---江戸川コナン---
纏まった休み…春休みに入った。蘭と灰原の行方は未だに不明である。いや、蘭の母親は蘭の居場所を、知っているようではある。蘭の母親である妃弁護士と、小五郎のおっちゃんの会話を盗み聞きしたところ、蘭は誰かを傷つけ、その誰かの為に生きることにしたようだ。蘭に限って、誰かを傷つけることは有り得ない。何かの罠に嵌まったのか?
「お~い♪待たせたな、工藤」
オフロードバイクに跨がった、肌が焼けた青年が俺に声を掛けてきた。西の高校生探偵の服部平次である。俺が工藤新一であると知っている数少ない友人だ。
「おぉ、服部!何かわかったか?」
「う~ん、まるでわからへんな。何者かに護られているようだぞ」
何者か?黒の組織か?俺と灰原の身体を小さくした薬の開発した。謎の組織である。
蘭のいる場所は、あの小淵沢の敷地のどこかである。きっと、灰原も一緒にいるはずだ。
「ほな、行くか、工藤♪」
服部にヘルメットを手渡され、服部の後に座り、俺達は小淵沢を目指した。
◇
あ…ここはどこだ…小淵沢で宿を取ったのだが、襲撃されたのだった。突然のことで、服部すら反撃できなかった。頭がズキズキする…
「目覚めたか…工藤…」
俺の傍に服部がいた。
「ここは?」
「あぁ…公安調査室だってよ。俺達は見張られていたらしい」
また、あの牢屋か…マークされているのか。
「ボウズ…懲りないようだな」
あの時の尋問官が牢の外にいた。
「おい!蘭姉ちゃんを返せ!」
「おいおい、返す返さないの話じゃないだろ?本人が決めたことだ。あの娘の親も、了承済みだぞ」
なんで…そんなことを…蘭…
「ここで、春休み中は頭を冷やせ!ここなら安全だからな」
---毛利蘭---
また、コナン君が無茶をして、公安に連れて行かれたそうだ。まったく、あの子は…彼に何かあったら、私だけはどうにもならなくなるのに。
「蘭…どうしたんだ?彼氏のことか?」
彼に訊かれた。
「彼氏なんて居ませんよ。祐介君だけ…あなたを支えるって、決めたんですから」
春休み中で、彼の妹さん達が来ているせいか、彼は穏やかな日々を過ごしている。
「そう…でも、もしいるなら…帰っていいんだよ」
ここを離れれば、二度と彼とは会えなくなるだろう。新一には彼に隠れて、連絡を取ろうとしているのだけど、連絡が取れないでいた。あのバカ、どこにいるんだよ~。相談に乗って欲しいのに…
「あら?心ここにあらず?」
うっ!
深雪さんが気配を消して、後から抱きついて来た。抵抗することが出来ない。ここで暴れれば、確実に彼は豹変するだろうから。深雪さんの手は、私のブラウスのボタンを外し、ブラのホックを外し…彼の前で濃厚なプレイを始めていく。
「あっ…ダメです…そこは…」
女性だけあって、女性の快楽へのツボを熟知している。全身が蕩けている感覚で、抵抗なんかしたくない気分になっていた。
「蘭…お口で…」
彼に頭を持ち上げられ、彼の股間に顔が向けられた。私達のプレイに刺激され、彼は戦闘準備が出来ているようだ。大きくなったモノを舐めて、湿らせていく。それから、口に頬張って…
彼と深雪さんと私のスキンシップ…下の口に彼がいて、上の口は深雪さんと重ねて合う。
◇
「蘭…」
えっ?懐かしい声…誰だっけ…ここは?
「大丈夫か?」
小さな手が私の肩に触れている。あぁ、この子は…そうだった。
「コナン君…どうして?」
上半身を起こして、彼を見つめた。
「蘭姉ちゃん、大丈夫?うっ!」
体液塗れの私を見て、固まっているコナン君。
「誰にやられたの…」
「大切な人達に…」
「洗脳されたの?」
「違う…自分から…決めたのよ」
「どうして?高校を辞めてまで…」
「私は封印されていた悪夢を、起こしてしまったから…」
---江戸川コナン---
服部は親が引き取りに来て、連れて行かれた。俺は、父さんも母さんも来てくれない。って、全裸の蘭が俺のいる独房へ、連れて来られた。蘭の身体は、何かの液体塗れであった。
冷たい床に置かれた蘭…俺は蘭に駆け寄り、脈を調べた。脈は触れている。全裸で、この臭いって…ケダモノ達に回されたのか?
「私は封印されていた悪夢を、起こしてしまったから…」
涙目で俺を見る蘭。白い肌には、縛られたロープの痕が残っている。性奴隷にされているのか?
「ねぇ、一緒に帰ろうよ…蘭…姉ちゃん…」
「ごめんね…コナン君…」
え!蘭に抱きつかれた。おいおい、全裸だぞ…顔が谷間に埋もれていく。気持ちがいい…って、そんな場合では無い…だけど…胸に手が…
「いいよ…好きにして…」
蘭は囁くように声を出した。好きに…してって…おい…
◇
目覚まし時計の音で、目覚めた俺。上には蘭が載っている…はぁ?頬を抓ると痛い…夢では無いようだ。上に載っている蘭は、全裸のようだ。微かに石けんの香りがする。朝立ちしている俺のアレ…いつもと違う。何か暖かなモノに包まれているようだ。股間に手を伸ばすと…刺さっていた。蘭の身体の中に…挿入していた。どういうことだ?そう言えば、蘭と交わっているのに、顔が同じ位置にあるって…俺は俺に戻ったのか?どうしてた?
「うん?おはよう…祐介君…えっ?!なんで…なんで…新一なの?」
俺を見て固まる蘭。祐介って誰だ?その瞬間、俺のアレに異変が起きた。蘭が膣痙攣を起こしたようだ。おい、マズいって…
---灰原哀---
「これで良かったの?」
彼に訊いてみた。工藤君の部屋の様子を、監視カメラで見ていた私達。
「帰る場所があるなら、帰るべきだと思わない?」
そうだけど…
「俺の傍では、壊してしまいそうだし…」
そうかもしれない。たまに、目を覚ます狂気なる悪夢を、宿しているものね。
「で、哀ちゃんは、その姿で良いの?」
「えぇ、この姿でいいわ。私を知っている人はいないし。この姿なら、危険も無いしね」
あの女の代わりに、彼の傍にいたい。子供の姿であれば、襲われないので安全である。
「戻りたい時は言ってな」
「えぇ…」
周囲の者を壊していると実感し、落胆している彼…支えてあげたい。そんな彼を…
「美和子さん、車を出してください」
彼は運転席にいる、元刑事の佐藤美和子に命じた。
---相沢小霧---
春休み…兄さんの元で暮らす日々…あと2回夏休みを超えて卒業すれば、兄さんとここで暮らせる。そういう約束である。
「小霧…」
えっ…兄さんの手の平が、私の胸を掴んだ。
「大きくなったなぁ…」
う~ん…胸で成長具合を見るのはちょっと…まぁ、背は伸びていないしなぁ。
「深雪さんは?」
話題を逸らそうとする私。
「深雪は、お食事の準備をしている」
「蘭さんは?」
今日は見かけていない。
「蘭は、元の鞘に戻ったんだ」
元カレの元へ帰ったのか…蘭さんは…兄さんを捨てて…
「あぁ、蘭は元カレと籍を入れたそうだよ」
って、兄さん。その声からは感情が感じられない。
◇
兄さんが疲れたようなので、メイドさんに兄さんを預け、リビングへ向かうと、兄さんの担当編集者いた。
「あっ、紗霧ちゃん…」
私に気づいた担当さん。彼女の前には、企画書が置かれている。タイトルは『冴えない彼氏の育てかた』とある。
「いいところに来てくれた。大先生の企画書なんだけど…」
テーブルの上にあった企画書を見せてくれた。ちなみに大先生とは、兄さんのもう1つの人格とも言える朝霧沙樹のことである。
「ふむふむ、冴えない男と才色兼備な女性をカップリングさせる物語なのか…」
「そうなんだよ。だけど、そのモデルがさぁ…」
モデル?キャラ設定表を見せてもらった。男は工藤新一?女性は蘭さんだった。これって…蘭さんが元カレの元へ帰ったのが、原因なのか…で、見たことしか書けない大先生は…なんか、とっても危険な香りがする。
「で、これは書籍化するんですか?」
「既に校正作業に廻っているそうよ。5月出版を目指しているらしいわよ」
これが出れば、もう蘭さんは、ここへは戻れないだろう。大先生は、兄さんから蘭さんを取り上げるつもりなんだろうか?
企画書によると、探偵オタが大切な人の存在を思い出し、恋敵から彼女を取り戻そうとするクライムサスペンス調である。朝霧沙樹ぽく無い展開だ。そこにはファンタジー色は、まるで無い。
挿絵も見開きの1箇所だけ…男女が交わっているシーンだけだ。だけど…この挿絵は危険である。引き込まれるような画角…美しい男女の性の営みの影絵である。見ようによっては、天使と悪魔が交わっているようにも見える不思議な絵である。その挿絵に、魅入られていく私。
「魔性な挿絵だよね。それ…抱き合う男女は、それぞれが黄金比で描かれていて、顔は見えないけど、顔が想像出来てしまう…危険な絵だわ」
って、担当さん。蘭さんの元カレの顔は知らないけど、男性の顔が浮かびあがってくる。なんだ、この絵は…どんな技法なんだろうか?
「なんか、恥ずかしい絵を見ている気分になりますよね」
男性が下、女性が上の構図で、女性の背中、お尻、うなじ、ももなど、背面しか見えていないんだけど、胸や下腹部がどうなっているのか、妄想出来てしまう。なんでだ?って言うか、悶悶としていく。担当さんもモジモジしている。マズいって…
「大先生の絵…不思議な力があるよね」
そう、不思議な力である。
---毛利蘭---
新一と暮らしている。以前のように、出たら出っ放しで無くなった新一。遠出の探偵趣味以外は、毎日帰って来ている。
私の体内で、精液を出したことで、責任感が芽生えたようだ。恋愛に責任感って、間違っているけど、まぁ、毎日愛してくれるから、良しにしている。
「蘭…これって、どういうこと?」
お母さんが、新一が留守の時に訪ねてきた。手には私の戸籍抄本の写しがあった。それに目を通すと、私は新一の妻になっていた。あの日の翌日にだ。
「あの探偵男の挙動がおかしいから、もしやって調べて見たら、案の定よ!」
新一の抱いている責任って、私を妻にしたことへの責任なのか?
「蘭…もう、戸籍がこうなっている以上、どうにもならないけど、彼のことは一切忘れなさいね」
って…彼とは…私が壊してしまった彼のことだ。ずっと傍にいるって、約束したのに…
「なんで、こうなったのかな?」
涙が込み上げてきた。私の意志が、まるで反映されない人生…
「彼の事は、私が顧問弁護士となっているから、心配しないでいいわ。だから、忘れなさい」
たまに思い出す…彼の無邪気な笑顔…豹変した冷酷な顔…どちらも彼である。
「無理…快方へ向かっていたのに…私が…世良ちゃんの暴挙を止めていれば…」
「無理でもよ。そういう約束でしょ?彼の元を去った時点で、彼のことは忘れるって。もう、彼の心を壊さないで欲しい。今はどうにか、穏やかな毎日を送っているのよ」
新一がコナン君や服部君を使って、彼にちょっかいを出していた。そのことで、彼の心は…彼の周囲の者の判断で、私を新一の元に返すことにしたそうだ。彼の心を、もうこれ以上、刺激しないように…
彼の心は壊れていた。色々な重圧に耐えていた彼の心は、ちょっとしたことで壊れたそうだ。そんな彼の治り始めた心を、私達のせいで再び闇へ、突き堕としてしまった。その責任で私は彼の元で、一生、彼に尽くそうと思ったのに…新一が…コナン君達を使って…酷い…
戻された原因のもう1つは、私が彼に隠れて、新一へ連絡を取ろうとしていたことだ。それを彼の周囲の者に見付かり…私は、新一の元へ…彼が、新一と連絡している私の姿を見ないように…
「結婚式を挙げなさいね。ケジメを付ける意味で」
お母さんは、お父さんと、新一の両親と相談すると、帰って行った。なんで、私の了承を得ずに籍を入れたのよ、新一…酷すぎる。
---工藤新一---
結婚資金を貯める為に、学生を辞めて、探偵稼業を本業にした俺。蘭と盛大な式を挙げたいし。
「ほぉ~、蘭君と身を固める決心をしたのかね」
目暮警部に訊かれた。
「えぇ、悪い虫が寄り付かないようにするには、それしか無いでしょ♪」
「いいぁ~、結婚かぁ~」
高木刑事が呟いた。
「高木刑事も佐藤刑事と結婚するんでしょ?」
高木刑事に近寄り、彼の耳元で囁いた。
「それがねぇ、連絡が出来ないんだよ。異動令が出て、連絡の取れない場所にいるようでさぁ」
って…確か、あの公安調査室にいたはずだ。
「連れ戻そうか?」
「出来るのかい?」
「居場所は、だいたい分かるから」
「え?そうのか?さすが名探偵だな。頼む、美和子さんと逢いたいんだよ」
って、佐藤刑事の捜索の依頼の仕事を受けた。
---司波深雪----
春休みが終わる頃、大先生の企画書に変化があった。あの問題作に第2章が追加され、高木刑事、佐藤刑事の『警視庁恋愛物語』だと言う。
職場では隠れて交際していた二人であったが、佐藤刑事に異動令が出て、職場が別々となった。連絡も思う様に取れず、逢うこともかなわなくなった高木刑事が、名探偵に佐藤刑事の捜索を依頼し、結婚へ向かうストーリーのようだ。そう言えば、最近、美和子さんを見かけていない。まさか…母屋へと向かった。
大先生に気づかれないように、母屋で聞き込みすると、美和子さんは、ここ1週間くらい姿を見ないそうだ。お仕置きされているってことも無いようだ。返却したのか?経過観察をする為に…あの大先生なら、やりかねない。
「深雪、何をしているんだ?」
マズい…大先生に見付かった。
「いえ、点検ですよ。やらかしていないかのね」
「やらかしていないよ」
大先生に抱きつかれた。マズい…
◇
いつ、意識を刈り取られたのか、定かでは無い。だけど、現状を考えると、意識を刈り取られたのだろう。
ぬか床に埋められている。臭いでわかる。何も見えない、何も聞こえない…たぶん、鼻だけ出して、後は埋められているのだろう。発酵しているようで、熱い。塩分を私の汗で補給する為か?誰か…見つけてください
---相沢小霧---
母屋へと向かった。距離があるので、原付バイクで往復している。自転車では、帰りの昇りが結構きついのであった。母屋とベースと呼ばれる寮をミニ鉄道で結ぶ計画もあるらしいが、道の整備がまだ終わっていないので、先のことになるらしい。
母屋に辿り着くと、台所では料理担当のメイドさんが食事の準備をしていた。私は兄さんの部屋へと向かう。
部屋の前で、ドアの横にある呼び鈴を押した。
「はい♪」
兄さん付きのメイドさんが顔を覗かせた。
「今、兄さんは大丈夫?」
「大先生ですが…どうするのですか?」
「会っていく。明日は帰る日だし」
「では、どうぞ♪」
明るい口調のメイドさんだけど、何故かその表情は冴えない。何か問題があったようだ。部屋の中では、大先生がPCを前にして、怒濤の打ち込みをしていた。早い…なんて打鍵速度だ?兄さんより早い気がする。唸りながら打鍵している兄さんと違い、脳裏に浮かんだ情景を、すかさず打鍵しているようである。
改ページする度に、プリンターから原稿が打ち出され、メイドさんが校正作業をしている。執筆作業中は私語厳禁であり、私語や息抜きをする場合は、大先生の休憩時以外は、隣の小部屋で行う習わしである。小部屋に向かう私と先程のメイドさん。
「これ…どう思いますか?」
今日、打鍵した分を見せてくれた。内容を見て固まる私…ぬか床の改良方法が、書かれていた。その場で見てきたような、細かい表現…大先生はやらかしたのか?
「深雪さんが、ベースに来なかったんだよ」
「そうなんですか?躾部屋には、誰もいませんし、どこにいらっしゃるのかな?」
どこかの部屋に監禁されているのか?その様子をカメラで撮影しているはずだ。
「救い出す訳にも行かないし…どうしよう」
大先生モードの兄さんは危険である。頭脳派である達也さんを、上回る計画性に加え、行動力も半端無い。あの優しい兄さんと同一人物とは思えない、凶暴性も持ち合わせていた。
「醸造蔵とかは?」
密閉性の高い、醸造専用の蔵があった。たまに、そこで躾が行われていることがある
「チェックしましたけど、問題は無かったです」
「わかったわ。私がチェックしてくる」
小部屋から出て、母屋の外へと出た。そうなると、離れにいる可能性がある。離れは、母屋から5分ほどの場所にある、ゲストをお泊めする為の建物である。玄関を入ると、囲炉裏のある部屋があり、ここで食事をするそうだ。その先に階段があり、1階と2階にゲストの為の部屋があり、1階の突き当たりには、掛け流しの温泉があるつくりである。
離れへバイクで移動して、中に入った。囲炉裏には火は無い。温泉をチャックすると、使った形跡がある。ここで正解のようだ。問題はどの部屋にいるかだ。部屋を見回ろうとした瞬間、ポッケに入れていたスマホが震えた。メールの着信。先程のメイドさんだ。
『逃げて…大先生が…』
ここに向かって来るのか?マズい…玄関に行き。バイクに載ろうとすると、大先生が、母屋の玄関から出て来た。マズい。見付かる。バイクを隠し、離れの裏に逃げた。