少女達にも分かった。

 

「いま、うごいたよぉ♪ このこもいくしゅのことすきっていっれるよぉ♡」

 

「うん。ちゅ……」

 

「っ♡」

 

 少女の頬に口付けする様子に口淫で少年を高ぶらせていた少女達の何人かと璃紗から唇を離した者が全員、良いなぁという羨ましそうな顔となった。

 

 それを未だ快楽で明滅する視界の中で捉えて。

 

 少しだけ自慢げに璃紗の顔が緩む。

 

「もう、出すから……ね? 璃紗」

 

 コクリと頷いて。

 

 少女は少年の幹が自分の股間を超えて大きく震えるのを目撃した。

 

(ぁあ、イクスが他の子のお口で出しちゃう……璃紗以外のお口で……おまんこ切ないよぉ また交尾して璃紗の匂いにしないとダメなのぉ……)

 

 少年を占有したいという欲求にまた発情しながら、少年が達するのを何もせずに我慢して見守り。

 

 少女達が射精の前兆を感じて一層激しく舌を使って、亀頭を咥えていた少女が鈴口を大きく吸い上げた後、すぐに顔を離した。

 

 ジュボンと音がして唇が離れた瞬間。

 

 ビュブルウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ。

 

 先程と同じか。

 

 それ以上に大量の飲み下すのも一苦労だろう濃ゆく粘着いた精が火山の噴火のように吹き上がり、少女達と璃紗の間に降り注ぐ。

 

 それを口を開けて舌先で受け止める者。

 

 股を開き、股間を上に突き出すようにして、自分の指で開いたすじに受け止める者。

 

 胸や顔、其々思い思いの場所に誰もが匂い立つ熱さを受け入れた。

 

 歓声が上がる。

 

 絶頂した者は多く。

 

 恍惚として肌やすじや尻穴にソレを塗り込み、伸ばす者も多い。

 

 しかし、璃紗はその自分だけの精を仲間達に取られて、少し切なそうにしながらも、腹の上へ大量に降り注いだソレを優しく塗り伸ばす作業に忙しかった。

 

 少年の手がそれを一緒に手伝えば、少女の腹に性魔術の方陣が浮かび上がり、朧げな耀きを強めながら光を増していく。

 

 精が肌に吸収され、お胎の子に生気として還元されていくのを少女達の誰もが目撃する。

 

 少年に背中から抱擁され、新しい命と共に微笑む璃紗の姿に憧れと微量の嫉妬と祝福を感じて、誰もが同じ言葉を口にする。

 

「おめでとう。璃紗」

 

「璃紗っち。おめでとー」

 

「璃紗ちゃん。おめでとう。幸せになってね」

 

「璃紗さん。赤ちゃん生まれたら見せてよ? 絶対よ?」

 

「おめでとう。璃紗とイクス様の赤ちゃん早く見たいな~」

 

「イクス様にみんな身請けして貰えばいいんだよ。だって、イクス様は魔王様なんでしょ?」

 

「魔王様は女を一日で千人抱いても枯れない精力の持ち主だって、ご、ご本で読みました!!」

 

「私達だったら、イクス様のあ、赤ちゃんなんて高望みしませんから、その…あ、愛人とか妾とか後宮の娼婦兼女官として雇ってもらってもいいかも♪」

 

 夢の広がる少女達の妄想に慌てた璃紗が声を張り上げる。

 

「だ、ダメぇえ!? い、イクスは璃紗のイクスなんだからぁ!! こ、これ以上増えちゃうのはダメなの!?」

 

 それに『冗談だよ。璃紗っち相変わらず真面目なんだからぁ』と少女達は苦笑したが、その少年の精を受けた牝の笑みは……少なからずまた少年に抱かれたいという劣情に満ち満ちて発情した誰もが股間の下に大きな蜜溜りを作っていた。

 

 それを分かっているからか。

 

 璃紗は急にしっかりした様子になるとその腕を少年の首筋に絡めて、自分のものだと主張する。

 

「イクス!! ダメだからね!! これ以上、女の子をハーレムに増やしちゃダメだからね!! イクスとの時間無くなっちゃうんだから!! そうしたら、イクスの事、嫌いになっちゃうわ!!」

 

「璃紗……」

 

 必死な幼い少女の言葉が、求めてくれる姿が、愛おしく。

 

 少年は優しくまたその新たな命を宿したからだを後ろから抱き締めて。

 

「えっと、近頃アルメイアと話してる事があって……その内に時間は沢山取れるようになると思うから」

 

「そう、なの?」

 

「うん。僕の身体を一杯に増やして一つの心で動かすみたいな……そうしたら、この子達も一緒にしてあげられ―――」

 

「イ、イ、イ」

 

「い?」

 

 少女は何も分かっていない少年に涙目で叫んだ。

 

「イクスの馬鹿ぁあああああああぁあ!!」

 

 『イクス様のところに就職します』という標語が、後に少女達の親に等しいベルンを困らせ、奮闘させ、諸々の大事件へと発展していく事になるが、それはまた別の話。

 

 今はただその場において少女を泣き止ませるというのが数十年も生きてきて女心の分からない少年の背負うべき責任であった。

 

 後に他のハーレムの少女達から少年は責められる事となる。

 

 この女心の分からないダメ魔王め、と。

 

 *

 

―――大陸中央南東部藩落。

 

 この五年、大陸中央より先にある南東部は戦乱の只中にあった。

 

 戦争。

 

 統一された今でなら紛争や内戦と言い換えてもいいだろう。

 

 この都市国家群間の大規模闘争。

 

 その終結は二年前まで遡る。

 

 時の藩落内での序列1位と2位であるアーズトリテとエーデリア。

 

 そして、最下位である双來(そうらい)が手を組んで新た藩落の再興へと各国を同意させたのだ。

 

 紛争の中心地であった双來は数度にも及ぶ他の都市国家の侵略を全て撃退。

 

 疲弊した軍と国民の厭戦感情に主戦論は頓挫。

 

 七教会が介入する以外の紛争においては最も穏便な形で事が収まったと言える。

 

 現在、その三つの都市国家が中心となってアーズトリテが経済と外交、エーデリアが政治と統治、双來が軍事と物流を司る事で新国家となった藩落は百年以上の年月を超えて再出発する運びとなった。

 

 現在の主な税収は南部の帝国と大陸中央諸国への主要行路開通から来る関税収入とアーズトリテからの魔術具の国外下請けに特化した輸出とエーデリア原産の瑠織の売買だ。

 

 大陸で最も新しく出来た国家は大陸中央諸国との間にはまともな国交こそ無いが、経済的には交流が出来つつあり、そちらからの様々な文化が流入し続けている。

 

 そんな状況から今では久方ぶりの平和と最新の文化を愉しむ余裕が国内では生まれていた。

 

 誰も彼もが浮かれ気分。

 

 だが、しかし、そうではない者もまた存在する。

 

 それは各国に潜み情報を抜いて持ってくる【草(エージェンス)】と呼ばれる諜報部門の者であったり、軍事部門において新たなる国家の敵へと立ち向かう部隊の者であったりするだろう。

 

 その中でも一際信頼され、今ではデスクワークを進められる一人の男がようやくの大仕事を終えて返ってから数ヶ月の休養を経て、今正に新たなる任務に付こうとしていた。

 

「と、言うわけなのよ」

 

「そうですか。私がいない間に其処まで調べて……」

 

 鉄の兜と仮面を被った白い騎士の正装たる鎧を身に付けた男。

 

 双來への他国からの大規模侵攻を4度退けて見せた英雄。

 

 一年以上月と本星の間にある天蓋蒼星(メイズ)へと出向いていた彼。

 

 マウロ・フレステント。

 

 四人の妻を持ち。

 

 英雄色を好むと影では言われる男が崖にへばり付くようにしてある城の内部。

 

 執務室が連なる一角で自分の妻。

 

 シャルア・リクト・フェス。

 

 対外的には未だ外交官として働き、姓も変えていない少女を前にして難しい顔をしていた。

 

 何処か儚げな容姿。

 

 くすんだ灰金の髪。

 

 諦観を含んだ希望の欠片も無い瞳を仄暗く輝かせていたはずの彼女の姿はこの五年で少し線がしっかりしたかもしれない。

 

 二度の出産と結婚。

 

 ついでに四度の大規模侵攻を祖国に耐え切らせたのは彼女の力があってこそだ。

 

 変わらないのは基本的に不機嫌そうに歪んでいるへの字になった口元くらいだろう。

 

 成長した彼女は現在、髪を伸ばしており、周囲からは姫様姫様と慕われている。

 

 現在、その護衛騎士たるクーバ・ザイは子守に追われており、横にはいない。

 

 毎日毎日『姫様!? クーバは護衛であって子守ではありません!? どうか!!? 普通に護衛させて下さい(泣)』と嘆願しているものの。

 

 その願いは子守を任せられる者はお前しかないから却下という無慈悲な書面回答で黙殺されている。

 

 現在、午後9時半。

 

 そろそろ家に帰る時間だ。

 

 無論、それは夫であるマウロにも当て嵌まるのだが、本日から任務。

 

 しばらくは会えなくなるとシャルアは他の妻達の事を気に掛けている夫に大丈夫だからと言って、任務内容を書面と口頭で説明し終えていた。

 

「分かりました。では、実力が有り、信用のおける者を一個小隊程連れて行きます」

 

 マウロの言葉にシャルアが頷く。

 

「よろしくね。これは五年前から藩落内で巣食っていた闇……聖女はもう滅んでいたと言っていたようだけど、そうは思えない。あの四度の侵攻の時も人の心を侵食する化け物は現れた。今だって、いないとは言い切れない。連中の巣があるとすれば、それは滅んだ都市国家くらいしかないはずだもの……活動場所が移っていなければ、帝国と藩落と聖王同盟(サクラム・フェデレイションズ)合同の大規模掃討戦になるかもしれない。気を付けて……マウロ」

 

 大理石製の冷たい机の上で手を組んで僅かに心配そうな表情となった妻の頬をそっと指先が撫でる。

 

「心配する必要はありません。必ず任務を果たして戻ってきます」

 

「何か、それって大陸中央から入ってくる娯楽の映画で言う“死にに行く男”の台詞みたいよ?」

 

 少しだけ自分を奮い立たせて。

 

 彼女がそう冗談を言えば、マウロは苦笑する以外無かった。

 

「死ねるものなら、あの四度の戦争でとっくの昔に死んでいますよ。あの子達をよろしくお願いします」

 

「ふふ、そうね。可愛い娘達の為にも頑張ってね……お父さん」

 

「ええ、我々の国家と家族の為に必ず」

 

「今日からまたぐずるわね。みんな……パパ何処、お父さん何処、お父様何処って聞かれ続けるかと思うと溜息が出ちゃうわ」

 

「全員にお土産を必ず買ってくるからと」

 

「うん……分かった。でも、母親までぐずられるとちょっとね」

 

 肩を竦めて。

 

 マウロがいない間、寂しさに泣きべそを掻いていた妻仲間の一人を思い出して、シャルアが額に手を当てた。

 

「アイレンはいざという時は強いですから。大丈夫」

 

「幼い娘みたいな子を妻にする人の言う事はやっぱり違うわ」

 

「ぅ……行ってきます」

 

 武帝の少女や魔に侵された少女を妻とし、犯し、身篭らせたマウロの事を好色英雄と呼ぶ輩も少なくは無い。

 

 だが、それでも全ての言葉を覆したのは男の実力だ。

 

 双來にマウロあり。

 

 今では統合されつつある藩落内の王家の中でも双來の国王に一番近い男として注目されている。

 

 白鎧が外套をはためかせて執務室を出て行く。

 

 その背中に何も言わず。

 

 ただ、無事に帰ってきてと手は祈りの形となった。

 

 そうして、青年の新たな戦いは始まる。

 

 化け物達の首魁。

 

 ダークエルフにして武帝における神器の発掘とイグニシア・クルシスの消滅を目論んだ男。

 

 アーフル・ナーシム。

 

 その藩落での探索が終に本格的な始まりを告げたのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。