12/09 説明不足な為、誤解されている箇所を、追記します。司波深雪のパートです。
---工藤新一---
朝霧沙樹サイドと商談をする為に、呼びだした。警視庁管内にだ。小淵沢では分が悪いからだ。万が一に供えて、高木刑事に監視して貰うことにした。何をされるか、わかったものでは無いからだ。約束の時間になると、アイツの秘書を名乗る女がやって来た。長い黒い髪に、黒のスーツに黒のサングラスである。正体を隠す為か?
「商談とは、どういうことですか?返す者は返し終わりましたけど」
「慰謝料と手切れ金を貰いたい」
「商材は何ですか?」
「朝霧沙樹が、公安の保護プログラムを、受けている人物って件だ。払わないなら、それ相応の値段で買い取ってくれる処に持ち込むだけだ」
「エグいマネをしますね、探偵って輩は。それで、お望みの者は何ですか?」
受けざる負えない朝霧サイド。ブランドイメージに傷が入るもんなぁ~。
「俺と蘭、高木刑事と佐藤刑事の結婚式費用でどうだ?安い買い物だろ?慰謝料としては」
「手切れ金の方は?」
「俺と高木刑事に、当面の生活費を5000万ほど、この口座に振り込んだ欲しい」
彼女にメモを渡した。
「足が付かないように、スイスの銀行の口座ですか?」
口座名を見て、すぐにスイスの銀行って分かったようだ。侮れない相手だ。
「ちょっと、ゴメンなさい」
女は席を立つと、どこかへ連絡をして、何かをメモして、戻って来た。
「6月の好きな日に、決めなさい。同じ日にしてね。1日しか貸し切れないから」
って、俺にメモを渡してきた。何?東都グランドホテルだと…結構高い部類のホテルである。それを1日貸し切ったのか…朝霧沙樹は金持ちってことか。まぁ、欲をかくと、碌な目に遭わないので、この辺りで切り上げるか。
「あと、これ以降、俺達に関わるなよ」
「えぇ、こちらからは手を出さないわ」
含みを持たせた言い方だな。まぁ、俺から手を出さなければ、平和ってことか。俺はその場を去り、高木刑事へ連絡をした。
---司波深雪---
彼は誤解している。朝霧沙樹は、公安に保護されている訳では無い。お兄様の奥様の父上が、警察庁に顔が利くだけである。私達だけで解決出来ない時に、手を差し伸べてくれている。彼も朝霧ファンだから。
彼らを留置していたのも、公安では無い。公安を装った私達の叔母が持つ組織の者達である。この国の政府直属の、非合法な諜報活動をしている組織で、警察庁にも得た情報は流されている。そういう意味では、忖度で保護されているだけであるのだ。
但し、お兄様の義理の父上に、案件ごとに指示を受けているので、対処方法は公安に受け継いで貰って、予防はして頂いている。
なので、ほぼ無関係の公安組織に、朝霧沙樹の件で、これ以上ご迷惑をお掛けする事が、出来ないと判断し、商談に応じたのだ。
今回の件を報告すると、大先生はどんな返礼をするのだろうか?殺人だけは、皆で止めないといけない。多重人格故の心身衰弱での犯行で、無罪になる確立は高いが、それでは朝霧ブランドに傷が付くから。あんなチンケな探偵風情の為に負うには、高すぎる損失である。
---工藤新一--
佐藤刑事は病院に入院していた。洗脳状態にあるからである。これを解かないとダメだと思う。高木刑事の戸籍への佐藤刑事の入籍は、奪還した翌日に行った。証人には目暮警部夫妻がなっているので、正式な文書として登録されている。
「え?!ここの入院費と結婚式費用を、相手に出させたの?」
「そうです。慰謝料と手切れ金ですよ」
高木刑事に自慢げに話す俺。蘭の母親には、お祝いに貰ったと伝えてある。あの女秘書は、その日のうちに、俺の指定口座へ全額振り込んでいた。決裁権を持っているようだ。今後、あの女を窓口にすれば良いんだな。
「良かったな、高木刑事」
目暮警部が高木刑事を労っている。
「いや、幸せです。はい!もっと努力をして、がんばります」
俺達は、朝霧沙樹に勝利し、幸せを満喫していた。この時の俺達は、朝霧沙樹の本質を、まるで分かっていなかったから…