※※R-18Gな要素をふんだんに含みます。この先、覚悟が必要だ※※
「グリム様」
かの者との死闘を終え、図書室の夢で目を覚ました私にノーデが呼びかける。
「……どうかした?」
「先程、一匹の猫がこの扉の奥へと抜けていきました。その際に、貴女の名を呼んでいたのです」
「猫……?」
私の知り得る限り、言葉を話す猫は一匹しかいない。
そしてその猫は私が知る本来の不思議の国において、導き手を担っていた存在だ。
ノーデの横に立ち、ドアノブに触れることすら出来なかった白い扉にそっと触れる。
壁にでも触れているような硬く重い感触は既に無く、その向こうに空間があるのだと手のひら越しに解るくらい、扉は扉へと相成っていた。
ドアノブにも無論触れることが出来る。わずかに捻れば存外に軽く扉が開く感触がした。
「ですがグリム様……。……この扉の向こうへは……私も入ったことがないのです」
ふむ?
それは妙だ。この扉はずっとここにあった筈なのに、立ち入ることが出来なかったと?
「はい。……。ですので、この先に何が待ち構えているのか……わかりません。……グリム様」
扉の先へ導くのは、本来ならばこの白兎の役目だろう。
私が追うのはいつだって白兎の背だ。あの猫は、道を示しはするが強要はしない。そこへ行かなくてはならないと言うでもなく、ただニタニタ笑いを残すだけだ。ちぎれたパン屑にも等しい。
だから私には、なんとなく……
白の兎ノーデが言葉の裏に隠した真意が、わかってしまうような気がした。
「この先に、貴女を呼ぶ者がいます」
「――行きますか?」
私は……………………。
扉を潜らない
扉を潜る
扉を潜らない
【扉を潜る】
「かしこまりました。グリム様」
「――お体に、気を付けて」
*
扉の先には、長い階段が続いていた。
どこまで伸びているのかもわからない、長い長い昇り階段。
それがあまりにも高く長いものだから、空の果てまで続いているんじゃないかとすら思った。
一歩を踏み出す度に耳元でなにかがぐずぐずに壊れる音が聞こえる。
聞き覚えのある音だ。そうだ。これは、あの時計塔の歯車によく似ている。
幻が壊れて、現が見える。耳に響く時計の針が脳を刻む音。
もはや夢ではあり続けられない。
地が、空が、海が、国を創るあらゆるものが血の塊へと変貌していく。
覚める、覚める、覚める、覚める
『君を誰よりも愛しているよ、アリス』
彼の声が聞こえる。
あの者に逢いに行かなくては。
それは何故?
私が足を運ぶ理由は、何?
記憶の中で、私の顔は真っ黒に塗りつぶされている。
誰も彼も私のことを知りえない。
それでも彼が私をそう呼ぶ理由は何なのだろう。
私は、私でない私を求められて尚――何故、足を動かすのだろう。
『わたし』に意味など無い。
『わたし』に価値など無い。
『わたし』は災で、『わたし』は厄だ。
意味を持ち価値を持ち、福であり祝である『私』は。
それはけして『わたし』ではない、『私』だ。
――お前なんかッッ!!!
――お前なんか生まれて来なけりゃ良かッたのにぃぃいッッ!!!!
鼓膜の奥で、脳髄を引き裂く妖精の声がする。
――ボクのだぞ、ボクのだぞボクのだぞボクのだぞッ!! この国もこの女もこの魔獣も全部!!!
――お前のものじゃないんだッ!!! なのにどうしてお前がいるんだよ!!! 返せよ、返せッ!!
――ボクのグリムを返せよぉぉぉおおおぉっぉおおおおおおッッ!!!!!!
その声から逃れるように『わたし』は駆けた。
『わたし』は『わたし』だ、『私』じゃない――!
誰も彼も愛しき少女を思い出せぬまま、それによく似た者を求め続ける。
代用品を愛そうと、代替品を犯そうと、それさえあればと妥協し続ける。
そんなものはもう真っ平御免だ、『わたし』は『わたし』なんだ!
『わたし』の名前はッッ――――!!!
――――…………?
「……なん……だっけ…………」
忘失の果てに、私は小さな子供部屋へとたどり着く。
隔離されたベッド。見知らぬ家族が描かれた肖像。大きなテディベアと小さなテディベア。
部屋の端には本棚と、いくつかの知育玩具、それからクレヨンと画用紙。
乱雑に組み立てられたプリミティブ図形の木と、文字や絵が描き殴られた何枚かの厚紙。
誰の部屋なのかを問うまでもなく、おぞましい懐かしさが私の胸の内をぞわぞわと喰らった。
そして――
「…………チェシャ猫」
霧に包まれた扉の前に、彼女は立っていた。
「子供を産んで間もなくあたしは死んでしまったから、
あの子の顔は少女の姿でしか覚えていないんだ」
猫はうわごとのように呟き始める。
その鳴き声には忌まわしい聞き覚えがあった。
「あの頃と比べてもまるで変わらない純粋無垢な少女の姿。
あたしは知っている、あの子の手の温もりを。
毛並みを撫でられるだけで、あたしは自慢の飼い猫だって思い知らせてくれるんだ」
両の掌を広げて見つめて、握っては開いてを繰り返すチェシャ猫。
過去に浸るように語る彼女の姿は、ひどく、ひどく寂し気に見えた。
「本当にごめんね」
そう言い残し、チェシャ猫は――
「――先に行って、待っている」
導く獣、ダイナは扉の向こうへと姿を消した。
彼女は、チェシャ猫だ。
その役目は、私を導くこと。
それは誰が定めたことだ?
ダイナが導となるのなら、ダイナが行く先には誰がいる?
誰が――私を、求めている?
それは、この先に居る者……なのか?
がらん。
と。
スカートの内側から、あらゆるものがこぼれ落ちた。
そうだ。
彼に逢いに行くのに、こんな物々しいものが必要だろうか?
鋸も短銃も、剣も機関銃もなにもかも子供部屋に残し、身ひとつで私は駆ける。
その扉を開け放ち、その先にある暗闇など知る由もない、私はただ、まっすぐに駆ける。
ぐちゃり、ぐちゃり、肉のようなものを踏み潰す感覚を知りながら。
どくん、どくん、何かが胎動する音を聞きながら。
むせ返るようなさび付いた鉄の臭いを嗅ぎながら。
暗闇の先へと私は手を伸ばす。
私が帰るとき、私はどうしたっけ?
そう。簡単なこと。ただ、目を開けたの。ダイナの声を聴いて、目を開けた私が見たものは
見慣れた自室の広い天井――――。
「………………え?」
そして、目を開けた私の前には、知りうる現実などどこにもなく。
ただ、黒と紅で塗りつぶされた、肉肉しい悪夢だけが広がっていた。
「…………ぅ、っぷ……」
およそ人間の思考が得られる限りの表現で、グロテスクという言葉の粋を表したような世界。
蠢く床、壁、天井、そこに張り巡る無数の触手と、それらがつなぐ割れた肉の卵。
ごぷごぷとなにかの液体があふれ出て脈動に巻き込まれる音が耳から脳を喰らっていく。
引き返そうとしたが、背後にも肉しかなかった。
自分がどこから来たのかなどという疑問は胸の内から湧き出る逃竄への欲求と吐き気に掻き消された。
何故を問うよりも早く、私の足は前に進む。
駄目、駄目、駄目、駄目
行っては駄目、行っては駄目、なのにどうしてこの足は止まらないの?
不意に気付いて至る確信は、これが夢だということ。
ああ、夢ならば仕方ないわ。だって、思うままに動けないのは常だもの。
夢の中で思うように足を動かすことほど難しいことはないの。そして、これが覚めない夢ならば
きっと
きっと――
それを、悪夢と、呼ぶのね
「――――――」
そして、私は、たどり着く
悪夢の根源、これが死んでは還り生まれては巡るもののもと。
肉の地面からあふれ出すように生えた肉の大樹の中枢に、それは居た。
長い長い金髪の髪をした、青いリボンの少女。
肉の触手に包まれて、その顔を仰ぎ見ることは出来ないけれど、露わにさせられた肢体とそこに群がる無数の肉と今もなおその股間から這い出続ける新たな肉塊の様相から、彼女がどんな顔をしているかなど想像に難くなかった。
囚われている? 犯されている? 孕まされている? 産まさせられている?
あれは、あれは、何?
へたり、崩れた腰が肉に包まれる。しゃくりあげた恐怖で胃液すら押し込まれた。
私にできたのは、ただ、それを見上げることと、自分がここに居る意味を考えることだけだった。
【アリス。ああ、アリス】
不意に聞きなれた声がして、刹那の安堵が私に訪れる。
【また僕の部屋に入って来たのか。こんな夜更けに、眠れないのかい?】
暗渠に滴る雫に似た声に、振り向いた私に突き付けられたのは、顔のない顔をした先生の姿。
「ひ――――っ」
頭らしきしわくちゃの球体から生えた体らしき肉塊と、そこから生えた無数の触手。
その触手たちの先に、ばらばらになった猫の死体が握られていた。
見覚えのあるものだった。苦痛に歪んだニタニタ笑いの生首を見て、それがダイナだと理解した。
どこから喋っているのかも定かでない先生の声が、私を示して話し続く。
【ああ……彼女に会いに来たのか。彼女はとてもいい子だよ、アリス。僕の手伝いをしてくれるそうなんだ、子供を産むのは彼女の夢だそうだから、ああ見えてその無貌の中で悦に満ちた顔を浮かべているに違いない】
何? 何の話? 先生は何のことを言っているの?
わたしがここに居るわけは何? どうしてわたしはここに居るの?
違う……違う、違う、ちがう
わたしは、私じゃない、のに、そう、その筈なのに、どうして
――彼の前で、
【さあ、もう慣れたころだろう? 今まで、ずうっと僕のために清らかで居続けてくれた愛しいアリス。また結ばれるときが来たんだ。どんなにか待ち遠しかった。幾度となくはじめてを迎えよう、僕の体に君だけを刻み付けて、君の体に僕だけを刻みつけておくれ、アリス、アリス、アリス】
いやだ、ぃやだ、いゃだ、否だ嫌だ厭だイヤだッ!!!
逃げ出したいのに体が動かない。目の前の異形の恐ろしさに四肢が痺れて動かない。
あれは何だ、何なんだ。人? 違う、ばけもの? そんな易しいものじゃない!!
知りうる限りの言葉ですら形容できない、あまりにも冒涜的な存在が私に迫る、やめて、やめてやめてやめてやめてっっ!!!
【愛に来てくれてありがとう、アリス】
【甘い、甘い夢を、みさせておくれ、僕の永遠の想い人】
犯す
犯す
犯す
【犯す】
*
自分はどれだけの間、この行いを繰り返しているのだろう?
時間をはかる感覚はとうの昔に朽ち果てて消えた。意識すらもう明瞭ではない。
自我も言葉も奪われた。記憶もとっくに失せている。ただぼんやりとした肢体の感触だけが残されて、それが伝えてくれる感触は紛れもない愛しき少女のものであった。
「ひ……っ、ひっ……!!」
愛しき少女は絶えず涙を流している。
数十あるらしい手のうちのひとつをもって、その涙を拭う。
だがうまく拭えずに、べとりとした体液で彼女の頬を汚してしまった。
「ぃやっ……!?」
自身の体液でてらてらと濡れ光る彼女の頬。
灰色の髪に銀と黒の瞳。愛しき少女はこのような様相だったろうか?
いや違う。間違っているのはこちらの認識だ。
べとりべとりと全ての手で彼女の体を撫で、改めて彼女を認識する。
「んぃっ――くっ……!やだ、やめてっ、やめっ――!!」
アリスだ! 間違いない。僕の体はとうにヒトのそれを失ったが、感覚は残っている。
それに依れば目の前の彼女は間違いなくアリスだ。アリスがそこにいる。
そも、何を迷う必要がある? アリスを呼んだのは僕自身ではないか。
彼女が清らかな乙女のまま、あの頃と変わらないアリスのまま僕に逢いに来てくれた。
「ひっ……ひっ……?? え、えっ……??」
ああ、いとおしい、いとおしい。巨大に膨れた頭を彼女にこすり付けてぬくもりを覚える。
何もかもあの頃のままだ。娘のように愛らしい肌を、
妹を愛でるように撫ぜ、母にするように甘える。
もっと彼女の声が聴きたい。もっと彼女の奥を感じたい。
その欲求がはちきれて、彼女の服の下へ忍ばせていた手を引き上げてその衣服を全て破り去った。
「~~~~~ッッ!?」
アリスの顔が途端に青ざめる。どうしたのだろう? ……ああ、今の彼女は生娘だった。
ならばこれから何をするのかも知らなくて当然か。ああ、アリス、アリス、愛しいアリス。
何度記憶を失ってやり直そうと、何度でも君はここに戻ってきてくれる。
だから僕も何度でも君を愛そう。男女の交わりの極まりをここに。ぺたり、ぺたりと彼女の体を撫でる。
わずかに膨らんだ両の胸も、あどけなさを残すお腹も、小さな手足の先に至るまで。
「ぁっ――あ……っ、んっ、んぃっ……っっ!」
ようやく彼女の口から聞きなじみのある声が漏れた。そう、その声だよアリス。
いつも通り、彼女の体を愛せば彼女は応えてくれる。忘れていても。忘れているからこそ。
じっくりと彼女の肢体すべてを愛したら、わざと触れずにいた蜜壺へ指先を滑らせる。
びくん、と跳ねる彼女の体。無垢で純心だからこそよく反応してくれる。
でも少し、淫らが過ぎるぞ? 指全体に細かな突起を生えさせて、それでもって彼女のそこを撫でる。
「~~~~~~~っっ!!? ぁっ!! あっ!! ぃっ、ぅっっ……!!!」
ぞりゅりゅりゅっっぞりゅぅぅううっっと撫でる度、びくびくと背中を逸らせて彼女が感じる。
真っ当な人との交わりではこんな快楽は得られないだろう。人でなくなれたことに感謝する。
彼女の蜜壺は十分に満たされた。これから行う交わりのために、しっかりと解さなくては。
突起まみれの指をずぷりと挿入し、優しく優しく前後させる。
「んっっぃぃいぃいいぃ!!? あっ――ぁああっ!! はっ、はっ、待って、動かないでっ――!!!」
それは無理というものだ。こんなに細い指ですら、アリスのアソコはきゅうきゅうと締め付ける。
この感触は僕だけが味わえるものであり、そして抗いがたい魅力で満ちている。
気持ちいいなあ、きもちいいなああアリス、誰にも渡すものか、誰にも、誰にも――。
緩急をつけながら最奥まで突き入れ、時折ねじるように弄り回し、刺激を与え続ける。
「~~~っ!! ~~~~っ、くひゅぅうっ……あ、ぁっ――!!! はっ、はぁっ、はぁっ――」
……駄目だ。もっとじっくりと前戯をして慣れさせたかったが、堪え切れない。
幾度となく重ねた逢瀬の快楽を思い出す都度に愚息が痛いほど腫れ上がる。
この時をずうっと待ったんだ。また待った。そして叶った。アリスはここにいて僕はここにいる。
また犯したいまた孕ませたいまた産んでほしいまた喘いでほしいまた求めてほしいまた。
「――っ、…………っ……ひっ…………」
先走りなのかももう定かでない液体をだくだくとこぼしながら、いきり立つ愚息を晒して見せる。
するとアリスはひどく怯えた表情を見せて、小動物のようでまた愛らしいんだそれが。
赤黒く染まった肉棒をぺたりとアリスのお腹に乗せて、これがそのまま君に収まるのだと伝える。
ぶんぶんと首を横に振るアリス。だいじょうぶ。もう何度もやったことだろう?
「……ぃ、やだ、やだっ、ぜったい、むり……無理っ、無理っ!!! ――ぃ、っぎ!!?」
気を抜けば挿入できるという達成感だけで射精してしまいそうな爆弾じみたそれを、ぎゅううっとアリスの入り口に押し付ける。
場所は合っているかな。今は僕もはじめてだから難しいよ。
そう、君以外の誰にもうつつを抜かしてなんかいない、君だけを待っていたんだ。
だから大丈夫、はじめて同士だよアリス、いつもの通りに。数本の手で彼女の頭を撫でながら、ぐっと腰だった部分を押し付ける。
「ぁ――――お"っっ!!!!!」
ず、っぶ、ずぶっっ、ずっぷぅうぅっと、アリスの処女を開拓しながらゆっくりと奥まで突き挿れる。
あぁぁああぁあああああったかいあったかいあったかいあったかいせまいくるしいきもちいいぃぃいいいいいいいいいなぁあああああああああああああああああああああああああああああ僕は頭だった部位から舌代わりの触手を伸ばして彼女の両胸と両耳とお口にそれでしゃぶりつく。アリスはお耳とお口がとっても弱いことを熟知しているから存分に気持ちよくなってほしいから滅茶苦茶に滅茶苦茶にめちゃくちゃにめちゃくちゃにしたいんだぁぁああぁぁぎもぢぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
じゅぐじゅぐぐぢゅぐぢゅぶっぢゅぅうっっっ出来得る限り最大級の渇望でもってアリスの性感帯のすべてをめちゃくちゃにし尽くす。ごぢゅっごぢゅっと膣を突いてはアリスのちっちゃな体を持ち上げてお耳もお口も唾液と体液でべちょべちょになるくらいしゃぶりつくす。
「んんんんんんっっんぐっっんむっぐぅぅぅうううぅうぅっっ!!!! んぅぅぅううぅぅっっ!!!!」
ほうらこの通りだいつものように少女は喘ぎ散らして涙を流して顔を真っ赤にして応えてくれるかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいぎもぢいいぎもぢいいいいぃぃいいぃいい近づく絶頂の波に抗うことなんてせず僕はそのままアリスの膣奥で真っ白い欲望と真っ黒い魂たちを爆ぜさせる。そう、この国に生まれて生きている魂たちのすべて。彼女の目覚めによって壊れて崩れた住民たちすべての魂をぐちゃぐちゃに混ぜて彼女に注ぐ。準備はいいかいいいよね我慢なんてできそうもないよありすありすありすありすありすありすありす
「んっっっぶ!!? んぐっ!! んぅうぐっ!!! ~~~~~~~~~ッッッ!!!!!」
ごっぷっっどぷっごぷっぶっびゅるるるううぅうぅうううっっぁぁああぁああああああああああぎもぢぃぃいぃいいぃいっっっ全部出るありすのおまんこに搾りとられるっっあぁぁぁあぁぁぁぁぁぁああ
びくんっっびくっっと跳ねるアリスの肢体。アリスも絶頂したのをぎちぎちと締め付けられるおまんこの中で愚息が感じ取る。けどまだ足りない。この国に生きる11万人の娼婦をはじめとする者たちの魂はこんなものじゃない。這い寄る少女たちが国を創り直してくれているうちに僕らでいっぱい赤ちゃんを創ろうアリス。
射精してぱんぱんに膨れたアリスのお腹を内側から何度も何度も何度も何度も突き上げる。
「ぐぶぇっ!! ぉぐぇっっ!!! ぁ、っぎ、いっ、ぁっ、おっ、ぉぉおっっ!!」
限界を超える圧迫感からかアリスの喘ぎ声もすっかり下品になってしまった。でもそれが好きなんだ。もっと聞かせてほしい、言葉の代わりにピストンでそうアリスに伝える。かわいいかわいいアリス、もっと犯されてくれ、もっと孕んでくれ、もっと、もっと、もっともっともっと
大きく膨らみ穢れ切った黒いソウルで汚され尽して、その内に隠した彼女の魂を寄越せ。もっともっともっともっと削り落としてすべてを落とせ。どす黒いソウルをのせた真っ白い欲望がまた爆ぜる。
削れ。摩耗しろ。すべて、すべてを寄越せ。返せ。アリスを返せ、アリス。
――何度も何度も何度も何度も何度も何度も。
爆ぜては注ぎ、注いでは爆ぜ。
ようやく落ち着きを取り戻して、アリスの穴から愚息を引き抜いたのは、アリスのお腹が身の丈と同じくらいまで膨れ上がってからのことだった。
ぎゅうううっと締め付けて一滴たりとも溢れさせないアリスのおまんこ。その中にあるものを産みきったらまた注ごう。それまで頑張って、お腹の中で卵を育てるんだよアリス。
*
『この国は人口100億6564万人と国土7000平方キロメートル!とにかく広いっ!とにかくでかーいっ!』
いつかきいたようなきがする、かのじょのこえを思い出す。
ああ。そんなにたくさんいたんだっけ。
わたしは何人産んだっけ? これで、何人目だっけ? あと、何人?
「――っ、ぐ、ぅ……あ…………っっ」
子宮の中にありったけの魂を詰めこまれ、それらと混ざってわたしが不明瞭になっていく。
四肢の先まで満ちるような快楽。乳の先から噴き出る白いモノがもたらす快楽。子宮の中で蠢くそれらがもたらす快楽。産道を通る巨大な卵が刻む快楽。
もう嫌だ。なんて何度考えた? 何を思おうと考えようとわたしは犯されて孕まされて産まさせられる。
「んぶっっ……!!ぅぇっ――あ、っぐ――!!! ひっ、ひっっ!!! はーーっ!!! はぁああああぁああぅぅうぅぅぅうあぁあああああっっ!!!!」
ああ、また孵る。頼むからお腹の中で殻を割らないで、育ち切ったまま産まれてこられては卵を産むより快楽がひどいんだ。壊れてくれない心が思考を浮かべるのを他所に、出来損ないの赤ん坊が這い出てくる。
そして、ぺたぺたと這い寄って。わたしのお乳を、吸って、吸っっっ
「~~~~~~っっ――!!! ~~っ、ぃぃぃぃいいっっぁぁぁぁああぁあ」
出産とは別の快楽をわたしに与えながら、赤ん坊はぐぢゅりと融けて死ぬ。
失敗なんだ。お腹の中で孵ってしまっては、それ以上育つことができないから。
わたしの周りを取り囲む無数の卵たちと同じように、ゆっくりゆっくりと育ってくれなきゃあ。
異形に孕まされたものでもわたしの子なんだ。張り裂けそうな胸にまた快楽が満ちる。
――それを何年繰り返したろう。
人の形を保てているのが不思議に思えるくらい、ぐぢゃぐぢゃに摩耗しきったわたしの心。
あの異形はいつのまにか姿を消していて、そこには卵たちとわたしだけが残った。
どぐん、どぐん、どぐん、どぐん、どぐんどぐんどぐんどぐんどぐんどぐん。
肉から伝わる無数の卵の胎動と、たぶん、あの肉の大樹でわたしと同じように出産をつづけているあれが生んだ肉塊の脈動が耳の奥に伝わってくる。
それらに交じって、小さな足音が聞こえてきた。
足音、そう、足音だ。おどろいた、わたしはまだそんな判断ができたんだ。
「――産んでは摩耗し」
「削り落ちる、『アリス』の魂」
遠い、遠い記憶の彼方に、かすかに触れるような声。
「……まだ……お続けになられるのですね……」
「グリム、様」
その声の主が、わたしを抱き上げた。
「ああ――お寒いでしょう…………アシュリィ様」
視力は失ったが、なんとなくわかった。
ふわりとした感触。ぼんやりとではあるが、覚えがある。
紅茶の匂い。本の匂い。――白の兎、ノーデ。
「此度は……新たなアリスは生まれなかったご様子……」
「幸か、否か――もう……わかりませんが」
彼女の本来の役割が、消えゆく意識の中でようやくわかった。
きっと、次のわたしも理解する。その果てに、また記憶を消していく。
白の兎。白の、産婆。卵たちを、わたしを、取り上げる――もの。
「ゲルマ」
「クライス」
「ガスト」
「チャーチ」
「メル」
「コイン」
「――アシュリィ様」
「今一度――――――……………………」
肉塊が形成する不思議の国の夢。
彼女がかつて夢見た悪夢の国。
異邦のものによって支配され、奪い去られたその国に。
わたしはまた、迷い込む。
長い長い縦穴を墜落しながら、蘇るのはいつの日も同じ光景。
霧が包む王国の憧憬。志を共にした仲間たち。
だれか――だれか。
わたしのなまえを、よびとめて。
わたしの名前はアッシュ・リィン
灰から生まれた、名無し姫――
*
一冊の童話がありました。
タイトルもなく、製本もされず、数枚の原稿用紙に書かれただけの物語。
あえて題をつけるならば、そう――名無し姫。
その童話は誰の目にも留まることなく、焼け落ちて消えていく運命にありました。
それが本来の歴史。本当の道筋。
しかし、この歴史において、そうはならなかった。
たったひとりだけ、その名無し姫を読んだ者がいた。
皮肉なものです
灰になるはずの、その童話の――最初の読者が。
身侭な、改変作家であったとは…………。
【A END
sk for the End of story】