※この作品はR-18です。

聖娼館ハルトゥム   作:Anacletus

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第二章二十一節★

第二章二十一節「密約」

 

 真に遺憾な事であるが。

 

 と、その書物は先に前置きする。

 

 捲る者にしてみれば、内容を前にして中々に興味をそそられるだろう。

 

 大陸を数千年に渡って見守ってきた旧教会。

 

 その最後の大司教九十九人を統べた筆頭。

 

【総主教(パトリアルヒス)】

 

 彼の日誌だ。

 

 高位の魔族ですら、たぶん読めば聖なる力の残滓に消し飛ぶ。

 

 古ぼけた宇宙樹の皮が重なる粗末な造り。

 

 たぶん教会が始まった頃から存在する最も旧き書物。

 

 現代より数十年前の項に、その書き出しで始まる日があった。

 

 そこから先の内容を知る人間は総主教亡き後、今まで大陸にはずっと一人だけだった。

 

 それが今や三人にまで増えている。

 

 ファルティオーナに君臨する七聖女ですら知らない秘密。

 

 もしも、その情報が漏れれば、世界は大きく姿を変える事になるだろう。

 

 けれども、しかし、それを誰よりも望まないのが秘密の当事者である事を彼女は、皇帝エトは知った。

 

「……」

 

 数奇な運命を辿って手元へとやってきた一冊の日誌。

 

 それが無ければ、彼女は魔王の子を望む事もなく。

 

 七教会や聖女達へ干渉もしなかったはずだ。

 

 運命は何一つ変わらなかったはずだ。

 

 しかし、知ってしまった。

 

 知って、理解してしまった。

 

 だから、彼女は魔王に恋した一人の女として。

 

―――その日誌を皿の上で火に焼べる。

 

 灰すら残さず。

 

 あらゆるモノを消却する旧き炎の神の力を用いて、跡形も無く消し去る。

 

 それでいいのだと彼女は思った。

 

 今は少年が秘密の公開を望まないと理解しているから。

 

 誰より過酷な道を歩いてきた少年にしか、その真実を告げる資格はないのだと理解していたから。

 

「つくづく余も毒されたか。ふふ……」

 

 肌を重ねた日から疼くのは身体だけではなかった。

 

 心疼かせて、それは恋の色だけではなくて。

 

 哀しむなんて少年を嗤うに等しく。

 

 苦しむなんて少年が望むはずもない。

 

 だから、せめて。

 

 イグニシア・クルシスそのものたる彼女は、皇帝は少年を慈しむ事にした。

 

 真実を分け合っても、決して肩代わり出来ないと知るからこそ。

 

 あらゆるものを敵に回して尚、何もかもを秘して進む彼を。

 

「早く戻れ。ティア……余はまだそなたにしてやりたい事が山程ある……」

 

 夜の静けさも寂しく。

 

 寝台に横たわって。

 

 少女は一人少年を思い浮かべた。

 

 あの哀しくも優しい笑顔を。

 

「てぃ…あ……」

 

 指が股間へと伸びて。

 

 部屋に熱い吐息が零れ始めたのは星が最も冴える頃だった。

 

 *

 

 夜。

 

 皇帝が自らを慰めると時同じくして。

 

 イグニシア国境地帯から藩落へと向う男達の群れの中。

 

 一つの屋敷が運ばれていた。

 

 小さな木箱。

 

 空間制御の魔術の粋を集めて造られた貴族の別荘。

 

 持ち運ぶ男は本来帝都へと帰るはずだったが、国境から帝都までの街道が一連の騒ぎで封鎖されてしまっていた為、致し方なく藩落を経由して戻る事になった。

 

 その間にもう一稼ぎ。

 

 そう男が考えたのは賢い選択だっただろう。

 

 難民と化した武帝の民が数百万。

 

 大量の人々には豪族や部族の長も混じっていた。

 

 その中でも難民化するのを嫌った一部の豪族が新しい男の客だった。

 

 国境地域から離れ藩落へと至る道は街道こそ通っているものの険しい。

 

 しかし、難所さえ通り抜けてしまえば、藩落自体は安全。

 

 故に脱出する豪族の幾人かが連名で資金を出し合い契約は結ばれた。

 

 国境地帯まで三人の少女と一人の女を乗せた宿は今や豪族とその護衛によって使われている。

 

 屋敷の最上部。

 

 屋根裏部屋に敷かれた大きな予備の敷布(マットレス)は大陸中央式のバネ仕込み。

 

 本来、寝室の秘密を守る為に魔術であらゆる衝撃を吸収するよう誂(あつら)えられたソレは屋敷の仮の主とは別の主の下で幾度も撓(たわ)んでいた。

 

「お゛ん♡ お゛♡ お゛ん♡ ひぁ♡」

 

 四つん這いで尻を持ち上げ。

 

「あ゛♡ あ゛♡ ぉ゛~~~♡」

 

 舌を出して唾液を垂れ流す少女が一人。

 

 ぐちゅ、ぐぢゅ、ずちゅ、ぐちゃ。

 

 後ろから幹で秘裂を貫かれている姿は獣そのもの。

 

 樹皮色の尻尾と耳が揺れる

 

 小さな角持つ半魔族の少女はただ腰を打ちつけられるだけで悦びに腰を何度も背後に押し付けた。

 

 イーステル。

 

 言葉を少し取り戻した少女にとって、青年との交合(まぐわい)に声を上げられるのはこの上なく嬉しい事だった。

 

「イーステル。く……」

 

 己の剛直で旅の共である少女の子宮口を押し潰しながら。

 

 マロウは自分が弱い人間だと改めて感じていた。

 

 星明りが見える暗がりで。

 

 腰を掴む事のない両手は更に二人の褐色の少女達の尻を鷲掴みにしている。

 

「マロウ♡ マロウ♡」

 

「マ…ロウ♡」

 

 尻の先。

 

 青年しか触れた事のない“すじ”が指で擦られる度に姉妹とも思えるアイレンとアルハの股間から幾筋も蜜が滴り落ちていく。

 

 少女達の言葉を青年は未だ理解出来ない。

 

 しかし、二人の囁きが必死に愛を紡いでいるのだとは理解していた。

 

『マロウ♡ 好き♡ マロウ♡ ゆびぃ♡ うれしぃ♡』

 

 アイレンの哀願。

 

 腰を揺すり続ける青年の胸に舌を寄せて、妻となったもののように閨(ねや)の色事を紡ぐ唇。

 

 それを反対側から聞くアルハは自分より年下のアイレンのおねだりを聞きながら負けじと青年に囁く。

 

『あたしはぁ♡ マロウ様のお嫁さんだ、からぁ♡ 子種ぇ♡ くださいませぇ♡』

 

 二人の少女に求められながら、青年の脳裏には此処数日の光景が何度も繰り返されていた。

 

 起きた時にはもう既にサヤトネの姿は無く。

 

 多くの人々の中にいた。

 

 周囲の難民達の流れに逆らい必死に少女達を連れて探し回ったものの、すぐに七教会の部隊が避難民の誘導に出てきて、混乱の中でイーステルをそのまま置いておけば魔族の姿に厄介事になるかもしれず。

 

 結局、逃げるようにして青年はその場から離れた。

 

 それから二日は探し続けたものの、七教会による避難民の登録が始まり、そのままではやがてイーステルの正体も露見するのは時間の問題。

 

 難民達から聞き出した情報によれば、帝都までの街道は封鎖されているらしく。

 このまま国境地帯に留まる事になるとの話で。

 

 サヤトネから事前に七教会での魔族の扱いを聞いていたマロウにしてみれば、離れ離れにされる可能性が捨てきれない時点で決断する理由は十分だった。

 

 青年は少女達を連れて国境地帯を後にした。

 そして、その方法として彼が選んだのが国境を脱出する豪族への帯同だ。

 

 難民達の間で噂になっていた国境地帯より豪族が藩落へと落ち延びるらしいとの話を聞き付けたのだ。

 

 真偽を確かめに赴いた先にいた豪族は彼が化け物から救った者達。

 

 護衛として雇ってくれとの交渉に豪族側はすぐ承諾した。

 

 マロウの強さは守られた時に幾人かが目撃していた。

 

 少女三人分の食い扶持を稼ぎつつ国境から脱出するというマロウの当初の目的は果たされ、そうして四人は豪族達が借り受けた屋敷の屋根裏部屋を借りの宿とした。

 

 少女達にしてみれば、青年の落ち込みようは見ていて辛かった。

 

 過去の記憶も無い青年にしてみれば、唯一自分の過去を知っていた人間の喪失。

 

 導いてくれていた明星が消えてしまったと言える。

 

 ようやく静かな夜を向え、一人沈んだ顔をする青年を少女達の誰もが放ってはおけなかった。

 

 未だ言葉も不自由な半魔族のイーステルにしてみれば、元気付けたくて。

 

 幼くも妻となる事を決めたアイレンにしてみれば、夫を慰めたくて。

 

 自らの伴侶と青年を定めたアルハにしてみれば、一生懸命に守ってくれた青年に恩を返したくて。

 

 それぞれ青年へ甘えた声で誘ったのは当然の成り行きかもしれない。

 

「く、もう。イーステル……外へッ」

 

 少女達に罪悪感を抱き続けながら、それでも弱い自分に打克てず。

 

 脱がされるまま、導かれるまま交合(まぐわい)に耽る自分を嫌悪しつつ、それでも少女達の想いへ答えながら、青年は限界に達しつつある幹をイーステルの奥から引き抜こうとした。

 

 しかし。

 

「―――あ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛♡♡♡」

 

 幹を引き抜こうとした腰に腰がグイッと押し付けられた。

 

 獣のように絶頂の叫びを上げて、青年の幹の先端が子宮口で食み締められる。

 

「くぅッッ!!?」

 

 ビュルルルルルルルルルルルルルルルルルル。

 

 青年の腰は意思に反して少女の奥へ幹を突き立ててしまっていた。

 

 あまりの射精感に男として当然の本能が牝を征服する悦びに浸る。

 

 半魔族の子宮は男の精を飲み込み、胎内に宿す新たな命に生気として還元する。

 

 故に本来治まり切らないはずの精は一滴も零れる事なく。

 

 子宮に全て注ぎ込まれた。

 

「く……」

 

 何度も腰を震わせて達する青年の肌に顔を寄せて。

 

 アイレンとアルハがうっとりとその様子を見つめる。

 

 指がすじへと食い込んで、軽く達した少女達はもう腰の疼きに耐えられなくなっていた。

 

 ズルンッとまだ固い幹が引き抜かれる。

 

 脱力したイーステルがへたっと敷布に倒れ込み気を失った。

 

 湯気を上げて精と蜜に濡れる剛直をさっそく二人の少女が四つん這いで両側から慰め始める。

 

『マロウ♡ 大きい♡』

 

『立派です♡ マロウ様♡』

 

 ピチャピチャとアルハが子犬のようにぎこちなく幹を舌でなぞった。

 

 クチャクチャと唇を唾液に塗れさせながら、アイレンが慣れた様子で幹を食む。

 

「二人とも、私は……」

 

 尻肉を掴み、指で少女達のすじへと指を埋没させながら、マロウは自分がもうこの行為に慣れてきているのを悟った。

 

 人を殺し続ける兵士が感覚を麻痺させるように。

 

 良心が悪事を重ねていく度に失せていくように。

 

 罪悪感は深く残りつつも、その行為を許容する自分が確かに存在した。

 

「二人とも……こちらへ……」

 

 青年が二人を抱き寄せて、アルハを仰向けにしてアイレンを上に乗せる。

 

 最初に理解したのは幼い少女だった。

 

 すぐに理解した顔で股を開いてアルハの上に重ねる。

 

 また年上の少女も何をするのか気付いて頬を染めつつ、股を開いた。

 

「いきます……」

 

 直前まで二人の舌に嬲られていた幹を掴んで青年が秘裂同士が交わる場所へ挿入を開始する。

 

 ズ、ズチュ、グヂュ。

 

「「!!?」」

 

 初めての感触。

 

 青年の幹は太く。

 

 二人のまだ皮を被った淫核をまともに擦り上げた。

 

 一度出し入れされただけだ。

 

 しかし、膣(なか)に挿入されたと錯覚する程強い衝撃が二人を襲う。

 

「ぅ……」

 

 青年もまた蕩けた二つのすじの間の感触に呻きを漏らす。

 

 蜜で濡れ融けた肌と肌の間は女の中に勝るとも劣らない感触だった。

 

「二人とも……気持ちいい、ですか?」

 

『まろ、う♡ すき♡ すきぃ♡』

 

『あたし、これぇ♡ ぁああああ!!!』

 

 意味は分からずとも甘い声で返される答えに青年は腰を揺すった。

 

 プチュプチュと溢れていく二人の蜜が二人の肌の間を蜜壷と化していく。

 

 ドロドロに塗れた幹のエラが淫核(クリトリス)の皮を剥き、直接接触での快楽を刷り込んでいく。

 

『まろぉ♡ まろぉ♡ あぁああああ!!!』

 

『マロウ様ぁあああああああ!!!』

 

 牝の顔で少女達は互いを抱き締め合う。

 

 まだ穴を攻められたわけでもないのに絶頂へと追い詰められていいく二匹は自分達を愛する牡の雄々しさに心の底から歓喜を感じた。

 

『また、出ます。くッ』

 

 ビュチュルルルルルルルルルルルルルルル。

 

 幹を膨らませ吹き出した精が二人の胎を穢し、胸を染め、顔まで完全に覆う。

 

 三人の交じり合う股間からは湯気が上がり。

 

 少女達は自分達を包む青年の熱さに絶頂した。

 

『んぁあああああああああああああああああ♡』

 

『ひぁあああああああああああああああああ♡』

 

 二人の股間から潮が吹き、蜜を洗っていく。

 

「ッ……」

 

 精を放ち切った後、青年がゆっくりと腰を引いて、正に柔肌と蜜と精で出来た性器としか思えない二人の間から幹を抜く。

 

 ズュリュウウウウウウウウウウ。

 

 完全に塗れ光る幹は精を放ち終わっても尚、反り返っていて。

 

 まだ、青年が満足していない事を如実に現していた。

 

「マロ…ウ♪」

 

「イーステル?」

 

 マロウの横に絶頂後の余韻からようやく抜け出したイーステルが身体を摺り寄せてきた。

 

「ま…だ…する♪」

 

 愛おしそうに細い指が幹を掴んで扱いた。

 

「そう乱暴にされては……」

 

 そう言いながらも反応している幹の様子に笑みを零して、イーステルが四つん這いになった。

 

「まろう♡」

「マロウ♡」

 

 精に浸り、満たされた顔のアイレンとアルハが身体を起こし、青年の反り返る幹へと四つん這いで顔を寄せてくる。

 

「さ、三人とも……」

 

 マロウがこれから起こるだろう行為に頬を微か染めた。

 

 最年少のアイレンが中央を。

 

 まだ拙いアルハが左を。

 

 待ち切れない様子のイーステルが右を。

 

 青年の幹にも玉にも指が絡み付き、三つの舌と唇が男の化身を慰め始めた。

 

「!!?」

 

 思わず、そのまままた射精しそうになったマロウの唇が噛み締められる。

 

「まろ…ぐちゅ…くちゃ…まろ…♪」

 

 初めての行為をした洞窟で口で奉仕する事を覚えて以来。

 

 その行為がとても好きになったアイレンは自分の夫を悦ばせる手段として、口淫(フェラチオ)に積極的だ。

 

 大きく口を開けて、青年の先端を口に含んで、苦しさも顔に出さず、只管に舌でなぞる。

 

 グチュグチュと淫らな音を立てて、溢れてくる青年の蜜と精を口で受け止めながら、その幼い横顔はうっとりと蕩けていた。

 

「マロ、ウ」

 

 獣のようにピチャピチャと。

 

 子犬の毛繕いをする母犬のようにイーステルは自らの最も大切な人を舐める。

 

 人間だった頃の記憶も今は彼方。

 

 それでも残った女としての自分の内から聴こえる声に従って。

 

 主と慕う彼に奉仕し続ける。

 

「ま、ぉ……」

 

 アルハ。

 

 まだ出遭って間もない彼女は落ち込んだ夫を慰めたかった。

 

 自分を救ってくれた人。

 

 自分が決めて、付いていこうと思った人。

 

 恥しさは今も身を焦がすよう。

 

 しかし、それでもいつか自分もするのだろうかと交流のあった集落の女達に聞いた手管を優しく使う。

 

 自分を責めるのを一時でも忘れて欲しくて。

 

「ッ、出ます」

 

 幹が太く瘧のように震えて、弾けた。

 

 ビュルルルルルルルルルルルルルルル!!!

 

 思わず口を離したアイレンの鼻先で跳ね上がった先端が間欠泉のように勢いよく精を噴出させる。

 

 精は獣のように四つん這いの少女達の顔を頭を背中を蹂躙していく。

 

 その熱さは命の証明。

 

 少女達の誰もが自らの愛しい男の子種を受ける悦びだけで胎を疼かせ、達した。

 

 ビクビクと声も出ない様子で精に口元を濡らしながら果てる姿。

 

 大量の射精に一時ゆっくりと下がろうとしていた先端が再び上向き始める。

 

「♡」

「♪」

「///」

 

 三者三様。

 

 全員が再び青年へと群がった。

 

 サヤトネの置き土産か。

 

 青年の精力は未だ萎えない。

 

 少女達にしても本来ならば疲労しているだろう快楽を得ても、未だ活力に満ちている。

 

 性魔術。

 

 掛けられた作用は生涯に渡り解けない程、強固に四人を繋げていた。

 

 *

 

 山小屋に掛けられた魔術で一定の温度に保たれている室内。

 

 二人の少女が一糸纏わぬ姿で少年の前に現れていた。

 

 体型も年齢も肌の色も違えど。

 

 二人の少女はどちらも愛らしく。

 

 恥じらいに身体を火照らせている。

 

 薄紅色の胸の先端。

 

 期待に濡れる慎ましやかな“すじ”。

 

 湯気を上げる身体の端まで少女達に瑕疵はない。

 

「兄様ぁ♡」

 

 既に解かれている白く長い髪がふわふわと身体の周囲を取り巻いた烙南がとてとてと一番先に少年の腕へと飛び込んだ。

 

「あ……」

 

 それに思わず羨ましそうな声を出してしまった紅亜が解かれた髪を弄りながら、おずおずと少年の横へと身体を寄せ合う。

 

「烙南。次は紅亜からだから、ちょっと横に」

 

「す、すみません。紅亜姉様(こうあねーさま)」

 

「いえ!? 烙南様が謝るような事は!? お、おい。烙南様を横に退けるなど失礼に」

 

「こっちに来て」

 

「あ…ちょ、ちょっと!?」

 

 思わず少女のような悲鳴を上げる紅亜を少年は烙南が退いた跡に引き込む。

 

「お、お前ッ」

 

「お先にどうぞ。烙南は構いませんから」

 

 怒ろうとした紅亜に烙南が笑顔で諭す。

 

「う……で、ですが……」

 

「みんなで心地良くなれたら、それが一番です」

 

 ハッキリと物を言えるようになってきた烙南の近頃の変わりように一番驚いていたのは紅亜だ。

 

 自分が愛されるよりも相手を愛する事。

 

 その気持ちが彼女には嬉しかった。

 

「わ、分かりました。その…ありがとうございます。烙南様」

 

「はい」

 

 そんな風に他者を気遣う言葉をハッキリと聞いて、少女もまた変わろうとしているのだと、少年は嬉しく思った。

 

「それじゃあ、紅亜……」

 

「ぅ…た、頼む……」

 

「二人の時みたいにしてもいいんだよ?」

 

「ば、馬鹿!? そ、そんな事出来るわけが!!」

 

「?」

 

 烙南の不思議そうな顔に少年が耳元へ呟く。

 

「いつも旦那様にして欲しいって、おねだりしてくれるんだけど」

 

「~~~!!!?」

 

「そう、なのですか? 紅亜姉様」

 

 無垢な疑問に晒されて。

 

 思わず顔を隠したくなった紅亜だが、少年の手に腕を取られて出来なかった。

 

「ぁ…ぅ…くぅ。はぃ……」

 

 恨みがましい視線で少年を紅亜が睨む。

 

 その姿すら少年にはとても愛らしく映った。

 

「可愛いよ。紅亜」

 

 ちゅ。

 

「!?」

 

 そう軽く頬に口付けされて、今度こそ紅亜の頭は白くなる。

 

「触るよ……」

 

「ぁ…んぅ!?」

 

 少年の指が紅亜のお世辞にも大きいとは言えないささやかな胸を撫ぜる。

 

 たった、それだけの行為。

 

 しかし、変化は劇的で。

 

 浴室で溜め込まれていた快楽への期待が一気に紅亜の身体を熱くさせていく。

 

「ひゃう!? ひぅ!? や、ゃぁっ、こ、こんな…らく、な様の前でぇ♡」

 

「前みたいに素直になってもいいんだよ?」

 

「~~~!?」

 

 乳首を指で転がされながら、腰の奥の疼きには逆らえず。

 

 今まで年上として烙南に振舞ってきた自分の素顔を晒す羞恥に紅亜の顔が真っ赤に染まった。

 

「隠し事は姉妹の間じゃ良くないと思うけど?」

 

「紅亜姉様……」

 

 少年と姉と慕ってくれる少女の声。

 

 それに疼く胎が震えた。

 

 素直におねだりをして、曝け出して、はしたない牝に、一人の女になった時の悦びを想像した紅亜は…耐え切れず、そっと少年の胸に顔を埋めた。

 

「だ、だんなさまぁ♡ して、くださいませぇ♡」

 

「紅亜」

 

 ついっと指が顎を持ち上げて。

 

 唇が重ねられた。

 

「ッ―――!!?」

 

 二人の様子を嬉しそうに見つめる烙南が少年の背中にピッタリと胸をくっ付けて、はしたなく蕩けていく紅亜の顔を覗き込んだ。

 

 舌と舌が糸を引きながら剥がれる。

 

 もう、そこにいるのは少年を旦那様と慕う一人の牝だった。

 

 崩れた顔は淫蕩に染まり切って。

 

 ただ少年を見つめながら、おねだりが口にされる。

 

「だんなひゃまぁ♡ わらひぃをぉ♡ おおきな“まら”れぇ♡ つらぬいてくらひゃいまへぇ♡♡」

 

 恢復しつつあるとはいえ、それでもまだ奴隷にされそうになった時に使われた秘薬は残存している。

 

 しかし、その効果を差し引いても、紅亜は人一倍に女としての自分を抑制してきたせいか軽い快楽でも箍(たが)が外れる傾向にあった。

 

 理性を無くした一匹の牝を少年の唇が再び捕える。

 

「んむぅ♡」

 

 唇を僅か離して、少年は呟いた。

 

「烙南にも見てもらおう。紅亜が可愛いところを、ね?」

 

 グジュッと指がもう完全に男を欲しがる蜜壷を抉る。

 

「は、はぃいい♡ らくなひゃまぁ♡ どうかぁ♡ わらひぃのぉ♡ はじゅかひぃところみれくらひゃいぃいいいい!!」

 

 プシュッ。

 

 潮を吹く秘裂はチュウチュウと指を咥え込んでいる。

 

 少年がそっと紅亜を横たえて四つん這いにさせた。

 

「兄様ぁ……」

 

「我慢出来なくなっちゃった?」

 

 コクンと烙南が頷く。

 

「それじゃ、こっちに来て」

 

 少年が己の下穿きの紐を解いて、その先端を紅亜の秘裂へと宛がった。

 

 そして、小さな烙南の身体を手で背中から持ち上げて、股間を自分の目の前へと持って来る。

 

「二人ともいい?」

 

 少女達が何度も頷いた。

 

「いくよ」

 

 ズッ。

 

「ふぁあああああ♡」

 

 一気に膣(なか)を抉り抜かれた紅亜が唾液を垂れ流しながら、待ちに待った感触に甘い嬌声を上げる。

 

 くちゅ。

 

「あにひゃまぁ♡」

 

 少年の舌が幼い“すじ”を抉り、唇が蜜を啜る。

 

 烙南が背筋を逸らせて少年の名を呼んだ。

 

 長い長い白い絹のような髪が少年と下で貫かれて喘ぐ紅亜の身体を愛撫するように包んでいく。

 

「お゛♡ あ゛♡ ひぎ♡ ひ゛ぁ゛ああああ♡ だんなひゃまぁああ♡ だんなひゃまぁあああ♡♡」

 

 ズヂュズヂュジュグュヂュ。

 

 幹の先端に子宮口を優しく潰されながら貫かれる快楽。

 

 子作りという牝にとって最も感激するべき行為に溺れて。

 

 紅亜が尻を高く上げる。

 

 もっと、少年が貫きやすいように。

 

 もっと、自分の膣(なか)を抉り易いように。

 

 娼婦は自ら腰を振るかもしれないが、少女は相手に全てを阿(おもね)た。

 

 淫らな妻の真似事で少年に求められる事を強く願った少女の要望に答えて。

 

 小刻みに奥を抉り。

 

 いつもは礼儀正しい少女の顔を少年は被虐の悦びで満たしていく。

 

「あ゛~~~♡ あ゛~~~♡」

 

 涙を零しながら、自分の大切な場所を愛しい者に蹂躙される悦びで、半ば紅亜は小刻みな絶頂を何度も繰り返していた。

 

「あにひゃまぁ♡ “ほと”いいれひゅ♡ あにひゃまぁあ♡」

 

 まだ指も入りそうにないと見える烙南の慎ましい“ほと”。

 

 その美しい縦に奔った一本の線から溢れる蜜を唇で受け止め、舌で押し入り、解していく行為はとても丁寧に行われた。

 

「あぁああ♡ しられ♡ えぐりゃれてぇ♡」

 

 まだ幼い身体から溢れ出す薫りは間違いなく牝のもの。

 

 蜜の濃さも舌で解される膣(なか)の具合も全てが少年の行為の最中に成熟を見せていく。

 

 肉体は小さくとも、また少女も女の悦びに喘いだ。

 

 じゅ、じゅず、ぐぢゅ、ずず。

 

 コクン、コクンと少年に己の“ほと”から溢れる蜜を飲み干されて、舐め取られて、嬉しくないわけがない。

 

 正に男が女に精を飲ませて満足を得るように、少女もまた自分が少年の一部となるという思考に甘く甘く支配されていく。

 

 所有される悦び。

 

 性奴の殆どが持つ悦びの一つを烙南は知らず心地良いものとして感じていた。

 

 そもそもが血筋を目当てに生かされ、神門を生む道具として調整されていた。

 

 その身体と心に刻まれた本能とでも言うべきものを昔は意識する事も無かった。

 

 しかし、今は少年を前にして、自分を所有して欲しいと、自分を使って快楽を得て欲しいと、そんな事さえ自然に強く思って。

 

「あにひゃまぁぁ♡ ほとあひゅいれひゅぅ♡ あにひゃまぁぁ♡」

 

 少女は啼く。

 

 自分の一番大切な人。

 

 兄と呼ぶ少年。

 

 自分を唯一所有していい者へ。

 

「凄く気持ちいいよ……」

 

 旦那様。

 

 兄様。

 

 二つの声が混じり合いながら、山小屋を満たしていく。

 

 二人の蜜が混じり合いながら、芳しさを満たしていく。

 

「だんな、ひゃまぁ♡ も、もぉ゛♡」

 

「あにひゃ、まぁ♡」

 

 白くなっていく意識の中で少女達が少年を呼んだ。

 

 それに応えて。

 

 少年の腰が一際強く子宮口を抉り、舌が最も奥まで伸ばされる。

 

「「―――――― 」」

 

 声にならず。

 

 二人の少女の意識が忘我の彼方へと到達した。

 

 ビュブブブブブブブブブブブ。

 

 子宮口を一際深く抉った鈴口から精が噴射された。

 

 直撃した精の熱さに焼かれて。

 

 胎内は幾度も収縮を繰り返し精を溜め込んでいく。

 

 烙南の“ほと”からはトプトプと口元から零れる程に蜜が滴った。

 

 二人の絶頂に少年が烙南を一端下ろし、幹を根元から握って秘裂から引き抜く。

 

「紅亜。烙南を抱っこしてあげて」

 

「は、はぃ……だんなひゃまぁ♡」

 

 絶頂に身体を震わせながらも、少年の言葉を嬉しそうに聞いて、紅亜が隣に下ろされボウッとしている烙南を自分の上に乗せるようにして抱き締めた。

 

「烙南にもあげるから……」

 

「ぁ♡ あにひゃ、んぁあああ♡」

 

 まだ精を全て出し切っていなかった鈴口がお漏らしをしたように塗れている“ほと”の中央を貫いた。

 

 グニュウウ。

 

 そう入りそうもないくらい小さな穴を押し広げて、先端が入った瞬間。

 

 ビュ、ブブブブ、ビュボボボボ。

 

 再び射精が再開される。

 

「こぢゅくりぃ♡ あにひゃまのあかひゃん♡ できれぇ♡ あぁああ!! あにひゃまぁ♡ らくにゃのここちゅかっれくらひゃいぃ♡」

 

 まるで我が子の姿に目を細める母親のように紅亜が淫らなおねだりをする烙南を見つめた。

 

「ん……」

 

 烙南の胎を満たし終わって尚、まだ震える幹を引き抜いて、少年が二人へと先端を向ける。

 

「ん♡」

「ぁ♡」

 

 びゅびゅ、びゅ、びゅ、ぴゅぶ。

 

 少女達の顔に、胎に身体に精の一滴まで全て搾り出された。

 

 今や少女達の正面で精に塗(まみ)れていない場所はない。

 

 二つの秘裂から精が零れていく。

 

「二人とも、これで僕のものだよ。ずっとずっと……」

 

 壮絶なまでに少年の匂いに包まれて、二人が互いに同じ笑みを浮かべた。

 

 全てを信頼し切った子どものような笑みを。

 

「おやすみ……」

 

 何もかもを無防備に晒して、少女達は頷き、意識を落とした。

 

 *

 

 二人の身体を清めるのに時間を掛けて。

 

 新しく如いた敷布の上に裸の姉妹を寝かせて。

 

 少年が外に出たのは夜明けも近い時間帯。

 

 それでもまだ世界の果てに朝日の気配はなく。

 

 夜は世界を永遠に閉ざしたかと錯覚する程深い。

 

「我が創造主」

 

 樹の下で空を見上げていた少年に声が掛かった。

 

「何かあった?」

 

「大陸外派遣されていたミュルト・ジオバトスの反応が帰還しました」

 

「そう。ミュルトが……本格的に始めるつもりなのかな」

 

 少年が訝しむ。

 

「それと現在、大戦以後解散されていた【騎師団】と【空奏師団】が大陸北西部で再編を完了したとの情報を掴みました。規模は追討師団とは比べものになりません」

 

「ちなみに騎師団はどこの?」

 

「ルインとの事です」

 

「騎師団ルイン。空奏師団エロール。二つ同時とか。困ったな……」

 

 まったく困った様子もなく少年が呟く。

 

「騎師団デイカイオン。騎師団クオヴァディス。これらも続けて再編が始まっているようです」

 

「瓦解して機能してないはずの【聖杯委員会(ペルスヴァル)】が動いてるって事?」

 

「はい。理論的にはそうなります。半分以上は世界の外へ追放したはずですが、階梯の低い者達で再編されたと考えられます」

 

「随分と急な印象だけど、何処の誰がやったんだか」

 

「現状、【稀代ノ王】(クラーレ・スペェエス)マシア・ミニクス・アルヴィッツによるものとの推測が最も妥当です」

 

「あの大戦【黄昏の悠久戦争】以来引き篭もりだって聞いてたけど。一本取られたかな」

 

「本来、異種族と人間の諍いが大きくなればなる程に再編は困難なはず。亜人との摩擦からもほぼ委員会の再編は不可能と見ていましたが、何か裏があると考えるべき事態です」

 

「委員会の裁可が無ければ、強過ぎる騎師団は再編不可って契約だったはずだから何か取引したって考えるのが妥当な気がする」

 

「はい」

 

「それにしても騎師団が三つ。さすがに今の僕だと手に余るかもしれない……」

 

「現在、北西部【騎士国(ヴィーリア)】において大陸の軍事バランスを極端に崩す【騎師団】の再編に反対する動きがあるようです」

 

「それ本当?」

 

「はい。未確認情報ですが、イデオストロフ、グラテト、ベリアステルの北部三国が周辺諸国と【騎士国】の支援を決定したとの情報が網に引っ掛かりました」

 

「七教会との折衝が上手くいかないように祈ってようか」

 

 苦笑しつつ、少年が樹に身体を寄り掛からせる。

 

「しばらくは静かに潜伏する事が最善と判断します」

 

「うん」

 

「では、再び管理業務に戻ります」

 

「よろしくね」

 

「はい」

 

 声が途切れる。

 

 闇の中にはもう誰の気配も無かった。

 

 再びイグニシアへと戻る朝が来るまで少年はずっと空を眺め続けていた。

 

 動き出した流れが激流になるのを予感しながら。

 

(異種族の横の繋がり。あの筋肉が言ってた事が本当なら、七教会が異種族との取引に正面から応じるわけがない)

 

 人間を滅ぼそうとする異種族や亜人がいるという話は頷けるような話だ。

 

 しかし、その彼らが七教会と何らかの取引をしたとすれば、一見して状況は矛盾している。

 

(まだ、足りない情報がある。それが何かさえ分かれば)

 

「エトの話じゃ戦略級がエルフの群落近くで一つ潰れてる。ハティアか他の誰かがやったとして、後は戦略級が二つと準大陸級が一つ。早めに叩くべきなのかな……」

 

 これから忙しくなる事を少年はひしひしと感じていた。

 

 物語は進んでいく。

 

 闇の中で。

 

 輝きが届かない場所で。

 

 それでも少年は願わずにはいられない。

 

 何も知らず眠る少女達がこれからも笑顔でいてくれたらと。

 

 紅亜と烙南が目覚めるより早く。

 

 少年の姿は朝日と共にハルトゥムの大地から消え去っていた。

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