---相沢小霧---
いつの間に意識を刈り取られていた。離れの一室で意識が戻った。目の前で、兄さんが私をデッサンしていた。服は…下着だけのようだ。こんな私に興味を抱いているのか?まだ、お子ちゃまの階段を、昇りきった程度である。
「意識が戻ったようだな」
兄さんの口調では無い。大先生か…
「えぇ…私をどうするつもり?」
私の全身を舐める様に見ている大先生。
「お前を壊すと、病んでいるお前の兄が心配だ」
兄さんを心配する余力は持っているようだ。
「だけど…」
えっ!
急に私を押し倒した、兄さんの姿をした大先生。
「なかなか美味しい身体付きに、なってきたなぁ♪」
ケダモノに襲われるって、こういう感じなのかな?イヤだけど、身体が反応している。
「あれあれ?小霧ちゃんは、こういうシチュエーションが好きなんだねぇ」
コイツ…股間の湿り気を指で確認している。確認だけでは無く、責めても来た。割れ目に侵入した来た中指、親指でクリを刺激している。意識が刈り取られそうになる。これが、いきそうって感じなのか?
「この程度の刺激で荒い呼吸か。これはどうかな?」
あ…ブラの上から乳首を甘噛みされた。ダメ…太股の内側が痙攣していく。腰が動く…メスとしての本能の為せる業か?
「高校2年だものな。身体はメスになって来ているんだな」
アイツの責めに、抵抗出来無い…身体が金縛りに遭った感じである。
マズい…下腹部に固い物が当たっている。目の前のケダモノは、未だズボンを履いているので、入れられる心配は無いけど…私の身体が、それを欲しがっている。
「あらあら、随分といやらしい身体になったんだな、小霧。ユースケ君も、さぞかし悲しいだろうな」
言われたく無い言葉…でも、身体は貪欲であった。
「欲しいのか?」
耳元で囁いたケダモノ。生唾を飲み込み、頷く私。相手が誰であろうと、身体は兄さんである。欲しくない訳が無い。
「声で、強請って欲しいなぁ♪」
いやだよ…そんなのは…
「欲しいです。兄さんのペニスが欲しいです」
心とは真逆なことを言う私の口。
「そうか♪」
勝ち誇ったような獣…しかし、ここで、予想外のことが起きた。
「させないぜ!」
兄さんの言葉…兄さんが窓ガラスを開けて、外へダイブした…私を助ける為に…
---司波達也---
あの凶暴な人格を倒す為に、祐介君は窓から身を投げた。1階であったが、自分にダメージを入れる為に、頭から身を投げたようだ。小霧ちゃんからの連絡で、医療施設に運び、脳検査後、傷の治療を施した。
「兄さんは、どうですか?」
目を真っ赤にして、訊いてきた小霧ちゃん。
「脳へのダメージは無い。怪我も裂傷だけで、骨には異常が無い」
「兄さんは戻って来てくれたんですよね?」
「経過観察は必要だよ。一時的であれ、あの人格に割って入ったのは、良い傾向ではあるが、自殺願望に傾く可能性はある」
今回のケースでも、1階だから助かったが、2階以上だった場合、死に至る可能性はある。
「どうすれば良いんですか?」
「不必要な人格を、消して行くしか無い。時間のかかる治療になるよ。小霧ちゃん、覚悟はあるか?」
頷く小霧ちゃん。
「わかった。夏休みまでに、もう少し、良い状態になるように、頑張ってみるよ」
と、気休めを小霧ちゃんには伝えた。
◇
「頭脳だけを、子供に戻すとかはどうですか?」
俺の助手をしてくれている、灰原哀ちゃんに言われた。
「その場合、彼は仕事が出来なくなる。彼がソレを受け入れるとは思えない。もう1つ問題がある。子供の頃の記憶だけになると、小霧ちゃんとの記憶の居場所が無くなると思うんだよ。小霧ちゃんも受け入れてくれないだろうな」
祐介君と小霧ちゃんが兄妹になったのは、祐介君が中学3年の時である。両親の再婚による義理の兄妹であった。
江戸川コナンという少年と哀ちゃんを、苦しめた薬の解析は終わり、対処薬の開発も出来ている。ソレらを使えば、身体は大人、頭脳は子供って状態に、持って行けるのだが、祐介君には、使用が難しいだろうな。
子供化した二人を苦しめていた黒の組織とは、四葉家と七草家が交渉をし、不可侵条約を結んだ。双方が、相手方の関係者には一切手を出さないって感じである。そのことを踏まえて、江戸川コナンという少年だけ、元に戻した。哀ちゃんは現状の姿を望んだからだ。
「難しいですね。心が壊れると…」
「そうだな。難しい…心は自分を護る為に人格を複数作りだし、ダメージを分散しようとする。祐介君の場合のダメージは、彼の叔母さんからと小霧ちゃんのとの板挟みによるものだと思う。彼らの両親が事故で亡くなった後、叔母さんは二人を養子にして、生活を指導しよとしていた。一方、小霧ちゃんは最愛なる母親の死により、引きこもり生活していたから、祐介君は小霧ちゃんの生活を守る為に、叔母さんの無理な条件を飲もうと必死であったからね。今は、叔母さんも小霧ちゃんも和解して、今はそのダメージ無いが、祐介君の中では、今も両立しようとしているんだよ。心のバランスを取る為に、今もねぇ」
無理に止めさせれば、祐介君は祐介君ではなくなるかもしれない。15歳前後に、そんな心の重荷を抱えていた彼の心は、疲弊していた。いや、疲弊しながら成長したのだろう。ここで重荷を外した場合、彼の心はバランスを失う可能性は大である。その重荷を入れてバランスを取りながら、彼の心は出来上がって仕舞っているだろうから。
「そうすると、どうしますか?」
心理学は俺の専門であるが、薬学は哀ちゃんの専門であり、薬でどうにか成らないかを、哀ちゃんは模索してくれていた。
「精神安定剤で、様子見かな。彼のしたいようにさせながら、主人格を入れ替えるしか無いだろうな」
「わかりました」
治療方針は決まった。
---毛利蘭---
家族三人での団らん…久しぶりに、お父さんの住んでいる家で、お母さんと料理をした。私の両親は、長いこと別居中である。二人共別れる気はサラサラ無いんだけど、生活の時間が合わないからだ。探偵と有能な弁護士では、生活のリズムは合わないのだった。
「そうそう、祐介君が、蘭へ結婚祝いをくれたわよ」
えっ…
「貧乏亭主の代わりに、結婚式と披露宴をプレゼントだって」
どうして…
「良かったじゃないか、蘭」
良く無いよ…だって、忘れていないから…
「手切れ金代わりに、新一君が貰ったそうよ」
なんで…新一…そんなことを…手切れ金が有るとすれば、払うのは私の方なのに…
「なんでも、二組が同時に結婚式を挙げるそうよ」
「えっ?二組って?」
「高木刑事と佐藤刑事、蘭と新一君よ」
美和子さんまで…どうして…
「お母さん…これって、裏があるんじゃないの?」
「裏?無いはずよ。高木刑事と佐藤刑事の方は、目暮警部が仲人だそうよ」
新一が絡んでいるのか…アイツ…なんてことを…
◇
食事会が終わり、家で新一を待った。
「ただいま…」
今夜も0時近くに帰ってきた新一。
「ねぇ、どういうことよ?」
新一を問い詰めた。
「なんのことだよ?」
「私達と美和子さん達の結婚式の件よ!」
「あぁ、あれか…結構良い取引が出来たよ。そう思うだろ?蘭もさぁ」
取引…何を誰と取引したの…
「誰と何の取引をしたの?」
「勿論。朝霧沙樹とだよ。公安と組んでいることを、公表されたくなかったら、こちらの要望を訊いて欲しいってね。要望は、俺と蘭の結婚式と、佐藤刑事と高木刑事の結婚式の開催で、それを以て俺達に関わるなってね♪」
自慢げに語る新一…酷い…私と美和子さんの想いは無視ってことなのか…
ドン!
「えっ!」
思わず、新一の頭部を後回し蹴りで蹴ってしまった。いや、避けられて壁に穴が…
「どうしたんだ?おい、蘭!」
「どうしたじゃ無いでしょ?私と美和子さんの気持ちは無視なの?!」
「あぁ、二人共洗脳されていたんだろ?一時の気の迷いだよ、気にするな」
気の迷い?ふざけるなよ~。
「新一…気の迷いじゃない。新一の元に返ったのだって、彼の為よ!」
「えっ!どうして…そうなるんだ?」
新一に、彼の元を去ることになった、いきさつを話した。
「あんたが、相談したい時に、直ぐに電話に出ないからでしょ~!」
「おまえ、恐怖で縛られていたんだぞ。あんな目に遭って、なんで、目を覚まさないんだ?」
恐怖で縛られていた…そうかもしれない。でも、今は違う。恐怖感が消えて、無性に彼の傍にいてあげたい。今現在、危険な状況に思える。身近な者達を他者に委ねようとしている気がする。身辺整理をしている感じだ。最後、一人だけになって…消えようとしているんじゃないのか?そんなことはして欲しくない!
「そうそう、私達は離婚しました」
新一の前で、サプライズ的な事を告げた私。
「はぁ?」
「お父さんの事務所からの帰り道、役所に寄って、離婚届けを提出してきました」
「何を言っているんだ?俺の署名捺印が無いんだ、無効だぞ」
「はぁ?入籍するときに、私の署名捺印を偽造したヤツに言われたく無い」
荷物を詰めたスーツケースを2つ手にして、玄関へ向かう私。
「ちょっと待てよ、蘭!」
首筋に針が刺さった痛み…意識が遠く成っていく。
---妃英里---
新一君から、大変なことになったと呼び出された。夜中の2時だよ。あの探偵小僧は、何をしでかしたんだ?急いで、蘭と新一君の住んでいる家に急いだ。
家の玄関には蘭のスーツケースが2つ横倒しになっていた。ベッドルームに向かうと、外出着姿の蘭が横たわっていた。
「これはどういうことかしら?」
「蘭がヒステリーを起こしたので、睡眠薬で眠らせています」
睡眠薬?飲ませた訳じゃ無いだろうな。蘭の首筋を触ると、針が刺さっていた。ソレを抜いて、
「首に睡眠薬を注入したの?何をしているの?」
これは犯罪である。睡眠薬を首筋に注入するなんて、危険過ぎる行為である。
「ですから、蘭がヒステリーを起こしたんです。で、蘭が、提出した離婚届を無効にして欲しいんですよ」
離婚届け?蘭が提出したの?
「どうして…」
「どうしてって、一時的なヒステリー状態での離婚届けの提出は、正常な判断の下での行為では無いでしょ?」
「そうじゃなくて、どうして、蘭はヒステリー状態になったの?食事会では普通だったのに…」
ほんの数時間前まで、蘭と一緒にいた私。何をしたの?私の娘に…
「わからないですよ。いきなり蹴られるわ。まだ、洗脳されているんじゃないですか?朝霧沙樹に」
それは無い。結婚式と披露宴を手切れ金代わりにプレゼントと言っていた。待てって…私は直接言われていない。そう言われたと言ったのは新一君である。まさか、脅し取ったのか…それだと、有り得る。報復に周囲の者達が動いた可能性があるが、その場合、蘭じゃなくて、危害を受けるのは新一君である。やはり、探偵小僧は何かをやらかしたようだ。
「娘は返してもらうわよ。二人で、ゆっくりと話をしたいから」
って、新一君に背中を見せた瞬間、首筋に針が刺さる感触が…しまった…やられた…
◇
意識が戻ると、スーツケースの中に入れられていた。手首と足首は拘束され、全裸にされていた。逃げられないようにしたのね、あの探偵坊やは…仮にスーツケースから脱出しても、この姿では、外には出られない。
周囲の音を聴く。蘭のスーツケースだとしたら、軽量ボディなので、防音性は無いはずだから。
「父さん、どうすれば良いかな」
彼の父親である工藤優作に掛けているようだ。そうすると、ここは彼の家か。
「そうなんだよ。ヒステリーで、突発的に離婚届けを出したらしいんだよ」
私が協力的でなかったので、自分の父親を頼ったのか。
「え?結婚式を挙げて、6ヶ月後に入籍?あぁ、そうか。元の鞘に戻れば良いのか。助かったよ、父さん」
彼の立ち上がる音…そして、彼が倒れる音。何が起きたんだ?スーツケースが横倒しにされた。そして、スーツケースの蓋が開いた。
「遅くなりました。妃先生♪」
彼が助けに来てくれた。頭には包帯を巻いている。怪我をしているのに助けに来てくれたのか。
「僕を脅して、式一式以外にも5000万程要求して、これですか…名探偵はやることがエグいですね」
拘束を外したくれた彼。彼の主治医の司波達也君が、新一君を拘束している。
「どうしましょうね。やられたら、やり返す派なんですよ。僕は…」
全裸の私を前にして、復讐計画を練り始めた彼。そんなに私の裸って、魅力無いのかな?服を渡されたので、着衣していく。彼は蘭の元へ…
「蘭…迎えに来たよ。でも、君の望むことをしたい。どうする?」
「祐介君…ごめんね…一緒にいるって言ったのに…」
蘭は彼に抱きついた。蘭を優しく受けとめる彼。
「一緒に帰るか、蘭?」
「うん♪一緒に連れ帰ってください。戸籍は汚れたけど、心までは汚れていません」
蘭は言い切った。
「わかった。妃先生、家まで送りますよ」
「えっ?!お母さん…なんで、半裸なの?」
着衣中の私を見て、驚いている蘭。
「新一君に、全裸にされたのよ!」
「新一って…お母さん狙いだったのかな?」
「そうかもな。蘭のお母さんの全裸は眩しくて、正視できなかったよ。もしかして、蘭と妃先生の。食べ比べかな?どちらもおいしそうだしね」
って、彼。
「そうなんですね」
納得する娘。私の全裸に興味無いんじゃ無いのか。何故か、ほっとした私。って、最後の事は、彼の要望ではないのか?