※この作品はR-18です。

聖娼館ハルトゥム   作:Anacletus

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第一章二十六節★

第一章二十六節「掃天」

 

 乂羅の中枢と言われる中央本国領。

 

【乂廊殿(がいろうでん)】

 

 東部で唯一聖女の出身となった場所。

 

 そこには一つの機関が置かれている。

 

 それが統治機構【御政体(ごせいたい)】と呼ばれる官僚機構だ。

 

 彼らにとって、全ては国の安定より優先されない。

 

 故に七教会の影響力そのものである聖女も元来邪魔者以外のなにものでもない。

 

 しかし、祖国における聖女の地位は教会とは別にしても高いものとなっている。

 

 ユアン・クオ。

 

 彼女が事実上、乂羅の保有戦力ではどうしようもない存在である事は大戦の情報を参照する事が出来る人間ならば誰だろうと理解出来る。

 

 大陸で一、二位を争う刃の使い手。

 

 奇跡の担い手にして人々の守り手。

 

 偉業だけで語るなら、七聖女の中で最も武勲高き者。

 

 その刃は若い頃から力無き人々の為に使われてきた。

 

 事実だけを述べるなら、彼女以上に武を誇張される聖女はいない。

 

 山岳を一つ切り分けたとか。

 

 巨大な浮遊要塞を一撃で真っ二つにしたとか。

 

 旧き神々の幾柱かを活動不能に追い込んだとか。

 

 天から降り来る災厄の星を粉微塵に切り裂いてしまったとか。

 

 人間だろうが魔族だろうがそれ以外だろうが、喧嘩を売って無事に済んだ者はいないとか。

 

 超常者。

 切り裂く者。

 守護者。

 

 多くの名を持つ彼女の本当のところを人々は大概の場合、修験者のように険しい生活を送る聖人か、己に厳しい武に全てを捧げた達人のように語っている。

 

 その殆どが誤りであると乂羅の役人達の上層部は知っていたが、だからと言って無闇に聖女の評判を落として不興を買う事も望んではいなかった。

 

 優れた統治者である【神門(みかど)】という機構。

 

 その保守管理を行う二つの家に大きな影響力を持たれてこそいるものの、基本的に彼ら官僚は国の為にその力を利用しているに過ぎない現実主義者の面がある。

 

 だからこそ、彼らは七聖女ハティア・ウェスティアリアの来訪という飛び切りの異常事態、次期神門の選定を行っている最中に振って沸いたような災厄にも柔軟に対応してみせた。

 

 予備も含めた多くの子供を遣った儀式の加速。

 

 それに内実は大わらわであったとしても。

 

「ハティア様。今宵はどうぞ、ごゆるりと」

 

 乂羅の役人は殆どが貴人。

 

 風体は貴族そのままに腕章を付ける役人達が一斉に巨大な広間で礼をした。

 

 五十人に及ぶ各省のお偉方。

 

 その中でも武官のみが宴に呼ばれていると知るのは役人本人達と気配に敏感なユアンだけだった。

 

 広間の奥には檜舞台。

 

 着物も艶やかに面を付けた男女が出し物を始めている。

 

 床に座るという大陸中央とは掛け離れた作法に快く乗ったハティアへの持て成しは厚い。

 

 武官達のとっくりには水しか入っていない事に聖女達も気付いていなかった。

 

 供された膳の内容が極東において最上級の酒精を使った聖人すらほろ酔いにさせる代物であるのも、場所が超常の者の力を恐ろしく削ぐ事が出来る特殊な術が込められた場所であるのも、何もかも悟らせず全てを極秘裏に用意した手腕も、乂羅千二百年を打ち立ててきた魑魅魍魎の如き役人達の手並みである。

 

「いや、それにしても魔王の討伐でお忙しいはずのハティア様の来訪。乂羅の民にも大々的に知らせたいものですな」

 

「いえ、今日はユアンが少し休んだ方がいいとお忍びで来たものですから」

 

 同じ聖衣を着ながら対照的なハティアとユアンは二人並んで酒を嗜んでいた。

 

 官僚の長(トップ)の中でも土御門家に属する四十代の男が和やかな笑顔で会話を続ける。

 

「そうですか。それは失礼いたしました。それにしても先日のあの巨大な輝く樹には皆驚きました。あれもハティア様の奇蹟であるとか。いや、本当に教会の秘技には驚かせられてばかりだ。あれだけの力を受けたのです。魔王もさぞや力を削がれた事でしょう」

 

 教会は今まで公表していた魔王残党という名前を改め、実際に力を失った魔王を討伐していると既に発表していた。

 

 殆どの力を失った魔王の討伐。

 

 その為の聖女の遠征。

 

 世間では教会が魔王を取り逃がしたとの非難する向きもあるが、実際のところ魔王が教会に追われているという事実に権威は上がってもいた。

 

「……」

 

 ユアンは官僚の世辞に耳を貸す事なく。

 

 舞台の上で繰り広げられる舞を見つめている。

 

 しばらく茶番に付き合う気ではいたものの、隣のハティアが行動を起こすまでは暇である事は否めず。

 

 幾らかの時間の後、席を立った。

 

 聖女の御不浄とその場で囁く馬鹿な官僚がいれば。

 

 揉め事を起こす程度は想定して。

 

「少し風に当たってくる」

「分かりました。お待ちしております」

 

 さすがに官僚とは言っても武官。

 

 護衛にと付いていく者はいない。

 

 もし、そうすれば、それが侮辱であるのは誰の目にも明らかな行為だ。

 

 護衛がいるのは逆に官僚達の方かもしれない。

 

 今現在、中央本国において聖女と同等以上の力を持つ者は一人だけ。

 

 他ならぬ神門しかない。

 

 聖女二人を迎えている迎賓館は広大な屋敷であり、大陸中央式の建造物も備え持つ国の顔。

 

 警備は万全なのだから、無粋に付いて行こうする者はいなかった。

 

 屋敷の庭に出たユアンは敷き詰められた玉砂利の上に音も無く降り立つ。

 

 静まり返った庭に降る月明かり。

 

 意識を澄まして彼女は小さく囀(さえず)る。

 

「話があるのだろう? 出てこい」

 

 もしも、傍に【高格外套(ソーマ・パクシルム・ベルーター)】がいれば、【因痕(キカトリクス)】の干渉を察知し、剣を抜いていただろう。

 

『夜分に失礼します。聖女ユアン・クオ』

 

 庭の中央。

 

 薄ぼんやりと紫紺の色が滲む。

 

 虚空に響く声に普段ならば、抜刀していたかもしれなかったが、滲んだ色が結実していくのを確認して、ユアンは刀を抜かなかった。

 

 結実した紫紺は揺ら揺らと漂う髪となる。

 

 ちょこんと小さな幼子の姿をしたモノが着るのは所謂給仕服。

 

 瞳は髪に隠れている。

 

「何の用だ。人形」

 

『断層を解消して頂けないでしょうか』

 

「わざわざ主の為に路(みち)の整備か。【紫影の従者】はいつから建設業に鞍替えした?」

 

『貴女が“斬った”せいで転移が困難になっています。本来的な用途での緊急避難に転移を使う事すら出来なくなるので?』

 

「その時はすぐに直す。一々うろちょろされるのは目障りだ」

 

『七教会の転移技術ならば問題ない。そう思っているのならば、それは技術の独占に当たるのではないですか?』

 

「そもそも貴様さえいなければ、転移に関する技術を新規に開発する必要性は無かったとフルーは言っていたがな。それに倉庫を漁られたとクラルが一緒に溜息を吐いていたぞ。コソ泥もするようにもなったか。人形」

 

『我が創造主は命を重んじます。七聖女。武勲高き者。今、貴女のしている事は無垢な命を刈り取る蛮行に等しい』

 

 非難されたところで痛くも痒くも無い。

 

 所詮は魔王の人形。

 

 そう断じていてすら、ユアンは最後の言葉を聞き逃せなかった。

 

「どういう意味だ?」

 

『次代神門の選定に無垢な者が脅かされようとしています。我が創造主はそれを救うつもりです』

 

「人助けか。なら、さっさと首を差し出しに来いとあいつに伝えておけ」

 

 それ以上訊かずとも魔王と呼ばれる少年がしそうな事だとユアンは大体の事情を察し、背を向けた。

 

「失せろ。不愉快だ」

 

 手が刀の柄を握る。

 

 抜く様子もなく再び手が放された時にはもう少女の姿は失せていた。

 

(我ながら甘い事だ……)

 

 自分の行為に不機嫌になりながら、ユアンは今聞いた話をハティアにするかどうか黙考する。

 

 たぶん、言えば自分が腕や足を千本落とすより先にこの国が無くなるのは確実だろうと知るからこそ。

 

 聖女の仲間内で最も“弱い”とされ、最も“甘い”と言われる女は、祖国の存続と親友の意思をどうにか両立出来ないものだろうかと気苦労を増やした。

 

 乂羅上層部の役人達が知っている通りに。

 

【善人(ボーヌム・クリートゥラ)】

 

 ユアン・クオの形容にこれ程的を射た二つ名は無かった。

 

 *

 

 グチュングチュンと水音がする度に洋光(ランプ)に照らされた室内には甘い嬌声が響いている。

 

「だんなひゃまぁぁ♡ ひぅん♡ あ♡ ん♡ んぁぁ♡」

 

 幼いすじを丸く広げられ、押し入られ、天御門紅亜は今や“旦那様”として認めた少年の幹を悦びと共に貪っていた。

 

 自分の初めてを受け取った少年の息遣い。

 

 膣(ほと)の奥。

 

 赤子を宿す神聖な部屋の入口で少年の幹(まら)と接吻する感触。

 

「ぁぁあ♡ こんなぁ♡ いふぃみすらしゃまいるのにぃ♡ こじゅくりあなでぇ♡ ちゅっちゅしてぇ♡ ぐちゅぐちゅしちゃやらぁぁ♡」

 

「紅亜殿……♡」

 

 イフィミスラがそっと淫らな顔で少年に征服されていく紅亜の頬に口付けする。

 

 それは自分と同じになろうとしている仲間への親愛の証。

 

 だが、イフィミスラを大切に思っている紅亜からしてみれば、愛撫されているのと変わらなかった。

 

 二重、三重の衝撃が背筋を焼いていく。

 

「紅亜の膣(なか)…ふわふわしててっ」

 

 ビクリと少年の幹が震えて、一回り大きくなる。

 

「んゃぁぁぁっっ♡♡ だんなひゃまぁぁ♡♡」

 

 ざわめく少女の膣は雄に服従する姿勢を示すように少年の形を覚え込んでいく。

 

「紅亜は…お腹側が好きなの?」

 

 まるでピッタリと寄り添う自分専用に作られた道具のような具合の良さに少年は笑みを浮かべて、ご褒美にと後ろから腰を掴んで、裏筋をこすり付けるように少女を抉った。

 

「だんなひゃまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ♡♡♡」

 

 ヂュドヂュド。

 

 内部で蜜が凝っている場所に打ち込まれたえらの内側に甘く襞を擦られて、紅亜が何度目かも分からず達する。

 

「まだ、ちょっとしかしてないよ? 紅亜」

 

「は、ぃぃぃ♡♡ こうあのぉ♡♡ くしゅりぢゅけのこぢゅくりあにゃにぃ♡♡ もっろぉ♡ してくらひゃぃぃ♡♡」

 

「うん」

 

 もう何の忌避感も無くなったおねだりで紅亜が少年に甘えた。

 

「だんなひゃまぁ♡ だんなひゃまぁ♡ こうあのだんなひゃまぁ♡」

 

「こ、紅亜殿…ティアは…わ、我の…」

 

 あまりにも連呼されて。

 

 自らも主張しようとしたイフィミスラに紅亜が蕩け切った顔で口付けした。

 

「んむぅ!?」

 

「いふぃ、みちゅ、ら、しゃまぁ♡ ん♡ ぁ♡ ぴちゅ♡ くちゅ♡ ちゅっ♡」

 

 舌と舌。

 

 少年以外には許すまいと思っていた唇を不意打ちに奪われて、イフィミスラは抵抗しようとしたものの、紅亜の熱い舌の蕩けた感触に頭の芯が鈍くなっていく。

 

「こ、んちゃ♡ あ、どの♡ ゃ♡ だ、んちゅ♡ めぇ♡ くちぃ♡ くちゅ♡ てぃあのぉ♡♡」

 

「いふぃ、んちゅ♡ みすしゅ♡ ちゅ♡ らしゃまぁ♡ んぁぁぁぁぁぁぁ♡♡♡」

 

 少年の亀頭に子宮口を抉られて、思わず紅亜が唇を離して喘ぎ声を上げる。

 

「紅亜…イフィミスラの唇は僕のだよ。悪い子は躾けないと、ね」

 

「ティアァ♡ わ、われぇ♡」

 

 蕩けた顔で申し訳なさそうな顔をしたイフィミスラに少年が微笑む。

 

「イフィミスラが今度は上になってごらん」

 

「ひぁぁん♡」

 

 紅亜を抱き締めるようにイフィミスラから引き剥がして幹を引き抜いた少年が身体を入れ替えさせた。

 

 もう学徒憲兵隊での凛々しい顔は欠片も無く。

 

 少年と少女に快楽をねだる牝の顔となった紅亜が更に頬を赤くする。

 

「は、じゅかしぃれす♡ だんなひゃまぁ♡」

 

「イフィミスラ」

 

 少年はその上にイフィミスラを乗せ、紅亜の今も蜜を溢れさせている幹を薄い尻の間に挟んだ。

 

「紅亜…イフィミスラのお尻だよ」

 

「♡」

 

「テ、ティア…こ、こんなぁ♡」

 

「身体とお尻で擦ってあげて。イフィミスラ…」

 

 優しく少年に言われ、恥ずかしがりながらも頷いたイフィミスラがゆっくりと蜜と汗と精に濡れた紅亜にピッタリと肌を付けて滑らせ始める。

 

「いふぃみしゅ、らっ、ひゃまぁぁ♡♡♡」

 

 テラテラと濡れ光る少女達が絡み合う姿は淫靡を通り越して罪だった。

 

 牝穴を濡らしながら反り返った幹で尻の隙間を擦る紅亜。

 

 淫蜜で滑る身体で精一杯に奉仕するイフィミスラ。

 

 二人の痴態に少年は再び紅亜のすじに亀頭を捻じ込んだ。

 

「だんなひゃまぁぁぁぁ♡♡♡ あ、ァ♡ あくぅん♡」

 

 ビチャビチャと紅亜の幹の先端から蜜が迸り、イフィミスラの背中と少年の下腹部を濡らす。

 

「紅亜…可愛がるからね」

 

 少年の怒張が泡立つ交合(まぐわい)の中心。

 

 幹と穴が擦れ合う場所のすぐ上。

 

 紅亜の幹のすぐ下にある小さな粒(クリトリス)を皮の上から親指で押し潰した。

 

「~~~~~~~~~ッッッッ♡♡♡♡♡♡」

 

 ブシュュゥウウウウ。

 

 潮が吹く。

 

「紅亜殿。可愛らしい顔をして…我も♡ んぁ♡ くぅん♡」

 

 紅亜の恥丘と自分の恥丘を擦り合わせながら達したイフィミスラが新しい蜜で下にある胎を濡らした。

 

 うねる膣の感触が食みながら絞るものに変わったのを感じて少年も一番奥へと亀頭を打ち込んだ。

 

 ドビュウウウウウウウウウウウウウウウ。

 

「♡♡♡♡♡♡♡」

 

 声も上げられず。

 

 紅亜が完全に達した顔で舌を出して身体を震わせる。

 

 ビュブビュブビュブビュブ。

 

 少年の止まらない射精の音を胎内で感じながら、紅亜は自分がもう少年以外に抱かれようと決して感じる事の無い身体になったのを悟っていた。

 

(ぁぁぁ♡ わたしのぉ♡ おんなのこぉ♡ けがされてぇ♡ よろこんでるぅ♡ ゃぁ♡ しつけられるのぉ♡♡ しゅきぃ♡ びゅーびゅーしゃれるのぉしゅきぃ♡ こぢゅくりしゅきぃ♡♡ あかごのへやでぇ♡ だんなひゃまのぉ♡ こだねはりゃむのしゅきぃ♡ たまごおかひゃれてぇ♡ あかひゃんちゅくるのもしゅきぃ♡ いふぃみしゅらしゃまぁといっしょにたねちゅけぇこぢゅくりぃ♡ おなかこだねでおもいのしゅきぃ♡ ぜんぶしゅきぃ♡♡♡)

 

 少年の精で膨れた胎の上でイフィミスラの胎もまたピッタリと肌を吸い付かせ、紅亜の中に出される子種の感触を味わう。

 

「ティアァ♡ ずるいのだぁ♡ 紅亜ばかりぃ♡ わ、我のぉ♡ 我のお、おまんこにもしてぇぇ♡」

 

「いいよ。紅亜……見てて」

 

「はぃぃ♡」

 

 紅亜の上から両手でイフィミスラを抱え上げた少年がそのまま紅亜から幹を引き抜いた。

 

「ひぁん♡」

 

 一番奥のピッタリと一体化していた場所から無理やり自分の一部を引き剥がされるような喪失感が紅亜の胸を切なくさせる。

 

「はぁぁぁ♡ くぅん♡ だんなひゃまぁ♡」

 

 イフィミスラのどろどろになっているすじに少年が引き抜いた幹の先端をクチィッと嵌め込んだ。

 

「んぁぁ♡ ティアァ♡」

 

 ダラダラと蜜が幹を伝って少年の二つの袋まで濡らしていく。

 

 すると、イフィミスラの身体の表面が仄かに輝いた。

 

 魔術における肌の隠蔽が解けて、白と黒の刻印が露出していく。

 

「あぁ♡ 見られてしまうのだぁ♡ そなたのものになった証ぃ♡」

 

「紅亜。自分で慰めながら見てて。良い子にはこうするんだよ」

 

 抱え上げた身体を抉るように腰で少年が持ち上げた。

 

 ヂュドン。

 

 イフィミスラの穴に根本まで幹がめり込んだ。

 

「んぁぁぁぁぁぁッッ♡♡♡」

 

(いふぃみしゅらさまぁ/// おきれいでぇ…ぁあ、あんなにぃ♡)

 

 蕩けた理性ではイフィミスラの肌に施された刻印の意味も分からない。

 

 しかし、化粧をするよりも余程、紅亜にはその肌と刻印のコントラストが美しく見えた。

 

 初めての余韻も冷めやらぬまま、まるで幼子が小便を促されているような恰好でイフィミスラが犯されている様子に紅亜はまた熱く脈動し始めた己の幹に手を伸ばす。

 

「イフィミスラ…ちゃんとあげるから、ね?」

 

「ティァ♡」

 

 精と蜜に濡れた接合部。

 

 泡立ちながらグチュグチュと淫らな音を立てる二人の睦み合う姿に紅亜は両手で幹を擦る。

 

(こ、んなぁ♡ すごいぃ♡ おふたりのぉ♡ あぁ♡ てぇとまらないぃのぉぉ♡)

 

 今まで忌避してきた自慰。

 

 それを込み上げる衝動のままに紅亜は行う。

 

 細い手で滑る幹をしっかりと握って。

 

「イフィミスラ。ほら、紅亜がああしながら見てくれてるよ?」

 

「紅亜殿ぉ♡ だ、だめぇ♡ 見たらぁ♡ ぁぁ♡」

 

 イフィミスラが紅亜が自分の痴態で自慰に耽る様子に身を捩(よじ)った。

 

 高まっていく羞恥と快楽が交じり合う。

 

 二人だけの秘め事を他人に見られるなんて常のイフィミスラなら絶対に許容しなかったかもしれないが、相手が紅亜であるという事もあって、身を焦がす羞恥も少しずつ身体は受け入れていっていた。

 

「紅亜。見てあげて。イフィミスラの可愛いところ」

 

「ひぅ♡ ティ、アァアアアアアアアアアッッッ♡♡♡」

 

 足を持って、紅亜に見せつけるようにイフィミスラの穴を犯していた少年が腰を突き上げる。

 

 ビュルルルルルルルルルルルルルル。

 

 衰えない射精量にイフィミスラの膣(なか)が少年の幹に白濁をせがんだ。

 

「ぁああああああああああッッッ♡♡♡」

 

 紅亜がイフィミスラの秘部から蜜が吹き出し。

 

 少年の幹が膨らむ瞬間を目撃して、己も同時に射精した。

 

 少年程の量ではなかったものの。

 

 大きく吹き上がった精がイフィミスラの膨らんだ胎の中央へと掛かる。

 

(いふぃみしゅらさまのぉ♡ だいじなところにかけてぇ♡ わ、わたしはぁ♡♡♡)

 

 少年に征服される悦びを知り、少女を穢す悦びに浸り、紅亜の意識はそこで焼切れた。

 

 意識を失った少女(こうあ)を見て。

 

 少年がそっとイフィミスラの頬に口付けする。

 

 ざわざわと未だ膣(なか)を蠢かせ、自分の痴態を他者に見せながら達してしまった事にただの快楽以上のもの感じてしまった少女(イフィミスラ)が、少し怒ったような顔になる。

 

「ま、まだ…にかい、めっ…なのだぞ♡ なのに、われ…こんなぁ…からだ、おぼえてしまうではないかぁ……」

 

「今度の機会には二人でしよう、ね?」

 

「ん、んむ。わ、分かればよい♡」

 

 少年の腕が腰に回されるとあっさりイフィミスラの機嫌は直った。

 

 幹を抜き出した少年が少女達を並ばせる。

 

「紅亜……」

 

 身体に触れて薬が現在どれほど残留しているのかを確認しながら、少年は傍らの布で二人の身体を清めていった。

 

 *

 

 土御門烙南にとって日常とは昨日と変わらぬ今日であるはずだった。

 

 繰り返される昨日はきっと明日と同義なのだとずっと思っていた。

 

 それが変わったのは近頃の事。

 

 願いを叶えてくれた人がいた。

 

 優しくしてくれた人がいた。

 

 お付の者達とは違う。

 

 それは夢幻(ゆめまぼろし)と疑うくらいに心地良い日常。

 

 本当に短い間だった。

 

 それでも確かに世界は見えた。

 

 輝いた。

 広かった。

 温かかった。

 

 だから、それで十分。

 

(兄様)

 

 思うだけで少女の胸はふわふわとした。

 

 初めて出会った男性。

 

 子を孕ませる人ではなかった。

 

 けれど、多くを教えてくれた人。

 

(兄様はあの方を救えたのでしょうか?)

 

 同じくらいの歳の少女。

 

 傍で笑っていた少女。

 

 彼女は思う。

 

 兄様と呼ぶ少年が少女を助けて、幸せになっていたらいいと。

 

(?)

 

 チクリと胸を刺すものに気付いて。

 

 でも、それが何なのか分からず。

 

 また、絵巻の話をしたいなと。

 

 もし、出会えたならと。

 

 彼女は思う。

 

 それが叶わない事なのだとしても。

 

(もう、わたくしは子を孕まなくてもいい……)

 

 御屋敷に帰って、生まれて初めてあった彼女の父はそう言った。

 

 それから知らない場所へと連れて行かれた。

 

 大きな岩山。

 

 他にも大勢の子がいたが、少しずつ消えて行った。

 

 そこで何が始まったのか。

 

 もう彼女は思い出せない。

 

(兄様…兄様……)

 

 蟲壺の代わりをしてくれると言ってくれた少年の声を思い出して。

 

 今まで考えもしなかった事を彼女はする。

 

 優しい指。

 兄様の指。

 

 自分の膣(ほと)を優しく触った指。

 

 まだ幼いすじを彼女は自分でなぞる。

 

(ん…兄様……)

 

 少年の指の感触を肌はちゃんと記憶していた。

 

 蜜を指先に絡ませて、蕩けた顔になりながら、何度も何度もすじがなぞられる。

 

(ここ…兄様の指…くちゅくちゅ…して…兄様…優しくツプツプしてくださって…っ…ん…ふぁ…兄様ぁ……)

 

 やがて、指を一本、彼女は自分の秘裂にゆっくりと突き立てた。

 

 はぁはぁと息を漏らして。

 

 恋した者の顔をして。

 

 自慰に耽りながら、彼女は思い出す。

 

 少年の匂い。

 少年の温もり。

 少年の優しさ。

 

 ぼんやりした頭で何度も何度も反芻する。

 

 蕩けた脳髄はただただ少年で一杯だった。

 

 少年の手が身体を這い回り弄って、唇が肌に触れるのを想像するだけで、少女は達した。

 

 蟲壺が与えてくれたよりも純粋な悦楽。

 いつまでも浸っていたい行為。

 

 指は止まらず。

 手は止まらず。

 

 達しながら、甘く甘く己を融かしながら、襞の一つ一つが互いに擦れて、少年を待つ。

 

 まだ、男性のソレを見たことの無い少女の空想の中、少年は彼女と一つになる。

 

 何度も何度もソレで少女を孕ませる。

 

 子種を出す場所(ソレ)の呼び方すら、少女は知らない。

 

 しかし、少年が自分の胎に子種を満たしていくという光景だけで、少年と一緒に自分に似た子をあやして微笑みあう姿、なんて事を考えただけで、言い知れぬ多幸感に包まれていく。

 

 ぷちゅっぷちゅっと蜜を吐き出す“すじ”が震えながら歓喜した。

 

 女の幸せというものを誰に言われずとも少女はもう想像の中で知っていた。

 

 もし叶うなら、もう一度少年に触れられて、今度はもっと肌と肌を触れ合わせて、口付けもして、頭も撫でられて……そんな、とても細やかな願いが胸の奥で降り積もっていく。

 

(兄様ぁ♡)

 

 達し続けた先。

 

 意識を失いながらも少女は少年の名を内心で呼び続けた。

 

 初めての呼んだ名。

 

 きっと、もう呼ぶ事の無い名を。

 

 巨大な配管に埋め尽くされた岩穴の中。

 

 たった一つだけある神の座、出る事の敵わない檻の最中で。

 

 *

 

 全ての予備を使い果たして唯一適合した新たな神門の行為を感じながら、未だ半分以上の【流れ】を受け止め続ける男が岩屋の上で座禅を組んでいた。

 

「憐れむなど……この身には不遜か……」

 

 神の座に適合した少女の名を男は知らない。

 

 少女が不完全ながらも神門としての機能を受け持つ事が出来た。

 

 それだけが男にとっては重要だった。

 

 不幸中の幸い。

 

 完全ではないにしろ、それで男の二百余年の人生は報われた。

 

 少女は未だ幼い。

 

 まだ伸びしろはある。

 

 やがて歳月を重ねれば神門としての自覚も出るだろう。

 

 男がそうだったように少女もそうだと男は決して疑わない。

 

 その肉体や魂を座に固定して力を十全に発揮できるようになるまでは出られぬよう封じたとて、それも自分の後釜に対する気遣いであって、何ら害する意図はない。

 

 少女の心が莫大な力と情報の本流に少しずつ壊れていくのもやがて真の神門になれば治る。

 

「そう、全てはこの大地に生きる者達の為…受け入れるべき痛みだ…」

 

 行為に耽り己を保とうとして聞こえてはいないだろう少女に男は告げる。

 

 国を治め、世を治め、育む喜びにやがてあらゆる感情は全て取って代わられる。

 

 男がそうだったように。

 

 歴代の神門達がそうであったように。

 

 慈愛。

 

 長く生きた男にとって唯一喜びとなった感情。

 

 遍く乂羅に降り注ぐ神門のそれ無くして、天下泰平は無かった。

 

 これからそれを育んでいくだろう後進を守り切る事こそ。

 

 男がこれから成すべき事。

 

 少女が全ての“流れ”を真に受け入れるまで男は長き眠りに付く事すら許されない。

 

「聖女もあれで人が悪い……」

 

 泰然と。

 悠然と。

 

 男はその存在が国へと入り込むのを確認して立ち上がる。

 

 国を分断するように聖女ユアン・クオが斬り別けた結界。

 

 通常の空間跳躍技法では超えられない断層。

 

 ただの人間達には感じられないだろう異常が跡形も無く失われていく。

 

 三千枚近く空間に挟み込んだ跳躍を妨害する陰陽の札も一斉に燃え上がり、そろそろ明け始める空で薄く灯の道を描き出す。

 

 東の果てから一直線に札を燃やし来る存在に男以外気付いた者はいない。

 

 その存在が移動するだけで巻き起こる因果の混沌。

 

 正しい流れが掻き乱され、間違った流れを生む理不尽。

 

 それは知覚出来る高位の者にしか意味のない事象。

 

 大戦より前。

 

 大陸の端からでも感じられていた恐ろしき“歪曲”を男が防いでいた頃に比べれば、その混沌は無きに等しいものだったが、それでも充分過ぎる。

 

 皇国連合との国境地帯で宇宙樹が一帯の地脈の力を捻じ曲げ、吸い上げたとて、その存在以上の影響はないのだ。

 

 森羅万象は流転し、拡散し、再集積する。

 

 世界の理は常に正しい手順を持っている。

 

 だが、灯の道を来る者は一切の手順を無視する。

 

 その肉体自体、物理法則どころか超常的法則すら無視する。

 

 滅びないものを滅ぼす剣でそれは滅ばない。

 

 肉体の密度は恒星より尚高い密度を誇りながら、決して人間の形から逸脱する事がない。

 

 その意思を通さぬ肉片の一欠片、血の一滴が輝きとなって消えるのはこの世に存在していてはならないものだからに他ならない。

 

「……来たか」

 

 灯となった札。

 

 小規模な空間の断裂。

 

 焼け焦げ、引き裂かれながら、それは来る。

 

 耀きを撒き散らしながら、それは来る。

 

 悍ましき形と成り果てながら、それは来る。

 

 黒き衣に身を纏い。

 

 人の形を取り戻し。

 

 失せた腕が礼の形を取った。

 

「初めまして」

 

「魔王。随分と大そうな名前だな?」

 

「そう?」

 

「ああ」

 

 魔王と神門。

 

 出会いに緊張感はない。

 

 静かに戦いは始まった。

 

 暗がりの中でひっそりと。

 

 岩屋の奥。

 

 新たな神門は僅か顔を上げた。

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